JP5152864B2 - スライドドアのスピーカー配設構造 - Google Patents

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本発明は、自動車のスライドドアの室内側に設けたスライドドアガーニッシュに、スピーカー(ツイーター)を配設した構造に関する。
ミニバン等の自動車においては、2列目、3列目のシートへの乗降を行うために自動車の前後方向にスライドして開閉するスライドドアが多用されている。そして、自動車にサラウンドシステムを導入して、臨場感等の音響効果を向上させる際には、スライドドアの室内側に設けたスライドドアガーニッシュにスピーカー(特に、約5kHz以上の高音域の音を再生するツイーター)を配設することが行われている。
例えば、特許文献1においては、ドアトリムに形成された開口部に、車室内側から取り付けられるツイーターを備えた車両用ツイーター装置が開示されている。この車両用ツイーター装置においては、部品点数の削減、組立て性の向上、盗難防止等を目的として、ツイーターを収容するマウントスペーサをドアトリムの開口部に装着したとき、ドアトリムの車室外側の面に係止されるレバーアームとを一体形成したレバーアーム・スプリングを、マウントスペーサの底部に形成された爪部に係止させることが開示されている。
特開2003−260989号公報
また、スピーカー本体(特にツイーター本体)を一体化したベースブラケットをスライドドアガーニッシュに取り付ける際には、ベースブラケットの車両前方側及び車両後方側に前後方向の外側へ突出する上下一対のブラケット突起部を設け、この上下一対のブラケット突起部同士の間に、スライドドアガーニッシュに設けた係止爪を係止させることが考えられる。
しかしながら、この係止爪は、ベースブラケットの取付性を向上させるためには、弾性変形し易い方がよい一方、弾性変形し易くすると、特にスライドドアを強く閉じる際に係止状態が外れてしまうおそれがある。そのため、取付性及び離脱防止性の両方を効果的に向上させるためには更なる工夫が必要とされる。
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、スライドドアガーニッシュに対するスピーカーの取付性及び離脱防止性の両方を効果的に向上させることができるスライドドアのスピーカー配設構造を提供しようとするものである。
本発明は、自動車のスライドドアの室内側に設けたスライドドアガーニッシュに、スピーカーを配設した構造において、
該スピーカーは、スピーカー本体と、該スピーカー本体を上記スライドドアガーニッシュに取り付けるためのベースブラケットとを一体化してなり、
該ベースブラケットは、その車両前方側及び車両後方側において、前後方向の外側へ突出する上下一対のブラケット突起部を有しており、
上記スライドドアガーニッシュは、該スライドドアガーニッシュに上記ベースブラケットを取り付けるための係止爪を有しており、該係止爪は、上記車両前方側及び車両後方側における上記上下一対のブラケット突起部同士の間に配置してあり、
上記係止爪の少なくとも一方に対する上下位置には、上記一対のブラケット突起部に当接して、上記ベースブラケットが上記前後方向の外側へ位置ずれすることを防止するための当接受け部が設けてあり、
上記車両前方側及び車両後方側のうち上記当接受け部を設けた側の上記係止爪は、上記スライドドアガーニッシュに対して上記ベースブラケットを取り付ける際に上記前後方向の外側に弾性変形可能な弾性変形係止爪であることを特徴とするスライドドアのスピーカー配設構造にある(請求項1)。
本発明のスライドドアのスピーカー配設構造は、スピーカー本体とベースブラケットとからなるスピーカーを、スライドドアガーニッシュに取り付けるための構造に工夫を行っている。すなわち、本発明のベースブラケットは、その車両前方側及び車両後方側において、前後方向の外側へ突出する上下一対のブラケット突起部を有しており、スライドドアガーニッシュは、車両前方側及び車両後方側における上下一対のブラケット突起部同士の間に配置する係止爪を有している。そして、スピーカーのベースブラケットは、車両前方側及び車両後方側において、係止爪が上下一対のブラケット突起部同士の間を係止することによって、回り止めを行った状態でスライドドアガーニッシュに取り付けられる。
係止爪の少なくとも一方に対する上下位置には、上記当接受け部が設けてあり、この当接受け部を設けた側の係止爪は上記弾性変形係止爪として形成してある。
そして、スピーカーのベースブラケットをスライドドアガーニッシュに取り付ける際には、弾性変形係止爪が前後方向の外側に弾性変形する。これにより、スライドドアガーニッシュに対してスピーカーのベースブラケットを取り付ける際の取付荷重を軽減することができる。
また、弾性変形係止爪を弾性変形し易くしている一方、自動車の使用時には、弾性変形係止爪が弾性変形し難くするための工夫をしている。すなわち、自動車の使用時においてスライドドアを開閉させるときには、開閉時の衝撃によってスピーカーに対して前後方向へ位置ずれさせようとする慣性力が作用しても、弾性変形係止爪の両側に位置する一対のブラケット突起部を当接受け部によって受けることができる。これにより、慣性力によって弾性変形係止爪が弾性変形することを防止することができる。そのため、スライドドアの開閉時における衝撃が加わったときでも、スピーカーのベースブラケットがスライドドアガーニッシュから外れてしまうことを防止することができる。
それ故、本発明のスライドドアのスピーカー配設構造によれば、スライドドアガーニッシュに対するスピーカーの取付性及び離脱防止性の両方を効果的に向上させることができる。
上述した本発明のスライドドアのスピーカー配設構造における好ましい実施の形態につき説明する。
本発明において、上記弾性変形係止爪は、上記車両前方側の係止爪とし、上記車両後方側の係止爪は、弾性変形不能な固定係止爪とすることが好ましい(請求項2)。
この場合には、スピーカーのベースブラケットをスライドドアガーニッシュに取り付ける際には、車両幅方向でベースブラケットを斜めにして、車両後方側の一対のブラケット突起部同士の間に固定係止爪を挿入し、次いで、ベースブラケットによって車両前方側の弾性変形係止爪を前後方向の外側(車両前方側)に弾性変形させながら、車両前方側の一対のブラケット突起部同士の間に弾性変形係止爪を配置することができる。これにより、スライドドアガーニッシュに対してスピーカーのベースブラケットを取り付ける際の取付荷重を軽減すると共に、極めて簡単にこの取付作業を行うことができる。
また、自動車の使用時においてスライドドアを強く閉じたときに、この強閉時の衝撃によって、スピーカーに対して車両前方側に位置ずれさせようとする慣性力が作用しても、車両前方側の一対のブラケット突起部を当接受け部によって受けることができ、慣性力によって弾性変形係止爪が弾性変形することを防止することができる。これにより、スライドドアの強閉時における衝撃が加わったときでも、スピーカーがスライドドアガーニッシュから外れてしまうことを防止することができる。
以下に、本発明のスライドドアのスピーカー配設構造にかかる実施例につき、図面を参照して説明する。
本例のスライドドア2のスピーカー配設構造1は、図1〜図3に示すごとく、自動車のスライドドア2の室内側W1に設けたスライドドアガーニッシュ3にスピーカー4(約5kHz以上の高音域の音を再生するツイーター)を配設してなる。スピーカー4は、スピーカー本体41と、スピーカー本体41をスライドドアガーニッシュ3に取り付けるための金属製のベースブラケット42とを一体化してなる。ベースブラケット42は、その車両前方側Fr及び車両後方側Rrにおいて、前後方向Fの外側へ突出する上下一対のブラケット突起部421を有している。以下、車両前方側Fr、車両後方側Rrのことを、単に前方側Fr、後方側Rrという。
スライドドアガーニッシュ3は、スライドドアガーニッシュ3にベースブラケット42を取り付けるための係止爪31を有している。この係止爪31は、前方側Fr及び後方側Rrにおける上下一対のブラケット突起部421同士の間に配置してある。前方側Frの係止爪31に対する上下位置には、前方側Frの一対のブラケット突起部421に当接して、ベースブラケット42が前後方向Fの外側としての前方側Frへ位置ずれすることを防止するための当接受け部32が設けてある。
図4に示すごとく、前方側Frの係止爪31は、スライドドアガーニッシュ3に対してベースブラケット42を取り付ける際に、前後方向Fの外側としての前方側Frに弾性変形可能な弾性変形係止爪31Aとして形成してある。また、図5に示すごとく、後方側Rrの係止爪31は、補強リブ313を備えて弾性変形不能な固定係止爪31Bとして形成してある。
以下に、本例のスライドドア2のスピーカー配設構造1につき、図1〜図6を参照して詳説する。
図6に示すごとく、本例の自動車のスライドドア2は、後部座席への乗降を行うためのドアであり、開くときには、後方室外側W2に向けて斜めに振り出した後、後方側Rrにスライドするよう構成されている。スピーカー4は、スライドドア2の車両前方側端部の付近であって、スライドドア2のウィンドウガラス21に対する前方下方位置に配設してある。
図1に示すごとく、スライドドアガーニッシュ3の裏面側(室外側W2)においては、スピーカー4のベースブラケット42の配設位置に対応して、ガーニッシュブラケット30が固定してある。ガーニッシュブラケット30は、複数の取付穴301内にスライドドアガーニッシュ3に形成したボス部を熱かしめして、スライドドアガーニッシュ3に固定することができる。また、スライドドアガーニッシュ3において、スピーカー4の配設位置に対する室内側W1には、網目状のスピーカーグリル35が配設してある(図2、図3参照)。
図4に示すごとく、前方側Frの弾性変形係止爪31Aは、ガーニッシュブラケット30の室外側W2に立設する立設部311と、立設部311の先端の後方側Rrにおいて後方側Rrへ突出する係止突起312とを有している。立設部311は、補強リブを設けていない板形状に形成してあり、自動車の前後方向Fに弾性変形し易い(たわみ易い)よう板形状の厚み方向を前後方向Fに向けて形成してある。
図5に示すごとく、後方側Rrの固定係止爪31Bは、ガーニッシュブラケット30の室外側W2に立設する立設部311と、立設部311の先端の前方側Frにおいて前方側Frへ突出する係止突起312と、立設部311に対して設けた補強リブ313とを有している。補強リブ313は、立設部311に対する後方側Rrに複数(本例では2つ)立設して形成してあり、後方側Rrの固定係止爪31Bは、ほとんど弾性変形しないように形成してある。
図2、図3に示すごとく、ガーニッシュブラケット30及びスライドドアガーニッシュ3には、スピーカー本体41を配置する部分に対応して開口穴33が形成してある。
図1に示すごとく、本例のガーニッシュブラケット30においては、ベースブラケット42の下側部分を係止する位置にも弾性変形可能な下側係止爪31Cが形成してある。この下側係止爪31Cも、立設部311の先端上側位置に係止突起312を形成してなる。また、ガーニッシュブラケット30における前後の斜め下部と、前方側Fr及び後方側Rrにおける一対のブラケット突起部421の上側位置とには、ベースブラケット42の外縁端面を支える支持壁34が形成してある。
本例のスピーカー4のベースブラケット42をスライドドアガーニッシュ3に取り付ける際には、車両幅方向でベースブラケット42を斜めにして、後方側Rrの一対のブラケット突起部421同士の間に固定係止爪31Bを挿入し、次いで、ベースブラケット42によって前方側Frの弾性変形係止爪31Aを前方側Frに弾性変形させると共に下側係止爪31Cを下側に弾性変形させながら、前方側Frの一対のブラケット突起部421同士の間に弾性変形係止爪31Aを配置することができる。そして、弾性変形係止爪31A、固定係止爪31B及び下側係止爪31Cにおける各係止突起312によって、ベースブラケット42をガーニッシュブラケット30に取り付けることができる。これにより、ガーニッシュブラケット30に対してスピーカー4のベースブラケット42を取り付ける際の取付荷重を軽減すると共に、極めて簡単にこの取付作業を行うことができる。
また、弾性変形係止爪31Aを弾性変形し易くしている一方、自動車の使用時には、弾性変形係止爪31Aが弾性変形し難くするための工夫をしている。すなわち、自動車の使用時においてスライドドア2を強く閉じたときに、この強閉時の衝撃によって、スピーカー4に対して前方側Frに位置ずれさせようとする慣性力が作用しても、前方側Frの一対のブラケット突起部421を当接受け部32によって受けることができる。これにより、慣性力によって弾性変形係止爪31Aが弾性変形することを防止することができる。そのため、スライドドア2の強閉時における衝撃が加わったときでも、スピーカー4のベースブラケット42がスライドドアガーニッシュ3から外れてしまうことを防止することができる。
それ故、本例のスライドドア2のスピーカー配設構造1によれば、スライドドアガーニッシュ3に対するスピーカー4の取付性及び離脱防止性の両方を効果的に向上させることができる。
実施例における、スライドドアのスピーカー配設構造を、スライドドアガーニッシュの室外側から見た状態で示す平面図。 実施例における、スライドドアのスピーカー配設構造を示す図で、図1におけるA−A線矢視断面説明図。 実施例における、スライドドアのスピーカー配設構造を示す図で、図1におけるB−B線矢視断面説明図。 実施例における、スライドドアのスピーカー配設構造において、弾性変形係止爪及び当接受け部の周辺を拡大して示す斜視図。 実施例における、スライドドアのスピーカー配設構造において、固定係止爪の周辺を拡大して示す斜視図。 実施例における、自動車のスライドドアにおけるスピーカーの配設箇所を、室内側から見た状態で示す側面図。
符号の説明
1 スピーカー配設構造
2 スライドドア
3 スライドドアガーニッシュ
30 ガーニッシュブラケット
31A 弾性変形係止爪
31B 固定係止爪
32 当接受け部
4 スピーカー
41 スピーカー本体
42 ベースブラケット
421 ブラケット突起部
F 前後方向
Fr 車両前方側
Rr 車両後方側
W1 室内側
W2 室外側

Claims (2)

  1. 自動車のスライドドアの室内側に設けたスライドドアガーニッシュに、スピーカーを配設した構造において、
    該スピーカーは、スピーカー本体と、該スピーカー本体を上記スライドドアガーニッシュに取り付けるためのベースブラケットとを一体化してなり、
    該ベースブラケットは、その車両前方側及び車両後方側において、前後方向の外側へ突出する上下一対のブラケット突起部を有しており、
    上記スライドドアガーニッシュは、該スライドドアガーニッシュに上記ベースブラケットを取り付けるための係止爪を有しており、該係止爪は、上記車両前方側及び車両後方側における上記上下一対のブラケット突起部同士の間に配置してあり、
    上記係止爪の少なくとも一方に対する上下位置には、上記一対のブラケット突起部に当接して、上記ベースブラケットが上記前後方向の外側へ位置ずれすることを防止するための当接受け部が設けてあり、
    上記車両前方側及び車両後方側のうち上記当接受け部を設けた側の上記係止爪は、上記スライドドアガーニッシュに対して上記ベースブラケットを取り付ける際に上記前後方向の外側に弾性変形可能な弾性変形係止爪であることを特徴とするスライドドアのスピーカー配設構造。
  2. 請求項1において、上記弾性変形係止爪は、上記車両前方側の係止爪であり、上記車両後方側の係止爪は、弾性変形不能な固定係止爪であることを特徴とするスライドドアのスピーカー配設構造。
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