JP5152690B2 - 重切削加工で硬質被覆層がすぐれた耐欠損性を発揮する表面被覆切削工具 - Google Patents
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Description
また、被覆工具として、炭化タングステン(以下、WCで示す)基超硬合金、炭窒化チタン(以下、TiCNで示す)基サーメットまたは各種の立方晶窒化ほう素(以下、cBNで示す)基超高圧焼結材料で構成された工具本体の表面に、(Al1−X CrX )N(ただし、原子比で、Xは0.30〜0.60)を満足するAlとCrの複合窒化物[以下、(Al,Cr)Nで示す]層からなる硬質被覆層を物理蒸着してなる被覆工具が提案され、各種の鋼や鋳鉄などの連続切削や断続切削加工に用いられている。
(a)従来被覆工具の硬質被覆層を構成する従来(Al,Cr)N層は、例えば、図1に示される通常の物理蒸着装置の1種であるアークイオンプレーティング装置に工具基体を装入し、ヒータで装置内を例えば300〜500℃に加熱した状態で、所定組成のAl−Cr合金からなるカソード電極(蒸発源)とアノード電極との間に例えば60〜100Aのアーク放電電流を発生させ、同時に装置内に反応ガスとして窒素ガスを導入して、例えば1〜6Paの反応雰囲気とし、一方工具基体には例えばバイアス電源から−20〜−100Vの直流バイアス電圧を印加するという条件下で成膜される(以下、通常成膜条件という)が、
その蒸着条件を変更し、例えば、ヒータで装置内を850℃に加熱して成膜温度を高くし、さらに、工具基体にバイアス電源からバイポーラパルスバイアスを印加してアークイオンプレーティングを行う(以下、改質成膜条件という)と、この条件で蒸着形成された(Al,Cr)N層(以下、改質(Al,Cr)N層という)は、通常成膜条件で形成された(Al,Cr)N層に比べ、結晶粒の粒界強度が強化され、その結果、硬質被覆層の高温強度が一段と向上するため、切刃に対して大きな機械的負荷がかかる重切削加工であっても、前記硬質被覆層はすぐれた耐欠損性を発揮し、長期にわたってすぐれた耐摩耗性を示すこと。
電界放出型走査電子顕微鏡を用い、表面研磨面の測定範囲内に存在する立方晶結晶格子を有する結晶粒個々に電子線を照射して、前記表面研磨面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である{100}面の法線がなす傾斜角を測定し、前記測定傾斜角のうち、0〜45度の範囲内にある測定傾斜角を0.25度のピッチ毎に区分すると共に、各区分内に存在する度数を集計してなる傾斜角度数分布グラフを作成すると、例えば、図3に示されるように、30〜40度の範囲内の傾斜角区分に最高ピークが存在すると共に、前記30〜40度の範囲内に存在する度数の合計が、傾斜角度数分布グラフにおける度数全体の60%以上の割合を占める傾斜角度数分布グラフを示すこと。
電界放出型走査電子顕微鏡を用い、表面研磨面の測定範囲内に存在する結晶粒個々に電子線を照射して、前記表面研磨面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である{112}面の法線がなす傾斜角を測定し、この場合前記結晶粒は、上記の通り格子点にAl、Cr、窒素からなる構成原子がそれぞれ存在するNaCl型面心立方晶の結晶構造を有し、この結果得られた測定傾斜角に基づいて、相互に隣接する結晶粒の界面で、前記構成原子のそれぞれが前記結晶粒相互間で1つの構成原子を共有する格子点(構成原子共有格子点)の分布を算出し、前記構成原子共有格子点間に構成原子を共有しない格子点がN個(NはNaCl型面心立方晶の結晶構造上2以上の偶数となる)存在する構成原子共有格子点形態をΣN+1で表し、個々のΣN+1がΣN+1全体(ただし、頻度の関係でNの上限値を28とする)に占める分布割合を示す構成原子共有格子点分布グラフを作成した場合、いずれの(Al,Cr)N層もΣ3に最高ピークが存在するが、前記従来(Al,Cr)N層は、図6に例示される通り、Σ3の分布割合が30%以下の相対的に低い構成原子共有格子点分布グラフを示すのに対して、前記改質(Al,Cr)N層は、図5に例示される通り、Σ3の分布割合が50%以上のきわめて高い構成原子共有格子点分布グラフを示すこと。
以上(a)〜(d)に示される研究結果を得たのである。
「(1) 炭化タングステン基超硬合金、炭窒化チタン基サーメット、または立方晶窒化ほう素基超高圧焼結材料で構成された工具基体の表面に、1〜10μmの平均層厚を有するAlとCrの複合窒化物層からなる硬質被覆層を蒸着形成してなる表面被覆切削工具において、
前記AlとCrの複合窒化物層は、
組成式:(Al1−XCrX)Nで表したときに、
0.3≦X≦0.6(ただし、Xは原子比を示す)を満足し、かつ、
電界放出型走査電子顕微鏡を用い、表面研磨面の測定範囲内に存在する立方晶結晶格子を有する結晶粒個々に電子線を照射して、前記表面研磨面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である{100}面の法線がなす傾斜角を測定し、前記測定傾斜角のうち、0〜45度の範囲内にある測定傾斜角を0.25度のピッチ毎に区分すると共に、各区分内に存在する度数を集計してなる傾斜角度数分布グラフにおいて、30〜40度の範囲内の傾斜角区分に最高ピークが存在すると共に、前記30〜40度の範囲内に存在する度数の合計が、傾斜角度数分布グラフにおける度数全体の60%以上の割合を占める傾斜角度数分布グラフを示し、表面研磨面の法線方向に対して、前記AlとCrの複合窒化物の{112}面が強配向していることを特徴とする表面被覆切削工具(被覆工具)。
(2) 前記(1)記載の表面被覆切削工具において、
電界放出型走査電子顕微鏡を用い、表面研磨面の測定範囲内に存在する前記AlとCrの複合窒化物について、立方晶結晶格子を有する結晶粒個々に電子線を照射して、前記表面研磨面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である{112}面の法線がなす傾斜角を測定し、この場合前記結晶粒は、格子点にAl、Cr、窒素からなる構成原子がそれぞれ存在するNaCl型面心立方晶の結晶構造を有し、この結果得られた測定傾斜角に基づいて、相互に隣接する結晶粒の界面で、前記構成原子のそれぞれが前記結晶粒相互間で1つの構成原子を共有する格子点(構成原子共有格子点)の分布を算出し、前記構成原子共有格子点間に構成原子を共有しない格子点がN個(NはNaCl型面心立方晶の結晶構造上2以上の偶数となる)存在する構成原子共有格子点形態をΣN+1で表した場合、個々のΣN+1がΣN+1全体(ただし、頻度の関係でNの上限値を28とする)に占める分布割合を示す構成原子共有格子点分布グラフにおいて、Σ3に最高ピークが存在し、かつ前記Σ3のΣN+1全体に占める分布割合が50%以上である構成原子共有格子点分布グラフを示すことを特徴とする前記(1)記載の表面被覆切削工具(被覆工具)。」
に特徴を有するものである。
(a)組成式(Al1−XCrX)N
組成式(Al1−XCrX)Nで表される成分組成の硬質被覆層におけるCr成分は高温強度の維持、Al成分は高温硬さと耐熱性の向上に寄与することから、硬質被覆層は、所定の高温強度、高温硬さおよび耐熱性を具備する層であるが、Crの含有割合Xが30原子%未満であると、硬質被覆層の高温硬さと耐熱性は向上するものの、Cr含有割合の相対的な減少によって、高温強度が低下し欠損を発生しやすくなり、一方、Crの含有割合Xが60原子%を超えると、高温硬さと耐熱性が低下し、その結果、耐摩耗性の低下がみられるようになることから、Crの含有割合Xの値を0.3〜0.6と定めた。
上記の改質(Al,Cr)N層について、電界放出型走査電子顕微鏡を用い、表面研磨面の測定範囲内に存在する立方晶結晶格子を有する結晶粒個々に電子線を照射して、前記表面研磨面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である{100}面の法線がなす傾斜角を測定し、前記測定傾斜角のうち、0〜45度の範囲内にある測定傾斜角を0.25度のピッチ毎に区分すると共に、各区分内に存在する度数を集計してなる傾斜角度数分布グラフを作成したところ、図3に示すように、30〜40度の範囲内の傾斜角区分に最高ピークが存在し、しかも、30〜40度の範囲内に存在する度数の合計が、傾斜角度数分布グラフにおける度数全体の60%以上の割合を占める傾斜角度数分布グラフを示すことから、改質(Al,Cr)N層は、表面研磨面の法線方向に対して{112}面が強配向していることがわかり、このような結晶配向性によって、通常成膜条件で形成した従来(Al,Cr)N層に比して、結晶粒の粒界強度が一段と向上し、その結果、硬質被覆層として改質(Al,Cr)N層を備えた被覆工具は、重切削加工条件下でも耐欠損性が一段と向上する。
さらに、上記の改質(Al,Cr)N層について、同じく、電界放出型走査電子顕微鏡を用い、表面研磨面の測定範囲内に存在する結晶粒個々に電子線を照射して、前記表面研磨面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である{112}面の法線がなす傾斜角を測定し、この場合前記結晶粒は、上記の通り格子点にAl、Cr、窒素からなる構成原子がそれぞれ存在するNaCl型面心立方晶の結晶構造を有し、この結果得られた測定傾斜角に基づいて、相互に隣接する結晶粒の界面で、前記構成原子のそれぞれが前記結晶粒相互間で1つの構成原子を共有する格子点(構成原子共有格子点)の分布を算出し、前記構成原子共有格子点間に構成原子を共有しない格子点がN個(NはNaCl型面心立方晶の結晶構造上2以上の偶数となる)存在する構成原子共有格子点形態をΣN+1で表し、個々のΣN+1がΣN+1全体(ただし、頻度の関係でNの上限値を28とする)に占める分布割合を示す構成原子共有格子点分布グラフを作成したところ、前記改質(Al,Cr)N層は、図5に例示される通り、Σ3に最高ピークが存在するとともに、Σ3の分布割合が50%以上のきわめて高い構成原子共有格子点分布グラフを示すことから、この点からも、改質(Al,Cr)N層は、結晶粒の粒界強度が一段と向上し、その結果、耐欠損性が一段と向上していることがわかる。
なお、図6に例示される通り、従来(Al,Cr)N層もΣ3に最高ピークが存在するものの、Σ3の分布割合は30%以下に過ぎず、改質(Al,Cr)N層に比べ、相対的に低い構成原子共有格子点分布グラフを示している。
以上のとおり、改質(Al,Cr)N層は、{112}面の配向性が高く、また、Σ3の分布割合も高いため、従来(Al,Cr)N層のもつ高温硬さと高温強度と耐熱性に加えて、さらに一段とすぐれた高温強度を有するようになる。
改質(Al,Cr)N層の平均層厚が1μm未満では、自身のもつ耐熱性、高温硬さおよび高温強度を長期に亘って維持することができず、工具寿命短命の原因となり、一方その平均層厚が10μmを越えると、チッピングが発生し易くなることから、その平均層厚を1〜10μmと定めた。
硬質被覆層として、アークイオンプレーティングで蒸着形成した改質(Al,Cr)N層を備えた被覆工具を製造するにあたり、
アークイオンプレーティング装置内の回転テーブル上に工具基体を配設し、カソード電極としてAl−Cr合金を配置し、
前記装置内の回転テーブル上に配設された工具基体をArガス雰囲気中でArイオンによってボンバード洗浄した後、
装置内に反応ガスとして窒素ガスを導入して1〜6Paの反応雰囲気とすると共に、装置内を加熱し、工具基体温度を750〜900℃に保持した状態で、回転テーブル上の工具基体に、印加電圧+5〜−100(v)×印加時間2000〜20000(ns)の負バイアスおよび印加電圧+32〜+42(v)×印加時間100〜5000(ns)の正バイアスからなるバイポーラパルスバイアスを印加し、かつ前記Al−Cr合金からなるカソード電極とアノード電極との間に60〜200Aの電流を流してアーク放電を発生させて、工具基体表面に、組成式:(Al1−XCrX)Nで表したときに、0.3≦X≦0.6(ただし、Xは原子比を示す)を満足する改質(Al,Cr)N層を蒸着形成する。
上記蒸着条件のうち、工具基体温度については、その温度が750℃未満では、{112}面への配向率が極めて小さくなり、目的とする皮膜が得られず、粒界強度が不足することから、工具基体温度は750℃以上とする必要がある。工具基体温度についての上限は特にないが、アークイオンプレーティング装置の仕様の点から、実際上は、工具基体温度を750〜900℃にすることが望ましい。ただ、これは、工具基体温度を900℃以上に高めてはならないということを意味するものではない。
また、バイポーラパルスバイアスについては、印加電圧+5〜−100(v)×印加時間2000〜20000(ns)の負バイアスおよび印加電圧+32〜+42(v)×印加時間100〜5000(ns)の正バイアスからなるバイポーラパルスバイアスを印加することが必要であり、負バイアス、正バイアスの印加電圧及び印加時間が上記数値範囲から外れた場合には、目的としている{112}面の強配向性の皮膜とならないため、成膜時の工具基体へのバイアス付加条件を上記の通りに定めた。
(b)まず、装置内を排気して1×10−2Pa以下の真空に保持しながら、ヒーターで装置内を400℃に加熱した後、Arガスを導入して、2.0Paの雰囲気とすると共に、前記テーブル上で自転しながら回転する工具基体に−200Vの直流バイアス電圧を印加し、もって工具基体表面をアルゴンイオンによってボンバード洗浄し、
(c)装置内に反応ガスとして窒素ガスを導入して2Paの反応雰囲気とすると共に、装置内を加熱し、工具基体温度を表4に示される温度に保持し、前記回転テーブル上で自転しながら回転する工具基体に、バイアス電源から、同じく表4に示される条件のバイポーラパルスバイアスを印加し、かつ前記カソード電極(改質(Al,Cr)N層形成用のAl−Cr合金)とアノード電極との間に100Aの電流を流してアーク放電を発生させ、前記工具基体の表面に、表5〜7に示される目標組成および目標層厚の改質(Al,Cr)N層を蒸着形成することにより、本発明被覆工具1〜18をそれぞれ製造した。
まず、上記傾斜角度数分布グラフは、上記の改質(Al,Cr)N層および従来(Al,Cr)N層の表面を研磨面とした状態で、電界放出型走査電子顕微鏡の鏡筒内にセットし、前記研磨面に70度の入射角度で15kVの加速電圧の電子線を1nAの照射電流で、前記表面研磨面の測定範囲内に存在する立方晶結晶格子を有する結晶粒個々に照射し、電子後方散乱回折像装置を用いて、30×50μmの領域を0.1μm/stepの間隔で、前記表面研磨面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である{100}面の法線がなす傾斜角を測定し、この測定結果に基づいて、前記測定傾斜角のうち、0〜45度の範囲内にある測定傾斜角を0.25度のピッチ毎に区分すると共に、各区分内に存在する度数を集計することにより作成した。
また、上記構成原子共有格子点分布グラフは、上記の改質(Al,Cr)N層および従来(Al,Cr)N層の表面を研磨面とした状態で、電界放出型走査電子顕微鏡の鏡筒内にセットし、前記研磨面に70度の入射角度で15kVの加速電圧の電子線を1nAの照射電流で、前記表面研磨面の測定範囲内に存在する結晶粒個々に照射して、電子後方散乱回折像装置を用い、30×50μmの領域を0.1μm/stepの間隔で、前記表面研磨面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である{112}面の法線がなす傾斜角を測定し、この結果得られた測定傾斜角に基づいて、相互に隣接する結晶粒の界面で、前記構成原子のそれぞれが前記結晶粒相互間で1つの構成原子を共有する格子点(構成原子共有格子点)の分布を算出し、前記構成原子共有格子点間に構成原子を共有しない格子点がN個(NはNaCl型面心立方晶の結晶構造上2以上の偶数となる)存在する構成原子共有格子点形態をΣN+1で表した場合、個々のΣN+1がΣN+1全体(ただし、頻度の関係でNの上限値を28とする)に占める分布割合を求めることにより作成した。
なお、図3は、本発明被覆工具1の改質(Al,Cr)N層の傾斜角度数分布グラフ、図4は、従来被覆工具1の従来(Al,Cr)N層の傾斜角度数分布グラフをそれぞれ示し、また、図5は、本発明被覆工具1の改質(Al,Cr)N層の構成原子共有格子点分布グラフ、図6は、従来被覆工具1の従来(Al,Cr)N層の構成原子共有格子点分布グラフをそれぞれ示す。
切削条件(A−1);
被削材:JIS・SNCM439の長さ方向等間隔4本縦溝入丸棒、
切削速度: 200 m/min、
切り込み: 3.2 mm、
送り: 0.32 mm/rev、
切削時間: 3 分、
の条件での合金鋼の乾式断続重切削試験(通常の切込みおよび送りは、それぞれ、1.5mm、0.2mm/rev )、
切削条件(B−1);
被削材:JIS・S45Cの長さ方向等間隔4本縦溝入丸棒、
切削速度: 300 m/min、
切り込み: 3.0 mm、
送り: 0.32 mm/rev、
切削時間: 3 分、
の条件での炭素鋼の乾式断続重切削試験(通常の切込みおよび送りは、それぞれ、1.5mm、0.2mm/rev)、
切削条件(C−1);
被削材:JIS・SUS304の丸棒、
切削速度: 180 m/min、
切り込み: 2.0 mm、
送り: 0.35 mm/rev、
切削時間: 3 分、
の条件でのステンレス鋼の乾式連続重切削試験(通常の切込みおよび送りは、それぞれ、1.2mm、0.15mm/rev)、
を行い、切刃の逃げ面摩耗幅を測定した。この測定結果を表8に示した。
切削条件(A−2);
被削材:JIS・SNCM439の長さ方向等間隔4本縦溝入丸棒、
切削速度: 220 m/min、
切り込み: 1.5 mm、
送り: 0.12 mm/rev、
切削時間: 5 分、
の条件での合金鋼の乾式断続重切削試験(通常の切削速度および送りは、それぞれ、150m/min、0.10mm/rev )、
切削条件(B−2);
被削材:JIS・SCM440の丸棒、
切削速度: 220 m/min、
切り込み: 1.8 mm、
送り: 0.12 mm/rev、
切削時間: 5 分、
の条件での合金鋼の乾式高速高切込み連続切削試験(通常の切削速度および切り込みは、それぞれ、150m/min、1.5mm)、
切削条件(C−2);
被削材:JIS・S50Cの長さ方向等間隔4本縦溝入り丸棒、
切削速度: 220 m/min、
切り込み: 1.3 mm、
送り: 0.25 mm/rev、
切削時間: 5 分、
の条件での炭素鋼の乾式高送り断続切削試験(通常の送りは0.15mm/rev)、
を行い、切刃の逃げ面摩耗幅を測定した。この測定結果を表9に示した。
切削条件(A−3);
被削材:JIS・SCr420(HRC60)の長さ方向等間隔4本縦溝入り丸棒、
切削速度: 180 m/min、
切り込み: 0.2 mm、
送り: 0.22 mm/rev、
切削時間: 8 分、
の条件でのクロム鋼の乾式高速高送り断続切削試験(通常の切削速度および送りは、それぞれ、120m/min、0.15mm/rev )、
切削条件(B−3);
被削材:JIS・SUJ2の焼入れ材(HRC60)の長さ方向等間隔4本縦溝入り丸棒、
切削速度: 160 m/min、
切り込み: 0.35 mm、
送り: 0.15 mm/rev、
切削時間: 10 分、
の条件での軸受鋼の焼入れ材の乾式高速高切込み断続切削試験(通常の切削速度および切り込みは、それぞれ、120m/min、0.2mm)、
切削条件(C−3);
被削材:JIS・SKD61(HRC61)の丸棒、
切削速度: 200 m/min、
切り込み: 0.26 mm、
送り: 0.24 mm/rev、
切削時間: 4 分、
の条件でのダイス鋼の焼入れ材の乾式連続重切削試験(通常の切り込みおよび送りは、それぞれ、0.15mm、0.15mm/rev)、
を行い、切刃の逃げ面摩耗幅を測定した。この測定結果を表10に示した。
Claims (2)
- 炭化タングステン基超硬合金、炭窒化チタン基サーメット、または立方晶窒化ほう素基超高圧焼結材料で構成された工具基体の表面に、1〜10μmの平均層厚を有するAlとCrの複合窒化物層からなる硬質被覆層を蒸着形成してなる表面被覆切削工具において、
前記AlとCrの複合窒化物層は、
組成式:(Al1−XCrX)Nで表したときに、
0.3≦X≦0.6(ただし、Xは原子比を示す)を満足し、かつ、
電界放出型走査電子顕微鏡を用い、表面研磨面の測定範囲内に存在する立方晶結晶格子を有する結晶粒個々に電子線を照射して、前記表面研磨面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である{100}面の法線がなす傾斜角を測定し、前記測定傾斜角のうち、0〜45度の範囲内にある測定傾斜角を0.25度のピッチ毎に区分すると共に、各区分内に存在する度数を集計してなる傾斜角度数分布グラフにおいて、30〜40度の範囲内の傾斜角区分に最高ピークが存在すると共に、前記30〜40度の範囲内に存在する度数の合計が、傾斜角度数分布グラフにおける度数全体の60%以上の割合を占める傾斜角度数分布グラフを示すことを特徴とする表面被覆切削工具。 - 請求項1記載の表面被覆切削工具において、
電界放出型走査電子顕微鏡を用い、表面研磨面の測定範囲内に存在する前記AlとCrの複合窒化物について、立方晶結晶格子を有する結晶粒個々に電子線を照射して、前記表面研磨面の法線に対して、前記結晶粒の結晶面である{112}面の法線がなす傾斜角を測定し、この場合前記結晶粒は、格子点にAl、Cr、窒素からなる構成原子がそれぞれ存在するNaCl型面心立方晶の結晶構造を有し、この結果得られた測定傾斜角に基づいて、相互に隣接する結晶粒の界面で、前記構成原子のそれぞれが前記結晶粒相互間で1つの構成原子を共有する格子点(構成原子共有格子点)の分布を算出し、前記構成原子共有格子点間に構成原子を共有しない格子点がN個(NはNaCl型面心立方晶の結晶構造上2以上の偶数となる)存在する構成原子共有格子点形態をΣN+1で表した場合、個々のΣN+1がΣN+1全体(ただし、頻度の関係でNの上限値を28とする)に占める分布割合を示す構成原子共有格子点分布グラフにおいて、Σ3に最高ピークが存在し、かつ前記Σ3のΣN+1全体に占める分布割合が50%以上である構成原子共有格子点分布グラフを示すことを特徴とする請求項1記載の表面被覆切削工具。
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