以下、図面を参照して、上記説明した基本形態に対する具体的な実施形態を説明する。
以下に説明する電子機器の実施形態は、いわゆるノート型のパーソナルコンピュータであり、本体ユニットと、表示ユニットとが開閉自在に連結された構造を有している。本体ユニットは、キーボード等が搭載され種々の情報処理を実行するものである。表示ユニットは、画像等の表示を実行するものである。
図1は、表示ユニットが本体ユニットに対し閉じた状態(閉状態)にあるパーソナルコンピュータの外観図である。図2は、表示ユニットが本体ユニットに対し開いた状態(開状態)にあるパーソナルコンピュータの外観図である。
このパーソナルコンピュータ10は、上記のように本体ユニット20と表示ユニット30とを備えている。これら本体ユニット20と表示ユニット30は、表示ユニット30が本体ユニット20に対し矢印A方向に開閉自在となるように連結されている。
パーソナルコンピュータ10の本体ユニット20は、本体筐体21内に、ハードディスク装置や各種基板等といった部品を収納している。また、本体ユニット20は、その上面に、複数のキーが並べられたキーボード22、トラックパッド23、左クリックボタン24、右クリックボタン25を備えている。
また、パーソナルコンピュータ10の表示ユニット30は、本体ユニット20で実行された情報処理結果を表示するためのものである。表示ユニット30は、表示筐体31の内部に、薄型の液晶パネル32や、液晶パネル32用の制御回路等を収納している。
図3は、図1と同様に閉状態にあるパーソナルコンピュータを、表示ユニットを下側にして本体ユニットの下面が見えるように示した外観図である。
尚、この図3では、図1および図2とは逆に、パーソナルコンピュータ10が、背面を手前側に向けて示されている。
本実施形態のパーソナルコンピュータ10は、後述するように、本体ユニット20の内部の各種電子部品に対して空気を利用した冷却を行う冷却ユニットを使っている。この図3に示すように、本体ユニット20は、その下面に吸気口26を備えている。、この吸気口26から冷却用の空気が本体ユニット20の内部に取り入れられる。そして、各種電子部品で発生した熱が冷却ユニットによってその冷却用の空気に吸収されることで、それら各種電子部品が冷却される。その結果、その暖められた空気は、本体ユニット20の背面に備えられた排気口27から本体ユニット20の外部に排気される。
また、本実施形態では、この冷却ユニットにおいて冷却用の空気からごみを除去するためのダストフィルタ131が、本体筐体21に着脱自在に取り付けられている。
図4は、図3に示すダストフィルタが取り外された状態を示す図である。
この図4に示すように、ダストフィルタ131は、複数のリブが格子状に配列されて構成されたフィルタ本体131aを備えている。このフィルタ本体131aによって、排気口27へと向かう空気からごみが除かれる。
本体筐体21は、その下面に、排気口27と平行して延びる開口28を備えている。ダストフィルタ131はこの開口28に挿入される。一方、ダストフィルタ131は、矢印Bが示す長さ方向にフィルタ本体131aを付勢する板バネ131bを備えている。ダストフィルタ131が開口28に挿入されると、この板バネ131bによってフィルタ本体131aは矢印Bが示す長さ方向に本体筐体21に押し付けられる。その板バネ131bによるフィルタ本体131aの押付け作用によってダストフィルタ131は本体筐体21に固定されることとなる。また、ユーザがこの板バネ131bを指で押し縮めて本体筐体21から外すことで、ダストフィルタ131が本体筐体21から取り外されることとなる。
本実施形態では、このようにダストフィルタ131を本体筐体21から容易に取り外せることから、ダストフィルタ131を適宜に清掃してダストフィルタ131の目詰まり等を回避することができる。
図5は、図4に示す本体ユニットの下面を構成するパネルが取外され、本体ユニットの内部構造が露出された状態を示す図である。
尚、この図5では、表示ユニット30も取り外され、また、上記のダストフィルタ131も取り外されている。
図5に示すように、本体ユニット20には、メインボード110と、サブボード120等が収納されている。メインボード110は、このパーソナルコンピュータ10全体の制御を担っているCPU111や、そのCPU111等におけるデータ通信等を制御するチップセット112等の各種電子部品が搭載された大型の基板である。サブボード120は、メインボード110にコネクタによって接続され後述のアンテナモジュール等を搭載している。
メインボード110に搭載されているCPU111とチップセット112とは、各々信号処理を実行すると発熱する部品であり、発熱による誤動作等を回避するためにこのパーソナルコンピュータ10の動作中は常時冷却されることが好ましい。本実施形態では、CPU111とチップセット112との冷却のために、本体ユニット20に、以下に説明する冷却ユニット130が搭載されている。
この冷却ユニット130は、銅製の吸熱板132aと、伝熱部132を備えている。吸熱板132aは、CPU111と2個のチップセット112とに接して各部品が発する熱を吸収する。伝熱部132は、その吸熱板132aが吸収した熱を後述の放熱部133へと伝えるヒートパイプ132bとを備える。この冷却ユニット130では、この伝熱部132によって、CPU111および2個のチップセット112が発した熱が放熱部133に集められる。
放熱部133は、風が通り抜ける通風筒の中に金属製のフィン133aが複数枚互いに所定間隔を空けて並べられた構造を有している。ここで、通風筒が通風領域を区画する。上記の伝熱部132によって放熱部133に伝えられた熱は、この放熱部133を構成するフィン133aへと伝わることとなる。
さらに、この冷却ユニット130は、この放熱部133のフィン133a間を空気が流れるように、矢印Cが示す方向に風を吹き付けるファン134を備える。このファン134が吹き付ける風がフィン133a間を吹き抜け、上記のようにフィン133aへと伝わった熱がこの風へと放熱されることとなる。放熱によって暖められた風は、図3や図4に示した排気口27から排気される。
このとき、仮に放熱部133に吹き付けられる風の一部がフィン133a間を流れずに周囲に漏れたりすると、フィン133aの冷却効率が低下する。このフィン133aの冷却効率の低下は、延いては上記のCPU111およびチップセット112の冷却効率の低下を招いてしまう。
ここで、本実施形態では、図3や図4に示すダストフィルタ131が、図4の開口28を通って、ファン134において風が吹き出す、放熱部133の方を向いた送風口134aと、その放熱部133との間にフィルタ本体131aが挿入されるように配置される。
図6は、ファンにおける送風口と放熱部との間にフィルタ本体が挿入されるようにダストフィルタが配置された状態を示す図である。
このダストフィルタ131のフィルタ本体131aによって、ファン134が放熱部133に向かって吹き付ける風からごみが除かれることで、放熱部133におけるフィン133a間の目詰まり等が回避される。ところが、このフィルタ本体131aは、放熱部133へと向かう風にとって抵抗となることから、このフィルタ本体131aに当たった風の一部が放熱部133へと向かわずにそれようとしてしまう。ここで、本実施形態では、このダストフィルタ131のフィルタ本体131aが、ファン134からの風を、周囲への漏れを防いで確実に、放熱部133を構成するフィン133a間へと導くダクトの壁の一部を兼ねている。本体筐体21の壁面等が、このダクトの壁の別の部分を構成する。その結果、上記のようにそれようとした風も、放熱部133へと強制的に導かれることとなり冷却効率の低下が防がれる。
また、本実施形態では、冷却ユニット130を構成するファン134として、市販されているファンを採用し、さらに、上記の放熱部133として、市販されている放熱フィンを採用することでコストの低減が図られている。その結果、ファン134における送風口134aのサイズや位置と、放熱部133のサイズや位置との間に次のような差異が生じてしまっている。
図7は、図5に示す冷却ユニットにおけるファンと放熱部との拡大図である。
この図7から分かるように、本実施形態では、送風口134aの幅d1が、放熱部133の幅d2よりも狭くなっている。また、送風口134aの右側の側面の位置が放熱部133の右側の側面の位置とずれており、送風口134aの左側の側面の位置も放熱部133の左側の側面の位置とずれてしまっている。
そこで、本実施形態では、上記のダストフィルタ131のフィルタ本体131aにダクトの壁の一部の役割を果たさせるに当たって、送風口134aを出た風が、放熱部133を構成するフィン133a間に導かれるように、ダストフィルタ131の形状に次のような工夫が施されている。
図8は、ダストフィルタの拡大図である。
この図8では、ダストフィルタ131が、上記の送風口134aに接する側を上に向け、放熱部133に接する側を下に向けて示されている。
本実施形態では、このダストフィルタ131のフィルタ本体131aが、送風口134aを出た風の横漏れを防ぐための遮蔽リブとして、ファン側遮蔽リブ131cと放熱部側遮蔽リブ131dとの2つの遮蔽リブを備えている。ファン側遮蔽リブ131cは、フィルタ本体131aの送風口134aに接する側からファン134に向かって、そのファン134の側面に沿ってせり出したリブであり、図7に示す送風口134aの幅d1に応じた位置に設けられている。また、放熱部側遮蔽リブ131dは、フィルタ本体131aの放熱部133に接する側から放熱部133に向かって、その放熱部133の側面に沿ってせり出したリブである。この放熱部側遮蔽リブ131dは、図7に示す放熱部133の幅d2に応じた位置に設けられている。
図9は、ダストフィルタとファンとが並べられた状態を示す図である。図10は、ダストフィルタと放熱部とが並べられた状態を示す図である。
図9に示すように、ファン側遮蔽リブ131cは、送風口134aの縁よりも若干外側の位置に設けられている。その結果、送風口134aを出た風が漏れなくダストフィルタ131のフィルタ本体131a内に取り込まれるように、フィルタ本体131aに、ファン134の送風口134aのサイズや位置に応じたサイズや位置の風の入口が形成されることとなっている。
また、図10に示すように、放熱部側遮蔽リブ131dは、放熱部133の縁よりも若干外側の位置に設けられている。さらに、ファン側遮蔽リブ131cと放熱部側遮蔽リブ131dとの間は、閉塞板131eによって塞がれている。このため、図10に示すように、ファン側遮蔽リブ131cの近傍を抜けてきた風が漏れずに、矢印Dが示すように進んで、放熱部133へと向かうこととなる。このような構造により、ダストフィルタ131のフィルタ本体131a内に取り込まれた風が放熱部133に向かうように、フィルタ本体131aに、放熱部133において風が吹き付けられる部分のサイズや位置に応じたサイズや位置の風の出口が形成されることとなっている。
以上、図6から図10を参照して説明したように、本実施形態の冷却ユニット130によれば、ダストフィルタ131のフィルタ本体131aが、ファン134の送風口134aのサイズや位置に応じたサイズや位置の風の入口と、放熱部133において風が吹き付けられる部分のサイズや位置に応じたサイズや位置の風の出口とを有し、送風口134aから出た風を漏れなく取り込んで放熱部133へと導くダクトの壁の一部の役割を果たす。その結果、図5に示すCPU111やチップセット112が効率良く冷却されることとなる。
尚、ここまで、CPU111やチップセット112を冷却するための冷却ユニットとして、図5に示す、熱をヒートパイプ132bを使って放熱部に伝えるタイプの冷却ユニット130を例示した。しかしながら、CPU111やチップセット112を冷却するための冷却ユニットはこのようなタイプの冷却ユニットに限るものではなく、冷却液を循環させることで熱を放熱部に伝える別タイプの冷却ユニットであっても良い。以下、この別タイプの冷却ユニットについて説明する。尚、以下では、この別タイプの冷却ユニットを、第2の冷却ユニットと呼ぶ。
図11は、図5の本体ユニットにおける冷却ユニットが、冷却液を循環させることで熱を放熱部に伝える第2の冷却ユニットと交換された別実施形態の本体ユニットを示す図である。
この図11に示す別実施形態の本体ユニット20’には、図5に示す冷却ユニット130とは別タイプの、冷却液を循環させることで熱を放熱部に伝える第2の冷却ユニット510が搭載されている。
この第2の冷却ユニット510は、内部に冷却液が流される金属製の吸熱部であって、CPU111が発する熱を吸収するCPU用吸熱部511を1つ備え、同様の吸熱部であって、2個のチップセット112それぞれが発する熱を吸収するチップセット用吸熱部512を2つ備えている。この第2の冷却ユニット510では、これら3つの吸熱部が互いに接合されている。これらの接合体の内部には、後述のパイプと相俟って、冷却液を後述の放熱部515から出てこの放熱部515へと戻るように導く、図中に矢印で示された流路を形成する隔壁513が備えられている。
また、第2の冷却ユニット510は、図5に示すファン134と同等なファン514を備え、さらに、ファン514からの風が通り抜ける送風口の中に金属製のフィンが配列されて構成された放熱部515を備えている。また、この放熱部515は、内部に冷却が流される液路も備えており、上記のフィンがこの液路に接している。そして、このフィン間を風が通り抜けることで液路中の冷却液が有する熱が放熱されることとなる。
この放熱部515は、この放熱部515から他へと冷却液を導く第1パイプ516によってチップセット用吸熱部512と繋がれている。また、放熱部515は、この放熱部515へと冷却液を導く第2パイプ517によってCPU用吸熱部511と繋がれている。
そして、この第2の冷却ユニット510は、冷却液を循環させるポンプ518を備えている。よって、第2の冷却ユニット510は、冷却液が放熱部515を出た後に、2つのチップセット用吸熱部512、ポンプ518、およびCPU用吸熱部511の順で流れて放熱部515へと戻る循環的な流路を形成している。
ここで、CPU111および2つのチップセット112の中では、CPU111が発熱量が最大の最大発熱体である。従来、冷却液を循環させることで熱を放熱部に伝えるタイプの冷却ユニットでは、一般的に、放熱部を出たばかりの最も低温状態にある冷却液を、CPU等の最大発熱体の熱を吸収する最大吸熱部に優先的に流すことが多い。一方で、このような冷却液の循環に使われるポンプの多くには、耐熱性の観点から、内部を流すことの可能な冷却液の温度に上限が設けられている。上記のように、最大吸熱部に優先的に冷却液を流すと、冷却液の温度がポンプにおける上限の温度を超えてしまう可能性が高い。このため、従来は、放熱部を出た後に最大吸熱部に流して温度の上昇した冷却液を、再度、放熱部に戻して放熱してからポンプへと導く等といった複雑な流路が必要とされることが多い。
これに対し、図11に示す第2の冷却ユニット510では、放熱部515を出たばかりの冷却液が、CPU111に対して相対的に発熱量の少ないチップセット112の熱を吸収するチップセット用吸熱部512に優先的に流される。このチップセット用吸熱部512は、第2の冷却ユニット510では、最大吸熱部であるCPU用吸熱部511と比べて吸熱量の少ない小吸熱部となっている。そして、この第2の冷却ユニット510では、この小吸熱部であるチップセット用吸熱部512の後に、ポンプ518を経て最大吸熱部であるCPU用吸熱部511に冷却液が送られる。
ここで、この第2の冷却ユニット510の開発に当たり、チップセット112での発熱程度では、冷却液の温度上昇がポンプ518における上限の温度を超えないこと、さらに、チップセット112での発熱によって多少温度が上がった冷却液でも、CPU用吸熱部511で吸収されたCPU111からの熱の運搬に十分耐え得ることが開発者によって確認されている。
この第2の冷却ユニット510によれば、上述の順番で冷却液を循環させることで、従来のような複雑な流路を要さずに、最短の流路でCPU111およびチップセット112の冷却を行うことができる。従って、この第2の冷却ユニット510は、電子機器内の限られたスペースに効率的に配置され電子機器を冷却することができる。
また、この第2の冷却ユニット510では、各々が小吸熱部である2つのチップセット用吸熱部512の全部が、ポンプ518の上流側に配置されている。ポンプ518も若干の発熱をするが、この第2の冷却ユニット510では、2つのチップセット用吸熱部512を上述のように配置したことにより、2つのチップセット112の両方について、ポンプ518の発熱の影響を回避した冷却を行うことができる。このようにして、この第2の冷却ユニット510は、一層高効率な冷却を実現する。
また、この第2の冷却ユニット510では、放熱部515内部の冷却液が有する熱の放熱が、ファン514からの風によって行われるので、例えば自然対流による放熱等に比べて一層効率的な放熱を行うことができる。
尚、ここでは、冷却液を循環させることで熱を放熱部に伝えるタイプの冷却ユニットの一例として、2つのチップセットについての吸熱部の全てがポンプよりも、冷却液の流れにおける上流側に配置されている形態を例示した。しかし、冷却液を循環させることで熱を放熱部に伝えるタイプの冷却ユニットはこの形態に限るものではなく、チップセットについての吸熱部の少なくとも1つがポンプよりも上流側に配置されていれば良い。
ここで、この第2の冷却ユニット510にも、ファン514から放熱部515へと向かう空気からごみを除くとともに、ファン514から出た風を放熱部515に漏れなく吹き付けるためのダクトの壁の一部の役割を果たすフィルタ本体を備えたダストフィルタが備えられている。
尚、図11には、このダストフィルタが取り外された状態が示されている。
図12は、図11に示す第2の冷却ユニットにおいてダストフィルタが取り付けられた状態を示す図である。
この図12に示すように、第2の冷却ユニット510でも、ダストフィルタ519のフィルタ本体519aが、ファン514の送風口514aと放熱部515との間に挿入される。
ここで、この第2の冷却ユニット510では、送風口514a(図11参照)の幅と放熱部515の幅とは互いにほぼ一致し、さらに、送風口514aと放熱部515との幅方向の位置もほぼ一致している。
その一方で、図12に示すように、送風口514aの高さh1と放熱部515の高さh2との間に不一致が生じ、さらに、送風口514aの位置と放熱部515の位置とが、この高さ方向にずれてしまっている。そして、この第2の冷却ユニット510では、この高さや位置についての不一致に応じて、ダストフィルタ519のフィルタ本体519aの形状に次のような工夫が施されている。
本実施形態では、まず、このダストフィルタ519のフィルタ本体519aに、送風口514aを出た風の高さ方向への漏れを防ぐための遮蔽リブ519bが、このダストフィルタ519のフィルタ本体519aにおいて相対的に高さが低い送風口514a側に設けられてる。
図13は、図12に示すダストフィルタの、送風口に接する側を示す図である。
この図13に示すように、上記の遮蔽リブ519bは、フィルタ本体519aの、送風口514aに接する側からファン514に向かって、そのファン514の上面に沿ってせり出した庇状のリブである。この遮蔽リブ519bは、送風口514aの高さh1(図12参照)に応じたフィルタ本体519aの位置に設けられている。
また、本実施形態では、図12に示すように、ダストフィルタ519の上面519cが、相対的に高さが高い放熱部515の高さh2に応じた位置に設けられている。さらに、その上面519cの放熱部515側の縁が、放熱部515に向かって、その放熱部515の上面に沿って庇状にせり出している。
さらに、図12中に点線で示すように、遮蔽リブ519bと上面519cとの間は、ファン514側で閉塞板519dによって塞がれている。そして、フィルタ本体519aを抜けて風が通る通路が、図12中に点線で示すように、ファン514側から放熱部515側に向かって広がっている。また、ダストフィルタ519における、上面519cとは反対の下側の形状は、送風口514aの下面から放熱部515の下面に向かって広がった形状となっている。このような構造により、このダストフィルタ519には、ファン514の送風口514aのサイズや位置に応じたサイズや位置の風の入口と、放熱部515において風が吹き付けられる部分のサイズや位置に応じたサイズや位置の出口が形成されることになる。これによって、ファン514側から入ってきた風が漏れずに放熱部515へと向かうこととなる。
また、このダストフィルタ519にも、上述の図4等に示すダストフィルタ131と同様に、フィルタ本体519aの筐体への押付け作用によるダストフィルタ519の固定を目的とした板バネ519eが、図12や図13に示すように設けられている。
フィルタ本体519aを筐体に効果的に押付けるには、板バネ519eがフィルタ本体519aのなるべく近傍に配置されることが望ましい。
ところで、図11から図13に示す第2の冷却ユニット510では、放熱部515に上述の第1パイプ516および第2パイプ517が繋がれており、これらのパイプが、上記の風の流れに沿って放熱部515の直近に配置されている。このため、仮に、ダストフィルタ519の板バネ519eを、上記のようにフィルタ本体519aの近傍に配置したすると、板バネ519eが上記の第1パイプ516および第2パイプ517と干渉してしまう。一方、これらのパイプを、板バネ519eが上記の望ましい位置に配置されるように迂回して配管することは、図11を参照して説明したように工夫された冷却液の循環経路の延長を招く。このような迂回は、第2の冷却ユニット510における冷却効率を低下させてしまう。
そこで、この第2の冷却ユニット510では、ダストフィルタ519の板バネ519eが、このダストフィルタ519の取付時に、放熱部515の直近に配置された上述の第1パイプ516および第2パイプ517を跨いだ位置に配置されるように構成されている。
図14は、ダストフィルタの板バネが、第1パイプおよび第2パイプを跨いだ位置に配置されている様子を示す図である。
この図14に示すように、この第2の冷却ユニット510では、ダストフィルタ519の板バネ519eが、フィルタ本体519aから若干離れた位置に配置されている。そのため、このダストフィルタ519の取付時には、板バネ519eが、放熱部515の直近に配置された上述の第1パイプ516および第2パイプ517を跨いで配置されることとなる。この第2の冷却ユニット510では、板バネ519eにおけるこのような配置により、上述の第1パイプ516および第2パイプ517の、放熱部515の直近の配置が可能となり、冷却効率の低下が抑制されることとなっている。
尚、上記では、フィルタ本体と板バネとを備えたダストフィルタの一例として、板バネが、放熱部の近傍を通るパイプを避けて配置されているタイプのダストフィルタ519を例示した。しかし、板バネが、放熱部の近傍の構成物を避けて配置された形態のダストフィルタはこれに限るものではなく、例えば、放熱部の近傍の電子部品等を避けて板バネが配置されたもの等であっても良い。
以上で、図11から図14を参照した、第2の冷却ユニット510を備えた別実施形態についての説明を終了し、再び、図5に戻って、この図5のパーソナルコンピュータ10の本体ユニット20の内部構造について説明する。
この本体ユニット20では、図2に示すキーボード22やトラックパッド23や左右のクリックボタン24,25に対するユーザ操作によってこれらの各部品において生成された各種入力信号はメインボード110に送られる。本実施形態では、これら各種入力信号のメインボード110への伝送に3本のフラットケーブル140が使われている。これら3本のフラットケーブル140は、本体筐体21の内壁に一部が沿った経路を通って一端が、メインボード110の、CPU111や冷却ユニット130が配置されている面とは反対側の裏面に搭載されたコネクタに接続されている。
図15は、図5に示す3本のフラットケーブルが、メインボードの裏面に搭載されたコネクタに接続されている様子を示す図である。
この図15には、図2に示す本体ユニット20からキーボード22を取り外した状態において、本体筐体21からメインボード110の裏面が露出している部分が拡大図で示されている。
この図15に示すように、メインボード110の裏面には、3本のフラットケーブル140それぞれに対応して3個のフラットケーブル用コネクタ113が搭載されており、各フラットケーブル140が各フラットケーブル用コネクタ113に接続されている。
ここで、この本体ユニット20の組立て時に各フラットケーブル140を各フラットケーブル用コネクタ113に接続するに当たっては、各フラットケーブル140の先端を、図中の矢印Eが示す各フラットケーブル用コネクタ113への接続方向、即ち、各フラットケーブル140の長さ方向に動かす必要がある。
従来、このような作業の多くは、筐体等へのテープでの仮止めによってフラットケーブルの位置決めをしておき、その後に、フラットケーブルの先端を長さ方向に動かしてコネクタに接続するといった方法で行われている。このような方法では、仮止め位置から先端までの長さに、作業者がその先端を動かして作業を行うための余裕が必要となる。その結果、接続後のフラットケーブルの長さが冗長となってしまい、その冗長分がフラットケーブルの接続後の電子機器の組立て作業の邪魔となって作業性が低下してしまうという問題が生じている。
そこで、本実施形態では、各フラットケーブル140を、長さ方向に進退自在に保持するフラットケーブル保持部21aが、各フラットケーブル用コネクタ113に至るまでの各経路上に設けられている。
図16は、ケーブル保持部を、図5に示すメインボードの表面側から示す図である。図17は、ケーブル保持部を、図5に示すメインボードの表面側であって図16とは別方向から示す図である。
フラットケーブル保持部21aは各フラットケーブル140毎に設けられている。各フラットケーブル保持部21aは、本体筐体21の内壁からフラットケーブル140の厚さよりも高く突き出し、その内壁に沿う方向に曲がってその内壁に沿ってフラットケーブル140の幅よりも長く延びた帯板状の構造を有している。
各フラットケーブル140は、メインボード110の表面側からメインボード110に向かって延び、各フラットケーブル保持部21aにおける長く延びた部分の下を潜って、メインボード110の裏面側に達し、図15に示すように各フラットケーブル用コネクタ113に接続されている。
このような構造により、各フラットケーブル140を各フラットケーブル用コネクタ113に接続する際には、各フラットケーブル140を各フラットケーブル保持部21aで長さ方向に進退自在に保持しておける。このことから、従来のような先端を動かすための余裕を殊更に用意しておく必要がなく、その分、各フラットケーブル140を短縮化することができ、延いては作業性を向上させることができる。
また、本実施形態では、メインボード110が、本体筐体21の内壁に取り付けられる。フラットケーブル140は、このメインボード110の裏面、即ち、メインボード110の、上記内壁側の面に搭載された各フラットケーブル用コネクタ113に接続される。このような構造であるために、各フラットケーブル140を接続する際には、メインボード110が取り付けられ、各フラットケーブル140がある程度まで配線された状態にある本体筐体21を一度は裏返す必要がある。本実施形態では、この裏返しの際に、上記のようなフラットケーブル保持部21aでフラットケーブル140を保持することができるので、配線済みのフラットケーブル140の位置を保ったままでの裏返しが可能となり、その点でも作業性が向上されることとなる。
また、上述したように、本実施形態では、フラットケーブル保持部21aが、各フラットケーブル140毎に設けられているので、上記のようなフラットケーブル140の位置の保持を各フラットケーブル140について確実に行うことができる。
尚、ここでは、上述のように配線の経路に沿って進退自在にケーブルを保持するケーブル保持部の一例として、フラットケーブルを保持するフラットケーブル保持部21aを例示した。しかし、このようなケーブル保持部は、フラットケーブルの保持に限らず、一般的なケーブルの保持にも適用することができる。
以上で、図15から図17を参照した、フラットケーブル140についての説明を終了し、再び、図5に戻って、本実施形態のパーソナルコンピュータ10の本体ユニット20の内部構造についての説明を続ける。
上述したように、この本体ユニット20には、上記のメインボード110と、このメインボード110にコネクタで接続され後述のアンテナモジュール等が搭載されたサブボード120とが収納されている。
ここで、本実施形態では、サブボード120の固定が、メインボード110および本体筐体21に対するネジ止めによって行われている。そのため、サブボード120には、これら固定のためのネジが貫通する貫通穴が設けられている。
図18は、図5に示すサブボードの拡大図である。
この図18に示すように、サブボード120には、メインボード110に対するネジ止め用の2つの貫通穴(メインボード用貫通穴)121と、本体筐体21に対するネジ止め用の4つの貫通穴(筐体用貫通穴)122とが設けられている。
そして、本実施形態では、2つのメインボード用貫通穴121は円形の貫通穴となっており、4つの筐体用貫通穴122が長穴となっている。
これは以下に説明するように、サブボード120とメインボード110とが互いにコネクタによって接続されていることに起因している。
図19は、サブボードがメインボードから外され、その外されたサブボードが裏返された、各ボードのコネクタが見える状態を示す図である。図20は、サブボード側のコネクタとメインボード側のコネクタとが互いに接続される様子を示す側面図である。
尚、図19および図20では、後述のアンテナモジュールがサブボードから外された状態が示されている。
図19に示すように、サブボード120は、図18に示されている面とは反対側の裏面に、メインボード110との接続用の矩形状の雄型コネクタ123を備える。一方、メインボード110は、その表面に、この雄型コネクタ123と勘合する矩形状の雌型コネクタ114を備える。これら2つのボードのコネクタは、この本体ユニット20の組立て時には、図20に示すように接続されることとなる。
ここで、サブボード120への雄型コネクタ123の取付、および、メインボード110への雌型コネクタ114の取付は、それぞれ各ボードに対するハンダ付けによって行われる。このため、サブボード120に対する雄型コネクタ123の取付位置、および、メインボード110に対する雌型コネクタ114の取付位置には、それぞれ設計上の取付位置に対して回転方向の誤差が生じている可能性がある。
雄型コネクタ123の取付位置や雌型コネクタ114の取付位置において、このような回転方向の誤差が生じていると、図18に示すように、サブボード120が、雄型コネクタ123を中心とした矢印Fが示す円周方向にズレてしまう。その結果、サブボード120に設けられている上記の6箇所の貫通穴と、各貫通穴に対応するネジ穴との間に、この雄型コネクタ123を中心とし、その中心からの距離に応じた円周に応じた方向の位置ズレが生じることとなる。6箇所の貫通穴のうち2つのメインボード用貫通穴121については、雄型コネクタ123の近傍に設けられていることから、上記のような位置ズレは小さい。しかし、雄型コネクタ123から離れた位置に設けられている4つの筐体用貫通穴122については、位置ズレが大きなものとなる恐れがある。
そこで、本実施形態では、4つの筐体用貫通穴122それぞれについて、このような位置ズレに対応すべく、各筐体用貫通穴122が、雄型コネクタ123を中心とし、ネジの各取付位置を通る円周の接線方向に延びる長穴となっている。これにより、雄型コネクタ123や雌型コネクタ114の取付位置に上記のような取付位置の誤差があったとしても、サブボード120を本体筐体21に無理なくネジ止めすることができるようになっている。
尚、製造の容易性から、本実施形態は、ネジの各取付位置を通る円周と所定関係の方向の一例として、その円周の接線方向を例示し、各筐体用貫通穴122の形状をネジの各取付位置を通る円周の接線方向に延びる直線状の長穴とした。しかし、このネジの各取付位置を通る円周と所定関係の方向は、円周に沿う方向であってもよく、各筐体用貫通穴122の形状をその円周に沿った円弧状の長穴としてもよい。
また、ここでは、上述のようにサブボード120をメインボード110および本体筐体21に固定するための締結部材の一例として、ネジを例示した。しかし、この締結部材は、ネジに限らず、圧入ピンなどの他種類の締結部材を使ってもよい。
以上で、図18から図20を参照した、サブボード120のネジ止めについての説明を終了し、再び、図5に戻って、本実施形態のパーソナルコンピュータ10の本体ユニット20の内部構造についての説明を続ける。
本実施形態では、本体ユニット20に、テレビジョン用のアンテナ信号を受信可能なTV信号用コネクタ150が備えられている。そして、このTV信号用コネクタ150から延びてテレビジョン用のアンテナ信号を伝達するTV信号用ケーブル160が、サブボード120の裏面に搭載されている後述のアンテナモジュールに接続されている。
図21は、図5のTV信号用ケーブルがサブボードの裏面に搭載されているアンテナモジュールに接続されている様子を示す図である。図22は、TV信号用ケーブルが接続されたアンテナモジュールを示す図である。
アンテナモジュール170は、TV信号用コネクタ150で受信されTV信号用ケーブル160によって伝達されてきたテレビジョン用のアンテナ信号に対して所定の通信規格に則った信号処理を施して、このパーソナルコンピュータ10内で取扱い可能な信号に変換する基板である。このアンテナモジュール170は、サブボード120の裏面に搭載されている。また、アンテナモジュール170には、このアンテナモジュール170へのTV信号入力用のコネクタ(入力コネクタ)171が搭載されている。TV信号用ケーブル160の、アンテナモジュール170側の先端には、このTV信号入力コネクタ171に接続されるTV信号出力コネクタ161が備えられている。
ここで、図22には、図2に示す本体ユニット20からキーボード22を取り外した状態において、本体筐体21からアンテナモジュール170が露出している部分を示す拡大図が示されている。この図22に示すように、本体筐体21には、この本体ユニット20の組立て時に、アンテナモジュール170のTV信号入力コネクタ171に作業者がアクセスするための作業口21bが設けられている。そして、アンテナモジュール170のTV信号入力コネクタ171への、上記のTV信号用ケーブル160のTV信号出力コネクタ161の接続は、この本体筐体21の作業口21bから行われる。
ここで、一般的に、上記のようなTV信号用コネクタは、図5に示す本実施形態のように、パーソナルコンピュータの本体ユニットの背面側に取り付けられることが多い。一方、上記のようなアンテナモジュールは、本体ユニット内での配置の都合上、図5に示す本実施形態のように、この背面側とは反対側の正面側に近い位置に配置される場合がある。この場合は、アンテナモジュールの入力コネクタへの、TV信号用ケーブルの出力コネクタの接続は、まず、図5に示すように、本体ユニットの下面側を上に向けて、TV信号用ケーブルを、出力コネクタがアンテナモジュールの近傍に来るように配線した後に、本体ユニットを裏返して、本体ユニット上面側における上記のアンテナモジュールへのアクセス用の作業口から出力コネクタを入力コネクタに接続するという手順で行われることとなる。従来は、このような作業において本体ユニットを裏返した際に、TV信号用ケーブルの出力コネクタが筐体内に引っ込んでしまい、TV信号用ケーブルの配線をやり直さなければならない等といった作業上の不手際が度々生じていた。
そこで、本実施形態の本体ユニット20では、このような作業上の不手際を回避すべく、TV信号用ケーブル160を上記のように配線した段階でTV信号出力コネクタ161を一時的に留めておくことができるようにした。このため、このTV信号用ケーブル160を、TV信号用ケーブル160の一部(即ち、端や途中)が作業口21bに届くように保持するTV信号用ケーブル保持部21cが、本体筐体21における、図5や図21に示す下面側に設けられている。
図23は、ケーブル保持部を、そのケーブル保持部によって一時的に止められた出力コネクタと共に示す拡大図である。
このTV信号用ケーブル保持部21cには、TV信号出力コネクタ161の大きさよりも小さい幅のスリットが形成されている。そして、TV信号用ケーブル160を上記のように配線した段階で、図23に示すように、ケーブル本体162がこのスリットに通される。上述のように、このTV信号用ケーブル保持部21cのスリットは、TV信号出力コネクタ161の大きさよりも幅が小さいので、TV信号出力コネクタ161をアンテナモジュール170のTV信号入力コネクタ171に接続するために本体ユニット20を裏返しても、TV信号出力コネクタ161はTV信号用ケーブル保持部21cによって留められたままとなる。これにより、作業中に、TV信号出力コネクタ161が本体筐体21内に引っ込んでしまう等といった不手際が回避されることとなる。本実施形態では、このようなTV信号用ケーブル保持部21cの働きによって、作業性の向上が図られている。
また、本実施形態では、アンテナモジュール170が、上記の作業口21bを向いた面上にTV信号入力コネクタ171を有していることから、作業口21bを介したコネクタの接続が可能となっており、その点でも作業性の向上が図られている。
また、本実施形態では、上記のTV信号用ケーブル保持部21cが、TV信号用ケーブル160の配線経路上であって、かつ、上記の作業口21bの縁に設けられていることから、作業口21bを介したコネクタの接続が容易なものとなっており、一層の作業性の向上が図られている。
尚、ここでは、コネクタどうしの勘合によって接続が行われるケーブルと基板の一例として、TV信号用ケーブル160とアンテナモジュールとを例示した。しかし、このようなケーブルと基板はこれらに限るものではなく、例えば、無線通信用のケーブルと無線モジュール等であっても良い。
以上で、図5から図23を参照した本体ユニット20の内部構造についての説明を終了し、次に、図2に示す表示ユニット30についての説明を行う。
図24は、図2に示す表示ユニットを、本体ユニットから取り外された状態で示す図である。
上述したように表示ユニット30は、表示筐体31の内部に、薄型の液晶パネル32や、液晶パネル用の制御回路等が収納されて構成されている。また、表示筐体31は、上面パネル311と、下面パネル312とで構成されている。上面パネル311は、液晶パネル32における表示画面が露出される穴が空いたものであり、この穴の枠を構成した筐体壁である。下面パネル312は、液晶パネル32等が収納される内部空間を挟んでこの上面パネル311に向き合う筐体壁である。液晶パネル32等の、この表示ユニット30に収納される電子部品は、下面パネル312に固定される。
図25は、表示ユニットから取り外された上面パネルを示す図である。図26は、上面パネルが取り外された表示ユニットを示す図である。
図25には、上面パネル311が、裏返された状態で示されている。また、この図25では、上述の本体ユニット20と表示ユニット30との連結側が図の手前側になっている。
図26には、下面パネル312に固定された液晶パネル32や、液晶パネル32のバックライトを点灯するためのインバータ回路基板33等が示されている。また、下面パネル312には、周囲をリブで囲まれて形成された、インバータ回路基板33を収納するための凹部313が設けられている。そして、インバータ回路基板33は、PETフィルムで形成された、詳細については後述するように、このインバータ回路基板33を凹部313内に保持する役割を果たす保持シート34で覆われた状態で、その凹部313内に収納されている。
本実施形態では、上面パネル311の、下面パネル312に対する固定は、ネジ止め固定や、上面パネル311の外縁に設けられた係止用のツメによる係止固定によって行われる。
ここで、上面パネル311における、上記の連結側となる下枠部分311aは、連結側とは反対側の上枠部分311bや2つの横枠部分311cと比べて幅広である。そのため、この下枠部分311aでは、液晶パネル32と、下枠部分311aの内側の縁との間が離間して隙間が開き易い。
そこで、本実施形態では、この下枠部分311aの内側の縁を下面パネル312に固定して両者間の離間を防止するための係止用のツメ311dが、この内側の縁の近傍に、上面パネル311が下面パネル312に組み付けられた状態で液晶パネル32の縁に沿って並ぶように4つ配列されている。これら4つの係止用のツメ311dは、下枠部分311aから下面パネル312に向かって突出した突起である。これら係止用のツメ311dは、図26に示す凹部313を形成するリブのうちの液晶パネル32側のリブ(液晶側リブ)313aと、この液晶側リブ313aの、図中での右側に、配線スペースを置いて並んだ、短めのリブ(短リブ)314とに引っ掛かる。
図27は、下枠部分に配列された係止用のツメと、液晶側リブおよび短リブとが並べられた状態を示す図である。
この図27に示すように、液晶側リブ313aには、3つの係止用穴313a_1が設けられており、短リブ314には、1つの係止用穴314aが設けられている。液晶側リブ313aの3つの係止用穴313a_1には、上記の4つの係止用のツメ311dのうち、図中左側の3つの係止用のツメ311dそれぞれが引っ掛かる。短リブ314の1つの係止用穴314aには、上記の4つの係止用のツメ311dのうち、図中右側の1つの係止用のツメ311dが引っ掛かる。
そして、液晶側リブ313aの3つの係止用穴313a_1および短リブ314の1つの係止用穴314aそれぞれに、4つの係止用のツメ311dそれぞれが引っ掛かることで、下枠部分311aの内側の縁が下面パネル312に固定される。これにより、液晶パネル32と、下枠部分311aの内側の縁との間における離間が防止される。
また、この下枠部分311aは、上述したように幅広であることから、ユーザ等によって押されたときに撓み易い。
そこで、本実施形態では、下面パネル312に上面パネル311が取り付けられた状態で、上記の液晶側リブ313aおよび短リブ314それぞれの上縁が上面パネル311の下枠部分311aに突き当たるように、それらリブが形成されている。これにより、下枠部分311aに対する圧迫に液晶側リブ313aや短リブ314が対抗して、撓みの発生が防止されることとなる。
ここで、本実施形態では、上述したように、液晶パネル32と、下枠部分311aの内側の縁との離間を防止するための係止用のツメ311dと、下枠部分311aの撓みを防止するリブ313a,314とが、下面パネル312に上面パネル311が取り付けられた状態で一体となる。これにより、本実施形態では、上記の離間の防止と撓みの防止とが限られたスペースで効率的に行われることとなっている。
尚、ここでは、上面パネル311から下面パネル312へと突出した突起である係止用のツメ311dが4つ設けられ、下面パネル312から上面パネル311へと突出した突起であるリブが液晶側リブ313aと短リブ314との2つ設けられている形態を例示した。しかし、ツメやリブの数はこれらに限るものではなく、両者とも複数であって上記以外の数であっても良く、各々1つずつという数でも良く、一方のみが複数という数であっても良い。
また、ここでは、液晶パネル32の表示画面が露出されるための穴が設けられた表示筐体21を例示した。しかし、上記の係止用のツメやリブによる離間と撓みの防止は、このような穴が設けられていない単純な筐体壁どうしの相互間における離間と撓みの防止に適用しても良い。
次に、下面パネル312における、上記のインバータ回路基板33の収納構造について説明する。
図28は、収納状態にあるインバータ回路基板の拡大図である。
尚、この図28では、下面パネル312から液晶パネル32が外されている。
上述したように、下面パネル312には、上記の液晶側リブ313aを含む複数のリブで囲まれた凹部313が設けられ、インバータ回路基板33は、保持シート34で覆われた状態で、その凹部313内に収納されている。
ここで、本実施形態では、このインバータ回路基板33を覆っている保持シート34が、このインバータ回路基板33を凹部313内に保持する役割を果たしている。
図29は、インバータ回路基板を覆っている保持シートにおける、インバータ回路基板の上側に被っている部分を開いた状態を示す図である。図30は、インバータ回路基板が、保持シートごと凹部から取り出された状態を示す図である。
保持シート34は、底面部分341、側面部分342、および上面部分343を有している。底面部分341は、インバータ回路基板33の部品搭載面とは反対側の裏面を覆い、この裏面と、上記の凹部313の底との間に敷かれる。側面部分342は、この底面部分341から部品搭載面側に折り曲げられて構成されている。上面部分343は、この側面部分342から部品搭載面に被さるように折り曲げられて構成されている。
インバータ回路基板33の収納時には、底面部分341における、凹部313の底側の面は両面テープで凹部313の底に貼り付けられる。
また、上面部分343には、縁に3つの矩形状の突起343aが設けられている。また、凹部313を形成するリブのうち上記の液晶側リブ313aには、2つの切欠き313a_2と、1つの突起用穴313a_3とが設けられている。2つの切欠き313a_2は、インバータ回路基板33の収納時に、図28に示すように3つの突起343aのうち左右2つの突起343aが嵌り込む。また、1つの突起用穴313a_3は、インバータ回路基板33の収納時に、図28に示すように3つの突起343aのうち真ん中の突起343aが嵌り込む。さらに、上面部分343の、インバータ回路基板33側の面には、インバータ回路基板33を弾性的に押さえるクッション材344が取り付けられている。
そして、図28に示すように、インバータ回路基板33が保持シート34で覆われた状態で凹部313に収納されると、底面部分341の凹部313の底への貼り付けと、上記の3つの突起343aの切欠き313a_2および突起用穴313a_3への嵌り込みによる上面部分343の縁の係止と、クッション材344による押さえ込みの作用が生じる。このような作用によって、インバータ回路基板33が、この凹部313内に保持されることとなる。
また、本実施形態では、インバータ回路基板33で発生する熱を拡散させるための金属製の放熱板35が、下面パネル312に取り付けられており、この放熱板35の一部が、凹部313内に延びている。そして、絶縁材料であるPETフィルム製の保持シート34の底面部分341が、この放熱板35とインバータ回路基板33とを絶縁する役割も果たしている。
ここで、本実施形態とは異なり、保持シートに、絶縁以外の他の役割を果たさせることも考えられる。
例えば、グラファイトを含有した樹脂材料であるいわゆるグラファイトシートで形成して良好な熱拡散性を持たせることで、内部のインバータ回路基板が発生する熱を拡散する役割を果たす別形態の保持シートが挙げられる。また、フェライトを含有した樹脂材料であるいわゆる電波吸収シートで形成して良好な電波吸収性を持たせることで、内部のインバータ回路基板で発生する電磁ノイズを吸収する役割を果たす別形態の保持シートも挙げられる。ここで、上記のグラファイトシートや電波吸収シートでは、樹脂材料に含有されるグラファイトやフェライトが導電性を有していることから、各シートにおける絶縁性を確保するために、一般的に、各シートの表裏面に、PET等の絶縁材料による絶縁層が形成されている。
ところで、図26に示す本実施形態の液晶パネル32は、バックライトとして1個の蛍光灯が使われる1灯式の液晶パネルであり、上記のインバータ回路基板33は、この1灯式の液晶パネルに対応した1灯式のインバータ回路基板である。
一般に、ノート型のパーソナルコンピュータに使われる液晶パネルには、1灯式の液晶パネルの他にも、2個の蛍光灯が使われる2灯式の液晶パネルがある。1灯式の液晶パネルと2灯式の液晶パネルとでは、外形等が同じであることが多いことから、製造コストの低減等の観点から、いずれの方式の液晶パネルでも取付けることが可能な共通の筐体が望まれている。
一方で、インバータ回路基板は、1灯式と2灯式とで外形寸法等が相互に異なっていることが多い。従来、インバータ回路基板の保持は筐体へのネジ止め等で行われることが多い。そのため、多くの場合、1灯式と2灯式とでは、インバータ回路基板の保持のためのネジ止め位置等が相互に異なり、従来、このような差異が、1灯式と2灯式とで共通に使用することができる筐体の実現を阻害する一因となっている。
これに対し、本実施形態では、インバータ回路基板33の保持方式として、上述したように、インバータ回路基板33を保持シート34で覆うという方式が採用されている。このため、表示ユニット30の表示筐体31に、従来のようなインバータ回路基板を保持するためのネジ穴等といった、1灯式と2灯式とでの筐体の共通化を妨げる構造が不要となっている。その結果、本実施形態では、以下に説明するように、1灯式のインバータ回路基板33を収納するための凹部313に、2灯式のインバータ回路基板を収納し保持することが可能となっている。
図31は、図29等にも示した1灯式のインバータ回路基板と、2灯式のインバータ回路基板とが並べられた状態を示す図である。図32は、1灯式のインバータ回路基板を収納するための凹部に、2灯式のインバータ回路基板が収納された状態を示す図である。
図31に示すように、本実施形態で採用されている1灯式のインバータ回路基板33と、2灯式のインバータ回路基板55とでは、搭載部品の大きさや種類や個数等の相違から、2灯式のインバータ回路基板55の方が長く、幅も若干広くなっている。
ここで、図29等から分かるように、本実施形態では、凹部313が、1灯式のインバータ回路基板33の大きさに対して若干広めに作られている。本実施形態では、保持シート34の上面部分343に取り付けられたクッション材344が、この広めの凹部313内で1灯式のインバータ回路基板33が動いてしまうことを防ぐ役割も担っている。この凹部313の広さは、2灯式のインバータ回路基板55が収納されることを想定したものであり、図32に示すように、この2灯式のインバータ回路基板55が丁度納まる広さとなっている。
この2灯式のインバータ回路基板55の収納および保持には、図32に示すように、1灯式のインバータ回路基板33の収納および保持に使われる上記の保持シート34がそのまま使われる。
即ち、保持シート34における底面部分341が、凹部313の底に両面テープで貼り付けられ、上面部分343が2灯式のインバータ回路基板55の部品搭載面に被さって、上記の3つの突起343aが、液晶側リブ313aの2つの切欠き313a_2と1つの突起用穴313a_3とに嵌め込まれる。また、その際には、上面部分343に取り付けられたクッション材344によって、2灯式のインバータ回路基板55が弾性的に押さえ込まれる。これにより、この2灯式のインバータ回路基板55は、1灯式のインバータ回路基板33と同様に、凹部313に保持されることとなる。
以上、説明したように、本実施形態において1灯式の液晶パネル32と1灯式のインバータ回路基板33とが搭載される表示筐体31は、2灯式の液晶パネルや2灯式のインバータ回路基板55に対しても共通に用いることができる。これにより、従来のように各方式毎に筐体を用意する必要がなく製造コストを低減させることができる。
尚、上記では、電子機器の一例として、ノート型のパーソナルコンピュータ10を例示したがこれに限るものではない。この電子機器は、デスクトップ型やラップトップ型等といったノート型以外のタイプのパーソナルコンピュータや、パーソナルコンピュータよりも高機能のコンピュータであっても良く、あるいは、コンピュータに限らず、家庭用の電化製品等であっても良い。