JP5151274B2 - 燃料電池システムの制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池システムの制御装置に関し、特に、燃料電池内の電解質膜のドライアップ検出技術に関する。
燃料電池の各セルでは、アノード(燃料ガス電極)に接合されるセパレータのガス流路に供給される燃料ガスとカソード(酸化剤ガス電力)に接合されるセパレータのガス流路に供給される酸化剤ガスとを電解質膜を介して反応させることによりそれぞれ発電が行われる。具体的には、アノードに供給された燃料ガスに含まれる水素がアノードの触媒層における酸化反応によりプロトン(水素イオン)と電子とに分離され、プロトンが電解質膜を通ってカソードに移動し、電子が外部回路を通ってカソードに移動することにより電流が生ずる。ここで、各セルの発電効率を維持するためには、プロトンの移動を確保するために電解質膜を湿潤に保つ必要がある。
燃料電池を構成するセルの水分状態若しくは乾燥状態(ドライアップ)を検出する手法として以下のような手法が開示されている。下記特許文献1では、測定されたセルの開回路電圧(OCV)に基づいてセルの水分状態を診断する技術が開示されている。
下記特許文献2では、インピーダンス検出器により燃料電池全体のインピーダンスが検出され、このインピーダンスに基づいて固体電解質膜のドライアップ状態を検出する手法が開示されている。
下記特許文献3では、燃料電池を構成する各セルの出力電力及び燃料電池の温度を測定し、これら測定値を用いて燃料電池の状態としてドライアップを検出する手法が開示されている。
下記特許文献4では、発電を完全に停止させる前に実行される残留水分最適化処理において、電解質膜に水分が所定量残留しておりかつ酸化剤ガス流路内に水分が残留していない状態とするべく、燃料電池の空気圧力損失及び電解質膜の膜抵抗値の各測定値をそれぞれ用いる手法が開示されている。この手法によれば、燃料電池の空気圧力損失が所定閾値以下となっているか否かを判定することにより酸化剤ガス流路内に水分が残留しているか否かが決定され、電解質膜の膜抵抗値が所定閾値以下となるか否かを判定することによりセルの内部残留水分が決定される。
下記特許文献5では、燃料電池内部での結露を防止するために、結露により水蒸気量が減少し燃料ガスの圧力損失が低下することを検知する手法が開示されている。
特開2005−32587号公報 特開2004−241236号公報 特開2004−241201号公報 特開2005−209610号公報 特開2005−293906号公報
しかしながら、上述のような従来のドライアップ検出手法では、電解質膜の乾燥状態がかなり進行した状態での検出になってしまっており、検出後その乾燥状態を回復させるのに長い時間を要するという問題点があった。
図8は、セル電圧及びセル抵抗と電解質膜の乾燥湿潤状態との関係を示す概念図である。図8では、上のグラフでセル電圧及びセル抵抗の推移が示され、下図で上グラフの各場面における電解質膜900、901及び902の乾燥湿潤状態が示される。図8に示される電解質膜900、901及び902は、酸化剤ガス流路が図面下から上に形成されているセパレータと接するカソード側の端面を示している。
通常状態、すなわちセル電圧が高い値で安定しセル抵抗が低い値で安定している状態では、そのセルの電解質膜は、電解質膜900に示されるように、膜全面において発電が良好に行われる。
電解質膜が乾燥し始めると、セル電圧が緩やかに低下しセル抵抗が緩やかに上昇する。このような乾燥状態では、そのセルの電解質膜は、電解質膜901に示されるように、酸化剤ガス供給口側で部分的に乾燥領域が生じ(部分的乾燥領域905)、その乾燥領域が発電不良領域となる。
更に電解質膜の乾燥が進むと、セル電圧が大幅に低下しセル抵抗が大幅に上昇する状態となる。このような状態における電解質膜は、電解質膜902に示すように、乾燥領域905が拡がると共に酸化剤ガス供給口側には完全乾燥領域906が生じる。この完全乾燥領域906は非発電領域となる。このような非発電領域が生ずると急速に発電不良が進行する。
電解質膜がこのような発電不良状態(電解質膜902)となった場合には、この乾燥状態を回復させるのに長い時間を要する。従って、電解質膜がこのような発電不良状態となる前に、早期に電解質膜の乾燥状態を検出する必要がある。
本発明の目的は、上述のような問題点に鑑み、正確かつ早期に電解質膜の乾燥状態を検出する燃料電池システムの制御装置を提供することにある。
本発明は、上述した課題を解決するために以下の手段を採用する。即ち、本発明は、燃料電池システムの制御装置に関するものであり、この制御装置は、燃料ガスの燃料電池内における圧力損失を測定する測定手段と、この測定手段により測定された燃料ガスの圧力損失に基づいて、所定時間間隔における燃料ガスの圧力損失の低下量を算出する算出手段と、この算出手段により算出された燃料ガスの圧力損失の低下量に応じて、電解質膜の一部が乾燥状態となり電解質膜の反応領域に部分的偏りが生じているセルが存在するとして燃料電池内の乾燥状態を診断する診断手段とを備えることを特徴とする。
燃料電池を構成するセルにおいて、電解質膜が乾燥し始めるとその部分が発電不良領域となり、電解質膜の反応領域(発電領域)に偏りが生じる。電解質膜の反応領域に偏りが生ずるとそのセル面内において電解質膜に供給される燃料ガスの消費にも偏りが生じ、結果として燃料ガスの実質流路長が短くなる。燃料ガスの実質流路長が短くなると燃料ガスの圧力損失は低下する。
本発明では、所定時間間隔における燃料電池内の燃料ガスの圧力損失の低下量が算出され、この燃料ガスの圧力損失の低下量に応じて上記現象を検出することにより燃料電池内の乾燥状態が診断される。
これにより、本発明の乾燥診断によれば、電解質膜の一部が乾燥し始めた時点を検出することができるため、電解質膜の乾燥が進行し非発電領域が生じる前に早期に電解質膜の
乾燥状態を検出することができる。従って、本発明によれば、電解質膜の乾燥状態を検出した後であっても容易に乾燥状態を回復させることができる。
本発明において好ましくは、燃料電池の運転温度を測定する温度測定手段を更に備え、上記算出手段が、上記温度測定手段により測定された燃料電池の運転温度の上記所定時間間隔における上昇度を算出しこの燃料電池の運転温度の上昇度に対する燃料ガスの圧力損失の低下量の割合を算出し、上記診断手段が、上記算出手段により算出された割合に応じて燃料電池内の乾燥状態を診断するように構成する。
このような構成によれば、燃料電池内の乾燥状態を診断するにあたり、燃料電池の運転温度の上昇度に対する燃料ガスの圧力損失の低下量の割合が考慮される。
従って、このような構成によれば、電解質膜の一部が乾燥し始めた時点をより正確に診断することができる。例えば、燃料電池の運転状態が大きく変わるような場合は、運転温度の上昇度も燃料ガスの圧力損失の低下量もいずれも大きくなることが想定される。このような状況も考慮して正確に電解質膜の乾燥状態を診断することができる。
また、本発明において好ましくは、燃料ガスの流量を測定する流量測定手段と、この流量測定手段により測定された燃料ガス流量の上記所定時間間隔における変化量からこの燃料ガス流量の変化に伴う燃料ガスの圧力損失の低下量を推定する推定手段とを更に備え、上記診断手段が、上記算出手段により算出される燃料ガスの圧力損失の低下量が上記推定手段により推定された低下量よりも十分に小さいか否かを更に判定することにより燃料電池内の乾燥状態を診断するように構成する。
燃料ガスの圧力損失は燃料電池へ供給される燃料ガスの流量に応じても変化する。このような点を加味し、燃料ガス流量の変化に伴う燃料ガスの圧力損失の低下量が推定され、上記算出手段により算出される燃料ガスの圧力損失の低下量がこの推定された低下量よりも十分に小さいことが確認される。十分に小さいとは、例えば上記測定手段による測定誤差等を加味しても更に小さいことを意味する。
このような構成によれば、燃料ガス流量の変化に伴う燃料ガスの圧力損失の変化を除いて、電解質膜の一部乾燥に伴う燃料ガスの圧力損失の低下を中心的に検出することができるため、正確に電解質膜の乾燥状態を診断することができる。
本発明において好ましくは、上記診断手段により燃料電池内が乾燥状態であると診断された場合に、燃料電池内の水分量が増加するように制御する制御手段を更に備えるように構成する。
このような構成によれば、上記その他の手段により早期にセルの乾燥状態が診断されるため、この制御手段により早期に乾燥状態を回復させることができ、正常な発電状態に復旧させることができる。
本発明によれば、正確かつ早期に電解質膜の乾燥状態を検出する燃料電池システムの制御装置を提供することができる。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態における燃料電池システムについて説明する。なお、以下に述べる各実施形態の構成はそれぞれ例示であり、本発明は以下の各実施形態の構成に限定されない。
[本発明の骨子]
まず、本発明の各実施形態を説明する前に、図1(A)及び(B)並びに図2(A)及び(B)を参照しながら本発明の骨子について説明する。図1(A)及び(B)は、カウンターフロー型セパレータが用いられるセルの乾燥状態と燃料ガスの圧力損失との関係を示す概念図である。
カウンターフロー型セパレータが用いられるセルでは、セパレータに形成されるガス流路のうちMEGA(Membrane Electrode & Gas Diffusion Layer Assembly)を挟んで対向する各ガス流路においてそれぞれ燃料ガスと酸化剤ガスとが逆向きに流れる。図1(A)及び(B)では、MEGAの上面に接するセパレータのガス流路(酸化剤ガス流路)には酸化剤ガスが図右から左方向へ流れ、MEGAの下面に接するセパレータのガス流路(燃料ガス流路)には燃料ガスが図左から右方向へ流れる。このような構成を有するセルは、酸化剤ガス流路の供給口側と燃料ガス流路の送出口側と(共に図面右側)がMEGAを挟んで対向する構成を有する。なお、セパレータに形成されたガス流路のうち酸化剤ガス若しくは燃料ガスがセパレータへ流入しMEGAとの接合面に供給される部位をガス流路の供給口側と表記し、逆にMEGAとの接合面を通りセパレータから送出される部位をガス流路の送出口側と表記する。
図1(A)は、カウンターフロー型のセパレータが用いられるセルにおいて正常に発電が行われている状態を示す。このような状態ではMEGA全面においてバランスよく発電が行われるため、燃料ガス流路を流れる燃料ガスは、MEGAへの供給口側(図面左側)から送出口側(図面右側)へ向けて徐々に消費されながら流れる。図1(A)における符号1は、この燃料ガス流路を流れる燃料ガスの流量を模式的に表わしており、幅が広ければ流量が多く幅が狭ければ流量が少ないことを示している。また、カソード側で生成される水分量は、酸化剤ガス流路の供給口側(図面右側)から送出口側(図面左側)へ向けて徐々に多くなる。つまり、カウンターフロー型のセパレータが用いられるセルでは、MEGAの酸化剤ガス流路の供給口側(=燃料ガス流路の送出口側)(図面右側)において水分量が少なくなる傾向がある。
図1(B)は、カウンターフロー型のセパレータが用いられるセルにおいて乾燥が進行した状態を示す。このような状態では、上述したように、MEGAの酸化剤ガスの供給口側(=燃料ガス流路の送出口側)の一部分が乾燥状態となる。この乾燥状態となった部分は、電解質膜のプロトン伝導性が低下し出力電流密度が低下する。結果として、このセルでは、乾燥状態となった発電不良領域以外の部分(図面左側)においてより多くの電力を発電する必要がある。このような状態のセルでは、MEGAにおいて発電量の部分的偏りが生じる。
このような状態となった場合には、燃料ガス流路を流れる燃料ガスは、図面左側すなわち供給口側で多く消費されることになる。この場合、図1(B)に示すように、燃料ガスが実質流れる流路(以降、実質流路と表記する)は、図1(A)の場面に比べて短くなる。
ところで、層流の流体モデルを想定した場合に、圧力損失(ΔP)は、流速(U)に流路長(L)を乗算した値に比例する。つまり、流体は、流速(U)若しくは流量が一定とすれば流路長(L)が短くなる程、その圧力損失(ΔP)は小さくなる。
図1(A)及び(B)の各場面における燃料ガスについて考えると、燃料ガスの送出口側における流量若しくは流速は図1(A)及び(B)の各場面においてそれぞれ同一とすれば、燃料ガスの圧力損失は、図1(B)の乾燥状態のほうが図1(A)の通常状態より
も小さくなる。上述したように、図1(A)の場面では燃料ガスが全ガス流路で徐々に消費されるのに対して、図1(B)の場面では燃料ガスが供給口側で急速に消費されるため、燃料ガスの実質流路長(L)は図1(B)のほうが図1(A)よりも短くなるからである。
図2(A)及び(B)は、コフロー型セパレータが用いられるセルの乾燥状態と燃料ガスの圧力損失との関係を示す概念図である。コフロー型セパレータが用いられるセルでは、セパレータに形成されるガス流路のうちMEGAを挟んで対向する各ガス流路においてそれぞれ燃料ガスと酸化剤ガスとが同一方向に流れる。図2(A)及び(B)では、MEGAの上面に接するセパレータの酸化剤ガス流路及びMEGAの下面に接するセパレータの燃料ガス流路にはそれぞれ酸化剤ガス及び燃料ガスが図左から右方向へ流れる。すなわち、このような構成を有するセルは、酸化剤ガス流路の供給口側と燃料ガス流路の供給口側と(共に図面左側)がMEGAを挟んで対向する構成を有する。
図2(A)は、コフロー型のセパレータが用いられるセルにおいて正常に発電が行われている状態を示す。このような状態では、カウンターフロー型のセパレータが用いられる図1(A)に示す場面と同様に、MEGA全面においてバランスよく発電が行われるため、燃料ガス流路を流れる燃料ガスは、MEGAへの供給口側(図面左側)から送出口側(図面右側)へ向けて徐々に消費されながら流れる。
しかしながら、図1(A)の場面と違うのは、セルの水分量が少なくなる部分である。カソード側において酸化剤ガスの供給口側から送出口側へ向けて生成水量が多くなるのは同様であるが、図2(A)では生成水量が多い送出口側が図面右側となることにおいて図1(A)の場面とは相違する。これにより、コフロー型のセパレータが用いられるセルでは、MEGAの酸化剤ガス流路及び燃料ガス流路の供給口側(図面左側)において水分量が少なくなる傾向となる。
図2(B)は、コフロー型のセパレータが用いられるセルにおいて乾燥が進行した状態を示す。このような状態では、上述したように、MEGAの酸化剤ガスの供給口側(=燃料ガスの供給口側)の一部分が乾燥状態となる。よって、このような構成のセルにおいても、MEGAの図面右側においてより多くの電力を発電する必要があり、同一セル内において発電量に部分的偏りが生じる。
このような状態となった場合には、燃料ガス流路を流れる燃料ガスは、図面右側すなわち送出口側で多く消費されることになる。これにより、図2(B)に示すように、燃料ガスの実質流路は、図2(A)の場面に比べて短くなる。
従って、コフロー型のセパレータが用いられるセルにおいても、燃料ガスの送出口側における流量若しくは流速は図2(A)及び(B)の各場面においてそれぞれ同一とすれば、燃料ガスの圧力損失は、図2(B)の乾燥状態のほうが図2(A)の通常状態よりも小さくなる。
結果として、カウンターフロー型及びコフロー型のいずれのセパレータが用いられた場合であっても、電解質膜の一部が乾燥状態となり発電不良状態となると燃料ガスの圧力損失が低下することとなる。本発明は、このような現象を検出することにより、電解質膜の一部が乾燥状態となる時点において早期にセルの乾燥を検出する。
[第一実施形態]
以下、本発明の第一実施形態における燃料電池システムについて説明する。
〔システム構成〕
本発明の第一実施形態における燃料電池システムの構成について図3を用いて説明する。図3は、本発明の第一実施形態としての燃料電池システムの構成例を示す図である。本実施形態における燃料電池システムは、燃料電池10、エアコンプレッサ11、圧力調整弁13、燃料ガス供給装置15、流量調整弁16、燃料ガス循環ポンプ18、冷却器20、ECU(Electric Control Unit)25(本発明の制御装置に相当する)、圧力センサ
31及び33、温度センサ35等を備える。
エアコンプレッサ11は、例えばエアフィルタ等を介して大気から取り込まれる空気を酸化剤ガスとして所定量分圧縮し、圧縮された空気を配管41へ送り出す。なお、本発明は、エアコンプレッサ11から送り出される酸化剤ガスは、このような圧縮空気に限定されるものではない。これにより、酸化剤ガスは、燃料電池10の酸化剤ガス入口に繋がる酸化剤ガス供給用の配管41を通り、燃料電池10へ供給される。
燃料ガス供給装置15は、燃料ガスとして例えば水素ガス、水素混合ガス等を供給する。燃料ガス供給装置15から供給される燃料ガスは、流量調整弁16により流量制御され、配管51へ送り出される。
流量調整弁16は、燃料ガス供給装置15から供給される燃料ガスを燃料電池10の要求発電量等に応じて所定流量分送り出す。流量調整弁16を通過した燃料ガスは、燃料電池10の燃料ガス入口に繋がる燃料ガス供給用の配管51を通り、燃料電池10へ供給される。
燃料電池10は、電解質膜の両面をガス拡散電極(燃料ガス電極(アノード)及び酸化剤ガス電極(カソード))で挟み更にその両側をガス供給路の設けられたセパレータで挟むようにしてそれぞれ形成されるセルが複数積層されることにより構成されている。なお、このセルでは、電解質膜と燃料ガス電極及び酸化剤ガス電極との接合体としてMEA(Membrane Electrode Assembly)を用いるようにしてもよいしMEGAを用いるようにし
てもよい。
燃料電池10は、各セルにおいてこのように供給される燃料ガスと酸化剤ガスとを電解質膜を介してそれぞれ反応させることにより発電を行う。ここで発電に供されなかった燃料ガス(以降、アノードオフガスと表記する)はアノードオフガス出口から、発電に供されなかった酸化剤ガス(以降、カソードオフガスと表記する)はカソードオフガス出口からそれぞれ排出される。
圧力調整弁13は、燃料電池10のカソードオフガス出口に繋がる配管44と配管46との間に配置され、カソードオフガスの背圧を調整する。圧力調整弁13を通過したカソードオフガスは、配管46へ送り出され、排気経路(図示せず)等へ送り出される。
燃料ガス循環ポンプ18は、回転駆動用のモータ等を備え、燃料電池10のアノードオフガス出口に繋がる配管52とこのアノードオフガスを再度燃料電池10へ循環させる配管57との間に配置される。燃料ガス循環ポンプ18は、配管52を通るアノードオフガスを燃料電池10へ再供給するために、当該アノードオフガスを配管57へ送り出す。配管57を通るアノードオフガスは、燃料ガス供給装置15から供給される燃料ガスと配管51により混合され、燃料電池10へ再供給される。
このように、本実施形態における燃料電池システムでは、燃料電池10から発電に供されず送出されたアノードオフガスが再び燃料電池10へ供給されるアノードオフガス循環経路が形成されている。しかしながら、本発明は、このようなアノードオフガス循環経路
を持つ燃料電池システムに限定されるものではなく、当該燃料電池システムは、アノードオフガス循環経路を持たないよう構成されてもよい。
本実施形態における燃料電池システムでは、配管51の燃料ガス入口近傍に圧力センサ31が設置され、配管52の燃料電池10のアノードオフガス出口近傍に圧力センサ33が設置される。圧力センサ31は燃料電池10へ供給される燃料ガスの圧力を検出し、圧力センサ33は燃料電池10から送出されるアノードオフガスの圧力を検出する。圧力センサ31及び33により検出された燃料ガスの圧力及びアノードオフガスの圧力は、この燃料ガスの圧力損失値を求めるためにECU25へ送られる。
なお、本発明は、燃料電池10の各セルにそれぞれ供給される前の燃料ガスの圧力と各セルを通過したアノードオフガスの圧力との差を測定することができれば、圧力センサ31及び33の設置位置や圧力検出原理等を限定するものではない。従って、圧力センサ31及び33は、燃料電池10内の各セルに燃料ガスを供給する供給路及び各セルを通過したアノードオフガスが流れる送出路に設けられるようにしてもよい。更に、差圧センサを用いて当該圧力差(圧力損失)を測定するようにしてもよい。
更に、燃料電池10には当該燃料電池を適温で動作させるために冷却水が供給される。燃料電池10内では、この冷却水が例えばセル間に設けられる冷却板を通過する際にセルの発する熱を奪い、冷却水出口から燃料電池10の外へ送出される。冷却水出口から送出された冷却水は、冷却水出口に繋がる配管61を通り、冷却器20に送られる。
冷却器20は、燃料電池10の各セルから熱を奪うことで加熱された冷却水を配管61から取り込み、取り込まれた冷却水を冷却する。冷却器20は、内部に備えられる冷却ファン等から送られる送風により配管61から取り込まれた冷却水を冷却し、冷却された冷却水を配管62に送り出す。配管62へ送り出された冷却水は、燃料電池10へ再供給される。
このように、本実施形態における燃料電池システムは、燃料電池10内の各セルの熱を奪い加熱された冷却水が冷却器20により冷却され、再度燃料電池10へ供給されるという冷却水循環系を持つ。
本実施形態における燃料電池システムでは、このような冷却水循環系において、燃料電池10から送出された冷却水の温度を計測するために、配管61の燃料電池10の出口付近に温度センサ35が設置される。温度センサ35は、燃料電池10の各セルから熱を奪うことで加熱され燃料電池10から出された冷却水の温度を検出する。検出された冷却水の温度はECU25へ送られる。
なお、本発明は、燃料電池10の各セルの発する熱が反映された冷却水の温度を測定することができれば、この温度センサ35の設置位置や温度検出原理等を限定するものではない。従って、温度センサ35は、燃料電池10内の各セルを通過した冷却水が流れる排出路に設けられるようにしてもよい。更に言えば、本発明は、燃料電池10の運転温度を測定することができれば、冷却水の温度でなくてもよく、燃料電池10内の温度や燃料電池10自体の所定箇所の温度が測定されるようにしてもよい。
ECU25は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、入出力インタフェース等
により構成されており、CPUがメモリに格納された制御プログラムを実行することによって次のような制御を行う。このECU25により実行される制御は、1つが上述の[本発明の骨子]で説明したような手法によるセルの乾燥状態の検出処理(以降、乾燥検出処理と表記する)であり、もう1つがセルの乾燥状態の回復処理(以降、乾燥回復処理と表
記する)である。以下、ECU25による乾燥検出処理及び乾燥回復処理についてそれぞれ説明する。
〔乾燥検出処理〕
ECU25は、この乾燥検出処理により、〔発明の骨子〕で説明したように、電解質膜の一部が乾燥状態となり発電量に部分的偏りが生じているセルの存在を検出する。具体的には、ECU25は、冷却水温度の上昇度に対し燃料ガスの圧力損失値が急激に低下する時点をこのような状態のセルが生じた時点として検出する。以下、このような第一実施形態におけるECU25による乾燥検出処理について図4を用いて説明する。図4は、ECU25による乾燥検出処理を示すフローチャートである。
ECU25は、圧力センサ31及び33により検出された燃料ガスの圧力及びアノードオフガスの圧力、並びに温度センサ35により検出された冷却水の温度を取得する。
ECU25は、圧力センサ31及び33からの各出力信号としての燃料ガスの圧力とアノードオフガスの圧力との差を求めることにより燃料ガスの圧力損失値を算出する。結果として、ECU25は、この算出された燃料ガスの圧力損失値に基づいて、所定の時間間隔における圧力損失値の変化量(ΔP)を算出する(S401)。この所定の時間間隔は、例えば、メモリ等に予め調整可能に保持される。
この変化量(ΔP)を算出するにあたり、ECU25は、例えば、燃料ガスの圧力損失値を当該所定の時間間隔で算出するようにし、この圧力損失値の算出後すぐに算出された燃料ガスの圧力損失値と前回算出された圧力損失値との差分(ΔP)を求めるようにしてもよい。この場合には、算出された各時間における圧力損失値をメモリ等に保持するようにすればよい。なお、燃料ガスの圧力損失値の算出タイミングとは無関係に、当該所定の時間間隔で圧力損失値の変化量(ΔP)を求めるようにしてもよい。
ECU25は、温度センサ35からの出力信号としての冷却水温度についても当該所定の時間間隔(上記燃料ガスの圧力損失値の変化量を求める際の時間間隔と同じもの)での変化量(ΔT)を算出する(S402)。
ECU25は、これら算出された燃料ガスの圧力損失値の変化量(ΔP)及び冷却水温度の変化量(ΔT)を用いて、冷却水温度の上昇度に対し燃料ガスの圧力損失値が急激に低下しているか否かを判定する(S403)。具体的には、ECU25は、燃料ガスの圧力損失値の変化量(ΔP)を冷却水温度の変化量(ΔT)で除算した値が変化量閾値Aよりも小さくなる場合に、冷却水温度の上昇度に対し燃料ガスの圧力損失値が急激に低下していると判定する。変化量閾値Aは、燃料電池10の構成に伴う特性に応じてシミュレーション等で推定され、予めメモリ等に調整可能に保持される。なお、本実施形態で用いられるこの変化量閾値Aは、冷却水温度の上昇度に対し燃料ガスの圧力損失値が急激に低下しているか否かの判定に用いられることから負の値となる。
ECU25は、冷却水温度の上昇度に対し燃料ガスの圧力損失値が急激に低下している、すなわち、燃料ガスの圧力損失値の変化量(ΔP)を冷却水温度の変化量(ΔT)で除算した値が変化量閾値Aよりも小さいと判定すると(S403;YES)、以下に述べる回復処理を実行する(S404)。一方、ECU25は、燃料ガスの圧力損失値の変化量(ΔP)を冷却水温度の変化量(ΔT)で除算した値が変化量閾値A以上であると判定すると(S403;NO)、まだセルが乾燥していないと判断し、再度、この乾燥検出処理を繰返し実行する。
〔乾燥回復処理〕
ECU25は、上記乾燥検出処理によりセルの乾燥を検出すると、以下に示す乾燥回復処理を実行する。なお、本発明は、乾燥回復処理を限定するものではないため、以下に示す乾燥回復処理のいずれか1つ若しくは複数が実行されるようにすればよい。
第1の手法として、カソードオフガスの背圧を上げる手法がある。この場合、ECU25は、圧力調整弁13を閉じるように制御する。これにより、カソード内の酸化剤ガス中の酸素濃度が増加し、プロトンと反応する酸素の濃度が高いことから還元反応が促進される。この還元反応により生成される水が多くなるため、セルの乾燥を回復させることができる。
第2の手法として、燃料ガスが流れる配管51に加湿モジュール(図示せず)を設け、この加湿モジュールによりセルの乾燥を回復させる手法がある。この場合、ECU25は、加湿モジュールによる加湿量を増加させるように制御する。これにより、アノードに供給される燃料ガスに含まれる水分量が増加するため、セルの乾燥を回復させることができる。
第3の手法として、燃料ガス供給装置15から供給される燃料ガスの流量を増加させる手法がある。この場合、ECU25は、流量調整弁16を開くように制御する。これにより、アノードへ供給される燃料ガスの流量が増加し、電解質膜を移動するプロトンの量が増えるため還元反応が促進される。この還元反応により生成される水が多くなるため、セルの乾燥を回復させることができる。
これ以外の手法として、酸化剤ガスが流れる配管41に設置された加湿モジュール(図示せず)を制御することにより、各セルに供給される酸化剤ガスに含まれる水分量を上げるようにしてもよい。また、これら以外の手法を用いるようにしてもよい。
本実施形態における燃料電池システムでは、ECU25により早期にセルの乾燥が検出されるため、いずれの乾燥回復手法を用いた場合であってもセルの乾燥を容易に回復させることができる。
〔動作例〕
以下、本実施形態における燃料電池システムの動作例について説明する。本実施形態における燃料電池システムは、ECU25によるセル乾燥検出処理及び乾燥回復処理が実行される際には以下のように動作している。
圧力センサ31は、燃料電池10内へ送り込まれる燃料ガスの圧力を検出し、検出結果をECU25へ逐次若しくは所定の周期で送る。圧力センサ33は、燃料電池10から送出されたアノードオフガスの圧力を検出し、検出結果をECU25へ逐次若しくは所定の周期で送る。温度センサ35は、この燃料電池10内から送出された冷却水の温度を検出し、検出結果をECU25へ逐次若しくは所定の周期で送る。
図5は、第一実施形態における燃料電池10における燃料ガス圧力損失、セル出口温度及びセル抵抗の運転経過時間に伴う推移を示すグラフである。図5には、各値が運転経過時間と共にそれぞれ示されており、燃料ガス圧力損失がアノード圧損と表記され、冷却水温度がセル出口温度と表記され、燃料電池10内のセル抵抗がセル抵抗と表記されている。以下、この図5に示される運転経過時間に沿って、本実施形態のECU25の動作について説明する。
図5によれば、T1時間において、セル抵抗が低く安定しセル電圧が高く安定している状態が示されている。これは、セルの電解質膜が湿潤に保たれプロトンの移動が正常に確
保されている状態を示している。この状態では、燃料ガスの圧力損失値の変化量(ΔP)及び冷却水温度の変化量(ΔT)の大きさ(絶対値)はいずれも小さい。よって、ECU25は、燃料ガスの圧力損失値の変化量(ΔP)を冷却水温度の変化量(ΔT)で除算した値が変化量閾値Aよりも小さくない、すなわち、冷却水温度の上昇度に対し燃料ガスの圧力損失値が急激に低下しているわけではないと判定する。この結果、ECU25は、セルが乾燥状態にないと判断する。
T2時間においては、セル抵抗及びセル電圧は略T1時間と変わらなく推移しているものの、冷却水温度が極度に上昇している状態が示されている。この状態では、燃料ガスの圧力損失値の変化量(ΔP)の大きさ(絶対値)に較べて、冷却水温度の変化量(ΔT)は大きくなっている。よって、この場合にも、T1時間における判定と同様に、ECU25は、冷却水温度の上昇度に対し燃料ガスの圧力損失値が急激に低下しているわけではないから、セルは乾燥状態にないと判断する。このT2時間における冷却水温度の上昇は、セル抵抗が低い値を示すことから電解質膜の乾燥状態によるものではないと考えられる。
T3時間においては、セル抵抗がT1時間及びT2時間と較べて多少上昇し、冷却水温度がT2時間後から更に緩やかな上昇傾向にあり、燃料ガスの圧力損失が大きく低下している。この状態では、燃料ガスの圧力損失値の変化量(ΔP)は負の数値として急激に小さくなっており(変化量の絶対値は大きくなっており)、冷却水温度の変化量(ΔT)は正の数値として小さくなっている。よって、ECU25は、燃料ガスの圧力損失値の変化量(ΔP)を冷却水温度の変化量(ΔT)で除算した値が変化量閾値Aよりも小さい、すなわち、冷却水温度の上昇度に対し燃料ガスの圧力損失値が急激に低下しているから、セルは乾燥状態にあると判断する。
このT3時間経過後は、緩やかに燃料ガスの圧力損失は低下している。このT3時間は、電解質膜が部分的に乾燥し発電領域に偏りが生じ始めている時間と言える。
T4時間では、セル抵抗値が極端に高くなっている。これは、この時点においてセルの電解質膜が乾燥し電解質膜に非発電領域が生じていることを示している(図8の電解質膜902参照)。このT4時間の時点は、乾燥を検出したとしても電解質膜が乾燥し過ぎているため回復させるのが困難な時点である。よって、ECU25は、このT4時間になるより前のT3時間においてセルの乾燥を検出する。すなわち、本実施形態では、T4時間の時点のようにセル抵抗値の上昇量が大きくなる前に乾燥状態を検出することができるため、従来技術としてのインピーダンスの変化に基づいて電解質膜の乾燥を検出する手法に較べて、より早期に電解質膜の乾燥状態を検出することができる。これにより、本実施形態における燃料電池システムによれば、この乾燥検出後、乾燥状態を速やかに回復させることができる。
T3時間において、ECU25は、セルが乾燥していると判断すると、セルの乾燥回復処理を実行する。ECU25は、例えば、圧力調整弁13を閉じてカソードオフガスの背圧を上げることにより生成水を増加させ、セルの乾燥を回復させる。また、ECU25は、燃料ガスが流れる配管51に設けられた加湿モジュールによる加湿量を増加させることにより、セルの乾燥を回復させる。また、ECU25は、流量調整弁16を開いて燃料ガスの供給流量を増加させることにより生成水を増加させ、セルの乾燥を回復させる。
〈実施形態の作用及び効果〉
以下、上述した第一実施形態としての燃料電池システムの作用及び効果について述べる。
本実施形態における燃料電池システムでは、燃料電池10の燃料ガス入口付近に設置さ
れた圧力センサ31により燃料電池10へ供給される前の燃料ガスの圧力が検出され、燃料電池10のアノードオフガス出口付近に設置された圧力センサ33により燃料電池10から送出されたアノードオフガスの圧力が検出される。これら圧力センサ31及び33により検出された燃料ガス及びアノードオフガスの圧力に基づいて、燃料電池10を通過する際の燃料ガスの圧力損失が算出される。続いて、算出された燃料ガスの圧力損失値について所定の時間間隔における変化量(ΔP)が算出される。
更に、本実施形態における燃料電池システムでは、温度センサ35により、各セルと熱交換し燃料電池10から送出された冷却水の温度が検出される。この検出された冷却水の温度について所定の時間間隔における変化量(ΔT)が算出される。
本実施形態における燃料電池システムでは、これら各値が用いられ、冷却水温度の上昇度に対し燃料ガスの圧力損失値が急激に低下している場合に、セルが乾燥していると判断される。
これにより、電解質膜が部分的に乾燥し発電量の部分的偏りが生じたセルが存在する時点で、セルの乾燥状態を検出することができる。この時点で検出されるため、その後のセルの乾燥回復処理によりセルの乾燥状態を回復させるのが容易になる。
[第二実施形態]
以下、本発明の第二実施形態における燃料電池システムについて説明する。上述の第一実施形態における燃料電池システムでは、冷却水温度の変化量と燃料ガスの圧力損失値の変化量とに基づいてセルの乾燥が判断された。第二実施形態における燃料電池システムでは、燃料ガスの供給流量変化に伴う圧力損失値の変化量が加味されてセルの乾燥が判断される。
〔システム構成〕
本発明の第二実施形態における燃料電池システムの構成について図6を用いて説明する。図6は、本発明の第二実施形態としての燃料電池システムの構成例を示す図である。第二実施形態における燃料電池システムは、第一実施形態の構成に加えて、流量計61を更に備える。それ以外の構成については第一実施形態と同様であるためここでは説明を省略する。
流量計61は、燃料電池10へ供給される燃料ガスが流れる配管51に設置され、燃料ガスの供給流量を計測する。計測された燃料ガスの供給流量はECU25へ送られる。なお、本発明は、流量計61の設置箇所を限定するものではなく、燃料電池10へ供給される燃料ガスの流量を計測し得る箇所であれば流量計61はどのような箇所に設置されてもよい。
ECU25は、圧力センサ31及び33により検出された燃料ガスの圧力及びアノードオフガスの圧力、温度センサ35により検出された冷却水の温度を取得すると共に、流量計61により測定された燃料ガスの供給流量を取得する。ECU25は、燃料ガスの圧力、アノードオフガスの圧力及び冷却水温度を用いて第一実施形態と同様の判定を行うと共に、更に、燃料ガスの供給流量を用いてこの燃料ガスの供給流量変化に伴う圧力損失値の変化量を加味してセルの乾燥検出処理を行う。
〔発明の骨子〕において述べたように、流体の圧力損失(ΔP)は、流量が変化するとこの変化に応じて変わる。第二実施形態におけるECU25は、この燃料電池10へ供給される燃料ガスの供給流量の変化に伴う圧力損失の変化を第一実施形態と同様に算出された圧力損失の変化量から省くことにより、燃料ガスの実質流路長の変化をより厳密に検出
することができる。燃料ガスの実質流路長は、電解質膜の発電量の部分的偏り、すなわち電解質膜の部分的乾燥により変化する。従って、第二実施形態におけるECU25によれば、第一実施形態における燃料電池システムにおいて燃料ガスの供給流量が制御される場合においても正確にセルの乾燥を検出することができる。なお、セルの乾燥回復処理については第一実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
〔乾燥検出処理〕
以下、第二実施形態におけるECU25による乾燥検出処理について図7を用いて説明する。図7は、第二実施形態におけるECU25による乾燥検出処理を示すフローチャートである。図7に示す符号のうち第一実施形態と同様の処理については図4と同様の符号を付している。
ECU25は、第一実施形態と同様に、所定の時間間隔における圧力損失値の変化量(ΔP)及び冷却水温度の変化量(ΔT)を算出し(S401及びS402)、これら算出された燃料ガスの圧力損失値の変化量(ΔP)及び冷却水温度の変化量(ΔT)を用いて、冷却水温度の上昇度に対し燃料ガスの圧力損失値が急激に低下しているか否かを判定する(S403)。ここで、冷却水温度の上昇度に対し燃料ガスの圧力損失値が急激に低下していないと判定されると(S403;NO)、第一実施形態と同様に、セルの乾燥状態とはみなされない。
一方、冷却水温度の上昇度に対し燃料ガスの圧力損失値が急激に低下していると判定されると(S403;YES)、ECU25は、流量計61により測定された燃料ガスの供給流量に基づいて当該所定の時間間隔における燃料ガスの供給流量の変化量(ΔQ)を算出する(S701)。
続いて、ECU25は、この燃料ガス供給流量の変化量(ΔQ)のみに伴う燃料ガスの圧力損失値の変化量を推定する。この推定値は、予め、セルが乾燥していない状態(通常運転時)の燃料電池10を想定したシミュレーション等により決められる係数αを用いて推定されるようにすればよい。これによれば、燃料ガス供給流量の変化量(ΔQ)のみに伴う燃料ガスの圧力損失値の変化量は、燃料ガス供給流量の変化量(ΔQ)に係数αを掛けることで算出することができる。なお、この係数αは、予め調整可能にメモリ等に保持されるようにしてもよい。
ECU25は、このように推定された圧力損失値の推定値よりも、圧力センサ31及び33からの出力により算出された圧力損失値の変化量(ΔQ)が十分に小さいことを確認する(S702)。ここで、十分に小さいとは、圧力センサ31及び33からの出力により算出された圧力損失値の変化量(ΔQ)の測定誤差を加味してもなお小さいことを意味する。よって、例えば測定誤差5%を見込む場合には、算出された圧力損失値の変化量(ΔQ)の95%にあたる値と圧力損失値の推定値とを比較するようにしてもよい。
ECU25は、このような比較により、圧力センサ31及び33からの出力により算出された圧力損失値の変化量(ΔQ)が燃料ガス供給流量の変化量(ΔQ)のみに伴う燃料ガスの圧力損失値の変化量よりも十分に小さいと判定すると(S702;YES)、セルが乾燥状態となると判断し、乾燥回復処理を実行する(S404)。一方、ECU25は、圧力センサ31及び33からの出力により算出された圧力損失値の変化量(ΔQ)が燃料ガス供給流量の変化量(ΔQ)のみに伴う燃料ガスの圧力損失値の変化量と略同等であると判定すると(S702;NO)、セルが乾燥状態にないと判断する。
なお、図7に示すフローチャートでは、燃料ガス流量の変化量(ΔQ)の算出(S701)及びこの変化量に伴う燃料ガスの圧力損失の変化量の推定(S702)はS402及
びS403の後に行われているが、S402の前でこれらの処理(S701及びS702)を行うようにしてもよい。
〔実施形態の作用及び効果〕
以下、上述した第二実施形態としての燃料電池システムの作用及び効果について述べる。
本実施形態における燃料電池システムでは、第一実施形態と同様に、燃料電池10を通過する際の燃料ガスの圧力損失についての所定時間間隔における変化量(ΔP)と冷却水温度について所定時間間隔における変化量(ΔT)とに基づいて、冷却水温度の上昇度に対し燃料ガスの圧力損失値が急激に低下していることが検出される。
本実施形態における燃料電池システムでは、更に、燃料ガスの供給流量が計測され、当該所定時間間隔における燃料ガス供給流量の変化量(ΔQ)が算出され、この燃料ガス供給流量の変化のみに伴う燃料ガスの圧力損失値(αΔQ)が推定される。
最終的に、圧力センサ31及び33からの出力により算出された燃料ガス圧力損失値の所定時間間隔における変化量(ΔP)がこの推定された燃料ガス供給流量の変化のみに伴う燃料ガスの圧力損失値(αΔQ)よりも十分小さいと判定されると、セルの乾燥状態とみなされ、セルの乾燥回復処理が実行される。
このように、本実施形態における燃料電池システムでは、セルの乾燥状態を検出するにあたり、冷却水温度の上昇度に対し燃料ガスの圧力損失値が急激に低下していると共に、この燃料ガス圧力損失の変化が燃料ガスの供給流量の変化に伴うもののみでないことが確認される。
これにより、燃料ガスの供給流量が大きく変化するような制御が行われる場合であっても、電解質膜が部分的乾燥状態となるセルが生じているか否かを正確に検出することができる。更に、電解質膜が部分的に乾燥し発電量の部分的偏りが生じたセルが存在する時点で、セルの乾燥状態を検出することができるため、その後のセルの乾燥回復処理によりセルの乾燥状態を回復させるのが容易になる。
カウンターフロー型セパレータが用いられるセルの乾燥状態と燃料ガスの圧力損失との関係を示す概念図であり、正常に発電が行われている状態を示す図である。 カウンターフロー型セパレータが用いられるセルの乾燥状態と燃料ガスの圧力損失との関係を示す概念図であり、セルの乾燥が進行した状態を示す図である。 コフロー型セパレータが用いられるセルの乾燥状態と燃料ガスの圧力損失との関係を示す概念図であり、正常に発電が行われている状態を示す図である。 コフロー型セパレータが用いられるセルの乾燥状態と燃料ガスの圧力損失との関係を示す概念図であり、セルの乾燥が進行した状態を示す図である。 本発明の第一実施形態としての燃料電池システムの構成例を示す図である。 第一実施形態におけるECU25による乾燥検出処理を示すフローチャートである。 第一実施形態における燃料電池10における燃料ガス圧力損失、セル出口温度及びセル抵抗の運転経過時間に伴う推移を示すグラフである。 本発明の第二実施形態としての燃料電池システムの構成例を示す図である。 第二実施形態におけるECU25による乾燥検出処理を示すフローチャートである。 セル電圧及びセル抵抗と電解質膜の乾燥湿潤状態との関係を示す概念図である。
符号の説明
10 燃料電池
11 エアコンプレッサ
13 圧力調整弁
15 燃料ガス供給装置
16 流量調整弁
18 燃料ガス循環ポンプ
20 冷却器
25 ECU(Electric Control Unit)
31、33 圧力センサ
35 温度センサ
41、44、46、51、52、57、61、62 配管
61 流量計
900、901、902 電解質膜
905 部分的乾燥領域、発電不良領域
906 完全乾燥領域、非発電領域

Claims (3)

  1. 燃料ガスの燃料電池内における圧力損失を測定する測定手段と、
    前記測定手段により測定された燃料ガスの圧力損失に基づいて、所定時間間隔における燃料ガスの圧力損失の低下量を算出する算出手段と、
    前記算出手段により算出された燃料ガスの圧力損失の低下量に応じて、電解質膜の一部が乾燥状態となり電解質膜の反応領域に部分的偏りが生じているセルが存在するとして前記燃料電池内の乾燥状態を診断する診断手段と、
    前記燃料電池の運転温度を測定する温度測定手段と、を備え、
    前記算出手段は、前記温度測定手段により測定された燃料電池の運転温度の前記所定時間間隔における上昇度を算出し、この燃料電池の運転温度の上昇度に対する前記燃料ガスの圧力損失の低下量の割合を算出し、
    前記診断手段は、前記算出手段により算出された割合に応じて前記燃料電池内の乾燥状態を診断する、
    ことを特徴とする燃料電池システムの制御装置。
  2. 前記燃料ガスの流量を測定する流量測定手段と、
    前記流量測定手段により測定された燃料ガス流量の前記所定時間間隔における変化量からこの燃料ガス流量の変化に伴う燃料ガスの圧力損失の低下量を推定する推定手段と、
    を更に備え、
    前記診断手段は、前記算出手段により算出される燃料ガスの圧力損失の低下量が前記推定手段により推定された低下量よりも十分に小さいか否かを更に判定することにより、前記燃料電池内の乾燥状態を診断する、
    ことを特徴とする請求項に記載の燃料電池システムの制御装置
  3. 前記診断手段により前記燃料電池内が乾燥状態であると診断された場合に、前記燃料電池内の水分量が増加するように制御する制御手段を更に備えることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の燃料電池システムの制御装置。
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