以下、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
図1(a)、(b)は、搬送対象のロール体2を説明するための模式図である。図1(a)はロール体2の斜視図である。ロール体2は、帯状またはシート状の素材4をコア6に巻回してなる。したがって、コア6はロール体2の巻回軸Mに沿って延びる。コア6は半径方向中央に、巻回軸Mに沿って延びる中空部8を有する。コア6は、素材4を巻回する際にそのベースとなる。
図1(b)は実施の形態に係るロール体取扱システムに含まれるロール体搬送用無人搬送車の載置台102に載置されたロール体2を示す側面図である。ロール体2はその外周面2aすなわち胴部が載置台102に接することによって載置台102に載置される。載置台102は、搬送中にロール体2が転がらないように断面がV字状とされる。
図2は、生産機側のターレット20の斜視図である。ターレット20は、実施の形態に係るロール体取扱システムに含まれる。ターレット20はロール体2を空中に、すなわち工場の床26とは非接触に支持する。ターレット20は、工場の床26に立設されたフレーム22と、フレーム22によって水平面に平行な第1回転軸Jの周りに回転自在に支持されるターレットアーム24と、を含む。
ターレットアーム24の一端部24aには、ターレットアーム24の第1回転軸J方向に進退可能な一対のチャック(図2では不図示)と、中空部検知用センサ(図2では不図示)と、が設けられる。ターレットアーム24の他端部24bにも同様の一対のチャックおよび中空部検知用センサが設けられる。
ターレットアーム24に設けられた一対のチャックは、ロール体搬送用無人搬送車との間でロール体2の受け渡しを行うための受け渡し停止位置を含む複数の停止位置の間で移動する。受け渡し停止位置は、例えばターレットアーム24が水平面と略平行となるときの一対のチャックの位置(以下、水平受け渡し停止位置と称す)である。ターレット20は、不図示のモータを使用してターレットアーム24を回転させることで、一対のチャックの停止位置間の移動を実現する。
なお、ロール体搬送用無人搬送車からロール体の供給を受けるための停止位置と、ロール体搬送用無人搬送車にロール体を渡すための停止位置と、は異なっていてもよい。
図3(a)、(b)は、ターレットアーム24に設けられた一対のチャック28a、28bが水平受け渡し停止位置に停止しているときの状態を示す説明図である。図3(a)はターレットアーム24の一端部24aの正面図であり、図3(b)はその側面図である。ターレットアーム24は、2本のアームすなわち一方のアーム24cおよび他方のアーム24dを含む。
一対のチャック28a、28bのそれぞれは、ロール体2の中空部8と着脱可能に構成される。一方のチャック28aは他方のチャック28bと対向する。一方のチャック28aと他方のチャック28bと結ぶチャック中心線Cは第1回転軸Jと略平行である。
一方のチャック28aは一方のアーム24cに、チャック中心線Cに沿って進退可能に取り付けられる。一方のチャック28aは一方のアーム24cに取り付けられた不図示の駆動部によって、チャック中心線Cに沿って動かされる。一方のチャック28aは、一方のアーム24cに対してチャック中心線Cに沿った方向に移動することによってロール体2の中空部8と着脱される。一方のチャック28aは、ロール体2を支持するときはロール体2の中空部8の一端にチャック中心線Cに沿って進入し、ロール体2を離すときはチャック中心線Cに沿って退出する。他方のチャック28bについても同様である。
一方のアーム24cに取り付けられた受光器30および他方のアーム24dに取り付けられた投光器32は、中空部検知用センサ34を構成する。中空部検知用センサ34と一対のチャック28a、28bとの相対位置は固定されている。特に、受光器30は水平受け渡し停止位置に停止した一方のチャック28aを通る鉛直線上に配置され、投光器32は水平受け渡し停止位置に停止した他方のチャック28bを通る鉛直線E上に配置される。一方のチャック28aと受光器30との距離は、他方のチャック28bと投光器32との距離と実質的に等しい。以下、この距離をD1と称す。
中空部検知用センサ34では、投光器32がチャック中心線Cと平行なレーザ光LBを発し、受光器30がそのレーザ光LBを検知する。チャック中心線Cとレーザ光LBとの距離は上記の距離D1である。中空部検知用センサ34は、受光器30がレーザ光LBを検知する場合、受光器30と投光器32との間に物体は存在しないと判定する。中空部検知用センサ34は、受光器30がレーザ光LBを検知しない場合、受光器30と投光器32との間に物体が存在すると判定する。
ロール体2がレーザ光LBを横切って上昇する場合、レーザ光LBが中空部8を通過するとき受光器30はレーザ光LBを検知し、それ以外のときは受光器30はレーザ光LBを検知しない。したがって、受光器30がレーザ光LBを検知したとき、中空部検知用センサ34がレーザ光LBの位置に中空部8を検知したと見なすことができる。このように、中空部検知用センサ34はロール体2の中空部8を検知するよう構成されている。
水平受け渡し停止位置以外にも、受け渡し停止位置を、例えばターレットアームが水平面と45度程度の角度をなすときの一対のチャックの位置(以下、45度受け渡し停止位置と称す)に設定してもよい。ただし、中空部検知用センサの配置はこの受け渡し停止位置の設定に応じて変更される。
図4(a)、(b)は、ターレットアーム240に設けられた一対のチャック280a、280bが45度受け渡し停止位置に停止しているときの状態を示す説明図である。図4(a)はターレットアーム240の一端部の正面図であり、図4(b)はその側面図である。ターレットアーム240は、2本のアームすなわち一方のアーム240cおよび他方のアーム240dを含む。
一方のアーム240cに取り付けられた受光器300および他方のアーム240dに取り付けられた投光器320は、中空部検知用センサ340を構成する。投光器320が発するレーザ光LB2は、一対のチャック280a、280bのチャック中心線Gと平行である。受光器300は45度受け渡し停止位置に停止した一方のチャック280aを通る鉛直線上に配置され、投光器320は45度受け渡し停止位置に停止した他方のチャック280bを通る鉛直線F上に配置される。
本実施の形態に係るロール体取扱システムは、ロール体2を搬送する少なくともひとつのロール体搬送用無人搬送車と、ロール体搬送用無人搬送車からロール体2を受け取る少なくともひとつのターレット20と、を備える。ロール体搬送用無人搬送車は工場内を無軌道で移動するAGV(Automatic Guided Vehicle)であり、ロール体2を胴部で支持し、ターレット20へロール体2を搬入したり、ターレット20からロール体2を搬出したりする。
ロール体2の搬送には、ロール体2の胴部を支持して搬送する胴受け搬送とロール体2のコア6を支持して搬送するコア受け搬送とがあるが、本実施の形態では胴受け搬送の場合を説明する。しかしながら、コア受け搬送の場合にも本実施の形態の技術的思想を適用できることは、本明細書に触れた当業者には明らかである。
ロール体搬送用無人搬送車からターレット20にロール体2を供給する際、ロール体搬送用無人搬送車はロール体2を、一対のチャック28a、28bの水平受け渡し停止位置に対応する位置に向けて移動させる。一対のチャック28a、28bの水平受け渡し停止位置に対応する位置は、例えば水平受け渡し停止位置に停止している一対のチャック28a、28bの間の空間(以下、ロール体2の目標位置と称す)である。ロール体搬送用無人搬送車からターレット20へロール体2をスムーズに受け渡すためには、目標位置においてロール体2の巻回軸Mとチャック中心線Cとを揃えることが望ましい。
本実施の形態に係るロール体取扱システムでは、ロール体2の中空部8を検知するための中空部検知用センサ34をターレットアーム24に設ける。ロール体2の巻回軸Mとチャック中心線Cとの位置合わせは中空部検知用センサ34の検知結果を基に行われる。この場合、ターレットアーム24の停止位置がずれたとしても、中空部検知用センサ34と一対のチャック28a、28bとの距離は変わらない。その結果、ターレットアーム24の停止位置の精度が悪い場合でも、ロール体2の巻回軸Mとチャック中心線Cとの位置合わせをより高精度に行える。
図5(a)〜(d)は、本実施の形態に係るロール体取扱システムに含まれるロール体搬送用無人搬送車100を示す模式図である。ロール体搬送用無人搬送車100は、載置台102と、載置台支持手段と、第1位置検出器138と、第2位置検出器140と、第1支持部124と、第2支持部と、第1y方向駆動部150と、第2y方向駆動部160と、x方向移載スライド162と、本体168と、を備える。
本体168は、リフタ164と、台車部166と、制御部50と、光受信部90と、を含む。
以下、互いに直交するx方向、y方向、z方向を導入して説明する。z方向を、鉛直方向すなわち載置台102にロール体2が載置された場合にそのロール体2にかかる重力の方向とする。x方向、y方向は非鉛直方向すなわち鉛直方向と交差する方向であり、特に水平面内で互いに直交する方向である。載置台102にロール体2が載置された場合のそのロール体2の巻回軸Mに平行な方向をx方向とする。
図5(a)はロール体搬送用無人搬送車100の上面図である。
載置台支持手段は、第1ガイドピン114と、第2ガイドピン116と、第3ガイドピン118と、第4ガイドピン120と、第1ロードセル122と、第2ロードセル130と、第3ロードセル132と、台フレーム104と、傾斜レール126と、ポール保持部134と、を含む。
第1ガイドピン114、第2ガイドピン116、第3ガイドピン118、第4ガイドピン120はそれぞれ台フレーム104に固定され、載置台102の四隅に設けられた第1ガイド孔106、第2ガイド孔108、第3ガイド孔110、第4ガイド孔112に遊嵌される。台フレーム104は、少なくともロール体搬送用無人搬送車100の本体168が移動している間は本体168に対して固定される。載置台102は、このようにガイドピンがガイド孔に遊嵌されることによってロール体搬送用無人搬送車100に対して水平面内で位置決めされる。
第1ロードセル122、第2ロードセル130、第3ロードセル132はそれぞれ、第3ガイドピン118と第4ガイドピン120との間、第1ガイドピン114と第4ガイドピン120との間、第2ガイドピン116と第3ガイドピン118との間に設けられる。各ロードセルは台フレーム104に固定され、載置台102をz方向において支持する。
傾斜レール126およびポール保持部134は台フレーム104の下面に固定される。傾斜レール126はy方向に延在するレールである。ポール保持部134は下向きに開口したカップ状の部材である。
図5(b)はロール体搬送用無人搬送車100の側面図である。
第1位置検出器138および第2位置検出器140はそれぞれ、台フレーム104のx方向の一端および他端に取り付けられ、ターレット20に対する載置台102の位置や向きを検出する。載置台102の向きは、載置台102を略平面と見たときの法線の向きであってもよい。第1位置検出器138および第2位置検出器140は位置および向きの検出結果を制御部50に送信する。
第1支持部124および第2支持部は、互いに異なる位置で台フレーム104を回転可能に支持することで、載置台102を回転可能に支持する。第1支持部124は、回転ピン146と、クロスローラ148と、を含む。
回転ピン146は、一端が台フレーム104側の部材に、他端がクロスローラ148側の部材に取り付けられたピンである。回転ピン146は、載置台102が水平面に対して傾斜する場合すなわちz方向と直交する第2回転軸を中心として載置台102が回転する場合のその回転の中心となる。
クロスローラ148は、回転ピン146をz方向に沿った第3回転軸の周りに回転可能に支持する。クロスローラ148は、第3回転軸の周りに載置台102が回転する場合のその回転の中心となる。
第1y方向駆動部150は、制御部50からの制御信号に基づいて、本体168に対してy方向に第1支持部124を直線的に動かす。第1y方向駆動部150は、LMガイド(Linear Motion Guide)等のリニアガイドとモータとを適宜組み合わせて構成される。第2y方向駆動部160も同様に本体168に対してy方向に第2支持部を動かす。第1y方向駆動部150および第2y方向駆動部160はいずれもx方向移載スライド162の上面に固定される。
第1y方向駆動部150および第2y方向駆動部160が同じ変位で対応する支持部を動かすとき、載置台102はy方向に直線的に動かされる。第1y方向駆動部150および第2y方向駆動部160が異なる変位で対応する支持部を動かすとき、載置台102の動きは、クロスローラ148を中心とした回転成分と、場合によってはy方向に沿った直線運動成分と、を有する。
第2支持部は、傾斜調整部152と、ポール136と、円弧逃げスライド158と、を含む。第2支持部は、クロスローラ148を中心として載置台102が回転する場合に第2支持部と傾斜レール126との接触位置がx方向に移動することを可能とするために、x方向に遊びを有する。
傾斜調整部152は傾斜レール126と接する接点部128を有する。傾斜調整部152は、制御部50からの制御信号に基づいて、傾斜レール126に対して接点部128を摺動させる。傾斜調整部152はリニアガイドやモータやボールネジなどから構成される。
ポール136の一端は円弧逃げスライド158に取り付けられ、他端はポール保持部134の内側に挿入される。第1y方向駆動部150および第2y方向駆動部160が異なる変位で対応する支持部を動かすとき、ポール136はポール保持部134をy方向に押し、これにより載置台102がクロスローラ148を中心として回転する。またこのとき、ポール保持部134はx方向に移動し、その移動に伴ってポール136もx方向に移動する。その結果、円弧逃げスライド158も追従してx方向に動く。
円弧逃げスライド158は、ポール136のx方向の動きに伴って傾斜調整部152の接点部128をx方向に移動可能なようにリニアガイドなどから構成される。
x方向移載スライド162は、制御部50からの制御信号に基づいて、本体168に対してx方向に第1支持部124および第2支持部を動かすことで、載置台102を動かす。x方向移載スライド162はリフタ164の上面に固定される。
リフタ164はパンタ式の電動リフタであり、x方向移載スライド162を昇降させることで、載置台102をz方向に動かすまたは昇降させる。
台車部166は従動車輪170および駆動車輪172を含み、リフタ164を搭載する。台車部166はロール体搬送用無人搬送車100を工場内で移動させる。
台車部166に取り付けられた光受信部90およびフレーム22の下部に取り付けられた光送信部92は光通信部を構成する。この光通信部は、光受信部90と光送信部92との間で無線で光をやりとりすることで通信を行う。「無線」は、光送信部92が光を空中に発し、光受信部90がそのように空中に発せられた光を受けることを意味する。言い換えると、光送信部92から、光ファイバ等の光通信ケーブルを介さずに光受信部90へ光が伝達されることを意味する。
光送信部92はターレット20内の配線を介して投光器32および受光器30と接続される。受光器30はレーザ光LBの検知/非検知を示す電気信号を光送信部92に送信する。光送信部92はその電気信号を光に変換し、光受信部90に向けて発する。光受信部90と光送信部92との位置関係は、ロール体搬送用無人搬送車100がロール体2を目標位置に向けて移動させる際に光受信部90と光送信部92との間の光通信が可能となるように定められる。
ロール体搬送用無人搬送車100がターレット20との間でロール体2の受け渡しを行う際、本体168はロール体2の目標位置の鉛直方向下側の所定の本体停止位置で停止する。光受信部90および光送信部92は、本体168が本体停止位置に停止しているときに、光受信部90が光送信部92から発せられる光を受光可能な領域に入るように配置される。より具体的には、本体168が本体停止位置に停止しているとき光受信部90と光送信部92とは対向する。
図5(c)は傾斜レール126に対する接点部128の摺動の様子を図5(b)のBの矢印で示される向きから見た模式図である。傾斜レール126の下面は傾斜レール126が延在する方向に沿って傾斜している。円弧逃げスライド158、ポール136およびポール保持部134によって、傾斜レール126の円弧逃げスライド158に対するy方向の移動は規制されているので、接点部128が傾斜調整部152によって傾斜レール126が延在する方向に動かされる場合、接点部128は傾斜レール126上を滑る。すると、傾斜レール126の傾斜によって台フレーム104が、回転ピン146を中心として回転することで、載置台102が回転ピン146を中心として回転する、または水平面に対して傾斜する。
図5(d)は図5(a)のA−A線断面図である。図5(d)では載置台102および載置台支持手段が示され、他の部材は図示が省略される。第3ガイドピン118は第4ガイド孔112に遊嵌されている。第4ガイドピン120についても同様である。第1ロードセル122は載置台102をz方向において支持している。
図6は、ロール体搬送用無人搬送車100の制御部50の機能および構成を示すブロック図である。ここに示す各ブロックは、ハードウエア的には、コンピュータのCPUをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウエア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウエア、ソフトウエアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、本明細書に触れた当業者には理解されるところである。
ロール体2をロール体搬送用無人搬送車100からターレット20へ供給するとき、制御部50は、中空部検知用センサ34における検知結果および中空部検知用センサ34と一対のチャック28a、28bとの位置関係に基づいてロール体2が移動すべき量を演算する。制御部50は、インタフェース部52と、本体停止部54と、上昇前載置台調整部56と、載置台昇降部58と、芯合わせ部60と、パラメータ保持部62と、径演算部64と、移動量演算部66と、荷重制御部68と、を含む。
インタフェース部52は、ロール体搬送用無人搬送車100の各部材と信号の送受信を行う。またインタフェース部52は光通信部を介して受光器30からレーザ光LBの検知/非検知についての情報を取得する。制御部50では、レーザ光LBの非検知はレーザ光LBの位置に中空部8以外のロール体2の部分が存在すると解釈され、レーザ光LBの検知はロール体2全体がレーザ光LBの高さレベルより高いもしくは低いところにあるかまたは中空部検知用センサ34が中空部8を検知したと解釈される。
パラメータ保持部62は、チャック中心線Cとレーザ光LBとの距離D1を保持する。
本体停止部54は本体168が本体停止位置で停止するように台車部166を制御する。不図示のセンサによって本体168が本体停止位置にきたことが検出されると、本体停止部54は台車部166を停止させるための制御信号を台車部166にインタフェース部52を介して送信する。
上昇前載置台調整部56は、本体168が本体停止位置で停止すると、第1位置検出器138および第2位置検出器140から送信される情報をインタフェース部52を介して取得する。このように取得される情報は、ターレット20に対する載置台102の位置や向きの検出結果を含む。上昇前載置台調整部56は、載置台102の位置や向きが所望の位置や向きとなるように、第1y方向駆動部150、第2y方向駆動部160、x方向移載スライド162、傾斜調整部152を制御する。上昇前載置台調整部56は、第1y方向駆動部150、第2y方向駆動部160、x方向移載スライド162、傾斜調整部152のそれぞれに、例えば変位量を指定する制御信号を、インタフェース部52を介して送信する。
載置台102の位置および向きが所望の位置および向きに調整された場合、理想的には、水平受け渡し停止位置に停止している一対のチャック28a、28bのチャック中心線Cを含む鉛直面に、載置台102に載置されたロール体2の巻回軸Mが含まれる。言い換えると、載置台102の位置および向きが所望の位置および向きに調整された場合、そこから載置台102を鉛直上向きに上昇させると、ロール体2の中空部8はレーザ光LBを横切り、理想的にはある高さでロール体2の巻回軸Mはチャック中心線Cと揃う。実際にはターレットアーム24の停止位置のばらつきにより、そのままでは巻回軸Mとチャック中心線Cとが揃わないことがある。
載置台昇降部58は、上昇前載置台調整部56による載置台102の位置や向きの調整の後、載置台102を上昇させるようリフタ164を制御する。載置台昇降部58は、リフタ164に例えば上昇量を指定する制御信号を、インタフェース部52を介して送信する。載置台102の下降についても同様である。
載置台昇降部58は、ロール体2が載置された載置台102を上昇させる場合は、中空部検知用センサ34が中空部8を検知した後次に中空部8を検知しなくなるまで載置台102を一定の上昇速度Vで上昇させる。すなわち、載置台昇降部58は、中空部検知用センサ34における検知結果が検知(ロール体2全体がレーザ光LBの高さレベルより下方にある)、非検知(レーザ光LBがロール体2の素材4に当たる)、検知(中空部8検知)と変化する間はロール体2を速度Vで上昇させ、次に非検知(レーザ光LBが中空部8から外れる)となったところで制御を径演算部64に渡す。このとき載置台102の上昇が一端停止されてもよい。
図7(a)〜(c)は、ロール体搬送用無人搬送車100からターレット20にロール体2を供給するときのロール体2の高さ制御を説明するための説明図である。図7(a)〜(c)はそれぞれ図3(b)に対応する。以下、図6および図7(a)〜(c)を参照して載置台昇降部58、芯合わせ部60、径演算部64、移動量演算部66を説明する。
図7(a)はロール体2が上昇速度Vで上昇している状態を示す側面図である。ロール体2の中空部8はレーザ光LBよりも下方にある。投光器32から発せられたレーザ光LBは、ロール体2の上端がレーザ光LBの高さレベルよりも下方に有る場合は受光器30に入射する。受光器30はそのように入射されたレーザ光LBを検知する。ロール体2の上端がレーザ光LBの高さレベルを超えると、レーザ光LBはロール体2の中空部8以外の部分すなわち素材4に当たる。この状態では受光器30はレーザ光LBを検出しない。載置台昇降部58は載置台102を上昇速度Vで上昇させ続ける。
図7(b)はレーザ光LBが中空部8を通過する状態を示す側面図である。ロール体2が上昇を続けると、中空部8の上端がレーザ光LBの高さレベルを超えて高くなる。するとレーザ光LBは中空部8を通過して受光器30に入射される。受光器30はそのように入射されるレーザ光LBを検出する。載置台昇降部58は載置台102を上昇速度Vで上昇させ続ける。
図7(c)は中空部8の下端がレーザ光LBの高さレベルを超えた直後の状態を示す側面図である。ロール体2が上昇を続けると、中空部8の下端がレーザ光LBの高さレベルを超えて高くなる。するとレーザ光LBは再び素材4に当たるようになり、受光器30はレーザ光LBを検出しなくなる。載置台昇降部58は、このように中空部検知用センサ34における検知結果が検知から非検知に変わることを契機として、制御を径演算部64に渡す。
径演算部64は、中空部検知用センサ34がロール体2の中空部8を検知した期間の長さすなわち中空部検出時間ΔTを取得する。径演算部64は、中空部検知用センサ34における検知結果が非検知から検知に変わった時刻t1と、次に検知から非検知に変わった時刻t2とを取得し、その差t2−t1を中空部検出時間ΔTとして演算する。径演算部64は、ロール体2の上昇速度Vに演算された中空部検出時間ΔTを乗算することによって、中空部8の直径φを演算する。
移動量演算部66は、径演算部64によって演算された直径φの2分の1を、パラメータ保持部62に保持されている距離D1から減算することによって、ロール体2が上昇すべき量すなわち上昇量ΔHを演算する。図3(c)からも理解される通り、中空部8の下端がレーザ光LBの高さレベルにある状態から、ロール体2を上昇量ΔH(=D1−0.5φ)だけ上昇させると、ロール体2の巻回軸Mが一対のチャック28a、28bのチャック中心線Cと揃う。
芯合わせ部60は、中空部8の下端がレーザ光LBの高さレベルにある状態から、移動量演算部66によって演算された上昇量ΔHだけロール体2を上昇させ、停止させる。その後、芯合わせ部60はチャックの挿入を許可する制御信号を一対のチャック28a、28bの駆動部(不図示)にインタフェース部52を介して送信する。駆動部はその制御信号を受信すると、一対のチャック28a、28bをコア6の中空部8に挿入する。
ロール体搬送用無人搬送車100がターレット20からロール体2を受け取る際、ロードセルによる荷重制御が行われる。パラメータ保持部62は、受け取るロール体2の重量を保持する。荷重制御部68は、ロール体2の受け取りの際、ロードセルからの信号から演算される荷重とパラメータ保持部62に保持される重量とを比較する。荷重制御部68は、前者が後者に到達するまでリフタ164を制御したり荷重が均等となるように傾斜調整部152、第1y方向駆動部150、第2y方向駆動部160、x方向移載スライド162を制御する。
以上のように構成されたロール体搬送用無人搬送車100の動作について説明する。
ロール体搬送用無人搬送車100は、それとの間でロール体の受け渡しが行われるターレット20のところまで移動してくると一端停止する。ロール体搬送用無人搬送車100は、本体168が停止したままの状態で、第1位置検出器138および第2位置検出器140からの位置検出信号に基づいて載置台102の位置と向きを必要なだけ調整する。
ロール体搬送用無人搬送車100は、その後リフタ164によって載置台102を鉛直上向きに上昇させてロール体2の受け渡しを行う。
図8(a)、(b)は、ロール体搬送用無人搬送車100が生産機174からロール体176を受け取る際の様子を示す模式図である。図8(a)は生産機174およびロール体搬送用無人搬送車100の上面図であり、図8(b)は側面図である。
この場合、生産機174においてロール体搬送用無人搬送車100が侵入できる切る欠き量Lが十分でなく、ロール体搬送用無人搬送車100が最大限侵入してもロール体搬送用無人搬送車100の本体168の中心R1のy方向位置は生産機174に取り付けられたロール体176の中心R2のy方向位置に届かない。
ロール体搬送用無人搬送車100は生産機174に最大限侵入して停止すると、第1y方向駆動部150および第2y方向駆動部160を含む駆動部178を使用して、載置台102を支持する支持部180をy方向生産機側に動かす。このようにして載置台102の中心と生産機174に取り付けられたロール体176の中心R2とが位置合わせされる。その後、駆動部178に含まれるリフタ164によって載置台102を上昇させて生産機174からロール体176を受け取る。
図9は、載置台102がクロスローラ148を中心として回転する際の傾斜レール126および接点部128の動きを説明するための説明図である。第1支持部124および第2支持部が異なる変位でy方向に動かされるときにクロスローラ148を中心とした載置台102の回転が生じる。この回転の際接点部128は第2支持部のy方向の移動に合わせてy方向に移動する。ここで第2支持部がx方向の遊びを有さない場合、接点部128は図9の破線の円で示される位置182に移動され回転後の傾斜レール126から外れうる。しかしながら本実施の形態では第2支持部がx方向の遊びを有するので、載置台102の回転に伴って接点部128のあるべき位置がx方向にずれてもそのずれを吸収することができる。すなわち、載置台102の回転に追従して接点部128がx方向にも動かされる。その結果、回転の前後で傾斜レール126と接点部128との位置関係は実質的に保たれる。
本実施の形態に係るロール体取扱システムでは、一対のチャック28a、28bおよび中空部検知用センサ34はいずれもターレットアーム24に取り付けられ、それらの相対位置は固定される。特に、チャック中心線Cとレーザ光LBとの相対距離はターレットアーム24の回転によらず不変となる。そしてロール体2をターレット20に供給する際には中空部検知用センサ34における中空部8の検知結果およびチャック中心線Cとレーザ光LBとの相対距離に基づいて、ロール体2の巻回軸Mとチャック中心線Cとが位置合わせされる。これにより、ターレットアーム24の停止位置の精度によらずにより確実に巻回軸Mをチャック中心線Cに揃えることができる。その結果、ロール体2の供給失敗の確率を低減できる。
中空部検知用センサ34と光送信部92とを接続する配線は、ターレットアーム24に敷設される配線部分と、フレーム22に敷設される配線部分と、ターレットアーム24が回転してもそれらの配線部分間の電気的な接続状態を保つよう構成された接点部分と、を有する。この接点部分の構成は比較的複雑となる。本発明者は当業者としての経験から、ロール体取扱システム全体で見た場合、そのような複雑さによる影響よりも、ターレットアーム24に中空部検知用センサ34を設けることによるロール体供給の確実性の向上による利益のほうが大きいことを見出した。
また、本実施の形態に係るロール体取扱システムでは、中空部8の直径φが測定され、その直径φおよびチャック中心線Cとレーザ光LBとの相対距離に基づいて、ロール体2があとどれだけ上昇すればよいかが演算される。これにより、中空部8の直径φが異なるロール体2にも対応可能となる。すなわち、中空部8の直径φによらずにより確実に巻回軸Mをチャック中心線Cに揃えることができる。
また、本実施の形態に係るロール体取扱システムではターレット20とロール体搬送用無人搬送車100との間で光通信により情報が伝達される。ロール体搬送用無人搬送車100に情報伝達のためのケーブルを接続する必要はなく、またSS無線などよりも高速な通信が実現される。
本実施の形態に係るロール体取扱システムに含まれるロール体搬送用無人搬送車100は、ロール体2の受け渡しのためにターレット20の近傍で停止する。ロール体搬送用無人搬送車100は、その本体168がロール体2の受け渡しのために停止しているとき、載置台102の位置を水平面内でさらに調整する手段と、載置台102を回転させる手段と、を有する。これにより、本体168の実際の停止位置が本体停止位置からずれた場合でも、本体168を動かさずにそのずれを補償することができる。これにより、ロール体2の受け渡しの際の位置決めの精度をより高めることができる。
本実施の形態に係るロール体取扱システムに含まれるロール体搬送用無人搬送車100によると、ロール体搬送用無人搬送車100の本体168の停止位置が本体停止位置からずれていたり、載置台102の向きが所望の向きとは違っていたりしていても、本体168を停止させたままで、載置台102のターレット20に対する位置や向きを望むとおりとなるよう調整できる。これにより、ロール体2の受け渡しの際のターレット20に対する載置台102の位置決めの精度をより高めることができる。その結果、ロール体2の受け渡しがよりスムーズに行われ、受け渡しの失敗が発生する確率を低減できる。
特にAGVは無軌道で移動するので、軌道に沿って移動するものと比べて停止位置がばらつきやすい。したがって、本実施の形態に係るロール体取扱システムに含まれるロール体搬送用無人搬送車100は、無軌道でロール体2を搬送するAGVとしてより好適である。
さらに、本体168が本体停止位置に精度良く停止したとしても、床精度が悪いために、ターレット20に対する載置台102の位置をさらに微調整する必要があることがある。従来のアウトリガー方式では床に設けられたコーンを基準に載置台を位置決めするので、床そのものの精度が悪い場合は対応が困難となる。しかしながらロール体搬送用無人搬送車100では位置検出器を使用して調整を行うので、床精度が悪い場合でもターレット20に対する載置台102の位置の精度を高く保つことができる。
なお、載置台の位置を本体を動かすことで微調整することも考えられるが、場合によっては重たいロール体を積載したそれ自体も重たいAGVを微小な距離だけ正確に動かすのは困難であり、実現するにしてもより高価な本体駆動機構等が必要となる。これに対してロール体搬送用無人搬送車100は、載置台102の位置・向きの調整をより容易に、より低コストで実現する。
また、特にロール体2をターレット20から受け取るとき、ターレット20のチャックの停止位置が受け渡し停止位置からずれることがある。ロール体搬送用無人搬送車100では、第1y方向駆動部150、第2y方向駆動部160、x方向移載スライド162および傾斜調整部152の制御と荷重制御とを連動させることによって、リフタ164の駆動中にチャックの停止位置のずれを補償するよう載置台102の位置、向きを調整できる。これにより、よりスムーズで受け取りミスの少ないロール体2の受け取りが実現される。
また、従来のアウトリガー方式と比べて、ロール体搬送用無人搬送車100を使用する工場ではコーンを設ける必要がないので床をよりフラット化することができる。
また、従来のアウトリガー方式ではアウトリガーがコーンと接触する際に相応の発塵が有り、クリーンな環境での使用にはあまり適していなかった。これに対してロール体搬送用無人搬送車100ではそのような発塵はないのでクリーン性が必要とされる環境での使用により適している。
また、ロール体搬送用無人搬送車100は、本体168の停止後、第1y方向駆動部150および第2y方向駆動部160によって載置台102をy方向に動かすことができる。これにより、例えば上記図8(a)、(b)のような状況、すなわち生産機の切り欠き量が十分でない場合でも、生産機との間のロール体の受け渡しが可能となる。言い換えると、生産機側に要求される切り欠き量が低減され、生産機の設計の自由度が向上する。
また、ロール体搬送用無人搬送車100は、本体168の停止後、載置台102をz方向と直交する第2回転軸を中心として回転させることができる。これにより、本体168の停止後、例えば床が傾いていることによって載置台102が傾いている場合でも、載置台102を水平に戻すことができる。
また、ロール体搬送用無人搬送車100では、第2支持部はx方向に遊びを有する。したがって、載置台102がクロスローラ148を中心として回転した場合でも傾斜レール126と接点部128との位置関係を維持することができる。
以上、実施の形態に係るロール体取扱システムおよびそれに含まれるロール体搬送用無人搬送車100の構成と動作について説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
実施の形態では、第1位置検出器138および第2位置検出器140によってターレット20に対する載置台102の位置や向きを検出する場合について説明したが、この検出器としては、位置検出器と光やレーザなどの光源の組を設けてもよく、あるいはまたカメラとマークを使用してもよい。
実施の形態では、第2支持部はx方向に遊びを有する場合について説明したが、これに限られず、例えば遊びを設ける代わりに傾斜レールの幅を大きくとってもよい。
実施の形態では、3つのロードセルを用いる場合について説明したが、ロードセルを四隅に設けるとより確実にロールを受け渡すことができる。
実施の形態では、受光器30や投光器32は受け渡し停止位置で停止している一対のチャック28a、28bを通る鉛直線上に配置される場合について説明したが、これに限られない。中空部検知用センサは、ロール体搬送用無人搬送車100がロール体2を目標位置に向けて移動させる際に中空部を検出可能なように配置されればよい。
実施の形態では、中空部検知用センサ34は受光器30と投光器32とを備える場合について説明したが、これに限られない。例えば、一方にミラーなどの反射器、他方に投受光器を備えるセンサが使用されてもよい。あるいはまた、ターレットアーム24の一方のアームにのみ、素材4からの反射/非反射を捉えるセンサを設けてもよい。
実施の形態において、パラメータ保持部62は予め中空部8の直径φの既知の値を保持してもよい。制御部50は、径演算部64によって演算された直径φがパラメータ保持部62によって保持される既知の値と異なる場合、それらが等しくなるように第1y方向駆動部150、第2y方向駆動部160、x方向移載スライド162、傾斜調整部152を制御してもよい。これにより、巻回軸Mとチャック中心線Cとの位置合わせの精度をより高めることができる。
実施の形態では、1本のレーザ光LBを使用して中空部8の直径φを測定する場合について説明したがこれに限られない。図10(a)、(b)は、変形例に係る中空部検知用センサ200を示す説明図である。図10(a)、(b)はそれぞれ図3(a)、(b)に対応する。
中空部検知用センサ200は受光器202と投光器204とを含む。受光器202は一方のアーム24cに取り付けられる。投光器204は他方のアーム24dに取り付けられる。投光器204は、いずれもチャック中心線Cに平行な第1レーザ光LB3、第2レーザ光LB4を受光器202に向けて発する。第1レーザ光LB3と第2レーザ光LB4とは鉛直方向に距離D2だけ離間されている。この距離D2は、想定される中空部8の直径φよりわずかに小さい値に設定される。投光器204は他方のアーム24dに取り付けられるので、チャック中心線Cと第1レーザ光LB3との距離D3は固定されており、既知とできる。制御部は、中空部検知用センサ200における検知結果が(第1レーザ光LB3:非検知、第2レーザ光LB4:検知)の状態から(第1レーザ光LB3:検知、第2レーザ光LB4:検知)の状態に変わると、そこからロール体2を(距離D3+0.5距離D2)だけ上昇させる。この場合も、ターレットアーム24の停止位置の精度によらずにより確実にロール体2の巻回軸Mとチャック中心線Cとを揃えることができる。
中空部検知用センサ200では、巻回軸Mがチャック中心線Cに対して傾いていたり、巻回軸Mが第1レーザ光LB3や第2レーザ光LB4を通過しない場合、(第1レーザ光LB3:検知、第2レーザ光LB4:検知)の状態が発生しない可能性がある。この場合、巻回軸Mとチャック中心線Cとの位置合わせを行うことは難しい。これに対して実施の形態では、レーザ光LBが中空部8を通過すれば以降の位置合わせを続行できる。
実施の形態では、ロール体搬送用無人搬送車が無軌道で移動するAGVである例について説明したが、これに限られず、ロール体搬送用無人搬送車は有軌道台車であっても良い。また、有軌道台車を用いる場合には、搬送車は予め定められたルートを走行するので、実施の形態における光受信部90と光送信部92に代えて、光ファイバ等の光通信ケーブルを用いることができる。
実施の形態では、径演算部64は、中空部検知用センサ34がロール体2の中空部8を検知した期間の長さとロール体2の上昇速度Vにより中空部8の直径φを演算する例について説明したが、これに限られない。例えば、径演算部64は、中空部検知用センサ34がロール体2の中空部8を検知した期間にロール体2が昇降した距離を、図示しないエンコーダなどを用いて直接検出することで、直径φを演算しても良い。
図11は、変形例に係る一対のチャックのうちの一方のチャック402を示す模式図である。チャックシャフト404はターレットアーム24に移動可能かつ回転可能に取り付けられる。具体的には、チャックシャフト404はターレットアーム24に対してチャック中心線Cに沿った方向に移動する。チャックシャフト404はターレットアーム24に対して、チャック中心線Cの周りで回転する。
一方のチャック402とチャックシャフト404とは別体として形成される。一方のチャック402は、フランジ取り合い406などの着脱機構によって、チャックシャフト404のロール体側の端部404aに着脱可能に取り付けられる。一方のチャック402はエアーカプセルチャックであってもよいしメカニカルチャックであってもよい。
一方のチャック402がターレットアーム24に最も近づいた状態において、チャックシャフト404のロール体とは反対側の端部404bはターレットアーム24から突出する。すなわち、チャックシャフト404はターレットアーム24を貫通する。ターレットアーム24には、突出した端部404bを覆うようにカバー408が取り付けられる。
ロール体2を支持するときは、チャックシャフト404はターレットアーム24から離れる向きに移動する。これにより、一方のチャック402はロール体2の中空部8の一端にチャック中心線Cに沿って進入する。ロール体2を離すときは、チャックシャフト404はターレットアーム24に近づく向きに移動する。これにより、一方のチャック402はチャック中心線Cに沿って中空部8から退出する。
チャックはロール体2のコア6と接触を繰り返すので、使用回数が増えるとチャック表面の損耗も大きくなっていく。したがって、通常、定期的にチャックを交換することとなる。ここで、チャックとシャフトとが一体に形成されている場合、交換時にターレットアームからシャフトを取り外す必要があるので、交換作業は比較的煩雑で時間のかかるものとなる。
これに対して本変形例では、一方のチャック402とチャックシャフト404とは着脱可能に構成されているので、交換時には一方のチャック402を交換すればよく、チャックシャフト404はターレットアーム24に取り付けられたままとすることができる。これにより、メンテナンス性が向上する。また、中空部検知用センサは一方のチャック402から離れた位置に配置されているので、チャックの交換作業の邪魔とはなりにくい。
実施の形態では、一対のチャック28a、28bに対して中空部検知用センサ34をひとつ設ける場合について説明したが、これに限られない。中空部検知用センサは複数設けられてもよく、例えば、鉛直方向において、チャック中心線Cを挟んで中空部検知用センサ34の反対側に別の中空部検知用センサを配置してもよい。
図12は、変形例に係る2つの中空部検知用センサ502、504が取り付けられたターレットアーム24の一端部24aの正面図である。ターレットアーム24に設けられた一対のチャック28a、28bは水平受け渡し停止位置に停止している。
一方のアーム24cには、第1受光器506および第2受光器508が取り付けられる。他方のアーム24dには、第1投光器510および第2投光器512が取り付けられる。第1受光器506および第1投光器510は第1中空部検知用センサ502を構成する。第2受光器508および第2投光器512は第2中空部検知用センサ504を構成する。第1中空部検知用センサ502および第2中空部検知用センサ504のそれぞれと一対のチャック28a、28bとの相対位置は固定されている。特に、第1受光器506は水平受け渡し停止位置に停止した一方のチャック28aの鉛直上方に、第2受光器508は水平受け渡し停止位置に停止した一方のチャック28aの鉛直下方に、それぞれ配置される。第1投光器510は水平受け渡し停止位置に停止した他方のチャック28bの鉛直上方に、第2投光器512は水平受け渡し停止位置に停止した他方のチャック28bの鉛直下方に、それぞれ配置される。一方のチャック28aと第1受光器506との距離は、他方のチャック28bと第1投光器510との距離と実質的に等しい。以下、この距離をD4と称す。第2受光器508および第2投光器512についても同様に、第2中空部検知用センサ504と一対のチャック28a、28bとは距離D5だけ離れている。
レーザ光の投受光によるロール体の中空部の検知について、第1中空部検知用センサ502および第2中空部検知用センサ504のそれぞれは中空部検知用センサ34と同様に構成される。
生産機側のターレットについては一般に、一対のチャックの床からの高さD6をなるべく小さくしたいという要請がある。一対のチャックの高さD6が小さくなると、例えばチャックされたロール体に対してオペレータが作業を行いやすくなる。また、ターレットアームの回転半径が比較的小さくなるので、装置全体をよりコンパクトにすることができる。
想定される最も大きなロール体514をロール体搬送用無人搬送車100に搭載し、ロール体搬送用無人搬送車100のリフタ164を最下限の位置としたときの、そのロール体514の中空部516の床からの高さをD7と表記する。一対のチャック28a、28bの高さD6をできる限り小さくしようとする場合、高さD6を高さD7よりも僅かに大きくすることが考えられる。この状況で中空部検知用センサを一対のチャック28a、28bの鉛直下方に設ける場合、中空部516の上端を検知できない可能性が高い。したがって、ロール体514の中空部516を適切に検知するために、中空部検知用センサを一対のチャック28a、28bの鉛直上方に設けることとなる。鉛直上方に設けられた中空部検知用センサのレベルまで中空部516を上昇させて中空部516の径を測定し、その結果に基づいて中空部516を下降させることで中空部516と一対のチャック28a、28bとの位置合わせが行われる。
ここで、中空部検知用センサを一対のチャック28a、28bの鉛直上方にのみ設けることとすると、比較的小さなロール体518をチャックする場合でも、そのロール体518を、鉛直上方に設けられた中空部検知用センサのレベルまで上昇させる必要がある。これにより、ロール体搬送用無人搬送車100に対して、鉛直方向での比較的大きなストローク長が要求される。大きなストローク長を実現するためには比較的大型のリフタ164を採用する必要があり、ロール体搬送用無人搬送車100全体が大型化しうる。
そこで本変形例では、一対のチャック28a、28bの鉛直上方に第1中空部検知用センサ502を設け、鉛直下方にも第2中空部検知用センサ504を設けている。これにより、第2中空部検知用センサ504を使用して比較的小さなロール体518の中空部を検知できるので、ロール体518を第1中空部検知用センサ502のレベルまで上昇させる必要はない。その結果、ロール体搬送用無人搬送車100に要求されるストローク長を、距離D4程度低減することができる。これはロール体搬送用無人搬送車100の小型化に寄与する。