JP5149669B2 - 運転支援装置 - Google Patents

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Description

本発明は、運転支援装置に係り、特に、逆光を検出した場合に自車両に対する運転支援制御を一時停止する機能を備えた運転支援装置に関する。
近年、自車両に搭載したカメラ等の撮像手段により撮像された画像に対して画像処理を行い、自車両の前方を走行する先行車両を検出し、それに基づいて先行車両に対する追従走行制御を行う先行車追従機能付きクルーズコントロール(Adaptive Cruise Control。以下ACCと略称する)制御を行うACC装置が開発されている。また、撮像された画像の画像処理により、自車両の左右の車線を検出して、自車両を車線に追従して走行するように制御する車線追従制御機能を備えた車線追従制御装置が開発されている。なお、本発明では、追い越し禁止線等の道路中央線や車両通行帯境界線、路側帯と車道とを区画する区画線等の道路面上に標示された連続線や破線を車線という。
ACC装置では、先行車両が存在しない場合には自車両を設定された速度で定速走行させ、先行車両が存在する場合には自車両を先行車両に追従させるように自車両のアクセルスロットルやブレーキ機構等を自動的に適切に操作する制御が行われる。そのため、ACC装置で用いられる先行車両の情報は、先行車両を的確に検出できる状況において検出されたものであることが求められる。
また、車線追従制御装置では、自車両が左右の車線から逸脱せずに、車線に追従して走行するように、自車両のステアリング操作を自動的に行う制御が行われる。そのため、車線追従制御装置で用いられる車線の情報は、車線を的確に検出できる状況において検出されたものであることが求められる。
ところで、例えば図18に示すような逆光の撮像環境下では、撮像手段により撮像された画像T中に太陽Suの強い光によるフレア(flare。レンズフレア、ハレーション等とも言う。)Flや筋状のスミア(smear。白飛び等とも言う。)Smが発生する場合がある。このような逆光の撮像環境下で撮像された画像Tから車線を検出したり、画像T等に対してステレオマッチング処理等の画像処理を行って先行車両Vahを検出しようとすると、極端に明るいフレアFlやスミアSmの影響で、それらを検出できなくなる場合がある。
そして、先行車両Vahや車線が検出できなくなった状態で、上記の車線追従制御や車線追従制御等の運転支援制御を作動させ続けると、自車両が先行車両Vahに向かって接近して追突したり、自車両が勝手に車線を逸脱したりして、非常に危険な状況となる。
そこで、このような事態の発生を回避するため、スミアSmやフレアFlを検出して、それらが撮像される逆光の撮像環境下において運転支援制御の一時停止の開始や解除の条件を変更する技術が開発されている(例えば特許文献1等参照)。
特開2002−27447号公報
ところで、運転支援装置には、運転支援制御が一時停止される場合にそれをドライバに知らせるために、運転支援制御の一時停止が開始される際や解除される際に、例えばスピーカからピッという音声を発声するように構成されることが多い。
その場合、従来の運転支援制御の一時停止の開始や解除の手法では、逆光下で、撮像手段を搭載する自車両が、日陰に入ると逆光の条件がなくなり通常の撮像環境になって運転支援制御の一時停止が解除され、日向に出ると再度運転支援制御が一時停止されるため、自車両が走行する道路の周囲に建物や街路樹、歩道橋、陸橋等が存在する場合には、日向や日陰が繰り返し現れて運転支援制御の一時停止の開始や解除が繰り返されて、そのたびにスピーカから音声が発声され、ドライバに不快な思いをさせる場合がある。
このような現象は、上記のような状況以外にも、自車両が例えばカーブが連続するワインディング路を走行しているような場合にも発生する。すなわち、自車両の向きが変わるたびに撮像手段の視野に太陽に出たり入ったりするため、運転支援制御の一時停止の開始や解除が繰り返されて、そのたびにスピーカから音声が発声される。
それを回避するために、逆光により運転支援制御を一時停止した後、しばらくの間、一時停止を継続するように構成することが考えられる。しかし、例えばその後自車両が日陰に入るなどして、先行車両Vahや車線がドライバの目にははっきり見えているにもかかわらず、運転支援制御が再開されないということになるため、この場合もドライバに違和感を与えてしまう。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、逆光の撮像環境下においてもドライバの感覚にあうように運転支援制御の一時停止を開始し解除することが可能な運転支援装置を提供することを目的とする。
前記の問題を解決するために、第1の発明は、
逆光を検出した場合に自車両に対する運転支援制御を一時停止する機能を備えた運転支援装置において、
一対のカメラで自車両の周囲の環境を撮像して基準画像と比較画像とを出力する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された画像中から特定の対象を検出する検出手段と、
前記撮像手段により出力された前記基準画像と前記比較画像のステレオマッチング処理による視差と両画像の輝度値とから逆光を検出する逆光検出手段と、
自車両のヨーレートを測定するヨーレート測定手段と、
前記逆光検出手段により前記逆光が検出された場合に、前記ヨーレート測定手段により測定される自車両の前記ヨーレートまたは測定された前記ヨーレートを積分して得られるヨー角に基づいて自車両に対する運転支援制御の一時停止の開始または解除の条件を設定する条件設定手段と、
前記検出手段により検出された前記特定の対象の情報に基づいて自車両に対して前記運転支援制御を行い、前記条件設定手段により設定された前記条件に従って前記運転支援制御の一時停止の開始または解除を行う制御手段と、
を備えることを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明の運転支援装置において、
前記逆光検出手段は、前記基準画像を所定の画素数の画素ブロックに分割し、前記各画素ブロックごとに前記比較画像とのステレオマッチング処理を行って前記基準画像の前記各画素ブロックにそれぞれ対応づけられた視差または距離のうち、前記距離として無限遠を含む遠方距離閾値以上の距離または前記視差として前記遠方距離閾値に対応する遠方視差閾値以下の視差が対応づけられた前記画素ブロックが属する前記基準画像の縦方向に延在する画素列の各画素の輝度値の探索を行い、所定の輝度値以上の輝度値を有する前記画素の数が前記画素列に属する全画素数の所定の割合以上存在することを検出することによ
り前記逆光を検出することを特徴とする。
第3の発明は、第1または第2の発明の運転支援装置において、
前記撮像手段は、一対のカメラで自車両の周囲の環境を撮像して基準画像と比較画像とを出力し、
前記特定の対象は、先行車両であり、
前記制御手段は、前記検出手段により検出された前記先行車両の情報に基づいて自車両に対して前記先行車両に追従するように制御する先行車追従制御を行うことを特徴とする。
第4の発明は、第1から第3のいずれかの発明の運転支援装置において、
前記特定の対象は、自車両の左右の車線であり、
前記制御手段は、前記検出手段により検出された前記車線の情報に基づいて自車両に対して前記車線に追従するように制御する車線追従制御を行うことを特徴とする。
第5の発明は、第1から第4のいずれかの発明の運転支援装置において、前記条件設定手段は、前記逆光検出手段により前記逆光が検出された際に、前記ヨーレート測定手段により測定されるヨーレートの絶対値が閾値以上である場合には、前記運転支援制御の一時停止を開始しないことを特徴とする。
第6の発明は、第1から第5のいずれかの発明の運転支援装置において、前記条件設定手段は、前記逆光検出手段により前記逆光が検出されて自車両に対する前記運転支援制御が一時停止された後の時点において、前記ヨーレート測定手段により測定される自車両の前記ヨーレートを積分して得られる自車両のヨー角の、前記運転支援制御が一時停止された時点におけるヨー角からの変化量の絶対値が所定値に達した場合に、前記運転支援制御の一時停止を解除することを特徴とする。
第7の発明は、第6の発明の運転支援装置において、前記条件設定手段は、前記逆光検出手段により前記逆光が検出された際に前記運転支援制御が一時停止された場合に、前記ヨー角に対する条件が満たされなければ第1所定時間だけ前記一時停止を継続して解除し、前記解除後、予め設定された所定期間内に、再び前記逆光検出手段により前記逆光が検出されて前記運転支援制御が一時停止された場合には、前記ヨー角に対する条件が満たされなければ前記第1所定時間より長く設定される第2所定時間だけ前記一時停止を継続した後に解除することを特徴とする。
第8の発明は、第1から第7のいずれかの発明の運転支援装置において、さらに、自車両に対する前記運転支援制御が一時停止された場合に、自車両のドライバに対して前記運転支援制御が停止されたことを報知する報知手段を備えることを特徴とする。
第1の発明によれば、逆光の撮像環境は、自車両の挙動、特にヨーレートやヨー角で表される自車両のヨー角運動により解消され得ることに着目して、自車両のヨーレートやヨー角に基づいて自車両に対する運転支援制御(先行車追従制御)の一時停止の開始や解除を行うように構成した。
すなわち、例えば、ヨー角運動により自車両の向きが急速に変化していて逆光の撮像環境になってもすぐに逆光の撮像環境ではなくなることが予見できる状況では運転支援制御を一時停止させないようにしたり、一旦運転支援制御が一時停止されても自車両の向きが十分に変化した場合に一時停止を解除することで、ドライバの感覚にあうように運転支援制御の一時停止を開始させ或いは解除させることが可能となる。
このように、自車両のヨーレートやヨー角に基づいて自車両に対する運転支援制御の一時停止の開始や解除を行うように構成することで、逆光の撮像環境下においても、ドライバの感覚にあうように運転支援制御の一時停止を的確に開始し解除することが可能となる。
第2の発明によれば、前記発明の効果に加え、ステレオカメラで撮像した基準画像と比較画像とにステレオマッチング処理を施して視差等の情報を入手し、無限遠を含む遠方距離に相当する視差等が対応づけられた画素ブロックが属する基準画像の画素列を例えばスミア候補とし、その画素列の輝度値を探索することで、基準画像上に発生したスミアを的確に検出することが可能となる。また、スミアが発生していることから逆光の撮像環境であることを的確に検出することが可能となる。
第3および第4の発明によれば、特定の対象が先行車両であり、運転支援制御として検出手段により検出された先行車両の情報に基づいて自車両に対して先行車両に追従するように制御する先行車追従制御が行われる運転支援装置、或いは特定の対象が自車両の左右の車線であり、運転支援制御として検出手段により検出された車線の情報に基づいて自車両に対して車線に追従するように制御する車線追従制御が行われる運転支援装置においても、前記各発明の効果が的確に発揮される。
第5の発明によれば、たとえ逆光の撮像環境になったとしても、その際の自車両のヨーレートの絶対値が閾値以上に大きく、自車両が右方向或いは左方向に急速に旋回している場合には、すぐに撮像手段の視野の中に太陽が撮像されなくなって逆光の撮像環境でなくなることは、ドライバが経験的によく知る事実である。そのため、このような場合には、逆光が検出されても運転支援制御を一時停止させずにそのまま継続させるように構成した方が、ドライバの感覚によりよく適合するようになり、前記各発明の効果が的確に発揮される。
第6の発明によれば、逆光の撮像環境になり、運転支援制御が一時停止された場合にはその解除まである程度時間がかかるが、逆光の撮像環境において自車両が旋回すれば撮像手段の視野の中に太陽が撮像されなくなって逆光の撮像環境ではなくなることは、ドライバが経験的によく知る事実である。そのため、このような場合には、自車両が旋回した後も運転支援制御の一時停止を継続させずに解除して再開する方が、ドライバの感覚によりよく適合するようになり、前記各発明の効果が的確に発揮される。
第7の発明によれば、上記のように逆光の撮像環境下で自車両が大きくは旋回せず、運転支援制御の一時停止が自動的に解除されない場合には、前述したような日向と日陰が繰り返される等してスピーカから音声が連続して発声されてドライバに不快な思いをさせる。そこで、そのような場合には、最初に運転支援制御が一時停止された場合には比較的短時間で一時停止を解除し、解除後、所定期間内に再び運転支援制御が一時停止された場合には比較的長時間が経過してから解除するように構成する。このように構成することで、ドライバが感じる煩わしさを軽減することが可能となり、前記各発明の効果が的確に発揮される。
第8の発明によれば、前記発明の効果に加え、自車両のドライバが、運転支援制御が一時停止されたことに気づかないと、運転支援制御が作動していると誤信して危険な状態に陥るため、自車両に対する運転支援制御を一時停止した場合やそれを解除した場合に、ドライバに対して例えば音声を発声させたり画面上に表示させたりランプを点灯させるなどして運転支援制御が一時停止されたことをドライバに報知することで、ドライバの注意を喚起することが可能となる。
以下、本発明に係る運転支援装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。
なお、以下では、特定の対象として撮像手段で撮像された画像中から先行車両を検出し、運転支援制御として自車両を検出された先行車両に追従するように制御する先行車追従制御を行う場合について説明する。
[全体構成]
本実施形態に係る運転支援装置1は、図1に示すように、車両用環境認識装置2と、制御装置である先行車追従制御装置3と、本実施形態における報知手段である報知装置4とで構成されている。
[検出装置]
車両用環境認識装置2は、図2に示すように、主に撮像手段21や変換手段22、画像処理手段25、処理手段28等で構成されている。
本実施形態では、撮像手段21から処理手段28の物体検出手段28Aまでの構成は、本願出願人により先に提出された特開平5−114099号公報、特開平5−265547号公報、特開平6−266828号公報、特開平10−283461号公報、特開平10−283477号公報、特開2006−72495号公報等に記載された車外監視装置等をベースに構成されている。以下、簡単に説明する。
撮像手段21は、車幅方向に一定の距離をあけて配置された一対の撮像手段であるメインカメラ21aおよびサブカメラ21bを備えて構成されており、自車両の周囲の環境を撮像して一対の画像(基準画像および比較画像)を撮像するようになっている。本実施形態では、撮像手段21として、互いに同期が取られたCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサが内蔵されたステレオカメラが用いられている。
撮像手段21で撮像され出力された一対の画像は、変換手段22であるA/Dコンバータ22a、22bでアナログ画像からそれぞれ画素ごとに例えば0〜255のグレースケール等の所定の輝度階調の輝度値を有するデジタル画像にそれぞれ変換され、画像補正部23でずれやノイズの除去、輝度値の補正等の画像補正が行われて、画像データメモリ24に格納されるとともに、処理手段28に送信されるようになっている。
また、画像補正が行われた一対の撮像画像は、画像処理手段25にも送信されるようになっている。画像処理手段25は、イメージプロセッサからなるステレオマッチング手段26と距離データメモリ27とを備えており、ステレオマッチング手段26では、ステレオマッチング処理が行われるようになっている。
具体的には、ステレオマッチング手段26は、図3に示すように、基準画像T上に例えば3×3画素や4×4画素等の所定の画素数の基準画素ブロックPBを設定し、基準画素ブロックPBに対応する比較画像Tc中のエピポーララインEPL上の基準画素ブロックPBと同形の各比較画素ブロックPBcについて下記(1)式に従って当該基準画素ブロックPBとの輝度パターンの差異であるSAD値を算出し、SAD値が最小の比較画素ブロックPBcを特定するようになっている。
Figure 0005149669
なお、p1stは基準画素ブロックPB中の各画素の輝度値を表し、p2stは比較画素ブロックPBc中の各画素の輝度値を表す。また、上記の総和は、基準画素ブロックPBや比較画素ブロックPBcが例えば3×3画素の領域として設定される場合には1≦s≦3、1≦t≦3の範囲、4×4画素の領域として設定される場合には1≦s≦4、1≦t≦4の範囲の全画素について計算される。
ステレオマッチング手段26は、このようにして基準画像Tの各基準画素ブロックPBについて、特定した比較画素ブロックPBcの比較画像Tc上の位置と当該基準画素ブロックPBの基準画像T上の位置から視差dpを算出するようになっている。本実施形態では、ステレオマッチング手段26は、例えば図4に例示する基準画像Tの各基準画素ブロックPBに上記のようにして算出した視差dpをそれぞれ対応づけるようになっている。
以下、視差dpが各基準画素ブロックPBにそれぞれ対応づけられた基準画像Tを距離画像Tzという。例えば図4の基準画像Tの各基準画素ブロックPBに視差dpがそれぞれ対応づけられて形成された距離画像Tzは図5に示すような画像となる。ステレオマッチング手段26は、このようにして形成した距離画像Tzのデータを距離データメモリ27に送信して格納するとともに、処理手段28に送信するようになっている。
なお、この視差dpおよび距離画像Tz上の座標(i,j)と、実空間上の位置(X,Y,Z)とは、三角測量の原理に基づいて以下のように対応づけられる。具体的には、実空間上においてメインカメラ21aおよびサブカメラ21bの中央真下の道路面上の点を原点とし、自車両の車幅方向すなわち左右方向にX軸、車高方向にY軸、車長方向すなわち距離方向にZ軸を取ると、実空間上の点(X,Y,Z)と、視差dpと距離画像Tz上の座標(i,j)との関係は、
X=CD/2+Z×PW×(i−IV) …(2)
Y=CH+Z×PW×(j−JV) …(3)
Z=CD/(PW×(dp−DP)) …(4)
と表すことができ、(i,j,dp)と(X,Y,Z)とは1対1に対応づけられる。
ここで、CDはメインカメラ21aとサブカメラ21bとの間隔、PWは1画素当たりの視野角、CHはメインカメラ21aとサブカメラ21bの取り付け高さ、IVおよびJVは自車両正面の無限遠点のi座標およびj座標、DPは消失点視差を表す。
また、上記のように、視差dpと実空間上の距離Zとは上記(4)式を介して1対1に対応づけられる。そのため、本実施形態では、上記のように、基準画像Tの各基準画素ブロックPBに視差dpをそれぞれ対応づけて距離画像Tzを形成するが、距離画像Tzを形成する時点で、各基準画素ブロックPBごとの視差dpを距離Zの情報に変換し、基準画像Tの各基準画素ブロックPBにそれぞれ距離Zの情報を対応づけて距離画像Tzを形成するように構成することも可能である。
処理手段28(図2参照)は、図示しないCPUやROM、RAM、入出力インターフェース等がバスに接続されて構成されるコンピュータに構成されている。また、処理手段28には、車速センサやヨーレートセンサ、ステアリングホイールの舵角を測定する舵角センサ等のセンサ類Qが接続されている。
特に、図示しないヨーレートセンサは、本実施形態におけるヨーレート測定手段を構成しており、自車両のヨー角運動としてヨーレートγを測定して処理手段28に送信するようになっている。なお、ヨーレート測定手段として、ヨーレートセンサの代わりに自車両の車速等からヨーレートを推定する装置等を用いることも可能である。
処理手段28は、物体検出手段28Aと、検出手段である先行車両検出手段28Bと、逆光検出手段28Cと、条件設定手段28Dとを備えており、さらに図示しないメモリを備えている。また、例えば車線検出手段等の他の機能を備えるように構成することも可能である。処理手段28の各手段には、センサ類Qから必要なデータが入力されるようになっている。
物体検出手段28Aは、撮像手段21により撮像された基準画像T中から物体を検出するようになっている。本実施形態では、物体検出手段28Aにおける処理は、前記各公報に記載された車外監視装置等における処理をベースに構成されている。以下、簡単に説明する。
物体検出手段28Aは、例えば図5に示した距離画像Tzを図6に示すように縦方向に延在する所定幅の短冊状の区分Dnに分割する。そして、図7に示すように、各区分DnごとにヒストグラムHnを作成し、各区分Dnに属する各基準画素ブロックPBの視差dpのうち道路面より上方に存在する視差dpをヒストグラムHnに投票し、例えばその最頻値dpnをその区分の代表視差として抽出する。これを全区分についてそれぞれ行う。
そして、物体検出手段28Aは、各区分Dnの代表視差に基づいて前記(2)〜(4)式から物体の実空間上の座標(X,Y,Z)を算出するようになっている。算出された物体の座標を実空間上にプロットすると、各物体の座標は図8に示すように前方の物体の自車両Aに面した部分に対応する部分に多少ばらつきを持って各点としてプロットされる。
物体検出手段28Aは、このようにプロットされる各点について、実空間上の各点の隣接する点とのX軸方向の距離やZ軸方向の距離、グループ化した場合の左端の点から右端の点までのX軸方向の全長等を検索しながら、それらの値がそれぞれ設定された閾値以内である点をそれぞれグループにまとめ、図9に示すようにそれぞれのグループ内の各点を直線近似して物体を検出するようになっている。
また、本実施形態では、物体検出手段28Aは、このようにして検出した各物体を図10に示すように基準画像T上で矩形状の枠線で包囲するようにして検出するようになっている。なお、図9や図10において、ラベルOやラベルSは物体の自車両Aに対向する面の種別を表し、ラベルOは物体の背面、ラベルSは物体の側面が検出されていることを表す。
物体検出手段28Aは、このようにして検出した各物体の情報をメモリに保存するとともに、必要に応じて外部に出力するようになっている。
先行車両検出手段28Bは、図11に示すように自車両Aの挙動に基づいて自車両Aが今後進行するであろう軌跡を走行軌跡Lestとして推定し、その走行軌跡Lestを中心とする自車両Aの車幅分の領域を自車両Aの進行路Restとして算出するようになっている。
自車両Aの走行軌跡Lestは、自車両Aの車速Vやヨーレートγ、ステアリングホイールの舵角δ等に基づいて下記(5)式または下記(6)、(7)式に従って算出される自車両Aの旋回曲率Cuaに基づいて算出することができる。なお、下記の各式におけるReは旋回半径、Asfは車両のスタビリティファクタ、Lwbはホイールベースである。
Cua=γ/V …(5)
Re=(1+Asf・V)・(Lwb/δ) …(6)
Cua=1/Re …(7)
先行車両検出手段28Bは、続いて、自車両Aの進行路Rest上に存在する物体の中で自車両Aに最も近接する物体を自車両Aの前方を走行する先行車両Vahとして検出するようになっている。例えば図10や図11では、車両O3が先行車両Vahとして検出される。
先行車両検出手段28Bは、このようにして検出した先行車両Vahの自車両からの距離Zやその他必要な情報をメモリに保存するとともに、先行車追従制御装置3に送信するようになっている。
なお、本実施形態では、先行車両検出手段28Bは、前回のサンプリング周期で検出した先行車両と今回のサンプリング周期で先行車両として検出した物体とが同一の立体物である確率を算出するなどして、整合性を保ちながら先行車両を追跡するようになっている。また、先行車両検出手段28Bは、検出した先行車両が自車両の前方から離脱してさらにその前方の車両が新たに先行車両となったり、自車両と先行車両との間に他の車両が割り込んできて当該他の車両が新たな先行車両となることによる先行車両の交替を検出できるようになっている。
逆光検出手段28Cは、撮像手段21により撮像された基準画像T等に基づいて逆光を検出するようになっている。本実施形態では、基準画像Tに撮像されたスミアSmを検出することで撮像環境が逆光の撮像環境であることを検出するようになっているが、これに限定されず、この他にも、例えば本願出願人により先に提出された前記特許文献1に記載の手法を用いて逆光を検出するように構成することも可能である。
逆光検出手段28Cは、本実施形態では、物体検出手段28Aにおける距離画像Tzを分割する各区分Dnに属する各基準画素ブロックPBの視差dpの、ヒストグラムHnへの投票状況を監視し、当該ヒストグラムHnにおける無限遠を含む遠方距離に相当する視差dpの投票数を監視するようになっている。
これは、逆光によるスミアSmの場合には、ステレオマッチング処理で自車両から太陽までの距離に相当する無限遠を含む遠方距離に対応する視差dpの値が算出されるのに対し、例えば太陽光を反射するなどして白く輝く柱状の物体が画像を上から下まで貫くように撮像された場合には、ステレオマッチング処理で自車両から数mや数十m等の有限の距離に対応する視差dpの値が算出されるという知見に基づくものである。つまり、数mや数十m等の有限の距離に対応する視差dpの値が算出されている白く輝く物体はスミアSmではなく通常の物体であり、スミアSmでは、ステレオマッチング処理で無限遠を含む遠方距離に相当する視差dpの値が算出される。
また、自車両から無限遠の距離に対応する視差dpの値とは、上記(4)式の左辺の距離Zに無限大∞を代入して、変形すると、
∞=CD/(PW×(dp−DP)) …(8)
dp−DP=CD/(PW×∞)=0 …(9)
すなわち、
dp=DP …(10)
となることからも分かるように、消失点視差DPやそれに近い値のことである。
このことから、本実施形態では、ステレオマッチング処理により算出された視差dpの値に、無限遠を含む遠方距離に対応する遠方視差閾値を設け、遠方視差閾値を例えば無限遠に対応する視差DPに近い値であるDP+1に設定し、視差dpが遠方視差閾値であるDP+1以下である基準画素ブロックPBを、無限遠を含む遠方距離に対応する視差dpの値が算出された基準画素ブロックPBとして検出するようになっている。
なお、前述したように、基準画像Tの各基準画素ブロックPBにそれぞれ距離Zの情報を対応づけて距離画像Tzを形成する場合には、無限遠を含む遠方距離を規定する距離Zの閾値として遠方距離閾値を設定し、距離Zが遠方距離閾値以上である基準画素ブロックPBを、無限遠を含む遠方距離に対応する距離Zの値が算出された基準画素ブロックPBとして検出するように構成する。この場合、遠方距離閾値は、例えば前述した遠方視差閾値として設定される視差DP+1に対応する距離の値が設定される。
具体的には、逆光検出手段28Cは、図7に示したように視差dpの投票が行われる各ヒストグラムHnにおける投票状況を監視し、図12に示すように、ヒストグラムHnにおいて視差dpの値がDP+1以下の範囲の視差dpの投票数を監視して、当該範囲の視差dpの投票数の合計値が所定の閾値以上になった場合に、当該ヒストグラムHnに対応する距離画像Tz上の区分Dnをスミア候補とする。
なお、遠方視差閾値や遠方距離閾値をどのような値に設定するか、或いは投票数の合計値に関する上記の所定の閾値をどのような値に設定するかは、車両用環境認識装置2に用いられる撮像手段21のCCDイメージセンサ等の性能等に依存するため、適宜、適切な値がそれぞれ設定される。
逆光検出手段28Cは、続いて、上記の条件が満たされてスミア候補とされた距離画像Tzの当該区分Dnと同じ基準画像T上の領域に画素列に設定するようになっている。距離画像Tz上の区分Dnが縦方向に延在する4画素幅の画素列であれば、図13に示すように、基準画像Tの同じ位置に4画素幅の画素列Dnをあてはめて設定する。なお、図13では、1画素幅が実際より大きく表現されている。
ここで、4画素幅の画素列Dn全体を対象としてスミアが発生しているか否かの判定を行うように構成することも可能である。しかし、本実施形態では、逆光検出手段28Cは、4画素幅の画素列Dnに含まれる1画素幅の各画素列Dn1〜Dn4についてスミアが発生しているか否かの判定を行うように構成されている。
具体的には、逆光検出手段28Cは、1画素幅の各画素列Dn1〜Dn4について、それぞれ画素列の各画素の輝度値p1ijの探索を行い、所定の輝度値pth以上の輝度値を有する高輝度の画素の数が、当該1画素幅の画素列に属する全画素数の所定の割合以上存在するか否かを検出するようになっている。
ここで、前述したように基準画像Tの各画素の輝度値p1ijが0〜255のグレースケールで設定される場合には、上記の所定の輝度値pthは例えば輝度値の飽和状態に近い240等の高い値に設定される。また、上記の所定の割合は例えば75%等に設定される。そして、逆光検出手段28Cは、4画素幅の画素列Dn中の1画素幅の各画素列Dn1〜Dn4のうち、少なくとも1列の画素列で上記の条件が満たされる場合に、スミアSmが発生していると判定するようになっている。
逆光検出手段28Cは、このようにしてスミアが発生していると判定した場合に、逆光を検出したと判定するようになっている。
条件設定手段28Dは、上記のようにして逆光検出手段28Cにより逆光が検出された場合に、ヨーレート測定手段により測定される自車両のヨーレートγや、ヨーレートγを積分して得られるヨー角θに基づいて、自車両に対する運転支援制御の一時停止の開始または解除の条件を設定するようになっている。
具体的には、条件設定手段28Dは、下記のようにして自車両に対する運転支援制御の一時停止の開始または解除の条件を設定するようになっている。
[条件1]
(1)逆光検出手段28Cにより逆光が検出された時点における自車両のヨーレートγの絶対値が予め設定された閾値γth以上である場合には、運転支援制御の一時停止を開始しない。
すなわち、条件設定手段28Dは、逆光検出手段28Cが逆光を検出した時点で、ヨーレートセンサにより測定され送信されてきた自車両のヨーレートγの絶対値が閾値γth以上に大きく、自車両が右方向或いは左方向に急速に旋回している場合には、逆光検出手段28Cが上記のように逆光を検出したとしても、運転支援制御を一時停止させず、そのまま継続させるようになっている。
これは、撮像手段21により撮像された画像(基準画像T、比較画像Tc)にスミアSmが撮像されるような逆光の撮像環境であっても、自車両が急速に旋回すれば、すぐに撮像手段21の視野の中に太陽が撮像されなくなって逆光の撮像環境ではなくなるためである。
[条件2]
(2)逆光検出手段28Cにより逆光が検出されて自車両に対する運転支援制御が一時停止された後の時点において、自車両のヨーレートγを積分して得られる自車両のヨー角θの、運転支援制御が一時停止された時点におけるヨー角θinからの変化量Δθの絶対値が所定値Δθthに達した場合に、運転支援制御の一時停止を解除する。
すなわち、条件設定手段28Dは、図14に示すように、ヨーレートセンサから送信されてくるヨーレートγを常に積分して各時刻tにおける自車両のヨー角θを算出するようになっている。
そして、条件設定手段28Dは、逆光検出手段28Cにより逆光が検出された時点で前記条件1が満たされなければ自車両に対する運転支援制御を一時停止するが、それと同時に、その時刻tinにおけるヨー角θinを記憶する。そして、その後、ヨー角θを監視し続け、下記の条件3を満たす前のある時刻tで、その時刻tにおけるヨー角θtが、予め設定された正の所定値Δθthに対して、
|θt−θin|=|Δθ|≧Δθth …(11)
の関係を満たすとき、その時刻tで運転支援制御の一時停止を解除するようになっている。
これは、撮像手段21により撮像された画像(基準画像T、比較画像Tc)にスミアSmが撮像されて逆光の撮像環境になった状態から、自車両が旋回すれば、撮像手段21の視野の中に太陽が撮像されなくなって逆光の撮像環境ではなくなるためである。
そこで、所定値Δθthは、例えばメインカメラ21aやサブカメラ21bを構成するCCDイメージセンサの視界角θfa(例えば30°)に設定される。このように設定すれば、例えば図15に示すように、自車両Aに搭載された撮像手段21により撮像される画像の右端部分に太陽Suが撮像されるような逆光の撮像環境であった場合に、自車両Aが右方向に旋回すると、太陽Suはサンプリング周期ごとに画像中を右側から左方向に移動していき、自車両Aが少なくとも視界角θfaだけ旋回すれば、太陽Suは画像の左端から画像外に出て画像中には撮像されなくなり、逆光の撮像環境が解消されるためである。
[条件3]
(3)逆光検出手段28Cにより逆光が検出されて運転支援制御が一時停止された場合に、前記条件2が満たされない場合は、第1所定時間だけ一時停止を継続して解除する。そして、この解除後、予め設定された所定期間内に、再び逆光検出手段28Cにより逆光が検出されて運転支援制御が一時停止された場合には、前記条件2が満たされなければ、第2所定時間だけ一時停止を継続した後に解除する。
例えば、第1所定時間は30秒、第2所定時間は2分、所定期間は5分等の適宜な値に設定される。つまり、上記の条件2が満たされない場合には、最初に運転支援制御が一時停止されてから30秒等の比較的短時間で一時停止が解除され、解除後、5分等の所定期間内に、再び運転支援制御が一時停止される場合には、今度は一時停止が開始された後、2分等の比較的長時間が経過してから解除されるようになる。
これは、本実施形態においても、後述するように運転支援制御が一時停止される際と一時停止が解除される際にそれぞれ報知手段である報知装置4のスピーカからピッという音声を発声するように構成されるが、最初は運転支援制御の一時停止の開始と解除の各音声の間隔が短くても許容されるが、続けて短い間隔で音声が発声されるとドライバが煩わしさを感じる。そこで、2回目以降は、音声の間隔を広げて、ドライバが感じる煩わしさを軽減するためである。
また、最初の運転支援制御の一時停止の開始と解除で短い間隔で音声が発声された後、5分も経てば再度短い間隔で音声が発声されても、ドライバには音声が連続して鳴って煩わしいとは感じられない。逆の言い方をすれば、所定期間は、運転支援制御の一時停止の開始と解除で短い間隔で音声が発声されることが最初に生じた後、ドライバに音声が連続して鳴っているとは感じられない例えば5分程度の長い期間に設定される。
条件設定手段28Dは、上記のようにして自車両に対する運転支援制御の一時停止の開始や解除の条件を設定すると、運転支援制御を一時停止させる場合には停止信号を、運転支援制御の一時停止を解除する場合には解除信号を、それぞれ先行車追従制御装置3に対して送信するようになっている。
[先行車追従制御装置および報知装置]
制御装置である先行車追従制御装置3(図1参照)は、マイクロコンピュータ等からなる制御手段31と、制御手段31からの指示に基づいて自車両のアクセルスロットルやブレーキ機構等を操作するアクチュエータ等からなる応動部32とで構成されている。
先行車追従制御装置3の制御手段31は、本実施形態では、車両用環境認識装置2の先行車両検出手段28Bから先行車両Vahの自車両からの距離Zの情報等が送信されてくると、それに基づいて応動部32を指示して自車両を先行車両Vahに追従させるようになっている。
その際、自車両と先行車両Vahとが走行中であれば、先行車両Vahとの車間距離を保つ状態で自車両を先行車両Vahに追従させ、先行車両Vahが停止した場合には、先行車両Vahの後方の先行車両Vahから所定の距離だけ離れた位置で自車両を停止させる。制御手段31は、このように、車両用環境認識装置2の先行車両検出手段28Bから送信されてくる先行車両Vahの情報に基づいて、運転支援制御として、自車両に対して上記の処理を含む公知の先行車追従制御を行うようになっている。
一方、先行車追従制御装置3の制御手段31は、車両用環境認識装置2の条件設定手段28Dから、前述した停止信号が送信されてくると、上記の自車両に対する先行車追従制御を一時的に停止し、前述した解除信号が送信されてくると、上記の自車両に対する先行車追従制御の一時停止を解除して、先行車追従制御を再開するようになっている。
また、自車両のドライバが、先行車追従制御の一時停止の開始や解除に気づかないと危険であるため、本実施形態では、先行車追従制御装置3の制御手段31は、車両用環境認識装置2の条件設定手段28Dから送信されてきた停止信号や解除信号をそれぞれ報知装置4に送信するようになっている。
報知装置4は、図示しないスピーカを備えており、先行車追従制御装置3の制御手段31から停止信号や解除信号が送信されてくると、スピーカから音声を発声させるようになっている。なお、スピーカの他に、報知装置4に例えば図示しない画面やランプ等を設け、停止信号や解除信号に基づいて、例えば先行車追従制御が一時停止されている間、画面上に表示させたりランプを点灯させるなどして、先行車追従制御が停止されたことをドライバに報知するように構成することも可能である。
なお、本実施形態に係る運転支援装置1の作用については上記の構成中で説明した通りであり、説明を省略する。
[効果]
以上のように、本実施形態に係る運転支援装置1によれば、逆光の撮像環境下では、自車両の挙動、特にヨーレートγやヨー角θで表される自車両のヨー角運動により逆光の撮像環境が解消されることに着目して、自車両のヨーレートγやヨー角θに基づいて自車両に対する運転支援制御(先行車追従制御等)の一時停止の開始や解除を行うように構成した。
その際、例えば、ヨー角運動により自車両の向きが急速に変化していて逆光の撮像環境になってもすぐに逆光の撮像環境ではなくなることが予見できる状況では運転支援制御を一時停止させないようにしたり、一旦運転支援制御が一時停止されても自車両の向きが十分に変化した場合に一時停止を解除することで、ドライバの感覚にあうように運転支援制御の一時停止を開始させ或いは解除させることが可能となる。
このように、自車両のヨーレートやヨー角に基づいて自車両に対する運転支援制御の一時停止の開始や解除を行うように構成することで、逆光の撮像環境下においても、ドライバの感覚にあうように運転支援制御の一時停止を的確に開始し解除することが可能となる。
また、例えば、自車両のヨー角運動によっても、逆光の撮像環境が解消されないような状況でも、2回目以降の運転支援制御の一時停止から解除までの時間間隔を広げることで、ドライバが感じる煩わしさが軽減され、ドライバの感覚にあうように運転支援制御の一時停止を的確に開始し解除することが可能となる。
[変形例]
なお、上記の実施形態では、車両用環境認識装置2で検出する特定の対象が先行車両Vahであり、制御装置である先行車追従制御装置3で自車両に対して先行車追従制御を行う場合について説明したが、この他にも、例えば車両用環境認識装置2で検出する特定の対象を自車両の左右の車線とし、制御装置で自車両に対して車線追従制御を行う場合にも本発明を適用することができる。
この場合、運転支援装置は、図1における先行車追従制御装置3の代わりに制御装置として車線追従制御装置3を備え、車線追従制御装置3の制御手段31は、車両用環境認識装置2により検出された車線の情報に基づいて、例えばステアリングサーボ機能を有する制御システムを備える応動部32を指示してステアリングホイールに操舵トルクを与えるなどして自車両に対して車線に追従するように制御するように構成される。
また、車両用環境認識装置2は、車線を検出するための車線検出手段を備えるように構成される。そして、車線検出手段では、例えば、画像データメモリ24(図2参照)から図4に示した基準画像Tのデータを読み出して、図16に示すように、基準画像Tの1画素幅の水平ラインj上を例えば基準画像Tの中央から左右方向にそれぞれ探索し、輝度値が隣接する画素の輝度値から設定された閾値以上に大きく変化する画素を車線候補点cl、crとして検出する。
そして、基準画像T上の水平ラインjを1画素分ずつ上方にシフトさせながら、同様にして各水平ラインj上に車線候補点cl、crを検出していく。その際、車線検出手段は、例えば距離データメモリ27から視差dpの情報を読み出して、検出した車線候補点cl、crにおける視差dp等に基づいて当該車線候補点cl、crが道路面上にないと判断した場合には当該車線候補点cl、crを車線候補点から除外する。そして、残った車線候補点cl、crのうち、自車両に近い側の車線候補点cl、crに基づいて車線をハフ変換等により直線で近似して自車両の左右にそれぞれ検出する。
その際、直線との整合性が取れない車線候補点cl、crを除外するなどして検出の信頼性を向上させながら、自車両の一方の側(例えば右側)に複数の車線が検出される場合には自車両の他方(例えば左側)に検出した車線との整合性がある車線や前回のサンプリング周期で検出した車線との整合性がある車線を選ぶ等して、自車両の左右にそれぞれ直線を選別する。
このようにして、自車両に近い側に車線を直線状にそれぞれ検出すると、それより遠い側ではその直線に基づいて直線との位置関係等から車線候補点cl、crを選別して結ぶことで、図17に示すように自車両の左側および右側にそれぞれ車線Ll、Lrを検出するようになっている。なお、以上の車線検出手段の処理構成については、本願出願人が先に提出した特開2006−331389号公報等に車線認識装置等として詳述されており、詳細な説明はそれらの公報を参照されたい。
この場合の運転支援装置の車両用環境認識装置2においては、上記と同様にして逆光検出手段28Cで逆光が検出され、条件設定手段28Dで逆光検出手段28Cにより逆光が検出された場合に自車両のヨーレートγやヨー角θに基づいて自車両に対する運転支援制御の一時停止の開始または解除の条件を設定される。
そして、制御装置である車線追従制御装置3は、車両用環境認識装置2の車線検出手段から送信されてくる自車両の左右の車線LL、LRの情報に基づいて応動部32を指示して自車両を左車線LLや右車線LRに追従させる。
また、車線追従制御装置3の制御手段31は、車両用環境認識装置2の条件設定手段28Dから、停止信号が送信されてくると、上記の自車両に対する車線追従制御を一時的に停止し、解除信号が送信されてくると、上記の自車両に対する車線追従制御の一時停止を解除して、車線追従制御を再開する。
この場合も、上記の実施形態と全く同様の効果を得ることが可能である。
本実施形態に係る運転支援装置の構成を示すブロック図である。 本実施形態に係る車両用環境認識装置の構成を示すブロック図である。 ステレオマッチング手段におけるステレオマッチング処理の手法を説明する図である。 基準画像の一例を示す図である。 図4の基準画像等に基づいて形成された距離画像を示す図である。 距離画像を分割する各区分を示す図である。 図6の各区分ごとに作成されるヒストグラムの一例を示す図である。 区分ごとの代表視差に基づく実空間上の座標をプロットした図である。 図8の各点に基づいて実空間上に検出された物体を表す図である。 基準画像上に枠線で包囲されて検出された各物体および先行車両を表す図である。 実空間上の自車両の走行軌跡、進行路および先行車両を表す図である。 スミアが発生している場合のヒストグラムへの投票状況の一例を表す図である。 基準画像にあてはめられて設定された画素列を説明する図である。 ヨー角の時間的変化およびヨーレートを説明するグラフである。 太陽が画像の右端部分に撮像される逆光の撮像環境を説明する図である。 基準画像上での車線候補点の検出の手法を説明する図である。 基準画像上に検出された左右の車線を示す図である。 スミアが発生している画像の一例を示す図である。
符号の説明
1 運転支援装置
4 報知手段(報知装置)
21 撮像手段
21a、21b 一対のカメラ(メインカメラ、サブカメラ)
28B 検出手段(先行車両検出手段)
28C 逆光検出手段
28D 条件設定手段
31 制御手段
A 自車両
Dn、Dn1〜Dn4 画素列
dp 視差
LL、LR 特定の対象(左右の車線)
PB 画素ブロック
pth 所定の輝度値
p1ij 輝度値
Q ヨーレート測定手段(センサ類)
Tc 比較画像
T 画像(基準画像)
Vah 特定の対象(先行車両)
Z 距離
γth 閾値
γ ヨーレート
Δθ 変化量
Δθth 所定値
θ ヨー角
θin 運転支援制御が一時停止された時点におけるヨー角

Claims (8)

  1. 逆光を検出した場合に自車両に対する運転支援制御を一時停止する機能を備えた運転支援装置において、
    一対のカメラで自車両の周囲の環境を撮像して基準画像と比較画像とを出力する撮像手段と、
    前記撮像手段により撮像された画像中から特定の対象を検出する検出手段と、
    前記撮像手段により出力された前記基準画像と前記比較画像のステレオマッチング処理による視差と両画像の輝度値とから逆光を検出する逆光検出手段と、
    自車両のヨーレートを測定するヨーレート測定手段と、
    前記逆光検出手段により前記逆光が検出された場合に、前記ヨーレート測定手段により測定される自車両の前記ヨーレートまたは測定された前記ヨーレートを積分して得られるヨー角に基づいて自車両に対する運転支援制御の一時停止の開始または解除の条件を設定する条件設定手段と、
    前記検出手段により検出された前記特定の対象の情報に基づいて自車両に対して前記運転支援制御を行い、前記条件設定手段により設定された前記条件に従って前記運転支援制御の一時停止の開始または解除を行う制御手段と、
    を備えることを特徴とする運転支援装置。
  2. 前記逆光検出手段は、前記基準画像を所定の画素数の画素ブロックに分割し、前記各画素ブロックごとに前記比較画像とのステレオマッチング処理を行って前記基準画像の前記各画素ブロックにそれぞれ対応づけられた視差または距離のうち、前記距離として無限遠を含む遠方距離閾値以上の距離または前記視差として前記遠方距離閾値に対応する遠方視差閾値以下の視差が対応づけられた前記画素ブロックが属する前記基準画像の縦方向に延在する画素列の各画素の輝度値の探索を行い、所定の輝度値以上の輝度値を有する前記画素の数が前記画素列に属する全画素数の所定の割合以上存在することを検出することにより前記逆光を検出することを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
  3. 前記撮像手段は、一対のカメラで自車両の周囲の環境を撮像して基準画像と比較画像とを出力し、
    前記特定の対象は、先行車両であり、
    前記制御手段は、前記検出手段により検出された前記先行車両の情報に基づいて自車両に対して前記先行車両に追従するように制御する先行車追従制御を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の運転支援装置。
  4. 前記特定の対象は、自車両の左右の車線であり、
    前記制御手段は、前記検出手段により検出された前記車線の情報に基づいて自車両に対して前記車線に追従するように制御する車線追従制御を行うことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の運転支援装置。
  5. 前記条件設定手段は、前記逆光検出手段により前記逆光が検出された際に、前記ヨーレート測定手段により測定されるヨーレートの絶対値が閾値以上である場合には、前記運転支援制御の一時停止を開始しないことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の運転支援装置。
  6. 前記条件設定手段は、前記逆光検出手段により前記逆光が検出されて自車両に対する前記運転支援制御が一時停止された後の時点において、前記ヨーレート測定手段により測定される自車両の前記ヨーレートを積分して得られる自車両のヨー角の、前記運転支援制御が一時停止された時点におけるヨー角からの変化量の絶対値が所定値に達した場合に、前記運転支援制御の一時停止を解除することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の運転支援装置。
  7. 前記条件設定手段は、前記逆光検出手段により前記逆光が検出された際に前記運転支援制御が一時停止された場合に、前記ヨー角に対する条件が満たされなければ第1所定時間だけ前記一時停止を継続して解除し、前記解除後、予め設定された所定期間内に、再び前記逆光検出手段により前記逆光が検出されて前記運転支援制御が一時停止された場合には、前記ヨー角に対する条件が満たされなければ前記第1所定時間より長く設定される第2所定時間だけ前記一時停止を継続した後に解除することを特徴とする請求項6に記載の運転支援装置。
  8. さらに、自車両に対する前記運転支援制御が一時停止された場合に、自車両のドライバに対して前記運転支援制御が停止されたことを報知する報知手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の運転支援装置。
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