JP5149519B2 - 高分子錯体及び高分子錯体の製造方法 - Google Patents
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Description
前記臭化亜鉛の亜鉛イオンを介して前記2,4,6−トリス−(4−ピリジル)−1,3,5−トリアジンが連結した閉鎖環状連鎖構造が、積層し且つ連結してなる高分子錯体骨格をただ一つ有する三次元ネットワーク構造を有し、
該三次元ネットワーク構造内に、前記2,4,6−トリス−(4−ピリジル)−1,3,5−トリアジンの積層により前記閉鎖環状連鎖構造が積層することによって、三次元的に規則正しく整列した1種類の細孔が形成されていることを特徴とするものである。
具体的には、前記臭化亜鉛(II)溶液の溶媒としてメタノールを用い、前記三座配位子溶液の溶媒としてニトロベンゼンを用いる方法が挙げられる。
尚、図2は高分子錯体Aの三次元ネットワーク構造内に形成された1つの細孔の拡大図であって、(2A)は細孔を細孔が延在する方向から見た図、(2B)は細孔の斜視図である。
本発明の高分子錯体は、tptに代表される三座配位子とZnBr2の亜鉛に代表される亜鉛イオンとが配位結合により三次元的に結びついた高分子錯体骨格をただ一つ有する三次元ネットワーク構造を有していることを特徴とする。ここで、三次元ネットワーク構造を構成する高分子錯体骨格をただ一つ有するとは、言い換えれば、上記高分子錯体Bのように独立した高分子錯体骨格からなる三次元ネットワークが相互貫通したような高分子錯体骨格の複合体ではないことを意味する。
ここで、擬同一平面とは、完全に同一の平面上に存在する状態の他、若干ずれた平面、例えば、基準となる平面に対して、20°以下で交差するような平面に存在する状態も含む。また、三座配位子の中心部とは、三座配位子を平面的に捉えたときの中心位置であり、該中心部に対して3つの配位結合部位が等間隔放射状に配置されているとは、該中心部から等間隔で放射状に延びる線上に3つの配位結合部位が配置している状態を指す。
ここで、本発明の高分子錯体の製造方法として、臭化亜鉛(II)を含む溶液と、三座配位子を含む溶液とを液−液拡散法により接触させて高分子錯体の製造方法を例に説明する。
つまり、用いる溶媒によって、形成される細孔のサイズや形状等が変化すると考えられることから、三座配位子との相互作用、分子サイズ、極性等を考慮して三座配位子を溶解する溶媒を選択することが好ましい。
尚、三座配位子を含む溶液には、三座配位子を溶解する溶媒の他にも、混合初期に金属種や三座配位子が単体で析出することを防ぐ濃度調整を目的として、金属種を溶解する溶媒を含有させてもよい。このとき、金属種を溶解する溶媒の含有量は、三座配位子を溶解する溶媒に対して20vol%以下とすることが好ましい。
上記したように、高分子錯体Aは多数のtptがπ−πスタックした構造を有しているのに対して、高分子錯体Bにはtptのπ−πスタッキング構造がないからである。π−πスタックのように弱い相互作用による積層構造が構築されるには時間を要する。
このように、液液界面で徐々に2液を接触させる液−液拡散法では、高分子錯体Aと高分子錯体Bとが100:1の比率で生成し、一方、秒スケールのような短時間の攪拌により2液を接触させる上記方法による合成では、高分子錯体B’が単一成分で生成することからも、高分子錯体Aが熱力学的支配の生成物、高分子錯体Bが速度論的支配の生成物ということができる。
tpt50.2mgを、ニトロベンゼン/メタノール(32ml/4ml)の混合液に溶解させた溶液を調製した。一方、ZnBr254.0mgをメタノール8mlに溶解させた溶液を調製した。tptのニトロベンゼン溶液を試験管に注ぎ、次にZnBr2のメタノール溶液を上層として静かに注ぎ、約23〜25℃(室温)で約7日間静置し、結晶を成長させた。
得られた結晶は、二種類の異性体(針状結晶とブロック状結晶)を含んでおり、その重量比は、針状結晶:ブロック状結晶=100:1だった。尚、収率は75.3%だった。
<高分子錯体A:針状結晶>
[(ZnBr2)3(tpt)2(PhNO2)6]n
理論値 C:42.41%、H:2.67%、N:12.37%
実測値 C:42.27%、H:2.75%、N:12.25%
<高分子錯体B:ブロック状結晶>
[(ZnBr2)3(tpt)2(PhNO2)5(H2O)]n
理論値 C:40.99%、H:2.66%、N:12.31%
実測値 C:40.96%、H:2.83%、N:12.08%
尚、図1の(1A)及び(1B)は、針状結晶(高分子錯体A)の結晶構造を示す図であって、(1A)はゲスト分子であるニトロベンゼンを省略した図であり、(1B)は細孔内に包接されたニトロベンゼンを描いた図である。また、(1C)は針状結晶の拡大写真である。
図3の(3A)及び(3B)は、ブロック状結晶(高分子錯体B)の結晶構造を示す図であって、(3A)はゲスト分子であるニトロベンゼンを省略した図であり、(3B)は細孔内に包接されたニトロベンゼンを描いた図である。また、(3C)はブロック状結晶の拡大写真である。
また、ゲスト分子であるニトロベンゼン及び水は、高分子錯体合成時の溶媒に由来するものである。
また、図6及び図7に、高分子錯体A(図6)と高分子錯体B(図7)の単結晶からシミュレーションした回折パターンを示す。これら回折パターンからも高分子錯体Aと高分子錯体Bは異なる三次元ネットワーク構造を有していることがわかる。
tpt50.2mgを、ニトロベンゼン/メタノール(32ml/4ml)の混合液に溶解させ、配位子溶液を調製した。室温において、得られた配位子溶液に、ZnBr254.0mgをメタノール8mlに溶解させた金属溶液を混合し、30秒攪拌することにより、白色粉末77.3mgを得た(収率47.8%)。
Claims (6)
- 少なくとも、臭化亜鉛(II)(ZnBr 2 )及び該臭化亜鉛の亜鉛イオンにテトラヒドラル型で配位する2,4,6−トリス−(4−ピリジル)−1,3,5−トリアジンから構成され、
前記臭化亜鉛の亜鉛イオンを介して前記2,4,6−トリス−(4−ピリジル)−1,3,5−トリアジンが連結した閉鎖環状連鎖構造が、積層し且つ連結してなる高分子錯体骨格をただ一つ有する三次元ネットワーク構造を有し、
該三次元ネットワーク構造内に、前記2,4,6−トリス−(4−ピリジル)−1,3,5−トリアジンの積層により前記閉鎖環状連鎖構造が積層することによって、三次元的に規則正しく整列した1種類の細孔が形成されていることを特徴とする高分子錯体。 - 前記細孔が整列する方向に対して最も垂直に近い結晶面と平行な面における当該細孔の内接円の直径が15〜70Åである、請求項1記載の高分子錯体。
- 前記細孔が整列する方向に対して最も垂直に近い結晶面と平行な面における当該細孔の内接楕円の長径が25〜70Åであり、該内接楕円の短径が15〜50Åである、請求項1又は2に記載の高分子錯体。
- 臭化亜鉛(II)(ZnBr2)とメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、及びtert−ブチルアルコールから選ばれる少なくとも1種の溶媒とを含む溶液と、2,4,6−トリス−(4−ピリジル)−1,3,5−トリアジンとニトロベンゼン、ベンゼン、トルエン、及びブロモホルムから選ばれる少なくとも1種の溶媒とを含む溶液とを、液−液拡散法により接触させ、0〜30℃で、1日〜1カ月間静置することによって前記請求項1に記載の高分子錯体の結晶を成長させることを特徴とする、高分子錯体の製造方法。
- 前記臭化亜鉛(II)溶液の溶媒としてメタノールを用い、前記三座配位子溶液の溶媒としてニトロベンゼンを用いる、請求項4に記載の高分子錯体の製造方法。
- 臭化亜鉛(II)(ZnBr2)とメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、及びtert−ブチルアルコールから選ばれる少なくとも1種の溶媒とを含む溶液と、2,4,6−トリス−(4−ピリジル)−1,3,5−トリアジンとニトロベンゼン、ベンゼン、トルエン、及びブロモホルムから選ばれる少なくとも1種の溶媒とを含む溶液とを、液−液拡散法により接触させ、0〜30℃で、1日〜1カ月間静置することにより、結晶成長させることによって得られる、高分子錯体。
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