以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかるインプリントシステム1の構成の概略を示す平面図である。図2及び図3は、インプリントシステム1の構成の概略を示す側面図である。
本実施の形態のインプリントシステム1では、図4に示すように直方体形状を有し、表面に所定の転写パターンCが形成されたテンプレートTが用いられる。以下、転写パターンCが形成されているテンプレートTの面を表面T1といい、当該表面T1と反対側の面を裏面T2という。なお、テンプレートTには、可視光、近紫外光、紫外線などの光を透過可能な透明材料、例えばガラスが用いられる。
インプリントシステム1は、図1に示すように複数、例えば5枚のテンプレートTをカセット単位で外部とインプリントシステム1との間で搬入出したり、テンプレートカセットCTに対してテンプレートTを搬入出したりするテンプレート搬入出ステーション2と、テンプレートTに所定の処理を施す複数の処理ユニットを備えた処理ステーション3と、テンプレートTを用いて基板としてのウェハW上にレジストパターンを形成するインプリントユニット4と、複数、例えば25枚のウェハWをカセット単位で外部とインプリントシステム1との間で搬入出したり、ウェハカセットCWに対してウェハWを搬入出したりする基板搬入出ステーションとしてのウェハ搬入出ステーション5とを一体に接続した構成を有している。
テンプレート搬入出ステーション2には、カセット載置台10が設けられている。カセット載置台10は、複数のテンプレートカセットCTをX方向(図1中の上下方向)に一列に載置自在になっている。すなわち、テンプレート搬入出ステーション2は、複数のテンプレートTを保有可能に構成されている。
テンプレート搬入出ステーション2には、X方向に延伸する搬送路11上を移動可能なテンプレート搬送体12が設けられている。テンプレート搬送体12は、鉛直方向及び鉛直周り(θ方向)にも移動自在であり、インプリントユニット4側に、すなわちテンプレートカセットCTと処理ステーション3との間でテンプレートTを搬送できる。
処理ステーション3は、水平方向のY方向(図1の左右方向)に延びる例えば2列の離型剤処理ラインAとテンプレート洗浄ラインBを備えている。これら離型剤処理ラインAとテンプレート洗浄ラインBには、後述する複数の搬送ローラ100が並べて配置され、コロ搬送によりテンプレートTを搬送することができる。離型剤処理ラインAは、処理ステーション3の正面側(図1のX方向負方向側)に配置され、テンプレート洗浄ラインBは、処理ステーション3の背面側(図1のX方向正方向側)に配置されている。
離型剤処理ラインAには、図2に示すようにテンプレート搬入出ステーション2側からインプリントユニット4側に向けて順に、テンプレートTの受け渡しを行うためのトランジションユニット20、テンプレートT上に離型剤が成膜される前の表面T1を洗浄する前洗浄ユニット21、テンプレートTに液体状の離型剤を塗布する離型剤塗布ユニット22、テンプレートTを加熱処理する加熱ユニット23、テンプレートTの温度を調節する温度調節ユニット24、テンプレートT上の離型剤をリンスするリンスユニット25、トランジションユニット26が直線的に一列に配置されている。
テンプレート洗浄ラインBには、インプリントユニット4側からテンプレート搬入出ステーション2側に向けて順に、トランジションユニット30、使用後のテンプレートTの表面T1を洗浄する後洗浄ユニット31、洗浄後のテンプレートTの表面T1を検査する検査ユニット32、トランジションユニット33が直線的に一列に配置されている。なお、後洗浄ユニット31は、テンプレートTの裏面T2もさらに洗浄してもよく、検査ユニット32は、テンプレートTの裏面T2もさらに検査してもよい。
図1に示すように離型剤処理ラインAのトランジションユニット26とテンプレート洗浄ラインBのトランジションユニット30との間には、テンプレートTの表裏面を反転させる反転ユニット40が設けられている。反転ユニット40のテンプレート搬入出ステーション2側には、複数のテンプレートTを一時的に保管するバッファカセット41が配置されている。
ウェハ搬入出ステーション5には、カセット載置台50が設けられている。カセット載置台50は、複数のウェハカセットCWをX方向(図1中の上下方向)に一列に載置自在になっている。すなわち、ウェハ搬入出ステーション5は、複数のウェハWを保有可能に構成されている。
ウェハ搬入出ステーション5には、X方向に延伸する搬送路51上を移動可能なウェハ搬送体52が設けられている。ウェハ搬送体52は、鉛直方向及び鉛直周り(θ方向)にも移動自在であり、ウェハカセットCWとインプリントユニット4との間でウェハWを搬送できる。
ウェハ搬入出ステーション5には、ウェハWの向きを調整するアライメントユニット53がさらに設けられている。アライメントユニット53では、例えばウェハWのノッチ部の位置に基づいて、ウェハWの向きが調整される。
次に、上述したインプリントユニット4の構成について説明する。インプリントユニット4は、図5に示すように側面にテンプレートTの搬入出口(図示せず)とウェハWの搬入出口(図示せず)が形成されたケーシング60を有している。
ケーシング60内の底面には、ウェハWが載置されて保持される基板保持部としてのウェハ保持部61が設けられている。ウェハWは、その被処理面が上方を向くようにウェハ保持部61の上面に載置される。ウェハ保持部61内には、ウェハWを下方から支持し昇降させるための昇降ピン62が設けられている。昇降ピン62は、昇降駆動部63により上下動できる。ウェハ保持部61の上面には、当該上面を厚み方向に貫通する貫通孔64が形成されおり、昇降ピン62は、貫通孔64を挿通するようになっている。また、ウェハ保持部61は、当該ウェハ保持部61の下方に設けられた移動機構65により、水平方向に移動可能で、且つ鉛直周りに回転自在である。
図6に示すようにウェハ保持部61のX方向負方向(図6の下方向)側には、Y方向(図6の左右方向)に沿って延伸するレール70が設けられている。レール70は、例えばウェハ保持部61のY方向負方向(図6の左方向)側の外方からY方向正方向(図6の右方向)側の外方まで形成されている。レール70には、アーム71が取り付けられている。
アーム71には、ウェハW上に塗布液としてのレジスト液を供給する塗布液供給部としてのレジスト液ノズル72が支持されている。レジスト液ノズル72は、例えばウェハWの直径寸法と同じかそれよりも長い、X方向に沿った細長形状を有している。レジスト液ノズル72には、例えばインクジェット方式のノズルが用いられ、レジスト液ノズル72の下部には、長手方向に沿って一列に形成された複数の供給口(図示せず)が形成されている。そして、レジスト液ノズル72は、レジスト液の供給タイミング、レジスト液の供給量等を厳密に制御できる。
アーム71は、ノズル駆動部73により、レール70上を移動自在である。これにより、レジスト液ノズル72は、ウェハ保持部61のY方向正方向側の外方に設置された待機部74からウェハ保持部61上のウェハWの上方まで移動でき、さらに当該ウェハWの表面上をウェハWの径方向に移動できる。また、アーム71は、ノズル駆動部73によって昇降自在であり、レジスト液ノズル72の高さを調整できる。
ケーシング60内の天井面であって、ウェハ保持部61の上方には、図5に示すようにテンプレートTを保持するテンプレート保持部80が設けられている。すなわち、ウェハ保持部61とテンプレート保持部80は、ウェハ保持部61に載置されたウェハWと、テンプレート保持部80に保持されたテンプレートTが対向するように配置されている。また、テンプレート保持部80は、テンプレートTの裏面T2の外周部を吸着保持するチャック81を有している。チャック81は、当該チャック81の上方に設けられた移動機構82により、鉛直方向に移動自在で、且つ鉛直周りに回転自在になっている。これにより、テンプレートTは、ウェハ保持部61上のウェハWに対して所定の向きに回転し昇降できる。
テンプレート保持部80は、チャック81に保持されたテンプレートTの上方に設けられた光源83を有している。光源83からは、例えば可視光、近紫外光、紫外線などの光が発せられ、この光源83からの光は、テンプレートTを透過して下方に照射される。
次に、上述した離型剤処理ラインAにおけるテンプレートTの搬送機構について説明する。離型剤処理ラインAには、図7及び図8に示すように、複数の搬送ローラ100が離型剤処理ラインAに沿った方向に並べて配置されている。各搬送ローラ100は、離型剤処理ラインAに沿った方向と直角方向に延伸する中心軸を回転軸として回転自在に構成されている。また、複数の搬送ローラ100のうち、少なくとも一の搬送ローラ100には、例えばモータなどを内蔵した駆動機構(図示せず)が設けられている。そして、テンプレートTは、これら搬送ローラ100上をトランジションユニット20、26間で搬送される。なお、テンプレート洗浄ラインBにおいても、トランジションユニット30、33間に上述した構成の複数の搬送ローラ100が配置されている。
次に、上述した離型剤処理ラインAのトランジションユニット20、26の構成について説明する。離型剤処理ラインAのトランジションユニット20は、図7に示すようにテンプレートTを下方から支持し昇降させるための昇降ピン110を有している。昇降ピン110は、搬送ローラ100の下方に設けられた昇降駆動部111により上下動できる。また、昇降ピン110は、離型剤処理ラインAに沿って並べて配置された複数の搬送ローラ100間を挿通するよう配置されている。この昇降ピン110により、テンプレートTは、テンプレート搬送体12から搬送ローラ100に載置される。
なお、トランジションユニット26の構成は、上述したトランジションユニット20の構成と同様であるので説明を省略する。また、テンプレート洗浄ラインBのトランジションユニット30、33もトランジションユニット20と同様の構成を有している。
次に、上述した離型剤処理ラインAの各処理ユニット21〜25の構成について説明する。離型剤処理ラインAには、図8に示すようにケーシング120が設けられている。ケーシング120内は複数の仕切壁121によって区画され、区画された各空間が処理ユニット21〜25をそれぞれ構成している。これら仕切壁121及びケーシング120のトランジションユニット20、26側の側面には、搬送ローラ100に対応する高さにテンプレートTの搬入出口122がそれぞれ形成されている。なお、各搬入出口122には、開閉シャッタ(図示せず)が設けられ、各処理ユニット21〜25の内部を密閉可能になっていてもよい。
前洗浄ユニット21は、テンプレートTに紫外線を照射する紫外線照射部130を有している。紫外線照射部130は、搬送ローラ100の上方に配置され、テンプレートTの幅方向(搬送ローラ100の長手方向)に延伸している。そして、搬送ローラ100上を搬送中のテンプレートTの表面T1に紫外線を照射することで、テンプレートTの表面T1全面に紫外線が照射される。
離型剤塗布ユニット22は、テンプレートT上に離型剤を供給する離型剤ノズル131を有している。離型剤ノズル131は、搬送ローラ100の上方に配置されている。また、離型剤ノズル131は、テンプレートTの幅方向に延伸し、その下面には、スリット状の供給口(図示せず)が形成されている。そして、搬送ローラ100上を移動中のテンプレートTの表面T1に離型剤ノズル131から離型剤を供給して、当該表面T1の全面に離型剤が塗布される。離型剤塗布ユニット22には、テンプレートTから落下した離型剤を回収して排出する排出管(図示せず)と、内部の雰囲気を排気する排気管(図示せず)がそれぞれ接続されている。なお、離型剤の材料には、後述するウェハW上のレジスト膜に対して撥液性を有する材料、例えばフッ素樹脂等が用いられる。
加熱ユニット23は、搬送ローラ100の上方に配置された熱板132を有している。熱板132の内部には、例えば給電により発熱するヒータが設けられており、熱板132を所定の設定温度に調節できる。また、熱板132は、テンプレートTの幅方向に延伸し、搬送ローラ100上を搬送中のテンプレートTを表面T1側から加熱できる。なお、加熱ユニット23には、内部の雰囲気を排気する排気管(図示せず)が接続されている。また、図示の例では、熱板132はテンプレートTを表面T1側から加熱しているが、テンプレートTを裏面T2側から加熱するようにしてもよい。すなわち、熱板は、搬送ローラ100と同じ高さに配置されていてもよく、あるいは搬送ローラ100の下方に配置されていてもよい。さらに、これら熱板を両方配置して、テンプレートTを表面T1と裏面T2の両側から加熱してもよい。
温度調節ユニット24では、搬送ローラ100の一部が温度調節ローラ100aを構成している。温度調節ローラ100aの内部には、テンプレートTを冷却する冷却水が循環している。また、搬送ローラ100の上方には、例えば窒素等の不活性ガスや乾燥空気などの気体ガスを下方に吹き付けるガス供給部133が配置されている。ガス供給部133は、テンプレートTの幅方向に延伸し、搬送中のテンプレートTの表面T1全面に気体ガスを吹き付けることができる。これら温度調節ローラ100aとガス供給部133によって、テンプレートTは所定の温度に調節される。なお、温度調節ユニット23には、内部の雰囲気を排気する排気管(図示せず)が接続されている。
リンスユニット25は、テンプレートT上に離型剤のリンス液としての有機溶剤を供給するリンス液ノズル134と、テンプレートT上に例えば窒素等の不活性ガスや乾燥空気などの気体ガス吹き付けるガスノズル135とを有している。リンス液ノズル134とガスノズル135は、搬送ローラ100の上方であって、温度調節ユニット24側からこの順に配置されている。また、リンス液ノズル134とガスノズル135は、テンプレートTの幅方向にそれぞれ延伸し、その下面にはスリット状の供給口(図示せず)がそれぞれ形成されている。そして、搬送ローラ100上を搬送中のテンプレートT上の離型剤をリンス液ノズル134によってリンスし、その後リンスされたテンプレートTの表面T1をガスノズル135によって乾燥させることができる。なお、リンスユニット25には、テンプレートTから落下した有機溶剤を回収して排出する排出管(図示せず)と、内部の雰囲気を排気する排気管(図示せず)がそれぞれ接続されている。
次に、上述したテンプレート洗浄ラインBの後洗浄ユニット31の構成について説明する。後洗浄ユニット31には、図9に示すようにケーシング140が設けられている。ケーシング140内は仕切壁141によって、2つの処理空間140a、140bに区画されている。この仕切壁141及びケーシング140のトランジションユニット30側と検査ユニット32側の側面には、搬送ローラ100に対応する高さにテンプレートTの搬入出口142がそれぞれ形成されている。なお、各搬入出口142には、開閉シャッタ(図示せず)が設けられ、後洗浄ユニット31の内部を密閉可能になっていてもよい。
後洗浄ユニット31のトランジションユニット30側の処理空間140aには、テンプレートTに紫外線を照射する紫外線照射部143が設けられている。また、検査ユニット32側の処理空間140bには、テンプレート上に洗浄液を供給する洗浄液供給部としての洗浄液ノズル144と、テンプレートT上に例えば窒素等の不活性ガスや乾燥空気などの気体ガスを吹き付けるガスノズル145とが設けられている。これら紫外線照射部143、洗浄液ノズル144、ガスノズル145は、搬送ローラ100の上方に配置されている。紫外線照射部143は、テンプレートTの幅方向(搬送ローラ100の長手方向)に延伸している。洗浄液ノズル144及びガスノズル145も、テンプレートTの幅方向に延伸し、その下面にはスリット状の供給口(図示せず)が形成されている。そして、搬送ローラ100上を搬送中のテンプレートT上に紫外線照射部143から紫外線を照射し、その後テンプレートT上に洗浄液ノズル144から洗浄液を供給することで、テンプレートTの表面T1を洗浄できる。さらにその後、洗浄されたテンプレートTの表面T1をガスノズル145からの気体ガスによって乾燥させることができる。後洗浄ユニット31には、テンプレートTから落下した洗浄液を回収して排出する排出管(図示せず)と、内部の雰囲気を排気する排気管(図示せず)がそれぞれ接続されている。なお、洗浄液には、例えば有機溶剤や純水が用いられ、有機溶剤としては、IPA(イソプロピルアルコール)、ジブチルエーテル、シクロヘキサンなどが用いられる。
次に、上述した反転ユニット40の構成について説明する。反転ユニット40は、図10に示すように側面にテンプレートTの搬入出口(図示せず)が形成されたケーシング150を有している。
ケーシング150内には、テンプレートTの表裏面を反転させる反転機構160が設けられている。反転機構160は、相互に接近、離隔することができる一対の保持部161、161を有している。保持部161は、テンプレートTの外形に適合するように構成されたフレーム部162と、フレーム部162を支持するアーム部163とを有し、これらフレーム部162とアーム部163は一体に形成されている。フレーム部162には、テンプレートTを保持するための挟持部164が設けられ、挟持部164には、テーパ溝(図示せず)が形成されている。そして、図11に示すように一対の離隔した保持部161、161が相互に接近することによって、テンプレートTの外周部が挟持部164のテーパ溝に挿入されてテンプレートTは支持される。
保持部161は、図12に示すように回転駆動部165に支持されている。この回転駆動部165により、保持部161は水平周り(Y軸周り)に回動でき、保持部161で保持されたテンプレートTの表裏面を反転させることができる。また、保持部161は、回転駆動部165により水平方向(Y方向)に伸縮でき、離型剤処理ラインAのトランジションユニット26、テンプレート洗浄ラインBのトランジションユニット30、バッファカセット41及びインプリントユニット4に対してテンプレートTを搬送することができる。回転駆動部165の下方には、シャフト166を介して昇降駆動部167が設けられている。この昇降駆動部167により、回転駆動部165及び保持部161は昇降できる。
以上のインプリントシステム1には、図1に示すように制御部200が設けられている。制御部200は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、テンプレート搬入出ステーション2、処理ステーション3、インプリントユニット4間のテンプレートTの搬送や、ウェハ搬入出ステーション5とインプリントユニット4間のウェハWの搬送、処理ステーション3とインプリントユニット4における駆動系の動作などを制御して、インプリントシステム1における後述するインプリント処理を実行するプログラムが格納されている。なお、このプログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御部200にインストールされたものであってもよい。
本実施の形態にかかるインプリントシステム1は以上のように構成されている。次に、そのインプリントシステム1で行われるインプリント処理について説明する。図13は、このインプリント処理の主な処理フローを示し、図14は、各工程におけるテンプレートTとウェハWの状態を示している。
先ず、テンプレート搬送体12によって、カセット載置台10上のテンプレートカセットCTからテンプレートTが取り出され、処理ステーション3のトランジションユニット20に搬送される(図13の工程F1)。このとき、テンプレートカセットCT内には、テンプレートTは、転写パターンCが形成された表面T1が上方を向くように収容されており、この状態でテンプレートTはトランジションユニット20に搬送される。
トランジションユニット20内に搬送されたテンプレートTは、昇降ピン110によって搬送ローラ100上に載置され、離型剤処理ラインAに沿ってコロ搬送により所定の速度で搬送される。離型剤処理ラインAでは、トランジションユニット20、前洗浄ユニット21、離型剤塗布ユニット22、加熱ユニット23、温度調節ユニット24、リンスユニット25、トランジションユニット26に順次搬送され、各処理ユニット21〜25において搬送中のテンプレートTに所定の処理が行われる。
すなわち、離型剤処理ラインAでは、先ず、前洗浄ユニット21において、紫外線照射部130からテンプレートT上に紫外線が照射され、図14(a)に示すようにテンプレートTの表面T1が洗浄される(図13の工程F2)。続いて、離型剤塗布ユニット22において、離型剤ノズル131からテンプレートT上に離型剤Sを供給し、図14(b)に示すようにテンプレートTの表面T1全面に離型剤Sが塗布される(図13の工程F3)。その後、加熱ユニット23において、熱板132によりテンプレートTが例えば200℃に加熱され、図14(c)に示すようにテンプレートT上の離型剤Sが焼成される(図13の工程F4)。その後、温度調節ユニット24において、温度調節ローラ100aとガス供給部133によりテンプレートTが所定の温度に調節される。その後、リンスユニット25において、リンス液ノズル134からテンプレートTに有機溶剤を供給して、当該テンプレートT上の離型剤Sの未反応部のみを剥離させる。こうして、図14(d)に示すようにテンプレートT上に転写パターンCに沿った離型剤Sが成膜される(図13の工程F5)。続いて、同リンスユニット25において、ガスノズル135からテンプレートT上に気体ガスを吹き付け、その表面T1が乾燥される。なお、離型剤Sの未反応部とは、離型剤SがテンプレートTの表面T1と化学反応して当該表面T1と吸着する部分以外をいう。
その後、トランジションユニット26に搬送されたテンプレートTは、昇降ピン110により反転ユニット40の反転機構160に受け渡される。続いて、反転ユニット40において、テンプレートTの表裏面が反転される。すなわち、テンプレートTの裏面T2が上方に向けられる。その後、テンプレートTは、反転機構160によってインプリントユニット4に搬送され、テンプレート保持部80のチャック81に吸着保持される。
このように処理ステーション3においてテンプレートTに所定の処理を行い、インプリントユニット4へテンプレートTを搬送中に、ウェハ搬入出ステーション5では、ウェハ搬送体52により、カセット載置台50上のウェハカセットCWからウェハWが取り出され、アライメントユニット53に搬送される。そして、アライメントユニット53において、ウェハWのノッチ部の位置に基づいて、ウェハWの向きが調整される。その後、ウェハWは、ウェハ搬送体52によってインプリントユニット4に搬送される(図13の工程F6)。なお、ウェハ搬入出ステーション5において、ウェハカセットCW内のウェハWは、その被処理面が上方を向くように収容されており、この状態でウェハWはインプリントユニット4に搬送される。
インプリントユニット4に搬入されたウェハWは、昇降ピン62に受け渡され、ウェハ保持部61上に載置され保持される。続いて、ウェハ保持部61に保持されたウェハWを水平方向の所定の位置に移動させて位置合わせをした後、レジスト液ノズル72をウェハWの径方向に移動させ、図14(e)に示すようにウェハW上にレジスト液を塗布し、塗布膜としてのレジスト膜Rを形成する(図13の工程F7)。このとき、制御部200により、レジスト液ノズル72から供給されるレジスト液の供給タイミングや供給量等が制御される。すなわち、ウェハW上に形成されるレジストパターンにおいて、凸部に対応する部分(テンプレートTの転写パターンCにおける凹部に対応する部分)に塗布されるレジスト液の量は多く、凹部に対応する部分(転写パターンCにおける凸部に対応する部分)に塗布されるレジスト液の量は少なくなるように制御される。このように転写パターンCの開口率に応じてウェハW上にレジスト液が塗布される。
ウェハW上にレジスト膜Rが形成されると、ウェハ保持部61に保持されたウェハWを水平方向の所定の位置に移動させて位置合わせを行うと共に、テンプレート保持部80に保持されたテンプレートTを所定の向きに回転させる。そして、図14(e)の矢印に示すようにテンプレートTをウェハW側に下降させる。テンプレートTは所定の位置まで下降し、テンプレートTの表面T1がウェハW上のレジスト膜Rに押し付けられる。なお、この所定の位置は、ウェハW上に形成されるレジストパターンの高さに基づいて設定される。続いて、光源83から光が照射される。光源83からの光は、図14(f)に示すようにテンプレートTを透過してウェハW上のレジスト膜Rに照射され、これによりレジスト膜Rは光重合する。このようにしてウェハW上のレジスト膜RにテンプレートTの転写パターンCが転写され、レジストパターンPが形成される(図13の工程F8)。
その後、図14(g)に示すようにテンプレートTを上昇させて、ウェハW上にレジストパターンPを形成する。このとき、テンプレートTの表面T1には離型剤Sが塗布されているので、ウェハW上のレジストがテンプレートTの表面T1に付着することはない。その後、ウェハWは、昇降ピン62によりウェハ搬送体52に受け渡され、インプリントユニット4からウェハ搬入出ステーション5に搬送され、ウェハカセットCWに戻される(図13の工程F9)。なお、ウェハW上に形成されたレジストパターンPの凹部には、薄いレジストの残存膜Lが残る場合があるが、例えばインプリントシステム1の外部において、図14(h)に示すように当該残存膜Lを除去してもよい。
以上の工程F6〜F9(図13中の点線で囲った部分)を繰り返し行い、一のテンプレートTを用いて、複数のウェハW上にレジストパターンPをそれぞれ形成する。この間、上述した工程F1〜F5を繰り返し行い、複数のテンプレートTの表面T1上に離型剤Sを成膜する。離型剤Sが成膜されたテンプレートTは、バッファカセット41に保管される。
そして、所定枚数のウェハWに対して工程F6〜F9が行われると、反転機構160によって、使用済みのテンプレートTがインプリントユニット4から搬出される(図13の工程F10)。その後、反転ユニット40において、テンプレートTの表裏面が反転された後、すなわちテンプレートTの表面T1が上方に向けられた後、テンプレートTはテンプレート洗浄ラインBのトランジションユニット30に搬送される。続いて、反転機構160によって、バッファカセット41内のテンプレートTは、反転ユニット40に搬送され、その表裏面が反転された後、インプリントユニット4に搬送される。こうして、インプリントユニット4内のテンプレートTが交換される。なお、テンプレートTを交換するタイミングは、テンプレートTの劣化等を考慮して設定される。また、ウェハWに異なるパターンPを形成する場合にも、テンプレートTが交換される。例えばテンプレートTを1回使用する度に当該テンプレートTを交換してもよい。また、例えば1枚のウェハW毎にテンプレートTを交換してもよいし、例えば1ロット毎にテンプレートTを交換してもよい。
トランジションユニット30に搬送された使用済みのテンプレートTは、昇降ピン110によって搬送ローラ100上に載置され、テンプレート洗浄ラインBに沿ってコロ搬送により所定の速度で搬送される。テンプレート洗浄ラインBでは、トランジションユニット30、後洗浄ユニット31、検査ユニット32、トランジションユニット33に順次搬送され、各処理ユニット31、32において搬送中のテンプレートTに所定の処理が行われる。
すなわち、テンプレート洗浄ラインBでは、先ず、後洗浄ユニット31において、紫外線照射部143からテンプレートT上に紫外線が照射される。そうすると、テンプレートT上の離型剤Sが気化してそのほとんどが除去される。続いて、洗浄液ノズル144からテンプレートT上に残存する離型剤Sに対して洗浄液を供給し、その後ガスノズル145からテンプレートT上に気体ガスを吹き付け、その表面T1が乾燥される。こうして、テンプレートT上の離型剤Sが除去され、表面T1が洗浄される(図13の工程F11)。なお、洗浄液として純水を用いる場合、テンプレートTの表面T1にウォーターマークが付くのを避けるため、その後有機溶剤であるIPAを用いてさらに洗浄するのが好ましい。その後、検査ユニット32において、例えば干渉縞の観察等により、テンプレートTの表面T1が検査される(図13の工程F12)。なお、後洗浄ユニット31では、テンプレートTの表面T1だけでなく裏面T2も洗浄してもよい。また、検査ユニット32では、テンプレートTの表面T1だけでなく裏面T2も検査してもよい。
その後、トランジションユニット33に搬送されたテンプレートTは、昇降ピン110によりテンプレート搬送体12に受け渡され、テンプレートカセットCTに戻される。なお、検査ユニット32の検査結果が良好な場合、例えばテンプレートTの表面T1が適切に洗浄され、且つその表面T1が劣化していない場合には、テンプレートカセットCTに戻されたテンプレートTは、インプリントユニット1内で再度使用される。一方、検査ユニット32の検査結果が悪い場合、例えばテンプレートTの表面T1が劣化している場合には、テンプレートTはインプリントユニット1の外部に搬出される。
このようにして、インプリントシステム1において、テンプレートTを連続的に交換しつつ、複数のウェハWに対して所定のレジストパターンPが連続的に形成される。
以上の実施の形態のインプリントシステム1は、テンプレート搬入出ステーション2とウェハ搬入出ステーション5を有しているので、インプリントユニット4において、一のテンプレートTを用いて所定枚数のウェハWに所定のレジストパターンPを形成した後、当該一のテンプレートTを他のテンプレートTに連続的に交換することができる。これによって、例えばテンプレートTが劣化する前、あるいは複数のウェハW上に異なるレジストパターンPを形成する場合でも、インプリントユニット4内のテンプレートTを連続して効率よく交換することができる。したがって、複数のウェハWに対して所定のレジストパターンPを連続的に形成することができる。また、これによって、半導体デバイスの量産化を実現することも可能となる。
また、処理ステーション3の離型剤処理ラインAとテンプレート洗浄ラインBは、テンプレートTを搬送する複数の搬送ローラ100を備え、当該複数の搬送ローラ100で搬送中のテンプレートTに所定の処理を行うので、複数のテンプレートTに対して所定の処理を連続して行うことができる。
また、処理ステーション3内に、離型剤処理ラインAが設けられているので、インプリントシステム1内でテンプレートT上に離型剤Sを成膜しつつ、テンプレートTをインプリントユニット4に連続的に供給できる。したがって、インプリントユニット4内のテンプレートTをより効率よく交換することができる。
また、処理ステーション3内には、テンプレート洗浄ラインBが設けられている、すなわち後洗浄ユニット31が設けられているので、インプリントシステム1内で使用済みのテンプレートTの表面T1を洗浄することができる。これによって、インプリントユニット1内でテンプレートTを再度使用することができる。
また、後洗浄ユニット31には、紫外線照射部143と洗浄液ノズル144が設けられているので、紫外線照射部143から照射される紫外線と洗浄液ノズル144から供給される洗浄液の両方でテンプレートTの表面T1を洗浄することができる。すなわち、テンプレートTに対していわゆるドライ洗浄とウェット洗浄の両方が行われるので、テンプレートTの表面T1を確実に洗浄することができる。
さらに、処理ステーション3内に、検査ユニット32が設けられているので、洗浄後のテンプレートTの表面T1を検査することができる。そして、この検査結果に基づいて、例えば当該テンプレートTをインプリントユニット1内で再度使用したり、あるいはインプリントユニット1の外部に搬出する等を決定することができる。これによって、テンプレートTを有効利用することができると共に、インプリントユニット1内で不良なテンプレートTを使用することが無くなるので、複数のウェハW上に所定のレジストパターンPを適切に形成することができる。
また、処理ステーション3には、テンプレートTの表裏面を反転させる反転ユニット40が設けられているので、処理ステーション3とインプリントユニット4との間で、テンプレートTを円滑に搬送することができる。また、テンプレートTはウェハWに比して小さいため、テンプレートTの表裏面を容易に反転させることができる。
なお、以上の実施の形態の処理ステーション3には、離型剤処理ラインAとテンプレート洗浄ラインBの両方が設けられていたが、例えば図15に示すように、処理ステーション3内に離型剤処理ラインAのみを設け、テンプレート洗浄ラインBの処理ユニット31、32を省略してもよい。なお、省略した処理ユニット31、32の位置には、複数の搬送ローラ100が配置され、テンプレートTの搬送のみが行われる。この場合、前記実施の形態の工程F11、F12が省略され、使用済みのテンプレートTの表面T1の洗浄はインプリントシステム1の外部で行われる。
また、例えば図16に示すように、処理ステーション3内にテンプレート洗浄ラインBのみを設け、離型剤処理ラインAの処理ユニット21〜25を省略してもよい。なお、省略した処理ユニット21〜25の位置には、複数の搬送ローラ100が設けられ、テンプレートTの搬送のみが行われる。この場合、前記実施の形態の工程F2〜F5が省略され、テンプレートT上の離型剤Sの成膜はインプリントシステム1の外部で行われる。すなわち、インプリントシステム1には、離型剤Sが成膜されたテンプレートTが搬入される。
いずれの場合でも、インプリントユニット4内のテンプレートTを連続的に交換することができ、複数のウェハWに対して所定のレジストパターンPを連続的に形成することができる。
また、以上の実施の形態の後洗浄ユニット31には、紫外線照射部143と洗浄液ノズル144の両方が設けられていたが、いずれか一方のみが設けられていてもよい。例えば紫外線の照射のみでテンプレートTの表面T1を洗浄する場合には、図9に示した後洗浄ユニット31において、紫外線照射部143のみを設け、洗浄液ノズル144を省略してもよい。一方、洗浄液の供給のみでテンプレートTの表面T1を洗浄する場合には、図9に示した後洗浄ユニット31において、洗浄液ノズル144のみを設け、紫外線照射部143を省略してもよい。この場合、洗浄液には、有機溶剤が用いられる。なお、有機溶剤として例えばIPAを用いる場合には、当該IPAのみで離型剤Sを除去できる。一方、例えばジブチルエーテルやシクロヘキサンを用いる場合には、当該有機溶剤を供給後、さらにIPAを供給して離型剤Sを除去するのが好ましい。
以上の実施の形態では、インプリントユニット4において、テンプレート保持部80はウェハ保持部61の上方に設けられていたが、テンプレート保持部をウェハ保持部の下方に設けてもよい。
かかる場合、図17に示すようにインプリントユニット300のケーシング301の底面には、テンプレート保持部302が設けられる。テンプレート保持部302は、図5及び図6に示したテンプレート保持部80と同様の構成を有し、当該テンプレート保持部80を鉛直方向に反転させて配置したものである。したがって、テンプレートTは、その表面T1が上方を向くようにテンプレート保持部302に保持される。また、テンプレート保持部302の光源83から発せられる光は、上方に照射される。
また、ケーシング301の天井面であって、テンプレート保持部302の上方には、ウェハ保持部303が設けられている。ウェハ保持部303は、ウェハWの被処理面が下方を向くように、当該ウェハWの裏面を吸着保持する。ウェハ保持部303は、当該ウェハ保持部303の上方に設けられた移動機構304によって水平方向に移動できるようになっている。
なお、インプリントユニット300のその他の構成については、図5及び図6に示したインプリントユニット4の構成と同様であるので、説明を省略する。
次に、以上のように構成されたインプリントユニット300で行われるインプリント処理について説明する。図18は、主な工程におけるテンプレートTとウェハWの状態を示している。
先ず、テンプレートTとウェハWがインプリントユニット300に搬入され、テンプレート保持部302とウェハ保持部303にそれぞれ吸着保持される。
その後、レジスト液ノズル72をテンプレートTの辺方向に移動させ、図18(a)に示すようにテンプレートT上にレジスト液を塗布し、レジスト膜Rを形成するこのとき、テンプレートTの転写パターンCにおける凹部に対応する部分(ウェハW上に形成されるレジストパターンPにおける凸部に対応する部分)に塗布されるレジスト液の量は多く、凸部に対応する部分(レジストパターンPにおける凹部に対応する部分)に塗布されるレジスト液の量は少なくなるように、テンプレートT上にレジスト液が塗布される。このように転写パターンCの開口率に応じてテンプレートT上にレジスト液が塗布される。
テンプレートT上にレジスト膜Rが形成されると、ウェハ保持部303に保持されたウェハWを水平方向の所定の位置に移動させて位置合わせを行うと共に、テンプレート保持部302に保持されたテンプレートTを所定の向きに回転させる。そして、図18(a)の矢印に示すようにテンプレートTをウェハW側に上昇させる。テンプレートTは所定の位置まで上昇し、テンプレートTの表面T1がウェハW上のレジスト膜Rに押し付けられる。続いて、光源83から光が照射される。光源83からの光は、図18(b)に示すようにテンプレートTを透過してウェハW上のレジスト膜Rに照射され、これによりレジスト膜Rは光重合する。このようにしてウェハW上のレジスト膜RにテンプレートTの転写パターンCが転写され、レジストパターンPが形成される。
その後、図18(c)に示すようにテンプレートTを下降させて、ウェハW上にレジストパターンPを形成する。なお、ウェハWをインプリントユニット300から搬出した後、図18(d)に示すようにウェハW上の残存膜Lを除去してもよい。
以上の実施の形態によれば、テンプレートT上にレジスト液を塗布するので、前記実施の形態においてウェハW上にレジスト液を塗布する際に行っていた、ウェハWの位置合わせを行う必要がない。したがって、インプリントユニット300において、ウェハW上に迅速且つ効率的にレジストパターンPを形成することができる。
以上の構成を有するインプリントユニット300は、例えば図19に示すように、図1に示したインプリントユニット4に代えて、インプリトシステム1内に配置される。かかる場合、インプリントユニット300内において、ウェハWはその被処理面が下方に向くように配置されるので、ウェハWをインプリントユニット4に搬入出する前に、当該ウェハWの表裏面を反転させる必要がある。このため、インプリントシステム1のウェハ搬入出ステーション5には、ウェハWの表裏面を反転させる反転ユニット310が設けられている。なお、インプリントユニット300内において、テンプレートTはその表面T1が上方を向くように配置されるので、テンプレートTの表裏面を反転させる必要がなく、図1に示した反転ユニット40を省略できる。この場合、反転ユニット40の位置には、テンプレート搬送体311が設けられる。テンプレート搬送体311は、鉛直方向、水平方向及び鉛直周り(θ方向)にも移動自在であり、離型剤処理ラインAのトランジションユニット26、テンプレート洗浄ラインBのトランジションユニット30、バッファカセット41及びインプリントユニット4に対してテンプレートTを搬送することができる。
反転ユニット310は、図20に示すように反転機構320を有している。反転機構320は、図10及び図12に示した反転機構160における一対の保持部161、161を、他の一対の保持部321、321に置換した構成を有している。保持部321は、略3/4円環状に構成されたフレーム部322と、フレーム部322を支持するアーム部323とを有し、これらフレーム部322とアーム部323は一体に形成されている。フレーム部322には、ウェハWを保持するための挟持部324が設けられ、挟持部324には、テーパ溝(図示せず)が形成されている。そして、ウェハWの周縁部が挟持部324のテーパ溝に挿入されてウェハWは支持される。なお、反転ユニット310のその他の構成については、図10及び図12に示した反転ユニット40の構成と同様であるので、説明を省略する。
かかるインプリントシステム1において、前記実施の形態と同様に工程F1〜F12が行われる。そして、テンプレートTを連続的に交換して、複数のウェハWに対して所定のレジストパターンPを連続的に形成することができる。なお、本実施の形態においては、上述したようにインプリントユニット300にウェハWを搬入する前と、インプリントユニット300からウェハWを搬出した後に、反転ユニット310でウェハWの表裏面を反転させる。また、テンプレートTの表裏面が反転されることはなく、テンプレートTは常に表面T1を上方に向けて処理される。
また、以上の実施の形態においてインプリントユニット300内で行っていた、テンプレートT上へのレジスト液の塗布作業を、処理ステーション3内で行ってもよい。例えば図21に示すように離型剤処理ラインAのリンスユニット25とトランジションユニット26との間に、テンプレートT上にレジスト液を塗布する塗布ユニットとしてのレジスト塗布ユニット330が配置される。レジスト塗布ユニット330は、図8に示した離型剤塗布ユニット22における離型剤ノズル131を、レジスト液を供給するレジスト液ノズルに置換した構成を有している。なお、この場合、インプリントユニット300内でテンプレートT上にレジスト液を塗布する必要が無くなるので、当該インプリントユニット300内のレジスト液ノズル72を省略できる。
かかる場合、レジスト膜Rが形成されたテンプレートTがインプリントユニット300に搬入されるため、1枚のウェハW上にレジストパターンPを形成すると、使用されたテンプレートTは交換される。これによって、インプリントユニット4内での処理工程が減少するので、ウェハW上に迅速にレジストパターンPを形成することができる。
なお、これらレジスト塗布ユニット330は、図1に示したインプリントユニット4を有するインプリントシステム1にも配置することができる。この場合にも、インプリントユニット4内のレジスト液ノズル72を省略できる。
以上の実施の形態では、処理ステーション3の離型剤塗布ユニット22において、離型剤ノズル131からテンプレートT上に液体状の離型剤Sを供給することにより、テンプレートTの表面T1に離型剤Sを塗布していたが、テンプレートTの表面T1に気化した離型剤を堆積させて離型剤Sを成膜してもよい。かかる場合、図22に示すようにインプリントシステム1の離型剤処理ラインAには、図1に示した離型剤塗布ユニット22とリンスユニット25に代えて、離型剤塗布ユニット340が配置される。すなわち、この場合、離型剤処理ラインAには、テンプレート搬入出ステーション2側からインプリントユニット4側に向けて順に、トランジションユニット20、前洗浄ユニット21、離型剤塗布ユニット340、加熱ユニット23、温度調節ユニット24、トランジションユニット26が一列に配置される。
離型剤塗布ユニット340は、図23に示すようにその内部にケーシング341を有している。ケーシング341の前洗浄ユニット21側と加熱ユニット23側の側面には、搬送ローラ100に対応する高さにテンプレートTの搬入出口342がそれぞれ形成されている。なお、各搬入出口342には、開閉シャッタ(図示せず)が設けられ、ケーシング341の内部を密閉可能になっていてもよい。
ケーシング341には、テンプレートT上に気化した離型剤を供給する離型剤ノズル343と、ケーシング341内の雰囲気を排気する排気管344がそれぞれ接続されている。離型剤ノズル343と排気管344は、前洗浄ユニット21側からこの順で設けられている。そして、離型剤ノズル343から供給された気化した離型剤は、離型剤処理ラインAに沿ったテンプレートTの搬送方向に流れ、テンプレートTの表面T1上に転写パターンCに沿って堆積する。
ケーシング341の内部の搬送ローラ100は、温度制御ローラ100bを構成している。温度制御ローラ100bの内部には、所定の温度の温度調節水が循環している。この温度制御ローラ100bによって、テンプレートTを所定の温度に設定できる。
次に、かかる離型剤塗布ユニット340が配置された処理ステーション3において、テンプレートTに離型剤Sを成膜する方法について説明する。
処理ステーション3内では、先ず、テンプレートTは前洗浄ユニット21に搬送され、図24(a)に示すようにテンプレートTの表面T1が洗浄される。その後、テンプレートTは離型剤塗布ユニット340に搬送され、図24(b)に示すようにテンプレートTの表面T1上に気化した離型剤S0が供給され、当該離型剤S0が転写パターンCに沿って堆積する。このとき、テンプレートTは、温度制御ローラ100bによって所定の温度に設定されている。その後、テンプレートTは加熱ユニット23に搬送され、図24(c)に示すようにテンプレートT上の離型剤Sが焼成される。その後、テンプレートTは温度調節ユニット24に搬送され、テンプレートTが所定の温度に調節される。このようにして、テンプレートTの表面T1上に、転写パターンCに沿った離型剤Sが成膜される。
以上の実施の形態によれば、気化した離型剤S0がテンプレートTの転写パターンCに沿って堆積するため、離型剤Sをリンスする必要がない。したがって、処理ステーション3において、テンプレートT上に離型剤Sをより円滑に成膜することができ、これによって、インプリントシステム1におけるインプリント処理のスループットを向上させることができる。
なお、離型剤塗布ユニット340において、気化した離型剤S0をテンプレートTの表面T1上に供給した後、当該離型剤S0を減圧乾燥させてもよい。かかる場合、離型剤塗布ユニット340内でのテンプレートTの搬送を一時的に停止してもよい。
以上の実施の形態では、テンプレートTの反転ユニット40、ウェハWの反転ユニット310は、それぞれインプリントユニット4の外部に設けられていたが、これらテンプレートT、ウェハWの表裏面を反転させる機構をインプリントユニット4の内部に設けてもよい。
以上の実施の形態では、テンプレート搬入出ステーション2と処理ステーション3において、テンプレートTは個別に搬送され処理されていたが、図25に示すように複数、例えば9枚のテンプレートTが1つのホルダー350に保持されて処理されてもよい。かかる場合、ホルダー350には、図26に示すように各テンプレートTを収容するために下方に窪んだ収容部351が形成されている。収容部351の底面には例えば複数の吸引口(図示せず)が形成され、各テンプレートTは収容部351内に吸着保持されるようになっている。
本実施の形態によれば、ホルダー350に保持された複数のテンプレートTを一度にインプリントユニット4側へ搬送することができる。また、処理ステーション3において、複数のテンプレートTに対して一度に所定の処理を行うことができる。したがって、インプリントユニット4内のテンプレートTをより効率よく交換することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。本発明はこの例に限らず種々の態様を採りうるものである。本発明は、基板がウェハ以外のFPD(フラットパネルディスプレイ)、フォトマスク用のマスクレチクルなどの他の基板である場合にも適用できる。