JP5149053B2 - 撮影光学ユニット - Google Patents

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Description

本発明は、前後、左右、上下等複数の視野を広画角に、しかも同時に撮影するのに適した撮影光学ユニットに関するものであり、該撮影光学ユニットの構造の簡素化により効率的で精度の高い組み立てを実現するとともにそのコンパクト化を図ろうとするものである。
従来の撮影光学ユニットとしては、撮像レンズの前方に複数のプリズムを配置しこのプリズムより入射された光を結像レンズに通して単一撮像素子の撮像面で結像させることによって複数の視野を同時に映し出す構造の車載カメラが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2004−341509号公報
ところで、従来のこの種の撮影光学ユニットは、プリズムと撮像素子との間に配される撮像レンズが複合レンズとして構成されており、ホルダ内に内包されて1つのレンズに組み立てられているため該プリズムの入射位置と撮像素子の受光面との位置がその構造上短縮するのが困難で撮像光学ユニットそのもののサイズの小型化が困難であり、また、該プリズムは、その構造上、撮像レンズの前面に設置されるワイドレンズに固定せざるを得ず該ワイドレンズにプリズムの重さが加わることから、光学的な精度を保証することが極めて難しくコストの上昇も避けられない状況にあった。
本発明の課題は、構造の簡素化により精度の高い組み立てを効率的に行うことが可能で、広画角に、しかも、異なる複数の画像を単一の撮像素子で同時に撮影できるコンパクトな撮影光学ユニットを提案するところにある。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、物体側からの光の透過作用を有する第1面、光の内部反射と透過作用を有する第2面及び光の反射作用を有する第3面の3つの光学面を有し、そのうちの少なくとも反射作用を有する光学面がレンズ機能を兼ね備えた自由曲面プリズムと、この自由曲面プリズムの複数個を、その第1面につきそれぞれ異なる視野へ向けて固定保持したフレームと、このフレームそのものを載置するとともに各自由曲面プリズムより出射された光を撮影視野として並列に結像させる単一の撮像素子を配設したホルダと、該自由曲面プリズムの各第1面に対応させて開口する窓孔を有し、該ホルダに固着させてフレームを自由曲面プリズムとともにその内側に収納するカバー体とを組み合わせるところに特徴を有する。
上記の構成なる撮影光学ユニットにおいて、自由曲面プリズムは、Y-Z面内における第1面が負の屈折力を有し、第2面及び第3面が正の屈折力を有するものを適用するのが望ましい。また、前記自由曲面プリズムは前方視野を基準にして入射面を右側視野及び左側視野へそれぞれ指向させて並列に配置した2つの光学素子にて構成することができる。
また、自由曲面プリズムは、前方視野を基準にして入射面を右側視野又は左側視野の何れか一方に指向させた第1の光学素子と、この第1の光学素子と並列に配置した第2の光学素子の2つにて構成し、そのうち第2の光学素子については、入射面を前方に指向させた前段プリズムを設ける。
上記の前段プリズムは、その入射面に、L型形状をなす絞りを配置し、第2の光学素子との相互間に縦長の楕円形状になる固定絞りを配置するのが望ましく、第2のプリズム光学素子の入射面よりも入射面を高くした上方配置とする。
さらに、自由曲面プリズムは、前方視野を基準にして入射面を右側視野及び左側視野にそれぞれ指向させて並列配置した第1の光学素子及び第2の光学素子と、該第1の光学素子及び第2の光学素子の何れか一方の入射面と同じ向きに入射面を指向させて並列に配置した第3の光学素子にて構成し、第3の光学素子に、入射面を前方視野に指向させた前段プリズムを配置する。
この場合、前段プリズムの入射面にはL型形状をなす固定絞りを設け、第3の光学素子との相互間に縦長の楕円形状になる固定絞りを設け、該前段プリズムの入射面が、第3の光学素子の入社面よりも高くなる上方配置とする。
本発明を構成するのに不可欠な自由曲面プリズムとは、回転対称でない自由形状のレンズ面とプリズムを融合させてレンズ作用をもたせた光学素子をいう。より具体的には、対象視野(物体側)から、光の透過作用を有する第1面、光の内部反射と透過作用を有する第1面及び光の反射作用を有する第3面の3つの光学面を有し、屈折率が1.3倍よりも大きい媒質にて構成され、何れの光学面もY-Z面(Y-Z面:物体の中心を出て絞りの中心を通り撮像素子の像面中心に至る光を軸上主光線(光の進行方向を正とした光軸)をいう)とした場合において絞りの中心を原点として該軸上主光線に沿って進む方向をZ軸(正方向)とし、このZ軸に直交する向きの軸をY軸とした場合において軸上主光線と像面中心を含む平面をいう)を唯一の対称面とする自由曲面からなり、光束にパワーを与えかつ偏心により発生する収差を補正する回転非対称な面形状を有するように構成され、かつ、3面の中の第1面、第3面が回転非対称面になっているものをいう(特願2007-96175号明細書参照)。
また、前段プリズムとは、上記プリズム光学素子の入射面の前側に配置されるプリズムを意味するものであって、三角柱状プリズムや台形状プリズム等が適用される。
光学素子として、光の透過作用を有する第1面、光の内部反射と透過作用を有する第2面及び光の反射作用を有する第3面の3つの光学面を有し、そのうちの反射作用を有する光学面がレンズ機能を兼ね備えた自由曲面プリズムを用いると、その出射面の直近に撮像素子を配置することが可能となり、部品点数が少なくてすみ、簡易な構造のもとで複数視野を単一の撮像素子に同時に結像させることができる。また、該自由曲面プリズムは画角を広くとっても周辺の解像力が高く歪が小さい利点がある。
とくに、Y-Z面内にける第1面が負の屈折力を有し、第2面及び第3面を正の屈折力を有していると、物体側から第1面が負レンズ、第2面と第3面が正レンズとなるレトロフォーカスの配置となるため、バックフォーカスを長くすることが可能となり、撮像素子と光学素子の出射面との距離を確保することができるため、ローパスフィルター等の光学部材を配置する際に有利となる。
複数の自由曲面プリズムをフレームに形成した区画凹所にそれぞれ組み入れ、このフレームを、撮像素子(放熱板、基板を含む)を配設したホルダの上に載置、固定する一方で各自由曲面プリズムの入射面において開口する窓孔を形成したカバー体をホルダに合致させてその内側に該自由曲面プリズムをフレームとともに収納することにより撮像光学ユニットの偏平化、ひいてはコンパクト化が可能となる。
自由曲面プリズムとして、その第1面を、前方視野を基準にして左右両側の視野へ向けるべく、それぞれ正反対に指向させて並列に反転配置(180°向きが異なる場合)した2つの光学素子を用いて撮影光学ユニットを構成するものにあっては、左右2方向の視野を同時に撮影することが可能となる。また、これに加えてさらに前段プリズムを適宜組み合わせることで左右2方向の視野のみならず左側と前方(2方向)あるいは右側と前方(2方向)、左右と前方(3方向)等の視野の撮影が可能となる(組合せによっては後方や上下を含め全方位の撮影が可能)。
以下、図面を用いて本発明をより具体的に説明する。
図1、2は本発明にしたがう撮影光学ユニットの実施の形態を示した外観斜視図であり、図3A、図3Bは図1、2に示した撮影光学ユニットの分解状態を示した図、図4〜6図1におけるA-A断面、B-B断面、C-C断面を示した図である。
図における符号1は複数個の自由曲面プリズムを組み入れるフレームである(図3参照)。このフレーム1には長手方向の中央部分に天面壁1aから底面壁1bに向けて矩形状に開口する貫通孔hが形成されており、天面壁1a、底面壁1bの両側に位置する傾斜側壁1c、1dには該貫通孔hに連通するように切り欠かれた区画凹所e〜eが設けられている。そして該区画凹所e〜eの底部の対向位置には2つで1組になる座部t〜t(t、tで1組、t、tで1組、t、tで1組になる) が形成されている(図7、8参照)。
また、2は該フレーム1を載置するホルダ、3はホルダ2に固着(ボルトによる連結等)させて自由曲面プリズムをフレーム1とともに内側に収納するカバー体である。カバー体3には自由曲面プリズムの第1面(入射面)において開口する窓孔3a〜3cが設けられており、フレーム1とはねじや接着によって着脱自在に固定される。カバー体3の窓孔3a〜3cには異物の侵入を防止するためカバーガラス等が適宜設けられ、窓孔の開放角度は自由曲面プリズムの性能(撮影できる視野の範囲)や絞りに応じて設定される。
また、4は右側視野を真横(カバー体3に形成された凹部3cの外表面)から前方に向けて角度θ:60°の範囲で撮影を可能とした自由曲面プリズム(第1の光学素子という)である(図3、図4参照)。
第1の光学素子4は図9にその形状を具体的に示すように、光の透過作用を有する第1面(入射面)4a、光の内部反射と透過作用を有する第2面(出射面であり貫通孔hの底面壁1bの出側に位置する)4b及び光の反射作用を有する第3面4cの3つの光学面を有し、そのうちの第2面4b、第3面4cがレンズ機能を兼ね備えており、該第2面4bの両側の端部にはフレーム1の座部t〜tに適合して簡単かつ正確に位置決め配置することができる段差k、kが形成されている。
ここに第1の光学素子4は屈折率が1.3よりも大きな媒質で形成され、固定絞りを通して入射された対象視野からの光は、第1面4aを透過して媒質内部に入り、第2面4bで全反射されたのち第3面4cにて反射され、さらに再度、第2面4bを透過して出射される。
5は第1の光学素子4と同様の自由曲面プリズム(これを以下、第2の光学素子という。外観形状は自由曲面プリズム4と同じ)である(図3、図5参照)。この第2の光学素子5は入射面である第1面5aを第1の光学素子4とは正反対に指向させて貫通孔hに並列に配置されるものであり、左側の視野を真横から前方に向かって角度θ:60°の範囲で撮影することが可能になっている。ここに正反転に配置するとは、具体的に図3Aあるいは図7に示したように、第1の光学素子4に対し撮像素子へ向かう軸上主光線の周りで180°回転させて相互に平行となる配置をいう。
また、6は第1の光学素子4、第2の光学素子5と同様の構成になる自由曲面プリズム(以下、第3の光学素子という)である(図3参照)。この第3の光学素子6は第2の光学素子5とは入射面である第1面6aの向きを正反対に指向させて貫通孔hに並列に配置されるものであり(図3、図7参照)、その第1面6aの入側には三角柱状あるいは台形状等にて形成された前段プリズム7が配置されている(図1〜3参照)。この前段プリズム7はその外観を図10に示すように、ゴーストの発生や色むらの防止を図るために入射面7a、出射面7bにARコート処理(SiO+SiOの皮膜)が施され、また、反射面7cにAlコート処理(SiO+Al+SiOの皮膜)が適宜施され、その側面には光の反射、入射を防止するため黒色塗料が塗布(あるいは砂目状に粗されている)されている。この前段プリズム7は撮影しようとする視野の光をより多く取り入れるため第3の光学素子6の厚さWよりも厚い厚Wを有し(図9、図10参照)、第3の光学素子6の第1面6aよりも入射面7aが高いところに存在する上方配置になっている。
前段プリズム7より入射された光は反射面7cを経てその出射面7bより出射されたのち、第3の光学素子6を経て撮像素子において結像され、ここに、該第3の光学素子6は真正面を基準に右側、左側へそれぞれ30°、合計で角度θ:60°の範囲における視野(前方視野)の撮影を可能としている。
各光学素子4〜6はフレーム1の座部t〜tにおいて嵌合あるいは接着により固定されるが、下記において説明する如き弾性舌片を用いて固定することも可能(嵌合や接着剤による固定と弾性舌片8による固定を併用してもよい)であり、何れにおいてもフレーム1への組込みに際しては各光学素子4〜6の段差k、kがフレーム1の座部t〜tに適合することになるので簡単な動作のもとで正確な位置決めが行える。
光学素子4〜6をフレーム1の区画凹所e〜eに組み入れるに際して、各光学素子4〜6の相互間に隙間が形成されるような場合にはその隙間に対応した厚さを有するスペーサを適宜配置するのが好ましく、これによりがたつきのない安定した配置が可能となる。また、光学素子4〜6の各側壁に凹部とこの凹部に嵌り込む凸部を適宜設け、各光学素子4〜6を相互に連接した状態で貫通孔hの座部t〜tに配置することも可能であり、この場合、迅速で正確な組込みが行える。
第1の光学素子4、第2の光学素子5、第3の光学素子6の光学面4a〜4c、5a〜5c、6a〜6c(第1面、第2面及び第3面)のうち光学面4b、5b、6bにはゴーストの発生や色むらの防止を図るために図9において示す如きコート分岐線Lを境に領域CにおいてARコート処理(SiO+SiOの皮膜)が施され、領域CにおいてAlコート処理(SiO+Al+SiOの皮膜)が適宜施されており(光学面4c、5c、6cはAlコート処理)、光学面を除いた側面には、その部位からの余計な光の入射あるいは反射を防止するため艶消し処理(黒色塗料の塗布、砂目状に粗らす等)が施されている。
さらに、図における8(8a〜8c)はフレーム1の天面壁1aにねじ止めあるいは接着により設けられ、第1〜3の光学素子4〜6の上端に弾性接触してフレーム1に強固に固定保持する弾性舌片である(図3〜6参照)。この弾性舌片8は片持ち支持になる板ばね等を例として示してあり、その先端にはシリコンゴムの如き緩衝部材9(9a〜9c)が設けられている。
10は前段プリズム7の入射面7aに配置されたL型形状をなす固定絞り、11は固定絞り10を前段プリズム7とともにホルダ2に固定保持する係止部材、12〜14はフレーム1の傾斜側壁1c、1dに沿って配置された固定絞りである。この固定絞り12〜14は第1〜3の光学素子4〜6においてそれぞれ60°の視野を確保するため縦長で楕円形状の開口が形成されている。
ホルダ2の上には上記の如く第1〜3の光学素子4〜6が組み込まれたフレーム1と、係止部材11により固定された前段プリズム7が載置されることになり、前方60°、左側、右側のそれぞれ60°の視野を確保すべくカバー体3にはフレーム1の傾斜側壁1c、1dに対応した側壁3d、3eと、この側壁3d、3eにつながる凹部3f、3gが区画形成されており、このためカバー体3はT字型の膨出部が形成された外観形状を呈している(図1、2参照)。
さらに15はホルダ3に設置された撮像素子(撮像素子15はCCD素子が適用され、上端開放型のケースに入れられている)、16は撮像素子15と第1〜3の光学素子4〜6のそれぞれの第2面(出射面)4b、5b、6bとの相互間に配置されたフィルター(フレーム1で固定してもよいしホルダ3に固定してもよく、赤外線フィルターや光学ローパスフィルターが適用される)である(図3〜6参照)。
撮像素子15の下側には基板(フレキシブルプリント基板等)17を介して放熱板18が設けられ、該撮像素子15の上には保護板19(ガラス等)が設けられている。基板17、放熱板18、保護板19は撮像素子15とともにホルダ2の貫通開口2aにおいてフレーム1の貫通孔hに対応するよう配置されている(パッケージ化されている)。撮像素子15はシリコンシート等の絶縁部材を配置することにより基板17、放熱板18とは適宜絶縁処理がなされている。
フィルター16と撮像素子15との間(実際には撮像素子15の最上面に位置する保護板19との間)において埃等の侵入が懸念される場合には、図11に示すように、その間に撮像素子15を囲撓する形状を有するパッキンP(出射面から出射される光以外の光の入射を避けるためカーボン入りのシリコンゴムやウレタンゴムが適用される)を設けて両者を密着させる。
上記の構成になる撮影光学ユニットにおいては、第1の光学素子4を通して出射された光は右側60°の視野として撮像素子15において結像され、第2の光学素子5を通して出射された光は左側60°の視野として撮像素子15において並列に結像され、さらに、前段プリズム7及び第3の光学素子6を通して出射された光は前方60°の視野として撮像素子15において並列に結像されることとなり(単一の撮像素子15において3つの視野が並列に結像される)、かかる構成になる撮影光学ユニットにおいては右側から左側(あるいは左側から右側)にわたる180°の範囲における撮影が可能となる。
本発明の実施の形態では、右側60°、左側60°、前方60°の範囲における視野を結像させる撮影光学ユニットを例として説明したが、撮影可能な視野の範囲は使用する自由曲面プリズムそのものの性能や組合せによって適宜変更することができるものであり各自由曲面プリズムの視野が60°の範囲に限定されるものではない。
また、第1の光学素子4と第2の光学素子5の2つのみで撮影光学ユニットを構成してもよいし、左側又は右側の何れか一方と、前方あるいは後方の何れか一方の視野を結像させるように光学素子を組み込んで撮影光学ユニットを構成することも可能であり、かかる構成では光学素子の設置個数が少なくて済む分、構造をより簡素化することができユニット自体のさらなる小型化が可能となる。
また、実施の形態に示した構成になる撮影光学ユニットを2組み背面合わせとした構成を採用(この場合360°の視野を撮像するこが可能)することはもちろん、さらに上下に組み込んだ構成を採用することもできる。
本発明にしたがう撮影光学ユニットはとくに車両に搭載して外部の視野を撮影するのに好適であるばかりでなく、車両の内部に設置して車両の内外を監視する監視カメラとしても有用であり、またカプセル型内視鏡等にも適用し得る。
第1〜3の光学素子4〜6としては、光の透過作用を有する第1面4a、5a、6a、光の内部反射と透過作用を有する第2面4b、5b、6b及び光の反射作用を有する第3面4c、5c、6cの3つの光学面を有し、屈折率が1.31倍より大きい媒質にて構成されており、何れの光学面もY−Z面を唯一の対称面とする自由曲面からなり、光束にパワーを与えかつ偏心により発生する収差を補正する回転非対称な面形状を有するように構成され、かつ、3面の中の第1面、第3面が回転非対称面になっているものを適用することができる。ここに、Y-Z面とは図12に示したような面(ここでは全てのプリズム光学素子の向きを同じにして表示してある)であり、第1〜3のプリズム光学素子4〜6を用いることで撮像レンズの如きは不要となり広画角で、高精彩な画像の撮影が可能となる。なお、図12中lが軸上主光線であり、0が絞りの中心である。
本発明において適用する自由曲面プリズムでは、光の入射側から光線の通る順に、第1面4a〜6aを透過し、第2面4b〜6b及び第3面4c〜6cで内部反射し、さらに再び第2面4b〜6bを透過して撮像素子15に至ることになり、表1に示すように、第1面4a〜6aは上掲図12で表記したところのX-Z面内では正の屈折力を有し、Y-Z面内では負の屈折力を有する。また、第2面4b〜6bはX-Z面内では負の屈折力を有し、Y-Z面内では正の屈折力を有し、さらに、第3面4c〜6cではX-Z、Y-Z面内ともに正の屈折力を有する。

Figure 0005149053
図13に各面内の屈折力を示すように、Y-Z面内では第1面4a〜6aから出射面である第2面4b〜6bまで、負、正、正、正であり、単純化すると入射側から負、正の屈折力の組合せとなるため、いわゆるレトロフォーカスの配置になっている。このためバックフォーカスを長くすることが可能となり、撮像素子15と光学素子(自由曲面プリズム)との間の距離を確保することができ、さらにIRカットフィルター、光学的ローパスフィルター等の光学部材を配備するにも有利となる。
また、X-Z面内においては、第1面4a〜6a、第2面4b〜6bは正の屈折力と負の屈折力によってコマ収差の補正を行っており、第3面4c〜6cが主な正の屈折力を有する反射面であり負の屈折力を有する第2面4b〜6c(この場合出射面)で像面をフラットにする作用を持つことになる。
さらに、このような光学面の配置によれば、軸外光線においては第3面4c〜6cの正の屈折力で像面に対して内側に傾いた主光線を、第2面4b〜6b(この場合出射面)の負のパワーによって撮像面に対して略垂直な光線にしてX-Z面内における像側テレセントリック条件を満たすことに寄与することになる。
左右両方向を同時に撮影可能とする本発明にしたがう撮影光学ユニットUを、自動車のフロントグリルの中央部に取り付けて両サイド及び前方のモニターとして使用した例を図14に示す。かかる使用例においては自動車の走行に際して両サイドにおける安全性がより高まる。
構造の簡素化により精度の高い組み立てを効率的に行うことが可能で、広画角に、しかも、異なる方向の画像を単一の撮像素子で同時に撮影できるコンパクトな撮影光学ユニットが提供できる。
本発明にしたがう撮影光学ユニットの実施の形態を示した図(外観斜視図)である。 図1に示した撮影光学ユニットの外観斜視図である。 図1、2に示した撮影光学ユニットの分解斜視図である。 図1、2に示した撮影光学ユニットの分解斜視図であり、図3AのIでつながる図である。 図1のA−AA断面図である。 図1のB−BB断面図である。 図1のC−CC断面図である。 フレームの外観斜視図である。 フレームの外観斜視図である。 プリズム光学素子の外観形状を示した図である。 前段プリズムの外観形状を示した図である。 フィルターと撮像素子の組合せ状態を示した図である。 プリズム光学素子のY−Z面を示した図である。 (a)はY-Z面内における各面の屈折力を示した図であり、(B)はX-Z面内における各面の屈折力を示した図である。 本発明にしたがう撮影光学ユニットを自動車のフロントグリルに装着して両サイドモニターとして使用した例を示した図である。
符号の説明
1 フレーム
1a 天面壁
1b 底面壁
1c 傾斜側壁
1d 傾斜側壁
2 ホルダ
3 カバー体
3a〜3c 窓孔
4 自由曲面プリズム
4a 第1面
4b 第2面
4c 第3面
5 自由曲面プリズム
5a 第1面
5b 第2面
5c 第3面
6 自由曲面プリズム
6a 第1面
6b 第2面
6c 第3面
7 前段プリズム
7a 入射面
7b 出射面
8(8a〜8b) 弾性舌片
9(9a〜9c) 緩衝部材
10 固定絞り
11 係止部材
12〜14 固定絞り
15 撮像素子
16 フィルター
17 基板
18 放熱板
19 保護板
e 凹所
h 貫通孔
〜t 座部
、k段差
軸上主光線
0 絞りの中心
L コート分岐線

Claims (7)

  1. 物体側からの光の透過作用を有する第1面、光の内部反射と透過作用を有する第2面及び光の反射作用を有する第3面の3つの光学面を有し、そのうちの少なくとも反射作用を有する光学面がレンズ機能を兼ね備えた自由曲面プリズムと、この自由曲面プリズムの複数個を、その入射面につきそれぞれ異なる視野へ向けて固定保持したフレームと、このフレームそのものを載置するとともに各自由曲面プリズムより出射された光を撮影視野として並列に結像させる単一の撮像素子を備えたホルダと、該自由曲面プリズムの入射面に対応させて開口する窓孔を有し、該ホルダに固着させて該フレームを自由曲面プリズムとともにその内側に収納するカバー体からなることを特徴とする撮影光学ユニット。
  2. 前記自由曲面プリズムは、Y-Z面内における第1面が負の屈折力を有し、第2面及び第3面が正の屈折力を有する、請求項1記載の撮影光学ユニット。
  3. 前記自由曲面プリズムは、前方視野を基準にして入射面を右側視野及び左側視野へそれぞれ指向させて並列に配置した2つの光学素子からなる、請求項1又は2記載の撮影光学ユニット。
  4. 前記自由曲面プリズムは、前方視野を基準にして入射面を右側視野又は左側視野の何れか一方に指向させた第1の光学素子と、この第1の光学素子と並列に配置した第2の光学素子の2つからなり、
    該第2の光学素子は、入射面を前方視野に指向させた前段プリズムを備える請求項1又は2記載の撮影光学ユニット。
  5. 前記前段プリズムの入射面に、L型形状をなす固定絞りを配置し、第2の光学素子との相互間に縦長の楕円形状になる固定絞りを配置し、
    該前段プリズムは、第2の光学素子の第1面よりも入射面を高くした上方配置になる請求項3に記載の撮影光学ユニット。
  6. 前記自由曲面プリズムは、前方視野を基準にして入射面を右側視野及び左側視野にそれぞれ指向させて並列に配置した第1の光学素子及び第2の光学素子と、該第1の光学素子及び第2の光学素子の何れか一方の入射面と同じ向きに入射面を指向させて並列に配置した第3の光学素子からなり、
    該第3の光学素子は、入射面を前方視野に指向させた前段プリズムを有する請求項1又は2記載の撮影光学ユニット。
  7. 前記前段プリズムの入射面にL型形状をなす固定絞りを設け、第3の光学素子との相互間に縦長の楕円形状になる固定絞りを設け、
    該前段プリズムは、第3の光学素子の第1面よりも入射面を高くした上方配置になる請求項6記載の撮影光学ユニット。
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