JP5147342B2 - 非水電解質二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、正極、負極、及びセパレーターが重ね合わせて円筒状に巻き取られた非水電解液二次電池に関するものである。
近年、携帯電話、ノートパソコン、PDAなどのモバイル機器の小型化・軽量化は著しく進行しており、また多機能化に伴い消費電力も増加している。このため、電源として使用されるリチウム二次電池にも軽量化及び高容量化の要望が高まっている。リチウム二次電池用の負極として、現在黒鉛等の炭素材料が用いられているが、黒鉛材料では理論容量の限界(372mAh/g)まで使用されており、今後の更なる高容量化に重要に応えられないところまできている。
この要望に対して、近年、炭素系負極に比べて単位質量及び単位体積あたりの充放電容量に優れる材料として、シリコン、ゲルマニウム、スズ等の合金系負極が提案されている。これらの負極材料を用いることにより、リチウム二次電池のエネルギー密度を高めることができる。特に、シリコンは活物質1gあたり約4000mAhの高い理論容量を示すことから、負極材料として有望である。
シリコン等の材料は、リチウムと合金化することによりリチウムを吸蔵し、体積が増加する。このため、リチウムとの合金化によりリチウムを吸蔵する材料を負極活物質として用いた場合、充放電により活物質の膨張・収縮が生じる。このため、充放電サイクルを繰り返すと、負極活物質に割れが生じたり、負極活物質が集電体から剥離するなどの問題を生じ、充放電サイクルが低下するという問題がある。このような充放電サイクルの低下を改善するため、種々の電極構造が提案されている。(特許文献1及び2など)
上記のようなリチウムとの合金化によりリチウムを吸蔵する材料を負極活物質として用いた電池において、電極体が、扁平型の巻き取り電極体である場合には、充放電時の合金材料の膨張・収縮により、電極体の巻き取り方向に撓みが生じる。しかしながら、電極体が、円筒型の巻き取り電極体である場合には、負極の膨張による力が、電極体の内側に向かって生じるため、電極体内部に保持されていた電解液が、電極体の外部に出てしまい、電極体において液枯れを生じ易くなる。このため、電池内に電解液が十分に存在せず、充放電反応が不均一になる。この場合、負極の膨化が顕著に起こるため、さらに電解液が電極体から放出され、電池の劣化が起こり易くなり、サイクル特性が低下するという問題を生じる。
特開平10−255768号公報 特開2001−266851号公報
本発明の目的は、リチウムと合金化することによりリチウムを吸蔵する材料を負極活物質として用いた円筒型非水電解液二次電池において、高いエネルギー密度及び優れたサイクル特性を有する非水電解液二次電池を提供することにある。
第1の本発明は、正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、正極と負極の間に配置されるセパレーターと、溶質及び溶媒を含む非水電解液とを備え、正極、負極、及びセパレーターが重ね合わせて円筒状に巻き取られた非水電解液二次電池であって、負極活物質としてリチウムと合金化することによりリチウムを吸蔵する材料が用いられており、非水電解液中に、溶媒として4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンと、4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンとの両方が含まれており、非水電解液の粘度が2.5mPas以下であることを特徴としている。
第2の本発明は、正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、正極と負極の間に配置されるセパレーターと、溶質及び溶媒を含む非水電解液とを備え、正極、負極、及びセパレーターが重ね合わせて円筒状に巻き取られた非水電解液二次電池であって、負極活物質としてリチウムと合金化することによりリチウムを吸蔵する材料が用いられており、非水電解液中に、溶媒としてトランス体の4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンが含まれており、非水電解液の粘度が2.5mPas以下であることを特徴としている。
上述のように、リチウムと合金化することによりリチウムを吸蔵する材料を負極活物質として用い、正極、負極、及びセパレーターが重ね合わせて円筒状に巻き取られた円筒型非水電解液二次電池の場合、充放電による負極の膨張・収縮が顕著に起こるため、電極体内部の電解液が放出され、電極体内部において液枯れを起こし易くなる。本発明に従い、粘度が2.5mPas以下の非水電解液を用いることにより、充放電時に放出された電解液が電極体内部へ再浸透し易くなる。
また、本発明においては、非水電解液中に溶媒としてフッ素化環状カーボネートが含まれているので、負極活物質の表面にフッ素化環状カーボネートによる皮膜を形成することができ、電極界面近傍における電解液の溶媒の分解を抑制することができる。また、負極活物質の膨張による劣化を抑制することができ、電極体からの電解液の放出を抑制することができるので、充放電サイクル特性をさらに高めることができる。
本発明においては、溶媒としてRCOOR(R及びRは炭素数3以下のアルキル基)で表される鎖状カルボン酸エステルが含有されていることが好ましい。このような鎖状カルボン酸エステルは、粘度の低い溶媒であるので、このような溶媒を含むことにより、非水電解液の粘度を低くすることができ、充放電時に放出された電解液が、電極体内部に再浸透し易くなる。
鎖状カルボン酸エステルとしては、酢酸メチル(CHCOOCH)、酢酸エチル(CHCOOC)、酢酸n−プロピル(CHCOOCHCHCH)、酢酸i−プロピル(CHCOOCH(CH)CH)、プロピオン酸メチル(CCOOCH)、プロピオン酸エチル(CCOOC)、プロピオン酸n−プロピル(CCOOCHCHCH)、プロピオン酸i−プロピル(CCOOCH(CH)CH)、n−酪酸メチル(CHCHCHCOOCH)、n−酪酸エチル(CHCHCHCOOC)、n−酪酸n−プロピル(CHCHCHCOOCHCHCH)、n−酪酸i−プロピル(CHCHCHCOOCH(CH)CH)、i−酪酸メチル(CH(CH)CHCOOCH)、i−酪酸エチル(CH(CH)CHCOOC)、i−酪酸n−プロピル(CH(CH)CHCOOCHCHCH)、i−酪酸i−プロピル(CH(CH)CHCOOCH(CH)CH)等が挙げられる。
特に良好なサイクル特性を得るためには、炭素数5以下の鎖状カルボン酸エステルが好ましく、具体的には酢酸メチル(CHCOOCH)、酢酸エチル(CHCOOC)、酢酸n−プロピル(CHCOOCHCHCH)、酢酸i−プロピル(CHCOOCH(CH)CH)、プロピオン酸メチル(CCOOCH)、プロピオン酸エチル(CCOOC)、n−酪酸メチル(CHCHCHCOOCH)、i−酪酸メチル(CH(CH)CHCOOCH)が好ましい。その中でも特に粘度の低い酢酸メチル(CHCOOCH)、酢酸エチル(CHCOOC)、プロピオン酸メチル(CCOOCH)が好ましい。
また、電池の高温特性を考慮すると、沸点が比較的高いプロピオン酸メチルが特に好ましい。
本発明において用いるフッ素化環状カーボネートとしては、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(光学異性体を含む)、4,4−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,−フルオロ−5−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オンなどが挙げられる。
上記の中でも、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、及び4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(光学異性体を含む)のうちの少なくとも一方をフッ素化環状カーボネートとして用いることがより好ましい。4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンは、電気化学的に安定しているため、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを用いることで特に良好な特性が得られる。
また、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC)と、4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(DFEC)との両方をフッ素化環状カーボネートとして用いることが特に好ましい。これは、FECと共に、FECよりも還元されやすいDFECを用いることで、負極表面に緻密な皮膜を形成することができるため、長期的にサイクル特性を向上させることができるためであると考えられる。
また、DFECは、トランス体であることが特に好ましい。これは、トランス体のDFECの方が、シス体のDFECよりも粘度が低く、非水電解液の粘度を低くすることができるためである。
フッ素化環状カーボネートの含有量は、溶媒全量中において、5〜40体積%の範囲であることが好ましい。また、鎖状カルボン酸エステルの含有量は、非水電解液の粘度が2.5mPas以下、好ましくは、2.0mPas以下となるような量に設定されることが好ましい。
本発明における負極活物質は、リチウムと合金化することによりリチウムを吸蔵する材料であり、このような材料として、シリコンを含む材料を用いることが好ましい。シリコンを含む材料としては、シリコン及びシリコン合金などが挙げられる。シリコン合金は、シリコンを50重量%以上含むことが好ましい。
シリコンを含む材料を負極活物質とした負極としては、集電体上にシリコン及び/またはシリコン合金を含む活物質薄膜を堆積して形成したものが挙げられる。活物質薄膜を堆積する方法としては、気相または液相から薄膜を堆積する方法が挙げられ、気相から薄膜を堆積する方法としては、CVD法、スパッタリング法、蒸着法及び溶射法などが挙げられる。これらの中でも、CVD法、スパッタリング法、及び蒸着法が特に好ましく用いられる。液相から薄膜を堆積される方法としては、電解めっき法や無電解めっき法などのめっき法が挙げられる。
活物質薄膜を堆積させる集電体の表面は、粗面化されていることが好ましい。集電体の表面粗さRaは、0.01μm以上であることが好ましく、さらに好ましくは、0.2μm以上であり、1μm以下であることが好ましい。表面粗さRaは、日本工業規格(JIS B 0601−1994)に定められており、例えば、表面粗さ計により測定することができる。
表面に凹凸を有する集電体の上に、活物質薄膜を堆積して形成することにより、活物質薄膜の表面にも、集電体表面の凹凸に対応した凹凸を形成することができる。このような活物質薄膜の凹凸の谷部と集電体表面の凹凸の谷部を結ぶ領域に、低密度領域が形成され易い。充放電の際、リチウムを吸蔵・放出することにより、活物質薄膜が膨張・収縮するが、このような活物質薄膜の膨張・収縮により、低密度領域に沿って、切れ目が形成される。このような薄膜の厚み方向に形成された切れ目により、活物質薄膜が柱状に分離される。本発明においては、活物質薄膜がその厚み方向に形成された切れ目によって柱状に分離されており、かつ該柱状部分の底部が集電体と密着していることが好ましい。
上記のようにして形成された活物質薄膜の柱状部分の表面には、電解液が浸透し易くなる。電解液が浸透し易くなると、充放電反応が活物質内で均一に起こり、活物質の劣化を抑制することができる。特に、本発明で用いる非水電解液は、粘度が非常に低いものであるので、電解液の浸透性という観点で、このような柱状構造がより高い効果を発揮する。
また、活物質薄膜には、集電体の成分が拡散していることが好ましい。このような集電体の成分の拡散により、活物質薄膜の柱状部分の底部と集電体とを密着させることができる。また、柱状部分の底部に集電体の成分が拡散することにより、柱状部分の底部の充放電時における膨張・収縮が抑制され、柱状部分の底部が集電体から剥離するのを抑制することができる。
上記の活物質薄膜としては、微結晶シリコン薄膜または非晶質シリコン薄膜などが挙げられる。また、コバルトなどを含有したシリコン合金薄膜であってもよい。
また、本発明における負極は、シリコン及び/またはシリコン合金を含む活物質粒子とバインダーとを含む合剤層を、集電体の表面上で非酸化性雰囲気下に焼結して配置したものであってもよい。シリコン合金としては、シリコンと他の1種以上の元素との固溶体、シリコンと他の1種以上の金属間化合物、シリコンと他の1種以上の元素との共晶合金などが挙げられる。合金の作製方法としては、アーク溶解法、液体急冷法、メカニカルアロイング法、スパッタリング法、化学気相成長法、焼成法などが挙げられる。特に、液体急冷法としては、単ロール急冷法、双ロール急冷法、及びガスアトマイズ法、水アトマイズ法、ディスクアトマイズ法などの各種アトマイズ法が挙げられる。また、本発明における活物質粒子としては、シリコン粒子単体も好ましく用いることができる。
バインダーとしては、ポリイミドが好ましく用いられる。ポリイミドは、耐熱性に優れており、また結着強度が高いので、活物質が膨張・収縮しても集電体からの剥離を抑制することができる。
合剤層は、集電体表面上で非酸化性雰囲気下で焼結される。非酸化性雰囲気下での焼結は、例えば、真空下または窒素雰囲気下またはアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行うことができる。また、水素雰囲気などの還元性雰囲気下で行ってもよい。焼結する際の熱処理温度は、集電体及び活物質粒子の融点以下の温度であることが好ましい。熱処理温度としては、具体的には、200〜500℃の範囲以内の温度が挙げられ、さらに好ましく300〜450℃の範囲内の温度が挙げられる。バインダーの融点またはガラス転移温度以上の温度で熱処理することにより、負極活物質粒子と集電体との密着性をさらに向上させることができる。また、熱処理は、バインダーの熱分解温度より低い温度で行うことが好ましい。バインダーとしてポリイミドを用いる場合には、300〜450℃の範囲内の温度で熱処理することが好ましい。
焼結する方法として、放電プラズマ焼結法や、負極ホットプレス法を用いてもよい。
集電体としては、薄膜を活物質とした上記負極の場合と同様に、導電性金属箔を用いることが好ましく、表面が粗面化されている集電体を用いることが好ましい。特に合剤層が配置されている面の表面粗さRaが0.2μm以上であるものが好ましく用いられる。このような表面粗さRaを有する導電性金属箔を集電体として用いることにより、活物質粒子と集電体表面との接触面積が大きくなるため、非酸化性雰囲気下での焼結が効果的に起こり、活物質粒子と集電体との密着性が向上する。さらに、集電体表面の凹凸部分にバインダーが入り込むことにより、バインダーと集電体間とのアンカー効果が発現するため、さらに高い密着性が得られる。このため、リチウムの吸蔵・放出に伴う活物質粒子の膨張・収縮による合剤層の集電体からの剥離が抑制される。集電体の両面に活物質層を配置する場合には、集電体両面の表面粗さRaが0.2μm以上であることが好ましい。
集電体上に、合剤層を形成した後、焼結する前に、この合剤層を集電体と共に圧延することが好ましい。このような圧延により、合剤層における充填密度を高めることができ、活物質粒子間の密着性及び活物質粒子と集電体との密着性を高めることができる。
このような負極においては、活物質粒子と集電体との密着性が高く、活物質粒子が集電体から剥離しにくいので、負極の膨張を最小限に留めることができ、電極体から電解液が放出されることを抑制することができ、優れたサイクル特性を得ることができる。
本発明において用いる正極活物質は、特に限定されるものではなく、非水電解液二次電池に用いることができる正極活物質であれば用いることができる。例えば、LiCoO、LiMn1/3Ni1/3Co1/3、LiMn、LiNiO等のリチウム遷移金属酸化物などを用いることができる。また、これらの酸化物を単独で用いるほかに、これらの化合物を2種類以上混合して用いることも可能である。
正極活物質としてLiCoO(コバルト酸リチウム)を用いる場合、正極活物質とバインダーと導電剤を含む正極活物質層の充填密度は3.7g/cm以上であることが好ましい。充填密度を3.7g/cm以上とすることにより、本発明の作用効果がより顕著に現れる。すなわち、充填密度を高めると、電解液の浸透が生じにくくなり、エネルギー密度及びサイクル特性が低下するが、本発明によれば、このような場合においても、高いエネルギー密度及び優れたサイクル特性を得ることができる。充填密度の上限値は、特に限定されるものではないが、一般には3.85g/cm以下である。
コバルト酸リチウムを用いる場合、コバルト酸リチウムにZrが添加されていることが好ましい。Zrを添加することにより、正極電位が高くなった際に、コバルト酸リチウムの結晶が崩れ易くなるのを抑制することができる。Zrの添加量は、コバルト酸リチウムにおけるリチウム以外の金属元素の合計量の0.1〜3.0モル%の範囲内であることが好ましい。また、コバルト酸リチウムにMgがさらに添加されていてもよい。Mgを添加することにより、より安定な充放電サイクル特性を得ることができる。Mgの添加量は、コバルト酸リチウムにおけるリチウム以外の金属元素の合計量の0.1〜3.0モル%の範囲内であることが好ましい。コバルト酸リチウムにおけるZrは、コバルト酸リチウムの表面に粒子の状態で付着して含有されていることが好ましい。
本発明において用いる集電体としては、銅箔または銅合金箔からなる集電体が特に好ましく用いられる。銅合金としては、銅を含む合金であれば特に限定されるものではないが、例えば、Cu−Ag系合金、Cu−Te、Cu−Mg、Cu−Sn、Cu−Si、Cu−Mn、Cu−Be−Co、Cu−Ti、Cu−Ni−Si、Cu−Cr、Cu−Zr、Cu−Fe、Cu−Al、Cu−Zn、Cu−Co系合金が挙げられる。
本発明において用いる非水電解質の溶質としては、LiPF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO)、LiN(CSO)、LiN(CFSO)(CSO)、LiC(CFSO)、LiC(CSO)、LiA
sF、LiClO、Li10Cl10、Li12Cl12など及びそれらの混合物が例示される。
本発明によれば、正極、負極、及びセパレーターが重ね合わせて円筒状に巻き取られた非水電解液二次電池において、高いエネルギー密度及び優れたサイクル特性を得ることができる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能なものである。
(円筒型電池の作製:実施例1及び比較例1〜4)
[正極の作製]
LiCoOで表されるリチウムコバルト複合酸化物(平均粒子径13μm、BET比表面積0.35m/g)の表面に、ジルコニウムを固着させたものを正極活物質として用いた。この正極活物質は、LiCO、Co、及びZrOを石川式らいかい乳鉢で混入した後、空気雰囲気中にて850℃、24時間熱処理し、その後に粉砕して得た。
分散媒としてのN−メチル−2−ピロリドンに、上記正極活物質の粉末と、正極導電剤としての炭素材料粉末と、正極バインダーとしてのポリフッ化ビニリデンとを、活物質:導電剤:バインダーの重量比が94:3:3となるように加えた後、混練し、正極合剤スラリーとした。
この正極合剤スラリーを、正極集電体としての厚み15μm、長さ522mm、幅34mmのアルミニウム箔の両面に、塗布部が表面において482mm×34mm、裏面において497mm×34mmとなるように塗布し、乾燥した後、圧延した。圧延後の電極の厚みは117μmであった。また、集電体上の合剤層量は、38mg/cmであり、充填密度は3.73g/cmであった。
正極合剤スラリーを塗布していない部分に、集電タブとして、厚み70μm、長さ35mm、幅4mmのアルミニウム平板をぐさり法で取付け、正極とした。
[負極の作製]
分散媒としてのN−メチル−2−ピロリドンに、負極活物質としての平均粒子径10μmのケイ素粉末(純度99.9%)と、導電剤としての黒鉛粉末と、負極バインダーとしての熱可塑性ポリイミド(ガラス転移温度190℃、密度1.1g/cm)とを、活物質:導電剤:バインダーの重量比が87:3:7.5となるように混合し、負極合剤スラリーとした。
この負極合剤スラリーを、負極集電体であるCu−Ni−Si−Mg(Ni:3重量%、Si:0.65重量%、Mg:0.15重量%)合金箔(表面粗さRa0.3μm、厚み20μm)の両面上に塗布し、乾燥した。集電体上の合剤層量は、5.6mg/cmであった。
得られたものを535mm×36mmの長方形状に切り抜き、圧延した後、アルゴン雰囲気下で400℃、10時間熱処理し、焼結した。圧電後の負極の厚みは、62μmであった。この端部に、集電タブとして、厚み70μm、長さ35μm、幅4mmのニッケル平板をぐさり法にて取り付け、負極とした。
[電極体の作製]
上記の負極、正極、及びセパレーター(厚さ20μmのポリエチレン多孔質体)を用いて、リチウム二次電池を作製した。正極と負極とをセパレーターを介して対向させて積層体とし、これを負極が内側になるように渦巻き状に巻回して、図1に示す電極体を作製した。
図1に示すように、電極体3においては、正極の端部に正極集電タブ1が取り付けられており、負極の端部に負極集電タブ2が取り付けられている。
この渦巻き状電極体を、PET、アルミニウムなどの積層により作製したラミネート材で作製した外装体中に挿入し、一方の末端部から集電タブが外部に突き出る状態で一方の末端部を封止し、他方の末端部を開口部とした。
[電解液の調製]
4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC)と、プロピオン酸メチル(MP)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、及びジメチルカーボネート(DMC)とを、表1に示すように混合し、この混合溶媒に、溶質としてLiPFを1.0モル/リットルとなるように添加して、表1に示す電解液1〜5を調製した。
Figure 0005147342
[電池の作製]
上記の渦巻き状電極体を外装体中に挿入し封入したものの開口部から、上記の電解液1〜5をそれぞれ5ml注入し、その後開口部を加熱して融着により封止し、円筒型電池を作製した。
(扁平型電池の作製:比較例5〜9)
[正極の作製]
円筒型電池の作製における実施例及び比較例と同様にして、正極合剤スラリーを作製した。
この正極合剤スラリーを、正極集電体としてのアルミニウム箔(厚み15μm、長さ402mm、幅50mm)の両面上に、塗布部が表面において340mm×50mm、裏面において271mm×50mmとなるように塗布し、乾燥した後、圧延した。圧延後の正極の厚みは、117μmであった。また、集電体上の合剤層量は、38mg/cmであった。また、集電体上の合剤層の充填密度は、3.73g/cmであった。
正極合剤スラリーを塗布していない未塗布部に、集電タブとして、厚み70μm、長さ35mm、幅4mmのアルミニウム平板を超音波溶着法で取り付け、正極とした。
[負極の作製]
上記の円筒型電池の作製における実施例及び比較例と同様にして、負極合剤スラリーを作製した。
この負極合剤スラリーを、負極集電体であるCu−Ni−Si−Mg(Ni:3重量%、Si:0.65重量%、Mg:0.15重量%)合金箔(表面粗さRa0.3μm、厚み20μm)の両面上に塗布し、乾燥した。集電体上の合剤層量は、5.6mg/cmであった。
得られたものを380mm×52mmの長方形状に切り抜き、圧延した後、アルゴン雰囲気下で400℃、10時間熱処理し、焼結した。圧電後の負極の厚みは、62μmであった。この端部に、集電タブとして、厚み70μm、長さ35μm、幅4mmのニッケル平板をぐさり法にて取り付け、負極とした。
[電極体の作製]
上記正極1枚、上記負極1枚、ポリエチレン多孔質体(厚さ20μm、長さ430mm、幅54.5mm)からなるセパレーター2枚を用いて、正極と負極とをセパレーターを介して対向させ、所定の折り曲げ位置で折り曲げて、図2に示す電極体を作製した。
図2に示すように、電極体3においては、正極集電タブ1及び負極集電タブ2が、最外周になるように巻回されている。
この扁平型の渦巻き状電極体を、PET、アルミニウムなどの積層により作製したラミネート材で作製した外装体中に挿入し、一方の末端部からタブが外部から突き出る状態で、加熱して融着し外装体を封止した。また、他方の末端部を開口部とした。
[電解液の調製]
上記の円筒型電池の作製の場合と同様に、表1に示す電解液1〜5をそれぞれ調製した。
[電池の作製]
上記の渦巻き状電極体を外装体中に挿入し封入したものの開口部から、上記の電解液1〜5をそれぞれ5ml注入し、その後開口部を加熱して融着により封止し、扁平型電池を作製した。
<円筒型電池(実施例1及び比較例1〜4)の充放電試験>
上記のようにして作製した円筒型電池(実施例1及び比較例1〜4)について、充放電試験を行った。各電池を25℃において、電流値180mAで4.2Vまで充電し、続けて4.2Vに保持したまま電流値45mAになるまで充電した後、電流値180mAで2.75Vまで放電し、これを1サイクルの充放電とした。
次に、室温の環境中において、900mAの定電流定電圧充電を上限電圧4.2Vまで行った後、900mAの定電流放電を下限電圧2.75Vまで行い、同一の充放電条件で充放電を300回繰り返した。1サイクル目の放電容量を100とした場合の300サイクル目の容量維持率(%)を求め、サイクル寿命とした。
表2に、各電池のサイクル寿命(300サイクル後の放電容量維持率)を示す。なお、表2に示すサイクル寿命は、実施例1のサイクル寿命を100とした指数である。また、表2には、使用した電解液の粘度を併せて示す。なお、粘度は常温(室温)での測定値である。
Figure 0005147342
表2から明らかなように、FECとMPの混合溶媒を用い、粘度を2.5mPas以下である1.6mPasとした実施例1は、良好な充放電サイクルを示している。これに対し、電解液の粘度が2.5mPasより高い比較例1〜4においては、良好なサイクル特性が得られていない。
<扁平型電池(比較例5〜9)の充放電試験>
上記のようにして作製した扁平型電池(比較例5〜9)について、充放電試験を行った。各電池を25℃において、電流値160mAで4.2Vまで充電し、続けて4.2Vに保持したまま電流値40mAになるまで充電した後、電流値160mAで2.75Vまで放電し、これを1サイクルの充放電とした。
次に、室温の環境中において、800mAの定電流定電圧充電を上限電圧4.2Vまで行った後、800mAの定電流放電を下限電圧2.75Vまで行い、同一の充放電条件で充放電を300回繰り返した。1サイクル目の放電容量を100とした場合の300サイクル目の容量維持率(%)を求め、サイクル寿命とした。
表3に、各電池のサイクル寿命を示す。なお、表3に示すサイクル寿命は、比較例5のサイクル寿命を100とした指数である。また、表3には、使用した電解液の粘度を併せて示す。
Figure 0005147342
表3に示すように、扁平型電池においては、円筒型電池の場合と異なり、電解液の粘度が2.5mPas以下である電解液を用いた比較例5の方がむしろサイクル特性において劣っていた。これは、電解液の電気化学的安定性によるものであると考えられる。すなわち、扁平型電池において、鎖状カルボン酸エステルであるMPを電解液に含有させるとサイクル特性が低下するのは、MPの電気化学的安定性が鎖状カーボネートよりも低く、電極近傍で副反応を起こしたためであると考えられる。
一方、円筒型電池においては、電気化学的安定性が高いと考えられる溶媒を用いることにより、充放電サイクル中に急激な劣化が起こり、充放電特性が低下している。
実施例1は、MPをベース溶媒としており、このMPの粘度は0.43mPasであり、DMCの2/3程度なので、鎖状カーボネートでは得られない低粘度の電解液を得ることができる。このような低粘度の電解液を用いることにより、充放電により膨張した電極体の内部に電解液が再浸透し易くなり、充放電反応における不均一を防止することができると考えられる。
円筒型電池と扁平型電池で上記のような相違が生じるのは、円筒型電池においては、前述した電極体における液枯れの影響が、扁平型電池に比較して非常に大きいため、溶媒の電気化学的安定性が見掛け上影響を与えなくなっているからであると考えられる。
また、電解液中にFECが含有されているので、シリコンなどの合金負極の劣化を抑制し、さらにサイクル特性を向上することができた。
(円筒型電池の作製:実施例2及び比較例10〜13)
[正極の作製]
分散媒としてのN−メチル−2−ピロリドンに、上記実施例及び比較例と同様の正極活物質の粉末と、正極導電剤としての炭素材料粉末と、正極バインダーとしてのポリフッ化ビニリデンとを、活物質:導電剤:バインダーの重量比が94:3:3となるように加えた後、混練し、正極合剤スラリーとした。
この正極合剤スラリーを、正極集電体としての厚み15μm、長さ522mm、幅34mmのアルミニウム箔の両面に、塗布部が表面において471mm×34mm、裏面において481mm×34mmとなるように塗布し、乾燥した後、圧延した。圧延後の電極の厚みは130μmであった。また、集電体上の合剤層量は、43mg/cmであり、充填密度は3.74g/cmであった。
正極合剤スラリーを塗布していない部分に、集電タブとして、厚み70μm、長さ35mm、幅4mmのアルミニウム平板をぐさり法で取付け、正極とした。
[負極の作製]
負極集電体として、上記実施例1と同様の集電体を用い、この集電体の両面上に、シリコン薄膜を堆積して形成した。具体的には、アルゴン(Ar)のイオンビーム圧力0.05Pa、イオン電流密度0.27mA/cmで照射し、蒸着材料として単結晶シリコンを用い、電子ビーム蒸着法によりシリコン薄膜を集電体の両面上に形成した。
薄膜を堆積した集電体の断面をSEMで観察し、膜厚を測定したところ、集電体の両側に厚み約15μmのシリコン薄膜が堆積されていた。また、薄膜は、ラマン分光法を用いた測定において、波長480cm−1近傍のピークは検出されたが、520cm−1近傍のピークは検出されなかった。このことから、形成した薄膜は、非晶質シリコン薄膜であることが確認された。
薄膜を形成した集電体を524mm×36mmの長方形状に切り抜き、集電タブとして、厚み70μm、長さ35mm、幅4mmのニッケル平板をぐさり法にて取り付け、負極とした。
[電極体の作製]
上記の正極及び負極を用いる以外は、上記実施例1と同様にして電極体を作製した。
[電解液の調製]
上記の円筒型電池(実施例1及び比較例1〜4)の作製と同様に、表1に示す各電解液を調製した。
[電池の作製]
上記実施例1及び比較例1〜4と同様にして、円筒型電池を作製した。
<円筒型電池(実施例2及び比較例10〜13)の充放電試験>
上記のようにして作製した円筒型電池(実施例2及び比較例10〜13)について、充放電試験を行った。各電池を25℃において、電流値180mAで4.2Vまで充電し、続けて4.2Vに保持したまま電流値45mAになるまで充電した後、電流値180mAで2.75Vまで放電し、これを1サイクルの充放電とした。
次に、室温の環境中において、900mAの定電流定電圧充電を上限電圧4.2Vまで行った後、900mAの定電流放電を下限電圧2.75Vまで行い、同一の充放電条件で充放電を300回繰り返した。1サイクル目の放電容量を100とした場合の300サイクル目の容量維持率(%)を求め、サイクル寿命とした。
表4に、各電池のサイクル寿命を示す。なお、表4に示すサイクル寿命は、実施例2のサイクル寿命を100とした指数である。また、表4には、使用した電解液の粘度を併せて示す。なお、粘度は常温(室温)での測定値である。
Figure 0005147342
表4に示すように、FECとMPの混合溶媒を用い、粘度を2.5mPas以下の1.6mPasとした実施例2においては、良好な充放電サイクル特性が得られている。これに対し、2.5mPasより高い粘度の電解液を用いた比較例10〜13においては、充放電サイクルにおいて、急激な劣化が生じ、300回の充放電サイクル後には、実施例2の半分以下の放電容量しか得られなかった。
このような挙動を示す原因は、シリコン粉末の負極を用いた電池の場合と同様に、充放電反応により負極が膨張することにより、電極体に保持されていた電解液が電極体の外部に放出されてしまい、充放電反応が不均一化し、サイクル特性が急激に低下することが原因であると考えられる。本発明に従い、フッ素化環状カーボネートと、従来の鎖状カーボネートよりも粘度の低い、鎖状カルボン酸エステルを含有させることにより、電極体から電解液が放出された後においても、電極体内部に電解液が再浸透し易くなり、合金負極を用いた円筒型電池のサイクル特性を向上させることができる。
<MPの混合割合と粘度との関係>
LiPFを1.0モル/リットル溶解させた電解液において、FECとMPの混合割合を変化させた場合の、常温における電解液の粘度を表5に示す。なお、表5には、MPに代えて、DMCまたはEMCを用いた場合の粘度も併せて示す。
Figure 0005147342
表5に示すように、MPの混合割合を変化させることにより、電解液の粘度を調整することができることがわかる。また、従来の鎖状カーボネートであるDMC及びEMCを含有させる場合に比べ、MPを含有させることにより電解液の粘度を著しく低下できることがわかる。
(円筒型電池の作製:実施例3〜8及び比較例14,15)
[正極の作製]
上記実施例1と同様にして正極を作製した。
[負極の作製]
上記実施例1と同様にして負極を作製した。
[電極体の作製]
上記実施例1と同様して電極体を作製した。
[電解液の調製]
上記実施例1と同様の手順で、下記表6に示す各電解液を調製した。なお、表6には、表1に示した各電解液も併せて示している。
Figure 0005147342
[電池の作製]
上記実施例1と同様にして、円筒型電池を作製した。
<円筒型電池(実施例3〜8及び比較例14,15)の充放電試験>
上記のようにして作製した円筒型電池(実施例3〜8及び比較例14,15)について、充放電試験を行った。各電池を25℃において、電流値180mAで4.2Vまで充電し、続けて4.2Vに保持したまま電流値45mAになるまで充電した後、電流値180mAで2.7Vまで放電し、これを1サイクルの放充電とした。
次に、室温の環境中において、900mAの定電流定電圧充電を上限電圧4.2Vまで行った後、900mAの定電流放電を下限電圧2.75Vまで行い、同一の充放電条件で充放電を300回繰り返した。1サイクル目の放電容量を100とした場合の300サイクル目の容量維持率(%)を求め、サイクル寿命とした。
表7に、実施例3〜8及び比較例14,15の各電池のサイクル寿命を、表2にも示した実施例1及び比較例1〜4の各電池のサイクル寿命とともに示す。なお、表7に示すサイクル寿命は、実施例1のサイクル寿命を100とした指数である。また、表7には、使用した電解液の粘度を併せて示す。なお、粘度は常温(室温)での測定値である。
Figure 0005147342
表7に示すように、比較例14における電解液の粘度は、実施例1における電解液の粘度と同等の1.6mPasという低い値であったが、比較例14におけるサイクル寿命は、6と非常に低かった。これは、比較例14で用いた溶媒がフッ素化環状カーボネートを含有していないためであると考えられる。この結果から、高いサイクル特性を得るためには、溶媒の粘度を2.5mPas以下にするのみならず、溶媒にフッ素化環状カーボネートを含有させることにより、放充電時における電解液の溶媒の分解を抑制し、電極体からの電解液の放出を抑制することが必要であることがわかった。
表7に示すように、フッ素化環状カーボネートとして、トランス−4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(DFEC)を溶媒に含有させた実施例3では、フッ素化環状カーボネートとして、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC)を溶媒に含有させた実施例1と同等のサイクル特性が得られた。この結果から、フッ素化環状カーボネートとして、DFECのみを溶媒に含有させた場合であっても、高いサイクル特性が得られることがわかった。
フッ素化環状カーボネートとして、FECとともに、DFECを溶媒に含有させた実施例4〜6では、フッ素化環状カーボネートとして、FECのみを溶媒に含有させた実施例1よりも、高いサイクル特性が得られた。この結果から、フッ素化環状カーボネートとして、FECとともに、DFECを溶媒に含有させることで、フッ素化環状カーボネートとして、FECのみを溶媒に含有させた場合より、さらにサイクル特性を向上できることがわかった。これは、FECよりも還元され易いDFECを溶媒に含有させておくことで、負極表面に、より緻密な被膜を形成することができるためであると考えられる。また、DFECは、化合物中にフッ素を2つ有しているため、FECより耐酸化性に優れていると考えられる。このため、充放電反応時に分極が起こった際、負極側で還元されずに残存したDFECが、正極側での電解液分解を抑制し、サイクル特性が向上したと考えられる。
また、実施例4〜6では、トランス体のDFECが用いられているため、シス体のDFECよりを用いる場合よりも電解液の粘度をさらに低下させることができ、電極体からの電解液の放出が効果的に抑制される。従って、より高いサイクル特性が得られたものと考えられる。
表7に示す実施例1,7,8及び比較例15の結果からわかるように、FECの含有率が10%と最も低い実施例7において粘度が最も低くなり、FECの含有率が高くなるとともに粘度が高くなることがわかった。また、粘度が高くなるに従って、サイクル特性が低下する傾向にあることがわかった。FECの含有率が比較的低く、粘度が2.5mPas以下である実施例1,7及び8では、97%以上という高いサイクル特性が得られたのに対して、FECの含有率が高く、粘度が2.5mPasより大きかった比較例15では、40%という低いサイクル特性しか得られなかった。この結果からも、粘度を2.5mPas以下とすることによって、高いサイクル特性が得られることがわかった。
(円筒型電池の作製:実施例9及び比較例16)
<正極の作製>
LiCOで表されるリチウムコバルト複合酸化物(平均粒子径13μm、BET比表面積0.35m/g)の表面にジルコニウムを固着させたものを正極活物質として用いた。分散媒としてのN−メチル−2−ピロリドンに、正極活物質の粉末と、正極導電剤としての炭素材料の粉末と、正極バインダーとしてのポリフッ化ビニリデンとを、活物質:導電剤:バインダーの重量比が94:3:3となるように加えた後、混練し、正極合剤スラリーとした。
この正極合剤スラリーを、正極集電体としての厚み15μm、長さ495mm、幅34mmのアルミニウム箔の両面に、塗布部が表面において長さ465mm×幅34mm、裏面において長さ465mm×幅34mmとなるように塗布し、乾燥した後、圧延した。圧延後の電極の厚みは、117μmであった。また、集電体上の合剤層量は、38mg/cmであった。未塗布部に集電タブとして、厚み70μm、長さ35mm、幅4mmのアルミニウム平板をぐさり法にて取り付け、正極とした。
[負極の作製]
上記実施例1と同様にして負極を作製した。
[電極体の作製]
上記実施例1と同様にして電極体を作製した。
[電解液の調製]
上記の円筒型電池(実施例1及び比較例1〜4)の作製と同様に表1に示す各電解液を調製した。
[電池の作製]
上記実施例1と同様に円筒型電池を作製した。
<円筒型電池(実施例9及び比較例16)の充放電試験>
上記のようにして作製した円筒型電池(実施例9及び比較例16)について、充放電試験を行った。各電池を25℃において、電流値180mAで4.2Vまで充電し、続けて4.2Vに保持したまま電流値45mAになるまで充電した後、電流値180mAで2.75Vまで放電し、これを1サイクルの充放電とした。
次に、室温の環境中において、900mAの定電流定電圧充電を上限電圧4.2Vまで行った後、900mAの定電流放電を下限電圧2.75Vまで行い、同一の充放電条件で充放電を300回繰り返した。1サイクル目の放電容量を100とした場合の300サイクル目の容量維持率(%)を求め、サイクル寿命とした。
表8に、実施例9及び比較例16の各電池のサイクル寿命を、表2にも示した実施例1及び比較例4の各電池のサイクル寿命とともに示す。なお、表8に示す実施例1及び比較例4のサイクル寿命は、実施例1のサイクル寿命を100とした指数であり、実施例9及び比較例16の各電池のサイクル寿命は、実施例9のサイクル寿命を100とした指数である。また、表8には、電解液の粘度と、正極活物質の充填密度(正極充填密度)を併せて示す。なお、粘度は常温(室温)での測定値である。
Figure 0005147342
表8に示すように、正極活物質の充填密度が3.7g/cm以上である実施例1と比較例4との比較では、電解液の粘度を2.9mPasから1.6mPasにまで低下させることにより、サイクル寿命が42から100にまで大きく向上した。一方、正極充填密度が3.7g/cm未満である実施例9と比較例16との比較では、粘度を2.9mPasから1.6mPasにまで低下させても、サイクル寿命が91から100までしか向上させることができなかった。すなわち、正極充填密度が3.7g/cm未満と低い場合は、本発明に従って電解液の粘度を低下させても、サイクル特性はそれほど向上しないことがわかった。
また、正極活物質の充填密度が低下すると、電池内の電極活物質量が減少してしまうため、電池のエネルギー密度が低下してしまう傾向にある。このため、電池のエネルギー密度を高めるためには、正極活物質層の充填密度が高いほうが好ましい。従って、実施例1のように、正極充填密度を3.7g/cm以上とするとともに電解液の粘度を2.5mPas以下とすることが特に好ましい。これにより、エネルギー密度が高く、サイクル特性が高い電池を得ることができる。
本発明に従う円筒型電池において用いた電極体を示す斜視図。 比較例の扁平型電池において用いた電極体を示す斜視図。
符号の説明
1…正極集電タブ
2…負極集電タブ
3…電極体

Claims (11)

  1. 正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、前記正極と前記負極の間に配置されるセパレーターと、溶質及び溶媒を含む非水電解液とを備え、前記正極、前記負極、及び前記セパレーターが重ね合わせて円筒状に巻き取られた非水電解液二次電池であって、前記負極活物質としてリチウムと合金化することによりリチウムを吸蔵する材料が用いられており、前記非水電解液中に、溶媒として4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンと、4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンとの両方が含まれており、
    前記非水電解液の粘度が2.5mPas以下であることを特徴とする非水電解液二次電池。
  2. 前記非水電解液中に、溶媒としてRCOOR(R及びRは炭素数3以下のアルキル基)で表される鎖状カルボン酸エステルが含まれていることを特徴とする請求項1に記載の非水電解液二次電池。
  3. 前記鎖状カルボン酸エステルが、プロピオン酸メチルであることを特徴とする請求項2に記載の非水電解液二次電池。
  4. 前記4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンがトランス体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水電解液二次電池。
  5. 前記負極活物質が、シリコンを含む材料であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の非水電解液二次電池。
  6. 前記正極活物質がコバルト酸リチウムであり、集電体上に設けられた正極活物質とバインダーと導電剤を含む正極活物質層の充填密度が3.7g/cm以上であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の非水電解液二次電池。
  7. 正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、前記正極と前記負極の間に配置されるセパレーターと、溶質及び溶媒を含む非水電解液とを備え、前記正極、前記負極、及び前記セパレーターが重ね合わせて円筒状に巻き取られた非水電解液二次電池であって、
    前記負極活物質としてリチウムと合金化することによりリチウムを吸蔵する材料が用いられており、前記非水電解液中に、溶媒としてトランス体の4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンが含まれており、
    前記非水電解液の粘度が2.5mPas以下であることを特徴とする非水電解液二次電池。
  8. 前記非水電解液中に、溶媒としてR COOR (R 及びR は炭素数3以下のアルキル基)で表される鎖状カルボン酸エステルが含まれていることを特徴とする請求項7に記載の非水電解液二次電池。
  9. 前記鎖状カルボン酸エステルが、プロピオン酸メチルであることを特徴とする請求項8に記載の非水電解液二次電池。
  10. 前記負極活物質が、シリコンを含む材料であることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の非水電解液二次電池。
  11. 前記正極活物質がコバルト酸リチウムであり、集電体上に設けられた正極活物質とバインダーと導電剤を含む正極活物質層の充填密度が3.7g/cm 以上であることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載の非水電解液二次電池。

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