JP5145334B2 - スピーカ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、スピーカ装置に関し、より特定的には、ラインスピーカのような、複数のスピーカユニットをライン状に配列したスピーカ装置に関するものである。
従来より、ラインスピーカのような、複数のスピーカユニットをライン状に配列したスピーカ装置が一般的に知られている(例えば特許文献1参照)。図25は、ラインスピーカであるスピーカ装置の構造を示す図であり、図25(a)は、スピーカ装置の正面図であり、図25(b)は、スピーカ装置の側方の構造断面図である。
スピーカ装置9は、キャビネット91と複数のスピーカユニット92を備える。複数のスピーカユニット92の各々は、前面がキャビネット91の正面方向に向くようにして、キャビネット91に取り付けられる。各スピーカユニット92は、図25(a)に示すように、スピーカ装置9の正面から見て直線ライン状に配列されており、その配列方向はスピーカ装置9の上下方向と平行である。また、各スピーカユニット92は、図25(b)に示すように、スピーカ装置9の側面から見て直線状に配列されている。なお、各スピーカユニット92は、通常の動電型スピーカと同様の構造断面を有しており、図25(b)では、各スピーカユニット92の構造断面を略して記載している。
このような構造により、各スピーカユニット92の配列方向に線音源が近似的に作り出される。したがって、受聴位置が近距離にある家庭内などでスピーカ装置9を用いた場合、各スピーカユニット92の配列方向では当該受聴位置で音場が一様になり、当該配列方向と垂直な方向では無指向性になる。すなわち、スピーカユニットを1つ備えるスピーカ装置を用いた場合よりも、受聴エリアを拡大させることができる。
特開2004−320100号公報
しかしながら、スピーカ装置9では、複数のスピーカユニット92同士の位相干渉によって、受聴位置での再生音の音圧周波数特性にピークディップが生じ、高音域で音質劣化が生じるという問題があった。
以下、図26および図27を参照して、この位相干渉による音質劣化について具体的に説明する。図26は、線音源と点音源配列の音波伝搬の違いを示した図であり、図26(a)は線音源の音波伝搬の様子を示し、図26(b)は点音源配列の音波伝搬の様子を示している。なお、図26(a)および(b)において、矢印方向に並ぶ実線と点線は互いに逆位相となる音波を示したものである。図27は、長さ1.5[m]の線音源、および配列長1.5[m]の点音源配列(点音源数N=16)の、ある受聴位置での再生音の音圧周波数特性(計算値)を示す図である。
スピーカ装置9が再生周波数帯域全体に渡って図26(a)に示すような理想的な線音源を作り出した場合、受聴位置での音圧周波数特性は、図27の実線に示すように、高域で−6dB/オクターブの減衰特性をもち、かつ山谷の変化が緩やかになる。しかしながら、スピーカ装置9が作り出す線音源は、あくまで近似的なものである。実際には、図26(b)に示すように、点音源に近い複数の音源が間隔をあけて配列されたものになる。この間隔により、特定の周波数付近で位相干渉が顕著に起こる。具体的には、図27の点線に示すように、受聴位置での音圧周波数特性において、高域で急峻な音圧低下(ディップ)が生じてしまい、山谷の変化が激しくなる。
このような位相干渉によって生じる音質劣化に対し、従来、音響信号の周波数特性をイコライザ補正する等によってピークディップを解消する方法が提案されている。しかしながら、ピークディップが生じる周波数は受聴位置のわずかな違いによって大きく変化するため、ピークディップの解消が困難であり、位相干渉による音質劣化を抑えることができなかった。
それ故、本発明は、複数のスピーカユニットをライン状に配列したスピーカ装置であって、受聴位置が近距離にある家庭内などで用いる場合において位相干渉による音質劣化を抑えることが可能なスピーカ装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明に係るスピーカ装置は、複数のスピーカユニットを正面から見てライン状に配列したスピーカ装置であって、隣り合うスピーカユニットの有効振動領域間の間隔のうち、少なくとも1つの間隔が所定の長さに設定されており、所定の長さは、間隔を形成する一方の有効振動領域の端部から受聴位置までの距離と他方の有効振動領域の端部から受聴位置までの距離との差が各スピーカユニットの再生音の最短波長の半分よりも短くなるように設定された長さであることを特徴とする。
このような構成により、所定の長さに設定された間隔を挟む少なくとも2つのスピーカユニットから再生される音の位相干渉を、受聴位置が近距離にある家庭内などで用いる場合において防ぐことができる。これにより、位相干渉による音質劣化を従来よりも抑えることができる。
好ましくは、各スピーカユニットは、振動板と、振動板の外周に設けられたエッジとをそれぞれ有し、各スピーカユニットのうち、所定の長さに設定された間隔を挟む2つのスピーカユニットは、当該間隔内において互いのエッジの一部を重ね合わせるように配列されるとよい。
また好ましくは、各スピーカユニットは、スピーカ装置の側面から見て円弧状に配列されるとよい。この場合において、さらに、各スピーカユニットの配列長をLとし、円弧状が示す曲率半径をRとし、各スピーカユニットの配列の中心から受聴位置までの受聴距離をDとしたとき、(R+D)×(L/R)≧Dの関係が成り立つとよい。または、各スピーカユニットの配列長をLとし、円弧状が示す曲率半径をRとしたとき、各スピーカユニットの配列の中心から受聴位置までの受聴距離が5m以下である場合において、(L/R)≧1.5の関係が成り立つとしてもよい。または、各スピーカユニットの配列長をLとし、円弧状が示す曲率半径をRとしたとき、各スピーカユニットの配列の中心から受聴位置までの受聴距離が3mである場合において、(L/R)≧0.5の関係が成り立つとしてもよい。
また好ましくは、各スピーカユニットは、スピーカ装置の側面から見て直線状に配列されるとよい。この場合において、さらに、入力される音響信号を、スピーカユニットそれぞれに対応して設定された遅延時間だけ遅延させ、遅延させた音響信号を、対応するスピーカユニットへ出力する遅延手段をさらに備え、遅延時間は、対応するスピーカユニットの配置位置から、各スピーカユニットがスピーカ装置の側面から見て円弧状に配列されたと仮定したときの対応するスピーカユニットの配置位置までの間を再生音が伝達する時間に設定されるとよい。さらに、各スピーカユニットは、スピーカ装置の側面から見た直線状の配列方向に対し、スピーカ装置の側面から見て円弧状に配列されたと仮定したときのそれぞれの配置位置に応じた角度だけ傾いていてもよい。
また好ましくは、各スピーカユニットが取り付けられるキャビネットをさらに備えるとよい。
また好ましくは、各スピーカユニットが取り付けられる1つのフレームをさらに備え、各スピーカユニットは、それぞれ、振動板と、振動板の外周に設けられ、振動板をフレームに対して振動可能に支持するエッジとを有するとよい。この場合において、さらに、各スピーカユニットのうち、所定の長さに設定された間隔を挟む2つのスピーカユニットは、当該間隔内において互いのエッジの一部を重ね合わせるように、フレームに取り付けられるとよい。
また好ましくは、各スピーカユニットは、振動板をそれぞれ有しており、各スピーカユニットが取り付けられる1つのフレームと、各振動板の外周をそれぞれ囲んで各振動板をフレームに対して振動可能に支持する1つのエッジとをさらに備えるとよい。
また好ましくは、各スピーカユニットの有効振動領域の面積は、4π[cm2]以上であってもよい。また、各スピーカユニットの駆動方式は、動電型、圧電型、静電型、および電磁型のうちのいずれか1つであってもよい。また、各スピーカユニットは、円形、楕円形、および矩形のうちのいずれか1つの形状からなる振動板をそれぞれ有してもよい。
また本発明は、映像機器にも向けられており、本発明に係る映像機器は、上記スピーカ装置と、上記スピーカ装置を内部に配置する筐体とを備える。
本発明によれば、複数のスピーカユニットをライン状に配列したスピーカ装置であって、受聴位置が近距離にある家庭内などで用いる場合において位相干渉による音質劣化を抑えることが可能なスピーカ装置を提供することができる。
実施の形態1に係るスピーカ装置の構造を示す図 スピーカユニット12の有効振動領域、有効振動領域間の間隔を示した模式図 実施の形態1に係る距離差Qの条件を説明するための図 図2からスピーカユニット12の振動領域を表した部分を抜き出した図 実施の形態2に係るスピーカ装置の構造を示す図 スピーカモジュール22の構造を示す図 実施の形態3に係るスピーカ装置の構造を示す図 実施の形態3に係る距離差Qの条件を説明するための図 スピーカユニット32の配列長L、曲率半径Rを表した図 配列長Lを一定として間隔dを変化させたときの音圧周波数特性を示す図 同じ配列長Lをもつスピーカ装置1および3の配列方向の指向性を示す図 スピーカ装置3の配列方向の指向性を周波数毎に示す図 規格化する基準となる指向性を示す図 式(4)の内容を示す図 音圧差が6[dB]以下になることを数値計算によって確認した結果を示す図 受聴距離Dが3[m]であるときのスピーカ装置3の配列方向の指向性を周波数毎に示した図 実施の形態4に係るスピーカ装置の構造を示す図 スピーカモジュール42の構造を示す図 実施の形態5に係るスピーカ装置の構造を示す図 遅延時間の設定方法を説明するための図 スピーカユニット52−1〜52−20の傾きを円弧状の配列に応じて変える様子を示す図 実施の形態6に係る薄型テレビの正面外観図 スピーカ装置63の構造を示す図 スピーカ装置63の他の構造を示す図 従来のスピーカ装置の構造を示す図 線音源と点音源配列の音波伝搬の違いを示した図 長さ1.5[m]の線音源、および配列長1.5[m]の点音源配列(点音源数N=16)の、ある受聴位置での再生音の音圧周波数特性(計算値)を示す図
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るスピーカ装置の構造を示す図であり、図1(a)は、スピーカ装置の正面図であり、図1(b)は、スピーカ装置の側方の構造断面図である。
スピーカ装置1は、キャビネット11と複数のスピーカユニット12を備えており、家庭内などの受聴位置が近距離にある場所に設置される。図1の例では、スピーカ装置1は、スピーカユニット12を20個備えているが、これに限定されるものではない。各スピーカユニット12は、動電型スピーカであり、前面がキャビネット11の正面方向に向くようにして、キャビネット11に取り付けられる。各スピーカユニット12は、図1(a)に示すように、スピーカ装置1の正面から見て直線ライン状に配列されており、その配列方向は、スピーカ装置1の上下方向と平行である。また、各スピーカユニット12は、図1(b)に示すように、スピーカ装置1の側面から見て直線状に配列されている。なお、各スピーカユニット12は、通常の動電型スピーカと同様の構造断面を有しており、図1(b)では、スピーカユニット12の構造断面を略して記載している。
以上のように構成されたスピーカ装置1の動作を説明する。図示されていないオーディオアンプから出力された音響信号は、図示されていないケーブルを経由して複数のスピーカユニット12それぞれに入力される。ここでは、複数のスピーカユニット12に、同一レベルの音響信号が入力されるとする。音響信号は、各スピーカユニット12によって機械振動に変換され、各スピーカユニット12の前面にある振動板から再生音として空気中へ放射される。なお、音響信号としては、モノラル音声信号、ステレオ音声信号、マルチチャンネル音声信号などが挙げられる。
以下、本実施の形態に係る各スピーカユニット12の配列方法について説明する。
理想的な線音源では、音源が線状であるため、音源上の任意の点から受聴位置に到達する音波の位相は、当該任意の点の位置に応じて連続的に変化する。このため、図27に示したように、受聴位置での再生音の音圧周波数特性は、高域において山谷の変化が緩やかになる。一方、点音源に近い複数の音源が間隔をあけて配列される場合、当該間隔により、音源から受聴位置に到達する音波の位相は、当該音源の位置に応じて不連続的に変化する。このため、図27に示したように、受聴位置での再生音の音圧周波数特性は、高域において山谷の変化が激しくなる。特に、隣り合う音源間の間隔の一方端から受聴位置までの距離と間隔の他方端から受聴位置までの距離との差(以下、距離差Qと称す)が再生音の波長の半分以上になる周波数帯域では、逆位相音同士の打ち消し合いにより、音圧が大幅に低下し、ピークディップを生ずる。
そこで、本実施の形態では、距離差Qがスピーカユニット12の再生帯域の上限周波数における再生音の半波長未満となるように、複数の音源、つまり複数のスピーカユニット12を配列している。これにより、スピーカ装置1が作り出す音源を理想的な線音源により近づけることができ、位相干渉によるピークディップを再生帯域で発生させないようにすることができる。すなわち、位相干渉による音質劣化を防ぐことができる。以下、距離差Qについて具体的に説明する。
距離差Qの条件は、スピーカユニット12の有効振動領域、有効振動領域間の間隔を用いて求められる。図2を参照して、スピーカユニット12の有効振動領域、有効振動領域間の間隔について具体的に説明する。図2は、スピーカユニット12の有効振動領域、有効振動領域間の間隔を示した模式図である。なお、図2では、2個のスピーカユニット12が図示されており、説明の便宜上、上側のスピーカユニットの参照符号を12n+1とし、下側のスピーカユニットの参照符号を12nとしている。スピーカユニット12n、12n+1の各々は、フレーム121、エッジ122、振動板123を備える。また、図2では図示していないが、スピーカユニット12n、12n+1の各々は、ボイスコイルや磁気回路を備えている。エッジ122は、ロール部1221と接着代1222からなる。接着代1222はフレーム121に接着され、ロール部1221の内周は振動板123の外周に接着される。スピーカユニット12n上に記された点線の円Snは、スピーカユニット12nが実際に振動する振動領域であり、スピーカユニット12n+1上に記された点線の円Sn+1は、スピーカユニット12n+1が実際に振動する振動領域である。なお、図2では、振動領域Sn、Sn+1の有効半径をともにrとし、振動領域Snの上端と振動領域Sn+1の下端の間隔をdとしている。
有効振動領域SAnは、配列方向に対して垂直な中心軸Onを振動領域Snと一致させた状態で、中心軸On方向の大きさを振動領域Snと同じ「2r」にしつつ、振動領域Snと同面積になるように配列方向の大きさを「πr/2」にした領域である。同様に、有効振動領域SAn+1は、配列方向に対して垂直な中心軸On+1を振動領域Sn+1と一致させた状態で、中心軸On+1方向の大きさを振動領域Sn+1と同じ「2r」にしつつ、振動領域Sn+1と同面積になるように配列方向の大きさを「πr/2」にした領域である。なお、図2の例では、振動領域Sn、Sn+1が円形であるため、振動領域間の距離が間隔dを最小として配列方向と平行な振動領域の中心軸から離れるほど大きくなる。この影響を考慮するため、上述のような、振動領域間の距離が配列方向と垂直な方向で一定となるように形成した有効振動領域SAn、SAn+1を定義している。仮に振動領域が矩形であれば、有効振動領域は振動領域そのものとなる。
有効振動領域SAn、SAn+1間の間隔deは、式(1)のように表される。
Figure 0005145334
次に、図3を参照して、距離差Qの条件について具体的に説明する。図3は、距離差Qの条件を説明するための図である。図3では、キャビネット11の前面をY軸上におき、スピーカユニット12の配列長(直線の長さ)をLとしている。受聴位置P1は、スピーカユニット12の配列の中心P0を通るX軸上に位置し、受聴位置P1と中心P0間の受聴距離をDとする。また、中心P0に配置されるスピーカユニット12の有効振動領域をSA0とし、有効振動領域をSA0からY軸正方向に数えてn番目の有効振動領域をSAnとし、n+1番目の有効振動領域をSAn+1とする。また、有効振動領域SAnの上端部から中心P0までの距離をynとする。有効振動領域SAnの上端部と有効振動領域SAn+1の下端部の間隔は、図2に示した間隔deとなる。このとき、距離差Qは、間隔deを形成する有効振動領域SAnの上端部と受聴位置P1までの距離lnと、有効振動領域SAn+1の下端部と受聴位置P1までの距離ln+1との差で表され、この差がスピーカユニット12の再生帯域の上限周波数における再生音の半波長未満となればよい。具体的な距離差Qの条件は、スピーカユニット12の再生帯域の上限周波数における再生音の波長をλとすると、式(2)のように表される。
Figure 0005145334
以上のように、本実施の形態によれば、距離差Qがスピーカユニット12の再生帯域の上限周波数における再生音の半波長未満となるように、複数のスピーカユニット12を配列している。これにより、スピーカ装置1が作り出す音源を理想的な線音源により近づけることができ、位相干渉によるピークディップを再生帯域で発生させないようにすることができる。すなわち、位相干渉による音質劣化を防ぐことができる。
また本実施の形態によれば、スピーカ装置1は、家庭内などの受聴位置が近距離にある場所に設置されるので、スピーカユニットを1つ備えるスピーカ装置を設置した場合よりも、受聴エリアを拡大させることができる。
なお、上述では、複数のスピーカユニット12の全てが、距離差Qが式(2)を満たすときの間隔deに基づいて配列されていたが、これに限定されない。少なくとも2つのスピーカユニット12が距離差Qが式(2)を満たすときの間隔deに基づいて配列されていれば、位相干渉による音質劣化を従来よりも抑えることができる。ただし、上記少なくとも2つのスピーカユニット12以外の他のスピーカユニット12の間隔が、従来よりも大きくない場合に限られる。
また、上述では、複数のスピーカユニット12には同一レベルの音響信号が入力されるとしたが、音響信号がスピーカユニット12毎に異なるレベルで入力されてもよい。
また、上述では、スピーカユニット12の振動板123の正面形状を円形としたが、振動板123の正面形状は、どのような形状であってもよく、例えば矩形、楕円形であってもよい。また、振動板123の断面形状をコーン型としたが、振動板123の断面形状は、どのような形状であってもよく、例えば平面的な形状であってもよい。
また、上述では、各スピーカユニット12は、スピーカ装置1の正面から見て直線ライン状に配列されていたが、これに限定されない。各スピーカユニット12は、スピーカ装置1の正面から見て曲線ライン状に配列されてもよい。また、各スピーカユニット12は、前面が配列方向と平行になるように、キャビネット11に取り付けられていたが、これに限定されない。各スピーカユニット12は、前面が配列方向に対して傾くように、キャビネット11に取り付けられてもよい。
また、上述では、スピーカユニット12の駆動方式を動電型としていたが、駆動方式は、圧電型、静電型、または電磁型等のいずれであってもよい。
また、上述では、スピーカユニット12の振動領域の有効半径について具体的な数値例を挙げていなかったが、どのような値でもよい。例えば、有効半径が2[cm]以上であってもよい。この場合、有効振動領域の面積は、4π[cm2]以上となる。
(実施の形態2)
実施の形態1に係るスピーカ装置1では、その構造上、間隔dをより小さくしていくことに限界があった。図4は、図2からスピーカユニット12の振動領域を表した部分を抜き出した図である。図4において、エッジ122の幅をwとすると、振動領域Snの上端からスピーカユニット12nのエッジ122の上端までの幅、振動領域Sn+1の下端からスピーカユニット12n+1のエッジ122の下端までの幅は、ともにw/2となる。また、スピーカユニット12nにおいて、エッジ122の上端からフレーム121の上端までの幅をWとし、スピーカユニット12n+1において、エッジ122の下端からフレーム121の下端までの幅をWとする。このとき、間隔dは、wと2Wとを足したものとなり、間隔dをwと2Wとを足したものより小さくすることは、構造上困難である。例えば、スピーカユニット12n、12n+1の口径(公称)が8[cm]のとき、間隔dは最小でも概ね30[mm]となる。このように、実施の形態1に係るスピーカ装置1では、構造上、間隔dをより小さくしていくことに限界があった。そこで、実施の形態2では、間隔dを実施の形態1よりも小さくすることを可能にし、間隔deを式(2)を満たす値に容易に設定することが可能なスピーカ装置について説明する。具体的には、実施の形態2に係るスピーカ装置は、隣り合うエッジの接着代が互いに重なり合うように、スピーカユニットをキャビネットに取り付ける。それ以外の構造および動作は、スピーカ装置1と同様であるとし、ここでは説明を省略する。
図5は、本発明の実施の形態2に係るスピーカ装置の構造を示す図であり、図5(a)は、スピーカ装置の正面図であり、図5(b)は、スピーカ装置の側方の構造断面図である。
スピーカ装置2は、キャビネット21と複数のスピーカモジュール22を備えており、家庭内などの受聴位置が近距離にある場所に設置される。図5の例では、スピーカ装置2は、スピーカモジュール22を5個備えているが、これに限定されるものではない。各スピーカモジュール22は、4個のスピーカユニットをそれぞれに含み、キャビネット21の正面に取り付けられる。各スピーカユニットは、図5(a)に示すように、スピーカ装置2の正面から見て直線ライン状に配列されており、その配列方向は、スピーカ装置2の上下方向と平行である。また、各スピーカユニットは、図5(b)に示すように、スピーカ装置2の側面から見て直線状に配列されている。なお、図5(b)では、スピーカモジュール22の構造断面を略して記載しており、詳細な構造断面図は、図6に示される。
図6は、スピーカモジュール22の構造を示す図であり、図6(a)は、スピーカモジュール22の正面図であり、図6(b)は、スピーカモジュール22の側方の構造断面図である。スピーカモジュール22は、フレーム221と4個のスピーカユニット12aを備える。フレーム221は、前面板2211、支持部材2212、連結部材2213を備える。前面板2211および支持部材2212は、図6(b)に示すように、直線状に形成されている。前面板2211および支持部材2212の間には、前面板2211および支持部材2212を連結するための連結部材2213が設けられる。スピーカユニット12aは、図1に示したスピーカユニット12からフレーム121を除いた構造を有しており、エッジ122、振動板123、ボイスコイルボビン124、ボイスコイル125、ヨーク126、マグネット127、プレート128を有する。エッジ122は、ロール部1221と接着代1222からなる。接着代1222は前面板2211に接着され、ロール部1221の内周は振動板123の外周に接着される。これにより、振動板123は、前面板2211に対して振動可能に支持される。隣り合う接着代1222の一部は、図6(b)の点線で囲まれた拡大図に示されるように、重ね合わせるようにして前面板2211に接着される。振動板123の内周は、支持部材2212に形成された貫通孔に配置されたボイスコイルボビン124の一方端に接着される。ボイスコイル125は、ボイスコイルボビン124に巻かれている。ヨーク126は、支持部材2212に形成された貫通孔を囲むように支持部材2212に取り付けられる。マグネット127の一方面は、ヨーク126の内面に接着され、他方面には、プレート128が接着される。プレート128の側面とヨーク126の内面との間に磁気ギャップが形成され、ボイスコイル125は、当該磁気ギャップ中に配置される。なお、スピーカユニット12a上に記された点線の円は、スピーカユニット12aの振動領域である。
このように、本実施の形態では、図6(a)に示したように、各スピーカユニット12aが互いの接着代1222を重ね合わせるようにして配置される。これにより、振動領域間の間隔dは、図4に示した間隔dよりも小さくなる。つまり、スピーカ装置1の場合よりも間隔deを小さくすることができる。このため、本実施の形態によれば、間隔deを式(2)を満たす値に容易に設定することができ、位相干渉による音質劣化を容易に防ぐことができる。
また本実施の形態では、各スピーカユニット12aの振動板123間にはエッジ122が存在するため、各振動板123は互いに独立して振動する。したがって、振動板123同士の振動が互いに伝わりあうことで発生する不要な共振を防ぐことができ、全てのスピーカユニット12aを同位相で振動させることができる。
なお、上述では、スピーカモジュール22が4個のスピーカユニット12aを含むとしたが、これに限定されない。例えば、スピーカモジュール22が20個のスピーカユニット12aを含むようにして、スピーカ装置2がスピーカモジュール22を1個備えるようにしてもよい。
また、上述では、各スピーカユニット12aがそれぞれエッジ122を備えていたが、これに限定されない。各エッジ122を互いに接着代1222を重ね合わせた状態で一体成型し、一体成型されたエッジを各スピーカユニット12aが共有してもよい。
また、上述では、各スピーカユニット12aのすべてが互いの接着代1222を重ね合わせるようにして配置されるとしたが、2つのスピーカユニット12aのみ互いの接着代1222を重ね合わせるようにして配置されてもよい。さらに、各スピーカユニット12aのすべてが互いの接着代1222を重ね合わせないように配置されてもよい。この場合でも、各スピーカユニット12aは、1つのフレーム221を共有することになる。このため、各スピーカユニット12aの振動領域間の間隔dを、各スピーカユニット12aがフレームをそれぞれ備える場合よりも小さくすることができる。
また、上述では、キャビネット21をスピーカ装置2の構成要素の1つとしたが、キャビネット21をスピーカ装置2の構成要素から外してもよい。この場合、スピーカ装置3は、スピーカモジュール22そのものとなる。
また、上述では、距離差Qが式(2)の条件を満たすことを前提として説明したが、式(2)を満たさない場合でも、隣り合うエッジの接着代が互いに重なり合うことで、隣り合うエッジの接着代が互いに重なり合わない場合よりも、位相干渉による音質劣化を抑えることは可能である。
(実施の形態3)
実施の形態1に係るスピーカ装置1では、図1(b)に示したように、複数のスピーカユニット12がスピーカ装置1の側面から見て直線状に配列されるとした。これに対し、実施の形態3では、複数のスピーカユニットがスピーカ装置の側面から見て円弧状に配列される場合について説明する。それ以外の構造および動作は、スピーカ装置1と同様であるとし、ここでは説明を省略する。
図7は、本発明の実施の形態3に係るスピーカ装置の構造を示す図であり、図7(a)は、スピーカ装置の正面図であり、図7(b)は、スピーカ装置の側方の構造断面図である。
スピーカ装置3は、キャビネット31と複数のスピーカユニット32を備えており、家庭内などの受聴位置が近距離にある場所に設置される。図7の例では、スピーカ装置3は、スピーカユニット32を20個備えているが、これに限定されるものではない。各スピーカユニット32は、前面がキャビネット31の正面方向に向くようにして、キャビネット31に取り付けられる。各スピーカユニット32は、図7(a)に示すように、スピーカ装置3の正面から見て直線ライン状に配列されており、その配列方向は、スピーカ装置3の上下方向と平行である。また、各スピーカユニット32は、図7(b)に示すように、スピーカ装置3の側面から見て円弧状に配列されている。なお、各スピーカユニット32は、通常の動電型スピーカと同様の構造断面を有しており、図7(b)では、スピーカユニット32の構造断面を略して記載している。
以下、本実施の形態に係る各スピーカユニット32の配列方法について説明する。
本実施の形態では、実施の形態1と同様、距離差Qがスピーカユニット32の再生帯域の上限周波数における音の半波長未満となるように、複数の音源、つまり複数のスピーカユニット32を配列している。これにより、スピーカ装置3が作り出す音源を理想的な線音源により近づけることができ、位相干渉によるピークディップを再生帯域で発生させないようにすることができる。すなわち、位相干渉による音質劣化を防ぐことができる。
ここで、各スピーカユニット32は、図7(b)に示すように、スピーカ装置3の側面から見て円弧状に配列されているので、距離差Qの条件は、実施の形態1で説明した式(2)とは異なる式で表されることになる。以下、図8を参照して実施の形態3に係る距離差Qの条件について具体的に説明する。図8は、実施の形態3に係る距離差Qの条件を説明するための図である。なお、スピーカユニット32の有効振動領域、有効振動領域間の間隔については、図2で説明した内容と同様であるので、ここでは説明を省略する。
図8では、スピーカユニット32の配列の中心P0をY軸上の原点とし、スピーカユニット32の配列長(円弧の長さ)をLとしている。受聴位置P1は、中心P0を通るX軸上に位置し、受聴位置P1と中心P0間の受聴距離をDとする。また、中心P0に配置されるスピーカユニット32の有効振動領域をSA0とし、有効振動領域をSA0からY軸正方向に数えてn番目の有効振動領域をSAnとし、n+1番目の有効振動領域をSAn+1とする。また、有効振動領域SAnをX軸に対して対称に配置したときの領域をSAn'としたとき、有効振動領域SAnの上端から、領域SAn'の下端までの円弧の長さをLnとする。有効振動領域SAnおよび有効振動領域SAn+1間の間隔は、図8に示した間隔deとなり、上式(1)のように表される。また、円弧の曲率半径をRとする。このとき、距離差Qは、間隔deを形成する有効振動領域SAnの上端部と受聴位置P1までの距離lnと、有効振動領域SAn+1の下端部と受聴位置P1までの距離ln+1との差で表され、この差がスピーカユニット32の再生帯域の上限周波数における再生音の半波長未満となればよい。具体的な距離差Qの条件は、スピーカユニット32の再生帯域の上限周波数における再生音の波長をλとすると、式(3)のように表される。
Figure 0005145334
距離差Qが式(3)を満たすときの式(1)の間隔dの長さは、スピーカユニット32の口径(公称)を8[cm](つまりスピーカユニット32の振動領域の有効径を6[cm])とし、図9に示すように、スピーカユニット32の配列長Lを1.5[m]とし、曲率半径Rを3[m]とした場合、0.0134[m]=13.4[mm]となる。図9は、スピーカユニット32の配列長L、曲率半径Rを表した図である。なお、図9に示すZ軸は、図8に示したX軸およびY軸にそれぞれ直交する軸である。また、配列長Lを一定として間隔dを変化させたときの音圧周波数特性を図10に示す。なお、図10の音圧周波数特性は、再生帯域の上限周波数を10[kHz]とし、受聴位置P1をスピーカユニット32の配列の中心P0から3[m]の位置としたときの計算値を示している。図10に示すように、式(1)の間隔dが小さいほど(つまり、間隔deが小さいほど)、距離差Qが小さくなるので、位相干渉によるピークディップが発生しにくくなっていることがわかる。
以上のように、本実施の形態によれば、距離差Qがスピーカユニット12の再生帯域の上限周波数における再生音の半波長未満となるように、複数のスピーカユニット32を配列している。これにより、スピーカ装置3が作り出す音源を理想的な線音源により近づけることができ、位相干渉によるピークディップを再生帯域で発生させないようにすることができる。すなわち、位相干渉による音質劣化を防ぐことができる。
ここで、上述したスピーカ装置1では、各スピーカユニット12がスピーカ装置1の側面から見て直線状に配列されていた。このため、上述したスピーカ装置1では、スピーカユニット12の配列長Lに対して再生音の波長が短いほど、配列方向の指向性が鋭くなり、所望の音場が得られる範囲(以下、音場範囲と称す)が狭くなる。したがって、再生音の波長が短い範囲において(つまり高域において)、上述したスピーカ装置1を用いて配列方向の指向性に所望の音場範囲をもたせるには、配列長Lを長くする必要がある。例えば、10[kHz]以下の周波数帯域の音を近距離で再生する場合、配列長Lを3[m]にする必要があり、スピーカ装置1を家庭用として用いることは現実的でなくなる。
一方、本実施の形態3に係るスピーカ装置3では、各スピーカユニット32がスピーカ装置3の側面から見て円弧状に配列される。このため、スピーカ装置3の配列方向の指向性は、同じ配列長Lをもつスピーカ装置1よりも鋭くなく、スピーカ装置1よりも所望の音場範囲を広く得ることができる。図11は、同じ配列長Lをもつスピーカ装置1および3の配列方向の指向性を示す図であり、図11(a)は、スピーカ装置3の指向性を示し、図11(b)は、スピーカ装置1の指向性を示している。なお、図11では、スピーカ装置3の曲率半径Rを3[m]、配列長Lを1.5[m]とし、スピーカ装置1の配列長Lを1.5[m]としている。また、図11では、一例として、周波数fが1[kHz]のときの指向性を示している。図11の結果から、スピーカ装置3の配列方向の指向性は、同じ配列長Lをもつスピーカ装置1よりも鋭くなく、スピーカ装置1よりも所望の音場範囲を広く得ることができることがわかる。また図11の結果から、曲率半径Rを3[m]、配列長Lを1.5[m]とするスピーカ装置3の配列方向の指向性が、配列長Lを3[m]とするスピーカ装置1と同等以上の鋭さになることもわかる。つまり、配列方向において所望の音場範囲を得ようとする場合には、スピーカ装置3の配列長Lをスピーカ装置1よりも短くすることができ、結果としてスピーカ装置1よりも装置サイズを小さくすることができる。
このように、本実施の形態3に係るスピーカ装置3では、各スピーカユニット32がスピーカ装置3の側面から見て円弧状に配列されることで、配列方向においてスピーカ装置1よりも所望の音場範囲を広く得ることができることがわかる。このため、配列長の長いスピーカ装置1の配列方向の音場範囲と同等の音場範囲を確保しつつ、スピーカ装置3のサイズをスピーカ装置1よりも小さくすることができる。
なお、各スピーカユニット32がスピーカ装置3の側面から見て円弧状に配列される場合、再生音の波長と配列長の比が所定の値に近づくほど、配列方向の指向性が鋭くなる。例えば配列長を固定とした場合、再生音の波長が短くなるにつれて指向性が鋭くなるが、再生音の波長が所定の波長より短くなると逆に指向性が鋭くなくなる。図12に示すように、家庭用として用いることを想定した、1[m]〜2[m]の配列長をもつスピーカ装置3では、配列方向の指向性が最も鋭くなる周波数帯域が250[Hz]〜2[kHz]となる。図12は、スピーカ装置3の配列方向の指向性を周波数毎に示す図である。なお、図12では、一例として、配列長Lを1.5[m]とし、曲率半径Rを2[m]としている。また、図12に示す結果は、図13に示すように受聴位置P1での音圧を1として規格化したものである。したがって、配列方向の指向性が最も鋭くなる周波数帯域において所望の音場範囲を得られるように、配列長Lと曲率半径Rを設定してもよい。これにより、再生帯域全体で十分な受聴エリアを確保することができる。
例えば、配列方向の指向性が最も鋭くなる周波数帯域250[Hz]〜2[kHz]において、スピーカユニット32の配列の中心から見た仰角±15[°]の範囲内の受聴位置で音圧差を6[dB]以下とするとき、配列長Lと曲率半径Rは、式(4)の条件を満たせばよい。なお、式(4)において、スピーカユニット32の配列の中心から受聴位置までの受聴距離をD(1[m]〜3[m])とする。
Figure 0005145334
図14は、式(4)の内容を示す図である。図14では、スピーカユニット32の配列の中心P0をY軸上の原点とし、スピーカユニット32の配列をH1とし、配列長(円弧の長さ)をLとしている。受聴位置P1は、仰角が0[°]となるときの受聴位置であり、中心P0を通るX軸上に位置する。受聴位置P1と中心P0間の受聴距離をDとし、円弧の曲率半径をRとする。また、仰角が+15[°]となるときの受聴位置をP2とし、仰角が−15[°]となるときの受聴位置をP3とする。このとき、式(4)の右辺は、受聴位置P1〜P3を通る配列H1と相似な円弧H2の長さとなる。この式(4)の右辺が受聴距離D以上となる場合、受聴位置が受聴位置P2から受聴位置P3の間のいずれの位置であっても、当該受聴位置での再生音の音圧差が6[dB]以下となる。なお、音圧差が6[dB]以下になることを数値計算によって確認した結果を、図15に示す。図15(a)は、受聴距離Dを2.5[m]、配列長Lを1[m]としたときの数値計算結果を示し、図15(b)は、受聴距離Dを2.5[m]、配列長Lを1.25[m]としたときの数値計算結果を示し、図15(c)は、受聴距離Dを2.5[m]、配列長Lを1.5[m]としたときの数値計算結果を示している。なお、図15では、一例として、仰角0[°]〜+15[°]の範囲内の受聴位置での数値計算結果を示している。図15(a)〜(c)の結果から、式(4)の右辺の値が受聴距離D(=2.5[m])以上になる場合、受聴位置が受聴位置P1から受聴位置P2の間のいずれの位置であっても、当該受聴位置での再生音の音圧差が6[dB]以下となることがわかる。
また、図12〜図15で説明した内容とは別に、受聴距離Dが5[m]以下であるとき、配列長Lを曲率半径Rで除算した結果(L/R)が1.5以上になるように、配列長Lと曲率半径Rを設定してもよい。また、受聴距離Dが3[m]であるとき、配列長Lを曲率半径Rで除算した結果(L/R)が0.5以上になるように、配列長Lと曲率半径Rを設定してもよい。図16は、受聴距離Dが3[m]であるときのスピーカ装置3の配列方向の指向性を周波数毎に示した図であり、図16(a)は、除算結果(L/R)を1.5としたときの指向性を示し、図16(b)は、除算結果(L/R)を1としたときの指向性を示し、図16(c)は、除算結果(L/R)を0.75としたときの指向性を示し、図16(d)は、除算結果(L/R)を0.5としたときの指向性を示している。図16から、受聴距離Dが3[m]であるとき、除算結果(L/R)が0.5以上になると、配列方向の指向性の鋭さが十分な音場範囲が得られる鋭さになることがわかる。
(実施の形態4)
実施の形態3に係るスピーカ装置3では、スピーカ装置1と同様、その構造上、間隔dをより小さくしていくことに限界があった。そこで、実施の形態4では、間隔dを実施の形態3よりも小さくすることを可能にし、間隔deを式(2)を満たす値に容易に設定することが可能なスピーカ装置について説明する。具体的には、実施の形態4に係るスピーカ装置は、隣り合うエッジの接着代が互いに重なり合うように、スピーカユニットをキャビネットに取り付ける。それ以外の構造および動作は、スピーカ装置3と同様であるとし、ここでは説明を省略する。
図17は、本発明の実施の形態4に係るスピーカ装置の構造を示す図であり、図17(a)は、スピーカ装置の正面図であり、図17(b)は、スピーカ装置の側方の構造断面図である。
スピーカ装置4は、キャビネット41と複数のスピーカモジュール42を備えており、家庭内などの受聴位置が近距離にある場所に設置される。図17の例では、スピーカ装置4は、スピーカモジュール42を5個備えているが、これに限定されるものではない。各スピーカモジュール42は、4個のスピーカユニットをそれぞれに含み、キャビネット41の正面に取り付けられる。各スピーカユニットは、図17(a)に示すように、スピーカ装置4の正面から見て直線ライン状に配列されており、その配列方向は、スピーカ装置4の上下方向と平行である。また、各スピーカユニットは、図17(b)に示すように、スピーカ装置4の側面から見て円弧状に配列されている。なお、図17(b)では、スピーカモジュール42の構造断面を略して記載しており、詳細な構造断面図は、図18に示される。
図18は、スピーカモジュール42の構造を示す図であり、図18(a)は、スピーカモジュール42の正面図であり、図18(b)は、スピーカモジュール42の側方の構造断面図である。スピーカモジュール42は、フレーム421と4個のスピーカユニット32aを備える。フレーム421は、前面板4211、支持部材4212、連結部材4213を備える。前面板4211および支持部材4212は、図18(b)に示すように、円弧状に形成されている。前面板4211および支持部材4212の間には、前面板4211および支持部材4212を連結するための連結部材4213が設けられる。スピーカユニット32aは、図7に示したスピーカユニット32からフレームを除いた構造を有しており、エッジ322、振動板323、ボイスコイルボビン324、ボイスコイル325、ヨーク326、マグネット327、プレート328を有する。エッジ322は、ロール部3221と接着代3222からなる。接着代3222は前面板4211に接着され、ロール部3221の内周は振動板323の外周に接着される。これにより、振動板323は、前面板4211に対して振動可能に支持される。隣り合う接着代3222の一部は、図18(b)の点線で囲まれた拡大図に示されるように、重ね合わせるようにして前面板4211に接着される。振動板323の内周は、支持部材4212に形成された貫通孔に配置されたボイスコイルボビン324の一方端に接着される。ボイスコイル325は、ボイスコイルボビン324に巻かれている。ヨーク326は、支持部材4212に形成された貫通孔を囲むように支持部材4212に取り付けられる。マグネット327の一方面は、ヨーク326の内面に接着され、他方面には、プレート328が接着される。プレート328の側面とヨーク326の内面との間に磁気ギャップが形成され、ボイスコイル325は、当該磁気ギャップ中に配置される。なお、スピーカユニット32a上に記された点線の円は、スピーカユニット32aの振動領域である。
以上のように構成された本実施の形態では、図18(a)に示したように、各スピーカユニット32aが互いの接着代3222を重ね合わせるようにして配置される。これにより、振動領域間の間隔dは、スピーカ装置3の場合の間隔dよりも小さくなる。このため、本実施の形態によれば、間隔deを式(2)を満たす値に容易に設定することができ、容易に位相干渉による音質劣化を容易に防ぐことができる。
また本実施の形態では、各スピーカユニット32aの振動板323間にはエッジ322が存在するため、各振動板323は互いに独立して振動する。したがって、振動板323同士の振動が互いに伝わりあうことで発生する不要な共振を防ぐことができ、全てのスピーカユニット32aを同位相で振動させることができる。
なお、上述では、スピーカモジュール42が4個のスピーカユニット32aを含むとしたが、これに限定されない。例えば、スピーカモジュール42が20個のスピーカユニット32aを含むようにして、スピーカ装置4がスピーカモジュール42を1個備えるようにしてもよい。
また、上述では、各スピーカユニット32aがぞれぞれエッジ322を備えていたが、これに限定されない。各エッジ322を互いに接着代3222を重ね合わせた状態で一体成型し、一体成型された1つのエッジを各スピーカユニット32aが共有してもよい。
また、上述では、各スピーカユニット32aのすべてが互いの接着代3222を重ね合わせるようにして配置されるとしたが、2つのスピーカユニット32aのみ互いの接着代3222を重ね合わせるようにして配置されてもよい。さらに、各スピーカユニット32aのすべてが互いの接着代3222を重ね合わせないように配置されてもよい。この場合でも、各スピーカユニット32aは、1つのフレーム421を共有することになる。このため、各スピーカユニット32aの振動領域間の間隔dを、各スピーカユニット32aがフレームをそれぞれ備える場合よりも小さくすることができる。
また、上述では、スピーカ装置4が複数のスピーカモジュール42を備えていたが、図6に示した複数のスピーカモジュール22を備えていてもよい。この場合、各スピーカモジュール22をスピーカ装置4の側面から見て約6°ずつ傾けながら配置することで、図17に示したように、スピーカ装置4の側面から見たスピーカユニットの配列を略円弧状にすることができる。
また、上述では、キャビネット41をスピーカ装置4の構成要素の1つとしたが、キャビネット41をスピーカ装置4の構成要素から外してもよい。この場合、スピーカ装置4は、スピーカモジュール42そのものとなる。
また、上述では、距離差Qが式(2)の条件を満たすことを前提として説明したが、式(2)を満たさない場合でも、隣り合うエッジの接着代が互いに重なり合うことで、隣り合うエッジの接着代が互いに重なり合わない場合よりも、位相干渉による音質劣化を抑えることは可能である。
(実施の形態5)
実施の形態3に係るスピーカ装置3では、図7(b)に示したように、複数のスピーカユニット32をスピーカ装置3の側面から見て円弧状に配列していた。これに対し、実施の形態5では、スピーカ装置の側面から見た配列形状を、実施の形態1のように直線状としたままで、実施の形態3のように円弧状とした場合と同様の効果を得る場合について説明する。
図19は、本発明の実施の形態5に係るスピーカ装置の構造を示す図であり、図19(a)は、スピーカ装置の正面図であり、図19(b)は、スピーカ装置の側方の構造断面図である。
スピーカ装置5は、キャビネット51、スピーカユニット52−1〜52−20、遅延手段53を備えており、家庭内などの受聴位置が近距離にある場所に設置される。図19の例では、スピーカ装置5は、スピーカユニットを20個備えているが、これに限定されるものではない。スピーカユニット52−1〜52−20は、前面がキャビネット51の正面方向に向くようにして、キャビネット51に取り付けられる。スピーカユニット52−1〜52−20は、図19(a)に示すように、スピーカ装置5の正面から見て直線ライン状に配列されており、その配列方向は、スピーカ装置5の上下方向と平行である。また、スピーカユニット52−1〜52−20は、図19(b)に示すように、スピーカ装置5の側面から見て直線状に配列されている。なお、スピーカユニット52−1〜52−20は、通常の動電型スピーカと同様の構造断面を有しており、図19(b)では、スピーカユニット52−1〜52−20の構造断面を略して記載している。なお、スピーカユニット52−1〜52−20の配列方法は、実施の形態1と同様であるので、ここでは説明を省略する。
遅延手段53には、スピーカユニット52−1〜52−20それぞれに対応した遅延時間が設定されており、入力される音響信号を設定された遅延時間だけ遅延させ、遅延させた遅延信号を当該遅延時間に対応するスピーカユニットへ出力する。遅延時間は、対応するスピーカユニットの配置位置から、各スピーカユニットがスピーカ装置の側面から見て円弧状に配列されたと仮定したときの当該対応するスピーカユニットの配置位置までの間を、再生音が伝達する時間に設定される。
具体的には、遅延手段53は、遅延器53−1〜53−9を備える。遅延器53−1〜53−9には、それぞれ異なる遅延時間t1〜t9が設定される。遅延時間t1〜t9の具体的な設定方法については後述する。遅延器53−1は、入力された音響信号を遅延時間t1だけ遅らせて、スピーカユニット52−2、52−12へ出力する。遅延器53−2は、入力された音響信号を遅延時間t2だけ遅らせて、スピーカユニット52−3、52−13へ出力する。以下、同様に、遅延器53−3〜53−9は、設定された遅延時間だけ音響信号を遅らせて、スピーカユニット52−4〜52−10、52−14〜52−20へ出力する。なお、スピーカユニット52−1、52−11は、配列の中心付近に配置されているので、音響信号を遅延させる必要がない。このため、スピーカユニット52−1、52−11に対しては、遅延時間を0とし、音響信号を直接入力している。
以下、遅延時間の設定方法について説明する。図20は、遅延時間の設定方法を説明するための図である。図20では、スピーカユニット52の配列の中心P0をY軸上の原点とし、スピーカユニット52の配列をH3とし、配列長(直線の長さ)をLとしている。また、各スピーカユニット52を仮想的に円弧状に配列したときのその配列をH'3とし、配列長(円弧の長さ)をL'としている。点PRは、曲率半径をRとする円弧の中心であり、中心P0を通るX軸上に位置する。このとき、配列長Lと配列長L'には、式(5)の関係が成り立つ。
Figure 0005145334
よって、配列H3の上端から中心P0までの距離ymaxは、式(6)のように表される。
Figure 0005145334
また、中心P0付近に配置されるスピーカユニット52−1の有効振動領域をSA0とし、有効振動領域をSA0からY軸正方向に数えてn番目の有効振動領域をSAnとする。また、有効振動領域SAnの上端部から中心P0までの距離をynとし、有効振動領域SAnの中心をAnとする。ここで、配列H'3上の点A'nから放射される音波は、円弧の接線に垂直な方向に進行し、配列H3上の点Anに達する。このときの点An−点A'n間の距離Bnは、式(7)のように表される。
Figure 0005145334
したがって、有効振動領域SAnがあたかも点A'nに配置されたかのように動作させるために必要な遅延時間tnは、式(8)のように表される。なお、式(8)のcは、音速である。
Figure 0005145334
式(8)に基づいて、遅延時間t1〜t9を設定することで、スピーカユニット52−1〜52−20は、あたかも配列H'3のような円弧状に配列されているかのように、動作する。
以上のように、本実施の形態5に係るスピーカ装置5では、スピーカ装置の側面から見たスピーカユニットの配列形状を直線状としたままで、円弧状とした場合と同様の動作を行うことができ、円弧状とした場合と同様の効果を得ることができる。
なお、上述では、スピーカユニット52−1〜52−20に入力される音響信号を遅延させるだけであったが、これに限定されない。スピーカユニット52−1〜52−20の傾きを、円弧状の配列に応じて変えるようにしてもよい。図21は、スピーカユニット52−1〜52−20の傾きを円弧状の配列に応じて変える様子を示す図である。なお、図21では、スピーカユニット52−1〜52−20そのものではなく、有効振動領域SAnの傾きを示している。図21において、有効振動領域SAnのy軸に対する傾きをθnとする。このとき、傾きθnは、式(9)のように表される。
Figure 0005145334
式(9)を満たすように、スピーカユニット52−1〜52−20の傾きを変えることで、スピーカユニット52−1〜52−20の配列方向において、より良い放射特性を得ることができる。
なお、上述では、遅延器53−1〜53−9を、実施の形態1に適用した場合について説明したが、実施の形態2においても適用可能である。
また、上述では、遅延手段53をスピーカ装置5の構成要素の一部としていたが、これに限定されない。遅延手段53は、スピーカ装置5と接続されるオーディオアンプ(図示なし)に設けられてもよい。また、遅延手段53は、アナログ回路またはデジタル回路のいずれの回路で構成されてもよい。
(実施の形態6)
本実施の形態では、実施の形態1〜5に係るスピーカ装置が薄型テレビなどの映像機器に搭載される場合について説明する。
図22は、実施の形態6に係る薄型テレビの正面外観図である。薄型テレビ6は、筐体61、ディスプレイ62、スピーカ装置63を備える。筐体61は、中央部から左右方向の両端へ向かうにつれて前後方向の厚みが徐々に薄くなる形状を有している。ディスプレイ62は、筐体61の中央部に搭載され、スピーカ装置63は、左右方向の両端の筐体61内部に搭載される。
図23は、スピーカ装置63の構造を示す図であり、図23(a)は、スピーカ装置63の正面図であり、図23(b)は、スピーカ装置63を線C−C'で切断したときの構造断面図である。図23に示すように、スピーカ装置63は、フレーム631と複数のスピーカユニット632を備える。スピーカユニット632は、圧電型スピーカであり、基板6321、圧電素子6322、エッジ6323aおよび6323bを備える。圧電素子6322は、図23(b)に示すように、基板6321の上下面にそれぞれ設けられる。エッジ6323aは、図23(a)に示すように、基板6321および圧電素子6322の上下端にそれぞれ設けられ、エッジ6323bは、基板6321および圧電素子6322の左右端にそれぞれ設けられる。圧電素子6322は、図23(a)に示すように、矩形形状を有し、フレーム631およびフレーム631のダンパ部631a上に形成された電極と接続される。圧電素子6322は、電極を介して音響信号が入力されると、基板6321とともに振動し、音響信号を音波に変換する。
ここで、スピーカユニット632の振動領域は、圧電素子6322の形状、つまり矩形となる。したがって、スピーカユニット632の振動領域は、有効振動領域そのものとなり、隣り合うスピーカユニット632の振動領域の間隔は、有効振動領域の間隔deとなる。ここでは、間隔deは、距離差Qが式(2)の条件を満たすように設定されているとする。
以上のように構成されたスピーカ装置63では、複数のスピーカユニット632が1つのフレーム631を共有している。このため、隣り合うスピーカユニット632の有効振動領域の間隔deを、複数のスピーカユニット632それぞれがフレームを備える場合よりも、小さくすることができる。また、スピーカユニット632は圧電型スピーカであるため、スピーカ装置63全体のサイズを小さくすることができる。また、スピーカ装置63では、フレーム631、基板6321、エッジ6323aおよび6323bを、一体成型することができる。このため、複数のスピーカユニット632を別々に取り付ける場合と比べて、製造コストを削減することができる。
なお、スピーカ装置63の構造は、図23に示した構造に限定されるものではなく、図24に示すように、隣り合うスピーカユニットのエッジを共有する構造であってもよい。図24は、スピーカ装置63の他の構造を示す図であり、図24(a)は、スピーカ装置63の正面図であり、図24(b)は、スピーカ装置63を線C−C'で切断したときの構造断面図である。図24に示すように、スピーカ装置63は、フレーム631と複数のスピーカユニット632aを備える。スピーカユニット632aは、圧電型スピーカであり、基板6321、圧電素子6322、エッジ6323cおよび6323dを備える。エッジ6323cは、図24(a)に示すように、基板6321および圧電素子6322の上下端にそれぞれ設けられ、エッジ6323dは、基板6321および圧電素子6322の左右端にそれぞれ設けられる。エッジ6323cは、隣り合うスピーカユニット632a間で共有される。
ここで、スピーカユニット632aの有効振動領域の間隔deは、エッジ6323cの幅となる。図24に示した構造によれば、スピーカユニットの有効振動領域の間隔deを、図23に示した間隔deよりも小さくすることができる。
本発明に係るスピーカ装置は、受聴位置が近距離にある場所で用いる場合において位相干渉による音質劣化を抑えることが可能であり、家庭用オーディオシステムや、ホームシアターシステム、小ホール用拡声システム等の小音場の音楽再生システム等に適用される。
1、2、3、4、5、63、9 スピーカ装置
11、21、31、41、51、91 キャビネット
12、12a、32、32a、52−1〜52−20、632、632a、92 スピーカユニット
121、221、421、631 フレーム
122、322、6323a〜d エッジ
123、323 振動板
124、324 ボイスコイルボビン
125、325 ボイスコイル
126、326 ヨーク
127、327 マグネット
128、328 プレート
1221、3221 ロール部
1222、3222 接着代
22、42 スピーカモジュール
2211、4211 前面板
2212、4212 支持部材
2213、4213 連結部材
53 遅延手段
53−1〜53−9 遅延器
6 薄型テレビ
61 筐体
62 ディスプレイ
631a ダンパ部
6321 基板
6322 圧電素子

Claims (17)

  1. 複数のスピーカユニットを正面から見てライン状に配列したスピーカ装置であって、
    各前記スピーカユニットは、振動板と、前記振動板の外周に設けられたエッジとをそれぞれ有し、
    各前記スピーカユニットのうち、隣り合うスピーカユニット同士は、互いのエッジの一部を重ね合わせるように配列されることを特徴とする、スピーカ装置。
  2. 前記エッジは、ロール部と接着部とを含み、
    前記隣り合うスピーカユニット同士は、前記エッジの前記接着部を重ね合わせるように配置されることを特徴とする、請求項1に記載のスピーカ装置。
  3. 各前記スピーカユニットは、前記スピーカ装置の側面から見て円弧状に配列されることを特徴とする、請求項1に記載のスピーカ装置。
  4. 前記隣り合うスピーカユニットの有効振動領域間の間隔のうち、少なくとも1つの間隔が所定の長さに設定されており、
    前記所定の長さは、前記間隔を形成する一方の有効振動領域の端部から受聴位置までの距離と他方の有効振動領域の端部から前記受聴位置までの距離との差が各前記スピーカユニットの再生音の最短波長の半分よりも短くなるように設定された長さであり、
    各前記スピーカユニットの配列長をLとし、前記円弧状が示す曲率半径をRとし、各前記スピーカユニットの配列の中心から前記受聴位置までの受聴距離をDとしたとき、(R+D)×(L/R)≧Dの関係が成り立つことを特徴とする、請求項3に記載のスピーカ装置。
  5. 各前記スピーカユニットの配列長をLとし、前記円弧状が示す曲率半径をRとしたとき、各前記スピーカユニットの配列の中心から前記受聴位置までの受聴距離が5m以下である場合において、(L/R)≧1.5の関係が成り立つことを特徴とする、請求項3に記載のスピーカ装置。
  6. 各前記スピーカユニットの配列長をLとし、前記円弧状が示す曲率半径をRとしたとき、各前記スピーカユニットの配列の中心から前記受聴位置までの受聴距離が3mである場合において、(L/R)≧0.5の関係が成り立つことを特徴とする、請求項3に記載のスピーカ装置。
  7. 各前記スピーカユニットは、前記スピーカ装置の側面から見て直線状に配列されることを特徴とする、請求項1に記載のスピーカ装置。
  8. 入力される音響信号を、前記スピーカユニットそれぞれに対応して設定された遅延時間だけ遅延させ、遅延させた音響信号を、対応する前記スピーカユニットへ出力する遅延手段をさらに備え、
    前記遅延時間は、対応する前記スピーカユニットの配置位置から、各前記スピーカユニットが前記スピーカ装置の側面から見て円弧状に配列されたと仮定したときの前記対応する前記スピーカユニットの配置位置までの間を前記再生音が伝達する時間に設定されることを特徴とする、請求項に記載のスピーカ装置。
  9. 各前記スピーカユニットは、前記スピーカ装置の側面から見た直線状の配列方向に対し、前記スピーカ装置の側面から見て円弧状に配列されたと仮定したときのそれぞれの配置位置に応じた角度だけ傾いていることを特徴とする、請求項8に記載のスピーカ装置。
  10. 各前記スピーカユニットが取り付けられるキャビネットをさらに備える、請求項1に記載のスピーカ装置。
  11. 各前記スピーカユニットが取り付けられる1つのフレームをさらに備え、
    各前記スピーカユニットは、それぞれ、
    振動板と、
    前記振動板の外周に設けられ、前記振動板を前記フレームに対して振動可能に支持するエッジとを有する、請求項1に記載のスピーカ装置。
  12. 各前記スピーカユニットのうち、前記所定の長さに設定された間隔を挟む2つの前記スピーカユニットは、当該間隔内において互いのエッジの一部を重ね合わせるように、前記フレームに取り付けられることを特徴とする、請求項11に記載のスピーカ装置。
  13. 各前記スピーカユニットは、振動板をそれぞれ有しており、
    各前記スピーカユニットが取り付けられる1つのフレームと、
    各前記振動板の外周をそれぞれ囲んで各前記振動板を前記フレームに対して振動可能に支持する1つのエッジとをさらに備える、請求項1に記載のスピーカ装置。
  14. 各前記スピーカユニットの有効振動領域の面積は、4π[cm]以上であることを特徴とする、請求項1に記載のスピーカ装置。
  15. 各前記スピーカユニットの駆動方式は、動電型、圧電型、静電型、および電磁型のうちのいずれか1つであることを特徴とする、請求項1に記載のスピーカ装置。
  16. 各前記スピーカユニットは、円形、楕円形、および矩形のうちのいずれか1つの形状からなる振動板をそれぞれ有することを特徴とする、請求項1に記載のスピーカ装置。
  17. 請求項1〜16のいずれか1項に記載のスピーカ装置と、
    前記スピーカ装置を内部に配置する筐体とを備える、映像機器。
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