図1は、本発明の実施の一形態である固体材料処理装置200の構成を示す断面図である。固体材料処理装置200は、たとえばシリコンなどの半導体の結晶体を製造する装置である。本実施の形態では、固体材料処理装置200は、シリコン単結晶体を製造する。固体材料処理装置200は、固体材料供給装置100と、気体供給手段30と、排気手段40と、チャンバ1と、気体流路形成部12とを含んで構成される。
固体材料供給装置100は、詳細は後述するが、搬送室4に形成される搬送室材料排出口6から固体材料を排出して、チャンバ1内に固体材料を供給する装置である。本実施の形態では、固体材料は、シリコン単結晶体を製造するための原料となるシリコン固体材料19である。シリコン固体材料19の形状は、その1つの塊において、縦および横の長さが5〜10mmで厚さが0.1〜0.3mmの板状と、直径40mmの礫状との2種類の形状である。板状のシリコン固体材料19と礫状のシリコン固体材料19とを比較すると、板状のシリコン固体材料19の方が、単位重量あたりの表面積(比表面積)が大きい。
気体供給手段30は、チャンバ1の周辺とは異なる気体をチャンバ1内に供給する。本実施の形態では、前記気体はアルゴンガスであり、チャンバ1の周辺には外部気体として空気が存在する。気体供給手段30は、外部気体である空気がチャンバ1内に混入しないように、アルゴンガスだけをチャンバ1内に供給する。気体供給手段30は、高圧状態でアルゴンガスが封入されているガスボンベなどからアルゴンガスをチャンバ1内に供給する。気体供給手段30によって供給するアルゴンガスの単位時間当たりの供給量は、チャンバ1内への前記外部気体の混入量と、チャンバ1内における前記外部気体の目標濃度とを考慮して、下記式(1)をもとにして設定する。
A=(100×B÷C)−B …(1)
[式中、Aは気体供給手段30による単位時間当たりの気体供給量(L/min)、Bはチャンバ1内への外部気体の単位時間当たりの混入量(L/min)、Cはチャンバ1内における外部気体の目標濃度(%)をそれぞれ示す。]
本実施の形態では、外部気体である空気の成分のうち酸素に着目し、チャンバ1内における酸素の目標濃度を100ppm以下とする。また気体供給手段30による単位時間当たりのアルゴンガス供給量は、チャンバ1内への外部気体の混入量によって異なるが、チャンバ1の容積が1000Lに対して、200L/minである。排気手段40は、チャンバ1内の気体をチャンバ1外に排気する。排気手段40は、気体を吸引して排気する真空ポンプなどを含んで構成され、チャンバ1内の気体をチャンバ1外に排気して、チャンバ1内を真空状態に維持する。
チャンバ1は、筐体状に形成される。チャンバ1には、チャンバ気体供給口8と、チャンバ材料投入口9と、チャンバ気体排気口21とが形成される。チャンバ気体供給口8は、アルゴンガスが気体供給手段30によってチャンバ1内供給される開口であり、チャンバ1の側壁面に形成される。チャンバ材料投入口9は、固体材料供給装置100から排出されるシリコン固体材料19がチャンバ1内に投入される開口であり、チャンバ1の上壁面に形成される。チャンバ気体排気口21は、チャンバ1内に存在する気体がチャンバ1外に排気される開口であり、開閉可能な排気バルブ22を介して排気手段40が接続される。
またチャンバ1の内部には、坩堝20と、加熱手段26と、液面高さ計17と、酸素濃度測定器18とが配置される。坩堝20は、固体材料供給装置100から排出されるシリコン固体材料19およびシリコン固体材料19が融解されたシリコン融液25を貯留する部材である。坩堝20は、円筒状に形成され、上面から鉛直方向下方に向けて円柱状の凹所が形成される。加熱手段26は、坩堝20を加熱する手段である。加熱手段26は、坩堝20の周囲を囲むように設けられる。加熱手段26は、たとえば誘導加熱手段などによって実現される。この場合、坩堝20の周囲を囲むように設けられた誘導加熱コイルに電流を流すことによって、坩堝20を加熱することができる。液面高さ計17は、坩堝20内に貯留されるシリコン融液25の液面高さを計測するための計測器であり、チャンバ1の側壁面に設けられる。酸素濃度測定器18は、チャンバ1内の酸素濃度を測定するための測定器であり、チャンバ1内の側壁面に設けられる。
気体流路形成部12は、気体供給手段30によってチャンバ1内に供給されるアルゴンガスが、固体材料供給装置100に向けて流れる流路となる。気体流路形成部12は、筐体状に形成され、2つの開口を有する。気体流路形成部12は、チャンバ1の鉛直方向上方に配置され、気体流路形成部12に形成される2つの開口のうち一方の開口が、チャンバ材料投入口9に接続される。気体流路形成部12の鉛直方向上方には、固体材料供給装置100が配置され、気体流路形成部12に形成される他方の開口が、固体材料供給装置100に設けられる搬送室材料排出口6に接続される。つまり、固体材料処理装置200においては、気体流路形成部12は、搬送室材料排出口6から排出されるシリコン固体材料19がチャンバ材料投入口9を介してチャンバ1内に投入されるときに、シリコン固体材料19の通路となる材料通路形成部を兼ねる。
また気体流路形成部12の内部には、重量計量部10と、流路形成部バルブ7と、材料収容手段11とが配置される。重量計量部10は、固体材料供給装置100から排出されるシリコン固体材料19の重量を計量する部位である。重量計量部10は、気体流路形成部12の内壁面から突出して形成される突出部を有し、前記突出部は可撓性および弾発性を有する。重量計量部10が有する突出部は、重量計量部10に供給されたシリコン固体材料19の総重量が設定重量以上になると変形してシリコン固体材料19を排出し、シリコン固体材料19の排出が完了すると変形状態から元の形状に復元するように形成される。本実施の形態では、重量計量部10に設定される設定重量は、たとえば500gである。流路形成部バルブ7は、チャンバ1と固体材料供給装置100とを仕切る開閉可能なバルブである。固体材料処理装置200においては、前述のように、気体流路形成部12がシリコン固体材料19の通路となる材料通路形成部を兼ねるので、流路形成部バルブ7は、材料通路を仕切る通路形成部バルブを兼ねる。
材料収容手段11は、材料収容容器11bとシャフト11aとを含んで構成される。材料収容容器11bは、固体材料供給装置100から排出されるシリコン固体材料19を収容する凹所が形成される。シャフト11aは、材料収容容器11bの側面に固定される棒状部材である。材料収容手段11は、シャフト11aを介して材料収容容器11bを、水平方向に直線移動させ、水平方向に延びる回転軸線まわりに回転させることができるように構成される。重量計量部10、流路形成部バルブ7および材料収容手段11は、固体材料供給装置100に設けられる搬送室材料排出口6から鉛直方向下方に、重量計量部10、流路形成部バルブ7、材料収容手段11の順で、気体流路形成部12内に配置される。
図2は、固体材料供給装置100の構成を示す断面図である。固体材料供給装置100は、筐体状に形成される搬送室4と、搬送手段2と、気体案内部16と、固体材料貯蔵容器3とを含んで構成される。
搬送室4には、搬送室材料投入口5と、搬送室材料排出口6とが形成される。搬送室材料投入口5は、シリコン固体材料19が搬送室4内に投入される開口であり、搬送室4の上壁面4aに形成される。搬送室材料排出口6は、シリコン固体材料19が搬送室4外に排出される開口であり、搬送室4の下壁面4bに形成される。また搬送室4は、チャンバ1内に充填されるアルゴンガスが、気体流路形成部12を介して搬送室4内に導かれるように構成される。本実施の形態では、搬送室材料排出口6が、気体流路形成部12を介して搬送室4内に導かれるアルゴンガスが搬送室4内に供給される開口である搬送室気体供給口を兼ねる。また搬送室材料投入口5が、アルゴンガスが搬送室4外に排気される開口である搬送室気体排気口を兼ねる。つまりチャンバ1内に充填されるアルゴンガスは、搬送室材料排出口6から搬送室4内に流入する。搬送室4内に流入したアルゴンガスは、搬送室材料排出口6から搬送室材料投入口5に向けて流れ、搬送室材料投入口5から搬送室4外に排気される。
搬送手段2は、シリコン固体材料19を搬送室材料排出口6に向けて搬送する手段であり、その搬送機構は特に限定されない。搬送機構としてベルトコンベアなども挙げることができるが、シリコン固体材料19に振動を与えてシリコン固体材料19を搬送する機構が好ましい。シリコン固体材料19に振動を与える振動源としては、電磁振動を利用した電磁フィーダおよびリニアフィーダ、アンバランスウェイトの回転による振動を利用したゴムスプリングフィーダ、圧電素子に電圧をかけることによって歪みが生じる圧電効果を利用して振動を発生させるピエゾフィーダなどを挙げることができる。本実施の形態では、シリコン固体材料19に振動を与える振動源として、電磁フィーダを用いる。
搬送手段2は、電磁フィーダ15と、搬送路形成部14とを含んで構成される。電磁フィーダ15は、搬送路形成部14に電磁振動による振動を与える。本実施の形態では、電磁フィーダ15として、神鋼電機株式会社製のCF−1型を用いる。搬送路形成部14は、シリコン固体材料19を搬送室材料排出口6に導く搬送路であり、電磁フィーダ15に接続される。搬送路形成部14の表面は、炭化珪素から成る保護部材で被覆される。炭化珪素の硬さは、シリコン固体材料19の硬さよりも高い。ここで硬さは、ビッカース硬さであり、JISZ2244に準拠した方法で測定される。
搬送路形成部14の搬送方向に延びる長さは、電磁フィーダ15の能力を考慮して設定する。本実施の形態では、搬送路形成部14の搬送方向に延びる長さは、たとえば270mmである。また搬送路形成部14のうち、搬送室材料投入口5の中心を通る搬送室材料投入口5の開口面に対する垂直線と交わる交点から、搬送路形成部14の搬送方向下流側端部までの長さ、つまり搬送距離は、たとえば130mmである。
シリコン固体材料19を搬送室材料排出口6に向けて搬送する搬送速度は、電磁フィーダ15の振動数と振動振幅によって調整することができる。本実施の形態では、一例として、電磁フィーダ15の振動数は55Hzに設定し、振動振幅は1.6mmに設定する。このように設定した状態で、電磁フィーダ15による振動動作を4秒、振動停止動作を76秒とし、500gのシリコン固体材料19が、搬送距離130mmを80秒で搬送されるように設定する。このとき電磁フィーダ15が振動動作を行うときのみ、シリコン固体材料19が搬送路形成部14上を移動する。搬送手段2は、搬送路形成部14の搬送方向上流側端部が搬送室材料投入口5の鉛直方向下方に位置し、搬送方向下流側端部が搬送室材料排出口6の鉛直方向上方に位置するように、搬送室4内に配置される。
気体案内部16は、チャンバ1から気体流路形成部12を介して搬送室4内に流入したアルゴンガスを、搬送路形成部14に向けて案内して流す部材である。気体案内部16は、第1気体案内部16aと、第2気体案内部16bと、第3気体案内部16cとを含んで構成される。第1気体案内部16aは、搬送室材料排出口6の開口端部から搬送路形成部14の搬送方向下流側端部に向けて突出して形成される。第1気体案内部16aは、搬送室材料排出口6から搬送室4内に流入するアルゴンガスを、搬送路形成部14の搬送方向下流側端部に向けて案内して流す。第2気体案内部16bは、搬送路形成部14を上面側から覆う搬送路被覆部と、搬送路被覆部のうち搬送路形成部14の搬送方向下流側の部分から上方に屈曲する屈曲部とを有して形成される。第3気体案内部16cは、搬送室4の上壁面から突出して、第2気体案内部16bに形成される屈曲部に対向するように形成される。第2気体案内部16bの屈曲部および第3気体案内部16cは、第1気体案内部16aによって案内されて流れるアルゴンガスを、搬送路形成部14の固体材料が搬送される搬送面に向けて案内して流す。また第2気体案内部16bの搬送路被覆部は、搬送路形成部14の搬送面に向けて案内されて流れるアルゴンガスを、搬送路形成部14に沿って流れるように案内する。
固体材料貯蔵容器3は、シリコン固体材料19を貯蔵する凹所を有する容器であり、容器材料投入口3cと、容器材料排出口3dとを含んで構成される。容器材料投入口3cは、シリコン固体材料19が固体材料貯蔵容器3内に投入される開口であり、固体材料貯蔵容器3の上壁面に形成される。容器材料排出口3dは、シリコン固体材料19が固体材料貯蔵容器3外に排出される開口であり、固体材料貯蔵容器3の下壁面に形成される。固体材料貯蔵容器3は、搬送室材料投入口5に挿通して配置される。また固体材料貯蔵容器3の側壁面には、バイブレータ13が配置される。バイブレータ13は、固体材料貯蔵容器3内に貯蔵されるシリコン固体材料19に振動を与える。これによって固体材料貯蔵容器3の容器材料排出口3dからシリコン固体材料19を排出するときに、シリコン固体材料19が容器材料排出口3d付近で詰まるのを防止する。
図3は、固体材料処理装置200の電気的構成を示すブロック図である。固体材料処理装置200は、各手段を統括的に制御する制御手段50を含む。制御手段50は、各手段に動作指令をそれぞれ与える。
搬送手段2は、制御手段50から材料搬送指令が与えられることで、シリコン固体材料19を搬送するための振動動作を行う。また搬送手段2は、制御手段50から材料搬送停止指令が与えられることで、シリコン固体材料19を搬送するための振動動作を停止する。
気体供給手段30は、制御手段50から気体供給指令が与えられることで、アルゴンガスをチャンバ気体供給口8に向けて供給する。また気体供給手段30は、制御手段50から気体供給停止指令が与えられることで、アルゴンガスの供給を停止する。
排気手段40は、制御手段50から気体排気指令が与えられることで、真空ポンプを動作させて、チャンバ1内の気体を排気し、チャンバ1内を真空状態に維持する。また排気手段40は、制御手段50から気体排気停止指令が与えられることで、真空ポンプの動作を停止する。
材料収容手段11は、制御手段50からの指令にしたがって、シャフト11aを介して材料収容容器11bを、水平方向に直線移動させる。また材料収容手段11は、制御手段50からの指令にしたがって、シャフト11aを介して材料収容容器11bを、水平方向に延びる回転軸線まわりに回転させる。
流路形成部バルブ7および排気バルブ22は、制御手段50からバルブ開放指令が与えられることで、バルブ開放動作を行う。また各バルブ7,22は、制御手段50からバルブ閉鎖指令が与えられることで、バルブ閉鎖動作を行う。
また制御手段50は、重量計量部10から、重量計量部10に供給されたシリコン固体材料19が設定重量に達するか否かを示す信号が与えられる。本実施の形態では、設定重量は500gである。また制御手段50は、酸素濃度測定器18から、チャンバ1内の酸素濃度が設定値以下であるか否かを示す信号が与えられる。本実施の形態では、酸素濃度の設定値は、100ppm以下である。また制御手段50は、液面高さ計17から、坩堝20内に貯留されるシリコン融液の液面高さが設定値以下であるか否かを示す信号が与えられる。
制御手段50は、記憶部と、演算部と、入出力部とを含んで構成される。記憶部は、各手段などの制御対象を制御するための制御プログラムを記憶する。演算部は、記憶部に記憶される制御プログラムを読み出して、入出力部から与えられる信号に基づいて、制御プログラムに従った演算結果を出力する。入出力部は、演算部の演算結果に従った、各種指令値を各手段などの制御対象物に与える。また入出力部は、制御対象物および重量計量部10、酸素濃度測定器18および液面高さ計17などの検出手段から与えられる情報を演算部に与える。
たとえば制御手段50は、プログラマブルコントローラなどによって実現される。記憶部は、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)などの記憶回路によって実現される。また演算部は、CPU(Central Processing Unit)などの演算回路によって実現される。また入出力部は、制御対象物および検出手段に接続されるインターフェース回路によって実現される。また入出力部は、外部から指令が入力されるキーボードなどの入力手段と、外部に情報を報知するディスプレイなどの報知手段とを含んでいてもよい。
図4は、固体材料処理装置200における固体材料供給方法を示すフローチャートである。まずステップs0では、シリコン固体材料19を固体材料貯蔵容器3内に充填して貯蔵する。またアルゴンガスボンベを準備してステップs1に進み、シリコン固体材料19をチャンバ1内に配置される坩堝20に供給する作業を開始する。ステップs1では、制御手段50が流路形成部バルブ7にバルブ閉鎖指令を与えて、流路形成部バルブ7を閉鎖させる。また制御手段50が排気バルブ22にバルブ開放指令を与えて、排気バルブ22を開放させてステップs2に進む。ステップs2では、制御手段50が排気手段40に気体排気指令を与えて、真空ポンプを稼動させる。このようにしてチャンバ1および気体流路形成部12の内部に存在する気体を排気し、チャンバ1および気体流路形成部12の内部を真空状態に維持してステップs3に進む。ステップs3では、制御手段50が排気バルブ22にバルブ閉鎖指令を与えて、排気バルブ22を閉鎖させる。このようにしてチャンバ1および気体流路形成部12の内部を密閉状態にしてステップs4に進む。
ステップs4では、制御手段50が気体供給手段30に気体供給指令を与えて、アルゴンガスをチャンバ気体供給口8に向けて供給させる。このようにしてチャンバ1および気体流路形成部12の内部がアルゴンガスで充填されてステップs5に進む。ステップs5では、制御手段50は、酸素濃度測定器18から、チャンバ1内の酸素濃度が設定値以下であるか否かを示す信号が与えられ、酸素濃度が設定値以下であることを判断すると、ステップs6に進む。またステップs5において、酸素濃度が設定値より大きい値であると判断すると、ステップs1に戻る。ステップs6では、制御手段50が流路形成部バルブ7にバルブ開放指令を与えて、流路形成部バルブ7を開放させる。このときチャンバ1および気体流路形成部12の内部に充填されるアルゴンガスが、搬送室材料排出口6を介して搬送室4内に流れ、搬送室材料投入口5から搬送室4外に排気される。
また気体供給手段30によるアルゴンガスの供給を継続する。このとき気体供給手段30によってチャンバ気体供給口8に向けて供給されるアルゴンガスは、図1および図2に示すように、チャンバ気体供給口8からチャンバ材料投入口9に向かう方向Bに流れ、気体流路形成部12内に流入する。気体流路形成部12内に流入したアルゴンガスは、気体流路形成部12内に配置される材料収容容器11bに向かう方向Cに流れ、材料収容容器11bから搬送室材料排出口6に向かう方向Dに流れて、搬送室4内に流入する。搬送室4内に流入したアルゴンガスは、搬送室材料排出口6から搬送室材料投入口5に向かう方向Eに流れ、搬送室4内から搬送室4外に向かう方向Fに流れて、搬送室4外に排気される。
次にステップs7では、制御手段50は、液面高さ計17から、坩堝20内に貯留されるシリコン融液の液面高さが設定値以下であるか否かを示す信号が与えられ、シリコン融液の液面高さが設定値以下でありシリコン固体材料19を投入可能であることを判断すると、ステップs8に進む。またステップs7において、液面高さが設定値より大きい値であると判断すると、液面高さが設定値以下になるまで、ステップs7を繰返す。
ステップs8では、シリコン固体材料19が貯蔵される固体材料貯蔵容器3に形成される容器材料排出口3dから、搬送手段2が有する搬送路形成部14に向けて、シリコン固体材料19を投入する。このとき固体材料貯蔵容器3の側壁面に設けられるバイブレータ13を稼動させて、シリコン固体材料19に振動を与える。これによってシリコン固体材料19が容器材料排出口3d付近で詰まることを防止して、シリコン固体材料19を容器材料排出口3dから排出できる。また固体材料貯蔵容器3内に貯蔵されるシリコン固体材料19が不足する場合、固体材料貯蔵容器3の上面蓋3aを開放して、シリコン固体材料19を容器材料投入口3cから固体材料貯蔵容器3内に投入する。このとき図2に示すように、搬送室4内を流れるアルゴンガスが、容器材料排出口3dから容器材料投入口3cに向かう方向Gに流れて、容器材料投入口3cから固体材料貯蔵容器3外に排気される。
ステップs9では、制御手段50が搬送手段2に材料搬送指令を与えて、搬送路形成部14を振動させる。搬送路形成部14が振動すると、搬送路形成部14上に投入されているシリコン固体材料19に振動が与えられ、シリコン固体材料19が搬送室材料排出口6に向けて搬送される。このとき図2に示すように、搬送方向Aに対して反対方向Eに流れるアルゴンガスが、搬送途中のシリコン固体材料19に接触して流れて、搬送室材料投入口5から搬送室4外に排気される。このようにしてシリコン固体材料19が搬送手段によって搬送されて、搬送室材料排出口6から鉛直方向下方に落下して搬送室4外に排出され、重量計量部10に供給されてステップs10に進む。
ステップs10では、制御手段50は、重量計量部10から、重量計量部10に供給されたシリコン固体材料19が設定重量に達するか否かを示す信号が与えられる。供給されたシリコン固体材料19の重量が設定重量に達することを判断すると、ステップs11に進む。またステップs10において、シリコン固体材料19の重量が設定重量未満であると判断すると、ステップs8に戻る。
ステップs11では、重量計量部10に供給されたシリコン固体材料19の重量が設定重量に達すると、シリコン固体材料19は、鉛直方向下方に落下して材料収容容器11bに収容される。次にステップs12では、制御手段50が材料収容手段11に動作指令を与えて、シャフト11aを介して材料収容容器11bを水平方向に直線移動させて、材料収容容器11bをチャンバ材料投入口9の鉛直方向上方に移動させる。次にステップs13では、制御手段50が材料収容手段11に動作指令を与えて、シャフト11aを介して材料収容容器11bを、水平方向に延びる回転軸線まわりに回転させる。これによって材料収容容器11b内に収容されたシリコン固体材料19が、鉛直方向下方に落下して、チャンバ材料投入口9を介して、チャンバ1内に配置される坩堝20内に供給される。
ステップs14では、終了するか否かを判断し、予め定められる終了条件を満足すると、ステップs15に進み、作業を終了する。終了条件は、固体材料供給装置100によってチャンバ1内に供給されたシリコン固体材料19を用いて、シリコン単結晶体を成長させ、シリコン単結晶体の製造が完了すると終了条件を満足する。シリコン単結晶体を成長させるとき、まず坩堝20内に投入されたシリコン固体材料19を融解して、シリコン融液25を坩堝20内に貯留する。このとき坩堝20は、加熱手段26によって加熱されている。そのあと坩堝20内に貯留されたシリコン融液25に種結晶を浸し、徐々に種結晶を引上げることによって結晶を成長させる。このとき坩堝20から引上げられるシリコン単結晶体の成長容量に応じて、固体材料供給装置100によって、シリコン固体材料19を坩堝20に随時供給する。このようにしてシリコン単結晶体を製造する。またステップs14において、終了条件を満足しない場合には、ステップs7に戻り、固体材料供給作業を繰返す。
(実施例)
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明の固体材料供給装置による、チャンバ1内の酸素濃度低減効果について説明する。シリコン固体材料19がチャンバ1内に投入される前のチャンバ1内の酸素濃度は、10〜15ppmである。また500gのシリコン固体材料19を、固体材料供給装置が有する搬送手段2によって、チャンバ1に向けて80秒で搬送する。
(実施例1)
固体材料供給装置は、搬送室4を有しており、搬送室4内には気体案内部16が設けられている。またガス流量が50L/minとなるように、気体供給手段30によってアルゴンガスが供給される。また供給するシリコン固体材料19の形状は、板状である。
(実施例2)
固体材料供給装置は、搬送室4内に気体案内部16が設けられていないこと以外は、実施例1と同様である。
(実施例3)
固体材料供給装置は、気体供給手段30によって供給するアルゴンガスの流量が200L/minであること以外は、実施例1と同様である。
(実施例4)
固体材料供給装置は、気体供給手段30によって供給するアルゴンガスの流量が200L/minであること以外は、実施例2と同様である。
(比較例1)
固体材料供給装置は、搬送室4が設けられていない以外は、実施例4と同様である。
(比較例2)
シリコン固体材料19の形状が礫状であること以外は、比較例1と同様である。
表1は、酸素濃度測定器18によって測定した、チャンバ1内の酸素濃度を示す表である。実施例1〜4と比較例1,2とを比較することによって、搬送室4によるチャンバ1内の酸素濃度低減に対する効果が分かる。搬送室4を設けることによって、シリコン固体材料1の表面に付着してチャンバ1内に持込まれる酸素量を低減することができ、チャンバ1内の酸素濃度が低い。また比較例1と比較例2とを比較すると、チャンバ1内に投入するシリコン固体材料19の形状を板状から比表面積の小さい礫状にかえることによって、チャンバ1内の酸素濃度を低くすることができるが、十分とは言えず、搬送室4によるチャンバ1内の酸素濃度低減に対する効果は、非常に大きい。
実施例1と実施例2とを比較することによって、気体案内部16によるチャンバ1内の酸素濃度低減に対する効果が分かる。搬送室4内に気体案内部16を設けることによって、シリコン固体材料1の表面に付着してチャンバ1内に持込まれる酸素量を低減することができ、チャンバ1内の酸素濃度が低い。
また実施例1と実施例3とを比較することによって、気体供給手段30によって供給するアルゴンガスの流量によるチャンバ1内の酸素濃度低減に対する効果が分かる。アルゴンガスの流量を大きくすることによって、シリコン固体材料1の表面に付着してチャンバ1内に持込まれる酸素量を低減することができ、チャンバ1内の酸素濃度が低く、シリコン固体材料19がチャンバ1内に投入される前の酸素濃度と同一である。また実施例2と実施例4とを比較すると、アルゴンガス流量が大きい場合、搬送室4内に気体案内部16を設けなくても、チャンバ1内の酸素濃度が、シリコン固体材料19がチャンバ1内に投入される前の酸素濃度と同一である。
以上のように本実施形態の固体材料処理装置200によれば、固体材料供給装置100が有する搬送手段2によってシリコン固体材料19を搬送室4内から搬送室4外に向けて搬送するとき、気体供給手段30によって搬送室4内にアルゴンガスが供給される。そのため搬送室4内部の圧力が搬送室4外部の圧力と比較して高くなる。搬送室4内に供給されるアルゴンガスは、シリコン固体材料19が搬送される搬送方向Aに対して反対方向Eに流れて、搬送手段2によって搬送されるシリコン固体材料19に接触して、搬送室4外に排気される。そのためシリコン固体材料19に付着した搬送室4の周辺に存在する外部気体である空気をシリコン固体材料表面から除去して、搬送室4外に排気することができる。
またシリコン固体材料表面に付着した外部気体である空気を除去して、シリコン固体材料19がチャンバ1内に供給されるので、チャンバ1内に持込まれる酸素濃度を低減することができる。チャンバ1内の酸素濃度が低減されるので、酸素が導入されたシリコン単結晶体が製造されるのを防止することができ、シリコン単結晶体の品質を高品質に維持することができる。またチャンバ1内の酸素濃度が低減されるので、チャンバ1内に存在する酸素と反応して酸化珪素が生成されるのを防止して、チャンバ1内に酸化珪素が飛散するのを防止することができる。さらにチャンバ1内の酸素濃度が低減されるので、チャンバ1内に配置される坩堝20が酸化されるのを防止して、坩堝20の耐久性が劣化するのを防止することができる。
またシリコン固体材料19に付着した空気をシリコン固体材料表面から除去することを、シリコン固体材料19が搬送手段2によって搬送される搬送途中に行うことができるので、ロードロック機構などを必要とせず、固体材料供給装置100の装置構成を簡単化することができる。
また搬送室4内に供給されたアルゴンガスが、搬送室4内にシリコン固体材料19が投入される搬送室材料投入口5を介して搬送室4外に排気されるので、シリコン固体材料19を搬送室4外から搬送室材料投入口5に向けて投入するとき、搬送室4の周辺に存在する外部気体である空気が搬送室4内に混入するのを防止することができる。
また固体材料供給装置100は、シリコン固体材料19を貯蔵する固体材料貯蔵容器3を有する。固体材料貯蔵容器3内に貯蔵されたシリコン固体材料19を搬送室4内に投入するとき、気体供給手段30によって搬送室4内に供給されるアルゴンガスが、容器材料投入口3cを介して搬送室4外に排気される。そのため搬送室4の周辺に存在する外部気体である空気が、固体材料貯蔵容器3を介して搬送室4内に混入するのを防止することができる。
また固体材料供給装置100は、搬送室4内に供給されるアルゴンガスを、搬送路形成部14に向けて案内して流す気体案内部16a,16b,16cを搬送室4内に有する。そのため搬送室4内に供給されるアルゴンガスが、搬送路形成部14によって搬送される搬送途中のシリコン固体材料19に向けて案内されて流れる。したがってアルゴンガスが搬送途中のシリコン固体材料19に効率よく接触するので、シリコン固体材料19に付着した搬送室の周辺に存在する外部気体である空気を効率よくシリコン固体材料表面から除去することができる。
また搬送手段2は、搬送路形成部14を振動させることによって、シリコン固体材料19に振動を与えてシリコン固体材料19を搬送する。搬送手段2が搬送途中のシリコン固体材料19に振動を与えるので、コンベアなどのようにシリコン固体材料19を静止状態で搬送する場合に比べて、搬送途中のシリコン固体材料19が搬送室4内に供給されるアルゴンガスに接触する頻度が増加する。そのため搬送途中のシリコン固体材料19に付着した搬送室4の周辺に存在する外部気体である空気を、効率よくシリコン固体材料表面から除去することができる。
また固体材料処理装置200が有するチャンバ1内に、固体材料供給装置100によって、シリコン固体材料19を投入するとき、チャンバ1内に充填されるアルゴンガスが搬送室4に供給され、搬送途中のシリコン固体材料19に接触して流れる。そのためチャンバ1および搬送室4に、それぞれ別々にアルゴンガスを供給する必要がなく、チャンバ1内に充填されるアルゴンガスを利用して、シリコン固体材料19に付着した搬送室の周辺に存在する外部気体である空気をシリコン固体材料表面から除去することができる。
また固体材料処理装置200が有するチャンバ1内に、固体材料供給装置100によって、シリコン固体材料19を投入する作業を開始するとき、まず流路形成部バルブ7を閉鎖した状態で、排気手段40によってチャンバ1内に存在する気体をチャンバ1外に排気して、チャンバ1内にアルゴンガスを充填する。そのあと流路形成部バルブ7を開放して、チャンバ1内に充填されるアルゴンガスを、気体流路形成部12を介して搬送室4に供給する。そのため搬送室4とチャンバ1とが仕切られた状態で、チャンバ1内に存在する不要な気体をチャンバ1外に排気して、チャンバ1内をアルゴンガスで充填することができる。また搬送室4とチャンバ1とが仕切られた状態でチャンバ1内をアルゴンガスで充填することができるので、チャンバ1内をアルゴンガスで充填するのに必要な時間と供給アルゴンガス量とを低減することができる。
また固体材料供給装置100が有する搬送手段2は、搬送室材料投入口5から搬送室4内に投入されるシリコン固体材料19を、搬送室材料排出口6に導く搬送路形成部14を有する。そのため搬送手段2によってシリコン固体材料19を搬送室材料排出口6に向けて搬送するとき、シリコン固体材料19が搬送路形成部14に導かれて搬送されるので、シリコン固体材料19が搬送途中に飛散するのを防止することができる。
また搬送路形成部14の表面は、炭化珪素から成る保護部材で被覆される。炭化珪素の硬さはシリコンの硬さよりも高いので、容器材料排出口3dから搬送路形成部14に向けてシリコン固体材料19が投入されるときの衝撃によって、搬送路形成部14の表面に傷が発生することを防止することができる。そのため搬送路形成部14の傷に由来する異物の発生を抑制することができ、チャンバ1内に異物が混入することを防止することができる。
また搬送室材料排出口6から排出されるシリコン固体材料19を材料収容容器11bに収容するとき、シリコン固体材料19は、チャンバ材料投入口9に対して水平方向にずれた位置で材料収容容器11b内に収容される。そのためチャンバ材料投入口9からの放熱が直接材料収容容器11bに伝わるのを防止することができる。したがってシリコン固体材料19が材料収容容器11b内で融解するのを防止することができる。
また坩堝20から引上げられるシリコン単結晶体の成長容量に応じて、固体材料供給装置100によって、シリコン固体材料19を坩堝20に随時供給するので、シリコン単結晶体を継続的に製造することができる。
図5は、固体材料供給装置110の構成を示す断面図である。固体材料供給装置110は、シリコン固体材料19を搬送する搬送手段(不図示)が複数の搬送路形成部14を有する以外は、前記固体材料供給装置100と同じ構成である。搬送路形成部14についてのみ以下に記載する。固体材料供給装置110は、搬送手段が、搬送室材料投入口5から搬送室4に投入されるシリコン固体材料を搬送室材料排出口6に導く搬送路を形成する搬送路形成部14を複数有する。本実施の形態では、搬送手段が有する搬送路形成部14は、第1搬送路形成部14aおよび第2搬送路形成部14bの2つである。
固体材料供給装置110において、搬送手段は、2つの搬送路形成部14a,14bと、電磁フィーダ(不図示)とを含んで構成される。2つの搬送路形成部14a,14bは、電磁フィーダに接続され、電磁フィーダによって振動を与えられる。搬送手段は、第1搬送路形成部14aの搬送方向上流側端部が搬送室材料投入口5の鉛直方向下方に位置し、第2搬送路形成部14bの搬送方向上流側端部が第1搬送路形成部14aの搬送方向下流側端部の鉛直方向下方に位置し、第2搬送路形成部14bの搬送方向下流側端部が搬送室材料排出口6の鉛直方向上方に位置するように、搬送室4内に配置される。
搬送手段によってシリコン固体材料19を搬送室材料排出口6に向けて搬送し、シリコン固体材料19を搬送室材料排出口6から搬送室4外に排出する場合、まずシリコン固体材料19を容器材料投入口3cに向けて投入して、シリコン固体材料19を固体材料貯蔵容器3内に貯蔵する。固体材料貯蔵容器3内に貯蔵されたシリコン固体材料19は、容器材料排出口3dから搬送室材料投入口5を介して搬送室4内の第1搬送路形成部14aに投入される。
このとき搬送手段は、電磁フィーダを稼動させて、2つの搬送路形成部14a,14bを振動させる。第1搬送路形成部14aに投入されたシリコン固体材料19は、第1搬送路形成部14aによって振動が与えられて、第2搬送路形成部14bに向けて搬送される。第1搬送路形成部14aの搬送面上で搬送されるシリコン固体材料19は、第1搬送路形成部14aの搬送方向下流側端部から鉛直方向下方に落下して、第2搬送路形成部14bの搬送方向上流側端部に供給される。第2搬送路形成部14bに供給されたシリコン固体材料19は、搬送室材料排出口6に向けて搬送され、搬送室材料排出口6から搬送室4外に排出される。
このときチャンバから搬送室材料排出口6を介して搬送室4内に流入したアルゴンガスは、シリコン固体材料19が搬送される搬送方向Aに対して反対方向Eに流れて、搬送途中のシリコン固体材料19に接触し、搬送室4内から搬送室4外に向かう方向Fに流れて、搬送室材料投入口5から搬送室4外に排気される。
以上のように本実施形態の固体材料供給装置110によれば、搬送手段が2つの搬送路形成部14a,14bを有する。シリコン固体材料19を搬送手段によって搬送室材料排出口6に向けて搬送する場合において、シリコン固体材料19が、第1搬送路形成部14aの搬送方向下流側端部から第2搬送路形成部14bの搬送方向上流側端部に向けて落下するとき、シリコン固体材料19が回転して落下する場合がある。そのためシリコン固体材料19の表面のうち、第1搬送路形成部14aの搬送面と接触していた箇所が、第2搬送路形成部14bの搬送面と接触しないで、シリコン固体材料19が、第2搬送路形成部14bの搬送方向上流側端部に供給される。したがって搬送途中のシリコン固体材料19が搬送室4内に供給されるアルゴンガスに接触する頻度が増加する。その結果、シリコン固体材料19に付着した搬送室4の周辺に存在する外部気体である空気を、効率よくシリコン固体材料表面から除去することができる。
図6は、固体材料供給装置120の構成を示す断面図である。固体材料供給装置120は、気体供給手段30によって供給されるアルゴンガスが、搬送方向と同一方向に流れて、搬送途中のシリコン固体材料19に、接触して流れるように構成される。固体材料供給装置120は、筐体状に形成される搬送室4と、搬送手段2と、気体供給手段30と、固体材料貯蔵容器3とを含んで構成される。
搬送室4には、搬送室材料投入口5と、搬送室材料排出口6と、搬送室気体供給口23と、搬送室気体排気口24とが形成される。搬送室材料投入口5は、シリコン固体材料19が搬送室4内に投入される開口であり、搬送室4の上壁面4aに形成される。搬送室材料排出口6は、シリコン固体材料19が搬送室4外に排出される開口であり、搬送室4の下壁面4bに形成される。搬送室気体供給口23は、搬送室4の周辺とは異なる気体が気体供給手段30によって搬送室4内に供給される開口であり、搬送手段2によってシリコン固体材料19が搬送室4外に向けて搬送される搬送方向上流側の搬送室側壁面4cに形成される。搬送室気体排気口24は、前記気体が搬送室4外に排気される開口であり、搬送方向下流側の搬送室側壁面4dに形成される。
搬送手段2は、シリコン固体材料19を搬送室材料排出口6に向けて搬送する手段であり、搬送路形成部14と電磁フィーダ15とを含んで構成される。搬送路形成部14は、シリコン固体材料19を搬送室材料排出口6に導く搬送路であり、電磁フィーダ15に接続される。電磁フィーダ15は、搬送路形成部14に電磁振動による振動を与える。搬送手段2は、搬送路形成部14の搬送方向上流側端部が搬送室材料投入口5の鉛直方向下方に位置し、搬送方向下流側端部が搬送室材料排出口6の鉛直方向上方に位置するように、搬送室4内に配置される。
気体供給手段30は、外部気体である空気が搬送室4内に混入しないように、搬送室4内に搬送室4の周辺とは異なる気体であるアルゴンガスを搬送室気体供給口23に向けて供給する。搬送室気体供給口23を介して搬送室4内に供給されたアルゴンガスは、搬送室気体排気口24を介して搬送室4外に排気される。
固体材料貯蔵容器3は、シリコン固体材料19を貯蔵する凹所を有する容器であり、容器材料投入口3cと、容器材料排出口3dとを含んで構成される。容器材料投入口3cは、シリコン固体材料19が固体材料貯蔵容器3内に投入される開口であり、固体材料貯蔵容器3の上壁面に形成される。容器材料排出口3dは、シリコン固体材料19が固体材料貯蔵容器3外に排出される開口であり、固体材料貯蔵容器3の下壁面に形成される。固体材料貯蔵容器3は、搬送室材料投入口5に挿通して配置される。
搬送手段2によってシリコン固体材料19を搬送室材料排出口6に向けて搬送し、シリコン固体材料19を搬送室材料排出口6から搬送室4外に排出する場合、まずシリコン固体材料19を容器材料投入口3cに向けて投入して、シリコン固体材料19を固体材料貯蔵容器3内に貯蔵する。固体材料貯蔵容器3内に貯蔵されたシリコン固体材料19は、容器材料排出口3dから搬送室材料投入口5を介して搬送室4内の搬送路形成部14に投入される。
そのあと搬送手段2は、電磁フィーダ15を稼動させて、搬送路形成部14を振動させる。搬送路形成部14に投入されたシリコン固体材料19は、搬送路形成部14によって振動が与えられて、搬送室材料排出口6に向けて搬送され、搬送室材料排出口6から搬送室4外に排出される。このとき気体供給手段30は、搬送室気体供給口23を介して搬送室4内にアルゴンガスを供給する。搬送室4内に供給されたアルゴンガスは、シリコン固体材料19が搬送される搬送方向Aに対して同一方向Hに流れて、搬送手段2によって搬送されるシリコン固体材料19に接触して、搬送室気体排気口24を介して搬送室4外に排気される。
以上のように本実施形態の固体材料供給装置120によれば、搬送手段2によってシリコン固体材料19を搬送室4内から搬送室4外に向けて搬送するとき、気体供給手段30によって搬送室4内にアルゴンガスが供給される。そのため搬送室4内部の圧力が搬送室4外部の圧力と比較して高くなる。搬送室4内に供給されるアルゴンガスは、シリコン固体材料19が搬送される搬送方向Aに対して同一方向Hに流れて、搬送途中のシリコン固体材料19に接触して、搬送室4外に排気される。そのためシリコン固体材料19に付着した搬送室4の周辺に存在する外部気体である空気をシリコン固体材料表面から除去して、搬送室4外に排気することができる。
図7は、本発明の実施の一形態である固体材料処理装置210の構成を示す断面図である。固体材料処理装置210は、たとえばシリコンやガリウムヒ素などの半導体を、基材の上に成長させて製造する装置である。本実施の形態では、固体材料処理装置210は、シリコンの結晶体64を基材63上に成長させる。固体材料処理装置210は、固体材料供給装置130と、気体供給手段30と、排気手段40と、チャンバ61と、気体流路形成部12とを含んで構成される。なお、固体材料処理装置210が有する気体供給手段30と、排気手段40とは、前述した固体材料処理装置200が有するものと同様なので、説明は省略する。
チャンバ61は、前述した固体材料処理装置200が有するチャンバ1に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。なお、チャンバ61内における酸素の目標濃度は、チャンバ1と同様、100ppm以下とする。チャンバ61には、チャンバ1が有するチャンバ気体供給口8、チャンバ材料投入口9、チャンバ気体排気口21以外に、基材搬入口61aと基材搬出口61bとが形成される。基材搬入口61aは、基材63がチャンバ61内に搬入される開口である。また、基材搬出口61bは、チャンバ61内で結晶体64を形成させた後の基材63が、チャンバ61内から搬出される開口である。本実施の形態では、基材搬入口61aおよび基材搬出口61bの開口のサイズは、125cm3である。
固体材料処理装置210において、基材63上に結晶体64を成長させるとき、コンベアなどの基材搬入手段65が基材63を基材搬入口61aからチャンバ61内に搬入するとともに、基材63を坩堝20内に貯留されるシリコン融液25に浸漬させる。このとき、基材63上に結晶体64が形成される。このようにして結晶体64が形成された基材63を、基材搬出手段66が、基材搬出口61bからチャンバ61外に搬出する。
また、固体材料処理装置210においては、気体供給手段30からアルゴンガスが供給されて、チャンバ61内がアルゴンガスで充填されると、チャンバ61内の圧力が正圧となるように構成されている。そのため、アルゴンガスが充填されたチャンバ61内においては、基材搬入口61aおよび基材搬出口61bに向うアルゴンガスの流れによって、チャンバ61外部周辺の気体がチャンバ61内に侵入するのが防止される。さらに、基材63が基材搬入口61aからチャンバ61内に搬入されるとき、基材搬入口61aに向って流れるアルゴンガスが基材63に接触し、基材63表面に付着する外部気体が除去される。そのため、基材63表面に付着する外部気体を除去するための準備室である、真空装置および復圧装置を有するロードロック室が不要となり、装置コストを削減することができる。本実施の形態では、気体供給手段30による単位時間当たりのアルゴンガス供給量は、チャンバ61の容積が5000Lに対して、400L/minである。
また、チャンバ61内に充填されたアルゴンガスは、気体流路形成部12を介して、後述する固体材料供給装置130が有する搬送室4に向けて流れる。さらに、固体材料処理装置210における気体流路形成部12の壁面には、気体供給口71が形成される。この気体供給口71は、後述する固体材料供給装置130が有する搬送室気体供給手段70から搬送室4に向けて供給される気体が通過する開口である。気体供給口71は、固体材料供給装置130に設けられる搬送室材料排出口6から鉛直方向下方に、重量計量部10、流路形成部バルブ7、材料収容手段11の順で、気体流路形成部12内に配置される重量計量部10と流路形成部バルブ7との間に形成される。
図8は、固体材料供給装置130の構成を示す断面図である。固体材料供給装置130は、前述した固体材料供給装置100に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。固体材料供給装置130は、固体材料供給装置100が有する搬送手段2、固体材料貯蔵容器3、搬送室4以外に、搬送室気体供給手段70とバルブ制御手段73とを含む。
搬送室気体供給手段70は、チャンバ61に形成されるチャンバ気体供給口8に接続される気体供給手段30とは、別体に設けられる。搬送室気体供給手段70は、電気信号で開閉動作が可能なストップバルブ72と流量調節機(不図示)を備える。搬送室気体供給手段70は、ストップバルブ72を介して気体供給口71に接続される。搬送室気体供給手段70は、チャンバ61および搬送室4の周辺とは異なる気体を気体供給口71を介して搬送室4内に供給する。このとき、搬送室気体供給手段70は、気体供給口71から搬送室気体排気口を兼ねる搬送室材料投入口5に向けて流れる気体が、搬送手段2によって搬送されるシリコン固体材料19に接触して流れるように気体を供給する。前記気体は、チャンバ61内に供給されるものと同じアルゴンガスであってもよいし、少量ならばチャンバ61内に逆流してもよい気体、たとえば、窒素などの不活性ガスであってもよい。本実施の形態では、搬送室気体供給手段70は、アルゴンガスまたは窒素ガスを場合により使い分けて、ガス供給量200L/minで搬送室4内に供給する。
以上のように、固体材料処理装置210は、チャンバ61に形成されるチャンバ気体供給口8に接続される気体供給手段30とは別体に、チャンバ61と固体材料供給装置130との間に配置される気体流路形成部12の気体供給口71に接続される搬送室気体供給手段70を備える。そして、搬送室気体供給手段70は、アルゴンガスまたは窒素ガスを、搬送手段2によって搬送されるシリコン固体材料19に接触して流れるように供給する。そのため、搬送手段2によって搬送されるシリコン固体材料19に、チャンバ61内に充填されるアルゴンガスとともに、搬送室気体供給手段70によって供給される気体を接触して流すことができるので、シリコン固体材料19に付着した外部気体を固体材料表面から除去する除去効果を上げることができる。
また、次のような効果も発揮する。固体材料処理装置210では、気体供給手段30から供給されてチャンバ61内に充填されたアルゴンガスが流れる流路は、基材63を搬入出する開口である基材搬入口61aおよび基材搬出口61bに向けて流れる流路となる基材方向流路と、気体流路形成部12を介して固体材料供給装置130が有する搬送室4の搬送室材料投入口5に向けて流れる流路となる搬送室方向流路とに分かれる。
たとえば、前記基材方向流路における流路抵抗が、前記搬送室方向流路における流路抵抗よりも極端に小さい場合、チャンバ61内に充填されたアルゴンガスは、ほとんど基材方向流路に流れてしまい、搬送室方向流路に流れるアルゴンガスは極端に少なくなる。このような場合においても、固体材料処理装置210は、気体供給手段30とは別体に搬送室気体供給手段70を備えて、アルゴンガスまたは窒素ガスを搬送手段2によって搬送されるシリコン固体材料19に接触して流れるように供給するので、シリコン固体材料19に付着した外部気体を固体材料表面から除去することができる。
バルブ制御手段73は、流路形成部バルブ7とストップバルブ72とを統括的に制御して、所望のタイミングで開閉動作させる。つまり、バルブ制御手段73は、流路形成部バルブ7を閉鎖させているときにストップバルブ72を開放させて搬送室気体供給手段70から気体を供給させ、流路形成部バルブ7を開放させているときにストップバルブ72を閉鎖させて搬送室気体供給手段70からの気体供給を停止させる。なお、流路形成部バルブ7が開放しているときには、シリコン固体材料19が搬送室材料排出口6から排出し、流路形成部バルブ7が閉鎖しているときには、搬送室材料排出口6からシリコン固体材料19が排出するのが停止される。バルブ制御手段73としては、プログラマブルコントローラなどが挙げられる。
次に、バルブ制御手段73が流路形成部バルブ7とストップバルブ72とを統括的に制御するときの、各バルブの開閉動作を具体的に説明する。バルブ制御手段73は、シリコン固体材料19が固体材料貯蔵容器3に投入されると、ストップバルブ72を開放させて、搬送室気体供給手段70から気体を供給させる。その後、シリコン固体材料19が搬送室4内に配置される搬送手段2によって搬送されて、搬送室材料排出口6から鉛直方向下方に落下して搬送室4外に排出されて重量計量部10に到達し、重量計量部10から計量完了の信号を受信すると、流路形成部バルブ7を開放させるとともに、ストップバルブ72を閉鎖させて、搬送室気体供給手段70からの気体の供給を停止させる。そのため、搬送室気体供給手段70が供給する気体の量を削減することができる。
また、バルブ制御手段73は、シリコン固体材料19が重量計量部10から鉛直方向下方に落下して材料収容容器11bに収容され、重量計量部10から計量待機の信号を受信すると、流路形成部バルブ7を閉鎖させるとともに、ストップバルブ72を開放して、搬送室気体供給手段70から気体を供給させる。このように、流路形成部バルブ7が閉鎖されて、チャンバ61と搬送室4とが仕切られるときに、搬送室気体供給手段70から気体を供給するので、搬送室気体供給手段70から供給される気体は、より効率よく搬送室4内に流れる。したがって、搬送途中のシリコン固体材料19に付着した外部気体を固体材料表面から充分に除去することができる。また、流路形成部バルブ7が閉鎖しているときに気体を搬送室4内に向けて供給するので、搬送室気体供給手段70から供給される気体が、流路形成部バルブ7を介してチャンバ61内に流れるのを抑制することができる。そのため、搬送室気体供給手段70によって供給される気体が、チャンバ61内で製造される結晶体64と反応して、結晶体64の品質が低下するのを防止することができる。
図9は、固体材料供給装置140の構成を示す断面図である。本実施の形態では、固体材料供給装置140は、前述した固体材料供給装置130の替わりに、固体材料処理装置210に配設される。固体材料供給装置140は、前述した固体材料供給装置100に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。固体材料供給装置140は、固体材料供給装置100が有する搬送手段2、固体材料貯蔵容器3、搬送室4以外に、気体吸引手段80と吸引ガス調節手段81とを含む。
気体吸引手段80は、気体供給手段30によって供給されて、チャンバ61内に充填されたアルゴンガスが、搬送室4に向けて強制的に流れるように、吸引する。気体吸引手段80は、負圧を発生させる設備であればよい。その負圧の程度は、排気配管や排気流量によっても異なるが、本実施の形態では、0.5kPa程度に設定する。気体吸引手段80は、搬送室4内の気体が排気される開口である搬送室材料投入口5を密閉するように、吸引ガス調節手段81を介して接続される。
吸引ガス調節手段81は、搬送室材料投入口5の開口割合を調節して、気体吸引手段80が吸引して排気する気体の量を調節する。吸引ガス調節手段81としては、たとえば、ダンパなどを挙げることができる。本実施の形態では、吸引ガス調節手段81によって、気体の吸引量を200L/minに調節する。このとき、気体供給手段30による単位時間当たりのアルゴンガス供給量は、前記吸引量よりも大きくなるように設定し、本実施の形態では600L/minに設定する。このように、アルゴンガス供給量を吸引量よりも大きくなるように設定することによって、チャンバ61内の圧力を正圧に保つことができる。そのため、基材搬入口61aおよび基材搬出口61bに向うアルゴンガスの流れによって、チャンバ61外部周辺の気体がチャンバ61内に侵入するのが防止される。
また、気体吸引手段80と吸引ガス調節手段81とを別体に設ける替わりに、気体を吸引する機能と吸引する気体の量を調節する機能とを、両方兼ね備えたエジェクタなどの装置を利用しても構わない。
以上のように、固体材料供給装置140においては、気体吸引手段80は、吸引ガス調節手段81によって調節された吸引量で、搬送室材料投入口5を介して気体を吸引する。これによって、搬送室材料投入口5の近傍が負圧となる。そのため、気体供給手段30と搬送室材料投入口5とを結ぶ前述の搬送室方向流路における流路抵抗と、搬送室4内に流したい気体流量とで決まる圧力損失分を補填することができる。そのため、基材方向流路における流路抵抗が、搬送室方向流路における流路抵抗よりも極端に小さい場合においても、チャンバ61内に充填されたアルゴンガスを、気体流路形成部12を介して搬送室材料投入口5に向けて充分に流すことができる。したがって、搬送手段2によって搬送されるシリコン固体材料19に付着した外部気体を固体材料表面から充分に除去することができる。
以上のような本実施の形態は、発明の例示に過ぎず、発明の範囲内において構成を変更することができる。たとえば固体材料供給装置100によって供給された固体材料を用いて、チャンバ1内でシリコン単結晶体を製造する例を示した。しかしながら本発明は、これに限定するものではなく、チャンバ1内で製造する結晶として、シリコン多結晶などを挙げることができる。またシリコンから成る結晶以外に、ゲルマニウムなどの元素半導体、ガリウム砒素などの化合物半導体を材料とする結晶が挙げられる。
またチャンバ1内で実施するプロセスは、坩堝20内に貯留した融液から結晶体を製造するプロセスに限定するものではなく、チャンバ1内にチャンバ1の周囲とは異なる気体を供給して行うプロセスであれば本発明を適用できる。このようなプロセスとして、半導体材料または金属材料の融液から半導体材料または金属材料を析出体として析出させるプロセスを挙げることができる。また半導体材料は、たとえば光電変換素子として利用することができる。光電変換素子としては、電気エネルギを光に変換する発光ダイオードや半導体レーザなどを挙げることができ、光を電気エネルギに変換するフォトダイオードなどを挙げることができる。
また本実施の形態では、固体材料供給装置100,110において、固体材料が搬送室4外に排出される開口である搬送室材料排出口6が、アルゴンガスが搬送室4内に供給される開口である搬送室気体供給口を兼ねる。また固体材料が搬送室4内に投入される開口である搬送室材料投入口5が、アルゴンガスが搬送室4外に排気される開口である搬送室気体排気口を兼ねる。しかしながらアルゴンガスが搬送室4内に供給される開口である搬送室気体供給口と、アルゴンガスが搬送室4外に排気される開口である搬送室気体排気口とを、別途搬送室4に形成してもよい。
また本実施の形態では、固体材料処理装置200において、アルゴンガスが供給される開口をチャンバに形成する例を示した。しかしながらアルゴンガスが供給される開口を、搬送室4または気体流路形成部12に形成してもよい。
また本実施の形態では、搬送路形成部14の表面に炭化珪素から成る保護部材を配置する例を示した。搬送路形成部14以外に、シリコン固体材料19と接触する固体材料貯蔵容器3および材料収容容器11bの内壁面を、炭化珪素から成る材料で被覆してもよい。
また搬送室4から排気されるアルゴンガスを回収し、回収したアルゴンガスを気体供給手段30によって、搬送室4内に供給してもよい。