JP5144715B2 - 循環式簡易トイレ - Google Patents

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本発明は、循環式簡易トイレに関する。
循環式簡易トイレには、災害時の避難場所や野営地において使用されるものがあり、この場合の構成として、外部から水道水などの新たな洗浄水の供給を必要としない、いわゆる、自己完結型と称される形式が知られている。
循環式簡易トイレの構成には、便器下方に配置された汚水槽に隣接させて貯水槽が配置され、汚水槽内にて浄化された浄水をポンプにより貯水槽内に導入し、貯水槽内から便器に向けて浄水を供給できる構成が知られている(例えば、特許文献1)。
この構成では、貯水槽から便器に接続されている配管構造を対象として、貯水槽の浄水の水位を、便器の洗浄水供給位置よりも高い位置に設定し、サイホン現象を利用して貯水槽から便器に浄水を供給する。
一方、特許文献1に開示された構成と違って、汚水の浄化処理を専門に行う箇所を便器が配置されているトイレ棟とは別に設けた構成も提案されている(例えば、特許文献2)。
特許文献2においては、便器およびこれの下方に便器から排出される汚水を収容するタンクを設けたトイレ棟に加えて、タンクから導入される汚水を曝気処理により浄化する複数の浄化槽と、浄化された浄水を貯蔵する貯水槽とを縦方向に並べ、これら各槽の近傍には浄化槽からの浄水を濾過処理して貯水槽に導入する濾過槽および便器に導入される前の浄水を通過させて脱臭する脱臭装置をそれぞれ備えた処理棟を設けた構成が開示されている。
特開2007−327259号公報 特開2002−102874号公報
この種の循環式簡易トイレは、便器および便器から回収された汚水を浄化する浄化槽、そして浄化された浄水を貯留する貯水槽が必要となる。
特許文献1に開示された構成では、便器下方に設けられている汚水槽が浄化槽として兼用され、該浄化槽において便器から回収された汚水の全てを浄化処理する構成であるので、浄化槽のサイズがきわめて大きくなる虞がある。このため、便器が設けられている床までの高さが高くなることもあり、身体の不自由な使用者にとって使い勝手が悪くなることがある。
しかも、貯水槽から便器に向けた配管の途中が、汚水を収容している浄化槽内を通過することから、その通過部分での隔絶処理が十分でないと貯水槽に汚水が入り込む虞がある。
一方、便器が設けられているトイレ棟とは別に浄化槽が設けられている処理棟を備えた場合には、上述した問題が生じにくい反面、複数の浄化槽および濾過槽を用いることから、設置する対象部材が多くなるとともに、これら各槽に対する空気導入ブロワやこれら各槽への流路を形成する配管およびポンプの取り付けが必要となる。このため、部品コストの上昇や組み立てコストの上昇を招く虞がある。
特に、この種の循環式簡易トイレは常設するものではないので、その設置スペースも限られることが多く、省スペースで高効率の浄化を望まれることが多い。
本発明の目的は、上記した従来の循環式簡易トイレにおける問題に鑑み、設置スペースの大型化の防止および部品点数の低減が可能な構成を備えた循環式簡易トイレを提供することにある。
上記課題を解決するための循環式簡易トイレは第1に、基台2上にトイレ部3及び処理部4を互いが隔てられるようにして隣接配置し、前記トイレ部3は、便器5から排出される汚水を回収する汚水槽7と、浄化された浄水を便器5に給水する前に貯蔵する貯水槽6とを備え、便器5の真下側に前記汚水槽7を配置し、空気によって汚水槽7内の汚水が対流しながら曝気処理されるように、汚水槽7内に空気を供給する給気管13を設け、前記処理部4の高さをトイレ部3の高さとほぼ同じ高さに設定するとともに、汚水槽7内で曝気処理された汚水である処理水を処理部4の上部に送る給水ポンプ9を汚水槽7内に設け、前記汚水層7に、下方突出量が給水ポンプ9に向かって順次少なくなる複数の棒状部材を設けることにより、固形分と汚水とを分別する分離部材8を配置し、該処理部4は、給水ポンプ9によって送られてくる汚水槽7からの処理水を下方に流動させる過程で浄化する浄化槽14と、該浄化槽14の真下側に配置された処理水槽15とを一体的に備え、浄化槽14で浄化された処理水である上記浄水を処理水槽15に落下させて貯蔵するとともに、処理水槽15内の浄水を貯水槽6に還元することを特徴としている。
第2に、前記浄化槽14を、外壁と内壁14Aとを有する二重壁構造のタンクによって構成し、内壁14Aはパンチングメタル又は網状部材としたことを特徴としている。
第3に、隣接状態で水平方向に並列配置された複数の浄化槽14の処理水の流路が直列的に接続されるように、隣接する浄化槽14の一方側下部から他方側上部に向かって処理水を供給するポンプ22を設け、最下流側の浄化槽14から処理水槽15に浄水を落下供給することを特徴としている。
本発明によれば、トレイ部と仕切られて設けられている処理部の浄化槽に、上部から処理水が導入され、該処理水が浄化槽内を下方に流動する過程で浄化されて浄水になり、浄化槽と一体的に設けられた処理水槽に直接貯蔵されるので、処理部内に水を流動させるための流路を形成する必要やポンプを別途設置する必要が無く、構成を簡略化して省スペース化させることが可能となる。
また、浄化槽の構成として、隣接状態で複数並列配置された浄化槽の流路同士を直列的に連結すれば、省スペース化と、浄化処理性能の向上とを容易に両立できる。
本発明による循環式簡易トイレの組み立て状態での要部構成を示す正面図である。 本発明による循環式簡易トイレの組み立て状態での要部構成を示す側面図である。 本発明による循環式簡易トイレの組み立て状態での要部構成を示す平面図である。 (A),(B)は、それぞれ本発明の別実施形態を模式的に示す処理部の概念図である。
以下、図面により本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明による循環式簡易トイレ1の組み立て状態での正面図であり、同図において、循環式簡易トイレ1は、方形厚板状の基台2上に設置されたトイレ部3と、基台2上に設置された処理部4とを備え、トイレ部3及び処理部4は互いに内部の空間が隔てられた状態で(図示する例では、トイレ棟3と処理棟4とに別体成形された状態で)、隣接配置されている。
トイレ部3は、天井3A、床板3Bおよび周囲の壁部で囲まれた空間を備えており、空間内で床板3B側には便器5が設置されている。
便器5が設置されている空間の一部(具体的には便器5の背面側)は、背板3Cによって使用者が入り込む空間と仕切られた背面空間とされており、背面空間の上部には棚板3Dが設置され、棚板3D上には、天井3Aに近接するようにして貯水槽6が載置されている。なお、使用者が入り込める空間における背板3Cと便器5を挟んで対向する壁面には、図3に示すように開閉ドア3Eが開閉自在に設けられている。
上記貯水槽6は、後述する処理部4から浄化処理された浄水を貯蔵する部分であり、便器5の上方側近傍に配置された貯水タンク5Aに浄水を補給するように構成されている。該貯水タンク5Aは、使用者の使用時おいて、便器5に洗浄水を適宜供給可能なように構成されている。
トイレ部3において、便器5が設置されている床板3Bの下方には便器5から排出される汚水を回収する汚水槽7が設けられている。
汚水槽7には、固形分と汚水とを分別する分離部材8が配置され、分離部材8の近傍、詳しくは、便器5から直接汚水が流れ込む位置を外れた位置に、後述する処理部4の上部に向けて汚水を給送するための給水ポンプ9が浸漬されている。給水ポンプ9には、処理部4の上部から汚水を吐出する開口を備えた配管10が接続されている。
この汚水槽7には、該汚水槽7の汚水の水位を検出する水位センサ11が設置されている。図示する例では、該水位センサ11として、周知構造のフロートを用いたリミットセンサが用いられている(図1中、二点鎖線で示す位置は汚水槽7内での最低限界水位に位置する状態を示している)。
汚水槽7内には、微生物生息有機質濾過材として用いられる大鋸屑等の木材チップと処理媒質としての微生物媒体剤が分散されている。
この汚水槽7の内部に対して、トイレ部3に設けられている給気ブロワ12に接続された給気管13から空気が供給され、この空気によって汚水槽7内の汚水が対流し、炭酸ガスと水とに分解処理される。上述した微生物生息有機質微生物として用いられる木材チップおよび微生物処理媒体としては、例えば本願発明者の先願である特開2006−326386号公報に示されたもの又はこれに相当する機能を有するものが使用される。
一方、処理部4は、上述したようにトイレ部の空間と隔壁などによって仕切られた状態で隣接する空間を形成し、トレイ部2の高さとほぼ同じ高さ(図1中、符号Hで示す高さ)の空間高さを有している。このため、トイレ部と処理部4とは一体的に形成されている。
処理部4の内部は、汚水7内から前記背面空間を通過してトイレ棟3と処理棟4との間を掛け渡された後に処理部4内の天井側に至る上述の配管10によって、汚水槽7の内部(具体的には浄化槽14の上部)と連通(接続)している。そして、給水ポンプ9を駆動させることにより汚水槽7内の汚水が、配管10を通って処理部4側に供給される。この供給された汚水である処理水を浄化して浄水とする浄化槽(浄化部)14と、浄化槽14内で浄化された浄水が流下して落下する位置に配置されている処理水槽15とが処理部4には設けられている。
浄化槽14は、上述の構成によって上方側から汚水が導入され、下方に流動する過程で浄化処理するように構成されている。浄化された処理水である浄水は、浄化槽14の真下側に配置され且つ浄化槽14と一体的に形成された処理水槽15へ流下し貯蔵される。
処理水槽15の浄水内には返送ポンプ17が浸漬され、この返送ポンプ17には配管18が接続されている。この配管18は、トイレ棟と処理棟4の間のスペースを上下方向に延びて貯水槽6内の上端部にまで延出されている。そして、返送ポンプ17を駆動させることにより、処理水槽15内の浄水が、配管18を通って、洗浄水として貯水槽6内に戻される(還元される)。
また、上下が開放された縦筒状(図示する例では平断面視円形リング状の縦筒)の浄化槽14は、外壁(図示しない)と内壁14Aとを有する二重壁構造のタンクによって構成されている。内壁14Aはパンチングメタルや網状部材(本例ではパンチングメタル14A)によって構成され、浄化槽14内二重壁間に通水性とともに通気性を確保している。ちなみに、浄化槽の外径を1000mm、高さを3m前後とし、前述した汚水槽7内に用いられる木材チップおよび微生物媒体剤が合計約3m程度、混合された状態で導入され、図示しない給気機構を介した曝気によって、好気性発酵処理を行わせ、処理水の浄化処理を行う。
さらに、処理水槽15から貯水槽6に向けて給水する返送ポンプ17は、汚水槽7とは別の位置に設けられ、貯水槽6に至る配管18が汚水槽7の外側に位置しているので、汚水槽7と処理水槽15とが連通する虞がなく、処理水槽15内の浄水が汚濁されることがない。
なお、該構成の浄化槽14は、処理部4のトイレ部3側壁面に沿って水平方向に複数(図示する例では2つ)配置されており、この複数の浄化14真下側全体に亘りに単一の処理水槽15が配置されている。また上述の水位センサ11によって検出される汚水槽7の水位に応じて、給水ポンプ9及び返送ポンプ17の駆動を制御し、汚水槽7と処理水槽15の水位が最適に保持される。
該構成の循環式簡易トイレ1の作用について順を追って説明すると、便器5から排出された汚水が汚水槽7に回収される。
汚水槽7では、給気管13からの曝気により汚水が対流されながら好気性発酵処理され、必要に応じて発酵促進用の微生物等の発酵補助剤を添付供給してもよい。
汚水槽7内の汚水は、給水ポンプ9により配管10内を流通して処理部4の浄化槽14上部に給送される。
上述のようにして、浄化槽14の上部から汚水が処理水として導入されると、浄化槽14内を流下し、この落差を利用して流下する過程において木材チップおよび微生物媒体剤と給気による曝気処理によって好気性発酵が促進されて浄化処理され、浄化処理された浄水が浄化槽14の下部に位置する処理水槽15に向けて流れ落ちる。
処理水槽15に流れ落ちた浄水は返送ポンプ17および配管18を介して貯水槽6に向け返送され、貯水タンク5A内への補給に用いられる。
以上の構成では、処理部4がトイレ部3の高さとほぼ同等となるように設定されており、この高さによって浄化槽14での処理水の処理長さをより長く確保することができるので、浄化槽内に複数の流通路を配置する場合に比べて構成を簡単にすることができる。
特に、浄化槽14内では、処理水を下方に流動させる過程でのみ浄化処理を行い、処理中の処理水を上方側に流動させる必要がないため、水を上昇させる流路を浄化槽14内に形成させる必要が無く、処理水を上方側に圧送するポンプを設ける必要も無い。
また、浄化槽14にて分解処理された浄水は、落下した位置に配置されている処理水槽15からトイレ部3の貯水槽6に向けて直接、給水されるので、浄化槽14内に複数の流路を形成する場合と違って、各流路を形成するためのパイプや、流路を切換える切換弁等が不要になるばかりでなく、浄化処理された処理水が処理部4内を流動するため、流動性も良い。
なお、貯水槽6や汚水槽7や処理水槽15に予め水を補充してもよいし、十分な処理機能を確保するための温度管理を行うことも可能である。また、設置スペースの大型化が抑制されるので、基台2に車輪などを取り付けて移動させるようにすることも可能である。
次に、図4に基づき本発明の別実施形態について上述の例と異なる点を説明する。
図4(A),(B)は、それぞれ本発明の別実施形態を模式的に示す処理部4の概念図である。同図に示すように、複数の浄化槽14の流路が直列的に接続されるように、隣接する浄化槽14同士を配管19によって接続させる。
具体的には、隣接する浄化槽14,14において、処理水上流側(以下、単に「上流側」)の浄化槽14の下部に、浄化され下方に流動する処理水を受止める集水部21が形成され、該集水部21から処理水下流側(以下、単に「下流側」)の浄化槽14の上部に上記配管19が延出され、この配管19の中途部(具体的には処理部4の上部側)に再給水ポンプ22が設置される他、最下流側の浄化槽14を流下して浄化された処理水である浄水が処理水槽15に落下供給されるように該浄化槽14に処理水槽15が直接接続されている。
そして、最上流側の浄化槽14に対して汚水槽7からの汚水が槽上部に導入され、下方に流動する過程で浄化処理され、集水部21に集水され、配管19及び再給水ポンプ22によって、隣接する浄化槽14の上部に送られる。浄化槽14が3つ以上設けられている場合には、この処理工程を繰返し、最下流側の浄化槽14の上部まで処理水が順次送られていく。該最下流側の浄化槽14では、処理部が流下する過程で浄化され浄水となり、処理水槽15に直接的に落下供給される。
ちなみに、図4(A)では、複数の浄化槽14全体の真下側全体に亘り処理水槽15が一体的に配置されているため、最下流側の浄化槽14以外の浄化槽14については、処理水の流路長が集水部21分短くなるが、その分、処理水槽15の収容量を多くすることが可能になる。一方、同図(B)では、最下流側に配された浄化槽14の真下側にのみ処理水槽15を配置しているため、処理水槽15の体積は狭くなるが、全ての浄化槽14における処理水の流路長を同一程度長くできる。
以上のような構成では、処理部4のスペースを拡大することなく、複数の浄化槽14での合計流路長を長くすることが可能になるため、浄化処理性能の向上と、処理部4の省スペース化を両立可能になる。
1 循環式簡易トイレ
2 基台
3 トイレ部(トイレ棟)
4 処理部(処理棟)
5 便器
6 貯水槽
7 汚水槽
14 浄化槽
15 処理水槽
22 再給送ポンプ(ポンプ)

Claims (3)

  1. 基台(2)上にトイレ部(3)及び処理部(4)を互いが隔てられるようにして隣接配置し、前記トイレ部(3)は、便器(5)から排出される汚水を回収する汚水槽(7)と、浄化された浄水を便器(5)に給水する前に貯蔵する貯水槽(6)とを備え、便器(5)の真下側に前記汚水槽(7)を配置し、空気によって汚水槽(7)内の汚水が対流しながら曝気処理されるように、汚水槽(7)内に空気を供給する給気管(13)を設け、前記処理部(4)の高さをトイレ部(3)の高さとほぼ同じ高さに設定するとともに、汚水槽(7)内で曝気処理された汚水である処理水を処理部(4)の上部に送る給水ポンプ(9)を汚水槽(7)内に設け、前記汚水層(7)に、下方突出量が給水ポンプ(9)に向かって順次少なくなる複数の棒状部材を設けることにより、固形分と汚水とを分別する分離部材(8)を配置し、該処理部(4)は、給水ポンプ(9)によって送られてくる汚水槽(7)からの処理水を下方に流動させる過程で浄化する浄化槽(14)と、該浄化槽(14)の真下側に配置された処理水槽(15)とを一体的に備え、浄化槽(14)で浄化された処理水である上記浄水を処理水槽(15)に落下させて貯蔵するとともに、処理水槽(15)内の浄水を貯水槽(6)に還元する循環式簡易トイレ。
  2. 前記浄化槽(14)を、外壁と内壁(14A)とを有する二重壁構造のタンクによって構成し、内壁(14A)はパンチングメタル又は網状部材とした請求項1に記載の循環式簡易トイレ。
  3. 隣接状態で水平方向に並列配置された複数の浄化槽(14)の処理水の流路が直列的に接続されるように、隣接する浄化槽(14)の一方側下部から他方側上部に向かって処理水を供給するポンプ(22)を設け、最下流側の浄化槽(14)から処理水槽(15)に浄水を落下供給する請求項1又は2の何れかに記載の循環式簡易トイレ。
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