JP5144567B2 - ウエハ加工用テープ - Google Patents
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Description
このようなダイシングダイボンドシートに用いられている接着剤層はエポキシ樹脂等の低分子量物質を多く含んでおり、一般のダイシングテープ(基材上に粘着剤層が形成されたテープ)に用いられている粘着剤層と比較すると、軟らかく切削性が劣る傾向がある。そのため、ダイシング時に、半導体ウエハのヒゲ状の切削屑や接着剤層の切り残り(バリ)が多く発生する、ダイシング後のピックアップ工程でピックアップ不良をおこしやすい、I C などの半導体装置の組立工程でのチップの接着不良が生じやすい、あるいはIC 等の不良品が発生してしまうという問題点があった。
そこで、本発明の目的は、ダイシング工程でチップ飛びの発生を抑制できると共に、ピックアップ工程で隣接チップが一緒に持ち上がるダブルダイエラーの発生を抑制できるウエハ加工用テープを提供することにある。
この発明によれば、ダイシング時に接着剤層、粘着剤層等に切り残りが発生するのが抑制されるので、ピックアップ時にその切り残りの影響によって隣接チップが一緒に持ち上がるダブルダイエラーの発生を抑制することができる。また、ダイシング時に、粘着剤層が接着剤層を保持する粘着力の低下が抑制され、粘着剤層と接着剤層との界面での剥離が抑制されると共に、接着剤層が半導体ウエハを保持する接着力の低下が抑制され、個片化した接着剤層付き半導体チップと接着剤層との界面での剥離が抑制される。このため、ダイシング時におけるチップ飛びの発生を抑制することができる。
図1は一実施形態に係るウエハ加工用テープ10を示す断面図である。このウエハ加工用テープ10は、基材フィルム12aとその上に形成された粘着剤層12bとからなる粘着フィルム12と、この粘着フィルム12上に積層された接着剤層13とを有する。このように、ウエハ加工用テープ10では、基材フィルム12aと粘着剤層12bと接着剤層13とがこの順に形成されている。
なお、粘着剤層12bは一層の粘着剤層により構成されていてもよいし、二層以上の粘着剤層が積層されたもので構成されていてもよい。なお、図1においては、接着剤層13を保護するため、剥離ライナー11がウエハ加工用テープ10に設けられている様子が示されている。
粘着剤層12bの80℃での弾性率が0.05〜0.6MPaであり、接着剤層13の80℃での弾性率が0.1〜1MPaである。
小さな力で確実にピックアップを可能にするという点で、より好ましくは粘着剤層12bの80℃での弾性率が0.2〜0.5MPaであり、接着剤層13の80℃での弾性率が0.2〜0.8MPaである。
一方、弾性率Bが0.6MPa以上の場合(下記表3の比較例2参照)、ダイシング時に粘着剤層12bが接着剤層13を保持する力(粘着力)が低下するために、粘着剤層12bと接着剤層13との界面で剥離が生じチップ飛びが発生する。
一方、弾性率Aが1MPa以上の場合(下記表3の比較例4参照)、ダイシング時に接着剤層13が半導体ウエハ1を保持する力が低下するために、個片化した接着剤層付き半導体チップ2と接着剤層13との界面で剥離が生じチップ飛びが発生する。
(接着剤層)
接着剤層13は、半導体ウエハ1等が貼り合わされてダイシングされた後、半導体チップ2をピックアップする際に、粘着フィルム12から剥離して半導体チップ2に付着し、半導体チップ2を基板やリードフレームに固定する際の接着剤として使用されるものである。従って、接着剤層13は、ピックアップ工程において、個片化された半導体チップ2に付着したままの状態で、粘着フィルム12から剥離することができる剥離性を有し、さらに、ダイボンディング工程において、半導体チップ2を基板やリードフレームに接着固定するために、十分な接着信頼性を有するものである。
粘着フィルム12は、半導体ウエハ1をダイシングする際には半導体ウエハ1が剥離しないように十分な粘着力を有し、ダイシング後に半導体チップ2をピックアップする際には容易に接着剤層13から剥離できるよう低い粘着力を有するものである。本実施形態において、粘着フィルム12は、図1に示すように、基材フィルム12aに粘着剤層12bを設けたものを使用した。
ポリマーの架橋密度を増加させるためには硬化剤量を増やすことが有効であり、ポリマー100質量部に対し、硬化剤を1〜15質量部とするのが好ましい。より好ましくは、ポリマー100質量部に対し、硬化剤を4〜8質量部とする。ガラス転移温度Tgは好ましくは−80〜0℃、より好ましくは−40〜−10℃である。
ガラス転移温度(Tg)を高くするには、ポリマー作製時にTgの高いモノマーを使用して合成すればよくまた、Tgを低くするには、その逆を行うことが有効である。
半導体装置の製造工程の中で、ウエハ加工用テープ10は、以下のように使用される。図2においては、ウエハ加工用テープ10に、半導体ウエハ1とリングフレーム20とが貼り合わされた様子が示されている。まず、図2に示すように、粘着フィルム12の粘着剤層12bをリングフレーム20に貼り付け、半導体ウエハ1を接着剤層13に貼り合わせる。これらの貼り付け順序に制限はなく、半導体ウエハ1を接着剤層13に貼り合わせた後に粘着フィルム12の粘着剤層12bをリングフレーム20に貼り付けてもよい。また、粘着フィルム12のリングフレーム20への貼り付けと、半導体ウエハ1の接着剤層13への貼り合わせとを、同時に行っても良い。
次に、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
基材フィルム12aとして、厚さ100μmのエラストマー添加ポリプロピレンを使用した。
粘着剤層組成物1Aは、表1に示すように、アクリル系ポリマー(1)100質量部と、ウレタンアクリレート100質量部と、硬化剤(イソシアネート化合物)3質量部と、光重合開始剤(1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン)3質量部とを有機溶剤に溶解し、混合して得た。アクリル系ポリマー(1)は、重量平均分子量(Mw)が60万、ガラス転移温度Tgが−60℃の2重結合無しのアクリル共重合体である。
粘着剤層組成物1Bは、アクリル系ポリマー(2)100質量部と、硬化剤(イソシアネート化合物)10質量部と、光重合開始剤(1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン)3質量部とを有機溶剤に溶解し、混合して得た。アクリル系ポリマー(2)は、重量平均分子量(Mw)が30万、ガラス転移温度Tgが−35℃の炭素−炭素2重結合含有アクリル共重合体である。
粘着剤層組成物1Cは、アクリル系ポリマー(1)100質量部と、ウレタンアクリレート60質量部と、上記硬化剤5質量部と、上記光重合開始剤3質量部とを有機溶剤に溶解し、混合して得た。
粘着剤層組成物1Dは、アクリル系ポリマー(2)100質量部と、上記硬化剤3質量部と、上記光重合開始剤3質量部とを有機溶剤に溶解し、混合して得た。
粘着剤層組成物1Eは、アクリル系ポリマー(2)100質量部と、上記硬化剤7質量部と、上記光重合開始剤3質量部とを有機溶剤に溶解し、混合して得た。
粘着剤層組成物1Fは、アクリル系ポリマー(2)100質量部と、上記硬化剤5質量部と、上記光重合開始剤3質量部とを有機溶剤に溶解し、混合して得た。
接着剤層組成物2Aは、表2に示すように、アクリル系ポリマー(3)100質量部と、エポキシ樹脂60質量部と、硬化剤(1)55質量部と、硬化剤(2)1.5質量部とを有機溶剤に溶解し、混合して得た。アクリル系ポリマー(3)は、重量平均分子量(Mw)が85万、ガラス転移温度Tgが15℃のアクリル共重合体である。エポキシ樹脂は、エポキシ当量210〜230のo-クレゾールノボラック型エポキシ樹脂である。硬化剤(1)は、水酸基当量160〜190のノボラック型フェノール樹脂である。硬化剤(2)はイミダゾール化合物(2−フェニル4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール)である。
接着剤層組成物2Aは、上記アクリル系ポリマー(3)100質量部と、上記エポキシ樹脂18質量部と、上記硬化剤(1)15質量部と、上記硬化剤(2)1質量部とを有機溶剤に溶解し、混合して得た。
接着剤層組成物2Cは、アクリル系ポリマー(3)100質量部と、上記エポキシ樹脂5質量部と、硬化剤(1)3質量部と、硬化剤(2)0.5質量部と、シリカフィラー70質量部とを有機溶剤に溶解し、混合して得た。シリカフィラーは、平均粒径2μmの球状合成シリカフィラーである。
接着剤層組成物2Dは、表2に示すように、アクリル系ポリマー(3)100質量部と、上記エポキシ樹脂18質量部と、硬化剤(1)15質量部と、硬化剤(2)1質量部と、上記シリカフィラー80質量部とを有機溶剤に溶解し、混合して得た。
接着剤層組成物2Eは、アクリル系ポリマー(3)100質量部と、エポキシ樹脂18質量部と、硬化剤(1)15質量部と、硬化剤(2)1質量部と、シリカフィラー50質量部とを有機溶剤に溶解し、混合して得た。
作製した粘着フィルム12及び接着フィルムを、それぞれ直径370mm、320mmの円形にカットし、粘着フィルム12の粘着剤層12bと接着フィルムの接着剤層13とを貼り合わせた。最後に、接着フィルムのPETフィルムを接着剤層13から剥離し、下記の表3に示す比較例1〜4に係るウエハ加工用テープ、及び下記の表4に示す実施例1〜6に係るウエハ加工用テープ10を得た。
表4には、実施例1〜6に係るウエハ加工用テープ10を構成する粘着剤層組成物と接着剤層組成物の組合せを示してある。また、各実施例1〜6における粘着剤層12bの80℃での弾性率B、接着剤層13の80℃での弾性率A、チップ飛び(%)、及びピックアップ成功率(%)を示してある。
粘着剤層12bの80℃での弾性率B及び接着剤層13の80℃での弾性率Aを粘弾性計(レオメトリックサイエンス社製、商品名:ARES)を用いて測定した。この測定では、セパレータフィルム(PET)に粘着剤(粘着剤層組成物)10μmを塗工したものを2つ用意し、粘着剤同士で貼り合わせ、片側のセパレータフィルムを剥離した後、さらに、セパレータフィルムに粘着剤10μmを塗工したものを用意し、粘着剤同士で貼り合わせるという工程を繰り返して2mmの厚さになるまで積層し、最後に残るセパレータフィルムを剥離して得た積層体を8mmφに打ち抜き粘着剤層のサンプルとした。
得られた粘着剤層のサンプル及び接着剤層のサンプルについて、0℃から測定を開始し昇温速度10℃/分、周波数1Hzで動的粘弾性をそれぞれ測定し、80℃に達した時点での貯蔵弾性率G’を、粘着剤層12bの80℃での弾性率B及び接着剤層13の80℃での弾性率Aとした。
比較例1〜4及び実施例1〜6の各ウエハ加工用テープを、厚さ75μm、直径200mmのシリコンウェハ(半導体ウエハ)に70℃で加熱貼合し、これをダイシング装置(Disco製 DFD6340)上に載置した。次いで、半導体ウエハをダイシング装置上に固定して、100mm/秒の速度で5×5mmにダイシングした後、粘着剤層に紫外線を空冷式高圧水銀灯により500mJ/cm2照射し、この後、ピックアップダイボンダー装置(NECマシナリー製)によるピックアップを行った。ダイシング時に半導体チップ2(チップ)が飛んだ確立%(/100チップ)でチップ飛びを、ピックアップダイボンダーにより、チップをピックアップできた確率%(/100)でのピックアップ性を評価した。このときのピックアップのピン突き上げ条件は、ピン突き上げ高さを0.5mm、突上げスピードを5000μm/secとした。
比較例2では、弾性率Bが上記範囲0.05〜0.6MPa の上限値より大きい0.65であり、弾性率Bが高いためにダイシング時にチップ飛びが9(%)発生している。
比較例3では、弾性率Aが上記範囲0.1〜1MPaの下限値より小さい0.91であり、弾性率Aが低いためにピックアップ成功率が低い。
比較例4では、弾性率Aが上記範囲0.1〜1MPaの上限値より大きい1.4であり、弾性率Aが高いためにダイシング時にチップ飛びが12(%)発生している。
なお、表3では、弾性率B及び弾性率Aが上記範囲0.05〜0.6MPa 及び0.1〜1MPaからそれぞれ外れている場合には×を、そうでない場合には○を付けている。
なお、表4では、弾性率Bが上記範囲0.05〜0.6MPa内にあること、及び弾性率Aが上記範囲0.1〜1MPa内にあることを○で示している。また、弾性率Bが、弾性率Bを規定するより好ましい上記範囲0.2〜0.5MPa内にあること、及び弾性率Aが、弾性率Aを規定するより好ましい上記範囲0.2〜0.8MPa内にあることを◎で示している。
ウエハ加工用テープ10では、粘着剤層12bの80℃での弾性率Bが0.05〜0.6MPaの範囲内にあり、接着剤層13の80℃での弾性率Aが0.1〜1MPaの範囲内にある。
(2)弾性率Bが0.6MPaより小さいので、ダイシング時に粘着剤層12bが接着剤層13を保持する粘着力の低下が抑制され、粘着剤層12bと接着剤層13との界面での剥離が抑制される。これにより、ダイシング時におけるチップ飛びの発生を抑制することができる。
(3)弾性率Aが0.1MPaより大きいので、ダイシング時に接着剤層13と粘着剤層12bの溶融が抑制され、接着剤層13、粘着剤層12b等に切り残りが発生するのが抑制される。これにより、ピックアップ時に、その切り残りの影響によって隣接チップが一緒に持ち上がるダブルダイエラーの発生を抑制することができる。
(4)弾性率Aが1MPaより小さいので、ダイシング時に接着剤層13が半導体ウエハ1を保持する接着力の低下が抑制され、個片化した接着剤層付き半導体チップ2と接着剤層13との界面での剥離が抑制される。これにより、ダイシング時におけるチップ飛びの発生を抑制することができる。
従って、ダイシング工程で、粘着剤層と接着剤層との界面での剥離や半導体チップと接着剤層との界面での剥離が生じチップ飛びが発生するのを抑制でき、ピックアップ工程で、接着剤層、粘着剤層等の切り残りの影響によって隣接チップが一緒に持ち上がるダブルダイエラーの発生を抑制することができる。
また、弾性率の比A/Bを0.5〜3の範囲内にすることで、ピックアップ工程において、個片化した接着剤層付き半導体チップ2をより小さい力で確実にピックアップすることができる。
つまり、この測定では、セパレータフィルム(PET)に二層からなる粘着剤(粘着剤層組成物)10μmを塗工したものを2つ用意し、粘着剤同士で貼り合わせ、セパレータフィルムを剥離した後、さらに、セパレータフィルムに二層からなる粘着剤10μmを塗工したものを2つ用意し、粘着剤同士で貼り合わせるという工程を繰り返して2mmの厚さになるまで積層し、この積層体を8mmφに打ち抜き粘着剤層のサンプルとする。得られた粘着剤層のサンプルについて、0℃から測定を開始し昇温速度10℃/分、周波数1Hzで動的粘弾性をそれぞれ測定し、80℃に達した時点での貯蔵弾性率G’を、粘着剤層12bの80℃での弾性率Bとする。
2:半導体チップ(半導体素子)
10:ウエハ加工用テープ
12:粘着フィルム
12a:基材フィルム
12b:粘着剤層
13:接着剤層
Claims (3)
- 基材フィルムと粘着剤層と接着剤層とがこの順に形成されたウエハ加工用テープであって、
前記粘着剤層の80℃での弾性率が0.19〜0.47MPaであり、前記接着剤層の80℃での弾性率が0.18〜0.65MPaであることを特徴とするウエハ加工用テープ。 - 前記接着剤層の80℃での弾性率を前記粘着剤層の80℃での弾性率で割った値が0.5〜3であることを特徴とする請求項1に記載の半導体加工用テープ。
- 前記粘着剤層に少なくとも炭素−炭素2重結合含有アクリル共重合体を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の半導体加工用テープ。
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