JP5143702B2 - 単一指向性ダイナミックマイクロホン - Google Patents

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Description

本発明は、単一指向性ダイナミックマイクロホンに関するもので、無指向性成分を調整することによって、組み立て後においても指向性を調整することを可能にしたことを特徴とするものである。
図9は、従来の単一指向性ダイナミックマイクロホンの一例を示している。図9において、マイクロホンケースは有底円筒形状の第1ケース1と、この第1ケース1の開放端部内径側に嵌合されて結合された円筒形状の第2ケース2を有してなる。第2ケース2の先端部内周にはダイナミックマイクロホンユニット3が嵌合されることによって固定されている。ダイナミックマイクロホンユニット3は、磁気回路構成部材と、振動板4と、ボイスコイル5を有してなる。磁気回路構成部材は、第2ケース2の先端部内周に嵌合された扁平なカップ状のヨーク31と、ヨーク31の底部内面側に固着された円板状の永久磁石32と、永久磁石32に重ねて固着された円板状の内側ポールピース33と、ヨーク31の開放側端面に固着されたリング状の外側ポールピース34からなる。内側ポールピース33の内周面と外側ポールピース34の外周面との間には磁気ギャップがリング状に形成されている。永久磁石32から出た磁束は、ヨーク31、ポールピース34,33からなる磁気回路を通り、上記磁気ギャップには磁界が均等に形成されている。
上記振動板4は、樹脂などを素材とする薄膜からなり、かつ、センタードームの部分とその周囲を囲んだサブドームの部分からなる。センタードームは球面の一部を切り取った形をしており、サブドームの横断面は円弧形状をしている。上記第2ケース2の前端は半径方向外側にフランジ状に拡張していて、このフランジ状の第2ケース2の前端部にサブドームの外周縁部が固着されている。振動板4はサブドームの外周縁部を支点として振動することができる。センタードームとサブドームの境界は円形の稜線を形成していて、この稜線に沿ってボイスコイル5が固着されている。ボイスコイル5は細い導線が適宜回数円筒形状になるように巻き回されることによって形成され、その一端が上記振動板4に固着されている。ボイスコイル5は、上記内側ポールピース33と外側ポールピース34との間の磁気ギャップに、これらポールピース33,34から離間して配置されている。振動板4が音波を受け、その音圧に応じて振動すると、上記磁気ギャップ内でボイスコイル5も振動板4とともに振動し、磁気ギャップの磁界とボイスコイル5との電磁作用によって、ボイスコイル5から信号が出力される。
フランジ状に形成された上記第2ケース2の前端部外周には、ダイナミックマイクロホンユニット3を保護するカバー6が被せられている。カバーはキャップ状に形成されてマイクロホンユニット3の前面を覆うとともに、音波を振動板4に導くための適宜の開口を有している。この開口は前部音響端子61を構成している。
前記磁気回路構成部材と振動板4との間には空間が形成されている。この空間が密閉されていると、振動板4は受けた音波に忠実に振動することができないので、ヨーク31の底部に相当する部分に適宜数の孔36が形成され、これらの孔36は音響抵抗材35で覆われている。上記前部音響端子61は、振動板4の前面側からの音波の入り口となっている。また、振動板4の背面側からの音波の入り口となる後部音響端子21も形成されている。後部音響端子21は、第2ケース2の前端部において、第2ケース2の外周から前端に通じるように形成され、後部音響端子21の前端は振動板4のサブドームの背面に対向して開口している。
第2ケース2の内周側には、マイクロホンユニット3から適宜の間隔をおいて筒8が嵌合され、筒8の後端に接して別の筒9が嵌合されている。筒8,9はいずれも有底の円筒形状で、それらの底部にはそれぞれ適宜の大きさの孔81,91が形成されている。筒8は底部を前側に向け、筒9は底部を後ろ側に向けて配置され、これらの筒8,9によって適宜の容積の空気室15が形成されている。符号11は、マイクロホンユニット3と筒8の底部との間に間隔が設けられることによって生じている空気室を示している。この空気室11の容積よりも上記空気室15の容積が大きい。筒8の上記孔81は音響抵抗材12で覆われ、筒9の上記孔91は音響抵抗材13で覆われている。筒9の背後には、前記第2ケース1によって上記空気室15よりも容積の大きい空気室16が形成されている。
ここで、前部音響端子61から振動板4の前面に向かって進入する音波の音圧をP0、後部音響端子21から振動板4の背面に向かって進入する音波の音圧をP1、振動板4の音響質量をm0、振動板4のスティフネスをs0、後部音響端子21の音響質量をm1、音響抵抗材35、12,13の音響抵抗をそれぞれr1´、r1´´、r1´´´、これらの音響抵抗の合成抵抗をr1、前記空気室11のスティフネスをs1´、空気室12のスティフネスをs1´´、これらスティフネスを合成したスティフネスをs1とする。図10は、図9に示す従来の単一指向性ダイナミックマイクロホンの等価回路を、各部の音響質量、スティフネス、音響抵抗を上記のように定義して表したものである。
音響質量m0とスティフネスs0で振動板4のインピーダンスを構成している。後部音響端子21からの音波の音圧P1は、後部音響端子21の音響質量m1と音響抵抗r1で分割されて振動板4の背部に加えられる。振動板4の前面にかかる圧力と振動板4の背面にかかる圧力差によってマイクロホンユニットが発電する。いま、振動板4の背部空気室のスティフネスs1が無限大で、実質的に短絡されたものとみなすことができれば、後部空気室の合成音響抵抗r1のみが有効に作用するようになり、音響抵抗r1を調整することによって上記後部音響端子21からの音圧P1の影響を調整し、指向性を調整することができる。したがって、指向性を調整するためには、上記スティフネスs1がなるべく大きいことが望ましく、そのためには後部空気室の容積をなるべく大きくすることが望ましい。しかしながら、空気室の容積を無限に大きくすることはできないから、適切な容積に設計される。
上記従来の単一指向性ダイナミックマイクロホンにおいて、後部空気室の音響質量m1と音響抵抗r1の絶対値が等しい場合、指向特性は図11に示すようにカージオイドになる。この状態から音響抵抗r1を大きくすると、無指向性成分が減少して指向特性は図13に示すようにハイパーカージオイドになる。上記音響抵抗r1を大きくするためには、音響抵抗材として例えばナイロンなどを素材とするメッシュを用いる。ナイロンメッシュは音響抵抗値が安定しているという利点がある。しかし、後部の音響抵抗材としてナイロンメッシュを用いると、振動板4の後部空気室のインピーダンスが急激に高まり、図12に示すように、周波数応答特性において4〜7kHzに大きな凹凸ができる難点がある。
図14は、上記従来の単一指向性ダイナミックマイクロホンにおいて、指向特性をハイパーカージオイドにした場合の周波数応答特性を示す。この場合も4〜7kHzに大きな凹凸が生じている。
振動板4の後部空気室のインピーダンスが急激に高まることのないように、音響抵抗材としてスポンジのような体積のある素材を用いれば、周波数応答特性において大きな凹凸が生じることを防止することができる。しかし、スポンジは音響抵抗値が不安定で、圧縮して用いるなどの方法で適宜の抵抗値に調整する必要がある。
また、広い周波数帯域で単一指向性を保つためには、後部空気室の音響抵抗材を広い周波数帯域で音響抵抗として動作させる必要がある。そのため、図9に示す従来例のように、後部音響室を複数に分割し、その間に音響抵抗材を取り付けた構造が用いられる。空気室11,15,16が複数に分割された後部音響室で、分割された空気室ごとに音響抵抗材35,12,13が取り付けられている。
図9に示す従来例はまた、音響抵抗値を安定に維持することができるナイロンメッシュの類を音響抵抗材として用いる構造になっている。ナイロンメッシュは仮に圧縮されたとしても音響抵抗はほとんど変わらないから、図9に示す従来例において指向性を変えあるいは調整するためには、ナイロンメッシュなどからなる音響抵抗材を取り替えなければならない。したがって、製造時に個々のマイクロホンの指向性が決まり、製造時において、カージオイドのマイクロホンとハイパーカージオイドのマイクロホンは別々に作成されることになる。
図9に示す従来のダイナミックマイクロホンの構成とほぼ同じ構成が特許文献1に記載されている。特許文献1に記載されているダイナミックマイクロホンは、破裂音に起因するポップ雑音の発生を防止するために、破裂音に伴って発生する急激な気流によって変位し、かつ、通気性を有するフィルタを、前部音響端子の前方の所定位置に支持するとともに、上記フィルタの変位により上昇する圧力をユニット外に逃がす開口部を設けたことを特徴としている。上記フィルタ以外のダイナミックマイクロホンの構成は、図9に示す従来例の構成とほぼ同じである。
特開2006−237941号公報
ここまで説明してきた従来の単一指向性ダイナミックマイクロホンによれば、振動板4の背面側の音響抵抗を調整することにより、指向性をカージオイドからハイパーカージオイドまでの範囲で調整することは可能である。しかし、指向性の調整はマイクロホンの製造工程においてのみ可能で、組み立てられた後、例えば使用条件などに応じてユーザーが指向性を調整することはできない。指向性を調整するために振動板4の背面側の音響抵抗を調整するには、マイクロホンを分解しなければならないからである。マイクロホンを分解することなく、ユーザーが使用条件などに応じて指向性をカージオイドからハイパーカージオイドまでの範囲で調整することができれば便利である。
そこで本発明は、組み立て後において、指向性を調整することを可能にした単一指向性ダイナミックマイクロホンを提供することを目的とする。
本発明は、磁気ギャップを形成する磁気回路構成部材、上記磁気ギャップに配置されたボイスコイル、このボイスコイルの一端が固着された振動板を有してなるダイナミックマイクロホンユニットと、上記振動板の前面側へ音波を導く前部音響端子と、上記振動板の背面側へ音波を導く後部音響端子と、上記振動板の背面側に形成されている後部空気室と、上記後部空気室内に配置されている後部音響抵抗と、を備え、上記後部音響抵抗は、圧縮されることによって音響抵抗が高くなるスポンジ状音響抵抗材と圧縮されても変形しない空孔を持つ板状音響抵抗材を複数有し、上記スポンジ状音響抵抗材と上記板状音響抵抗材が交互に重ねられて形成され、上記スポンジ状音響抵抗材の圧縮度を調整することによって上記後部音響抵抗の値を調整して指向性を調整する圧縮度調整機構を備えていることを最も主要な特徴とする。
板状音響抵抗材とともに後部音響抵抗を構成するスポンジ状音響抵抗材の圧縮度を圧縮度調整機構によって調整することにより、後部音響抵抗の値を調整することができる。前部音響抵抗の値に対して後部音響抵抗の値を可変とすることによりダイナミックマイクロホンの指向性をカージオイドからハイパーカージオイドまでの範囲で調整することができる。スポンジ状音響抵抗材の圧縮度が低く後部音響抵抗の値が低い場合はカージオイドの指向性になる。ハイパーカージオイドの指向性にする場合は、スポンジ状音響抵抗材の圧縮度を高くして後部音響抵抗の値を高くする。空孔を持つ板状音響抵抗材は、圧縮されても変形しないから、指向性を調整した後、後部空気室の容積を一定に保ち続け、後部音響抵抗の値を安定に維持し、もって、調整後の指向性を安定に維持することができる。
以下、本発明に係る単一指向性ダイナミックマイクロホンの実施例を、図面を参照しながら説明する。なお、本発明の実施例を示す図面において、図9に示す従来の単一指向性ダイナミックマイクロホンの構成と同じ構成部分には共通の符号を付した。
図1において、マイクロホンケースは有底円筒形状の第1ケース1と、この第1ケース1の開放端部内径側に嵌合されて結合された円筒形状の第2ケースとしての音響抵抗材収納筒40を有してなる。音響抵抗材収納筒40の先端部内周にはダイナミックマイクロホンユニット3が嵌合されることによって固定されている。ダイナミックマイクロホンユニット3は、磁気回路構成部材と、振動板4と、ボイスコイル5を有してなる。磁気回路構成部材は、音響抵抗材収納筒40の先端部内周に嵌合された扁平なカップ状のヨーク31と、ヨーク31の底部内面側に固着された円板状の永久磁石32と、永久磁石32に重ねて固着された円板状の内側ポールピース33と、ヨーク31の開放側端面に固着されたリング状の外側ポールピース34を有してなる。内側ポールピース33の内周面と外側ポールピース34の外周面との間には磁気ギャップがリング状に形成されている。永久磁石32から出た磁束は、ヨーク31、ポールピース34,33からなる磁気回路を通り、上記磁気ギャップには磁界が均等に形成されている。
上記振動板4は、樹脂などを素材とする薄膜からなり、かつ、センタードームの部分とその周囲を囲んだサブドームの部分からなる。センタードームは球面の一部を切り取った形をしており、サブドームの横断面は円弧形状をしている。上記音響抵抗材収納筒40の前端は半径方向外側にフランジ状に拡張していて、このフランジ状の音響抵抗材収納筒40の前端部に上記振動板4のサブドームの外周縁部が固着されている。振動板4はサブドームの外周縁部を支点として振動することができる。振動板4のセンタードームとサブドームの境界は円形をなす稜線を形成していて、この稜線に沿ってボイスコイル5が固着されている。ボイスコイル5は細い導線が適宜回数円筒形状になるように巻き回されることによって形成され、その一端が上記振動板4に固着されている。ボイスコイル5は、上記内側ポールピース33と外側ポールピース34との間の磁気ギャップに、これらポールピース33,34から離間して配置されている。振動板4が音波を受け、その音圧に応じて振動すると、上記磁気ギャップ内でボイスコイル5も振動板4とともに振動し、磁気ギャップの磁界とボイスコイル5との電磁作用によって、ボイスコイル5から信号が出力される。
フランジ状に形成された上記音響抵抗材収納筒40の前端部外周には、ダイナミックマイクロホンユニット3を保護するカバー6が被せられている。カバーはキャップ状に形成されてマイクロホンユニット3の前面を覆うとともに、音波を振動板4に導くための適宜の開口を有している。この開口は前部音響端子61を構成している。
前記磁気回路構成部材と振動板4との間には空間が形成されている。この空間が密閉されていると、振動板4は受けた音波に忠実に振動することができないので、ヨーク31の底部に相当する部分に適宜数の孔36が形成され、これらの孔36は音響抵抗材35で覆われている。上記前部音響端子61は、振動板4の前面側からの音波の入り口となっている。また、振動板4の背面側からの音波の入り口となる後部音響端子43も形成されている。後部音響端子43は、音響抵抗材収納筒40の前端部において、音響抵抗材収納筒40の外周から前端に通じる孔によって形成され、後部音響端子43の前端は振動板4のサブドームの背面に対向して開口している。
ここまでの構成は図9に示す従来の単一指向性ダイナミックマイクロホンの構成とほぼ同じであるが、以下に説明する後部空気室および後部音響抵抗の構成に、従来にない特徴がある。音響抵抗材収納筒40は有底円筒形状の部材で、開放端がマイクロホンユニット3を構成するヨーク31の背面に接している。音響抵抗材収納筒40の内部空間は後部空気室45を構成している。後部空気室45はマイクロホンユニット3のヨーク31に形成されている孔36を介し振動板4の背面側に形成されている空気室と連通している。
音響抵抗材収納筒40の内部空間には、後部音響抵抗が配置されている。後部音響抵抗は圧縮されることによって音響抵抗が高くなるスポンジ状音響抵抗材と、圧縮されても変形しない空孔を持つ板状音響抵抗材が重ねられることによって形成されている。上記スポンジ状音響抵抗材と上記板状音響抵抗材はそれぞれ複数有り、スポンジ状音響抵抗材と板状音響抵抗材が交互に重ねられている。また、スポンジ状音響抵抗材と板状音響抵抗材の組が複数組ある。図1に示す実施例における上記後部音響抵抗の構成を以下に具体的に説明する。
音響抵抗材収納筒40の内部空間で構成される後部空気室45には、マイクロホンユニット3から後方に向かって順に、3枚のスポンジ状音響抵抗材51、1枚の板状音響抵抗材71、2枚のスポンジ状音響抵抗材51、1枚の板状音響抵抗材71、1枚のスポンジ状音響抵抗材51、1枚の押圧部材80が配置されている。上記3枚のスポンジ状音響抵抗材51と1枚の板状音響抵抗材71、2枚のスポンジ状音響抵抗材51と1枚の板状音響抵抗材71はそれぞれ一組の音響抵抗を構成している。押圧部材80に板状音響抵抗材を兼ねさせて上記1枚のスポンジ状音響抵抗材51とで一組の音響抵抗を構成してもよいが、図示の実施例では、押圧部材80は純粋な押圧部材となっている。上記の構成から明らかなように、上記各音響抵抗材は、マイクロホンユニット3に近い音響抵抗材の組におけるスポンジ状音響抵抗材51の数が多く、マイクロホンユニット3から遠ざかるに従い音響抵抗材の組におけるスポンジ状音響抵抗材51の数が少なくなっている。
上記複数の音響抵抗材の最後部から音響抵抗材を押圧する押圧部材80には適宜数の孔81が形成されている。音響抵抗材収納筒40は、その底板に相当する部分に適宜数の孔41が形成されている。この孔41と上記押圧部材80の孔81によって、音響抵抗材収納筒40の背後に第1ケース1の内部空間によって形成されている空気室18と、音響抵抗材収納筒40の内部空間によって形成されている上記空気室45が連通している。また、音響抵抗材収納筒40の底板に相当する部分を貫いて調整ねじ90がねじ込まれている。調整ねじ90の先端は上記押圧部材80に当接している。調整ねじ90は押圧部材80を押圧し、これによって各スポンジ状音響抵抗材51を圧縮することができる。調整ねじ90は、そのねじ込み度合いを調整することによりスポンジ状音響抵抗材51の圧縮度を調整し、これによって後部音響抵抗の値を調整して指向性を調整する圧縮度調整機構を構成している。
図2は、各スポンジ状音響抵抗材51が圧縮されない自然状態を示している。この状態における後部音響抵抗が最も低い。圧縮度調整機構を構成する調整ねじ90を音響抵抗材収納筒40の内方に向かってねじ込み、押圧部材80をマイクロホンユニット3に向かって押圧すると、図3に示すように各スポンジ状音響抵抗材51が圧縮される。各スポンジ状音響抵抗材51の圧縮度が高まるにしたがって後部音響抵抗が高くなる。そこで、例えば、指向性がカージオイドになるように各スポンジ状音響抵抗材51の圧縮度を調整しておく。用途や好みによってハイパーカージオイドの指向性を望む場合は、調整ねじ90をねじ込んで各スポンジ状音響抵抗材51を圧縮する。カージオイドからハイパーカージオイドまで、連続的に指向性を調整することができる。また、第1ケース1を音響抵抗材収納筒40から外せば、調整ねじ90の調整だけで指向性を調整することができるので、マイクロホンを組み立てた後であっても、例えばユーザーが望む指向性になるように調整することができる。
各スポンジ状音響抵抗材51が圧縮された状態では、図3に示すように各スポンジ状音響抵抗材51が半径方向外側に拡張して音響抵抗材収納筒40の内周壁に圧接し、音声が音響抵抗材51の外側に漏洩することを防止することができる。各板状音響抵抗材71が有している複数の空孔は空気室として動作する。
図8は、上記実施例の等価回路を示す。図10に示す従来例の等価回路と比較すると、当然ながら後部音響抵抗の構成が異なっている。いま、図1に示すように、マイクロホンユニット3に近接した3枚のスポンジ状音響抵抗材51の合成音響抵抗をr11、その次に配置されている板状音響抵抗材71が維持している空気室のスティフネスをS11、次の2枚のスポンジ状音響抵抗材51の合成音響抵抗をr12、次の板状音響抵抗材71が維持している空気室のスティフネスをS12、マイクロホンユニット3から最も遠い1枚のスポンジ状音響抵抗材51の音響抵抗をr13、第1ケース1の内部に形成されている空気室18のスティフネスをS13とする。また、図9に示す従来例と同様に、前部音響端子61から振動板4の前面に向かって進入する音波の音圧をP0、後部音響端子21から振動板4の背面に向かって進入する音波の音圧をP1、振動板4の音響質量をm0、振動板4のスティフネスをs0、後部音響端子21の音響質量をm1とする。
図8に示すように、上記実施例の等価回路は、後部音響抵抗の部分が、上記音響抵抗r11,r12,r13とスティフネスS13を直列に接続し、また、音響抵抗r11,r12とスティフネスS12を直列に接続し、音響抵抗r11とスティフネスS11を直列に接続した形になっている。上記音響抵抗r11,r12,r13とスティフネスS13の直列接続は図1に矢印付きの線Aで示されていて、低音域の周波数帯域に対して有効な音響抵抗として動作する。上記音響抵抗r11,r12とスティフネスS12の直列接続は図1に矢印付きの線Bで示されていて、中音域の周波数帯域に対して有効な音響抵抗として動作する。上記音響抵抗r11とスティフネスS11の直列接続は図1に矢印付きの線Cで示されていて、高音域の周波数帯域に対して有効な音響抵抗として動作する。
図4は、上記実施例において、圧縮度調整機構を構成する調整ねじ90により各スポンジ状音響抵抗材51の圧縮度を適度に調整して得ることができるカージオイドの指向性を示している。このときの周波数応答特性を図5に示す。図6は、上記調整ねじ90をねじ込み、各スポンジ状音響抵抗材51の圧縮度を高めて後部音響抵抗を高め、これによって得ることができるハイパーカージオイドの指向性を示している。このときの周波数応答特性を図7に示す。
図5、図7に示す周波数応答特性を、図12、図14に示す従来例の周波数応答特性と比較すると、4〜7kHzの周波数における凹凸がなくなっている。その要因は、圧縮されることによって音響抵抗が高くなる複数のスポンジ状音響抵抗材と、圧縮されても変形しない空孔を持つ複数の板状音響抵抗材を交互に重ねることによって後部音響抵抗を構成し、スポンジ状音響抵抗材と板状音響抵抗材の組ごとに、周波数帯域ごとの後部音響抵抗を分担させたことと、各板状音響抵抗材51は圧縮力を変化させても変形せず、所定の容積の空孔を維持するため、一定の音響抵抗を維持することによる。
以上説明した単一指向性ダイナミックマイクロホンの実施例によれば、スポンジ状音響抵抗材の圧縮度調整機構の操作のみで指向性を調整することができるため、一つの仕様でマイクロホンを製作するだけで、指向性の異なる多くの機種に展開することができる。また、ユーザーが指向性を調整することも容易である。
スポンジ状音響抵抗材と板状音響抵抗材の組は2組でも、3組以上であってもよい。また、図示の実施例では各組のスポンジ状音響抵抗材の数をマイクロホンユニット側から順に少なくしているが、各組のスポンジ状音響抵抗材の数は任意である。また、各組のスポンジ状音響抵抗材の密度を変えてもよい。
本発明にかかる単一指向性ダイナミックマイクロホンの実施例を示す縦断面図である。 上記実施例の一作動態様を示す要部縦断面図である。 上記実施例の異なる作動態様を示す要部縦断面図である。 上記実施例によって得られるカージオイドの指向性を示すグラフである。 上記カージオイドの指向性に調整したときの周波数応答特性を示すグラフである。 上記実施例によって得られるハイパーカージオイドの指向性を示すグラフである。 上記ハイパーカージオイドの指向性に調整したときの周波数応答特性を示すグラフである。 上記実施例を音響的な回路構成で表した等価回路図である。 従来の単一指向性ダイナミックマイクロホンの例を示す縦断面図である。 上記従来例を音響的な回路構成で表した等価回路図である。 上記従来例によって得られるカージオイドの指向性を示すグラフである。 上記カージオイドの指向性に調整したときの周波数応答特性を示すグラフである。 上記従来例によって得られるハイパーカージオイドの指向性を示すグラフである。 上記ハイパーカージオイドの指向性に調整したときの周波数応答特性を示すグラフである。
符号の説明
1 第1ケース
3 ダイナミックマイクロホンユニット
4 振動板
5 ボイスコイル
40 音響抵抗材収納筒
41 孔
43 後部音響端子
45 後部空気室
51 スポンジ状音響抵抗材
61 前部音響端子
71 板状音響抵抗材
80 押圧部材
90 調整ねじ

Claims (8)

  1. 磁気ギャップを形成する磁気回路構成部材、上記磁気ギャップに配置されたボイスコイル、このボイスコイルの一端が固着された振動板を有してなるダイナミックマイクロホンユニットと、
    上記振動板の前面側へ音波を導く前部音響端子と、
    上記振動板の背面側へ音波を導く後部音響端子と、
    上記振動板の背面側に形成されている後部空気室と、
    上記後部空気室内に配置されている後部音響抵抗と、を備え、
    上記後部音響抵抗は、圧縮されることによって音響抵抗が高くなるスポンジ状音響抵抗材と圧縮されても変形しない空孔を持つ板状音響抵抗材を複数有し、上記スポンジ状音響抵抗材と上記板状音響抵抗材が交互に重ねられて形成され、
    上記スポンジ状音響抵抗材の圧縮度を調整することによって上記後部音響抵抗の値を調整して指向性を調整する圧縮度調整機構を備えていることを特徴とする単一指向性ダイナミックマイクロホン。
  2. 上記スポンジ状音響抵抗材と上記板状音響抵抗材の組が複数組あり、上記ダイナミックマイクロホンユニットに近い上記音響抵抗材の組におけるスポンジ状音響抵抗材の数が多く、上記ダイナミックマイクロホンユニットから遠ざかるに従い上記音響抵抗材の組におけるスポンジ状音響抵抗材の数が少なくなっている請求項記載の単一指向性ダイナミックマイクロホン。
  3. 上記後部音響抵抗は音響抵抗材収納筒に収納され、上記スポンジ状音響抵抗材は圧縮されることにより半径方向外側に拡張して上記音響抵抗材収納筒の内周壁に接し、上記スポンジ状音響抵抗材の外周から音が漏れることを防止している請求項1または2記載の単一指向性ダイナミックマイクロホン。
  4. 上記音響抵抗材収納筒は有底円筒形状をしていて、開放端部に上記ダイナミックマイクロホンユニットが配置され、底部に上記圧縮度調整機構が設けられている請求項記載の単一指向性ダイナミックマイクロホン。
  5. 上記圧縮度調整機構は、上記音響抵抗材収納筒の底部を貫いてねじ込まれた調整ねじを有してなり、上記調整ねじにより上記スポンジ状音響抵抗材の圧縮度を調整する請求項記載の単一指向性ダイナミックマイクロホン。
  6. 上記調整ねじは、押圧部材を介して上記スポンジ状音響抵抗材を圧縮する請求項記載の単一指向性ダイナミックマイクロホン。
  7. 上記後部空気室は、上記ダイナミックマイクロホンユニット内の空気室とこの空気室に連通する上記音響抵抗材収納筒の内部空間からなる請求項4乃至6のいずれかに記載の単一指向性ダイナミックマイクロホン。
  8. 上記音響抵抗材収納筒の底部には、上記音響抵抗材収納筒の外部に通じる孔が形成されている請求項記載の単一指向性ダイナミックマイクロホン。
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