以下に、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
(1)エンジン始動システムの全体構成
図1に、本実施形態のエンジン始動システム1の概略構成を示す。本実施形態のエンジン始動システム1は、車両に搭載され、この車両のエンジンを始動させるためのものであり、図1に示す如く、スタータ2と、このスタータ2の動作を制御する電子制御装置であるエコランECU3と、スタータ2及びエコランECU3の動作用電源であるバッテリ4と、を備えている。
バッテリ4は、車両に搭載されて、下記に示すスタータ2及びエコランECU3や、これら以外の車両内の他の部位(他の制御装置や駆動部などの各部)に電力を供給する電源であり、本実施形態では例えば定格12Vのバッテリ電圧VBを有するものである。
スタータ2は、エンジンのクランク軸(図示略)の一端におけるフライホイールの外周部に形成されたリングギヤ102と噛み合ってこのリングギヤ102を回転(延いてはエンジンのクランク軸を回転)させるためのピニオン101と、バッテリ4の電力によりこのピニオン101をリニアに移動させることによりこのピニオン101とリングギヤ102との噛み合いを制御するピニオン噛み合い制御用ソレノイド7と、ピニオン101を回転駆動させるスタータモータ8と、を備えている。
スタータ2は、ピニオン噛み合い制御用ソレノイド7及びスタータモータ8にそれぞれバッテリ電圧VBが印加されることにより動作し、これによりエンジンが始動される。そして、ピニオン噛み合い制御用ソレノイド7及びスタータモータ8へのバッテリ電圧VBの印加は、それぞれ、エコランECU3によって制御されるリレーを介して行われる。
即ち、本実施形態のエンジン始動システム1は、ピニオン噛み合い制御用ソレノイド7にバッテリ電圧VBを印加するためのソレノイド用リレー11と、スタータモータ8にバッテリ電圧VBを印加するためのモータ用第2リレー14と、このモータ用第2リレー14を駆動(ON)させるためのモータ用第1リレー13と、を備えている。
ソレノイド用リレー11は、リレーコイルL1及びリレー接点J1を備えた周知の構成のリレーであり、リレーコイルL1の一端はグランドラインに接地され、他端はエコランECU3のソレノイド用リレー駆動端子31に接続されると共に、ダイオードD3、ニュートラルスイッチ6、及びキースイッチ5を介してバッテリ4の正極にも接続されている。また、リレー接点J1は、リレーコイルL1に通電されたときにONする通常時開状態の接点(後述する他のリレー接点J2,J3も同様)であり、一端がバッテリ4の正極に接続され、他端がピニオン噛み合い制御用ソレノイド7に接続されている。
モータ用第2リレー14は、リレーコイルL3及びリレー接点J3を備え、リレーコイルL3の一端はグランドラインに接地され、他端はモータ用第1リレー13のリレー接点J2の一端に接続されている。また、リレー接点J3は、一端がバッテリ4の正極に接続され、他端がスタータモータ8に接続されている。
モータ用第1リレー13は、リレーコイルL2及びリレー接点J2を備え、リレーコイルL2の一端はグランドラインに接地され、他端はエコランECU3のモータ用リレー駆動端子32に接続されている。また、リレー接点J2は、一端がバッテリ4の正極に接続され、他端がモータ用第1リレーに接続されている。
なお、本実施形態では、スタータモータ8を、モータ用第2リレー14及びモータ用第1リレー13の2つのリレーを介して駆動するようにしているが、このように2つのリレーを用いているのは、スタータモータ8の動作時の電流が非常に大きいためである。
即ち、スタータモータ8の動作時の電流は数百A程度の大電流となる。この大電流をON・OFFするためのリレーとしては、当然ながらリレー接点の電流容量がその大電流を許容するものである必要があるのはもちろん、そのリレー接点を開閉するために必要なリレーコイルの通電電流は数A(例えば5A〜6A)程度が必要となる。しかし、エコランECU3は、数Aもの電流を直接リレーコイルへ供給する能力はない。
そこで、本実施形態では、スタータモータ8に直接接続されるモータ用第2リレー14に対して更にモータ用第1リレー13を接続し、エコランECU3は直接的にはこのモータ用第1リレー13へ駆動信号(詳細は後述)を出力してこれを駆動することで、モータ用第2リレー14を駆動させ、これによりスタータモータ8を動作させるようにしている。モータ用第1リレー13は、モータ用第2リレー14に数A程度の電流を供給するものであり、そのリレー接点J2を開閉するためにリレーコイルL2に流す電流は小さい電流(例えば数百mA)で済む。そのため、このモータ用第1リレー13についてはエコランECU3からの駆動信号によって直接駆動することができる。
このように、本実施形態では、スタータモータ8に流れる電流が非常に大きいために2つのリレー13,14を用いるようにしているのであって、仮に、エコランECU3からの駆動信号によって数百Aもの大電流を直接ON・OFFできるようなリレーがあればそれを1つ用いればよい。そこで、以下の説明では、説明の便宜上、適宜、モータ用第2リレー14及びモータ用第1リレー13をまとめて単にモータ用リレー12とも称する。
エコランECU3は、主として、エンジン作動中に所定のアイドルストップ条件(エンジン停止条件)が成立した場合にアイドルストップ(エンジンを一時的に停止)させ、その後、所定のエンジン再始動条件が成立したときにスタータ2を動作させてエンジンを再始動させる、いわゆるアイドルストップ機能を実現するための、各種制御を行う電子制御装置である。
このエコランECU3は、バッテリ電圧VBを基に当該エコランECU3内の各部・各回路を動作させるための制御用電圧Vccを生成する電源回路23と、当該エコランECU3にて実行される制御全体を統括するマイコン20と、このマイコン20からの駆動指令に従って、ソレノイド用リレー11を駆動するための駆動信号(第1駆動信号)を出力するソレノイド用リレー駆動回路21と、マイコン20からの駆動指令に従って、モータ用リレー12を駆動(詳しくはモータ用第1リレー13を駆動)するための駆動信号(第2駆動信号)を出力するモータ用リレー駆動回路22と、ソレノイド用リレー駆動回路21から出力される第1駆動信号をモニタしてその結果に応じた第1出力モニタ信号をマイコン20へ出力する第1出力モニタ回路26と、モータ用リレー駆動回路22から出力される第2駆動信号をモニタしてその結果に応じた第2出力モニタ信号をマイコン20へ出力する第2出力モニタ回路27と、ソレノイド用リレー駆動回路21の出力部とモータ用リレー駆動回路22の出力部の相互間を導通・遮断する駆動回路接続スイッチ25と、を備えている。
マイコン20は、電源回路23にて生成された制御用電圧Vccを受けて動作し、アイドルストップ機能を実現するための各種制御処理を行う。なお、マイコン20は、アイドルストップ機能におけるエンジン再始動の際に、各駆動回路21,22を介して各リレー11,12をそれぞれ駆動するものであって、アイドルストップ機能におけるエンジン再始動ではない通常のエンジン始動時、即ち停止中の車両のエンジンをユーザが最初に始動させる通常始動時には、マイコン20によるスタータ2の駆動は行われない。この通常始動時におけるエンジン始動については、後で説明する。
マイコン20は、アイドルストップ機能において、アイドルストップ条件の成立によってエンジンが停止すると、まず、ソレノイド用リレー駆動回路21から第1駆動信号を出力してソレノイド用リレー11を駆動することにより、ピニオン噛み合い制御用ソレノイド7への通電を行ってピニオン101をリングギヤ102に噛み合わせる。つまり、エンジン再始動に先立ち、エンジンが停止したときに予めピニオン101をリングギヤ102に噛み合わせておくのである。
その後、エンジン再始動条件が成立すると、モータ用リレー駆動回路22から第2駆動信号を出力してモータ用リレー12を駆動することにより、スタータモータ8を動作させる(即ちピニオン101を回転させる)。これにより、ピニオン101に噛み合っているリングギヤ102が回転し、エンジンが再始動されることとなる。
ソレノイド用リレー駆動回路21は、マイコン20からの駆動指令に基づいてソレノイド用リレー11を駆動するための第1駆動信号を出力するものである。具体的には、マイコン20からソレノイド用リレー駆動指令(例えばHレベル信号)が入力されたときに第1駆動信号を出力し、ソレノイド用リレー駆動中止指令(例えばLレベル信号)が入力されたときには第1駆動信号の出力を停止する。
このソレノイド用リレー駆動回路21の具体的回路構成は、図2に示す通りである。図2も、エンジン始動システム1の構成を示す図であり、図1に対し、特に、各駆動回路21,22、各出力モニタ回路26,27、及び駆動回路接続スイッチ25の回路構成を詳細に表したものである。そのため、以後の説明においては、主に図1を用いつつ、適宜図2を用いて説明することとする。
図2に示すように、ソレノイド用リレー駆動回路21は、ベースが抵抗R13を介してマイコン20に接続され、エミッタがグランドラインに接続され、コレクタに抵抗R12及び抵抗R11を介してバッテリ電圧VBが印加される入力トランジスタT11と、ベースが抵抗R11と抵抗R12の接続点に接続され、エミッタにバッテリ電圧VBが印加された出力トランジスタT12からなり、この出力トランジスタT12のコレクタが第1駆動信号の出力端子(出力部)となる。
なお、入力トランジスタT11のベース−エミッタ間にはバイアス用の抵抗R14が接続されている。また、本実施形態では、入力トランジスタT11はNPN型バイポーラトランジスタであり、出力トランジスタT12はPNP型バイポーラトランジスタである。
このような構成によりマイコン20からソレノイド用リレー駆動回路21へソレノイド用リレー駆動指令(Hレベル信号)が入力されると、入力トランジスタT11がONすると共に出力トランジスタT12もONし、バッテリ電圧VBが第1駆動信号として出力される。この第1駆動信号は、ダイオードD11、ダイオードD12、及びソレノイド用リレー駆動端子31を介してソレノイド用リレー11へ入力され、これによりソレノイド用リレー11が駆動(ON)される。一方、マイコン20からソレノイド用リレー駆動回路21へソレノイド用リレー駆動中止指令(Lレベル信号)が入力されると、入力トランジスタT11がOFFすると共に出力トランジスタT12もOFFし、第1駆動信号の出力が停止される。
モータ用リレー駆動回路22は、マイコン20からの駆動指令に基づいてモータ用リレー12を駆動するための第2駆動信号を出力するものである。具体的には、マイコン20からモータ用リレー駆動指令(例えばHレベル信号)が入力されたときに第2駆動信号を出力し、モータ用リレー駆動中止指令(例えばLレベル信号)が入力されたときには第2駆動信号の出力を停止する。
このモータ用リレー駆動回路22は、図2に示すように、ソレノイド用リレー駆動回路21と同様の構成となっている。即ち、ベースが抵抗R23を介してマイコン20に接続され、エミッタがグランドラインに接続され、コレクタが抵抗R22及び抵抗R21を介してバッテリ電圧VBが印加される入力トランジスタT21と、ベースが抵抗R21と抵抗R22の接続点に接続され、エミッタにバッテリ電圧VBが印加された出力トランジスタT22からなり、この出力トランジスタT22のコレクタが第2駆動信号の出力端子(出力部)となる。なお、入力トランジスタT21のベース−エミッタ間にはバイアス用の抵抗R24が接続されている。
このような構成によりマイコン20からモータ用リレー駆動回路22へモータ用リレー駆動指令(Hレベル信号)が入力されると、入力トランジスタT21がONすると共に出力トランジスタT22もONし、バッテリ電圧VBが第2駆動信号として出力される。この第2駆動信号は、ダイオードD21、ダイオードD22、及びモータ用リレー駆動端子32を介してモータ用リレー12へ入力され、これによりモータ用リレー12が駆動(ON)される。一方、マイコン20からモータ用リレー駆動回路22へモータ用リレー駆動中止指令(Lレベル信号)が入力されると、入力トランジスタT21がOFFすると共に出力トランジスタT22もOFFし、第2駆動信号の出力が停止される。
第1出力モニタ回路26は、ソレノイド用リレー駆動回路21から出力される第1駆動信号をモニタしてその結果に応じた第1出力モニタ信号をマイコン20へ出力するものであり、その具体的回路構成は図2に示す通りである。
即ち、図2に示すように、第1出力モニタ回路26は、ソレノイド用リレー駆動回路21の出力部(即ち出力トランジスタT12のコレクタ)の電圧を所定の分圧比にて分圧する2つの分圧抵抗R15,R16と、バッテリ電圧VBを所定の分圧比にて分圧する2つの分圧抵抗R17,R18と、これら2つの分圧値を比較してその比較結果に応じた第1出力モニタ信号を出力するコンパレータ16と、により構成されている。コンパレータ16は、ヒステリシス付きコンパレータである。
各分圧抵抗R15〜R18の抵抗値は、それぞれ、ソレノイド用リレー駆動回路21から第1駆動信号(即ちバッテリ電圧VB)が出力されていないときはコンパレータ16の出力(第1出力モニタ信号)はHレベル信号となり、ソレノイド用リレー駆動回路21から第1駆動信号が正常に出力されているときはコンパレータ16の出力がLレベルとなるように設定されている。
マイコン20は、この第1出力モニタ回路26からの第1出力モニタ信号に基づき、ソレノイド用リレー駆動回路21が正常に動作しているか否かを監視する機能も備えている。具体的には、マイコン20は、第1出力モニタ信号が、ソレノイド用リレー駆動回路21へ出力している駆動指令に対応した信号になっているか否かをみることで、ソレノイド用リレー駆動回路21が正常か否かを判断する。
例えば、ソレノイド用リレー駆動回路21から第1駆動信号を出力させるべく、ソレノイド用リレー駆動指令を出力しているにもかかわらず、第1出力モニタ信号がHレベル信号である場合は、第1駆動信号が正常に出力されていない、即ちソレノイド用リレー駆動回路21が故障しているものと判断する。また例えば、ソレノイド用リレー駆動回路21からの第1駆動信号の出力を停止させるべく、ソレノイド用リレー駆動中止指令を出力しているにもかかわらず、第1出力モニタ信号がLレベル信号である場合は、第1駆動信号が誤って出力されている、即ちソレノイド用リレー駆動回路21が故障しているものと判断する。
第2出力モニタ回路27は、モータ用リレー駆動回路22から出力される第2駆動信号をモニタしてその結果に応じた第2出力モニタ信号をマイコン20へ出力するものであり、その具体的回路構成は、図2に示す通り、第1出力モニタ回路26と同様である。
即ち、図2に示すように、第2出力モニタ回路27は、モータ用リレー駆動回路22の出力部(即ち出力トランジスタT22のコレクタ)の電圧を所定の分圧比にて分圧する2つの分圧抵抗R25,R26と、バッテリ電圧VBを所定の分圧比にて分圧する2つの分圧抵抗R27,R28と、これら2つの分圧値を比較してその比較結果に応じた第2出力モニタ信号を出力するコンパレータ17と、により構成されている。そして、モータ用リレー駆動回路22から第2駆動信号(即ちバッテリ電圧VB)が出力されていないときはコンパレータ17の出力(第2出力モニタ信号)はHレベル信号となり、モータ用リレー駆動回路22から第2駆動信号が正常に出力されているときはコンパレータ17の出力がLレベルとなる。
マイコン20は、モータ用リレー駆動回路22についても、ソレノイド用リレー駆動回路21の場合と同様、この第2出力モニタ回路27からの第2出力モニタ信号に基づき、正常に動作しているか否かを監視する。
駆動回路接続スイッチ25は、ソレノイド用リレー駆動回路21の出力部とモータ用リレー駆動回路22の出力部の相互間を導通・遮断するためのものであり、図2に示す通り、半導体素子からなる電子スイッチとして構成されたものである。
即ち、図2に示すように、駆動回路接続スイッチ25は、ベースが抵抗R1を介してマイコン20に接続され、エミッタがグランドラインに接続され、コレクタがダイオードD1及びダイオードD2のカソードに接続された入力トランジスタT1と、ベースが抵抗R4を介してダイオードD1のアノードに接続され、エミッタが、ソレノイド用リレー駆動回路21の出力部からソレノイド用リレー駆動端子31に至る通電経路(以下、「第1通電経路」ともいう)における、ダイオードD11よりも下流側(即ちダイオードD11のカソード)に接続され、コレクタが、モータ用リレー駆動回路22の出力部からモータ用リレー駆動端子32に至る通電経路(以下、「第2通電経路」ともいう)における、ダイオードD21よりも下流側(即ちダイオードD21のカソード)に接続された、第1出力トランジスタT2と、ベースが抵抗R5を介してダイオードD2のアノードに接続され、エミッタが第2通電経路に接続され、コレクタが第1通電経路に接続された第2出力トランジスタT3と、を備えている。
なお、第1出力トランジスタT2のベース−エミッタ間にはバイアス用の抵抗R3が接続され、第2出力トランジスタT3のベース−エミッタ間にもバイアス用の抵抗R6が接続されている。また、本実施形態では、入力トランジスタT1はNPN型バイポーラトランジスタであり、各出力トランジスタT2,T3はいずれもPNP型バイポーラトランジスタである。
このように構成された駆動回路接続スイッチ25は、マイコン20から入力される駆動回路接続スイッチ制御指令によって制御される。即ち、マイコン20から駆動回路接続スイッチ制御指令として駆動回路接続スイッチON指令(Hレベル信号)が入力されると、入力トランジスタT1がONすると共に、第1出力トランジスタT2及び第2出力トランジスタT3も共にONする。このように各出力トランジスタT2,T3がONされることにより、駆動回路接続スイッチ25が全体としてONされたことになる。
そして、駆動回路接続スイッチ25がONされた状態で、ソレノイド用リレー駆動回路21から第1駆動信号が出力されると、その第1駆動信号は、ソレノイド用リレー駆動端子31からソレノイド用リレー11へ出力されると共に、駆動回路接続スイッチ25を介して(詳しくは第1出力トランジスタT2を介して)第2通電経路にも出力される。これにより、第1駆動信号は、第2通電経路からモータ用リレー駆動端子32を介してモータ用リレー12にも出力されるようになる。
このとき、駆動回路接続スイッチ25を介して第2通電経路に出力された第1駆動信号がモータ用リレー駆動回路22や第2出力モニタ回路27側に回りこんでこれら各回路に入力されると、これら各回路22,27が誤動作するおそれがある。そのため、本実施形態では、第2通電経路上における、駆動回路接続スイッチ25の接続点よりも上流側にダイオードD21を設け、第1駆動信号がモータ用リレー駆動回路22や第2出力モニタ回路27側に回り込むのを防止している。
また、駆動回路接続スイッチ25がONされた状態で、モータ用リレー駆動回路22から第2駆動信号が出力されると、その第2駆動信号は、モータ用リレー駆動端子32からモータ用リレー12へ出力されると共に、駆動回路接続スイッチ25を介して(詳しくは第2出力トランジスタT3を介して)第1通電経路にも出力される。これにより、第2駆動信号は、第1通電経路からソレノイド用リレー駆動端子31を介してソレノイド用リレー11にも出力されるようになる。
そして、第1通電経路においても、駆動回路接続スイッチ25を介して第1通電経路に出力された第2駆動信号がソレノイド用リレー駆動回路21や第1出力モニタ回路26側に回り込むのを防止するために、第2通電経路のダイオードD21と同様に、第1通電経路における、駆動回路接続スイッチ25の接続点よりも上流側に、ダイオードD11を設けている。
一方、マイコン20から駆動回路接続スイッチ制御指令として駆動回路接続スイッチOFF指令(Lレベル信号)が入力されると、入力トランジスタT1がOFFすると共に、第1出力トランジスタT2及び第2出力トランジスタT3も共にOFFする。このように各出力トランジスタT2,T3がOFFされることにより、駆動回路接続スイッチ25が全体としてOFFされたことになる。
なお、マイコン20が駆動回路接続スイッチ25に対して無信号状態である場合、抵抗R2とグランドラインとの作用により、駆動回路接続スイッチ25への信号レベルはLレベルとして扱われる。つまり、駆動回路接続スイッチ25は、通常時OFFのいわゆる「a接点」として機能するものである。
なお、マイコン20がどのタイミングで上記監視(各駆動回路21,22が正常か否かの判断)を行うか、また、どのタイミングでどのような内容の駆動指令を各駆動回路21,22へ出力するか、更に、どのような場合に駆動回路接続スイッチ25をONさせるか、等については、後で詳述する。
また、マイコン20は、車両に設けられた各種のセンサやスイッチ等(センサ・スイッチ群36)に接続され、これらセンサ・スイッチ群36からの各種情報が入力されるよう構成されている。具体的には、例えば、ニュートラルスイッチ6の状態や、図示しないエンジン回転センサからのエンジン回転数情報、ブレーキスイッチの状態、アクセルスイッチの状態、などが挙げられる。勿論、これらはあくまでも一例である。
マイコン20は、センサ・スイッチ群36から入力される各種情報に基づき、後述するようにアイドルストップ機能を実現する。
また、マイコン20は、エコランECU3とは別に設けられたエンジンECU38と相互にデータ通信できるよう構成されている。そして、エンジン作動中に所定のアイドルストップ条件が成立したことを検出すると、エンジンECU38に対し、エンジンを一時停止させるためのエンジン停止要求を出力する。エンジンECU38は、エコランECU3からこのエンジン停止要求を受けると、作動中のエンジンを一時停止させる。
また、本実施形態のエンジン始動システム1では、アイドルストップ機能実行時におけるエンジン再始動とは別に、通常始動時等においてドライバ等のユーザが手動でエンジンを始動させることができるよう構成されている。
具体的には、ユーザが車両のキーをキーシリンダに挿入して所定の位置(スタート位置)に回転操作することによりONするキースイッチ5と、変速機のレンジがニュートラルレンジ又はパーキングレンジに操作されているときにONするニュートラルスイッチ6と、を備えており、これら各スイッチ5,6及びダイオードD3を介してソレノイド用リレー11のリレーコイルL1にバッテリ電圧VBを印加できるよう構成されている。
また、キースイッチ5及びニュートラルスイッチ6を介して入力されるバッテリ電圧VBは、エコランECU3内にも入力され、エコランECU3の内部を経由してモータ用リレー12にも印加される。
即ち、ニュートラルスイッチ6とダイオードD3の接続点は、エコランECU3におけるバッテリ入力端子33に接続されている。また、モータ用リレー12の入力側(即ちモータ用第1リレー13のリレーコイルL2)は、エコランECU3におけるモータ用リレー駆動端子32に接続されると共に同じくエコランECU3におけるバッテリ出力端子34にも接続されている。
そして、エコランECU3内において、バッテリ入力端子33とバッテリ出力端子34の間には、遅延回路28が設けられている。この遅延回路28は、例えばRC積分回路からなる周知の構成のものであり、バッテリ入力端子33から入力されたバッテリ電圧VBを、所定の遅延時間経過後にバッテリ出力端子34へ出力する。
このような構成により、ドライバ等のユーザが、変速機のレンジをニュートラル位置にした状態でキースイッチ5をONすると、キースイッチ5、ニュートラルスイッチ6等を介してバッテリ電圧VBがソレノイド用リレー11に印加される。これにより、ソレノイド用リレー11が駆動されて、ピニオン101がリングギヤ102に噛み合う。
一方、バッテリ電圧VBは、遅延回路28を介してモータ用リレー12にも印加されるため、ソレノイド用リレー11の駆動から所定の遅延時間経過後にモータ用リレー12も駆動され、スタータモータ8が動作する。これにより、エンジンが再始動されることとなる。
なお、遅延回路28とバッテリ出力端子34の間にはダイオードD4が接続されているが、これは、モータ用リレー駆動回路22から第2駆動信号が出力されたときにその第2駆動信号がモータ用リレー駆動端子32からバッテリ出力端子34を介して遅延回路28側へ回りこまないようにするために設けられているものである。
また、ニュートラルスイッチ6とソレノイド用リレー11の間に接続されているダイオードD3は、ソレノイド用リレー駆動回路21から第1駆動信号が出力されたときにその第1駆動信号がソレノイド用リレー駆動端子31からバッテリ入力端子33を介して遅延回路28側へ回りこまないようにするために設けられているものである。
また、第1通電経路における、駆動回路接続スイッチ25の接続点の下流側には、ダイオードD12が接続されているが、これは、キースイッチ5、ニュートラルスイッチ6,及びダイオードD3を介してバッテリ電圧VBが入力されたときにそのバッテリ電圧VBがソレノイド用リレー駆動端子31を介してエコランECU3内の各回路(特に駆動回路接続スイッチ25)に回りこまないようにするために設けられているものである。同様の目的で、第2通電経路における、駆動回路接続スイッチ25の接続点の下流側にもダイオードD22が接続されている。
更に、ソレノイド用リレー駆動端子31は、互いに逆方向の向きで直列接続された2つのツェナーダイオードD5,D6を介してグランドラインに接続されている。これは、ソレノイド用リレー11のOFF時にリレーコイルL1に生じる負電圧(逆起電力)などの過大な電圧からエコランECU3内の各回路を保護するために設けられているものである。同様の目的で、モータ用リレー駆動端子32も、互いに逆方向の向きで直列接続された2つのツェナーダイオードD7,D8を介してグランドラインに接続されている。
(2)エコラン制御処理の説明
次に、エコランECU3のマイコン20によって実現されるアイドルストップ機能について、図3及び図4のフローチャートを用いて具体的に説明する。図3は、マイコン20によって実行されるエコラン制御処理を表すフローチャートであり、図4は、図3のエコラン制御処理におけるS150のエンジン再始動処理の詳細を表すフローチャートである。
マイコン20は、通常始動時のスタータ2の駆動によってエンジンが始動すると、一定周期で図3のエコラン制御処理を実行する。
即ち、このエコラン制御処理が開始されると、まずS110にて、車両において所定のアイドルストップ条件が成立したかどうかの判断を行う。この判断は、センサ・スイッチ群36からの各種情報等に基づいて行われる。アイドルストップ条件としては、例えば、車速が0になったこと、図示しない変速機のギアが所定のレンジ(マニュアルトランスミッション車の場合は例えばニュートラルレンジ、オートマチックトランスミッションの場合は例えばニュートラルレンジ又はパーキングレンジ)に操作されていること、ブレーキ操作がなされていること、などが挙げられる。
アイドルストップ条件が成立していない場合は(S110:NO)、そのままこのエコラン制御処理を終了するが、アイドルストップ条件が成立すると(S110:YES)、S120にて、アイドルストップ禁止フラグがONされているか否かを判断する。このアイドルストップ禁止フラグは、後述するように(図4のS360参照)、ソレノイド用リレー駆動回路21が故障していることが検出された場合に、以後のアイドルストップ機能の実施を禁止させるめためにONされるものである。そのため、アイドルストップ禁止フラグがONされている場合は(S120:YES)、アイドルストップを行うことなくそのままこのエコラン制御処理を終了するが、アイドルストップ禁止フラグがONされていない場合は(S120:NO)、S130にて、エンジンECU38に対するエンジン停止要求を行う。
そして、S140にて、アイドルストップが完了したか否か、即ちエンジンが停止したか否かを、例えばエンジン回転センサからの信号に基づいて判断し、アイドルストップが完了すると(S140:YES)、S150にて、エンジン再始動処理を実行する。
次に、このS150のエンジン再始動処理について、図4を用いて説明する。図4に示すように、このエンジン再始動処理が開始されると、まずS210にて、駆動回路接続スイッチ25へ駆動回路接続スイッチOFF指令を出力し、駆動回路接続スイッチ25をOFFさせる。
なお本実施形態では、駆動回路接続スイッチ25は、必要時以外は常時OFFするように制御されるため、このS210の処理が実行される際は通常は既にOFFされているはずであるが、マイコン20によりエンジンの再始動を行う際は通常は駆動回路接続スイッチ25がOFFされている必要があるため、制御上、念のためにS210にて駆動回路接続スイッチOFF指令を出力するようにしている。
そして、S220にて、ソレノイド用リレー駆動回路21へソレノイド用リレー駆動指令を出力し、ソレノイド用リレー駆動回路21から第1駆動信号を出力させて、ピニオン101をリングギヤ102に噛み合わせる。
そして、S230にて、ソレノイド用リレー駆動回路21が正常であるか否かを判断する。この判断は、前述の通り、第1出力モニタ回路26からの第1出力モニタ信号に基づいて行う。このとき、ソレノイド用リレー駆動回路21が正常と判断された場合は(S230:YES)、続くS240にて、エンジン再始動条件が成立し、且つ、ピニオン101がリングギヤ102に噛み合い済みか否かを判断する。
ここで、噛み合い済みか否かの判断は、例えば、S220でソレノイド用リレー駆動指令を出力してから所定時間経過したかどうかに基づいて判断することができる。勿論これはあくまでも一例であり、例えばセンサ等を用いて実際に噛み合っているか否かを判断するようにしてもよい。なお、ピニオン101とリングギヤ102の相対的位置関係によっては、ピニオン101を移動させたときに必ずしもリングギヤ102に噛み合わず、ピニオン101の歯がリングギヤ102の側面に当接した状態に留まることもあるが、そのような状態も、本実施形態では便宜的に噛み合い済みとして扱う。
S240にて、エンジン再始動条件が成立し、且つピニオン101がリングギヤ102に噛み合い済みとなるまでは、S240からS270に移行し、エンジン始動が完了したか否かを判断する。この場合、エンジンの再始動はまだ行われていない状態であるため(S270:NO)、S280にて一定時間待機後、再びS220の処理に戻る。
一方、エンジン再始動条件が成立し、且つピニオン101がリングギヤ102に噛み合い済みになると(S240:YES)、S250にて、モータ用リレー駆動回路22へモータ用リレー駆動指令を出力し、モータ用リレー駆動回路22から第2駆動信号を出力させて、スタータモータ8を動作させる。
そして、S260にて、モータ用リレー駆動回路22が正常であるか否かを判断する。この判断は、前述の通り、第2出力モニタ回路27からの第2出力モニタ信号に基づいて行う。このとき、モータ用リレー駆動回路22が正常と判断された場合は(S260:YES)、続くS270にて、エンジンの始動が完了したか否かを判断する。そして、エンジン始動が完了しない間は(S270:NO)、S280で一定時間待機した後にS220に戻るが、エンジン始動が完了した場合は(S270:YES)、S290にて、両リレー11,12の駆動を共に中止させるための指令を出力する。具体的には、ソレノイド用リレー駆動回路21に対してソレノイド用リレー駆動中止指令を出力すると共に、モータ用リレー駆動回路22に対してモータ用リレー駆動中止指令を出力する。これにより、各駆動回路21,22からの駆動信号の出力が停止され、両リレー11,12の駆動が中止される。
そして、S300にて、駆動回路接続スイッチ25に対し、あらためて駆動回路接続スイッチOFF指令を出力して、駆動回路接続スイッチ25をOFFさせる。
一方、S260において、モータ用リレー駆動回路22が正常ではないと判断された場合は(S260:NO)、このモータ用リレー駆動回路22から第2駆動信号が正常に出力されず、モータ用リレー12が駆動されないおそれがある。
そこで、S310にて、駆動回路接続スイッチ25に対し、これをONさせるために駆動回路接続スイッチON指令を出力する。これにより、第1通電経路と第2通電経路がこの駆動回路接続スイッチ25によって導通(接続)され、ソレノイド用リレー駆動回路21から出力されている第1駆動信号が駆動回路接続スイッチ25を介してモータ用リレー12にも入力されて、スタータモータ8が動作する。
つまり、故障しているモータ用リレー駆動回路22に代わり、正常なソレノイド用リレー駆動回路21からの第1駆動信号によって、モータ用リレー12を代理駆動させるのであり、これにより、ソレノイド用リレー駆動回路21からの第1駆動信号によって、ソレノイド用リレー11及びモータ用リレー12の双方を正常に駆動させることができ、スタータ2を正常に動作させてエンジンを再始動させることができる。
また一方、S230にて、ソレノイド用リレー駆動回路21が正常ではないと判断された場合は(S230:NO)、S320にて駆動回路接続スイッチ25に対し、これをONさせるために駆動回路接続スイッチON指令を出力する。これにより、第1通電経路と第2通電経路がこの駆動回路接続スイッチ25によって導通(接続)された状態となる。
そして、S330にて、エンジン再始動条件が成立したか否かを判断し、成立しない間はS270以降に進むが、成立した場合は(S330:YES)、S340にて、モータ用リレー駆動回路22へモータ用リレー駆動指令を出力し、モータ用リレー駆動回路22から第2駆動信号を出力させて、スタータモータ8を動作させる。
このとき、S320の処理によって駆動回路接続スイッチ25がONされているため、モータ用リレー駆動回路22から出力された第2駆動信号は、駆動回路接続スイッチ25を介してソレノイド用リレー11にも入力され、これによりピニオン101とリングギヤ102の噛み合いも行われる。
つまり、故障しているソレノイド用リレー駆動回路21に代わり、正常なモータ用リレー駆動回路22からの第2駆動信号によって、ソレノイド用リレー11を代理駆動させるのであり、これにより、モータ用リレー駆動回路22からの第2駆動信号によって、ソレノイド用リレー11及びモータ用リレー12の双方を駆動させることができ、スタータ2を動作させてエンジンを再始動させることができる。
但し、このようにモータ用リレー駆動回路22からの第2駆動信号によってソレノイド用リレー11を代理駆動させるケースでは、スタータモータ8の動作とピニオン101の移動がほぼ同時に開始されることになる。即ち、ピニオン101がリングギヤ102に噛み合う前にスタータモータ8が動作してしまう。そのため、エンジンの再始動は可能であるものの、スタータ2の動作時の静粛性が損なわれたり、スタータ2の耐久性が損なわれたりするおそれがある。
そこで、本実施形態では、ソレノイド用リレー駆動回路21が正常でないことにより、モータ用リレー駆動回路22からの第2駆動信号によってソレノイド用リレー11を代理駆動させた場合は、その1回のみ代理駆動は許容するものの、以後はアイドルストップを行わないようにする。具体的には、S350にてアイドルストップ禁止フラグをONに設定する。これにより、エンジンの再始動後、再びアイドルストップ条件が成立しても、図3のエコラン制御処理におけるS120で肯定判定されることにより、アイドルストップがなされなくなる。
なお、仮に2つの駆動回路21,22が共に故障している場合は、本エンジン再始動処理を実行してもエンジンは再始動されない可能性が高いが、その場合は、ユーザが自らキースイッチ5を操作して通常始動を行うことで、エンジンを始動させることができる。
(3)第1実施形態の効果等
以上説明した本実施形態のエンジン始動システム1では、ソレノイド用リレー駆動回路21の出力部(但しダイオードD11のカソード側)とモータ用リレー駆動回路22の出力部(但しダイオードD21のカソード側)が、駆動回路接続スイッチ25によって相互に接続され、いずれか一方の駆動回路が正常でない場合には、この駆動回路接続スイッチ25をONすることで、他方の駆動回路からの駆動信号によって一方の正常でない駆動回路の下流側のリレーを代理駆動させることができる。
そのため、2つの駆動回路21,22のうちいずれか一方が故障しても、他方の正常な駆動回路からの駆動信号によってソレノイド用リレー11及びモータ用リレー12を共に駆動し、エンジンを始動させることができる。
また、本実施形態では、2つの駆動回路21、22を共に監視し、いずれか一方が正常でない場合は他方からの駆動信号によって代理駆動されるため、どちらが故障しても、他方が正常である限りエンジンを始動させることができる。
特に、本実施形態のエンジン始動システム1では、アイドルストップ機能の実行中に、各駆動回路21,22が正常かどうか監視するようにしているため、アイドルストップ後に、一方の駆動回路が故障していることよってエンジンが再始動されずに周囲の交通に悪影響を及ぼしてしまうといった事態の発生を防止できる。
また、本実施形態のエンジン始動システム1では、ソレノイド用リレー駆動回路21が正常でない場合は、モータ用リレー駆動回路22からの第2駆動信号によるソレノイド用リレー11の代理駆動を一度は許容するものの、以後はアイドルストップを行わないようにしている。そのため、ソレノイド用リレー11とモータ用リレー12がほぼ同時に駆動されることによって生じる、スタータ2からの騒音やスタータ2の耐久性の低下を抑止することができる。
また、各駆動回路21,22を監視するために、各駆動回路21,22に対してそれぞれその出力(駆動信号)をモニタするための第1出力モニタ回路26及び第2出力モニタ回路27を備え、マイコン20は、これら各出力モニタ回路26,27からの各出力モニタ信号(Hレベル又はLレベル信号)に基づいて各駆動回路21,22を監視するようにしている。そのため、マイコン20は、各駆動回路21,22が正常か否かを簡易的且つ確実に判断することができる。
また、駆動回路接続スイッチ25は、マイコン20から駆動回路接続スイッチ制御指令が出力されない無信号時にはOFFするよう構成されている。そのため、例えばマイコン20が暴走したり、マイコン20にその動作用電源(制御用電圧Vcc)が供給されていないなどの種々の要因でマイコン20から駆動回路接続スイッチ制御指令が出力されない無信号状態となっても、駆動回路接続スイッチ25はOFF状態に保持されるため、各駆動回路21,22が共に正常であるにもかかわらず駆動回路接続スイッチ25がONされてしまうといった事態の発生を防ぐことができる。
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素の対応関係を明らかにする。本実施形態において、エコランECU3は本発明のエンジン始動制御装置に相当し、モータ用リレー12は本発明のスタータモータ用リレーに相当し、ソレノイド用リレー11は本発明のピニオン移動用リレーに相当し、ソレノイド用リレー駆動回路21は本発明の第1駆動回路に相当し、モータ用リレー駆動回路22は本発明の第2駆動回路に相当し、ソレノイド用リレー駆動回路21及びモータ用リレー駆動回路22によって本発明の相補駆動回路群が構成され、駆動回路接続スイッチ25は本発明の主スイッチ手段に相当し、マイコン20は、本発明のリレー制御手段、駆動回路監視手段、スイッチ制御手段、及びエンジン一時停止手段に相当する。また、第1出力モニタ回路26及び第2出力モニタ回路27は、マイコン20と共に本発明の駆動回路監視手段を構成するものである。
[第2実施形態]
図5に、本実施形態のエンジン始動システム40の概略構成を示す。
第1実施形態のエンジン始動システム1では、各駆動回路21,22のうちいずれか一方が故障しても、他方が正常である限り、その正常な駆動回路からの駆動信号によって各リレー11、12を駆動してエンジンを始動させることができる。しかし、ソレノイド用リレー駆動回路21が故障した場合に、モータ用リレー駆動回路22からの第2駆動信号によって各リレー11、12を駆動させると、ピニオン101がリングギヤ102に噛み合う前にスタータモータ8が動作してしまい、スタータ2の静粛性や耐久性が損なわれてしまうという問題があった。そのため、第1実施形態では、ソレノイド用リレー駆動回路21が故障している場合には、モータ用リレー駆動回路22からの第2駆動信号によるソレノイド用リレー11の代理駆動を一度のみ許容し、以後はアイドルストップを禁止するようにしていた。
これに対し、本実施形態のエンジン始動システム40では、モータ用リレー駆動回路22からモータ用リレー駆動端子32に至る第2通電経路における、駆動回路接続スイッチ25の接続点より下流側に、補助スイッチ53を設けることで、上記問題を解決するようにしている。以下、本実施形態のエンジン始動システム40について、第1実施形態のエンジン始動システム1と異なる点を中心に説明する。
図5に示すように、本実施形態のエンジン始動システム40が、第1実施形態のエンジン始動システム1と比較して異なるのは、主として、前述の補助スイッチ53が設けられていることの他、第1通電経路における、駆動回路接続スイッチ25の接続点とダイオードD11の間に第1出力スイッチ51が設けられていること、第2通電経路における、駆動回路接続スイッチ25の接続点とダイオードD21の間に第2出力スイッチ52が設けられていること、及び、ドライバ等のユーザに駆動回路の異常を報知するインジケータ45を駆動するためのインジケータ駆動回路43を備えていることである。
また、これら相違点により、本実施形態のマイコン42が実行するエンジン再始動処理は、第1実施形態のマイコン20が実行するエンジン再始動処理(図4参照)とは異なっている。
第1出力スイッチ、第2出力スイッチ、及び補助スイッチ53は、いずれも、マイコン42からの制御指令(ON指令又はOFF指令)によって制御される、半導体素子からなる電子スイッチにて構成されており、通常時ONのいわゆる「b接点」として機能するものである。そのため、マイコン42から各スイッチ51,52,53へON指令(Lレベル信号)が出力されている、若しくは信号状態である場合は、ONされた状態に維持される。
図6に、これら各スイッチ51,52,53の具体的回路構成を示す。図6に示す如く、各スイッチ51,52,53は、ベースが抵抗R31を介してマイコン42に接続され、エミッタがグランドラインに接続され、コレクタが抵抗R33を介してバッテリ電圧VBに接続された入力トランジスタT31と、ベースが抵抗R34を介して入力トランジスタT31のコレクタに接続されると共に抵抗R35を介してグランドラインに接続された出力トランジスタT32と、により構成されている。
そして、出力トランジスタT32は、当該各スイッチ51,52,53が接続される通電経路に対し、コレクタがその通電経路の上流側に接続され、エミッタがその通電経路の下流側に接続されるように設けられている。
このような構成により、マイコン42からこれら各スイッチ51,52,53に対してON指令(Lレベル信号)が出力されているときは、入力トランジスタT31はOFFされて出力トランジスタT32はONされるため、全体としてONされた状態となる。一方、マイコン42からこれら各スイッチ51,52,53にOFF指令(Hレベル信号)が出力されているときは、入力トランジスタT31がONされて出力トランジスタT32がOFFされるため、全体としてOFFされた状態となる。
インジケータ駆動回路43は、例えば車両のインパネ等に設けられたインジケータ45を駆動(点灯或いは表示等)させるものであり、マイコン42からの指令に基づき、インジケータ駆動端子44を介してインジケータ45へインジケータ駆動信号を出力する。
次に、本実施形態においてマイコン42が実行するエンジン再始動処理(図3のエコラン制御処理におけるS150の処理)について、図7を用いて説明する。
マイコン42は、図7に示すエンジン再始動処理を開始すると、まずS410にて、駆動回路接続スイッチ25、第1出力スイッチ51、第2出力スイッチ52、及び補助スイッチ53の全てのスイッチに対し、これらをOFFさせるための制御指令(OFF指令)を出力する。これにより、これら各スイッチ25,51,52,53はいずれも、一旦OFFされる。
そして、S420にて、ソレノイド用リレー駆動回路21へソレノイド用リレー駆動指令を出力し、ソレノイド用リレー駆動回路21から第1駆動信号を出力させて、ピニオン101をリングギヤ102に噛み合わせる。
そして、S430にて、ソレノイド用リレー駆動回路21が正常であるか否かを判断する。このとき、ソレノイド用リレー駆動回路21が正常と判断された場合は(S430:YES)、S440にて、第1出力スイッチ51へON指令を出力してこれをONさせる。これにより、ソレノイド用リレー駆動回路21からの第1駆動信号が、第1出力スイッチ51を介してソレノイド用リレー11に出力され、ソレノイド用リレー11が駆動される。
そして、S450にて、エンジン再始動条件が成立し、且つ、ピニオン101がリングギヤ102に噛み合い済みか否かを判断する。このS450の判断において、エンジン再始動条件が成立し、且つピニオン101がリングギヤ102に噛み合い済みとなるまでは、S450からS490に移行するが、エンジン再始動条件が成立し、且つピニオン101がリングギヤ102に噛み合い済みになると(S450:YES)、S460にて、モータ用リレー駆動回路22へモータ用リレー駆動指令を出力し、モータ用リレー駆動回路22から第2駆動信号を出力させて、スタータモータ8を動作させる。
そして、S470にて、モータ用リレー駆動回路22が正常であるか否かを判断し、正常と判断された場合は(S470:YES)、続くS480にて、第2出力スイッチ52及び補助スイッチ53へON指令を出力してこれらを共にONさせる。これにより、モータ用リレー駆動回路22からの第2駆動信号が、第2出力スイッチ52及び補助スイッチ53を介してモータ用リレー12に出力され、モータ用リレー12が駆動される。
その後、S490にて、エンジンの始動が完了したか否かを判断し、エンジン始動が完了しない間は(S490:NO)、S500で一定時間待機した後にS420に戻るが、エンジン始動が完了した場合は(S490:YES)、S510にて、両リレー11,12にそれぞれその駆動を中止させるための指令(駆動中止指令)を出力し、両リレー11,12の駆動を中止させる。
そして、S520にて、各スイッチ25,51,52,53に対してOFF指令を出力することにより、これら各スイッチ25,51,52,53を全てOFFさせる。
一方、S470において、モータ用リレー駆動回路22が正常ではないと判断された場合は(S470:NO)、S530にて、駆動回路接続スイッチ25に対してこれをONさせるためのON指令(駆動回路接続スイッチON指令)を出力し、この駆動回路接続スイッチ25をONさせる。さらに、続くS540にて、補助スイッチ53に対してこれをONさせるためのON指令を出力し、この補助スイッチ53をONさせる。これにより、ソレノイド用リレー駆動回路21から出力されている第1駆動信号が、駆動回路接続スイッチ25及び補助スイッチ53を介してモータ用リレー12にも入力され、スタータモータ8が動作する。
つまり、故障しているモータ用リレー駆動回路22に代わり、正常なソレノイド用リレー駆動回路21からの第1駆動信号によって、モータ用リレー12を代理駆動させる。これにより、ソレノイド用リレー駆動回路21からの第1駆動信号によって、ソレノイド用リレー11及びモータ用リレー12の双方が正常に駆動され、スタータ2を正常に動作させてエンジンを再始動させることができる。
また、モータ用リレー駆動回路22が正常でないと判断された場合、その状況によってはモータ用リレー駆動回路22から意図しない信号等が出力されるおそれがある。しかし、本実施形態では、モータ用リレー駆動回路22の出力部に第2出力スイッチ52が接続され、これがS410の処理によって予めOFFされた状態になっている。そのため、モータ用リレー駆動回路22から意図しない信号等が出力されても、他の回路等への悪影響は防止される。
また一方、S430にて、ソレノイド用リレー駆動回路21が正常ではないと判断された場合は(S430:NO)、S550にて、モータ用リレー駆動回路22へモータ用リレー駆動指令を出力し、モータ用リレー駆動回路22から第2駆動信号を出力させる。但し、このときはまだ、各スイッチ25,51,52,53はいずれもOFFされているため、モータ用リレー駆動回路22からの第2駆動信号は各リレー11,12のいずれにも出力されない。
また、ソレノイド用リレー駆動回路21が正常でないと判断された場合、その状況によってはソレノイド用リレー駆動回路21から意図しない信号等が出力されるおそれがある。しかし、本実施形態では、ソレノイド用リレー駆動回路21の出力部に第1出力スイッチ51が接続され、これがS410の処理によって予めOFFされた状態になっている。そのため、ソレノイド用リレー駆動回路21から意図しない信号等が出力されても、他の回路等への悪影響は防止される。
そして、S560にて、モータ用リレー駆動回路22が正常であるか否かを判断する。このとき、モータ用リレー駆動回路22が正常ではないと判断された場合は(S560:NO)、2つの駆動回路21,22が共に正常ではないということになり、もはやマイコン20によるエンジンの再始動はできない。
そのため、S610にて異常警告を行い、続くS620にて、アイドルストップ禁止フラグをONに設定する。S610の異常警告は、具体的には、インジケータ駆動回路43へインジケータ駆動指令を出力してインパネ内のインジケータ45を駆動させることにより行う。
このように異常警告(インジケータ45の駆動)を行うことで、ユーザは、マイコン20によるエンジン再始動(自動的な再始動)ができない異常状態であることを認識でき、キースイッチ5の操作による通常始動を行うなどの適切な措置を迅速にとることができる。これに加え、アイドルストップ禁止フラグがONされるため、以後は、アイドルストップがなされなくなる。
一方、S560にて、モータ用リレー駆動回路22が正常であると判断された場合は(S560:YES)、S570にて、駆動回路接続スイッチ25に対してこれをONさせるためのON指令を出力し、この駆動回路接続スイッチ25をONさせる。さらに、続くS580にて、第2出力スイッチ52に対してこれをONさせるためのON指令を出力し、この第2出力スイッチ52をONさせる。
これにより、モータ用リレー駆動回路22から出力されている第2駆動信号が、第2出力スイッチ52及び駆動回路接続スイッチ25を介してソレノイド用リレー11にも入力され、ピニオン101をリングギヤ102に噛み合わせることができる。
このとき、補助スイッチ53については、S410の処理によって、未だOFFされた状態にある。そのため、モータ用リレー駆動回路22からの第2駆動信号は、本来の出力先であるモータ用リレー12にはまだ出力されず、ソレノイド用リレー11にのみ出力されてこれを代理駆動する。
このようにしてソレノイド用リレー11を代理駆動した後は、続くS590にて、エンジン再始動条件が成立し、且つ、ピニオン101がリングギヤ102に噛み合い済みか否かを判断する。このS590の判断において、エンジン再始動条件が成立し、且つピニオン101がリングギヤ102に噛み合い済みとなるまでは、S490に移行するが、エンジン再始動条件が成立し、且つピニオン101がリングギヤ102に噛み合い済みになると(S590:YES)、S600にて、補助スイッチ53へON指令を出力してこれをONさせる。
これにより、モータ用リレー駆動回路22からの第2駆動信号が、第2出力スイッチ52及び補助スイッチ53を介して本来の出力先であるモータ用リレー12にも出力され、モータ用リレー12が駆動される。そのため、スタータモータ8が動作し、エンジンを再始動させることができる。
以上説明した本実施形態のエンジン始動システム40によれば、ソレノイド用リレー駆動回路21の故障時に、ソレノイド用リレー11の駆動をモータ用リレー駆動回路22からの第2駆動信号によって代理する際、補助スイッチ53をOFFさせることで、まずソレノイド用リレー11のみを駆動させ、ピニオン101をリングギヤ102に噛み合わせることができる。そして、ピニオン101がリングギヤ102に噛み合い、且つエンジン再始動条件が成立したときに、補助スイッチ53をONさせることで、モータ用リレー12を駆動させてスタータモータ8を動作させ、エンジンを再始動させることができる。
つまり、ソレノイド用リレー駆動回路21が故障した場合であっても、各リレー11、12をそれぞれ正常なタイミングで順次駆動させることができるのであり、スタータ2の静粛性や耐久性を損なうことなく、スタータ2を正常に動作させることができる。
また、各駆動回路21,22がいずれも正常でない場合は、異常警告(インジケータ駆動)を行うと共に以後のアイドルストップを禁止する。そのため、本来ならばエンジンが自動的に再始動するはずであるにもかかわらず再始動しない場合にユーザはその原因を迅速に知ることができ、キースイッチ5による通常始動を行うなどの適切な措置を迅速にとることができる。しかも、アイドルストップ禁止フラグがONされることにより以後のアイドルストップは禁止されるため、アイドルストップする度にユーザが自らキースイッチ5による再始動操作をしなければならないといった事態を防ぐことができる。
なお、本実施形態において、第1出力スイッチ51及び第2出力スイッチ52はいずれも本発明の出力スイッチ手段に相当し、補助スイッチ53は本発明の補助スイッチ手段に相当し、インジケータ駆動回路43は本発明の報知手段に相当する。
[第3実施形態]
図8に、本実施形態のエンジン始動システム60の概略構成を示す。
本実施形態のエンジン始動システム60は、第1実施形態のエンジン始動システム1に対し、回路構成が簡略化されたものである。
具体的には、第1実施形態においては、駆動回路接続スイッチ25が双方向スイッチとして構成されていたのに対し、本実施形態の駆動回路接続スイッチ63は、第1通電経路から第2通電経路側への片方向のみ通電可能な片方向スイッチとして構成されている。
即ち、図2に示した第1実施形態の駆動回路接続スイッチ25と図8に示した本実施形態の駆動回路接続スイッチ63とを比較して明らかなように、本実施形態の駆動回路接続スイッチ63は、第1実施形態の駆動回路接続スイッチ25が備えていた、第2通電経路から第1通電経路へ第2駆動信号を通電させるための、第2出力トランジスタT3及びこれに付随する素子(抵抗R5,R6、ダイオードD2)を備えていない。
このような構成により、本実施形態では、2つの駆動回路21,22のうち、ソレノイド用リレー駆動回路21の故障に対しては、上記各実施形態のようにモータ用リレー駆動回路22からの第2駆動信号によってソレノイド用リレー11を代理駆動させるといったことはしない。
そして、モータ用リレー駆動回路22の故障に対してのみ、駆動回路接続スイッチ63をONすることで、ソレノイド用リレー駆動回路21からの第1駆動信号によってモータ用リレー12を代理駆動させる。
そのため、第1実施形態でソレノイド用リレー駆動回路21の出力部に接続されていた回り込み防止用のダイオードD11も、本実施形態では省かれている。
このように構成された本実施形態のエンジン始動システム60によれば、ソレノイド用リレー駆動回路21の故障に対してはソレノイド用リレー11の代理駆動がなされないという点で、上記第1及び第2実施形態よりも劣るものの、その反面、駆動回路接続スイッチ63を片方向スイッチとして構成できたり、ソレノイド用リレー駆動回路21の出力部において回り込み防止用のダイオードD11が不要になるなど、エコランECU61を構成する回路素子数を大きく削減することができる。そのため、エコランECU61の小型化・低コスト化が可能となる。
なお、本実施形態においては、ソレノイド用リレー駆動回路21の故障時にソレノイド用リレー11をモータ用リレー駆動回路22によって代理駆動させることは行われないため、第1出力モニタ回路26も削除して、ソレノイド用リレー駆動回路21の監視自体を行わないようにしてもよい。このようにすると、回路素子数のさらなる削減が可能となる。
逆に、代理駆動はさせないものの、ソレノイド用リレー駆動回路21についてもその監視だけは行うようにし、故障発生時にはその旨を報知させたり、或いは、故障発生以後のアイドルストップを禁止するようにしてもよい。
[変形例]
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の実施の形態は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
例えば、上記第2実施形態のように各駆動回路21,22の出力部にそれぞれ第1出力スイッチ51及び第2出力スイッチ52が接続されている構成の場合は、アイドルストップ機能の実行時に限らず、通常走行中などエンジンが作動している間も、予め決められた監視タイミングで、各駆動回路21,22が正常であるか否かを監視するようにしてもよい。そして、何れかの駆動回路が正常ではないと判断された場合は、その駆動回路の出力部に接続されている何れかの出力スイッチをOFFさせるようにするとよい。
このようにエンジン作動中にも各駆動回路21,22の監視を行う場合のより具体的な処理を、図9に基づいて説明する。図9は、第2実施形態のエンジン始動システム40において、エンジン作動中にエコランECU41のマイコン42によって実行される駆動回路故障検知処理である。マイコン42は、エンジン作動中、上記監視タイミング毎にこの駆動回路故障検知処理を実行する。
この駆動回路故障検知処理が開始されると、まずS710にて、ソレノイド用リレー駆動回路21へソレノイド用リレー駆動指令を出力して、ソレノイド用リレー駆動回路21から第1駆動信号を出力させる。そして、S720にて、ソレノイド用リレー駆動回路21が正常であるか否か判断し、正常でないと判断された場合は(S720:NO)、S770にて、第1出力スイッチ51をOFFさせる。S720にて、ソレノイド用リレー駆動回路21が正常であると判断された場合は(S720:YES)、S730にて、ソレノイド用リレー駆動回路21からの第1駆動信号の出力を停止させる。
そして、続くS740にて、モータ用リレー駆動回路22へモータ用リレー駆動指令を出力して、モータ用リレー駆動回路22から第2駆動信号を出力させる。そして、S750にて、モータ用リレー駆動回路22が正常であるか否か判断し、正常でないと判断された場合は(S750:NO)、S780にて、第2出力スイッチ52をOFFさせる。
更に、S790にて、ソレノイド用リレー駆動回路21が異常だったか否か、即ちS720の処理において正常でないと判断されたか否かを判断し、ソレノイド用リレー駆動回路21が異常だった場合は(S790:YES)、S800にて、アイドルストップ禁止フラグをONに設定する。そして、S760にて、モータ用リレー駆動回路22からの第2駆動信号の出力を停止させる。
また、S750において、モータ用リレー駆動回路22が正常であると判断された場合(S750:YES)、及び、S790においてソレノイド用リレー駆動回路21は異常だったと判断されなかった場合(S790:NO)も、S760に移行し、モータ用リレー駆動回路22からの第2駆動信号の出力を停止させる。
つまり、通常走行時などエンジンが作動しているときにも、各駆動回路21,22の監視を行うことで、いずれか一方の駆動回路が異常だった場合にはその駆動回路の出力部に接続された出力スイッチをOFFさせ、その駆動回路からの意図しない信号が他の回路等に悪影響を及ぼすのを防ぐ。そして、各駆動回路21,22が共に異常だった場合は、アイドルストップ禁止フラグをONに設定しておくことで、アイドルストップがなされることを未然に防ぐ。このようにすることで、エンジン始動システムの信頼性、延いては車両の信頼性をより向上させることができる。
また、上記第2実施形態では、エンジン再始動処理(図7参照)において、まず最初のS410にて、全てのスイッチ25,51,52,53を一旦OFFさせたが、必ずしもそのようにする必要はなく、各スイッチ25,51,52,53のいずれも通常状態のまま(駆動回路接続スイッチ25はOFF、他はいずれもON)としておいてもよい。
その場合、図7のエンジン再始動処理において、S440,S480,S540,及びS580の処理はいずれも不要となる。但し勿論、制御上、念のためにこれらの処理を行うようにしてもよい。一方、S430においてソレノイド用リレー駆動回路21が正常ではないと判断された場合は、S550にてモータ用リレー駆動回路22から第2駆動信号を出力させる前に、少なくとも補助スイッチ53をOFFさせる必要がある。またこのとき、好ましくは第1出力スイッチ51もOFFさせるとよい。更に、S470においてモータ用リレー駆動回路22が正常でないと判断された場合は、第2出力スイッチ52をOFFさせるようにするとよい。
また、上記各実施形態では、駆動回路接続スイッチとして通常時OFFのものを用いたが、通常時ONのものを用いても良い。
更に、上記第2実施形態では、第1出力スイッチ51,第2出力スイッチ52,及び補助スイッチ53として、いずれも通常時ONのものを用いたが、通常時OFFのものを用いても良い。その場合、図7のエンジン再始動処理において、S410は必ずしも行わなくても良い。
また、上記各実施形態では、スタータ2を動作させるために個々に独立して動作する(マイコンによって個々に制御される)リレーとして、ソレノイド用リレー11とモータ用リレー12の2つのリレーを備えている場合について説明したが(但しモータ用リレー12は詳しくは2つのリレー13,14にて構成)、これはあくまでも一例であり、個々に独立して動作するリレーを3つ以上備えている場合であっても本発明を適用できる。
例えば、第1のリレー、第2のリレー、及び第3のリレーを備えると共に、これらを駆動するための第1の駆動回路、第2の駆動回路、及び第3の駆動回路を備えている場合に、第1の駆動回路と第2の駆動回路を一組の相補駆動回路群として両者間を駆動回路接続スイッチにて接続すると共に、例えば第1の駆動回路と第3の駆動回路をもう一組の相補駆動回路群としてその両者間も駆動回路接続スイッチにて接続するようにしてもよい。
つまり、適宜、2つの駆動回路を一組の相補駆動回路群として、両者間を駆動回路接続スイッチで接続し、いずれか一方が故障した場合にはその故障した駆動回路からの駆動信号を他方からの駆動信号で代理させるようにすることができる。
また、3つ以上の駆動回路を備えている場合に、必ずしも、全ての駆動回路についてそれぞれ他の何れかの駆動回路と駆動回路接続スイッチで接続された構成にする必要はなく、ある特定の2つの駆動回路についてのみ、両者間を駆動回路接続スイッチで接続し、他の駆動回路については駆動回路接続スイッチを接続しない構成とするようにしてもよい。
また、上記各実施形態では、エンジンECU38とエコランECU3(41,61)とが別体であるものとして説明したが、エンジンECU38の中にエコランECU3(41,61)内の回路が内蔵されているなど、両者が一体化されている構成であってもよい。