JP5278485B2 - アイドリングストップ制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、アイドリングストップ制御装置に関するものである。
アイドリングストップ制御を行うエンジンにおいて制御用マイコンが故障するとエンジンの再始動ができない。このため、エンジンを始動させるスタータモータに電源電圧を供給するためのスタータリレーに接続されているニュートラルスイッチと、当該ニュートラルスイッチをオン、オフする信号を出力するニュートラルスイッチ駆動回路と、アイドルストップ制御マイコンの制御によりスタータリレーの駆動信号を出力するスタータリレー駆動回路と、始動制御マイコンの制御によりスタータリレーの駆動信号を出力するスタータリレー駆動回路とを備え、アイドルストップ制御マイコンの異常を検出した場合には、当該スタータリレー回路及び当該ニュートラルスイッチ駆動回路に駆動信号を出力させて、エンジンを始動するアイドリングストップの電子制御装置が知られている(特許文献1)。
特開2010−144653号公報
しかしながら、上記の各種スイッチを駆動させる駆動回路及び当該駆動回路とスイッチとを接続する配線が多いため、制御異常時にエンジンを始動させる回路構成が複雑であるという問題があった。
本発明が解決しようとする課題は、複雑な回路構成でなくても、通信異常が生じた場合にエンジンを始動させることができるアイドリングストップ制御装置を提供することである。
本発明は、エンジンの運転中においては、バッテリからスタータモータへの電力の供給を切り替える第1スイッチング手段をオフにするスイッチング制御を行い、通信の異常を検出した場合には、第1スイッチング手段をオンに第2スイッチング手段をオフにし、バッテリとスタータモータとの間を前記スタータスイッチを介して電気的に導通させることによって上記課題を解決する。
本発明によれば、スイッチング手段を介してスタータモータへ電力を供給するための異常時の電力ラインを、複雑な回路を用いることなく形成することができる。
本発明の一実施形態に係るアイドリングストップ制御装置のブロック図である。 図1のアイドリングストップ制御装置の制御手順を示すフローチャートである。 図1のアイドリングストップ制御装置における制御のタイムチャートであって、エンジン停止状態からエンジンが始動し、一旦エンジンがアイドリングストップ状態になり、再びエンジンが再始動するまでのタイムチャートである。 比較例のアイドリングストップ制御装置における制御のタイムチャートであって、エンジン停止状態からエンジンが始動し、エンジンがアイドリングストップ状態になる前に、通信異常が生じた場合のタイムチャートである。 図1のアイドリングストップ制御装置における制御のタイムチャートであって、エンジン停止状態からエンジンが始動し、エンジンがアイドリングストップ状態になる前に、通信異常が生じた場合のタイムチャートである。 本発明の変形例に係るアイドリングストップ制御装置のブロック図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
《第1実施形態》
図1は、本発明の一実施の形態に係るアイドリングストップ制御装置のブロック図である。本例のアイドリングストップ制御装置は、例えばエンジンを備えた車両に搭載される。なお、図1において、実線は電力線であるワイヤーハーネスを示し、点線は車内に設けられたCAN通信の通信網を示す。
図1に示すように、アイドリングストップ制御装置は、エンジンコントロールモジュール(ECM)1と、アイドリングストップモジュール(ISCM)2と、アンダーフードスイッチングモジュール3と、スタータモータ4と、キーシリンダスイッチ5と、リレースイッチ6と、リレースイッチ7と、マグネット式のリレースイッチ8と、バッテリ10とを備えている。
リレースイッチ6は、キーシリンダスイッチ5と並列に接続され、リレースイッチ6の一端及びキーシリンダスイッチ5の一端はバッテリ10に接続されている。またリレースイッチ6の他端及びキーシリンダスイッチ5の他端はリレースイッチ7に接続されている。リレースイッチ6の構成の一部である電磁コイルはISCM2に接続され、ISCM2の制御によりオン及びオフが切り替えられる。リレースイッチ6は、後述するように、アイドリングストップ解除時にオフからオンに切り替わることで、エンジンをクランキングさせるためのスイッチとなる。キーシリンダスイッチ5は、車両の乗員のキー操作により、オン及びオフが切り替えられ、当該乗員によりエンジンをクランキングさせるためのスイッチである。
リレースイッチ7の電磁コイルはバッテリ10とUSM3に含まれる制御回路(CC)31とに接続され、リレースイッチ7はUSM3の制御によりオン及びオフが切り替えられる。またリレースイッチ7は、リレースイッチ8の電磁コイルに接続されている。リレースイッチ8は、バッテリ10とスタータモータ4の間に接続される。このように接続することにより、リレースイッチ7がオン状態であり、キーシリンダスイッチ5がオンに、または、リレースイッチ6がオンになると、バッテリ10からの電力がリレースイッチ8の電磁コイルを導通し、リレースイッチ8がオンになる。そして、バッテリ10の電力がスタータモータ4に供給され、エンジンがクランキングされる。一方、リレースイッチ7がオフ状態である場合には、キーシリンダスイッチ5がオン状態、または、リレースイッチ6がオン状態であったとしても、バッテリ10からの電力はリレースイッチ8の電磁コイルに供給されず、リレースイッチ8がオフ状態になるため、バッテリ10の電力がスタータモータ4に供給されない。すなわち、リレースイッチ7は、バッテリ10からの電力をスタータモータ4に供給が可能な状態と、供給を禁止した状態とを選択するためのスイッチであり、リレースイッチ7がオン状態であれば、キーシリンダスイッチ5、または、リレースイッチ6がオン状態となったときにエンジンはクランキング可能な状態となり、リレースイッチ7がオフ状態であれば、キーシリンダスイッチ5、または、リレースイッチ6がオン状態であってもエンジンはクランキングできない状態となる。
ECM1は、エンジンを制御するモジュールであり、またエンジンの運転状態を管理する。ECM1は、アクセル開度センサ、クランク角センサ、エアフローメータ、空燃比センサ等(図示しない)より、アクセル開度、エンジンの回転速度、吸入空気量、空燃比等を検出し、運転状態(例えば負荷と回転速度)に応じたスロットル開度、並びに燃料噴射量、点火時期等を算出し、スロットルバルブ、インジェクター、点火栓等(図示しない)の制御を行なう。このようにして制御されたエンジンの運転状態を示す信号は、CAN通信網により、ECM1からISCM2に送信される。
ISCM2は、CPU、RAM、ROM等を備え、ISCM2の制御部の一部として、通信異常検出部21を備えている。ISCM2は、ECM1から送信されるエンジンの運転状態、車両に設けられる車速センサ等の各種センサから車速及びブレーキの作動状態等に基づいて、アイドリングストップ条件を満たすか否かを判定する。アイドリングストップ条件とは、運転中のエンジンを一時的に停止させるための条件であり、例えば、エンジン回転速度が所定値以下で、シフトポジションがDレンジであり、フットブレーキが踏み込まれている場合に、アイドリングストップ条件が満たされる。かかる場合に、ISCM2は、アイドリングストップ条件を満たす、と判定する。
ISCM2は、アイドリングストップ条件を満たす場合には、アイドリングストップ条件を満たす旨の制御信号を、CAN通信網を通じて、ECM1に送信する。そして、当該制御信号を受信したECM1は、インジェクターを制御して、エンジンの運転を停止させる。またアイドリングストップ条件を満たす場合に、ISCM2は次のエンジンの始動に備えて、USM3を介してリレースイッチ7をオンにする。
また、ISCM2は、エンジンのアイドリングストップ中に、アイドリングストップを解除すべきかどうかを判断する。アイドリングストップを解除すべき条件とは、アイドリングストップ中の状態において、アイドルストップ条件を満たさない状態になることを示し、例えば上記の例では、アイドリングストップ中の状態から、ブレーキを作動しない状態になった場合である。ISCM2は、アイドリングストップ条件を解除する場合には、リレースイッチ6をオフからオンに切り替える。
また、ISCM2は、ECM1からエンジンの運転状態を検出し、エンジンが運転しているか否かを判定する。エンジン運転中とは、例えばエンジン回転速度が所定の回転速度より高い場合である。エンジン運転中と判断されると、ISCM2は、リレースイッチ7をオフにするための制御信号をUSM3に送信し、エンジン運転中でない場合には、リレースイッチ7をオンにするための制御信号をUSM3に送信する。エンジン運転中に、リレースイッチ7がオン状態で、乗員の操作によりキーシリンダスイッチ5がオンになった場合、あるいは、例えば通信異常等により誤ってリレースイッチ6がオンになった場合には、エンジンが運転中にも関わらずスタータモータ5が駆動し、エンジンのクランキングによる異音が生じるおそれがある。そのため、本例は、エンジン運転中において、リレースイッチ7をオフにすることで、キーシリンダスイッチ5及びリレースイッチ6の状態にかかわらず、バッテリ10からスタータモータ4への電力の供給を遮断する制御を行い、エンジン運転中のクランキングによる異音の発生を防ぐ。
また、ISCM2の通信異常検出部21は、ECM1とISCM2との間の通信の状態及び通信の受信部の故障を検出する。ECM1とISCM2との間の通信の状態は、例えば、異常検出用の試験信号をECM1とISCM2との間のCAN通信網で送受信し、受信信号の出力値から検出する。またISCM2の信号の受信部の故障は、例えば受信回路に自己診断機能を備えることで、回路異常を検出する。
ISCM2は、通信異常検出部21により通信の異常を検出した場合には、エンジン運転中に行うリレースイッチ7をオフ状態にする制御(異音防止のためのスイッチング制御)を禁止し、リレースイッチ7をオン状態にする。またISCM2は、リレースイッチ6をオフ状態にして、アイドリングストップ制御によるリレースイッチ6の制御を行わないようにする。
エンジン運転中はリレースイッチ7をオフ状態にする制御(異音防止のためのスイッチング制御)を行う場合に、ECM1とISCM2との間で通信異常が生じると、ISCM2はエンジン状態を把握することができず、リレースイッチ7がオフ状態で何らかの理由によってエンジンストール(エンジン停止)してしまうと、リレースイッチ7のオフ状態が継続されるため、キーシリンダスイッチ5を手動でオンにしても、スタータモータ4に電力が供給されない場合がある。そのため、本例では、通信異常を検出した時には、リレースイッチ7をオンにする。これにより、バッテリ10からキーシリンダスイッチ5を介してスタータモータ4に電力を供給させるラインを確保する。
また、ISCM2において通信異常が生じた場合には、例えばエンジン回転速度が所定の速度以下(例えば運転者の意図に関係なくエンジンが停止してしまっている)にもかかわらず、エンジン回転速度が所定の速度を越えている(エンジン運転中との)旨、ISCM2が誤認識してしまい、ISCM2は、アイドリングストップ条件を誤って判断するおそれがある。そのため、通信異常検出部21にて、通信異常が検出された場合に、ISCM2は、リレースイッチ6をオフ状態にして、アイドリングストップ制御によるスイッチング制御を行わないようにする。
報知部9は、通信異常が生じたことを乗員に報知し、例えば警告ランプ、警告音を発するスピーカ、警告文字を表示するディスプレイ等により構成される。ISCM2は、通信異常検出部21により通信異常を検出した場合には、通信異常を示す制御信号を、CAN通信網を通じて、報知部9に送信し、報知部9を制御して、乗員に対して通信異常が生じた旨を報知する。
USM3は、リレースイッチ7及びリレースイッチ7の制御回路(Control Circuit:CC)31を備えている。CC31は、USM3の制御信号に基づき駆動する回路であり、リレースイッチ7の駆動回路である。USM3とISCM2との間は、CAN通信網(図1の破線)及びワイヤハーネス(図1の実線)で接続されており、当該CAN通信網及びワイヤハーネスを通じて、ISCM2によるリレースイッチ7のスイッチング制御の信号がISCM2からUSM3に送信される。このようにすれば、普段はCAN通信網を利用するメリット(例えば優れたデータ通信速度とエラー検出能力)を享受しつつ、ISCM2で通信異常を診断したときに、ワイヤハーネスがあればUSM3との間は確実な通信が補償される。
スタータモータ4は、エンジンをクランキングさせるためのモータである。リレースイッチ8がオン状態になると、バッテリ10からの電力がスタータモータ4に供給され、スタータモータ4が駆動する。
次に、図2を用いて、エンジン始動後における本例のアイドリングストップ制御装置の制御手順を説明する。なお、図2に示す制御処理は、エンジンが始動してから、キーシリンダスイッチ5がオフになるまでの間に行われる制御であり、繰り返し行われる(所謂バックグラウンドジョブである)。
ステップS1にて、通信検出部21は、通信異常が発生しているか否かを判定する。通信状態が正常な場合には、ステップS2にて、ISCM2は、アイドリングストップ条件を満たすか否かを判定する。ここでは、アイドリングストップ条件は、車速がゼロで、ブレーキが作動し、かつ、エンジン回転速度が閾値回転速度(Ec)より小さい場合とする。
アイドリングストップ条件が成立した場合には、ISCM2は、USM3に制御して、リレースイッチ7をオンにする(ステップS3)。ステップS4にて、ISCM2は、アイドリングステップの制御信号をECM1に送信し、ECM1は、エンジンを停止させ、本例の制御を終了する。
ステップS2に戻り、アイドリングストップ条件が成立しない場合には、ステップS5にて、アイドリングストップからの再始動が未完了(再始動中)であるかどうかを判定し、未完了であればステップS10に移行し、未完了でなければステップS6へと移行する。ステップS6にて、リレースイッチ7をオンにして、リレースイッチ6によって、スタータモータ4を制御できるように設定する。続いて、ステップS7にて、ISCM2は、ECM1からのエンジン状態を示す信号から、エンジン回転速度を検出し、エンジン回転速度が所定の回転速度より高いか否かを判定する。ここで、所定の回転速度は、エンジンの完爆を経て自律回転が可能な状態になっているか否かを判定するための閾値である。そして、検出された回転速度が所定の回転速度より高い場合には、エンジンの始動が完了したと判定する。
エンジン回転速度が所定の回転速度より高い場合には、ステップS8にて、ISCM2は、USM3を制御してリレースイッチ6をオフにし、本例の制御を終了する。
一方、エンジン回転速度が所定の回転速度以下である場合には、エンジンを再始動させるために、リレースイッチ6をオンにする(ステップS9)。リレースイッチ7は、アイドリングストップ条件が成立するとオン状態になるため、アイドリングストップを解除しようとする時点で、既に、オン状態になっている(尚、図2では念のためステップS6が挿入されている)。そのため、ステップS9にて、リレースイッチ6をオン状態にすれば、バッテリ10からスタータモータ4に電力が供給され、エンジンがクランキングする。
ステップS5に戻り、ステップS5でアイドリングストップからの再始動が完了したと判定されて、ステップS10へ移行したら、エンジンが運転中であるかどうかを判定する(ステップS10)。エンジンが、運転中であればステップS11にて、スイッチリレー7をオフにして、運転中のスタータ駆動による異音発生を防止し、運転中で無ければステップS12にて、スイッチリレー7をオンにして、運転者のキーシリンダスイッチ5によってスタータモータ4を制御できるように設定する。
ステップS1に戻り、通信状態が異常な場合には、ステップS13にて、ISCM2は、リレースイッチ7をオンにする。ステップS14にて、ISCM2はリレースイッチ6の制御を禁止し、リレースイッチ6のオフ状態を維持する。本実施例において、アイドリングストップ中とエンジン停止中とでリレースイッチ7がオン状態(接続された状態)となるが、制御フロー上はそれぞれ、アイドリングストップ中はステップS3、エンジン停止中はステップS13で、リレースイッチ7がオン状態となる。
次に、図3〜図5を用いて、本例のアイドリングストップ制御装置の制御内容を時系列で説明する。図3は、エンジン停止状態からエンジンが始動し、一旦アイドリングストップ状態になり、再びエンジンが再始動して運転状態となるまでのタイムチャートである。図4及び図5は、エンジン停止状態からエンジンが始動し、エンジンがアイドリングストップ状態になる前に、通信異常が生じた場合のタイムチャートであり、図4は本例とは異なる比較例に係るアイドリングストップ制御装置のタイムチャートであり、図5は本例に係るアイドリングストップ制御装置のタイムチャートである。図3〜図5において、(a)は車速の時間的変化の一例を、(b)はエンジン回転速度の時間特性を、(c)はリレースイッチ6の状態の時間特性を、(d)はキーシリンダスイッチ5の状態を、(e)はリレースイッチ7の状態を、(f)はスタータモータ4の状態の時間特性を、(g)ブレーキの作動状態の時間的変化の一例を、(h)はアイドリングストップ制御信号の時間特性を、(i)はエンジン状態の時間特性を示す。なお、(i)のエンジン状態について、停止は、イグニッションオフにおいてエンジンが停止している状態を表し、後述のアイドリングストップやエンジンストールとは異なる状態を示す。エンジンストールは、イグニッションオンにおいて、本例のアイドリングストップ装置が動作し、エンジンが停止している状態(アイドリングストップ中)や、何らかの理由によってエンジンストールした状態を示す。運転は、エンジンが完爆を経て自律回転が可能な状態で運転され、例えば車両が走行可能な状態を示す。クランキングは、エンジン始動させるために、スタータモータ4によりエンジンのクランクシャフトを回している状態を示す。
まず図3を用いて、通信異常が生じていない場合の制御を説明する。時間(t)の時点で、運転手の操作によりキーシンダスイッチ5がオンするとリレースイッチ7がオンになり、電力がスタータモータ4に供給され、スタータモータ4が駆動する。そして、エンジンがクランキング状態になり、エンジン回転速度が増加する。時間(t)の時点で、キーシンダスイッチ5、リレースイッチ7及びスタータモータ4がオフ状態になり、エンジンは運転状態になる。時間(t)以降、アクセル開度が高くなるため、エンジン回転速度はさらに高くなり、車速が増加する。時間(t)の時点で、例えば赤信号の交差点に近づいたため、ブレーキを作動し(ブレーキON)、車両が減速し始める。
時間(t)の時点で、車速がゼロになり、エンジン回転速度が閾値回転速度(Ec)より小さくなる。時間(t)の時点で、アイドリングストップ条件が成立し、ISCM2は所定時間の経過後の時間(t)の時点で、リレースイッチ7をオンにする。またISCM2は、時間(t)の時点で、アイドリングストップ制御信号のフラグを‘1’にし、ECM1に送信する。ECM1は、フラグが1になっている当該制御信号を受信することで、エンジンを停止させる制御を行い、時間(t)の時点でエンジン回転速度がゼロになり、アイドリングストップ状態になる。時間(t)の時点で、運転者のブレーキ操作により、ブレーキが作動している状態が解除され(ブレーキOFF)、アイドリングストップ条件が解除されるため、ISCM2は、ECM1へ送信するアイドリングストップ制御信号のフラグを‘0’にし、リレースイッチ6をオン状態にして、スタータモータ4を動作させる。ECM1は、当該制御信号によりアイドリングストップを解除してエンジンを再始動させる。
そして、時刻(t)の時点で、ISCM2は、ECM1からのエンジン状態を示す信号から、エンジン回転速度が閾値回転速度(Ec)より大きくなり、エンジン運転中であると判定して、リレースイッチ6をオフに、リレースイッチ7をオフにする。そして、スタータモータ4が停止状態になる。
次に、図4を用いて、比較例に係るアイドリングストップ制御装置において、エンジン停止状態からエンジンが始動し、通信異常が生じた後、エンジンストールとなった場合の制御について説明する。
時間(t)から時間(t)までは、上記と同様であるため、説明を省略する。時間(t)の時点で、例えば赤信号の交差点に近づいたため、ブレーキを作動し(ブレーキON)、車両が減速し始める。そして、車速がゼロになる前の時間(t)の時点で通信異常が発生したとする。時間(t)以降、ECM1とISCM2との間で、正常な通信を行うことができないため、少なくともエンジン状態に関する情報が、ISCM2に入力されない。そして、時間(t)の時点で、車速がゼロになる。時間(t)の時点で、、本来ならば、アイドリングストップ条件が成立し、アイドリングストップを実行するとともに、ISCM2はリレースイッチ7をオンにするが、ここでは、ISCM2は、通信異常によりエンジン回転速度を検出することができないため、リレースイッチ7のオフ状態が維持される。その状態で、何らかの理由によって時間(t)の時点でエンジン回転速度がゼロになり、エンジンストール状態になったとする。この時、ISCM2は、エンジンが運転中との認識を変えることができないから、リレースイッチ7もオフ状態に保たれたままである。
その後、時間(t)の時点で、運転者のブレーキ操作により、ブレーキが作動している状態が解除され(ブレーキOFF)ても、エンジンは再始動しない。さらに、時間(t)の時点で、運転手がエンジンストール状態を解除し車両を走行状態にしようとして、キーシリンダスイッチ5をオンにしても、リレースイッチ7がオフ状態のままのため、スタータモータ4に電力が供給されず、エンジンを再始動させることができない。
次に、図5を用いて、実施例に係るアイドリングストップ制御装置において、エンジン停止状態からエンジンが始動し、通信異常が生じた後、エンジンストールとなった場合の制御について説明する。
時間(t)から時間(t)までは、上記と同様であるため、説明を省略する。時間(t)の時点で、例えば赤信号の交差点に近づいたため、ブレーキを作動し(ブレーキON)、車両が減速し始める。そして、車速がゼロになる前の時間(t)の時点で通信異常が発生したとする。時間(t)の時点で、通信異常検出部21は当該通信異常を検出し、ISCM2は通信異常検出部2により通信異常を検出したため、リレースイッチ7をオンにする。またISCM2は、報知部9を制御して、通信異常が生じている旨を乗員に報知する。時間(t)の時点で、車速がゼロになる。何らかの理由によって時間(t)の時点でエンジン回転速度がゼロになり、エンジンストール状態になったとする。
そして、運転手は報知部9を確認することで、通信異常によりアイドリングストップ制御が正常に作動しないこと確認し、また、エンジンストール状態を解消しようとして、時間(t)の時点で、運転手がキーシリンダスイッチ5をオンにする。時間(t)の時点では、リレースイッチ7はオンになっているため、バッテリ10からモータ4に電力が供給され、モータ4が駆動し、エンジンが再始動する。
上記のように、本発明において、ISCM2は、エンジン運転中にはリレースイッチ7をオフにする(エンジン運転中のスタータ駆動による異音防止のための)スイッチング制御を行なうことが前提であり、これにより、エンジン運転中に、乗員の操作によりキーシリンダスイッチ5がオンになった場合、あるいは、例えば通信異常等により誤ってリレースイッチ6がオンになった場合に、エンジンが運転中にも関わらずスタータモータ5が駆動し、エンジンのクランキングによる異音が生じることが防止される。このような前提のもとで、万一通信異常が生じると、例えば実際にはエンジン運転中で無いにも関わらず、ISCM2がエンジン運転中であると誤判断してしまい、乗員の操作によりエンジン始動ができなくなる可能性がある。そこで本発明では、通信異常検出部21により通信異常を検出した場合には、当該スイッチング制御を禁止する。これにより、制御モジュール間の通信に異常が発生した場合でも、バッテリ10からリレースイッチ7を介してスタータモータ4への電力の供給ラインを、煩雑な回路構成を用いることなく、形成することができ、通信異常時にエンジンを再始動することができるアイドリングストップ制御装置を、複雑な構成を避けた上で、実現することができる。
また、本例では、ECM1とISCM2との間において通信異常が生じた場合に、又は、ISCM2に設けられた通信の受信部において異常が生じた場合に、バッテリ10からリレースイッチ7を介してスタータモータ4への電力の供給ラインが確保されるため、通信に異常が生じた場合でも、エンジンを始動させることができる。
比較例のような従来のアイドリングストップ制御装置では、エンジンストール状態の時に通信異常が生じた場合には、エンジンの状態を含む車両情報がISCM2に入力されないため、エンジンストール状態を解除することができないおそれがある。また、バッテリ10からスタータモータ4への電力の供給ラインが遮断された状態が継続し、スタータモータ4への電力を供給することができず、エンジンを始動することができない可能性がある。さらに、通信異常が生じている場合には、エンジン状態に関する情報が誤ってISCM2に入力される可能性があるため、ISCM2は当該エンジン状態に関する誤った情報に基づいて、アイドリングストップ制御を行う可能性がある。
本例では、通信異常が生じた場合には、上記のスイッチング制御を禁止するため、通信異常が生じた状態でエンジンストールが発生した場合でも、バッテリ10からリレースイッチ7を介してスタータモータ4への電力の供給ラインが確保されるため、エンジンを始動させることができる。
本実施例によると、エンジン制御モジュールECM1と、アイドリングストップ制御モジュールISCM2を、個別の制御モジュールで構成したことで、従来からあるエンジン制御モジュールECM1の構成を大幅に変更することなく、アイドリングストップ制御を実現できるようになる。このような制御モジュール構成において、運転者が手動操作するキーシリンダスイッチ5とは別に、アイドリングストップ制御用にISCM2が制御するリレースイッチ6を、キーシリンダスイッチ5と並列となるように設けている。そして、キーシリンダスイッチ5とリレースイッチ6と直列となるようにリレースイッチ7を設け、エンジン運転中はリレースイッチ7をオフとすることで、エンジン運転中にスタータが駆動されて発生する異音を防止する。アイドリングストップ制御に必要なリレースイッチ6と、スタータ制御に関わる点でリレースイッチ6と関係が深いリレースイッチ7(およびアンダーフードスイッチングモジュールUSM3)とを、アイドリングストップ制御モジュールISCM2に制御させる(指令を出させる)ことで、簡易で信頼性が高い構成とすることができる。そして、このような前提の元では、既述したような固有の課題も生じる。すなわち、コントロール制御モジュール間の通信異常が生じると、リレースイッチ7の制御が期待通りに行なわれなくなって、エンジンストールが生じた場合に再始動できなくなったりするが、本発明によれば、このような課題を解決することができるのである。
さらに、本例は、通信異常検出部21をISCM2側に設けているため、ECM1のサプライヤーが、本例のアイドリングストップ制御装置のサプライヤーと異なる場合でも、当該ECM1に本例のアイドリングストップ制御装置を接続し、上記のアイドリングストップ制御を実現させることができる。
また本例は、通信異常検出部21により通信の異常を検出した場合には、リレースイッチ7をオンにし、バッテリ10とスタータモータ4との間を、スタータスイッチ5を介して電気的に導通させる。これにより、アイドリングストップ中に通信異常が生じた場合でも、運転手の手動の操作により、スタータスイッチ5をオンさせることで、エンジンを始動させることができる。
また本例は、通信異常検出部21による通信異常の検出結果を、報知部9により報知する。これにより、通信異常が生じた場合には、乗員に当該通信異常を早期に伝えることができる。
なお、本例において、通信異常検出部21は、ECM1とISCM2との間の通信異常の検出だけではなく、例えばアクセル開度センサ等の他のセンサとの間のCAN通信網における通信異常を検出してもよい。
また本例は、図2に示すステップS5にて、エンジン運転中か否かを判定するためにエンジン回転速度を用いたが、燃料噴射量や他のエンジンの状態を示す情報を用いて判定してもよい。
なお、本例では、制御回路31が、リレースイッチ7の駆動回路になり、USM3の制御信号に基づきリレースイッチ7のオン及びオフを切り替えるが、図6に示すような回路構成で、リレースイッチ7を制御してもよい。図6は、本例の変形例に係るアイドリングストップ制御装置のブロック図である。図6に示すように、変形例では、リレースイッチ7のコイルの一端にトランジスタ32が接続され、トランジスタ32のベース端子に制御回路31が接続され、制御回路31はUSM3の制御信号に基づきトランジスタ32のベース端子にスイッチング制御信号を送信することで、リレースイッチ7のオン及びオフを切り替える。
上記ECM1は本発明に係る「エンジン制御部」に相当し、上記ISCM2は本発明に係る「アイドリングストップ制御部」に、上記通信異常検出部21が本発明に係る「通信異常検出手段」に、上記リレースイッチ7が本発明に係る「スイッチング手段」に、上記キーシリンダスイッチ5が本発明に係る「スタータスイッチ」に、上記報知部9が本発明に係る「報知手段」に相当する。
1…エンジンコントロールモジュール(ECM)
2…アイドリングストップモジュール(ISCM)
21…通信異常検出部
3…アンダーフードスイッチングモジュール
31…制御回路
32…トランジスタ
4…スタータモータ
5…キーシリンダスイッチ
6…リレースイッチ
7…リレースイッチ
8…リレースイッチ
10…バッテリ

Claims (2)

  1. エンジンを停止させた後に再始動させるアイドリングストップ制御を行うアイドリングストップ制御装置において、
    バッテリから前記エンジンを始動させるスタータモータへの電力の供給を切り替える第1スイッチング手段と、
    乗員の操作により前記スタータモータを始動させるスタータスイッチと、
    前記スタータスイッチに並列に接続され、かつ、前記バッテリと前記第1スイッチング手段との間に接続される第2スイッチング手段と、
    前記エンジンを制御するエンジン制御部からの信号を受信し、前記エンジンの状態に応じてアイドリングストップ制御を行うアイドリングストップ制御手段と、
    前記エンジン制御部と前記アイドリングストップ制御手段との間の通信の異常を検出する通信異常検出手段とを備え、
    前記アイドリングストップ制御手段は、
    前記エンジンの運転中に前記第1スイッチング手段をオフにするスイッチング制御を行い、
    前記通信異常検出手段により通信の異常を検出した場合には、前記第1スイッチング手段をオンに前記第2スイッチング手段をオフにし、前記バッテリと前記スタータモータとの間を前記スタータスイッチを介して電気的に導通させる
    ことを特徴とするアイドリングストップ制御装置。
  2. 前記通信異常検出手段による検出の結果を報知する報知手段をさらに備える
    ことを特徴とする請求項記載のアイドリングストップ制御装置。
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