JP5141380B2 - 手書き筆跡入力システム - Google Patents
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この場合、検出対象物までの距離が短い場合は受信した超音波信号の振幅も十分に大きく、一定の閾値で1周期目を検出することが出来るが、検出対象物の距離が遠くなると、受信した超音波の振幅も小さくなり、一定の閾値では2周期目を検出してしまうことがある。その結果1周期分の誤差が出てしまう。
本発明は上記の問題を解決する為になされたもので、低コストであって、位置座標の検出にかかる時間も短く、計測精度のよい手書き筆跡入力システムを実現することを目的とする。
また、本発明の受信機には超音波を受信するために必要な超音波受信部、アンプ、フィルタ回路、コンパレータ、タイマ、メモリ、CPU、RAMのほかにピークホールド回路が具備されている。コンパレータが所定の閾値を超えた超音波信号を検出した時刻から、超音波信号の最大値、及び、半周期以内の極大値を、ピークホールド回路で計測する。この超音波信号の最大値に対する半周期以内の極大値の比率に基づいて、予め座標演算部のRAMに保存されている前述の値を参照することにより、コンパレータで検出された所定の閾値を超えた超音波信号が、何周期目の超音波信号であるかを判断し、検出された所定の閾値を超えた超音波信号の時刻を超音波信号の到達時刻へ補正することで、精度の良い位置座標を得ることができる。
尚、超音波受信信号の最大値を求める方法としては、上記のようにピークホールド回路を用いて計測しても良いが、超音波信号は一定の比率で減衰するため、予め、超音波受信波形を専用の裝置を使用して計測するときに、電子ペンの距離を変えて減衰の仕方を計測し、その近似式を座標演算部のRAMに保存することで、コンパレータで検出した時刻の超音波受信信号の最大値を計算しても良い。
このとき、超音波信号の波形の振幅を絶えず計測したり、波形データをメモリに保存しておいたりする必要もないため、大量のメモリや高速で高分解能なA/D変換器を必要とせずコスト高を招く恐れがない。更に、消費電力も小さくなり、電源には乾電池を使用することも可能であり、モバイルでも使用することが出来る。
第2の工程は、第1の工程の昇圧用トランジスタ17をオフにし、コイル16に逆起電力を発生させ、この逆起電力によって、コイル16とピエゾ素子12に自己発振を起こし、ピエゾ素子12を振幅させて超音波を発信させる工程である。この2つの工程を行うことで、超音波信号が発信される。
また、一定の時間後、例えば自己発振を2周期した後、再び第1の工程を繰り返すことで、コイル16とピエゾ素子12に自己発振を止める事ができ、超音波の振幅を抑えることができる。このように再び第1の工程を繰り返すことで、計測に不要な超音波信号の残渣部分を抑えることができ、反射波などの影響を最小限にすることができる。
このような電圧がかけられたピエゾ素子12からは図5のような超音波が発信される。始めピエゾ素子12は静摩擦力の影響により、十分に振動できていないが、次第に振幅が大きくなる。その後は最大振幅まで達するが、電圧が下がるので残渣として徐々に減衰していく波形になる。また、超音波発生後再び第1の工程を繰り返すとピエゾ素子の振幅の減少が早くなり、残渣も更に小さくなる。
本発明の手書き筆跡入力システムにおいては、予め、超音波受信波形を専用の装置を使用して計測し、超音波信号の最大値に対する周期毎の極大値の比率、及び、超音波信号の到達時刻から各周期の超音波信号の所定の閾値を超えた時刻までの時間を求めておき、これらの値を座標演算部47のRAM46に保存しておく。
超音波受信波形は距離により減衰するが、いずれの周期においても同じ比率で減衰するため、波形の計測はある特定の距離の1箇所で良く、距離が近くで計測するほど環境の影響を受けにくいため正確に計測できる。
波形を計測する場合、超音波信号は環境によって振幅の大きさが変動することがあるが、その変動の大きさは極大値c、最大値dに比べて小さいため、1周期目の比率である値eに与える影響は少ないが、確実性の面から値eを例えば100回計測したときの最大値より少し大きな値にすることで、振幅の変動があっても何周期目かを間違わずに判定できる。
また、所定の閾値とは、少なくとも電子ペンが筆記範囲における最も遠い位置で超音波信号を発信した時の最大値より小さい値で、ノイズよりも大きい値に設定する。このとき、この範囲内でなるべく小さい値に設定することで、検出する超音波信号は1周期目に近い周期を検出でき、例えば1周期目と2周期目の極大値が近い値になった場合でも、コンパレータは1周期目を検出したと判断することができる。
超音波受信部31、32は、電子ペン1の超音波発生回路11の内部のピエゾ素子12と同様のもので構成されており、超音波発生回路11から発信された超音波信号を受信するものである。電子ペン1が発信する超音波信号を遮られることなく受信できるように、受信機2に開口部を設けて配設する。
これと同時にピークホールド回路26、27をオンにする。その後、半周期後にピークホールド回路26をオフにして、この期間の超音波信号の極大値をRAM46に保存する。また、ピークホールド回路27は所定の周期数後にオフにして、この期間の超音波信号の最大値をRAM46に保存する。
その後、CPU43は、RAM46に保存されたピークホールド回路26とピークホールド回路27の値の比率と、予め保存してある超音波信号の最大値に対する周期毎の極大値の比率とを照らし合わせて、ピークホールド回路26の値が超音波信号の何周期目に相当するのか判断して、超音波信号の到達時刻までの補正値を決めてRAM49に保存する。
このように、ピークホールド回路をオンにする期間を所定の周期数に設定することで、通常、超音波の反射波は波形の最初の部分には現れない為、反射波などの影響を受けずに、ピエゾ素子が最大振幅したときの超音波信号を計測することができる。このピークホールド回路をオンにする期間は、例えば予め、超音波受信波形を専用の装置を使用して計測するときに、最大値が何周期目にあるかを計測しておき、その周期数を所定の周期数として座標演算部47のRAM46に保存しても良いし、例えば、コンパレータ40で所定の閾値以上の信号を検出した時刻から5周期目までと固定してもよい。
その後、CPU43は、極大値tを最大値uで除算した値vが値kより小さければコンパレータが1周期目を検出したと判断して補正値m、値vが値kから値lの間ならコンパレータが2周期目を検出した判断して補正値n、値vが値lより大きければコンパレータが3周期目を検出した判断して補正値oをRAM49に保存する。
変換処理部50のCPU48は、RAM49に保存してある電子ペンの位置座標データを座標の取得間隔に基づいて一連の集合体のストロークデータとして認識する。このストロークデータを構成する連続した位置座標データを繋げて滑らかな線を描くように修正し、筆跡データとしてコンピュータ6に送信する。本実施の形態では、コンピュータ6に接続した状態で筆記を行ったが、受信機2から通信インターフェース5とコンピュータ6を切り離して、受信機2は電池51の電力を使って、屋外などのコンピュータのないところでも使用できる。この場合、変換処理部50のRAM49には、位置座標データを残しても良いし、筆跡データに変換したものを残しても良い。受信機2を再度コンピュータ6に接続した際に、変換処理部50のCPU48は、RAM49にあるデータをコンピュータ6に送信する。
このように設定した手書き筆跡入力システムを図11を用いて説明する。まず、受信機2は電子ペン1から発信された超音波信号をコンパレータの閾値αで検出し、超音波信号の最大値wをピークホールド回路27で計測する。次に最大値uからx%の値yを新しい閾値として再設定し、次に電子ペン1から発信された超音波信号を検出する。このようにコンパレータ40の閾値を、超音波信号を毎回同じ周期目を検出できるように設定するため、補正値は常に一定の補正値zとなる。
この場合、最初の超音波信号は補正できないが、手書き筆跡入力システムにおいて、最初の位置とは電子ペンが被記録媒体に接触した直後の位置なので大きな問題にはならない。また、この場合、赤外線信号と超音波信号の一定の繰り返し間隔は短いほうが、電子ペンの移動距離も短いため、超音波の振幅の増減も少なく、精度が良く計算できる。
(実施例1)
図1のように配置された手書き筆跡入力システムを使用した。ただし、電子ペン1の超音波発生部は80kHzの共振周波数となるようなLC共振回路設け、赤外線信号と超音波信号の繰り返し発信間隔を10msとする。受信機2は図6のブロック図に示す構成を成し、コンパレータの閾値は40mV、ピークホールド回路は全部で4つ使用する。
予め、電子ペンから50mm離れた所に超音波の波形を計測できる装置をおき、超音波信号を100回計測したところ、1周期目の最大値は90mV、2周期目の最大値は180mV、3周期目の最大値は230mVで、この3周期目が超音波信号の最大値であったため、ピークホールド回路26の値をピークホールド回路27の値で除算した結果が40%未満の場合は1周期目を検出したので補正値は625μsとする。また40%以上80%未満の場合は2周期目を検出したので補正値は1625μsとする。また80%以上の場合は3周期目を検出した補正値は2625μsとする。また、超音波信号の最大値が3周期目にあるのでピークホールド回路27をオンにする期間を3周期として、これらを座標演算部47のRAM46に保存する。
電子ペン1は二つの超音波受信部から均等に約100mmと300mmの位置に固定して設置し、約2秒間、電子ペンを静止した筆記状態にして、受信機2で位置座標の計測をおこなった。この動作を10回繰り返したときの座標演算部で生成された位置座標データを評価した結果、100mm、300mm、の位置ともに10回とも正確に電子ペンの位置座標を検出することができた。
超音波受信回路の中のピークホールド回路27、29は使用せず、ピークホールド回路26、28だけ使用して、超音波信号の最大値は計算結果から想定する。予め、超音波受信波形を専用の装置を使用して計測し、電子ペン1の距離を20mmから300mmの位置まで10mm間隔で最大値の大きさを計測する。計測値を累乗近似した結果、数式2の計算結果が得られた。その計算式を座標演算部47のRAM46に保存する。それ以外は、実施例1と同じ構成とする。
電子ペン1は二つの超音波受信部から均等に約100mmと300mmの位置に固定して設置し、約2秒間、電子ペンを静止した筆記状態にして、受信機2で位置座標の計測をおこなった。この動作を10回繰り返したときの座標演算部で生成された位置座標データを評価した結果、100mm、300mm、の位置ともに10回とも正確に電子ペンの位置座標を検出することができた。
超音波受信回路の中のピークホールド回路26、28は使用せず、ピークホールド回路27、29だけ使用して、最初に受信した超音波信号の最大値から60%の値を次の超音波信号を検出するコンパレータ40、41の閾値に設定する。このときコンパレータで検出した時刻を超音波信号の2周期目であると判断して、補正値は1625μsとして、コンパレータの検出時刻を補正する。それ以外は実施例1と同じ構成とする。
電子ペン1は二つの超音波受信部から均等に約100mmと300mmの位置に固定して設置し、約2秒間、電子ペンを静止した筆記状態にして、受信機2で位置座標の計測をおこなった。この動作を10回繰り返したときの座標演算部で生成された位置座標データを評価した結果、100mm、300mm、の位置ともに10回とも正確に電子ペンの位置座標を検出することができた。
受信機2が、図8のブロック図に示す構成を成すがピークホールド回路は使用しない。それ以外は実施例1と同じ構成とする。
実施例1と同様の構成とした。つまり、コンパレータが超音波を検出したときの時刻からの補正値は625μsとして補正する。それ以外は、実施例1と同じ構成とする。
上記の比較例1のシステムを用いて、実施例1と同様の評価を行った。その結果、100mmの位置では10回とも正確に電子ペンの位置座標を検出することができたが、300mmの位置では、10回とも約304mmの距離を示した。これは、300mmの位置ではコンパレータで検出した周期が2周期目だったため、1周期分長めに計算されたのが原因である。
受信機2は超音波信号の波形に現われる複数のピーク点を検出し、これらのピーク点を結ぶ仮想包絡線が波形のゼロレベルと交差するゼロクロス点を検知する。そして、超音波信号の送信の波形の1周期目の立上り時点から受信の波形のゼロクロス点までの経過時間を測定し、該測定値に所定のオフセット時間を加算して、その加算結果に基づいて、測定対象までの距離を算出する構成とする。
上記の比較例2のシステムを用いて、実施例1と同様の評価を行った。その結果、100mm、300mm、の位置ともに10回とも正確に電子ペンの位置座標を検出することができた。
以上のことから、本発明は有効であることが確認された。
2 受信機
3 筆記部
4 被記録媒体
5 通信インターフェース
6 コンピュータ
8 赤外線発生素子
9 赤外線発生回路
10 超音波発生素子
11 超音波発生回路
12 ピエゾ素子
13 信号発信部
14 ペンスイッチ
15、51 電池
16 コイル
17 トランジスタ
18 ダイオード
19、20 抵抗
26、27、28、29 ピークホールド回路
30 赤外線受信部
31、32 超音波受信部
33、34、35 アンプ
36、37、38 フィルタ回路
39、40、41 コンパレータ
42 赤外線超音波測定部
43、48 CPU
44 タイマ
45 フラッシュメモリ
46、49 RAM
47 座標演算部
50 変換処理部
52 赤外線受信回路
53、54 超音波受信回路
Claims (1)
- 少なくとも、赤外線発生素子を含む赤外線発生回路と、超音波発生素子、を含む超音波発生回路と、これらの回路から発信する赤外線信号及び超音波信号を制御する信号発信部と、被記録媒体上に直接軌跡を残すことが可能な機能を有する筆記部と、該筆記部が筆記状態であるか否かを判別するスイッチとから成る電子ペン、並びに少なくとも、一つ以上の赤外線受信部と、二つ以上の超音波受信部を有し、前記赤外線信号と前記超音波信号の前記赤外線受信部又は前記超音波受信部への到達を計測する赤外線超音波測定部、並びに該赤外線超音波測定部から得られた前記赤外線信号と前記超音波信号の到達時間差及び音速を用いて前記電子ペンと前記超音波受信部との間の距離を計算し、該距離を用いて前記電子ペンの位置座標データを計算する座標演算部、並びに前記電子ペンの位置座標データを筆跡データに変換する機能を有する変換処理部とから成る手書き筆跡入力システムであって、前記赤外線超音波測定部は複数のピークホールド回路を有し、超音波信号の最大値に対する所定の閾値を超えた後の半周期以内の極大値の比率から、所定の閾値を超えた時刻を超音波信号の到達した時刻に補正する手段を有することを特徴とする手書き筆跡入力システム。
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