JP4853035B2 - 手書き筆跡入力システム - Google Patents
手書き筆跡入力システム Download PDFInfo
- Publication number
- JP4853035B2 JP4853035B2 JP2006023991A JP2006023991A JP4853035B2 JP 4853035 B2 JP4853035 B2 JP 4853035B2 JP 2006023991 A JP2006023991 A JP 2006023991A JP 2006023991 A JP2006023991 A JP 2006023991A JP 4853035 B2 JP4853035 B2 JP 4853035B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- data
- handwriting
- ultrasonic
- infrared
- electronic pen
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Description
これらの位置検出技術は、次のようなものである。即ち、筆記者が、ボールペンやシャープペンシルなどの筆記可能な手段を組み込んだ電子ペンを用いて被記録媒体上に筆記すると、筆跡が被記録媒体上に記録されると共に、少なくともペン先が被記録媒体と接触している間、電子ペンが赤外線信号と超音波信号を発信する。赤外線超音波測定部が電子ペンから発信された赤外線信号と超音波信号とを受信して、赤外線信号の到達時刻と超音波信号の到達時刻の差から超音波信号の飛行時間を測定し、座標演算部が超音波信号の飛行時間から電子ペンの位置座標を演算する。電子ペンを無線にするには、例えば赤外線信号のような、超音波信号の発信タイミングを伝達する手段が必要であるが、電子ペンを有線にするならば、ケーブルを通じてタイミングを合わせればよいので、赤外線信号などを用いないことも可能である。
超音波が空気中を伝播する速度である音速は、環境条件によって変化することが知られている。音速に影響を与える環境条件としては、気温、湿度、気圧、風速などが挙げられる。座標演算部は、超音波信号の飛行時間を飛行距離に変換する際に、予め定めた一定の基準音速値を用いる。基準音速値は、例えば、想定される使用環境において、音速に影響を与える環境条件のそれぞれについて平均的もしくは代表的な値を基準値として選択し、それらの値に対応する音速値を計算もしくは測定したものである。例えば、音速は、気温の変動に対して、高温になるほど速く、低温になるほど遅くなる。従って、音速を一定とすることにより、基準温度よりも低温の環境下では、電子ペンから超音波受信部までの距離が長く、逆に基準温度よりも高温の環境下では、電子ペンから超音波受信部までの距離が短く測定されてしまうという問題がある。
このため、音速が基準音速値と異なる環境条件下では、筆跡データは、被記録媒体上に記録された実の筆跡と比較して位置的にずれてしまったり、筆跡データが表す形状が実の筆跡と異なってしまったりし、帳票入力における文字認識に失敗する確率が高くなったり、個人認証において筆跡特徴の抽出ができなくなったりしてしまうという問題点を有していた。
本発明は、被記録媒体上に記録された筆跡に対して、より高い絶対的な精度と再現性を得ることができる手書き筆跡入力システムを実現することを課題とするものである。
そこで、本発明は、予め定めた一定の音速値を用いて算出された位置座標データを、測定した環境条件データに基づいて再演算処理する機能を実現し、且つそれに際して赤外線超音波測定部及び/又は座標演算部の負荷を少なくとも従来と同じ水準に抑制し、赤外線超音波測定部及び/又は座標演算部の構成を簡略に保つか、もしくは構成を変えずに、環境条件に左右されない、高精度で再現性の高い筆跡データを得ることができる手書き筆跡入力システムを実現することを今一つの課題とする。
更に、本発明に係る再演算処理は、予め定めた一定の音速値を用いて算出された位置座標データを変換した筆跡データに対して適用することにより、環境条件測定部及び測定した環境条件データを用いる再演算処理機能を持たず、位置座標データを出力する方式の既存の手書き筆跡入力システムに対して、既存部分のハードウエア及びソフトウエアに大きな変更を加えることなく、補正機能を追加することができる。異なる環境条件データをそれぞれ別個のセンサで測定し、ある環境条件については座標演算部において処理し、別の異なる条件については変換処理部における再演算処理によって補正するような構成も可能である。
第1の実施の形態
第1の実施の形態になる手書き筆跡入力システムは、環境条件の変動が音速に与える影響を、環境条件の測定と、測定した環境条件データに対応する音速の算出によって補正する。図1は、本実施の形態になる手書き筆跡入力システムの一例を示す斜視図である。また、図2は本実施の形態になる手書き筆跡入力システムの概略構成を示すブロック図である。
赤外線超音波測定部14、座標演算部15及び環境条件測定部4は受信装置2の内部に組み込まれ、電子ペン1が発生する赤外線信号及び超音波信号の到達時間差から、赤外線超音波測定部14が超音波信号の飛行時間を測定し、環境条件測定部4が測定した環境条件データに基づいて、座標演算部15が電子ペンの位置座標データを、被記録媒体5上の直交座標系において計算する。コンピュータ3は、変換処理部を具備するものであり、パーソナルコンピュータ、PDA、携帯電話などの電子機器であって、適宜の通信インタフェースを介して受信装置2と接続される。そして、受信装置2が電子ペン1の位置座標データをコンピュータ3に搭載した変換処理部に送信すると、変換処理部は電子ペン1の位置座標データを筆跡データに変換し、コンピュータ3に搭載したディスプレイに筆跡を表示したり、筆跡データを文字認識処理したり、記憶装置に保存したりする。
環境条件測定部4が環境条件を測定する間隔は、例えば気温、湿度、気圧のような環境条件であれば、その変動が一般に高速な現象ではないので、電子ペン1が赤外線信号及び超音波信号を発信する周期に比べて低速でよく、例えば1秒以上の間隔であっても問題ない。風速については、本来は変動速度の比較的速い現象であるので、より多くの回数の測定を行うのが好ましい。環境条件測定部4の分解能が十分に細かくない場合、環境条件データの変動に伴い、計算した音速値が大きく変化する可能性があるが、そのような構成下においては、環境条件データの移動平均を計算するなどしてその変動を滑らかにすればよい。
変換処理部16が実行する演算処理を実装するに当たっては、コンピュータ3上で動作する任意のプログラミング言語を用いて、必要な動作を実行するプログラムを作成し、コンピュータ3にインストールすることによって実現できる。
筆跡データは、コンピュータ3に搭載したディスプレイに筆跡として表示されたり、文字認識処理に利用されたり、記憶装置に保存されたりする。
音速v(m/s)の、1気圧における、常温付近での気温T(℃)に対する依存性は、一般に次の数式1で表される。
超音波受信部を3個以上有する場合も、それらの超音波受信部の内から任意の2個を選択した場合に、以下の説明を同様に適用することができる。
以上のような構成下において、超音波信号の飛行時間t1及びt2を、環境条件データに対応する音速値vを用いて変換した超音波信号の飛行距離(それぞれL1及びL2とする)は、下記の数式4で表すことができる。
例えば、ある特定の手書き筆跡入力システムにおいて、図4に示すように、直交座標系を、二つの超音波受信部12及び13の中間地点を原点とし、二つの超音波受信部12及び13を結ぶ直線をx軸、また被記録媒体の筆記領域がy>=0であるように定めたとする。このとき、二つの超音波受信部12及び13が位置する座標をそれぞれ(α,0)及び(−α,0)(ただしα>0)とすると、上述の数式6にこれらの条件を代入し、以下の数式7を得る。
第2の実施の形態になる手書き筆跡入力システムは、固定の音速値を用いて算出された位置座標データから変換した筆跡データを、環境条件の測定と、測定した環境条件データに基づいて再演算処理することによって補正する。図5は、本実施の形態になる手書き筆跡入力システムの一例を示す斜視図である。また、図6は手書き筆跡入力システムの概略構成を示すブロック図である。以下に、本実施の形態について詳細に説明するが、上述した第1の実施の形態と同等な構成及び方法については説明を省略する。
気温については、室内を代表的な使用環境として想定するならば、基準温度として例えば25℃を選択することができる。使用環境が異なる場合は、当然のことながらその環境を代表するような気温を選択するのが好ましい。湿度や気圧については、少なくとも常温付近において、それらの環境条件の変動が音速に与える影響はそれほど大きくないため、基準音速値の選択に当たっては考慮しなくとも構わないと思われるが、より精細な補正を必要とする場合、もしくは特にそれらの環境条件の変動が大きな環境で使用する場合には、考慮に入れる方が好ましい。また風速は、音速が風速を加算した数値になるため、環境条件として考慮に値するが、基準音速値の選択に当たっては、一定の条件を想定できるものではないことと、室内環境では問題にならないと考えられることから、基準風速を0m/sとする。ただし、基準温度の選択において考慮から外した上述の条件、もしくは別の環境条件について、考慮に入れることを妨げるものではない。
基準音速値v0を計算するに当たっては、数式1乃至3を使用する。例えば環境条件として温度のみを選択して数式1を用いると、基準温度を25℃としたときは、基準音速値v0として346.5m/sを得る。
以下では、基準音速値v0を用いて計算した電子ペン1の位置座標データから変換した筆跡データを、環境条件測定部4によって測定した環境条件データに対応する音速値vを用いて再演算処理する方法を説明する。
図3に示すように、座標系を2次元直交座標系とし、電子ペン1の被記録媒体5上の位置座標を(x,y)とする。図7(a)及び(b)に示すように、基準音速値v0を用いて計算した位置座標を(x0,y0)とする。超音波受信部12及び13が位置する座標をそれぞれ(α1,β1)及び(α2,β2)とする。また、超音波受信部12及び13で測定した超音波信号の飛行時間を、それぞれt1及びt2とする。ここで、(x0,y0)を、筆跡データに変換し、測定した環境条件データに対応する音速値vを用いて再演算処理した筆跡データに対応する座標を(xv,yv)とする。(xv,yv)は、(x0,y0)よりも(x,y)に近接するはずであり、理想的には(x,y)と同一値になる。受信装置2は、変換処理部16に、基準音速値v0を用いて計算した位置座標(x0,y0)のデータを送信する。このため、変換処理部16は、直接に超音波信号の飛行時間t1及びt2のデータを持たない。しかし、超音波信号の飛行時間t1及びt2は、前述の数式4及び数式5より、基準音速値v0を用いて計算した位置座標(x0,y0)を利用して逆算することが可能である。逆算して求めた超音波信号の飛行時間をそれぞれt1v及びt2vとすると、それらは下記の数式9のように表すことができる。
まず、第一の方法では、変換処理部16は、環境条件測定部4によって測定された環境条件データを受信するたびに、数式1乃至数式3を用いて、そのときの環境条件データに対応する音速値vを計算し、新しい環境条件データを測定するまでそれを保持する。必要であれば、移動平均などを計算する。そして、受信装置2から電子ペン1の位置座標データを測定するたびに、音速値vを用いて、数式12により、位置座標データ(x0,y0)を再演算処理して(xv,yv)を計算する。
変換処理部16は、ある期間の間に受信した位置座標データを筆跡データに変換する。ある期間とは、応用領域によって異なるが、例えば、筆記者が、ある様式を持った被記録媒体5への筆記を始めてから完了するまでであったり、ある入力項目枠の近辺への筆記を行っている間であったり、もしくは任意の指定時間であったりする。筆跡データへの変換に際しては、筆記速度を計算したり、ストロークの認識を行い、ストロークの平均座標を計算したり、フィルタや補間処理を用いてストロークを滑らかにする平滑化処理を適用したりする。
次に、その筆跡データを構成する位置座標データから、代表的な位置座標データを一つ選択もしくは決定する。この方法としては、例えば、筆跡データの先頭の位置座標データを選択する、筆跡データを構成する位置座標データ全ての平均の座標を計算する、筆跡データを構成する各ストロークデータの先頭の位置座標データの平均の座標を計算する、また筆跡データの外接矩形の中心の点を計算する、などが考えられる。筆跡データの先頭の位置座標データを選択するような方法が最も少ない計算量で済むが、平均や外接矩形も、位置座標データを筆跡データに変換する過程で生成することができるため、十分に有効な選択肢である。変換処理部16は、選択した一つの位置座標データ(x0,y0)に対し、その時点で保持している音速値vを用いて、数式12により、位置座標データ(x0,y0)を再演算処理して(xv,yv)を計算する。その後、数式13を用いて、選択した一つの位置座標データに対する補正ベクトルを表す(dx,dy)を計算し、筆跡データを構成する位置座標データ全てに(dx,dy)を加えて、その筆跡データ全体を再演算処理する。
この第二の方法は、第一の方法と比較して、総じて計算負荷が低い。全ての位置座標データに対して加える処理は、筆跡データ当たり一つの位置座標データに数式12を適用するのに加え、筆跡データにおいて、代表的な位置座標データの決定と移動量の確定した平行移動に過ぎないため、変換処理部16が複雑な再演算処理を実行する回数を劇的に減らすことができる。これは、変換処理部16が組み込まれているコンピュータ3が、特にPDAや携帯電話であって、その計算能力が比較的低くて複雑な計算をそれほど高速に実行できない場合や、もしくは大量の計算を実行することが省電力の面から好ましくない場合などに、有効である。
本実施例は、第1の実施の形態に対応するものである。
図2は、本実施例になる手書き筆跡入力システム概略構成を示すブロック図である。図8は、本実施例における、超音波受信部12及び13とおよそA4サイズの筆記領域の位置関係を示す図であり、図9は実験のために位置座標データを採取する指示位置を示す図であり、図10(b)は、気温5℃、湿度40%、1気圧、無風の条件下で測定した超音波の飛行時間を用いて、環境条件測定部4を組み込んだ受信装置2の座標演算部15において位置座標データを計算し、それらを変換処理部16において変換した筆跡データを示す図である。
本実施例においては、超音波受信部12及び13を、それぞれ(68,0)及び(−68,0)(単位はmm)に設置し、被記録媒体5上の筆記領域17を、y>=0側に、およそA4サイズの大きさで設定した。
実験は、筆記部としてボールペンを具備した電子ペン1を、x方向に5つの位置、y方向に7つの位置で定めた35点の指示位置に順番に置いていき、被記録媒体5上に筆跡を記録すると共に、そのときの位置座標データを取得する方法で実施した。実験は、恒温恒湿槽内で行い、電子ペン1の位置決めには3軸の直交ロボットを用いた。各点においては、電子ペン1を筆記状態で3秒間保持し、点と点の間では電子ペン1を浮上させて、非筆記状態で移動させた。従って、実験の結果、被記録媒体5上には、35箇所に、点と見える筆跡が記録され、それらに対応する位置座標データ、及びそれらを変換した筆跡データが得られた。
35点の指示位置は、(0,25)(単位はmm)からxの正負それぞれの方向に50mm、及び100mmだけ離れた合計5点を定めて一行とし、それら5点がなす一行を、y方向に互いに50mmずつ離れた7つの位置に定めて7行5列の35点としたもので、全体のx方向の幅が200mm、y方向の幅が300mmであって、ほぼA4サイズの領域である。図9は、35個の指示位置をそれぞれ四角いマークで示し、更に、実験において環境条件が基準からずれたときの影響を判別し易いよう、行ごと及び列ごとに仮想的な線で結んで格子18として示したものである。
環境条件測定部4としては、SENSIRION社製デジタル温湿度センサSHT11を採用し、それを受信装置2の内部に組み込んで、測定した温度データ及び湿度データを座標演算部15に受け渡すようにした。受信装置2の筐体外の環境条件を測定できるようにするため、センサは、超音波受信部12のために設けられている開口部の近くに配設した。
次に、変換処理部16において、受信した電子ペン1の位置座標データを筆跡データに変換する。本実施例においては、それぞれのストロークが一点に対する筆記であることから、位置座標データから筆跡データへの変換処理としては、ストロークの認識、及びフィルタを用いた各ストロークの平滑化を行う。位置座標には、発信計測制御に由来する統計的な変位を含む誤差が発生するが、平滑化により、各ストロークデータを、より一点に集中させることができる。
本実施例は、第2の実施の形態に対応するものである。
図6は、本実施例になる手書き筆跡入力システム概略構成を示すブロック図である。図8は、本実施例における、超音波受信部12及び13とおよそA4サイズの筆記領域の位置関係を示す図であり、図9は実験のために位置座標データを採取する指示位置を示す図であり、図11(b)は、気温45℃、湿度40%、1気圧、無風の条件下で採取した位置座標データを変換した筆跡データを、再演算処理した筆跡データを示す図である。
本実施例における、超音波受信部12及び13の位置、被記録媒体5上の筆記領域17の大きさ、また電子ペン1の筆跡を記録する位置、及び位置座標データ採取の方法などは、実施例1と同じであるので説明を省略する。
環境条件測定部4としては、SENSIRION社製デジタル温湿度センサSHT11を採用し、環境条件測定部4において測定した環境条件データをコンピュータ3に取り込み、コンピュータ3に組み込んだ変換処理部16において再演算処理を実施する構成とした。
本実施例においては、基準音速値v0を決定するための基準温度を30℃、基準湿度を40%、基準気圧を1気圧とし、それらを数式3に代入した結果として、基準音速値v0を349.4m/sとした。風の条件は無風とした。
次に、変換処理部16において、基準音速値v0を用いて計算された位置座標データ(x0,y0)を受信して筆跡データに変換する。位置座標データから筆跡データへの変換処理としては、ストロークの認識、及びフィルタを用いた各ストロークの平滑化を行う。
次に、環境条件測定部4で測定した温度、湿度データを用い、気圧を1気圧として、それらを数式3に代入して音速値vを計算し、それを用いて筆跡データを再演算処理する。再演算処理した筆跡データに対応する座標(xv,yv)は、数式12に本実施例の条件を代入することにより、数式14のように得ることができる。
図8は、本比較例における、超音波受信部12及び13とおよそA4サイズの筆記領域の位置関係を示す図であり、図9は実験のために筆跡データを採取する指示位置を示す図であり、図10(a)は実施例1におけると同じ気温5℃、湿度40%、1気圧、無風の条件下で採取した位置座標データを変換した筆跡データを、また図11(a)は実施例2におけると同じ気温45℃、湿度40%、1気圧、無風の条件下で採取した位置座標データを変換した筆跡データを示す図である。
本比較例における、超音波受信部12及び13の位置、被記録媒体5上の筆記領域17の大きさ、また電子ペン1の筆跡を記録する位置、及び位置座標データ採取の方法などは、実施例1及び2と同じであるので説明を省略する。
本比較例においては、基準音速値v0を決定するための基準温度を30℃、基準湿度を40%、基準気圧を1気圧とし、それらを数式3に代入した結果として、基準音速値v0を349.4m/sとした。風の条件は無風とした。
図10(a)に、気温5℃、湿度40%、1気圧、無風の条件下での実験結果を示す。電子ペン1によって実際に被記録媒体5上に記録された35点の筆跡の位置を、点線で結んで格子19として示し、一方、筆跡データの位置を四角いマークで示すと共に、被記録媒体5上に記録された筆跡と比較し易いようにそれらを実線で結んで格子20として示した。気温が基準温度よりも低いため、筆跡データは、被記録媒体5上に記録された筆跡に比べて、総じて超音波受信部12及び13から離れる方向にずれる傾向にあり、y>300mmの領域に見られる最も大きい筆跡からのずれは、15mm程度である。
その結果、実施例1、2における筆記領域17内の最も大きいずれを、同じ環境条件下の比較例1におけるずれにくらべて、大幅に軽減することができた。本例においては点筆跡を対象としたが、筆記者が描くような、より一般的な筆跡に対しても、本例の結果は同じように作用する。従って、環境条件に左右されず、被記録媒体5に対して高い絶対精度を持つ手書き筆跡入力システムを得られることが確認されたと共に、既存のシステムにおける赤外線超音波測定部14及び座標演算部15の構成を変えたり負荷を増大させることなく、環境条件の影響を補正できる手書き筆跡入力システムを得られることが確認された。
本実施例は、第2の実施の形態に対応するものである。
図12は、本実施例になる手書き筆跡入力システムにおいて、特定の位置に特定の入力項目枠を設けた用紙である被記録媒体5上に、電子ペン1を用いて筆記し、実際に被記録媒体5上に記録された結果を示す図であり、図13は、再演算処理前の筆跡データと、ストロークに対して再演算処理を適用した結果の筆跡データを示す図である。
本実施例においては、超音波受信部12及び13を、それぞれ(68,0)及び(−68,0)(単位はmm)に設置し、被記録媒体5上の筆記領域17を、y>=0側に、およそA4サイズの大きさで設定した。筆記者の手や腕が、電子ペン1から発信される赤外線信号及び超音波信号を遮ることのないよう、赤外線受信部11、超音波受信部12及び13は、筆記者から見て筆記領域の上側になるよう設置した。
環境条件測定部4としてはSENSIRION社製デジタル温湿度センサSHT11を用い、環境条件測定部4において測定した環境条件データをコンピュータ3に取り込み、コンピュータ3に組み込んだ変換処理部16において再演算処理を実施する構成とした。
また、本実施例においては、基準音速値v0を決定するための基準温度を25℃、基準湿度を40%、基準気圧を1気圧とし、それらを数式3に代入した結果として、基準音速値v0を346.5m/sとした。風の条件は無風とした。
次に、変換処理部16において、基準音速値v0を用いて計算された位置座標データ(x0,y0)を全て採取して、筆跡データに変換する。位置座標データから筆跡データへの変換処理としては、ストロークの認識、及びフィルタを用いた各ストロークの平滑化を行う。位置座標には、発信計測制御に由来する統計的な変位を含む誤差が発生するが、平滑化により、それらの誤差を解消もしくは軽減し、各ストロークデータを、より実際の筆跡の形状に近づけることができる。更に、各ストロークの先頭の位置座標データを抽出して、それらの平均座標を計算し、筆跡データの平均座標とする。
続いて、環境条件測定部4によって測定した温度、湿度データを用い、気圧を1気圧として、それらを数式3に代入して音速値vを計算し、それを用いて、筆跡データの平均座標に対して、数式14に示した再演算処理を適用する。その後、数式13によって、筆跡データの平均座標に対応する補正ベクトルを求め、筆跡データ全てに補正ベクトルを加える。
図13(a)に、筆跡データに対して再演算処理を適用した結果27を、被記録媒体5上の特定の入力項目枠24と一致する入力項目枠矩形26と重ね合わせて示す。
また、図13(b)に、比較のために、上述した再演算処理を適用する前の筆跡データ28を、被記録媒体5上の特定の入力項目枠24と一致する入力項目枠矩形26と重ね合わせて示す。気温が基準温度よりも低かったため、筆跡データは正しい位置に対して、超音波受信部12及び13から離れる方向である左及び下に向かってずれる。
この結果、筆跡データに再演算処理を適用する方法によって、コンピュータ3における再演算処理の負荷を抑制しつつ、その後の領域抽出や文字認識に使用するのに十分な正確さを持った、再現性の高い筆跡データ27を得ることができた。
方法1 本実施例3に示したように、筆跡データの平均座標を計算し、筆跡データの平均座標に対して、数式14に示した再演算処理を適用し、その後、数式13によって、筆跡データの平均座標に対応する補正ベクトルを求め、筆跡データ全てに補正ベクトルを加える。
方法2 筆跡データを構成するすべての位置座標データに対して、数式14に示した再演算処理を適用する。
処理がコンピュータに及ぼす負荷を比較するために、上記の処理を、それぞれ1000回ずつ繰り返した。これは、例えば、本実施例において採取した筆跡データと同等量の筆跡が20個描かれたページを、50ページ連続処理するのと相当な負荷である。
標準的なPC上において実施した結果、方法2による処理は、完了するまでに明らかに一定の時間を要したのに対して、方法1による処理は、ほとんど瞬時に完了し、大量の再演算処理に関しても実用的であることが確認できたと共に、特にPDAや携帯電話など、その計算能力がPCに比べると低くて複雑な計算をそれほど高速に実行できない場合や、もしくは大量の計算を実行することが省電力の面から好ましくない場合などに、有効であることが確認された。
2 受信装置
3 コンピュータ
4 環境条件測定部
5 被記録媒体
6 スイッチ
7 制御部
8 赤外線発生回路
9 超音波発生回路
10 電源
11 赤外線受光部
12 超音波受信部
13 超音波受信部
14 赤外線超音波測定部
15 座標演算部
16 変換処理部
17 筆記領域
18 指示位置を示す四角いマークと実線の格子
19 被記録媒体上に記録された筆跡の位置を示す点線の格子
20 5℃において採取した筆跡データを示す四角いマークと実線の格子
21 5℃において、環境条件を測定して採取した筆跡データを示す四角いマークと実線の格子
22 45℃において採取した筆跡データを示す四角いマークと実線の格子
23 45℃において、環境条件を測定して再演算処理した筆跡データを示す四角いマークと実線の格子
24 被記録媒体上に設けた特定の入力項目枠
25 被記録媒体上に実際に記録された筆跡
26 被記録媒体上の特定の入力項目枠と一致する入力項目枠矩形
27 環境条件を測定して再演算処理した筆跡データ
28 再演算処理を適用する前の筆跡データ
Claims (4)
- 少なくとも、赤外線発光素子を含む赤外線発生回路と、超音波発生素子を含む超音波発生回路と、これらの回路から発信する赤外線信号及び超音波信号を制御する制御手段と、被記録媒体上に直接軌跡を残すことが可能な機能を有する筆記部と、スイッチとから成る電子ペン、並びに少なくとも、一つ以上の赤外線受光部と、二つ以上の超音波受信部を有し、前記赤外線信号と前記超音波信号の前記赤外線受光部又は前記超音波受信部への到達時間差を計測する赤外線超音波測定部、並びに該赤外線超音波測定部から得られた到達時間差及び音速vを用いて前記電子ペンと前記超音波受信部との間の距離を計算し、該距離を用いて前記電子ペンの位置座標データを計算する座標演算部、並びに赤外線超音波測定部に影響を与える環境条件を測定する機能を有する環境条件測定部、並びに前記電子ペンの位置座標データを筆跡データに変換する機能を有する変換処理部とから成り、前記座標演算部は、前記赤外線超音波測定部から得られた到達時間差及び予め選択した一定の音速v0を用いて前記電子ペンの位置座標データを計算し、前記変換処理部において、前記電子ペンの位置座標データを筆跡データに変換後、前記環境条件測定部によって測定した環境条件データに対応する音速vを用いて前記筆跡データを再演算処理する機能を有することを特徴とする手書き筆跡入力システム。
- 前記座標演算部は、前記赤外線超音波測定部から得られた到達時間差及び予め選択した一定の音速v0を用いて前記電子ペンの位置座標データを計算し、前記変換処理部において、前記電子ペンの位置座標データを筆跡データに変換する際、位置座標データの取得間隔に基づいて連続する位置座標データから得られる筆跡データを一つのストロークデータと認識し、前記筆跡データにおける一つ以上のストロークデータから適宜選択した一つ以上の位置座標データに対して、前記環境条件測定部によって測定した環境条件データに対応する音速vを用いて再演算処理し、該再演算処理結果を前記筆跡データ全体に反映させる機能を有することを特徴とする請求項1に記載の手書き筆跡入力システム。
- 前記再演算処理は、被記録媒体面上の直交座標系(x,y)において、前記二つ以上の超音波受信部から適宜選択した二つの超音波受信部に対し、第1の超音波受信部の位置する座標を(α1,β1)、第2の超音波受信部の位置する座標を(α2,β2)としたとき、前記選択した二つの超音波受信部が測定した到達時間差を元に計算した、前記筆跡データの変換元である位置座標データ(x0,y0)を、前記環境条件測定部によって測定した環境条件データに対応する音速vを用いて、
によって計算される(xv,yv)に再演算処理することを特徴とする請求項1乃至請求項2のいずれか一項に記載の手書き筆跡入力システム。 - 前記変換処理部は、赤外線超音波測定部及び/又は座標演算部、及び環境条件測定部と通信可能なインタフェースを有するパーソナルコンピュータ、又はPDA、又は携帯電話であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の手書き筆跡入力システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006023991A JP4853035B2 (ja) | 2006-01-31 | 2006-01-31 | 手書き筆跡入力システム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006023991A JP4853035B2 (ja) | 2006-01-31 | 2006-01-31 | 手書き筆跡入力システム |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007206907A JP2007206907A (ja) | 2007-08-16 |
JP4853035B2 true JP4853035B2 (ja) | 2012-01-11 |
Family
ID=38486337
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006023991A Expired - Fee Related JP4853035B2 (ja) | 2006-01-31 | 2006-01-31 | 手書き筆跡入力システム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4853035B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5272401B2 (ja) * | 2007-12-26 | 2013-08-28 | ぺんてる株式会社 | 手書き筆跡入力システム |
JP5120128B2 (ja) * | 2008-07-31 | 2013-01-16 | ぺんてる株式会社 | 手書き筆跡入力システム |
JP2010162706A (ja) | 2009-01-13 | 2010-07-29 | Fuji Xerox Co Ltd | 感圧表示媒体及び筆記表示装置 |
DE102013214020A1 (de) * | 2013-07-17 | 2015-02-19 | Stabilo International Gmbh | Digitaler Stift |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003140819A (ja) * | 2001-11-05 | 2003-05-16 | Fujitsu Ltd | 超音波座標入力装置 |
JP2003234862A (ja) * | 2002-02-08 | 2003-08-22 | Canon Inc | 座標入力装置、その制御方法、及びその制御プログラムを格納したコンピュータにより読み取り可能な記憶媒体 |
JP2004192199A (ja) * | 2002-12-10 | 2004-07-08 | Fujitsu Ltd | 超音波型座標入力装置 |
JP2005301652A (ja) * | 2004-04-12 | 2005-10-27 | Pentel Corp | 手書き筆跡入力装置用座標入力補正方法 |
-
2006
- 2006-01-31 JP JP2006023991A patent/JP4853035B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2007206907A (ja) | 2007-08-16 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN100377043C (zh) | 三维手写识别的方法及其系统 | |
US7508384B2 (en) | Writing system | |
KR100465241B1 (ko) | 가상 필기 평면을 이용한 모션 인식 시스템 및 그 인식방법 | |
KR100996758B1 (ko) | 전자 스타일러스의 팁의 위치를 결정하는 방법 | |
US20090183929A1 (en) | Writing system with camera | |
US8259092B2 (en) | Method for writing motion and trajectory recognition and writing apparatus and recognizing system | |
US8269720B2 (en) | Input device having the function of recognizing hybrid coordinates and operating method of the same | |
JP2004227563A (ja) | 慣性センサの積分 | |
US8194926B1 (en) | Motion estimation for mobile device user interaction | |
US6625314B1 (en) | Electronic pen device and character recognition method employing the same | |
US11853486B2 (en) | Stylus and position calculation method | |
JP7053804B2 (ja) | 慣性センサによる筆記方向の特定 | |
JP4853035B2 (ja) | 手書き筆跡入力システム | |
US10877577B2 (en) | Input device for electronic device and input system | |
JP5861818B2 (ja) | 電子筆記装置 | |
JP2013097509A (ja) | 電子筆記装置及び筆記データ処理装置 | |
US9442577B2 (en) | System for inputting graphical elements | |
KR102242154B1 (ko) | 필기 및 메모기능을 가지는 디지털 펜 시스템 | |
KR20230017538A (ko) | 전자 장치 및 필기 인식 방법 | |
JP2007272710A (ja) | 手書き筆跡入力システム | |
US20240053835A1 (en) | Pen state detection circuit and method, and input system | |
JP5141380B2 (ja) | 手書き筆跡入力システム | |
JP5272401B2 (ja) | 手書き筆跡入力システム | |
US20230394721A1 (en) | Information processing apparatus, program, and system | |
JP7472262B2 (ja) | 入出力モデルを設定可能なペン状態検出回路 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20081113 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20100916 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20101012 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20101209 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20110621 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20110818 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20110927 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20111010 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141104 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 4853035 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |