JP5141023B2 - アロエソン合成酵素 - Google Patents
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Description
Abe et al., FEBS Lett., 562, 171, 2004
(1)次の(a)、(b)、または(c)に記載の核酸:
(a)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする核酸、
(b)配列番号1に記載の塩基配列を有する核酸、またはこの核酸と相補的な核酸、
(c)上記(a)、または(b)に記載の核酸またはこの核酸と相補的な核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつアロエソン合成活性を有するタンパク質をコードする核酸。
(2)次の(d)または(e)に記載のタンパク質:
(d)配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質、
(e)配列番号2に記載のアミノ酸配列において、1個もしくは複数のアミノ酸が欠失、置換、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列を有し、かつアロエソン合成活性を有するタンパク質。
(3)上記(1)に記載の核酸が発現可能に結合された発現用組換えベクター。
(4)上記(3)に記載の組換えベクターを含む形質転換体。
(5)上記(2)に記載のタンパク質をアセチルCoA及びマロニルCoA、もしくは、マロニルCoAを含有する溶液中で反応させることを特徴とするアロエソンの合成方法。
(6)上記5で合成されたアロエソンを配糖化することを含む、アロエシンの製造方法。
(7)上記6記載の方法で製造されたアロエシンから成る抗炎症剤。
本発明に用いられるアロエソンとは、アロエに含まれている植物ポリケタイドの一種であり、この配糖体が抗炎症物質アロエシンである。アロエソンは、2-アセトニル-7-ヒドロキシ-5-メチルクロモンとも称される。
本発明の核酸は、例えば、以下(1)〜(3)のステップを経て単離することが可能である。
(1)キダチアロエ植物核酸ライブラリーの調製
核酸ライブラリーには、ゲノミックDNA、cDNA、RNAが含まれる。このうち、cDNAの調製は、例えば Eur. J. Biochem, 268, 3354-3359 (2001) に開示された公知方法に従って行うことができる。この他に、ゲノミックDNAを用いることもできる。
アロエソン合成酵素遺伝子については、上記のダイオウ由来のもの以外には知られていない。このため、本発明者は、活性が類似のタンパク質であるカルコン合成酵素の既知配列に基づき工夫して設計した配列番号3〜配列番号6に記載の縮重合入りPCRプライマーを用いることによって初めて、キダチアロエ核酸ライブラリーからPCR法によって、アロエソン合成酵素遺伝子の単離を行うことができる。例えば、ライブラリーがRNAの場合には、RT−PCR法により、アロエソン合成酵素遺伝子を単離することができる。また、mRNAを精製した後に、cDNAを合成し、そのcDNAライブラリーからPCR法により、アロエソン合成酵素遺伝子を単離することもできる。
配列番号4 5'- GCI AA(A/G) GA(T/C) ITI GCI GA(A/G) AA(T/C) AA-3'
配列番号5 5'-CCC (C/A)(A/T)I TCI A(A/G)I CCI TCI CCI GTI GT-3'
配列番号6 5'-TCI A(T/C)I GTI A(A/G)I CCI GGI CC(A/G) AA-3'
単離された遺伝子の塩基配列は、ダイデオキシ法などの公知の方法により決定することができる。また、決定された塩基配列に基づいて、既知遺伝子の塩基配列との相同性検索を行うことができる。
単離したアロエソン合成酵素遺伝子によってコードされるタンパク質は、アロエソン合成酵素遺伝子のcDNAを発現ベクターに組み込み、このベクターを大腸菌に導入することにより大腸菌の菌体内で発現させることができる。アロエソン合成酵素遺伝子によってコードされるタンパク質の発現、及びタンパク質の精製は、例えば「QIAexpress ExpressionSystem」(Qiagen社製)に添付のプロトコールに記載の方法に基づいて行うことができる。また、この大腸菌で発現、精製したアロエソン合成酵素タンパク質の機能は公知の方法で確認することができる。例えば、 FEBS Lettes, 562, 171-176 (2004) に開示された公知方法に従って行うことができる。
本発明に係る遺伝子の塩基配列に1個もしくは複数の塩基の欠失、置換、挿入若しくは付加といった変異を導入する方法としては、特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。このような方法としては、例えば、亜硫酸ナトリウムを用いた化学的な処理によりシトシンをウラシルに置換するトランジション変異を起こさせる方法、マンガンを含む反応液中でPCRを行いDNA合成時のヌクレオチド取り込みの正確さを低下させることにより変異を導入する方法等のランダムな変異の導入方法、アンバー変異を導入する方法等の部位特異的に変異を導入する方法が挙げられる。
本発明の新規アロエソン合成酵素を利用することによって、アセチルCoA及びマロニルCoA、もしくは、マロニルCoAを含有する溶液中とから、アロエソンを合成することができる。更に、こうして得られたアロエソンを当業者に公知の任意の方法で配糖化することによってアロエシンを製造することができる。このアロエシンは抗炎症剤等の医薬組成物の有効成分として有用である。
キダチアロエの若葉からのcDNAの調製は以下のようにして行った。
すなわち、キダチアロエ若葉を摘み取り、速やかに液体窒素中にて冷凍した。全RNAをAGPC(acid guanidium thiocyanate / phenol / chloroform)法により調製した。このRNAを逆転写酵素(Reverscript:Wako)、及び配列番号5に記載のオリゴdTプライマー(RACE32)を用い、逆転写酵素の手順書に従って、cDNAを合成した。得られたcDNAは、Tris/EDTA(10mM Tris、1mM EDTA、pH8.0)に溶解し、PCR法において鋳型として用いた。
塩基配列が既知のカルコン合成酵素遺伝子の塩基配列を基に、配列番号3〜配列番号6に記載の二組のPCRプライマーセットを作製した。実施例1で調製したcDNAについて、配列番号3と配列番号5の組からなる第1プライマーセットにより、一度目のPCR反応を行った後、配列番号4と配列番号6の組からなる第2プライマーセットにより、二度目のPCR反応を行うことにより、ネステッドPCR法を実施した。PCR法の条件は、94℃、0.5分間の熱変成、42℃、0.5分間のアニーリング、及び72℃、1分間の伸長反応を1サイクルとして、30サイクルを行った後、最後に10分間の伸長反応を行った。ゲル精製したPCR産物は、pT7Blue T-Vector(Novagen)に組み込み、塩基配列を解析した。
上記実施例2において、アロエソン合成酵素を得た。配列番号1には、アロエソン合成酵素の塩基配列を、また、配列番号2には、アロエソン合成酵素のアミノ酸配列をそれぞれ示した。
配列番号1の塩基差異列を有するクローンの全長cDNA配列をRT−PCRにより増幅し、大腸菌発現ベクターpQE-81L(+)(QIAGEN)に組み込んだ。この結果、このクローンは、N末端にヒスチジンタグを有する組み換え酵素として、大腸菌において異種発現されるように組み込まれた。なお、構築した発現用組換えベクターについては、DNA配列を確認した。
実施例4で構築した発現用組換えベクターを大腸菌M15を宿主として形質転換した。形質転換した大腸菌は、100μg/mLのアンピシリンを含むLuria-Bertani培地で、吸光度A600=0.6になるまで30℃で培養し、次に0.4mM isopropyl thio-β-D-glactosideを添加し、さらに16℃で14時間培養した。
実施例5で培養した大腸菌を集菌の後、0.1M NaClを含む 40mMリン酸カリウム緩衝液pH7.9に懸濁し、ソニケーターで細胞を破砕し、15,000gで40分間遠心した。
実施例6で調製したアロエソン合成酵素の酵素活性を次の方法で測定した。すなわち、
標準反応混合液はマロニルCoA(140 nmol)、その他のCoAエステル(54 nmol)、及び実施例6で精製したアロエソン合成酵素(220 pmol)を含むリン酸カリウム緩衝液であった(最終容量:500 μL、pH 7.0)。これを30℃で90分間インキュベートし、50μLの20%塩酸を添加して反応を停止させた。反応産物を酢酸エチル(1,000μL)で抽出し,文献記載の方法に従い、逆相HPLC 及びLC-ESIMSで分析した(Abe et al., FEBS Lett., 562, 171, 2004)。その結果、実施例6で精製した本発明のタンパク質であるアロエソン合成酵素は20%の収率でアロエソンを主生成物として与えた。
Claims (6)
- 次の(a)又は(b)に記載のタンパク質をコードする核酸:
(a)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質、
(b)配列番号2に記載のアミノ酸配列において、1個もしくは複数のアミノ酸が欠失、置換、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつアロエソン合成活性を有するタンパク質。 - 配列番号1に記載の塩基配列を含む、請求項1記載の核酸。
- 次の(a)又は(b)に記載のタンパク質:
(a)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質、
(b)配列番号2に記載のアミノ酸配列において、1個もしくは複数のアミノ酸が欠失、置換、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつアロエソン合成活性を有するタンパク質。 - 請求項1又は2に記載の核酸が発現可能に結合された発現用組換えベクター。
- 請求項4に記載の組換えベクターを含む形質転換体。
- 請求項3に記載のタンパク質をアセチルCoA及びマロニルCoA、もしくは、マロニルCoAを含有する溶液中で反応させることを特徴とするアロエソンの合成方法。
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