しかしながら、上記従来の構成では、マルチパスが発生し直接波と遅延波の電界強度比が1対1に近づくと、検出するガード相関信号の強度ピークタイミングは、主波のガード相関信号の強度ピークタイミングと遅延波のガード相関信号の強度ピークタイミングとの中間の値を取るようになる。このため、強度ピークタイミングの時間軸に対する変化量は、短期間で検出する限り異なる複数の期間を用いて検出したとしても、検出する度に様々な値をとるようになる。従って、例えば変化量の最頻値を用いてクロック周波数誤差を検出しても、変化量の最頻値が適切な変化量の値であるとは限らないために、検出したクロック周波数誤差が正確であるとは限らない。
また、遅延プロファイルが頻繁に切り替わるような環境下では、ガード相関信号の強度ピークタイミングの値が頻繁に変化し、少ないサンプルで強度ピークタイミングの時間軸に対する変化量を検出してクロック周波数誤差を検出することが困難にある。
従って、上記従来の構成でガード相関信号の強度ピークタイミングの変化量を用いてクロック周波数誤差を正確に検出するためには、長期間にわたり多くのサンプルを用いて検出する必要があるが、そのようにすると、OFDM復調装置の回路規模が大きくなるという問題を生じる。
また、特に都市部におけるマルチパス環境下や、複数の放送局が同じチャネルで同じ放送を送信するSFN(Same Frequency Network)環境下では、周波数誤差検出に長時間を要するという問題も明らかになっている。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、回路規模を大きくすることなく、自身の受信周波数と放送波の周波数との誤差を短時間で検出することができるOFDM復調装置、OFDM復調方法、制御プログラム、および、コンピュータ読み取り可能な記録媒体を実現することを目的とする。
本発明に係るOFDM復調装置は、上記課題を解決するために、有効シンボルとガードインターバルとを有する伝送シンボルを含むOFDM信号を受信し、所定のサンプリングクロックでサンプリングして受信サンプル系列信号を生成するサンプリング手段を備えたOFDM復調装置であって、上記受信サンプル系列信号と、当該受信サンプル系列信号を有効シンボル期間遅延したサンプル系列信号とから、1伝送シンボル期間長の平均化された複素相関強度信号を生成する複素相関強度演算手段と、上記平均化された複素相関強度信号における上記有効シンボルの境界を境界検出する境界検出手段と、上記複素相関強度演算手段によって連続して生成された第1の複素相関強度信号および第2の複素相関強度信号について、上記第1の複素相関強度信号における上記境界の位置と上記第2の複素相関強度信号における上記境界の位置との差、および、上記複素相関強度演算手段が上記複素相関強度信号の平均化に要する処理時間から、上記OFDM信号の伝送クロックと上記サンプリングクロックとの周波数誤差を検出する周波数誤差検出手段と、上記周波数誤差検出手段によって検出された周波数誤差を補正する周波数誤差補正手段を備えていることを特徴としている。
上記の構成によれば、本発明に係るOFDM復調装置では、サンプリング手段が、有効シンボルとガードインターバルとを有する伝送シンボルを含むOFDM信号を受信し、所定のサンプリングクロックでサンプリングして受信サンプル系列信号を生成する。
つまり、OFDM復調装置は、OFDM変調された放送波などのデジタル信号を受信して、OFDM復調装置自身の動作クロックに基づいて所定のサンプリングクロック周波数でサンプリングする。OFDM変調されたデジタル信号は、OFDM復調装置の動作クロックとは独立した伝送クロックによって伝送される。なお、OFDM変調されたデジタル信号は、放送波に限らず、無線、有線の伝送路や通信網等を通じて伝送されるデータ信号であってもよい。
また、上記の構成によれば、複素相関強度演算手段は、上記受信サンプル系列信号と、当該受信サンプル系列信号を有効シンボル期間遅延したサンプル系列信号とから、1伝送シンボル期間長の平均化された複素相関強度信号を生成する。受信サンプル系列信号としてサンプリングされるOFDM信号は、有効シンボルとガードインターバルとを含んで構成される伝送シンボルからなり、有効シンボル期間遅延させた信号とガードインターバル期間において有意な相関を示し、相関強度が高くなる。複素相関強度演算手段は、複素相関強度を算出する場合、例えば、複素相関をシンボル方向積分や移動平均演算処理することにより、複素相関データの揺らぎを削減してから複素相関強度を算出する構成であってもよい。さらに、複素相関強度演算手段は、複素相関から算出した複素相関強度をサンプル点方向に平滑化するための移動平均処理や高周波成分を除去するフィルタリング処理を行う構成であってもよい。
また、複素相関強度演算手段は、1つの素波について複素相関強度を算出する構成であってもよいし、1つの素波と当該素波が遅延して到達した素波との合成波について複素相関強度を算出する構成であってもよく、特に限定はされない。
また、上記の構成によれば、境界検出手段は、上記平均化された複素相関強度信号における上記有効シンボルの境界を境界検出する。上述したとおり、ガードインターバル期間では相関強度が高くなるため、相関強度の変化から有効シンボルの境界を検出することが可能である。
境界検出手段は、例えば、複素相関強度の微分演算を行い、微分出力のピーク位置(複素相関強度が増加する場合には正の微分出力となり、減少する場合には負の微分出力となる)をガードインターバル期間の境界位置として検出してもよいし、あるいは、複素相関強度の波形を解析することによってガードインターバル期間の境界位置として検出してもよく、特に限定はされない。
また、上記の構成によれば、周波数誤差検出手段は、上記複素相関強度演算手段によって連続して生成された第1の複素相関強度信号および第2の複素相関強度信号について、上記第1の複素相関強度信号における上記境界の位置と上記第2の複素相関強度信号における上記境界の位置との差、および、上記複素相関強度演算手段が上記複素相関強度信号の平均化に要する処理時間から、上記OFDM信号の伝送クロックと上記サンプリングクロックとの周波数誤差を検出する。
送信側動作クロック周波数と受信側動作クロック周波数との間に差がある場合、受信側と送信側とで一定時間あたりのクロック数が異なることになるため、複素相関強度の波形、すなわち、シンボルの境界の位置が前方あるいは後方にずれる。そして、反対に、このずれ(すなわち、連続して算出される複素相関強度のシンボルの境界位置との差)に基づいて、送信側と受信側との周波数誤差を検出することができる。
そこで、周波数誤差検出手段は、連続して生成された第1の複素相関強度信号と第2の複素相関強度信号とのシンボルの境界の位置の差と、平均化された複素相関強度信号の算出に要する処理時間とを解析することによって周波数誤差を検出する。周波数誤差検出手段は、例えば、シンボルの境界の位置の差を処理時間で除して得られる値、あるいは、それを複数の周波数誤差検出サイクルにわたって積分した値などを周波数誤差として用いる構成であってもよい。
そして、周波数誤差補正手段は、周波数誤差検出手段によって検出された周波数誤差を補正する。周波数誤差補正手段は、例えばPLL回路などとして構成され、サンプリングクロック周波数を直接変更してもよいし、あるいは、周波数誤差に応じて真のサンプリングタイミングにおけるサンプリングデータを補間するフィルタなどとして構成されてもよく、特に限定はされない。
1つの周波数誤差検出サイクルにおいて検出される周波数誤差を周波数誤差検出手段が補正した後、再度、周波数誤差検出手段が同様の処理によって周波数誤差を検出するが、各周波数誤差検出サイクルにおいて検出される周波数誤差は、検出誤差(真の周波数誤差との差)をなお含んでいたとしても、次の周波数誤差検出サイクルにおいては、その差分の周波数誤差を検出すればよく、この周波数検出誤差サイクルを繰り返すことによって、真の周波数誤差を検出し、補正することになる。
これにより、本発明に係るOFDM復調装置では、連続して算出された複素相関強度におけるシンボルの境界の位置の差から周波数誤差を算出することができる。複素相関強度の波形は安定して解析することができ、周波数誤差に起因するシンボルの境界の位置の差は、少ないサンプル数であっても、信頼性の高い検出結果を得ることができる。したがって、回路規模を増大させることなく、短時間で精度よく周波数誤差を検出し、補正することができる。
また、本発明に係るOFDM復調方法は、有効シンボルとガードインターバルとを有する伝送シンボルを含むOFDM信号を受信し、所定のサンプリングクロックでサンプリングして受信サンプル系列信号を生成するOFDM復調方法であって、上記受信サンプル系列信号と、当該受信サンプル系列信号を有効シンボル期間遅延したサンプル系列信号とから、1伝送シンボル期間長の平均化された複素相関強度信号を生成する複素相関強度演算ステップと、上記平均化された複素相関強度信号における上記有効シンボルの境界を境界検出する検出ステップと、上記複素相関強度演算ステップによって連続して生成された第1の複素相関強度信号および第2の複素相関強度信号について、上記第1の複素相関強度信号における上記境界の位置と上記第2の複素相関強度信号における上記境界の位置との差、および、上記複素相関強度演算ステップが上記複素相関強度信号の平均化に要する処理時間から、上記OFDM信号の伝送クロックと上記サンプリングクロックとの周波数誤差を検出する周波数誤差検出ステップと、上記周波数誤差検出ステップによって検出された周波数誤差を補正する周波数誤差補正ステップを含んでいることを特徴としている。
上記の構成によれば、本発明に係るOFDM復調装置と同様の作用効果を奏する。
本発明に係るOFDM復調装置では、上記複素相関強度演算手段は、上記受信サンプル系列信号と、当該受信サンプル系列信号を有効シンボル期間遅延したサンプル系列信号との相関値を1伝送シンボル期間おきに加算することによって、シンボルナンバー方向に積分された複素相関信号を生成するシンボルナンバー方向積分手段と、上記複素相関信号から複素相関強度信号を生成し、当該複素相関強度信号を平滑化する平滑化手段とを備えていることが好ましい。
上記の構成によれば、シンボルナンバー方向積分手段は、有効シンボル期間遅延したOFDM信号の相関値を1伝送シンボル期間おきに加算して、複素相関信号をシンボルナンバー方向積分する。
また、上記の構成によれば、平滑化手段は、シンボルナンバー方向積分した複素相関信号から生成した複素相関強度信号を平滑化する。
これにより、複素相関強度演算手段は、複素相関信号の揺らぎを大幅に削減して、揺らぎの小さい複素相関強度を算出すると共に、算出した複素相関強度に残るわずかな揺らぎを除去するフィルタリング処理を施すことにより、平滑な波形の複素相関強度信号を生成できる。したがって、本発明に係るOFDM復調装置では、複素相関強度信号の波形から、有効シンボルの境界を精度よく検出することができる。
本発明に係るOFDM復調装置では、上記シンボルナンバー方向の積分期間を内部のパラメーターに基づいて決定する積分期間決定手段をさらに備えていることが好ましい。
上記の構成によれば、積分期間決定手段は、シンボルナンバー方向積分手段によるシンボルナンバー方向の積分期間を内部のパラメータに基づいて決定する。
連続して算出された複素相関強度信号における有効シンボルの境界の位置の差は、シンボルナンバー方向の積分期間(シンボル方向フィルタリング期間いわゆる区間平均のサイクル数)に依存した検出精度となる。検出した周波数誤差と実際の周波数誤差とが大きい場合、相関強度がずれながら積分されることになるため、シンボル方向フィルタリング期間を大きくとると、相関強度の立ち上がり、立ち下がりに傾斜が発生し、微分波形がなまってしまう。
そこで、本発明に係るOFDM復調装置では、積分期間決定手段は、内部パラメータとしてOFDM復調装置の動作開始からの経過時間に応じて、シンボル方向積分期間を決定する。例えば、積分期間決定手段は、特に動作開始直後など周波数誤差が大きいと予測される条件においてはシンボル方向積分期間を短く設定し、周波数誤差が安定したと判断した後においてはシンボル方向積分期間を長く設定する構成であってもよい。
これにより、本発明に係るOFDM復調装置では、シンボル方向積分期間を内部のパラメーターに応じて適切に変更することができるため、連続して算出された複素相関強度信号における有効シンボルの境界の位置の差を、精度良く検出することが可能となる。
本発明に係るOFDM復調装置では、上記境界検出手段は、上記平均化された複素相関強度信号を微分した微分出力信号を生成して、当該微分出力信号のピーク位置を上記境界として検出することが好ましい。
上記の構成によれば、境界検出手段は、複素相関強度信号の微分出力におけるピーク位置を、有効シンボルの境界として検出する。
これにより、本発明に係るOFDM復調装置では、有効シンボルの境界を簡素な構成により、正確に検出することが可能となる。
本発明に係るOFDM復調装置では、上記境界検出手段は、上記第1の複素相関強度信号における上記ピーク位置を検出した後、上記第2の複素相関強度信号における上記ピーク位置を検出する場合、上記第1の複素相関強度信号における上記境界のピーク位置から、設定された範囲において、上記第2の複素相関強度信号における上記ピーク位置を検出することが好ましい。
上記の構成によれば、境界検出手段は、第1の複素相関強度信号におけるピーク位置を検出した後、第2の複素相関強度信号における境界の位置を検出する。このとき、境界検出手段は、設定された範囲において、第2の複素相関強度信号におけるピーク位置を検出する。
マルチパスやフェージングなど、各素波の強弱の関係が入れ替わる条件下では、複素相関強度信号の微分出力のピークのうち、最大値を示すピークの位置が異なる。例えば複数の素波からなる合成波についてシンボルの境界を検出する場合、m−1回目の検出サイクルの複素相関強度信号(第1の複素相関強度信号)において、ある素波のシンボル境界を示すピーク位置peak(m−1)で最大のピーク値を示したときに、m回目の検出サイクルの複素相関強度信号(第2の複素相関強度信号)において、ピーク位置peak(m−1)に対応するピーク位置peak(m)のピーク値が、別の素波のシンボル境界を示すピーク位置peak’(m)のピーク値よりも小さくなってしまうと、検出サイクルごとに異なるピークについてピーク位置の差(すなわち、Δpeak(m)=peak(m−1)−peak’(m))を算出することになり、この差に基づいて周波数誤差を計算することになるため、正しい周波数誤差が得られないことになる。
そこで、本発明に係るOFDM復調装置では、第1の複素相関強度信号において最大のピーク値を示すピーク位置peak(m−1)を検出した後は、次の検出サイクルで第2の複素相関強度においてピーク位置を検出する範囲を、設定された範囲に限定し、例えば検出範囲がWに設定された場合、peak(m−1)±Wの範囲においてピーク位置の検出を行う。
なお、設定された値は、予め定められた値でもよいし、初期化直後からの経過時間や積分するシンボルの数、あるいは、受信状況など受信装置の内部状態に応じて変化する構成であってもよい。
これにより、マルチパスやフェージングなど、各素波の強弱の関係が入れ替わる条件下においても、適切なピーク位置を検出することができるため、正しく算出されるピーク位置の差から正確に周波数誤差を検出することができる。
本発明に係るOFDM復調装置では、上記周波数誤差検出手段によって検出された周波数誤差を記憶する記憶手段と、上記微分出力信号を構成する出力データのうち、設定された閾値を超える出力データが存在する場合、上記境界検出手段による上記境界の位置検出が有効であると判定する判定手段とをさらに備え、上記周波数誤差検出手段は、上記第1の複素相関強度信号における上記境界の位置検出と上記第2の複素相関強度信号における上記境界の位置検出とのいずれもが、上記判定手段によって有効と判定された場合に限って、上記周波数誤差を検出し、上記周波数誤差補正手段は、上記周波数誤差検出手段が上記周波数誤差を検出した場合、上記周波数誤差検出手段によって検出された周波数誤差を補正し、上記周波数誤差検出手段が上記周波数誤差を検出しない場合、上記記憶手段に記憶されている周波数誤差を補正することが好ましい。
上記構成によれば、記憶手段は、周波数誤差検出手段によって検出された周波数誤差を記憶する。
また、判定手段は、上記微分出力信号の出力データのうち、設定された閾値を超える出力データが存在する場合、境界検出手段によってシンボル境界の位置検出が有効であると判定する。
そして、周波数誤差検出手段は、第1の複素相関強度信号におけるシンボル境界の位置検出と上記第2の複素相関強度信号におけるシンボル境界の位置検出とのいずれもが有効な場合にのみ、周波数誤差を検出する。
また、周波数誤差補正手段は、周波数誤差検出手段が周波数誤差を検出した場合には、その周波数誤差を補正し、周波数誤差検出手段が周波数誤差を検出しない場合には、記憶手段に記憶されている周波数誤差を補正する。
周波数誤差を算出する場合に用いるピーク位置の差は、直前の連続する検出サイクルにおいて検出されたピーク位置、すなわち、第1の複素相関強度信号および第2の複素相関強度信号においてピーク位置が正しく検出できていることが前提となる。例えば、受信装置が移動する場合、周波数誤差検出中に電波が途絶えたり、強弱が変化したりすることによって、周波数誤差検出中に所望のOFDM波が得られなくなると、ピーク位置の検出は不正確になる。
そこで、判定手段は、微分出力信号の出力データのうち、設定された閾値を超える出力データの有無によって、ピーク位置の検出が正確に行われたか否かを判定する。そして、閾値を超えるピーク値が検出されない場合には、例えば前回検出のピーク位置のデータとともに検出値を破棄し、周波数誤差を検出しないようにする。そして、代わりに、記憶手段において記憶されている前回までの周波数誤差を使用する。その後、微分出力の有意なピーク位置が2回連続して検出された場合には、再度、ピーク位置の差に基づいて周波数誤差を計算する。なお、この閾値は、予め定められた値でもよいし、微分出力信号に基づいて計算して設定する構成であってもよい。
これにより、正確に検出されたピーク位置の差に基づいて周波数誤差を算出できるため、より精度の良い周波数誤差を検出することが可能となる。
本発明に係るOFDM復調装置では、上記周波数誤差検出手段によって検出された周波数誤差を記憶する記憶手段と、上記微分出力信号を構成する出力データのうち、設定された閾値を超える出力データの数が、予め定められた範囲内にある場合、上記境界検出手段による上記境界の位置検出が有効であると判定する判定手段とをさらに備え、上記周波数誤差検出手段は、上記第1の複素相関強度信号における上記境界の位置検出と上記第2の複素相関強度信号における上記境界の位置検出とのいずれもが、上記判定手段によって有効と判定された場合に限って、上記周波数誤差を検出し、上記周波数誤差補正手段は、上記周波数誤差検出手段が上記周波数誤差を検出した場合、上記周波数誤差検出手段によって検出された周波数誤差を補正し、上記周波数誤差検出手段が上記周波数誤差を検出しない場合、上記記憶手段に記憶されている周波数誤差を補正することが好ましい。
上記構成によれば、記憶手段は、周波数誤差検出手段によって検出された周波数誤差を記憶する。
また、判定手段は、上記微分出力信号の出力データのうち、設定された閾値を超える出力データの数が、予め定められた範囲内にある場合、境界検出手段によってシンボル境界の位置検出が有効であると判定する。
そして、周波数誤差検出手段は、第1の複素相関強度信号におけるシンボル境界の位置検出と上記第2の複素相関強度信号におけるシンボル境界の位置検出とのいずれもが有効な場合にのみ、周波数誤差を検出する。
また、周波数誤差補正手段は、周波数誤差検出手段が周波数誤差を検出した場合には、その周波数誤差を補正し、周波数誤差検出手段が周波数誤差を検出しない場合には、記憶手段に記憶されている周波数誤差を補正する。
周波数誤差を算出する場合に用いるピーク位置の差は、直前の連続する検出サイクルにおいて検出されたピーク位置、すなわち、第1の複素相関強度信号および第2の複素相関強度信号においてピーク位置が正しく検出できていることが前提となる。例えば、受信装置が移動する場合、周波数誤差検出中に電波が途絶えたり、強弱が変化したりすることによって、周波数誤差検出中に所望のOFDM波が得られなくなると、ピーク位置の検出は不正確になる。
そこで、判定手段は、微分出力信号の出力データのうち、設定された閾値を超える出力データの数が予め定められた範囲にあるか否かによって、ピーク位置の検出が正確に行われたか判定する。例えば、全区間の微分出力で閾値を超えた回数をカウントし、この値があらかじめ定められた値を超えた場合には、有効なピーク位置が検出できなかったものとして、前回検出のピーク位置のデータとともに検出値を破棄し、周波数誤差を検出しないようにする。そして、代わりに、記憶手段において記憶されている前回までの周波数誤差を使用する。その後、微分出力の有意なピーク位置が2回連続して検出された場合には、再度、ピーク位置の差に基づいて周波数誤差を計算する。なお、この閾値は、予め定められた値でもよいし、微分出力信号に基づいて計算して設定する構成であってもよい。
これにより、より正確に検出されたピーク位置の差に基づいて周波数誤差を算出できるため、より精度の良い周波数誤差を検出することが可能となる。
本発明に係るOFDM復調装置では、上記微分出力から上記閾値を算出して設定する閾値設定手段をさらに備えていることが好ましい。
上記の構成によれば、閾値設定手段は、上記微分出力から閾値を算出して設定する。
これにより、微分出力におけるピーク位置検出が正しく行われたか否かを判定するための閾値を微分出力に応じて動的に設定できるため、より適切な閾値を設定可能となる。
本発明に係るOFDM復調装置では、上記周波数誤差検出手段は、上記差を上記処理時間で除して得られる除算値を累積した累積値を、上記周波数誤差として検出することが好ましい。
上記の構成によれば、周波数誤差検出手段は、上記差を上記処理時間で除して得られる除算値を累積した累積値を、周波数誤差として検出する。つまり、複数の周波数誤差検出サイクルにわたって検出される上記除算値を積分して得られる積分値を、周波数誤差として算出する。
各周波数誤差検出サイクルにおいて算出される上記除算値は、送信側と受信側との周波数のずれを示しているが、真の値に対するゆらぎを含んでおり、例えば、信号強度やノイズの大きさ、あるいは、受信装置が移動する場合いのドップラシフトに代表される原因によって、ゆらぎの大きさは変化する。そこで、上記除算値を累積することによって、除算値に含まれる誤差成分、すなわち、真の値に対するゆらぎが相殺され、真の周波数誤差により近い累積値を得ることができる。
これにより、本発明に係るOFDM復調装置は、より精度の高い周波数誤差を検出することが可能となる。
本発明に係るOFDM復調装置では、上記周波数誤差検出手段は、上記差を上記処理時間で除して得られる除算値を、上記第1の複素相関強度信号における上記境界の位置検出と上記第2の複素相関強度信号における上記境界の位置検出とのいずれもが、上記判定手段によって有効と判定された場合に限って累積した累積値を、上記周波数誤差として検出することが好ましい。
上記の構成によれば、周波数誤差検出手段は、上記差を上記処理時間で除して得られる除算値のうち、判定手段によって有効と判定された値だけを累積して得た累積値を、周波数誤差として検出する。
これにより、本発明に係るOFDM復調装置は、より一層、精度の高い周波数誤差を検出することができる。
本発明に係るOFDM復調装置では、上記周波数誤差検出手段は、上記差を上記処理時間で除して得られる除算値に内部のパラメータによって定まる係数を乗じた乗算値を算出し、当該乗算値を累積した累積値を、上記周波数誤差として検出することが好ましい。
上記の構成によれば、周波数誤差検出手段は、上記差を上記処理時間で除して得られる除算値に内部のパラメータによって定まる値を乗じた乗算値を算出し、算出した乗算値を累積した累積値を、周波数誤差として検出する。
つまり、例えば、算出された上記除算値が真の周波数誤差に比較して大きすぎる場合、除算値を累積した累積値として得られる周波数誤差は発散してしまい、収束しなくなってしまうが、このような場合において、周波数誤差検出手段は、上記除算値をそのまま積分せずに、1未満の係数を乗じて積分する。この係数は、最初から一定の値としてもよいし、動作開始後から一定間隔おきに変化させたり、シンボル境界位置の差に基づいて算出する構成であってもよい。
これにより、本発明に係るOFDM復調装置は、算出する周波数誤差の発散を防止することができる。
本発明に係るOFDM復調装置では、上記周波数誤差補正手段は、上記所定のサンプリングクロックを変更して、上記周波数誤差を補正することが好ましい。
上記の構成によれば、周波数誤差補正手段は、例えばPLL回路などとして構成され、検出された周波数誤差に応じて、サンプリングクロックを変更することによって、周波数誤差を補正する。
これにより、本発明に係るOFDM復調装置は、直接サンプリングクロックを変更することができるため、周波数誤差の補正を容易に行うことができる。
本発明に係るOFDM復調装置では、上記周波数誤差補正手段は、上記OFDM信号のサンプリングタイミングを特定するサンプリングタイミング特定情報を生成するサンプリングタイミング特定手段と、上記受信サンプル系列信号から、上記サンプリングタイミング特定情報によって特定されるサンプリングタイミングにおけるサンプリング値を補間する補間手段とを備えていることが好ましい。
上記の構成によれば、周波数誤差補正手段は、OFDM信号の放送局側におけるサンプリングタイミング、すなわち、真のサンプリングタイミングを特定し、受信サンプル系列信号を用いて、真のサンプリングタイミングにおけるサンプリング値を補間する。
これにより、PLL回路などサンプリングクロックを直接変更することができない構成においても、ロジック部のみで周波数誤差を補正することが可能となる。
本発明に係るOFDM復調装置では、上記所定のサンプリングクロックを、OFDM復調装置自身の基準クロックに対してオーバーサンプリング状態に変換するオーバーサンプリング手段をさらに備え、上記補間手段は、オーバーサンプリングされた受信サンプル系列信号から、上記サンプリングタイミング特定情報によって特定されるサンプリングタイミングにおけるサンプリング値を補間することが好ましい。
上記の構成によれば、オーバーサンプリング手段は、サンプリングクロックを、OFDM復調装置自身の基準クロックに対してオーバーサンプリング状態に変換し、補間手段は、オーバーサンプリングされた受信サンプル系列信号から、真のサンプリングタイミングにおけるサンプリングデータを補間する。
これにより、所望の周波数領域全域にわたって、真のサンプリングタイミングにおけるサンプリングデータを、精度よく補間することができる。
本発明に係るOFDM復調装置では、上記サンプリング手段は、上記所定のサンプリングクロックを、OFDM復調装置自身の基準クロックに対してオーバーサンプリング状態に変換し、上記補間手段は、オーバーサンプリングされた受信サンプル系列信号から、上記サンプリングタイミング特定情報によって特定されるサンプリングタイミングにおけるサンプリング値を補間することが好ましい。
上記の構成によれば、サンプリング手段は、サンプリングクロックを、OFDM復調装置自身の基準クロックに対してオーバーサンプリング状態に変換し、補間手段は、オーバーサンプリングされた受信サンプル系列信号から、真のサンプリングタイミングにおけるサンプリングデータを補間する。
これにより、所望の周波数領域全域にわたって、真のサンプリングタイミングにおけるサンプリングデータを、精度よく補間することができる。
本発明に係るOFDM復調装置では、上記受信サンプル系列信号として受信した直交周波数分割多重変調されたOFDM信号を復調する直交復調手段と、上記直交復調手段によって復調された信号を、FFT演算によって周波数領域のデータ信号に変換するFFT演算手段と、上記FFT演算の開始位置をずらすFFT窓位置制御手段とをさらに備え、サンプリングタイミング特定手段は、上記サンプリングタイミング特定情報によって特定されるサンプリングタイミングが、予め定められた範囲を超える場合、当該サンプリングタイミングを、上記所定のサンプリングクロックの1周期分だけシフトさせ、上記FFT窓位置制御手段は、上記サンプリングタイミング特定手段におけるサンプリングタイミングのシフトに応じて、上記FFT演算の開始位置を、上記所定のサンプリングクロックの1周期分だけ同時にシフトさせることが好ましい。
上記の構成によれば、直交復調手段は、受信サンプル系列信号として受信した直交周波数分割多重変調されたOFDM信号を復調する。そして、FFT演算手段が、直交復調手段によって復調された信号を、FFT演算によって周波数領域のデータ信号に変換する。さらに、FFT窓位置制御手段は、FFT演算の開始位置をずらす。
そして、サンプリングタイミング特定手段は、特定したサンプリングタイミングが予め定められた範囲を超える場合、サンプリングタイミングを、所定のサンプリングクロックの1周期分シフトさせ、これに合わせて、FFT窓位置制御手段が、FFT演算の開始位置をずらす。
これにより、補間ポイントに対応する真のサンプリングタイミングに対して、常に同じタイミングでFFT窓が開始することになるため、サンプリングタイミングの補正を齟齬なく行うことができる。
しかも、FFT窓位置制御を周波数誤差検出と同時に行うことで、回路の共通化を図ることができるため、回路規模の削減および低消費電力化が可能となる。
なお、OFDM復調装置は、コンピュータによって実現してもよい。この場合、コンピュータを上記各手段として動作させることにより上記OFDM復調装置をコンピュータにおいて実現する制御プログラム、およびその制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
本発明に係るOFDM復調装置は、以上のように、有効シンボルとガードインターバルとを有する伝送シンボルを含むOFDM信号を受信し、所定のサンプリングクロックでサンプリングして受信サンプル系列信号を生成するOFDM復調装置であって、上記受信サンプル系列信号と、当該受信サンプル系列信号を有効シンボル期間遅延したサンプル系列信号とから、1伝送シンボル期間長の平均化された複素相関強度信号を生成する複素相関強度演算手段と、上記平均化された複素相関強度信号における上記有効シンボルの境界を境界検出する境界検出手段と、上記複素相関強度演算手段によって連続して生成された第1の複素相関強度信号および第2の複素相関強度信号について、上記第1の複素相関強度信号における上記境界の位置と上記第2の複素相関強度信号における上記境界の位置との差、および、上記複素相関強度演算手段が上記複素相関強度信号の平均化に要する処理時間から、上記OFDM信号の伝送クロックと上記サンプリングクロックとの周波数誤差を検出する周波数誤差検出手段と、上記周波数誤差検出手段によって検出された周波数誤差を補正する周波数誤差補正手段を備えていることを特徴としている。
また、本発明に係るOFDM復調方法は、有効シンボルとガードインターバルとを有する伝送シンボルを含むOFDM信号を受信し、所定のサンプリングクロックでサンプリングして受信サンプル系列信号を生成するOFDM復調方法であって、上記受信サンプル系列信号と、当該受信サンプル系列信号を有効シンボル期間遅延したサンプル系列信号とから、1伝送シンボル期間長の平均化された複素相関強度信号を生成する複素相関強度演算ステップと、上記平均化された複素相関強度信号における上記有効シンボルの境界を境界検出する検出ステップと、上記複素相関強度演算ステップによって連続して生成された第1の複素相関強度信号および第2の複素相関強度信号について、上記第1の複素相関強度信号における上記境界の位置と上記第2の複素相関強度信号における上記境界の位置との差、および、上記複素相関強度演算ステップが上記複素相関強度信号の平均化に要する処理時間から、上記OFDM信号の伝送クロックと上記サンプリングクロックとの周波数誤差を検出する周波数誤差検出ステップと、上記周波数誤差検出ステップによって検出された周波数誤差を補正する周波数誤差補正ステップを含んでいることを特徴としている。
それゆえ、連続して算出された複素相関強度におけるシンボルの境界の位置の差から周波数誤差を算出することができ、少ないサンプル数であっても、信頼性の高い検出結果を得ることができるため、回路規模を増大させることなく、短時間で精度よく周波数誤差を検出し、補正することができるという効果を奏する。
〔実施形態1〕
(OFDM復調装置1の構成)
本実施形態に係るOFDM復調装置1の構成について、図1を参照して以下に説明する。図1は、OFDM復調装置1の要部構成を示すブロック図である。
OFDM復調装置1は、アナログデジタル変換器(ADC、サンプリング手段)11と、サンプリング受信部(オーバーサンプリング手段)12と、直交復調生成部13と、高速フーリエ変換演算部(FFT部)14と、遅延プロファイル・ピーク位置検出部15(複素相関強度演算手段)と、クロック周波数誤差検出部16(周波数誤差検出手段)と、高速フーリエ変換窓位置検出部(FFT窓位置検出部)17と、周波数発振器18と、位相ロックループ回路(PLL)19(周波数誤差補正手段)とを備えている。また、OFDM復調装置1は、チューナ10に接続されている。さらに、OFDM復調装置1は、図示しない制御部および記憶部を備えている。
チューナ10は、アンテナを介して放送局からのデジタル放送波を受信し、RF(高周波)信号を周波数変換し、得られたIF(中間周波数)信号をADC11に供給する。
周波数発振器18は、クロック信号を生成し、PLL19に供給する。PLL19は、周波数発振器18からのクロック信号に基づいて動作クロック信号を生成し、OFDM復調装置1の各部に供給する。OFDM復調装置1の各部は、PLL19からの動作クロックに基づいて動作する。なお、PLL19は、クロック周波数誤差検出部16からクロック周波数誤差が供給される場合、さらにクロック周波数誤差にも基づいて動作クロック信号を生成する。
ADC11は、IF信号をデジタル化し、デジタル化されたIF信号をサンプリング受信部12に供給する。サンプリング受信部12は、PLL19からの動作クロックに基づいて、ADC11からのデジタル化されたIF信号をサンプリング受信し、直交復調生成部13に供給する。直交復調生成部13は、補正後のIF信号を、設定されたキャリア周波数のキャリア信号を用いて直交復調し、実軸成分(Iチャネル信号)と虚軸成分(Qチャネル信号)とからなるベースバンドOFDM信号を生成し、FFT部14及び遅延プロファイル・ピーク位置検出部15に供給する。
遅延プロファイル・ピーク位置検出部15は、直行復調生成部13から供給されたベースバンドOFDM信号に基づいて複素相関強度演算値の変化量のピーク位置を検出し、クロック周波数誤差検出部16に供給する。また、遅延プロファイル・ピーク位置検出部15は、遅延プロファイル情報を生成し、FFT窓位置検出部17に供給する。クロック周波数誤差検出部16は、供給されたピーク位置に基づいてクロック周波数誤差を検出し、PLL19に出力する。FFT窓位置検出部17は、遅延プロファイル情報に基づいて最適なFFT動作タイミングを表わすFFT窓位置信号を生成し、FFT部14に供給する。
FFT部14は、FFT窓位置検出部17から供給されたFFT窓位置信号に基づいて、直交復調生成部13から供給されたベースバンドOFDM信号に対して高速フーリエ変換(FFT演算)を行い、周波数領域の複素信号に変換する。
本実施形態に係るOFDM復調装置1では、遅延プロファイル・ピーク位置検出部15が複素相関強度のピーク位置を検出し、クロック周波数誤差検出部16が複素相関強度のピーク位置に基づいて周波数誤差を検出し、各検出サイクルにおいて検出した周波数誤差を積分する。そして、PLL19は、積分された周波数誤差に基づいて、生成する動作クロックの周波数誤差を補正する。
(複素相関強度)
ここで、OFDM放送波の複素相関強度について説明する。図24に示すように、OFDM放送波は、有効シンボルと有効シンボル期間(tu)のデータのうち後方tg期間におけるデータのコピーであるガードインターバルとからなりガードインターバルが有効シンボルの前に付加されたシンボルを含んでいる。このシンボルの先頭からtg期間をガード期間と呼ぶ。また1シンボル期間はtu+tgとなる。
図3は、マルチパス環境下におけるOFDM放送波の複素相関強度、および、その微分出力(複素相関強度の時間方向の変化量)の関係を示す図である。マルチパス環境下では、複数の素波が同一帯域に混ざり合って存在する。図3では、例えば、素波1は、送信所から直接受信装置に到達する放送波であり、素波2は、送信所から発射されて山やビル等で反射した後に到達する放送波である。
ここで、素波1および素波2のそれぞれについて、各シンボルデータを有効シンボル期間tuだけ遅延させたものと複素相関をとり、強度を計算すると、図3に示すように、素波1の複素相関強度および素波2の複素相関強度には、それぞれ、GI期間に有意な強度が現れる。
OFDM復調装置1は、素波1と、素波1よりもτAだけ遅延して到達する素波1と同一シンボルの素波2を受信する。このため、OFDM復調装置1では、素波1と素波2の複素相関強度が足し合わされることになり、図3に示す複素相関強度の和が得られる。そして、このようにして得られた複素相関強度を微分すると、図3に示す微分出力の波形が得られ、複素相関強度のピーク位置が検出される。この微分波形のピーク位置のずれを検出することにより、OFDM復調装置1は、クロック周波数誤差を検出するとともに動作クロックを補正し、検出サイクルごとに得られるピークの位置がずれないように制御することで良好な受信状態を得ることが出来る。
なお、本実施の形態では、OFDM復調装置1は、複数の素波が混ざり合った状態の合成波について複素相関強度のピーク値を検出する処理を行うが、単独の素波について複素相関強度のピーク位置を検出する構成であってもよい。あるいは、合成波から素波1と素波2とを分離する機能をさらに備え、分離後の各素波について複素相関強度のピーク位置を検出する構成であってもよく、特に限定はされない。
(遅延プロファイル・ピーク位置検出部15)
遅延プロファイル・ピーク位置検出部15について、図2を参照して以下に説明する。図2は、遅延プロファイル・ピーク位置検出部15、および、クロック周波数誤差検出部16の構成を示す図である。図2に示すように、遅延プロファイル・ピーク位置検出部15は、遅延回路部151、複素共役計算部152、複素乗算部153、第1フィルタリング部154(シンボルナンバー方向積分手段)、複素相関強度演算部155、第2フィルタリング部156(平滑化手段)、微分演算部157、ピーク位置検出部158(境界検出手段)、自走カウンタ159を備えている。これらの部材の機能について以下に説明する。
遅延回路部151は、Nu個のレジスタ群から構成されるシフトレジスタであり、入力されたベースバンドOFDM信号を有効シンボル期間分遅延させる。遅延回路部151により有効シンボル時間分遅延されたOFDM時間領域信号は、複素共役計算部152に入力される。Nuは、1つの有効シンボル内のサンプリング数である。
複素共役計算部152は、有効シンボル期間分遅延されたベースバンドOFDM信号の複素共役を算出し、複素乗算部153に供給する。
複素乗算部153は、遅延されていないベースバンドOFDM信号と、有効シンボル期間分遅延されたベースバンドOFDM信号の複素共役信号とを、1サンプル毎に乗算し、複素相関値を算出する。そして、算出された複素相関値を表す複素相関信号が第1フィルタリング部154に供給される。
第1フィルタリング部154は、複素相関信号の実軸成分(Iチャネル信号)と虚軸成分(Qチャネル信号)とそれぞれについて、1つ以上のシンボル期間における複素相関値の平均値を算出する。例えば、第1フィルタリング部154は、複素成分それぞれでシンボル周期での区間平均をとる。つまり、第1フィルタリング部154は、シンボル方向の区間積分回路であり、複素相関信号を1シンボル期間のサンプリング点数で繰り返し加算、平均する。すなわち、所定のシンボル数からなるシンボル期間について、各シンボル期間において複素相関値をシンボル方向に積分し、各シンボル期間における積分値を当該シンボル期間の所定のシンボル数で割ることにより、各シンボル期間の複素相関値の平均値を算出する。各シンボル区間における複素相関値の積分値は、当該シンボル区間において、サンプリング点ごとに所定のシンボル数分、複素相関値を合計したものである。このようにして、所定のシンボル期間におけるサンプリング点ごとの複素相関値の平均値からなる信号(複素相関演算値系列信号)を複素相関強度演算部155に出力する。
また、第1フィルタリング部154における複素相関値のシンボル方向への積分については、例えば周波数誤差の検出開始直後などにおいて、検出速度の向上のため、積分点数を少なくするなどの制約が発生する場合がある。このため、第1フィルタリング部154において計算を行う期間(積分期間)を変化させる構成であってもよい。例えば、最初のうちは短い周期で頻繁に検出を行い、素早く周波数誤差を収束させ、その後、積分点数を増やして長い周期でより正確に周波数誤差を検出する構成であってもよい。なお、この積分期間の変更を実現する構成では、例えば、第1フィルタリング部(積分期間決定手段)が、検出開始からの経過時間等ごとに図示しないメモリに記憶された各種のパラメータを読み出して決定する。
複素相関強度演算部155は、複素相関演算値系列信号の実軸成分(Iチャネル信号)と虚軸成分(Qチャネル信号)とをそれぞれ2乗して、それらを加算し、その加算結果の平方根をとることによって、複素相関演算値系列信号の振幅成分(複素相関強度)を算出する。そして、算出された複素相関強度を表す複素相関強度信号が、第2フィルタリング部156に供給される。
図4は、第1フィルタリング部154において区間平均処理を行わない場合の複素相関強度を示す図である。図4に示すとおり、第1フィルタリング部154における区間平均処理を行わない場合、複素相関強度信号の波形は、サンプル点ごとに大きな揺らぎを持つ。このため、このまま複素相関強度の微分を行っても、所望の微分波形を得ることはできない。そこで、上述したとおり、第1フィルタリング部154において、シンボル単位で複素相関を積分し、揺らぎを削減する。
図5は、第1フィルタリング部154において区間平均処理を行った場合の複素相関強度を示す図である。図5に示すとおり、第1フィルタリング部154の処理によって、大部分の揺らぎは削減されているが、若干の揺らぎが残っている。
第2フィルタリング部156は、複素相関強度演算部155から供給された複素相関強度に対して時間方向に移動平均処理を行って得られる複素相関強度演算値を微分演算部157に出力する。
図6は、第2フィルタリング部156における移動平均処理によって得られる複素相関強度演算値信号(平均化された複素相関強度信号)を示す図である。複素相関強度信号に対して第2フィルタリング部156において移動平均処理によるサンプル点方向へのフィルタリング処理を施すことにより、図6に示すとおり、複素相関強度演算値信号の波形は、複素相関強度信号の揺らぎが削減された信号となる。なお、第2フィルタリング部156は、移動平均処理以外に、複素相関強度信号の高周波成分をカットするような他のフィルタリング処理を行う構成であってもよい。
微分演算部157は、第2フィルタリング部156から供給される複素相関強度演算値の時間方向の変化量(微分出力)を算出し、ピーク位置検出部158に供給する。つまり、ピーク位置検出部158には、微分演算部157から複素相関強度演算値の微分出力が供給される。
図7は、図6に示す複素相関強度演算値信号を微分演算部157において微分して得られる微分出力の波形を示す図である。図7に示すとおり、図6に示した複素相関強度演算値信号が増加する部分で正(+)の微分出力が得られ、複素相関強度演算値信号が減少する部分で負(−)の微分出力が得られる。
この微分出力のピーク位置は、素波のGI期間の開始位置(境界の位置)を示している。このため、放送波の伝送クロック周波数と受信装置におけるサンプリングクロック周波数との周波数誤差に起因して素波が左右にずれると、このピーク位置も同様に左右にずれる。そして、OFDM復調装置1では、このピーク位置のずれを解析して、周波数誤差を検出する。
自走カウンタ159は、動作クロックをカウントするカウンタである。自走カウンタ159のカウンタ値Nは、0からNs−1までが1ずつインクリメントされ、Ns−1を超えると0に戻る。ここで、Nsは、1つのOFDMシンボル内のサンプリング数である。つまり、自走カウンタ159は、OFDMシンボル期間のサンプリング数で1周期となっている巡回カウンタである。自走カウンタ159のカウント値Nは、ピーク位置検出部158及びクロック周波数誤差検出部16に供給される。
ピーク位置検出部158は、所定のサイクル(1つ以上のシンボルからなる期間)毎に、当該サイクルにおける複素相関強度演算値の微分出力に含まれるピークのうち、最大値のピーク位置(時間方向の変化量が最も大きいポイント)を検出し、そのポイントにおけるカウント値を検出する。ピーク位置検出部158は、次のサイクルに移ると、また新たに複素相関強度演算値の微分出力に含まれるピークのうち、最大値のピーク位置(時間方向の変化量が最大となるポイント)を検出する。そして、ピーク位置検出部158により検出されたカウント値が、複素相関強度演算値の微分出力のピーク位置(時間方向に対する変化量のピーク位置)を示すピークタイミング値Ppeakとなる。ピーク位置検出部158は、検出したピークタイミング値Ppeakにおける複素相関強度演算値の微分出力(時間方向に対する変化量)が有効な値であるか否かなどを判定するとともに、当該ピークタイミング値をクロック周波数誤差検出部16に供給する。
図8は、n回目の検出サイクルで得られたピーク位置Ppeak(n)と1回前に得られたピーク位置Ppeak(n−1)とを示したものである。そして、OFDM復調装置1では、ピーク位置Ppeak(n−1)(第1の複素相関強度信号における境界の位置)とPpeak(n)(第2の複素相関強度信号にける境界の位置)との差Δpeak(n)(=Ppeak(n)−Ppeak(n−1))を解析して周波数誤差を得る。このようにして得られた周波数誤差を、PLL回路などクロック周波数を補正する機能を備えたブロックに供給することで、受信装置の動作クロック周波数を、放送局の動作クロック周波数に等しくすることができる。
(クロック周波数誤差検出部16)
図2に示すように、クロック周波数誤差検出部16は、ピーク位置差分検出部161と積分演算部162とを備えている。そして、クロック周波数誤差検出部16は、遅延プロファイル・ピーク位置検出部15からのピークタイミング値に基づいて、周波数発振器18(PLL19)からのクロック信号の周波数と放送波の周波数との誤差を検出する。クロック周波数誤差検出部16の動作について以下に説明する。
ピーク位置差分検出部161は、ピーク位置検出部158から供給されるピークタイミング値を取得して、前回供給されたピークタイミング値との差分を算出し、算出したピークタイミング値の差分を、ピークタイミング値の検出に要する時間(1つのピークタイミング値の検出に用いたシンボル数と1シンボル当たりの処理時間との積)で除して、各サイクルにおける周波数誤差(サイクル周波数誤差と呼ぶ)として検出する。そして、ピーク位置差分検出部161は、サイクル周波数誤差を、積分演算部162に供給する。積分演算部162は、サイクル周波数誤差を積分し、真の周波数誤差としてPLL19に供給する。そして、PLL19は、積分された周波数誤差に基づいてクロック周波数を変更して、動作クロックの周波数誤差を補正する。
(OFDM復調装置1の周波数誤差検出処理)
本実施形態に係るOFDM復調装置1が周波数誤差を検出するために行う動作について、図10及び図11を用いて以下に説明する。図10は、OFDM復調装置1において周波数誤差を検出する処理の1サイクルを表わすフローチャートである。以下では、nサイクル目の動作を例に説明する。
S1において、遅延プロファイル・ピーク位置検出部15は、nサイクル目の積分回数C(n)、すなわち、1回の周波数誤差の検出において用いるシンボル数を決定し、S2に進む。ここで、遅延プロファイル・ピーク位置検出部15は、1シンボル毎にベースバンドOFDM信号の複素相関値を積分するため、積分回数C(n)と1つのピーク位置検出に用いるシンボルの数は等しくなる。
S2において、遅延プロファイル・ピーク位置検出部15は、C(n)で定まるシンボル数分の期間にわたって、シンボル単位(すなわち、シンボル方向に1シンボル期間周期)で積分を行い、積分結果を平均化する。これにより、サンプリング点ごとの複素相関値の平均値からなる複素相関演算値系列信号を生成し、S3に進む。これにより、C(n)シンボル期間の複素相関値の信号から、1シンボル期間分の複素相関演算値系列信号が生成される。
S3において、遅延プロファイル・ピーク位置検出部15は、複素相関演算値系列信号から複素相関強度を算出する。その後、遅延プロファイル・ピーク位置検出部15は、複素相関強度に対してサンプリング点方向にフィルタリングを行う。例えば、遅延プロファイル・ピーク位置検出部15は、複素相関強度の信号に対して移動平均を施したり、あるいは、複素相関強度の信号の高周波成分を除去するような他のフィルタ処理などにより、複素相関強度演算値信号を生成して、S4に進む。
S4において、遅延プロファイル・ピーク位置検出部15は、サンプリング点方向に微分演算を行う。即ち、遅延プロファイル・ピーク位置検出部15は、複素相関強度演算値の時間方向の変化量を算出し、S5に進む。
S5において、遅延プロファイル・ピーク位置検出部15は、微分波形(複素相関強度演算値の時間方向の変化量で表される波形)が解析可能であるか否か(ピーク位置の検出が有効か否か)を判定する。この判定を行うために遅延プロファイル・ピーク位置検出部15が行う動作(ピーク位置検出が有効であるか否かの判定処理)の詳細については後述する。解析可能である場合(S5においてYES)、S6に進む。解析可能でない場合(S5においてNO)、S14に進む。
S6において、遅延プロファイル・ピーク位置検出部15は、前回のピーク位置Ppeak(n−1)の検出が有効であったか否かを判定する。そして、前回のピーク位置検出が有効である場合(S6においてYES)、S8に進み、前回のピーク位置Ppeak(n−1)の検出が有効でない場合(S6においてNO)、S7に進む。
S7において、遅延プロファイル・ピーク位置検出部15は、S4における微分演算の結果から、nサイクル目の複素相関強度演算値信号の全範囲において、複素相関強度演算値の時間方向に対する変化量のピーク位置Ppeak(n)を検出し、S14に進む。なお、周波数誤差検出の各サイクルにおいて、上述のとおり、第1フィルタリング部154による区間平均処理が行われており、複素相関強度演算値信号は、1シンボル期間長である。
S8において、遅延プロファイル・ピーク位置検出部15は、周波数誤差が既に収束しているか否かを判定する。周波数誤差が収束している場合(S8においてYES)、S9に進む。周波数誤差が収束していない場合(S8においてNO)、S10に進む。なお、周波数誤差が収束しているか否かは、前回検出した周波数誤差が予め定められた閾値よりも小さいか否かによって判定する。上記閾値は、許容される周波数誤差の精度に応じて設定可能な構成であってよく、特に限定はされない。
S9において、遅延プロファイル・ピーク位置検出部15は、S4における微分演算の結果から、nサイクル目の複素相関強度演算値信号の全範囲ではなく、Ppeak(n−1)±Wの範囲内において、複素相関強度演算値の時間方向に対する変化量のピーク位置Ppeak(n)を検出し、S11に進む。ここで、Ppeak(n−1)は前回検出したピーク位置であり、Wは所定の値である。図9は、微分のピーク位置の検出範囲を前回検出した位置から±Wに制限したときのピーク位置検出例を示す図である。図9に示すピーク位置の検出範囲を制限する例の詳細については後述する。なお、Wの値は、一意に決定しもよいし、レジスタに設定する構成であってもよいし、あるいは、適応的に設定可能な構成であってもよく、特に限定はされない。
S10において、遅延プロファイル・ピーク位置検出部15は、S4における微分演算の結果から、nサイクル目の複素相関強度演算値信号の全範囲において、複素相関強度演算値の時間方向に対する変化量のピーク位置Ppeak(n)を検出し、S11に進む。
S11において、クロック周波数誤差検出部16は、図8に示すように、検出したピーク位置Ppeak(n)と前回検出したピーク位置Ppeak(n−1)との差分Δpeak(n)を算出し、S12に進む。
S12において、クロック周波数誤差検出部16は、PLL19からの動作クロックの周波数と放送波の伝送クロック周波数との真の周波数誤差のうち、各サイクルにおいて検出される周波数誤差Δppm(n)を、サイクル周波数誤差として次の式によって計算し、S13に進む。
Δppm(n)=Δpeak(n)/N(n);N(n)=Ns*C(n)=(Nu+Ng)*C(n)
ここで、Nsはシンボル期間長の放送クロック(0ppm)周期数であり、Nuは有効シンボル期間長の放送クロック(0ppm)周期数であり、Ngはガードインターバル期間長の放送クロック(0ppm)周期数であり、C(n)は、nサイクル目の周波数誤差検出において用いられるシンボル数である。すなわち、N(n)は、複素相関強度信号の平均化に要する処理時間である。なお、Δppm(n)は、特許請求の範囲における除算値に対応する。
S13において、クロック周波数誤差検出部16は、周波数誤差ppm(n)を次の式によって計算し、周波数誤差ppm(n)をPLL19に供給して、S15に進む。なお、ppm(n)は、特許請求の範囲における累積値に対応する。
ppm(n)=ppm(n−1)+Δppm(n)
S14において、クロック周波数誤差検出部16は、nサイクル目の周波数誤差ppm(n)=n−1サイクル目の周波数誤差ppm(n−1)として、周波数誤差ppm(n)をPLL19に供給する。すなわち、nサイクル目における周波数誤差ppm(n)として、n−1サイクル目における周波数誤差ppm(n−1)を設定する。つまり、現在の周波数誤差を、前回検出の周波数誤差から変更しない。なお、n−1サイクル目における周波数誤差ppm(n−1)は、図示しない記憶部(記憶手段)に記憶されている。
S15において、クロック周波数誤差検出部16は、nサイクル目のピーク位置Ppeak(n)の値、及び、Ppeak(n)の検出に成功したか否かを示す値を図示しない記憶部(記憶手段)に記憶して、S16に進む。S16においてnをインクリメントし、S1に戻る。
(ピーク位置検出の有効・無効判定処理)
図10のS5における遅延プロファイル・ピーク位置検出部15(より具体的には、ピーク位置検出部158)の動作の詳細について、図11を参照して説明する。図11は、図10のS5における処理、すなわち、複素相関強度演算値の微分波形(複素相関強度演算値の時間方向の変化量で表される波形)が解析可能であるか否か(すなわち、ピーク位置の検出が有効であるか否か)を判定する処理を示す図である。
S501において、ピーク位置検出部158は、全シンボル区間の微分出力からピーク値(複素相関強度演算値の時間方向に対する変化量の最大値)A(n)
及びピーク位置X(n)を算出し、S502に進む。
S502において、ピーク位置検出部158は、X(n)から有意な相関の無い区間を決定し、S503に進む。ここで、相関の無い区間とは、有意な相関が始まると推定されるX(n)から1/2シンボル長移動した部分とし、相関の無い区間におけるサンプリング点の数は、32〜256の間で必要に応じて、所定のサンプリング数が決定される。
S503において、ピーク位置検出部158は、相関の無い区間における複素相関強度の平均値B(n)を算出し、S504に進む。B(n)は複素相関の雑音成分の強度を示す値である。
S504において、ピーク位置検出部158(閾値設定手段)は、ピーク値A(n)と平均値B(n)とから、複素相関強度の微分出力の閾値D(n)を算出し、S505に進む。
例えば、D(n)は、
D(n)=αA(n)+βB(n) 0<α<1、0<β<1、0<(α+β)<1
としてα、βを決めて計算する。D(n)は閾値でありノイズ成分より大きく、なおかつピーク値A(n)よりも小さい事が求められる。これを満たすのであればα、βは一定でも良く、また、ピーク値A(n)と無相関の部分に現れるノイズ成分の大きさを勘案して決定してもよい。さらに無相関部分に現れるノイズはシンボル方向の積分点数と関連しているので、この積分点数をもとに決めることもできる。
S505において、ピーク位置検出部158は、全区間の微分出力を解析し、微分出力が閾値D(n)を超えるサンプリング点の数をカウントしてTH(n)に格納し、S506に進む。ここで、微分出力がD(n)を超えるとは、m番目のサンプリング点における微分出力をdiv(m)とすると、
div(m−1)≦D(n)かつ、
div(m)>D(n)
を満たすことを意味する。
S506において、ピーク位置検出部158は、TH(n)=0であるか否かを判定する。TH(n)が0である場合(S506においてYES)、ピーク値が低くノイズと判別がつかないと推定され、S509に進む。TH(n)が0でない場合(S506においてNO)、S507に進む。
S507において、ピーク位置検出部158は、TH(n)>αであるか否かを判定する。ここで、αもまた、所定の値が予め設定されているが、一意に決定しもよいし、レジスタに設定する構成であってもよいし、あるいは、適応的に設定可能な構成であってもよく、特に限定はされない。TH(n)がα以下である場合(S507においてNO)、S508に進む。TH(n)がαより大きい場合(S507においてYES)、遅延プロファイルが乱れていたり、ノイズを誤判定したものと推定され、S509に進む。
すなわち、本実施の形態では、S506およびS507において、閾値D(n)を超えるサンプリング点の数TH(n)が、予め定められた範囲内(0<TH(n)≦α)にあるか否かを判定することになる。なお、閾値D(n)を超えるサンプリング点が存在するか否か、すなわち、TH(n)>0のみを判定する構成であってもよい。
S508においてピーク位置検出部158は、微分波形が解析可能であると判定する。また、S509において遅延プロファイル・ピーク位置検出部15は、微分波形が解析不可能であると判定して、微分波形が解析可能か否かの判定動作を終了する。
(周波数誤差の積分)
上述したとおり、OFDM復調装置1では、図10のS13において、周波数誤差を次式によって算出する。
ppm(n)=ppm(n−1)+Δppm(n)
上式は、数1のように表すこともできる。
すなわち、クロック周波数誤差検出部16は、サイクル周波数誤差Δppm(n)を積分することによって周波数誤差ppm(n)を算出する。周波数誤差の算出について、より具体的に説明する。OFDM復調装置1では、1回目の検出サイクルにおいてΔppm(1)を検出し、周波数誤差ppm(1)として、周波数誤差の補正回路であるPLL19に供給する。すなわち、周波数誤差ppm(1)は、ppm(1)=Δppm(1)の式によって算出される。そして、2回目の検出サイクルにおいてΔppm(2)を検出し、周波数誤差を積分して得られるppm(2)を、周波数誤差の補正回路であるPLL19に供給する。すなわち、周波数誤差ppm(2)は、ppm(2)=Δppm(2)+Δppm(1)(=Δppm(2)+ppm(1))の式によって算出される。
Δppm(i)の検出結果を、複数回、積分するメリットは、周波数誤差検出→周波数補正→次の周波数誤差検出の流れによってフィードバックループが形成されるため、2回目は1回目の検出値の誤差のみを検出すればよい点である。
このようにして、徐々にppm(i)を真の誤差に近づけていくことにより、iが増えれば増えるほど、検出対象となる真の誤差との差は小さくなり(Δppm(i)→0)、より正確な誤差検出を行うことが可能となる点である。また周波数誤差検出後に周波数誤差の変化にも対応することが可能である。
周波数誤差の積分について、より詳細に説明すれば次のとおりである。図3に示すとおり、複素相関強度のピーク位置は、OFDM放送波の有効シンボル位置、すなわち、現在のシンボルと次のシンボルとの境界位置を示す。なお、FFT部は、この境界位置を目印にFFT処理を行う。
放送局と受信装置との間の周波数誤差は、例えば、受信機側の周波数が放送局側に比べて高い場合、一定時間あたりのクロック数は受信機側のほうが多くなる。このため、一定のクロック数で考えた場合、図3に示す素波の複素相関強度が後方にずれてゆく。逆に、受信機側の周波数が低い場合、複素相関強度は前方にずれてゆく。これにより、複素相関強度は、Δpeak(n)だけ、計測サイクルのたびにずれる。このずれの影響によって、FFT計算期間内に1つ前や後のシンボルのデータが現れ、干渉が発生し、受信性能が劣化する。
本発明に係るOFDM復調装置1では、各検出サイクルで得られるΔpeak(n)をもとに、各検出サイクルにおける周波数のずれとしてサイクル周波数誤差Δppm(n)(=Δpeak(n)/N(n))を算出する。Δppm(n)は、真の周波数誤差に対する揺らぎを含む。そして、信号強度、ノイズの大きさ、及び受信装置が移動する際のドップラシフトに代表される原因により、揺らぎの大きさが変化する。
そこで、サイクル周波数誤差Δppm(n)を、数1に示すとおり検出サイクルごとに積分して、周波数誤差ppm(n)を得る。n=1,2,3・・・と積分してゆくことで、各検出サイクルにおいて検出されるサイクル周波数Δppm(n)に含まれる揺らぎなどによる誤差成分が相殺され、周波数誤差ppm(n)は真の周波数誤差に近づいてゆく。そして、周波数誤差ppm(n)が真の周波数誤差に近づくにつれて、各サイクルで得られるサイクル周波数誤差Δppm(n)も小さくなるため、より精度の高い周波数誤差の検出が可能となる。このように、周波数誤差検出、積分、周波数誤差補正、周波数補正後に、さらに、周波数誤差検出というフィードバックサイクルを繰り返すことによって、正確な周波数誤差の検出を行うことか可能となる。
また、本実施形態に係るOFDM復調装置1では、図10のフローチャートの説明のとおり、S5において、遅延プロファイル・ピーク位置検出部15によってピーク位置の検出が有効と判定された場合にのみ、積分演算部162において周波数誤差の積分処理が行われることになる。
より具体的には、ピーク位置の検出が有効と判定された場合、検出したΔppm(n)の値が周波数誤差として設定されることになるが、ピーク位置の検出が無効と判定された場合、Δppm(n)=0に設定される。つまり、n回目に検出する周波数誤差ppm(n)は、数2によって表わされ、ピーク位置の検出が有効な場合にのみ実質的に周波数誤差の積分が行われる。
これにより、サイクル周波数誤差Δppmの誤検出による影響を低減し、より正確な周波数誤差を得ることができる。
また、上述したとおり、第1フィルタリング部154における複素相関値のシンボル方向への積分については、例えば周波数誤差の検出開始直後などにおいて、検出速度の向上のため、積分点数を少なくするなどの制約が発生する場合がある。この場合、積分点数が少ないため、Δppm(i)は、比較的大きな誤差を含み、場合によっては、サイクル周波数誤差の検出値が真の周波数誤差を大きく上回ってしまうことがある。この場合、検出値をそのまま積分してしまうと、ppm(n)が真の誤差に収束しないおそれがある。
このように、検出されるサイクル周波数誤差が大きいことが予測される場合には、検出したサイクル周波数誤差に一定の比率を乗じて積分したり、初期化直後からの経過時間や積分するシンボルの数や受信状況など、受信装置の内部状態によって決定される比率を乗じて積分する。i回目の比率をβ(i)(係数)とすると、n回後の周波数誤差ppm(n)は、数3によって表される。
ここで、βの乗算は誤差を低減させる目的のため、0<β(i)≦1の値をとる。これにより、β(i)を乗じないときに比べて、真の周波数誤差への収束は遅くなるが、誤差の影響を低減できるようになるため、より確実に収束させることができる。
(ピーク位置の検出範囲)
マルチパスが発生する環境において、先行波と遅延波の強度差が頻繁に変化する場合、先行波のピーク位置の強度と遅延波のピーク位置の強度とが入れ替わることがあり、非常に大きな周波数誤差を誤検出してしまうことがある。
そこで、OFDM復調装置1では、ピーク位置の検出範囲を制限する構成とすることで、先行波と遅延波のピーク位置が入れ替わった場合において周波数誤差の発生を防止する構成とすることが可能となる。この構成について、以下に、より詳細に説明する。
本実施の形態では、図7に示すとおり、複素相関強度の微分出力には4つのピークが含まれており、そのうち、最大のピーク(左から2番目のピーク)を用いて周波数誤差を検出する。より具体的には、nサイクル目とn−1サイクル目とにおいて、左から2番目のピークのピーク位置のずれを検出し、検出されたピーク位置の差から周波数誤差を算出する。なお、周波数誤差の検出には、全ての検出サイクルを通じて、同じピークを用いる構成、すなわち、nサイクル目とn−1サイクル目とにおいて対応するピークを用いて周波数誤差を算出する構成であればよい。つまり、最小のピーク位置(右から2番目のピーク)を用いる構成であってもよい。
図9は、上述したとおり、微分のピーク位置の検出範囲を前回検出した位置から±Wに制限したときのピーク位置検出例を示す図である。図9には、m−1回目の検出サイクルにおける微分出力波形とm回目の検出サイクルのおける微分出力波形とが示されており、先行波の強度がm−1回目からm回目にかけて急激に強くなったことを示している。
OFDM復調装置1は、m−1回目の検出サイクルにおいて、図9に示す遅延波のピーク位置Ppeak(m−1)を元に周波数誤差検出を行うものとする。図9に示す例では、m−1回目の検出サイクルにおける周波数誤差検出が終了して、m−1回目の検出サイクルとm回目の検出サイクルとの間で周波数誤差検出に用いるピーク位置に変化がなければ、m回目の検出サイクルにおけるサイクル周波数誤差Δppm(m)は、0になるべきである。
しかしながら、m回目の検出サイクルにおいて、先行波の複素相関強度のピークの位置P’(m)を、周波数誤差検出に用いるピーク位置と認識してしまうと、サイクル周波数誤差Δppm(m)は、P’(m)−Ppeak(m)を元とした有意な値を持つことになるため、誤った周波数誤差を検出してしまう結果になる。
これを防ぐため、OFDM復調装置1は、m回目の検出サイクルにおいてはPpeak(m−1)±Wの範囲でのみピーク検出を行う。図9に示す例では、m回目の検出サイクルにおいて、先行波のピーク値(ピーク位置P’(m)におけるピーク値)は、遅延波のピーク値(ピーク位置Ppeak(m)におけるピーク値)よりも大きいが、Ppeak(m−1)±Wの範囲外であるため、OFDM復調装置1は、先行波のピーク位置P’(m)を検出対象外と判断し、Ppeak(m−1)±Wの範囲内にある遅延波のピーク位置Ppeak(m)を周波数誤差検出用のピーク位置と判断して周波数誤差を計算する。これにより、OFDM復調装置1は、Ppeak(m−1)とPpeak(m)とが同じ位置にあるため、図9に示す例のm回目の検出サイクルにおいて、サイクル周波数誤差をΔppm(m)=0と算出する。
この例ではピーク位置の検出範囲Wは一定としているが、初期の周波数誤差検出時には大きな周波数誤差を検出する必要があるためWを大きめに取り、周波数誤差検出が安定した後は微小な周波数誤差のみを検出すれば良い事からWを小さく取る構成であってもよい。つまり、OFDM復調装置1は、初期化直後からの経過時間や積分するシンボルの数や受信状況など受信装置の内部状態により、Wの値を変化させながらピーク位置を検出してもよい。
なお、図26は、本発明に係るOFDM受信装置の構成例を示す図である。図26に示す構成は、先行波と遅延波の位置関係からマルチパスの間隔を解析し必要な位相補正量を計算し補正をかける。マルチパス時のFFT計算を考えたとき先行波の位置にFFT窓を設定すると遅延波は遅延分遅れてFFT計算回路に投入されるため位相回転が生じる。これを補正するために、図26に示すように、先行波(Tadv)と遅延波(Tdel)の各最適なFFT窓位置を301で計算した後、位相補正量を303計算し、FFT演算回路の出力に回転を与える事304で補正する。
〔実施形態2〕
(OFDM復調装置50の構成)
本実施形態に係るOFDM復調装置50の構成について、図12を参照して以下に説明する。図12は、OFDM復調装置50の要部構成を示すブロック図である。
図12に示すように、OFDM復調装置50は、アナログデジタル変換器(ADC)11と、サンプリング受信部12と、直交復調生成部13と、高速フーリエ変換演算部(FFT部)14と、遅延プロファイル・ピーク位置検出部15と、クロック周波数誤差検出部16と、高速フーリエ変換窓位置検出部(FFT窓位置検出部)17と、周波数発振器18と、サンプリング補正制御部20(サンプリングタイミング特定手段、FFT窓位置制御部)と、周波数誤差補正部21とを備えている。また、OFDM復調装置50は、チューナ10に接続されている。
本実施形態に係るOFDM復調装置50は、遅延プロファイル・ピーク位置検出部15、クロック周波数誤差検出部16、サンプリング補正制御部20、および、周波数誤差補正部21によって周波数誤差を補正する構成である。周波数誤差の補正はOFDM復調過程において繰り返し行われる。OFDM復調装置50では、遅延プロファイル・ピーク位置検出部15にて複素相関強度のピーク位置が検出され、クロック周波数誤差検出部16にて複素相関強度のピーク位置に基づいて周波数誤差が検出され、この検出された周波数誤差に基づいてサンプリング補正制御部20にて生成された周波数誤差補正情報(例えば分数遅延量など)を用いて、周波数誤差補正部21が周波数誤差を補正する。周波数誤差補正部21は、真のサンプリングタイミングにおけるサンプリング値を補間することによって、周波数誤差を0もしくは0付近に近づける。
アナログデジタル変換器(ADC)11、サンプリング受信部12、直交復調生成部13、高速フーリエ変換演算部(FFT部)14、遅延プロファイル・ピーク位置検出部15、クロック周波数誤差検出部16、高速フーリエ変換窓位置検出部(FFT窓位置検出部)17、周波数発振器18については上述したため、ここではその説明を省略する。従って、ここでは、サンプリング補正制御部20及び周波数誤差補正部21についてのみ以下に説明する。
サンプリング補正制御部20は、クロック周波数誤差検出部16からの周波数誤差に基づいて真のサンプリングタイミングを特定するための周波数誤差補正情報(例えば分数遅延量など)を周波数誤差補正部21に供給する。
周波数誤差補正部21は、分数遅延量によって特定される真のサンプリングタイミングにおけるサンプリング値を補間することによって周波数誤差を補正する。そして、周波数誤差補正部21は、補間後のサンプリングデータを直交復調生成部13に供給する。
実施形態1はPLLが供給する動作クロック周波数を補正するが、動作クロック周波数一定のまま補間処理というデータ処理で実効的に補正するのが本実施形態の特徴である。したがって、本実施形態に係るOFDM復調装置50は、検出した周波数誤差に基づいてサンプル系列信号に対する補間処理を行うことで周波数誤差を補正することができるため、PLLなどのクロック周波数を変更することができないOFDM復調装置においても、放送局から送出される放送波の伝送クロック周波数と受信装置におけるサンプリング周波数とのずれを補正することが可能となる。
(分数遅延フィルタ)
OFDM復調装置50では、分数遅延(補間)フィルタを用いて、サンプリングデータを補間することにより、周波数誤差を補正する。分数遅延フィルタとしては、例えば、Lagrange補間フィルタやFarrow型フィルタや変形Farrow型フィルタなどがある。なお、分数遅延フィルタの詳細については、例えば、「Multirate Signal Processing for Communication Systems」(Fredric Harris, 2004, Prentice Hall)の「Chapter 7. Resampling Filters」を参照されたい。
入力されるサンプリンデータを{x(0),x(1),・・・,x(n−1),x(n),x(n+1),・・・}とすると、N次の分数遅延フィルタには、n番目のサンプリング値x(n)が入力された時点で、それ以前に入力されたN+1個のサンプリング値{x(n−N),x(n−N+1),・・・,x(n−1),x(n)}が格納されている。そして、分数遅延フィルタは、与えられた遅延量Dに対して、それ以前に入力されたN+1個のサンプリング値{x(n−N),x(n−N+1),・・・,x(n−1),x(n)}から、今入力されたサンプリング値x(n)に対してD遅延されたサンプリング値x(n−D)を補間処理により算出する。ここで、遅延量Dは、整数であっても、分数であってもよい。遅延量Dが整数の場合の補間処理を整数遅延処理と呼び、遅延量Dが分数の場合の補間処理を分数遅延処理と呼ぶ。図13は、x(4)が入力された直後の4次の分数遅延フィルタを示している。遅延量としてD=1+1/3が与えられた場合、図13に示したように、分数遅延フィルタは、それ以前に入力された5個のサンプリング値{x(0),x(1),x(2),x(3),x(4)}から、x(4−D)=x(2+2/3)を算出する分数遅延処理を行う。
(Lagrange補間フィルタ)
図14を参照して、Lagrange補間フィルタについて説明する。図14は、FIR(Finite Impulse Response)フィルタの構成を示す図である。図14に示すFIRフィルタの係数は、数1によって定義される。
このFIRフィルタは、レジスタに保持された整数時間における離散化データから遅延量Dに対応する補間ポイントn−Dでの値を求める補間フィルタであり、一般にLagrange補間フィルタと呼ばれる。Lagrange補間フィルタは遅延量Dが分数でも有効であり、分数遅延フィルタを実現することが可能となる。Lagrange補間フィルタでは、時間とともに補間したいターゲットポイントが変わる場合、その都度、数4の演算によってフィルタ係数を算出する必要がある。ただし、1係数当たりN個の乗算器が必要となるため、FIRフィルタ全体でN2個の乗算器が必要となる。このFIRフィルタの伝達関数(Z関数)は、数5によって表される。
また、このFIRフィルタの周波数特性は、数6によって表される。さらに、出力信号における遅延量の理論値Dint(以下、単に「遅延量Dint」と呼称する)は、数6の位相成分Θを用いて、数7によって表される。
このFIRフィルタ、すなわち、Lagrange補間フィルタのフィルタ特性について、図15を用いて説明する。図15は、N=7のLagrange補間フィルタにおいて、遅延量Dを変化させた場合のフィルタ特性を示す図であり、(a)は振幅周波数特性を示す図であり、(b)は数7によって算出された遅延量Dintを示す図であり、(c)は振幅および位相の両方を考慮した信号雑音電力比(SNR)を示す図である。なお、図15において、横軸は、周波数fをサンプリング周波数Fsにより規格化した規格化周波数である。また、図15(a)の縦軸はデシベル(dB)、図15(b)の縦軸はサンプリング周期Tsである。
図15(a)において|H|=0dBである周波数成分は、強度的には減衰しないでそのまま出力される。また、図15(b)より、出力信号から求めた遅延量Dintは、設定値Dと一致することがわかる。
そして、図15(a)において|H|=0dB、図15(b)においてDint≒Dとなる周波数領域が、このLagrange補間フィルタにおいて分数遅延処理の可能な周波数領域(以下では、分数遅延周波数領域と呼ぶ)となる。なお、Nを大きくすれば、分数遅延周波数領域は広がるが、回路規模も大きくなってしまう。
(Farrow Structure)
以下に、Farrow型分数遅延フィルタおよび変形Farrow型分数遅延フィルタについて説明する。図16は、Farrow型分数遅延フィルタの構成を示す図である。図16に示すとおり、Farrow型分数遅延フィルタは、複数の次数NのFIRフィルタをHoner結合したものである。ここで、数8〜10によって定義される行列式を考えると、数11に示すCn(z)によって、図16に示すFarrow型分数遅延フィルタを構成するFIRフィルタは定義される。つまり、数9(数10)の係数行列Qのn番目の列ベクトルqn(k)が、FIRフィルタCn(z)のフィルタ係数に相当する。
Farrow型分数遅延フィルタも、Lagrange補間フィルタと同様、任意の遅延量Dでの補間が可能となる。しかし、Farrow型分数遅延フィルタでは、遅延量Dに関する乗算は全部でN−1である。したがって、Lagrange補間フィルタよりもFarrow型分数遅延フィルタの方が小さい回路規模で構成可能となる。
Farrow型分数遅延フィルタのフィルタ特性について、図17を用いて説明する。図17は、N=7のFarrow型分数遅延フィルタにおいて、遅延量Dを変化させた場合のフィルタ特性を示す図であり、(a)は振幅周波数特性を示す図であり、(b)は数7によって算出された遅延量Dintを示す図であり、(c)は振幅および位相の両方を考慮した信号雑音電力比(SNR)を示す図である。図17の縦軸および横軸は、図15と同様である。図15と同様、図17(a)において|H|=0dBである周波数成分(f≒−0.2Fs〜+0.2Fs)は、強度的には減衰しないでそのまま出力される。また、図17(b)より、出力信号から求めた遅延量Dintは、設定値Dと一致することがわかる。
なお、フィルタ係数の次数は、本発明を実際のシステムに適用する際に何を重視するかに応じて異なり、特に限定はされない。例えば、実際の補間タイミングを重視する場合には、図17(b)においてDint≒Dとなる周波数領域が、このFarrow型分数遅延フィルタで分数遅延処理が可能な周波数領域で検討する。また、振幅と位相をトータルに考慮したSNRで検討する方法もある。例えば、変調方式がQPSKの所要CNR(Carrier to Noise Ratio)は、符号化率によって微妙に変化するが4dB付近である。この場合には、SNR≧20dBの演算誤差は無視できる。したがって、図17の特性を有するフィルタでは、図17(c)より、f=−0.3Fs〜+0.3Fsの周波数帯域成分でSNR≧20dBの演算誤差が確保可能である。一方、64QAMの所要CNは、符号化率によって微妙に変化するが、20dB付近である。この場合には、SNR≒20dBの演算精度は、所要CNに影響を与えてしまうので、30dBもしくは40dB以上の演算精度が必要となる。図17(c)より、f=−0.2Fs〜+0.2Fsの周波数帯域成分でSNR≧40dBの演算誤差が確保可能である。このように、変調方式や符号化率等のパラメータが決まれば、必要な演算精度がきまる。要求する演算精度とフィルタの演算精度の比較で、フィルタ次数Nが決定できる。
Farrow型分数遅延フィルタの変形版として、変形Farrow型分数遅延フィルタがある。ここで行列T、行列Q’をそれぞれ数12、数13で定義すると、数14のC’n(z)で定義される複数のFIRフィルタを図16のようにHoner結合したものを、変形型Farrow型分数遅延フィルタと呼ぶ。つまり、Farrow型分数遅延フィルタと変形Farrow型分数遅延フィルタとでは、いずれも図16に示す構成であって、係数だけが異なる。
Farrow型分数遅延フィルタと変形Farrow型分数遅延フィルタは、補間ポイントの設定の仕方が異なるが、分数遅延処理という機能は共通である。Farrow型フィルタに与える遅延量Dは、図16のシフトレジスタの段数を考慮して、round(N/2)−1/2<D<round(N/2)+1/2(ここで、round(x)はxの四捨五入値)の範囲内で設定される。すなわち、round(N/2)を中心に±1/2の範囲内で設定される。一方、変形Farrow型フィルタに与える遅延量D´は、0を中心に±1/2の範囲内で設定される。すなわち、遅延量D’は、−1/2<D'<+1/2の範囲内で設定される。このように、遅延量の設定方法は異なる。しかし、遅延量Dと遅延量D’とがD’=D−round(N/2)の関係を満たすとき、Farrow型の遅延量Dに対する補間処理は、変形Farrow型の遅延量D’に対する補間処理に相当する。
以下の説明では、Lagrange補間フィルタまたはFarrow型分数遅延フィルタを利用する場合には、そのフィルタに遅延量Dを入力するものとし、変形Farrow型分数遅延フィルタを利用する場合には、そのフィルタに遅延量D’を入力するものとする。なお、Lagrange補間フィルタもしくはFarrow型分数遅延フィルタは、round(N/2)−1/2〜round(N/2)+1/2の範囲外にある遅延量Dを与えられた場合でも補間可能である。すなわち、遅延量Dを、例えば、round(N/2)+1もしくはround(N/2)−1を中心に±1/2のサンプリング点の範囲内で設定してもよい。また、round(N/2)からround(N/2)+1の範囲で設定してもよい。同様に、Farrow型分数遅延フィルタの分数遅延量D‘についても、0<D'<+1、もしくは、−1<D'<0の範囲で設定してもよい。
Lagrange補間フィルタと同様に、図17(a)で|H|=0dB、図17(b)でDint≒Dとなる周波数領域が、このFarrow型分数遅延フィルタで分数遅延処理が可能な周波数領域となる。また、分数遅延周波数領域は、回路規模に比例する。
なお、図15に示すN=7のLagrange補間フィルタや図17に示すFarrow型分数遅延フィルタでは、D=3〜4の分数遅延処理により、分数遅延周波数領域を広く確保することが可能である。このようにN次の分数遅延フィルタは、Farrow型分数遅延フィルタの場合にはround(N/2)−1/2〜round(N/2)+1/2の範囲の分数遅延処理によって、変形Farrow型分数遅延フィルタの場合にはD=-1/2〜+1/2の分数遅延処理によって、分数遅延周波数領域を広く確保することが可能である。
(周波数誤差補正)
上述したとおり、本発明に係るOFDM復調装置50では、周波数誤差補正部21とFFT部14とによって、周波数誤差を補正する。
周波数誤差検出部16は、デジタル放送波のキャリア周波数(すなわち、送信側でのOFDM変調におけるサンプリング周波数)とOFDM復調装置50においてPLLから供給される動作クロック周波数(すなわち、受信側でのOFDM復調におけるサンプリング周波数)との周波数誤差αを検出し、サンプリング補正制御部20に供給する。ここで、送信側でのOFDM変調により得られたデジタル信号が、特許請求の範囲における第1のサンプリングタイミングでサンプリングされた第1のサンプル系列信号に対応する。そして、受信側でのOFDM復調の対象となるデジタル信号(ADC11により生成されるデジタル信号)が、特許請求の範囲における第2のサンプリングタイミングでサンプリングして生成される第2のサンプル系列信号に対応する。
サンプリング補正制御部20は、周波数誤差αから、周波数誤差を補正するための情報として、サンプリングタイミング誤差を算出し、その分数部分を周波数誤差補正部21に供給する。サンプリングタイミング誤差は、OFDM復調装置50において受信したデジタル放送波をサンプリングするときのサンプリングタイミングと、真のサンプリングタイミング(放送局でのOFDM変調時のサンプリングタイミング)との差である。サンプリング補正制御部20におけるサンプリングタイミング誤差の算出方法について、より詳細に説明すれば以下のとおりである。
OFDM復調装置50における受信側サンプリング周波数をF's、真のサンプリング周波数をFs、真のサンプリングクロック周期をTsとすると、受信側サンプリングクロック周期T'sは、周波数誤差αを用いて数15によって表される。
また、クロック1周期あたりのサンプリングタイミング誤差δTs(受信側サンプリングクロック周期T'sに対する、真のサンプリングクロック周期Tsのズレ)は、数16によって表される。
そして、例えば、OFDM復調装置50においてMT's時間が経ったときには、全誤差は、数16に示すδTsのM倍となる。したがって、受信側サンプリング周波数F'sで動作する分数遅延フィルタでサンプリングタイミング誤差MδTs(秒単位)を補正すれば、真のサンプリングタイミングでの値を抽出することが可能となる。
サンプリング補正制御部20は、サンプリングタイミング誤差を、秒単位ではなく、受信側サンプリングクロック周期単位で算出する。すなわち、サンプリング補正制御部20は、数17によって周波数誤差αからサンプリングタイミング誤差Δを算出する。
そして、サンプリング補正制御部20は、算出したサンプリングタイミング誤差Δを、整数部Δintと分数部分(小数部)Δfracとに分解する(Δ=Δint+Δfrac)。そして、サンプリングタイミング誤差Δの分数部Δfracを、サンプリングタイミング誤差情報として周波数誤差補正部21に与え、また、サンプリングタイミング誤差Δの整数部Δintを、サンプリングタイミング誤差情報としてFFT部14に与える。
周波数誤差補正部21は、サンプリングタイミング誤差情報Δfracを受け取ると、サンプリングタイミング誤差情報Δfracに応じた分数遅延フィルタ処理を実行する。例えば、分数遅延フィルタとしてN次のLagrangeフィルタまたはFarrow型分数遅延フィルタを用いる場合、D=round(N/2)−Δfracを分数遅延フィルタに入力することによって、真のサンプリングタイミングにおけるサンプル値を得る。また、分数遅延フィルタとしてN次の変形Farrow型分数遅延フィルタを用いる場合には、D’=−Δfracを分数遅延フィルタに入力することによって、真のサンプリングタイミングにおけるサンプル値を得る。
一方、FFT部14は、受信側サンプリング周波数F'sで動作しており、FFT演算の開始時刻を受信側サンプリングクロック周期T's単位でシフトさせることができる。そして、サンプリングタイミング誤差情報Δの整数部Δintが変化したら、すなわち、サンプリングタイミング誤差MδTs(秒単位)が±T's変化したら、それを相殺するようにFFT演算の開始位置を±T'sシフトさせる。
この様に、サンプリングタイミング誤差情報Δの分数部Δfracを周波数誤差補正部21で、整数部ΔintをFFT演算部14で補正することによって、サンプリングタイミング誤差情報Δ全体の補正が可能となる。
より具体的には、周波数誤差補正部21は、Lagrangeフィルタの場合には数18によって、Farrow型分数遅延フィルタの場合には数19によって、変形Farrow型分数遅延フィルタの場合には数20によって、遅延量DまたはD'に対応する補間ポイントにおけるサンプリング値を補間する。Lagrange補間フィルタおよびFarrow型分数遅延フィルタは、上述したように、n番目のサンプリング値x(n)が入力された時点で、D遅延されたサンプリング値x(n−D)を補間により求める。具体的には、Lagrange補間フィルタは、N+1個のサンプリング値{x(n−N),x(n−N+1),・・・,x(n−1),x(n)}を参照して、数18に従ってx(n−D)を算出する。また、Farrow型分数遅延フィルタは、N+1個のサンプリング値{x(n−N),x(n−N+1),・・・,x(n−1),x(n)}を参照して、数19に従ってx(n−D)を算出する。また、変形Farrow型分数遅延フィルタは、N+1個のサンプリング値{x(n−N),x(n−N+1),・・・,x(n−1),x(n)}を参照して、数20に従ってx(n−D)を算出する。ただし、数20からも分かるように、x(n−D)を算出する際、変形Farrow型分数遅延フィルタには、遅延量Dそのものではなく、D’=D−round(N/2)を指定(入力)する必要がある。
上述したとおり、LagrangeフィルタおよびFarrow型分数遅延フィルタには、D=round(N/2)−Δfracを入力すれば良い。一方、変形Farrow型分数遅延フィルタには、D’=−Δfracを入力すれば良い。これによって、LagrangeフィルタまたはFarrow型分数遅延フィルタを分数遅延フィルタとして用いる場合にも、変形Farrow型分数遅延フィルタを分数遅延フィルタとして用いる場合にも、サンプリング周期T's内の同じタイミングで補間を行うことができる。
なお、DおよびD’は遅延量なので現在から過去に向かってその時間軸が設定されている。一方、タイミング誤差情報Δは現在から未来に向かって時間軸が設定されているので、Δfracの前にマイナス符号をつけた。フィルタの実装でDやD’の時間軸が、Δと同様に現在から未来に定義されている場合にはD=round(N/2)+Δfrac、D’=+Δfracとなる。この様に分数遅延フィルタに分数部Δfracを入力する場合には、Δfrac、D、D’における時間軸の向きに注意する必要がある。
なお、分数部Δfracの取りうる範囲は、−0.5≦Δfrac<+0.5や、0≦Δfrac<+1などが考えられる。実装に用いるサンプリング値予測手段の特性や、制御回路の仕様などから、最適な定義を採用して問題無い。整数部は分数部Δfracにあわせて定義すればよい。
なお、数19のフィルタ係数qn(k)は、数10の行列Qの要素Q(n,k)であり、Σqn(k)x(n−k)が図16に示すFarrow型フィルタを構成する各FIRフィルタCn(z)に相当し、Σ{Dn(Σqn(k)x(n−k))}が図16に示すHonerの方法に相当する。また、数20のフィルタ係数q'n(k)は、数13の行列Q'の要素Q'(n,k)である。
そして、本実施形態に係るOFDM復調装置50では、周波数誤差検出部16、サンプリング補正制御部20、周波数誤差補正部21、および、FFT部14における以上の処理を繰り返すことにより、周波数誤差補正部21の出力時点での周波数誤差を0もしくは0近傍に収束させる。
OFDM復調装置50における周波数誤差の補正について図18および図19を用いて、処理概要を説明すれば以下のとおりである。
図18は、OFDM復調装置50のサンプリングタイミングと真のサンプリングタイミングとのサンプリングタイミング誤差を説明する図である。図18に示す例では、OFDM復調装置50の動作クロックのサイクルはT'sであり、T'sごとにサンプリングが行われるが、放送局でのデジタルベースバンド処理におけるサンプリングのクロックサイクルはTsであり、1周期ごとにδTsの誤差が発生する様子が示されている。ここで、OFDM復調装置50のサンプリングタイミングと真のサンプリングタイミングとが一致しているタイミングをt=0とすると、t=T'sのサンプリング時のタイミング誤差はδTs、t=2T'sのサンプリング時のタイミング誤差はδTs×2、t=3T'sのサンプリング時のタイミング誤差はδTs×3となる。つまり、t=MT'sのサンプリング時のタイミング誤差は、MδTsとなる。
このとき、サンプリング補正制御部20が、周波数誤差検出部16から受け取った周波数誤差αを用いて、数17によってサンプリングタイミング誤差Δ=Mαを算出する。そして、サンプリングタイミング誤差Δの分数部Δfracを周波数誤差補正部21に供給し、サンプリングタイミング誤差Δの整数部ΔintをFFT部14に供給する。そして、周波数誤差補正部21は、サンプリングタイミング誤差Δの分数部Δfracを参照して、真のサンプリングタイミングにおけるサンプリング値を算出し、FFT部14は、サンプリングタイミング誤差Δの整数部Δintを参照してFFT演算の開始位置をシフトする。
なお、Lagrangeフィルタは、フィルタ係数h(k,D)を変えない限り、同じ補間ポイントにおける補間値を算出する。一方、Farrow型分数遅延フィルタ、および、変形Farrow型分数遅延フィルタは、フィルタ係数qn(k)、および、q'n(k)のいずれも常に固定であるものの、図16に示す乗算器(×D)の値を変えることにより、補間処理を行うポイントをダイナミックに変えることが可能である。
図19は、変形Farrow型分数遅延フィルタを用いた補間処理のイメージを示す図であって、(a)はあるサンプリングタイミング(t=4T's)における補間処理のイメージを示す図であり、(b)は(a)の次のサンプリングタイミング(t=5T's)における補間処理のイメージを示す図である。
図19に示す例では、時刻t=4T'sにおいては、(a)に示したように、レジスタに格納されているX(0)〜X(4)の5つのサンプリング値から、真のサンプリングタイミング(遅延量D'に対応する補間ポイント)におけるサンプリング値X(4−D)=X(2−D’)を算出し、時刻t=5T’sにおいては、(b)に示したように、レジスタに格納されているX(1)〜X(5)の5つのサンプリング値から、真のサンプリングタイミングにおけるサンプリング値X(5−D)=X(3−D’)を算出する。図19に示す変形Farrow型分数遅延フィルタの例では、遅延量D’=−Δfracであり、周波数誤差補正部21が、数20の演算を行う。
これにより、OFDM復調装置50における各サンプリングタイミングにおいて、真のサンプリングタイミング(OFDM変調を行う放送局でのサンプリングタイミング)におけるデータが順次補間されるため、周波数誤差を補正することが可能となる。
なお、本発明に係るOFDM復調装置は、ダイレクトコンバージョン方式のチューナーに接続して用いられる構成であってもよい。チューナーは、放送局からのデジタル放送波を受信し、直交復調してIチャネル信号とQチャネル信号とからなるベースバンドOFDM信号を生成し、OFDM復調装置に供給する。チューナーからのIチャンネル信号およびQチャネル信号に対して、上述したサンプリング受信および周波数誤差の補正を行い、OFDM復調装置50と同じ動作によって周波数誤差を補正する。
また、図20は、分数遅延フィルタを用いたクロック周波数誤差を補正する構成の例を示す図である。本実施の形態に係るOFDM復調装置50は、図20に示すような構成例によっても実現可能である。
(オーバーサンプリング)
オーバーサンプリングを用いて周波数誤差を補正する構成における分数遅延フィルタの処理とその制御について説明する。なお、OFDM復調装置50では、ADC11、または、サンプリング受信部12においてオーバーサンプリングが行われる。
Lagrange補間フィルタやFarrow型分数遅延フィルタは、図15や図17に示すように、ナイキスト領域全体が分数遅延周波数領域とはならない。仮に、ナイキスト領域の80%程度の範囲を分数遅延周波数領域にするには、Lagrange補間フィルタやFarrow型分数遅延フィルタの次数は、N≧200となるため、回路実装が現実的ではなくなる。
そこで、用途に応じて要求される分数遅延周波数領域を確保できるフィルタを設計することになる。つまり、所望する分数遅延周波数領域の幅をF1として、f=−F1/2〜+F1/2の範囲において分数遅延処理の可能なフィルタを設計することを考える。実際のOFDM復調装置の設計では、OFDM波の周波数帯域において許容されるキャリア周波数誤差のマージンの和がF1に相当する。
ところで、図17(b)から、±0.2Fsの範囲の周波数領域では正しく分数遅延処理が行われており、誤差が小さいことがわかる。したがって、サンプリング周波数が、Fs=5F1であれば、±F1(=±0.2×5F1)の周波数領域においては、正しく分数遅延処理が行われることになる。つまり、規準クロック周波数では所望の分数遅延周波数領域を実現できない場合、所望の分数遅延周波数領域に応じてサンプリング周波数をオーバーサンプリング状態に変換することによって、所望の周波数領域全体における補間が可能となる。上述した「Multirate Signal Processing for Communication Systems」によれば、整数倍のサンプリング周波数のレート変換は、デジタル信号処理にこえる一般的な技術である。そして、このレート変換をOFDM復調装置50に適用することにより、次数Nの低いFarrow型分数遅延フィルタによって、広範な分数遅延周波数領域を実現できる。そして、このサンプリングレートの変換機能と次数Nの低いFarrow型分数遅延フィルタとを組み合わせた構成は、N≧200のフィルタよりも小規模で容易に実装可能である。
なお、サンプリング周波数は、Fs=5F1に限定されるものではない。例えば、図17(b)より、誤差を低減する必要がある場合には、さらに変換レートを高めにする必要がある。逆に、誤差よりも消費電力の低減を重視してサンプリング周波数を低くしたい場合には、レート変換比を小さめにする必要がある。
(分数遅延処理シフト)
図21は、本発明に係る他のOFDM復調装置51の構成を示すブロック図である。OFDM復調装置51は、図1に示したOFDM復調装置50と同じブロックを備えており、OFDM復調装置51に含まれる各ブロックは、図1に示したOFDM復調装置50において同一の参照符号を付したブロックと同一の基本機能を有している。以下では、OFDM復調装置51の各ブロックにおいて、図1のOFDM復調装置1とは異なる動作について説明する。
図1のOFDM復調装置1との違いは、サンプリング補正制御部20から周波数誤差補正部21にサンプリングクロックシフト量を供給している点と、同じくサンプリング補正制御部20からFFT部14にFFT窓シフト量を供給している点にある。
上述したとおり、例えば、変形Farrow型フィルタでは、遅延量D’=−Δfrac(分数遅延量)であるが、遅延量D’は、そのフィルタ特性が図17の様な特性であるならば、その演算誤差を考慮すれば、Nが偶数の場合には−1/2<D´<+1/2の範囲内に、Nが奇数の場合には0<D´<1の範囲内に設定されるのが好ましい(上限値および下限値はいずれも受信側サンプリングクロック周期単位)。そのため、分数遅延量が有限値(例えば、−1/2〜+1/2)の範囲を超える場合においても齟齬なく周波数誤差を補正させる構成が必要となる。なお、有限値の範囲が、特許請求の範囲における所定のサンプリングタイミングの範囲に対応する。
以下に、OFDM復調装置51の動作について説明する。上述したサンプリングクロックシフト量およびFFT窓シフト量は、分数遅延量が上述した有限値を超えた場合に使用されるものであり、OFDM復調装置51のでは、周波数誤差補正部21へのサンプリングクロックシフト量とFFT部14へのFFT窓シフト量とを連動させて供給することにより、分数遅延量が有限値を超えた場合でも齟齬なく周波数誤差を補正する構成を実現している。
OFDM復調装置51において経過する時間を上述したMT's(T'sはOFDM復調装置51におけるサンプリング周期)と表す場合、復調を継続すると、時間の経過に伴ってMの値は単調に増加する。しかし、分数遅延フィルタで補正できる領域は有限であり、Mが大きくなると、サンプリングタイミング誤差Δ=Mαは上述した有限値を超えてしまう。
ここで、変形Farrow型分数遅延フィルタの場合を例にとると、遅延量D’=−Δfracは、−1/2〜+1/2に設定されている。そこで、OFDM復調装置51では、Mが増加した結果、D'=+−1/2になったら、図22のように、D'=−+1/2に変更する。図22は、サンプリング値を補正する例を示す図である。図22の各行はシンボル内のタイミングを表している。各行の左から右へとサンプリング単位で、また、上の行から下の行へとシンボル単位で時間が進行する。図22において、太い矢印が動作クロックによる受信側サンプリングタイミング、細い矢印が放送波の真のサンプリングタイミングを示す。周波数誤差が一定である場合には、図22の様に真のタイミングは時間とともに一定の間隔でシフトする。なお、シンボル全体はサンプリングクロック周期で表示するのは困難なので、図22ではFFT窓位置付近のみを拡大して表示した。また、同時に、FFT窓をD'の変化の逆方向に1T'sだけシフトさせる。これはサンプリングタイミング誤差Δの整数部Δintと分数部Δfracが逆方向に1T'sシフトすることに相当する。シフト前後ではトータルのΔは不変である。この処理によって、遅延量D'やΔfracを、−1/2〜+1/2に設定することが可能となる。なお、図22においては、受信側サンプリングクロックの立ち下りタイミングで処理を行うものとしているが、逆に、立ち上がりタイミングで処理を行うようにしてもよい。その場合は、その場合には、図中の立ち上がりと立下りを逆転させれば良い。
例えば、図19(b)に示す状態が例えばD'=2/3とすると、遅延量D’は、有限値(=1/2)を超えており、精度よく補間値を算出することができない。図19に示す例では、真のサンプリングタイミングに対応する遅延量D'として、n=0を基準サンプリングタイミングとした分数遅延量が設定される。しかし、遅延量D'に対応する補間ポイントは、n=0のサンプリングタイミングよりn=1のサンプリングタイミングに近い。つまり、n=0を基準サンプリングタイミングとする代わりに、n=1を基準サンプリングタイミングとした遅延量D'を用いることによって、遅延量D’を有限値−1/2〜+1/2の範囲に収めることができ、精度よく補間値(真のサンプリングタイミングのサンプリング値)を算出することができる。
このような基準サンプリングタイミングの更新は、サンプリングクロック毎に算出されるサンプリングタイミング誤差Δ(サンプリングクロック単位)を整数部Δintと分数部Δfracとに分け、遅延量D'をD'=−Δfracと設定することによって実現される(D’を−1〜0の範囲に収める場合)。D’を−1/2〜+1/2に収めるのであれば、例えば、(Δ+1/2)の分数部から1/2を減算することにより遅延量D’を算出するようにすればよい。サンプリング補正制御部20は、このようにして算出した遅延量D’をサンプリングクロックシフト量として周波数誤差補正部21に供給するとともに、同時に算出された(Δ+1/2)の整数部をFTT窓シフト量としてFTT部14に供給する。あるいは、整数部によるシフトを考慮したFFT窓の開始タイミング生成し、開始タイミングをFFT部14に供給するように構成してもよい。
周波数誤差補正部21は、(1)新たなデータを変形Farrow型分数遅延フィルタにラッチし、(2)遅延量D'をサンプリング補正制御部20から取得し、(3)取得した遅延量D'を変形Farrow型分数遅延フィルタに入力することによって、新たなサンプリング値を得る、という一連の処理をサンプリングクロック毎に繰り返す。同時に、FFT部14は、(1)FFT窓シフト量(Δ+1/2の整数部)をサンプリング補正制御部107から取得し、(2)取得したFFT窓シフト量が前回取得したFFT窓シフト量と比べて±1増減したとき(かつ、そのときに限って)、FFT演算の開始位置を±T'sシフトさせる、という一連の処理をサンプリングクロック毎に繰り返す。あるいは、周波数誤差補正部21が供給するFFT窓開始タイミングにしたがって、FFT窓を設定してFFT処理を行うように構成してもよい。
これにより、分数遅延量は常に有限値を超えることはなく、D'は−1/2〜+1/2の範囲に収まる。また、図22に示すとおり、サンプリングクロックに対して、常に、同じタイミングでFFT窓が開始することになる。つまり、補間ポイントの範囲の制約(すなわち、分数遅延量の範囲の制約)を受けることなく、無限時間で周波数誤差によるサンプリングタイミング誤差を補正することが可能となる。
(オーバーサンプル状態での補間処理)
また、オーバーサンプル状態にて分数遅延処理を行なうと、分数遅延周波数領域が実効的に広くなることは上述した説明のとおりであるが、ここでは、FFTの規準サンプリングクロック周波数Fsの4倍にオーバーサンプルして分数遅延処理を行なう場合について考える。オーバーサンプリングして分数遅延処理を行う場合においても、最終的なタイミング補正の目標は、Fsクロックにおける誤差を補正することである。したがって、基準サンプリングクロックに対する分数遅延(D’=−1/2〜+1/2)を行なうためには、オーバーサンプリングクロックに対する整数遅延(D’=±0、±1、±2、±3)(以下、「オーバーサンプル整数遅延」と呼称)と、オーバーサンプリングクロックに対する分数遅延分数遅延(D’=−1/2〜+1/2)(以下、「オーバーサンプル分数遅延」と呼称)の両方が必要となる。
この場合、サンプリングクロックシフト量を受ける周波数誤差補正部21は、サンプリングクロックシフト部が追加された構成となる。図23は、整数遅延処理に対応した周波数誤差補正部21の具体的な構成を示す図である。
図23に示すとおり、周波数誤差補正部21は、オーバーサンプル整数遅延(D’=±0、±1、±2、±3)のための整数遅延部2032および2033と、オーバーサンプル分数遅延(D’=−1/2〜+1/2)のための分数遅延部2031を備えた構成である。整数遅延部2032は、周波数偏差が負のとき周波数誤差を補正する整数遅延部であり、整数遅延部2033は、周波数偏差が正のときの周波数誤差を補正する整数遅延部である。つまり、オーバーサンプル状態にて分数遅延処理を行う場合には、図23に示す構成によってオーバーサンプル分数遅延量をシフトさせながらオーバーサンプル整数遅延量もシフトさせる。
以下に、オーバーサンプリング状態でのオーバーサンプル整数遅延およびオーバーサンプル分数遅延について、より詳細に説明する。オーバーサンプリングを行わない場合(すなわちFsクロック)において、分数遅延量が有限値を超えたときに、オーバーサンプル分数遅延量をD'=+−1/2からD'=−+1/2に変更すると同時に、FFT窓の開示タイミングを逆方向にシフトさせる処理が必要であることは上述した説明のとおりである。
これに対して、オーバーサンプリングのレート変換比率が整数のオーバーサンプリング状態の場合には、例えば、オーバーサンプリングクロックが4Fsクロックのときには、オーバーサンプル遅延量をD'=+−1/2からD'=−+(4−1/2)に変更し、FFT窓の開始タイミングを逆方向にFsクロック、1周期T'sだけシフトさせることになる。つまり、オーバーサンプリング状態に応じたオーバーサンプル整数遅延量のシフトが必要となるが、図23のように、周波数誤差補正部21を、分数遅延フィルタ2031の前後に、トータルのオーバーサンプル遅延量がセレクタによって選択可能な整数遅延部2032および2033を設けた構成とすることで、オーバーサンプル整数遅延量のシフトが可能となる。
また、ベースバンド処理部全体の制約によって、レート変換比が非整数の場合がある。例えば、4.5倍のオーバーサンプリングのときには、4.5Fsクロックのオーバーサンプル整数遅延(D’=±0、±1、±2、±3)とオーバーサンプル分数遅延(D’=−1/2〜+1/2)の両方でタイミング調整を行う。
ただし、この場合、FFT窓開始タイミングは、あくまでFFT基準クロック周波数の周期Ts単位でシフトさせるため注意が必要となる。したがって、オーバーサンプリングクロックが4.5Fsクロックのときには、オーバーサンプル遅延量をD'=+−1/2からD'=−+(4.5−1/2)に変更するが、FFT窓の開始タイミングを逆方向にFsクロック、1周期Ts、すなわち、オーバーサンプリングクロックが4Fsクロックのときと同じだけシフトさせることになる。
以上の説明では、レート変換比が4倍と4.5倍の場合を例に説明したが、レート変換比率はこれに限定される訳ではない。分数遅延処理の演算精度やベースバンド信号処理の要請に応じて任意のレート変換比において同様の方法で実施可能である。
また、上述した実施形態では、OFDM復調装置1の内部において直交検波を行っているが、OFDM復調装置1およびOFDM復調装置50の外部に接続されたチューナーにおいて直交検波を行い、OFDM復調装置1およびOFDM復調装置50が直交検波後のIQ成分出力を受けて、周波数誤差検出および周波数誤差補正を行う構成とすることも可能である。
実施形態1の構成では、検出した周波数偏差をPLL403に与えることで、動作クロックの周波数誤差を補正する。つまり、周波数誤差補正により、動作クロックは、PPMオーダーで変動する。一方、実施形態2の構成では、動作クロック周波数は一定のまま、データ列の周波数誤差を補間処理で補正する。つまり、動作クロックは変動せず、補正対象が、動作クロックかデータ列かの違いとなる。
(付記事項)
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
なお、本発明を、以下の構成としても実現できる。
(第1構成)
誤り訂正符号化されたデータ信号と、
フレーム同期信号と制御信号と、
波形等化処理の基準となるパイロット信号を、直交周波数分割多重変調を行うことで有効シンボルを生成し、前記有効シンボルと、前記有効シンボルの一部分と同一の内容を複写してなるガードインターバルとを備えた伝送シンボルを含む直交周波数分割多重変調(OFDM)方式によるデジタル送信波を受信・復調するOFDM復調装置において、
放送局とは異なるクロック源を用い、
前記放送波をサンプリングした受信サンプル系列信号と前記受信サンプル系列信号を有効シンボル期間遅延した遅延信号との各サンプル毎の複素相関値を出力する複素相関演算手段と、
前記複素相関値をシンボル方向にあらかじめ定められたシンボル数積分し前記シンボル数で割ることによりフィルタリングして複素相関演算値系列信号を出力する第1のフィルタ手段と、
前記複素相関演算値の複素相関強度を算出する複素相関強度算出手段と、
前記複素相関強度をデータをサンプリングした方向にフィルタリングをして複素相関強度演算値を出力する第2のフィルタ手段と、
前記第2のフィルタ手段の出力を受けて前記複素相関強度演算値の微分を行う微分手段と、
前記微分手段が出力する値のピーク位置を検出する微分出力ピーク位置検出手段と、
前記微分出力ピーク位置検出手段が出力するピーク位置情報を前記微分出力ピーク位置検出手段がピーク位置を出力する周期毎に記憶する記憶手段と、
前記記憶手段が記憶している微分出力ピーク位置と前記微分出力ピーク位置検出手段が出力するピーク位置の差と、前記微分出力ピーク位置検出手段がピーク位置を出力する周期に基づいてクロック周波数誤差を検出するクロック周波数誤差検出手段と、
前期クロック周波数誤差検出手段が出力するクロック周波数誤差情報を受けて放送局の動作クロックと受信装置の動作クロックとのずれを補正する手段を有する事を特徴とするOFDM復調装置の選択とを独立して決定することを可能とするコンテンツ再生装置。
(第2構成)
第1構成に記載の動作クロックの周波数を放送波における真のサンプリング周波数に合わせ込む手段が、前記クロック源のクロック周波数の増減であることを特徴とするOFDM復調装置。
(第3構成)
前記周波数誤差情報から真のサンプリングタイミングに相当する分数遅延量を算出するサンプリング補正制御部と、
前記サンプル系列信号の前記補正制御部が出力した分数遅延量でのサンプリング値を補間処理で計算することを特徴とする補間手段を有し、
前記クロック源の周波数を増減しないでサンプリングタイミングを放送波に合わせ込むことを特徴とする第1構成に記載のOFDM復調装置。
(第4構成)
オーバーサンプリング手段を有し、
前記オーバーサンプリング手段は前記サンプル列のサンプリング周波数を規準クロック周波数に対しオーバーサンプリング状態に変換し、
前記補間処理が前記オーバーサンプリングされたデータ列の補間処理を行なうことを特徴とする第3構成に記載のOFDM復調装置。
(第5構成)
第1のフィルタ手段と、
第2のフィルタ手段と、
微分手段と、
微分出力ピーク位置検出手段と、
微分手段の全シンボル期間の出力をもとに閾値を計算する閾値計算回路と、
該微分出力が閾値を超えているか否かを判別する閾値通過判別回路と、
該微分出力全体で前記閾値通過判別回路が閾値を通過したと判別したかをカウントするカウント回路と、
前期カウント回路が予め定められた回数以下、もしくは、前期カウント回数が別の予め定められた回数以上である場合にピーク位置は無効であると出力し、それ以外の場合は有効であると出力する判断手段1と、
前記判断手段1の出力と前記ピーク位置検出手段の出力を周波数誤差検出周期で記憶する記憶手段と、
前記記憶手段が記憶している直前の周波数誤差検出周期における前記判断手段1の出力と現在の前記判断手段1の出力がともに有効であれば有効と出力し、それ以外の場合は無効と出力する判断手段2と、
前記判断手段2が有効と判断したときに、前記記憶手段が記憶している微分出力ピーク位置と前記微分出力ピーク位置検出手段が出力するピーク位置の差と前記ピーク位置検出手段がピーク位置を出力する周期とからクロック周波数誤差を算出する一方で、前記効判断手段2が無効と判断したときは、周波数誤差を更新せず前回検出時のクロック周波数誤差を引き続き使用することを特徴とするクロック周波数誤差検出手段を有する、
第1構成から第4構成までのいずれかの構成に記載のOFDM復調装置。
(第6構成)
前記周波数誤差検出手段からのクロック周波数誤差検出値を積分してゆく積分手段を具備し、
前記積分手段の出力を請求項2もしくは3に記載の補正手段に与えることにより、各検出周期における周波数誤差検出周期値の誤りを補正することを特徴とする第1構成から第5構成までのいずれかの構成に記載のOFDM復調装置。
(第7構成)
前記有効判断手段2が有効と判断した周波数誤差検出値のみを積分する積分回路を具備し、
前記積分手段の出力を請求項2または3に記載の補正手段に与えることにより、各検出周期における周波数誤差検出周期値の誤りを補正することを特徴とする、
第1構成から第6構成までのいずれかの構成に記載のOFDM復調装置。
(第8構成)
前記クロック周波数誤差検出値にOFDM復調装置の内部パラメータで決まる値を乗じた後に積分することを特徴とする、
第6構成または第7構成に記載のOFDM復調装置。
(第9構成)
前記第1のフィルタ手段の積分期間がOFDM復調装置の内部パラメータで決まることを特徴とする第1構成から第6構成までのいずれかの構成に記載のOFDM復調装置。
ここで、内部パラメータは、積分を行う期間に含まれるシンボルの個数をパラメータとして有している。
検出開始直後などには、周波数誤差検出速度の向上のため積分を行う期間を少なくする必要があるなど、制約が発生する場合がある。第9構成のOFDM復調装置は、最初のうちは短い周期で頻繁に周波数誤差の検出を行うことによりすばやく周波数誤差を収束させ、その後で積分を行う期間を長くしてより正確な周波数誤差検出を行わせるといったように第1のフィルタ手段の計算を行う期間を変化させることができる。
(第10構成)
ピーク位置検出においては前回有効なピーク位置を含む前後の区間をピーク位置検出対象とし、それ以外の区間に有効なピークが存在しても検出対象としないことを特徴とする第1構成から第9構成までのいずれかの構成に記載のOFDM復調装置。
(第11構成)
FFT演算開始位置をずらすFFT窓位置制御手段を有し、
前記サンプリング補正制御部があらかじめ定められた値を超える遅延量を算出した際に規準サンプリングクロック1周期分だけシフトした分数遅延量を出力し、
FFT窓位置制御手段はFFT窓位置を規準サンプリングクロック1周期分だけ同時にシフトさせることで、
サンプリングタイミング補正を常に処理することが可能となることを特徴とする第3構成または第4構成に記載のOFDM受信装置。
(第12構成)
コンピュータに、
第1構成から第11構成までのいずれかの構成に記載のクロック周波数誤差検出手順と、
クロック周波数誤差を補正する手順とを実行させることを特徴とするOFDM復調プログラム。
(第13構成)
第12構成に記載のプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
なお、上記実施形態のOFDM復調装置の各部や各処理ステップは、CPUなどの演算手段が、ROM(Read Only Memory)やRAMなどの記憶手段に記憶されたプログラムを実行し、インターフェース部などの通信手段を制御することにより実現することができる。したがって、これらの手段を有するコンピュータが、上記プログラムを記録した記録媒体を読み取り、当該プログラムを実行するだけで、本実施形態のOFDM復調装置の各種機能および各種処理を実現することができる。また、上記プログラムをリムーバブルな記録媒体に記録することにより、任意のコンピュータ上で上記の各種機能および各種処理を実現することができる。
この記録媒体としては、マイクロコンピュータで処理を行うために図示しないメモリ、例えばROMのようなものがプログラムメディアであっても良いし、また、図示していないが外部記憶装置としてプログラム読み取り装置が設けられ、そこに記録媒体を挿入することにより読み取り可能なプログラムメディアであっても良い。
また、何れの場合でも、格納されているプログラムは、マイクロプロセッサがアクセスして実行される構成であることが好ましい。さらに、プログラムを読み出し、読み出されたプログラムは、マイクロコンピュータのプログラム記憶エリアにダウンロードされて、そのプログラムが実行される方式であることが好ましい。なお、このダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納されているものとする。
また、上記プログラムメディアとしては、本体と分離可能に構成される記録媒体であり、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスクやCD/MO/MD/DVD等のディスクのディスク系、ICカード(メモリカードを含む)等のカード系、あるいはマスクROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュROM等による半導体メモリを含めた固定的にプログラムを担持する記録媒体等がある。
また、インターネットを含む通信ネットワークを接続可能なシステム構成であれば、通信ネットワークからプログラムをダウンロードするように流動的にプログラムを担持する記録媒体であることが好ましい。
さらに、このように通信ネットワークからプログラムをダウンロードする場合には、そのダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納しておくか、あるいは別な記録媒体からインストールされるものであることが好ましい。