JP5138166B2 - 高周波誘電加熱用電力制御装置およびその制御方法 - Google Patents

高周波誘電加熱用電力制御装置およびその制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、電子レンジなどのように、マグネトロンを用いた高周波誘電加熱用電力制御に関するものであり、特にマグネトロンの特性のバラツキや種類、それにマグネトロンのアノードの温度等の差異に影響されない高周波誘電加熱に関するものである。
従来の公知の高周波加熱装置は、マグネトロンに供給する電力の調節をインバータ制御回路の出力パルス幅によって行っている。信号重畳手段の出力電圧が高くなると前記インバータ制御回路の出力パルス幅は広くなり、マグネトロンに供給する電力は大きくなる構成となっていた。この構成によって信号重畳手段の出力電圧を変えマグネトロンの加熱出力を連続的に変化させることが可能となっていた。
また、ヒータはマグネトロンのカソードを兼ねていたので、マグネトロンに電力を供給するトランスは、ヒータにも電力を供給しているため、マグネトロンに供給する電力の変化に応じてヒータに供給する電力も変化していた。このためヒータ温度を適正な範囲に入れようとすると、僅かな加熱出力の変化幅しか取れず、加熱出力を連続的に変えることができなくなる問題があった。
これを解決する高周波加熱装置としては、特許文献1に開示された制御方式がある。図12はこの制御方式を実施する高周波加熱装置を説明する図である。図12において、この加熱制御方式は、マグネトロン701と、マグネトロン701に2次巻電力を供給する高圧整流回路702に高圧電力を供給すると同時に前記マグネトロン701のヒータ715に電力を供給するトランス703と、交流電源704を整流しそれを所定周波数の交流に変換しトランス703に供給するインバータ回路705と、インバータ回路705の入力電力あるいは出力電力を検知する電力検知手段706と、所望する加熱出力設定に対応した出力設定信号を出力する出力設定部707と、電力検知手段706の出力と前記出力設定信号を比較し所望する加熱出力となるよう電力調節信号の直流レベルをコントロールする電力調節部708と、電力検知手段706の出力が基準電圧発生手段の出力レベル718以上になると出力である発振検知信号がLOからHIとなる発振検知手段719と、前記出力設定信号に対応した電圧を発生する比較電圧発生回路716と、出力設定信号をレベル変換回路720によって比較した波形整形信号と、交流電源電圧704を整流する整流回路710の出力を前記波形整形信号と前記発振検知信号に基づいて整形する波形整形回路721と、波形整形回路721の出力信号を前記比較電圧発生回路の出力と比較し小さいときは比較基準電圧を出力し、大きいときは反転増幅する比較回路711と、比較回路711の出力の変動信号を前記電力調節信号に重畳しパルス幅制御信号を出力する信号重畳手段712と、発振回路713と、発振回路713の出力を前記パルス幅制御信号によりパルス幅変調しこの変調出力により前記インバータ回路5を駆動するインバータ制御回路714を備える構成となっている。
上記高周波加熱装置は、マグネトロン701に供給する電力の調節をインバータ制御回路714の出力パルスの幅によって行なっている。信号重畳手段712の出力電圧が高くなると前記インバータ制御回路714の出力パルス幅は広くなり、マグネトロン701に供給する電力は大きくなる。この装置において信号重畳手段12の出力電圧を連続的に変えることによってマグネトロン701の加熱出力を連続的に変化させることが可能となっている。この構成によると、交流電源704を整流回路710で整流した整流電圧の波形は、波形整形回路721によって出力設定に応じて整形され、比較回路711へ出力される。この波形整形回路721の出力を、加熱出力設定信号に対応したレベルの基準信号を発生する比較電圧発生回路716を基準電圧として持つ比較回路711によって反転増幅し、この反転増幅信号と電力調節部708の出力を重畳することによって、信号重畳手段712の出力信号である前記パルス幅制御信号は、加熱出力設定が高出力時と比較して低出力時には交流電源704の振幅最大付近のレベルはより低くなり、前記マグネトロン非発振部分のレベルはより高くなるため、マグネトロンの電源一周期あたりの発振期間は長くなる。これによりヒータへ供給される電力は大きくなる。さらに高出力時にはインバータの入力電流波形が、エンベロープピーク付近で上に凸であり正弦波の整流波形に近い波形となり、高調波電流が抑えられる。
このように、波形整形回路721によりパルス幅制御信号を低出力時にはヒータ電流が多くはいるように、高出力時には電源電流高調波が小さくなるように制御することにより、電源電流高調波を低く抑えなおかつヒータ電流の変化を小さくすることができ、信頼性の高い高周波加熱装置を実現することができる、というものである。
しかしながらこの制御においては、スイッチングトランジスタのON/OFF駆動パルスに、商用電源波形を加工・整形した変調波形を用いてパルス幅変調し、入力電流波形が正弦波に近づくように「見込み制御方式」による波形整形を実施しているので、マグネトロンの特性のバラツキや種類、それにマグネトロンのアノードの温度や電子レンジ内の負荷によるebm(アノード・カソード間電圧)変動、さらに電源電圧変動に対してまでは波形整形が追従しきれていない、ということが判明した。
ここで、本発明の動機づけとなったマグネトロンの特性のバラツキや種類について簡単に説明する。マグネトロンのVAK(アノード・カソード電圧)−Ib特性は図13で示すように非線形負荷のため、商用電源の位相に応じてON幅を変調して、入力電流波形を正弦波に近づけて力率向上をさせていた。
そして、マグネトロンのこの非線形特性は、マグネトロンの種類により異なり、またマグネトロン温度や、電子レンジ内の被加熱物(負荷)によっても変動するものである。
図13はマグネトロンのアノード・カソード印加電圧−アノード電流特性図であり、(a)はマグネトロンの種類による違い、(b)はマグネトロンの給電のマッチングの善し悪しによる違い、(c)はマグネトロンの温度による違い、をそれぞれ示す図であり、また(a)〜(c)に共通して縦軸はアノード−カソード間電圧、横軸はアノード電流である。
そこで(a)について見ると、A,B,Cは3種類のマグネトロンの特性図で、マグネトロンAの場合、VAKがVAK1(=ebm)になるまでは電流はIA1以下の僅かな電流しか流れない。ところが、VAKがVAK1を超えると電流IAは急激に増加し始める。この領域ではVAKの僅かの違いでIAは大きく変化することとなる。次に、マグネトロンBの場合、VAK2(=ebm)はVAK1より低く、さらにマグネトロンCの場合、VAK3(=ebm)はVAK2よりさらに低くなっている。このようにマグネトロンのこの非線形特性は、マグネトロンの種類A,B,Cにより異なるので、ebmが低いマグネトロンに合わせた変調波形の場合、ebmが高いマグネトロンを使用した時に入力電流波形が歪んでしまった。従来装置ではこれらの問題に対処できなかった。そこで、それらの種類の影響を受けない高周波誘電加熱回路を作ることが課題となっている。
同じく(b)について見ると、3種類のマグネトロンの特性図はマグネトロンから見た加熱室のインピーダンスマッチングの良、悪を示している。インピーダンスマッチングが良の場合、VAK1(=ebm)が最大で、以下悪くなるにしたがって小さくなってゆく。このようにマグネトロンのこの非線形特性は、インピーダンスマッチングの良、不良でも大きく異なるので、それらの種類の影響を受けない高周波誘電加熱回路を作ることが課題となっている。
同じく(c)について見ると、3種類のマグネトロンの特性図はマグネトロンの温度の高低を示している。温度が低い場合、VAK1(=ebm)が最大で、以下次第に温度が高くなるにしたがってebmは低くなってゆく。したがって、マグネトロンの温度を低い方に合わせると、マグネトロンの温度が高くなったときに入力電圧波形が歪んでしまうことが起きた。
このようにマグネトロンの非線形特性は、マグネトロンの温度の違いでも大きく異なるので、それらの種類の影響を受けない高周波誘電加熱回路を作ることが課題となっている。そして従来回路および前記の回路ではこれらの変動の補償は行っていなかった。
上述の課題に対応して、特許文献2に開示された制御方式がある。図14は当該制御方式を実施する高周波加熱装置を説明する構成図である。
図14において、交流電源220の交流電圧は4個のダイオード232からなるダイオードブリッジ型整流回路231で整流され、インダクタ234とコンデンサ235からなる平滑回路230を経て、直流電圧に変換される。その後、コンデンサ237とトランス241の1次巻線238からなる共振回路236とスイッチングトランジスタ239からなるインバータ回路で高周波交流に変換され、トランス241を介して、その2次側巻線243に高周波高圧が誘起される。
2次巻線243に誘起された高周波高圧は、コンデンサ245、ダイオード246、コンデンサ247、ダイオード248からなる倍電圧整流回路244を介して、高電圧がマグネトロン250のアノード252とカソード251間に印加される。また、トランス241には3次巻線242があって、これによりマグネトロン250のヒータ(カソード)251を加熱する。以上がインバータ回路210である。
次に、インバータのスイッチングトランジスタ239を制御する制御回路270について説明する。先ず、CT等の電流検知手段271でインバータ回路の入力電流を検知して、電流検知手段271からの電流信号を整流回路272で整流し、平滑回路273で平滑し、これと、他方の加熱出力設定に対応した出力設定信号を出力する出力設定部275からの信号を比較回路274で比較する。なお、比較回路274は電力の大きさを制御するための比較を行うので、前記入力信号の代わりにマグネトロン250のアノード電流信号や、あるいは、スイッチングトランジスタ239のコレクタ電流信号等が入力信号であっても有効である。
他方、交流電源220をダイオード261で整流し、整形回路262で波形整形する。その後、整形回路262からの信号を反転・波形処理回路263で反転して、波形処理する。整形回路262からの出力信号は後述のゲイン可変アンプ回路291で可変して基準波形信号を出力し、整流回路272からの入力電流波形信号と、このゲイン可変アンプ回路291からの基準波形信号との差を、波形エラー検出回路292により波形誤差信号として出力する。この波形エラー検出回路292からの波形誤差信号と比較回路274からの電流誤差信号をミックスアンドフィルタ回路281(以下、「ミックス回路」という)でミックスしフィルタリングしてON電圧信号を出力し、ノコギリ波発生回路283からのノコギリ波とPWMコンパレータ282で比較して、パルス幅変調してインバータ回路のスイッチングトランジスタ239をオン・オフ制御するものである。
図15にそのミックス回路281の1例を示す。ミックス回路281の入力端子は3つあって、端子811に補助変調信号、端子812に波形誤差信号、端子813に電流誤差信号が加えられ、図のような内部回路でミックスされる。810は高周波カットフィルタで、高周波成分が不要な電流誤差信号の高周波成分を除去する機能を有する。高周波成分が存在すると波形誤差信号とミックスした時に波形誤差信号の変動分がきれいに出なくなってしまうからである。
以上のように、ゲイン可変アンプ回路291により入力電流の大きさに追従した波形基準を自動的に作成し、この波形基準と、電流検知手段271から得られた入力電流波形とを波形エラー検出回路292で比較して波形エラー情報を得るようにし、得られた波形エラー情報を入力電流制御の出力とミックスして、インバータ回路のスイッチングトランジスタ239のオン・オフ駆動信号に変換して使用するものである。
このように、入力電流の大きさに追従して波形基準に入力電流波形が合致するように制御ループが動作するので、マグネトロンの種類やその特性にバラツキがあっても、また、マグネトロンのアノードの温度や電子レンジ内の負荷によるebm(アノード・カソード間電圧)変動、さらに電源電圧変動があっても、それらの影響を受けない入力電流波形整形が可能になる。
特開平7−176375号公報 特開2004−30981号公報
しかしながら、特許文献2記載の構成では、図14に示したように、反転・波形処理回路263からの補助変調信号811を用いて、波形整形を行っていた。これは波形整形に際して、実際に流れる電流を反映した波形誤差信号812に加えて補助変調信号811を用いることにより、波形整形がうまく行えるという理由に基づくものであった。しかしながら反転・波形処理回路263の採用、更に整流回路272等が必要となるため、構造が複雑、大規模になるという問題があった。
また、補助変調信号811の採用に伴い、結局マグネトロンの種類やその特性に応じて、今度は補助変調信号811の調整が必要となり、結局対象となるマグネトロンに応じた回路毎の個別設計が必要となるという問題があった。
また、マグネトロンは真空管の一種であるため、そのヒータに電流を供給してから電磁波を発振出力するまでの遅れ時間(以下、起動時間と略記する)が生ずる。上記ヒータ電流を高めることで、この起動時間は短縮されるものの、起動時間内はマグネトロンのアノードとカソード間のインピーダンスは無限大のため、その両端に印加される電圧が過剰に高くなるおそれがあり、この弊害を防止する対策が必要になるという問題があった。
そこで、本発明は、マグネトロンの起動時間内での非発振時に、印加電圧が各部の耐電圧に対して過大にならないように構成して起動時間を短縮させつつ、マグネトロンの種類やその特性にバラツキがあっても、またマグネトロンのアノードの温度や電子レンジ内の負荷によるebm(アノード・カソード間電圧)変動、さらに電源電圧変動があっても、それらの影響を受けることが無く、運転効率を向上させることができる高周波誘電加熱用電力制御装置およびその制御方法を提供することを目的としている。
本発明は、交流電源の電圧を整流し、スイッチングトランジスタの高周波スイッチングのオン時間を変調して高周波電力に変換するインバータ回路を制御する高周波誘電加熱用電力制御装置であって、前記交流電源からの前記インバータ回路への入力電流を検知し、電圧に変換した入力電流波形情報を出力する入力電流検出部と、前記交流電源からの前記インバータ回路への入力電圧を検知し、入力電圧波形情報を出力する入力電圧検出部と、
前記マグネトロンの発振を検知する発振検知部と、前記発振検知部が前記マグネトロンの発振を検知するまでの期間において、前記入力電圧波形情報を、前記入力電圧検出部に出力させる切替スイッチと、前記入力電流波形情報と、前記期間において出力された前記入力電圧波形情報とを、前記波形情報が大きい時はオン時間を短くする極性に、前記波形情報が小さい時はオン時間を長くする極性に、前記インバータ回路のスイッチングトランジスタのオン・オフ駆動信号変換する変換部と、を備える。
前記入力電流検出部及び前記変換部の間に接続され、前記入力電流波形情報と、前記マグネトロンの発振を検知するまでの期間において出力された前記入力電圧波形情報と、前記インバータ回路の入力電流信号、マグネトロンのアノード電流信号、スイッチングトランジスタのコレクタ電流信号、またはスイッチングトランジスタのコレクタ電圧信号のいずれかが所定値になるように制御する電力制御情報と、をミックスし、オン電圧信号を生成するミックス回路を更に有し、前記変換部は、前記オン電圧信号を前記駆動信号に変換するよう構成することができる。
前記入力電流検出部の出力と出力設定信号とを比較して、前記電力制御情報を出力する比較回路を更に設けることもできる。
前記入力電流検出部は、前記入力電流を検知する変流器と、検知された前記入力電流を整流し、出力する整流回路とを有するものであってもよい
一方、前記入力電流検出部は、前記インバータ回路の入力電流を整流した後の単一方向電流を検知して出力するように構成することもできる。ここで、前記入力電流検出部は、前記インバータ回路の入力電流を整流した後の単一方向電流を検知するシャント抵抗と、当該シャント抵抗の両端に生ずる電圧を増幅する増幅回路を有するように構成され得る。さらに前記増幅回路により得られた出力を、前記入力電流波形情報として直接前記ミックス回路に入力し、前記増幅回路により得られた出力と出力設定信号と比較して前記電力制御情報を出力する比較回路を更に備えるものであってよい。
前記ミックス回路は、前記電力制御情報の高域成分をカットする構成であってもよいまた、前記ミックス回路はフィルタ回路を含み、前記入力電流の増加制御時には前記フィルタ回路の時定数を大きく設定し、前記入力電流の減少制御時には前記フィルタ回路の時定数を小さく設定するよう構成されうる。
また、前記ミックス回路には、前記スイッチングトランジスタのコレクタ電圧を所定値に制御するコレクタ電圧制御情報が入力され、前記コレクタ電圧の大きさに応じて回路構成が切り替わるよう構成してもよい。ここで前記ミックス回路はフィルタ回路を含み、前記コレクタ電圧が低い場合には前記フィルタ回路の時定数を大きく設定し、前記コレクタ電圧が高い場合には前記フィルタ回路の時定数を小さく設定するよう構成されうる。
さらに、前記入力電流検出部には、商用電源の高次周波数部分および高周波スイッチング周波数等の高周波部分を減衰するフィルタ回路を設けることができ、さらに前記フィルタ回路に位相進み補償を付加することもできる。
また、前記入力電圧検出部は、前記交流電源からの前記インバータ回路への入力電圧を検知する一組のダイオードと、当該ダイオードにより検出された入力電圧を波形整形して出力する整形回路と、から構成されうる。前記整形回路は、前記入力電圧の高次周波数部分を減衰する構成を有してもよく、位相進み補償を更に有してもよい。
さらに、前記発振検知部を、前記入力電流検出部と前記入力電圧検出部との間に接続された発振検知回路より構成し、前記切替スイッチを、前記発振検知回路と前記入力電圧検知部との接続点に設けることもできる。
また、前記変換部を、前記オン電圧信号と所定の搬送波を重ね合わせて、前記スイッチングトランジスタの駆動信号を生成するパルス幅変調回路より構成することもできる。
更に本発明は、交流電源の電圧を整流し、スイッチングトランジスタの高周波スイッチングのオン時間を変調して高周波電力に変換するインバータ回路を制御する高周波誘電加熱用電力制御方法であって、前記交流電源からの前記インバータ回路への入力電流を検知するステップと、前記入力電流に対応して電圧に変換した入力電流波形情報を取得するステップと、前記交流電源からの前記インバータ回路への入力電圧を検知するステップと、前記入力電圧に対応した入力電圧波形情報を取得するステップと、前記マグネトロンの発振を検知するステップと、前記マグネトロンの発振が検知されるまでの期間において、前記入力電圧波形情報を出力するステップと、前記入力電流波形情報と、前記期間において出力された前記入力電圧波形情報とを、前記波形情報が大きい時はオン時間を短くする極性に、前記波形情報が小さい時はオン時間を長くする極性に、前記インバータ回路のスイッチングトランジスタのオン・オフ駆動信号変換するステップと、を備える。
本発明によれば、交流電源電圧を整流して所定周波数の交流に変換するインバータ回路の入力電流波形情報をインバータ回路のスイッチングトランジスタのオン・オフ信号に変換して使用するので、入力電流が大きい部分は小さく、また、小さい部分は大きくなるように入力電流を補正する制御ループが構成され、マグネトロンの種類やその特性にバラツキがあっても、またマグネトロンのアノードの温度や電子レンジ内の負荷によるebm(アノード・カソード間電圧)変動、更に電源電圧変動があっても、それらの影響を受けない入力電流波形整形が非常に簡単な構成で可能になる。
また、この補正ループに、マグネトロンの非発振時は入力電圧波形情報も入力しているので、マグネトロンの起動時間が短縮されるという効果がある。
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を用いて詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1に係る高周波加熱装置を説明するブロック図である。図1において、高周波加熱装置はインバータ回路10と、インバータのスイッチングトランジスタ39を制御する制御回路70と、マグネトロン50とからなる。インバータ回路10は、交流電源20と、ダイオードブリッジ型整流回路31と、平滑回路30と、共振回路36と、スイッチングトランジスタ39、倍電圧整流回路44とを含む。
交流電源20の交流電圧は4個のダイオード32から成るダイオードブリッジ型整流回路31で整流され、インダクタ34とコンデンサ35から成る平滑回路30を経て、直流電圧に変換される。その後、コンデンサ37とトランス41の1次巻線38から成る共振回路36とスイッチングトランジスタ39から成るインバータ回路で高周波交流に変換され、トランス41を介してその2次側巻線43に高周波高圧が誘起される。
2次側巻線43に誘起された高周波高圧は、コンデンサ45、ダイオード46、コンデンサ47、ダイオード48から成る倍電圧整流回路44を介して、高電圧がマグネトロン50のアノード52とカソード51間に印加される。また、トランス41には3次巻線42があって、これによりマグネトロン50のヒータ(カソード)51を加熱する。以上がインバータ回路10である。
次に、インバータのスイッチングトランジスタ39を制御する制御回路70について説明する。まず、交流電源20とダイオードブリッジ型整流回路31との間に設けられたCT(Current Transformer;変流器)71等より構成される電流検知部が、整流回路72に接続され、CT71と整流回路72よりインバータ回路への入力電流を検知する入力電流検出部が構成される。インバータ回路への入力電流はCT71で絶縁・検出され、その出力は整流回路72で整流され、入力電流波形情報90が生成される。
整流回路72により得られた電流信号は、平滑回路73で平滑化され、これと、他方の加熱出力設定に対応した出力設定信号を出力する出力設定部75からの信号を比較回路74で比較する。なお、比較回路74は電力の大きさを制御するため、平滑回路73で平滑化された入力電流信号と出力設定部75からの設定信号の比較を行う。従って、平滑回路73で平滑化された入力電流信号の代わりにマグネトロン50のアノード電流信号や、スイッチングトランジスタ39のコレクタ電流信号、あるいはスイッチングトランジスタ39のコレクタ電圧信号等を入力信号として用いることもできる。すなわち、比較回路74は、入力電流検出部の出力が所定値になるように制御する電力制御情報91を出力するが、比較回路74、電力制御情報91は後述するように本発明にとって必須ではない。
同様に、図2に示されるようにダイオードブリッジ型整流回路31と平滑回路30間に設けたシャント抵抗86よりなる電流検知部と、その両端電圧を増幅する増幅回路85とで入力電流検出部を構成し、その出力を入力電流波形情報90としてもよい。シャント抵抗86は、ダイオードブリッジ型整流回路31により単一方向に整流された後の入力電流を検知する。
他方、本実施の形態において制御回路70は、交流電源20の電圧を検知して整流する一組のダイオード61と、整流された電圧を波形整形し、入力電圧波形情報94を生成する整形回路62とからなる入力電圧検出部をも備える。さらに制御回路70は、整流回路72により得られた電流信号が所定のレベルであるか否か、マグネトロンが発振されているか否かを検知する発振検知部を構成する発振検知回路63を備える。発振検知回路63は、電流信号のレベルによりマグネトロンが発振開始したことを検知し、この時点を境に検知前を非発振状態、検知後を発振状態に区分している。非発振と判定されると、発振検知回路63は、整形回路62とミックス回路81の間に配置された切替スイッチSW3をオンにする。言い換えると、切替スイッチSW3は、発振検知回路63がマグネトロン50の発振を検知するまでの期間において、入力電圧波形情報94を、入力電圧検出部に出力させるものである。注意すべきは、マグネトロンの発振開始以降も商用電源の周期に合わせて、マグネトロンは発振・非発振を繰り返すのであるが、ここでいう非発振、すなわち発振開始後の非発振により、切替スイッチSW3がオンとなることは、本発明とは関係がない。
本実施の形態では、入力電流波形情報90と、比較回路74からの電力制御情報91、及び、入力電圧波形情報94(SW3オン時)も付加してミックス回路81でミックスしフィルタリングしてON電圧情報92を出力し、ノコギリ波発生回路83からのノコギリ波とPWMコンパレータ82で比較して、パルス幅変調し、インバータ回路のスイッチングトランジスタ39をオン・オフ制御するというように、入力電流波形情報検出系を簡略化している。特に本実施の形態では、入力電流波形情報90が直接ミックス回路81に入力されるという簡略化された構成を採用している。
尚、PWMコンパレータ82は、ON電圧情報92と所定の搬送波であるノコギリ波とを重ね合わせて、スイッチングトランジスタ39の駆動信号を生成するパルス幅変調回路である。ただし、この部分は、交流電源20からの入力電流が大きい部分はオン時間が短く、入力電流が小さい部分はオン時間が長くなるように、ON電圧情報92をインバータ回路のスイッチングトランジスタの駆動信号に変換する変換部として構成されていればよく、この構成には限定されない。そして、特に本発明において変換部は、入力電流波形情報90と、マグネトロン50の発振を検知するまでの期間において出力された入力電圧波形情報94とを、インバータ回路のスイッチングトランジスタ39の駆動信号に変換する。
また入力電流波形情報に対するスイッチングトランジスタ39のオン・オフ制御は、入力電流が大きい時はオン時間を短く、逆に小さい時は長くする極性で変換される。従って、そのような波形とするべく、入力電圧波形情報は後述するミックス回路81内で反転処理して使用される。
図4(a)にミックス回路81の1例を示す。ミックス回路81の入力端子は3つあり、夫々に電力制御情報91、入力電流波形情報90、SW3を介して入力電圧波形情報94が加えられ、図のような内部回路でミックスされる。
また、図4(b)に示すように、電力制御情報91からミックス回路81出力間には、交流等価回路で示されるように、高周波カットフィルタが構成される。これによって入力電流波形を整形するための入力電流波形情報90に対して妨害になっていた電力制御に含まれる高周波成分は、このフィルタによりカットされる。
一方、図4(c)に示すように、入力電流波形情報90及び入力電圧波形情報94からミックス回路81出力間には、交流等価回路で示されるように、低周波カットフィルタが構成される。したがって、電力制御情報91はミックス回路81出力の直流成分に、また入力電流波形情報90及び入力電圧波形情報94は交流成分に変換される。
実施の形態1は、以上のように、入力電流波形情報90と入力電圧波形情報94の大きい方の信号を選択し、インバータ回路のスイッチングトランジスタ39のオン・オフ駆動信号に変換して使用するものである。一般に電子レンジ等に使用されるPWMインバータは衆知であり、50〜60サイクルの商用電源を整流して直流に変換し、変換した直流をインバータにより、例えば、20〜50Hz程度の高周波に変換し、昇圧した高周波を昇圧トランスで昇圧し、さらに倍電圧整流回路で整流した高電圧をマグネトロンに印加するものである。
インバータの回路方式としては、例えば、商用電源が230V地域等でよく使用されような直列接続された二つのスイッチングトランジスタを交互にオンさせ、そのスイッチング周波数を制御して出力を変化させる(ハーフ)ブリッジ回路方式と、本発明の図1や、特許文献2の図1等に示すような、スイッチングトランジスタ39を1つ使用してスイッチングを行い、スイッチングパルスのオン時間を変えて出力を変える、いわゆる一石式電圧共振型回路を用いたオン時間変調方式の2通りがある。一石式電圧共振型回路方式は、スイッチングトランジスタ39は1個で済み、オン時間を短くすれば出力は低下し、オン時間を長くすれば出力が増加する、というようにシンプルな構成・制御が可能な方式である。
図5は本発明の実施の形態1により得られる波形を説明する図である。この例は、マグネトロンが通常に発振しているとき、すなわち通常運転時の状況である。このとき、発振検知回路63は、整流回路72から得られる電流値より、マグネトロンが通常運転下にあると判断し、SW3をオフにする。従って、本運転時においては、ダイオード61、整形回路62が作用することはなく、入力電圧波形情報94は生成されない。
図5において、(a)は入力電流が大きい場合、(b)は入力電流が小さい場合である。また、後述するように、実線は以下の説明で主に用いられる本発明の電力制御装置による補正後の信号形状を表わし、破線は交流電源20からの補正前の瞬時変動する出力の信号形状を表わす。
図5(a)において、上から(イ)の入力電流波形情報の波形は、図1では整流回路72の出力で、図2ではアンプ85の出力である入力電流波形情報90であって、破線はマグネトロンの非線形負荷特性に起因する補正前の波形を示している。図5(a)の(ロ)の波形は、ミックス回路81の補正出力であるON電圧情報92で、このON電圧情報92は入力電流波形情報90、電力制御情報91に追従してその大きさが変化し、更に、入力電流の歪み分を相補・補正するために(イ)の反転波形として出力されている。
図5(a)の(ハ)は、(ロ)で示したON電圧情報92と同等のものを示し、このON電圧情報と、(ニ)で示す変調用のノコギリ波発生回路83からのノコギリ波がPWMコンパレータ82により比較され、スイッチングトランジスタ39のオン・オフ信号であるPWM信号が生成される。つまり図示のように、PWMコンパレータ82にPWM指令信号として(ハ)のON電圧情報92と、(ニ)のノコギリ波を入力して比較し、ノコギリ波とON電圧情報92が交叉する期間を、オン時間のパルス幅とするパルスのオン時間変調を行う。指令信号(ON電圧情報)92の振幅値が大きい部分(0度、180度近傍、入力電流は小さい部分)では、ノコギリ波との交叉期間も大きいのでオン時間が長く、パルス幅が広くなり、入力電流を上げる極性に補正される。又、ON電圧情報92の振幅値が小さい部分(90度、270度近傍、入力電流は逆に大きい部分)は、ノコギリ波との交叉期間も小さいのでオン時間が短くパルス幅も狭くなり、入力電流を下げる極性に補正するという(ホ)のようなオン・オフ期間のパルス列をPWM信号として出力する。つまり、入力電流波形情報(イ)に対してON電圧情報(ロ)は補正波形として反転しているので、入力電流波形情報(イ)の入力が大きい(90度、270度近傍)部分では、(ニ)のパルス列信号のようにオン時間を短くし、入力電流波形情報(イ)の入力が小さい(0度、180度のゼロクロス近傍)部分では、オン時間を長くして大きくするという、(イ)とは逆の反転出力に変換するものである。これによって、入力波形の補正効果が得られるが、特にこの効果はゼロクロス近辺にて大きい。
下段の(ト)の波形は、スイッチングトランジスタ39のON幅を示し、(イ)に示す50Hz(あるいは60Hz)の入力電流波形情報及び入力電圧波形情報が、これを反転した補正波形のON電圧情報(ハ)を(ニ)の高周波のノコギリ波と比較することで、20Hz〜50Hz等の高周波にインバータ変換されて、(ホ)のオン・オフ信号が生成される。このオン・オフ信号(ホ)に応じてスイッチングトランジスタ39は駆動され、高周波電力を昇圧トランス1次側に入力し、昇圧トランス2次側に昇圧された高圧を発生する。(ト)はこのオン・オフ信号(ホ)の各パルスのオン時間が商用電源の周期内でどのように変化しているかを視覚化するために、それぞれのオン時間情報をY軸にプロットし、その各点を結んだものである。
上述の説明は、交流電源20からの入力電流が理想的な状態(例えばサイン波)で得られる場合の状態と同一の信号を示している。しかしながら、一般的に交流電源20からの入力電流は、瞬時的に見れば理想的なサイン波から乖離し、変動している。このような現実的な状態を示すのが破線の信号である。この破線で示すように、商用電源の半周期(0から180度)という瞬時の期間でみても、現実の信号は理想信号の状態から乖離し、瞬時変動が生じているのが一般である。このような信号形状は、トランス、倍電圧回路による昇圧作用、倍電圧回路の平滑特性、かつ電圧がebm以上のみのときだけアノード電流が流れるマグネトロン特性等により発生する。すなわち、マグネトロン用のインバータ回路においては不可避的な変動ということができる。
本発明の電力制御装置では、入力電流の変動状態を反映した破線で示された入力電流波形情報((イ)参照)が入力電流検出部より得られ、この入力電流波形情報を元にその後の制御がなされる。この制御は、例えば半周期の如き期間で発現する入力電流波形情報の瞬時変動が、矢印で示すように理想的な信号に近づくよう抑制されるように行なわれる。そして、この抑制はスイッチングトランジスタ39の駆動信号を調整することにより達成される。具体的には、入力電流波形情報が理想信号より小さい場合は、上述したオン時間がより長く、パルス幅がより広くなる。入力電流波形情報が理想信号より大きい場合は、上述したオン時間がより短く、パルス幅がより狭くなる。さらに短い期間の瞬時変動においても、その変動した波形がオン時間情報に反映されて、上記同様の補正がなされる。
駆動信号が与えられたスイッチングトランジスタ39の瞬時変動抑制作用により、入力電流波形情報には、矢印で示すような補正がなされ、常時理想波に近い入力がマグネトロンに与えられることとなる。尚、修正後の(ハ)及び(ホ)の図示は省略している。ここで、上記した理想信号は仮想信号であるが、この信号は正弦波になる。
すなわち、商用電源の半周期如き短い期間において、理想信号波形と入力電流波形情報の瞬時誤差あるいは補正量の総和は、他の手段で入力電流の大きさ等が制御(電力制御)されているので略ゼロである。また、非線形負荷に起因して入力電流が流れない部分は流す方向に補正されるので、入力電流が大きい部分を減少させて上記略ゼロを成立させている。これは、非線形負荷であっても、その電流波形があたかも線形負荷とみなせるように補正することであり、商用電源電圧波形は正弦波なので、線形負荷に流れる電流波形と同じく、理想波形は正弦波になる。
このように入力電流波形の変化や、理想波形に対する過不足を打ち消すように、その波形の逆極性で入力電流が補正される。したがって、マグネトロンの非線形負荷によって生じる商用電源周期内の急激な電流変化、すなわち歪はこの制御ループで打ち消され、入力電流波形整形が行なわれることになる。
更に、このように、入力電流の瞬時値に追従した入力電流波形情報で制御ループが動作するので、マグネトロンの種類やその特性にバラツキがあっても、またマグネトロンのアノードの温度や電子レンジ内の負荷によるebm(アノード・カソード間電圧)変動、さらに電源電圧変動があっても、それらの影響を受けない入力電流波形整形を行うことができる。
特に本発明では、瞬時変動する入力電流波形情報を元にスイッチングトランジスタの制御がなされる。入力電流の瞬時変動が、入力電流波形情報という形にて直接ミックス回路81に入力され、ON電圧情報にも反映されるため、入力電流波形歪の抑制や、瞬時変動に対する追随性の優れたスイッチングトランジスタの駆動信号を得ることができる。
本発明の主題は、入力電流波形の歪や瞬時変動が抑制されるように、該情報を有する入力電流波形情報をインバータ回路のスイッチングトランジスタの駆動信号に変換するということである。当該目的達成のためには電力制御情報91は特に必須ではない。電力制御情報91は長期的な期間、すなわち商用電源周期程度より長い周期での電力変動を制御するための情報であり、本発明が狙う交流の半周期の如き短期間、瞬時の変動を補正する情報ではないからである。従って、ミックス回路81、PWMコンパレータ82の採用も実施形態の一例に過ぎず、上述した変換を行なう変換部に相当するものが、入力電流検出部とスイッチングトランジスタの間に存在すればよい。
また、電力制御情報を用いる場合においても、上述の実施形態の様に入力電流検出部の出力が所定値になるように制御する電力制御情報91をミックス回路81に入力することは必須ではない。すなわち上述の実施の形態では、電力制御情報91は、入力電流を検知する電流検知部71及び整流回路72(図1)又はシャント抵抗86及び増幅回路85(図2)をその起源としているが、インバータ回路10の任意の箇所における電流又は電圧が所定値になるように制御する情報を電力制御情報として、ミックス回路81に入力することができる。例えば、スイッチングトランジスタ39のコレクタからの情報をそのまま、又は平滑回路73を通じて平滑化して比較回路74に入力し、比較回路74における出力設定信号との比較を経た後の情報を電力制御情報として使用することができる。
次に、図5(b)は図5(a)に対して入力電流の小さい時の波形を比較して示したもので、(チ)は入力が小さい場合の入力電流波形情報で、図5(a)の(イ)に対応し、(リ)はON電圧情報で、(ヌ)はスイッチングトランジスタのオン幅で、各々図5(a)の(ロ)、(ト)に対応している。また、図示は省略しているが、図5(a)の(ハ)、(ニ)、(ホ)、(ヘ)に示したノコギリ波の比較処理は、ここでも同一の処理が行なわれることは、勿論である。
以上の図5に基づく説明は、マグネトロンの通常運転時に関する説明である。次に、マグネトロンの起動時における作用について説明する。起動時とは、マグネトロンに電圧が印加されているが、発振はしておらず、発振が開始する前の準備段階の状態をいう。
マグネトロンの起動時(非発振時に相当)においては、定常運転時と異なり、そのアノードとカソード間のインピーダンスは無限大に等しくなる。そして、トランス41を介して、このような定常運転時と起動時の違いが、入力電流の状態に影響を及ぼすため、発振検知回路63は、整流回路72から得られる電流値より、マグネトロンが起動時にあるか否かを判断することができる。起動時にあると判断した場合、発振検知回路63はSW3をオンにする。従って、起動時においては、ダイオード61、整形回路62が作用し、入力電圧波形情報94が生成される。
ところで、本発明においては、商用の交流電源20からの電圧にON電圧情報を掛け合わして、すなわち商用電源電圧をON電圧情報で振幅変調して、トランス41の一次側に印加している。そして、この一次側の印加電圧のピーク値がマグネトロン50への印加電圧に関連し、印加電圧と経過時間から定義される面積がヒータへの供給電力に関連する。
本発明では、入力電流波形情報90が小さい起動時においては、入力電圧波形情報94を、切替スイッチSW3を介して、ミックス回路81に入力するように構成している。すなわち特に起動時における参照信号としての入力電流の不足を、入力電圧が補う形式を採用している。
図6は、入力電圧波形情報を付加した場合と付加しない場合の動作を比較説明するための図であり、図6(a)は上から順に、入力電圧波形情報を付加しない場合のON電圧情報と、トランス一次側の印加電圧、マグネトロン印加電圧と、ヒータ入力電力の各波形を示している。
図6(b)は、入力電圧波形情報を付加した場合(起動時)の動作を説明する。図6(a)、図6(b)はともに後述する実施の形態6等の構成により、トランス一次側の印加電圧のピーク値が制限された場合を示している。さらに図6(b)では、付加される入力電圧波形情報の作用で、トランス1次側印加電圧、マグネトロン印加電圧のピークが抑圧され、波形は台形を示している。なお、この図6(b)も図6(a)と同様、上からON電圧情報、トランス1次側印加電圧、マグネトロン印加電圧、ヒータ入力電力の各波形を示している。
図5で示したように、位相0度、180度付近では、スイッチングトランジスタのオン幅は大きいため、トランス1次側印加電圧、マグネトロン印加電圧は比較的増幅幅が大きくなる。一方、位相90度、270度付近では、スイッチングトランジスタのオン幅は小さいため、増幅幅は比較的抑圧され、位相0度、180度における増幅幅との相対的な関係から、波形の全体図が台形になり、ピークが抑圧されたような形状を示す。
図6(a)と図6(b)のマグネトロン印加電圧を比較してみると、マグネトロン印加電圧が同一の場合のヒータ入力電力は、図6(b)のヒータ入力電力のほうがヒータ入力電力が増大して、波形面積が大きくなるので、ヒータは短時間で熱せられ、起動時間を短縮することが可能となる。
この場合の発振検知回路は、たとえばマグネトロンが発振を開始すると入力電流が増加する特性を利用し、入力電流検出部の出力をコンパレータ等で発振検知スレッシュレベルと比較し、その出力をラッチする構成等がある。その検出値をSW3へ出力する。
図7は本発明の実施の形態1に用いられる、入力電流波形情報と入力電圧波形情報を加算する加算・反転回路の一例を示す図である。この加算・反転回路は、図4、図9、図10に示すようにミックス回路81内に設けられている。
入力電流波形情報90と入力電圧波形情報94は、各々バッファトランジスタに入力され、その出力はコレクタ抵抗を共通にした二つのトランジスタに入力される。バッファトランジスタは、入力電流波形情報90と入力電圧波形情報94の干渉を防ぐために設けられる。二つのトランジスタ各々のエミッタ抵抗には入力された信号の大きさに応じた電流(エミッタ電流)が流れ、共通のコレクタ抵抗にはそれぞれのエミッタ電流を加算した値に応じて電圧降下が生じる。
ここで、エミッタの電圧が高くなると上記電流が大きくなり、電圧降下が大きくなる、すなわちコレクタ電圧は下がるので、入力信号に対してコレクタ電圧は極性が反転する。またコレクタ抵抗とエミッタ抵抗との抵抗値比で信号の変換係数も変わる。電力制御信号との干渉という面では、共通コレクタ接続点の信号はバッファを介してインピーダンス変換して、その後のコンデンサに接続するほうがより効果的である。このように、この回路は二つの信号を加算し、かつ反転して出力する。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2は、入力電流波形情報、およびマグネトロンの非発振時は入力電圧波形情報をさらに付加した信号と、比較回路74からの電力制御情報をミックスし、フィルタリング処理してインバータ回路のスイッチングトランジスタ39のオン・オフ駆動信号に変換して使用するという、制御回路(変換部)の構成についてのものである。
実施の形態2では図1に示すように、図14に示すような、ゲイン可変アンプ291、反転・波形処理回路263、波形エラー検出回路292等が省略されるので、大幅な部品削減が可能となり簡易化、小型化が達成できる。更に、簡単な構成で入力電流波形情報90に入力電圧波形情報94を加算して、起動時のヒータ電力を増加させ起動時間を短縮する構成とし、マグネトロンのアノード52への過大電圧印加を防止する安全策をも付加しているため、製品の信頼性が向上する。
また、以上のように構成することで、入力電流波形情報90を用いる制御ループは入力電流の波形整形に、電力制御情報91を用いる制御ループは電力制御に特化し、かつお互いの制御は特に干渉しない構成として、変換効率を保持している。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3は入力電流検出部に関するもので、図1に示すようにインバータ回路の入力電流をCT71等で検知して、整流回路72より整流出力するように構成したものである。この構成はCT等を用いて入力電流を検出するので絶縁性を保ちつつ大きい信号が取り出せるので、入力電流波形整形の効果は大きく、入力電流の品質が良くなる。
また、図2に示す例では、入力電流検出部は、インバータ回路の整流回路31で整流後の単方向電流を、整流回路31と平滑回路30の間に配置されたシャント抵抗86を介して検知して、その両端に生ずる電圧を増幅回路(アンプ)85より増幅し、出力するように構成したものである。この構成はその検出部を電子回路と絶縁する必要がなく、また整流する必要もないので、入力電流検出部を安価に構成できる利点がある。
また図2に示されるように、前記入力電流検出部の増幅回路85は商用電源の高次周波数部分や、高周波スイッチング周波数等の高周波部分を減衰するように構成して不要な共振を防止している。具体的には、図3の入力電流検出部の詳細図に示すように、図3(a)のように増幅回路85は高域カット用のコンデンサを用いて、商用電源の高次周波数部分や、高周波スイッチング周波数等の高周波部分を減衰させている。
更に、増幅回路85の高域カット用コンデンサの挿入により、図3(b)の位相特性図に示すように、発生する位相遅れをコンデンサに直列に抵抗を挿入して、位相進み補償を付加して過渡な時間遅れを防止し、制御ループの安定性を確保している。また、図8に示すように、図1の整流回路72においても高周波部分を減衰するような構成(コンデンサの並列挿入)や、位相進み補償(コンデンサの直列挿入)を付加して過渡な時間遅れを防止する構成を用いることができる。
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4は、ミックス回路81に関するものであって、このミックス回路には、図4(a)に示すように、入力電流波形情報90と、入力電圧波形情報94と、電力制御情報91を入力する3端子が設けられている。この構成により、ヒータ入力電力を補償するもので、起動時間を短縮できる。
入力電流波形情報90と入力電圧波形情報94(SW3のオン時)は、図7に示したような加算・反転回路に入力され、加算反転処理がなされる。この処理後の信号と、電力制御情報91は、各々C、R1、R2で構成されるフィルタ回路に入力され、フィルタリングの後、ON電圧情報92としてPWMコンパレータ82へ出力される。フィルタ回路は、図4(b)の等価回路図に示すように、電力制御情報91の高域成分をカットするように構成している。このように構成することで入力電流波形整形の妨げとなる前記成分はカットされるので、入力電流波形の品質が向上する。一方、図4(c)の等価回路図のように、入力電流波形情報90及び入力電圧波形情報94に対しては、低域カットフィルタを構成して、波形保全を行っている。
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5は、入力電流検出部の入力電流波形情報及び入力電圧検出部の入力電圧波形情報、並びに入力電流検出部の出力が所定値になるように制御する電力制御情報とを合成するミックス回路の特性を、入力電流増加制御時と減少制御時とで差を設けて制御するものである。図9は実施の形態5のミックス回路の構成図である。
図9(a)の構成図では、電力制御情報91でSW1をオン/オフして、ON電圧情報92を下降/上昇させる構成である。入力電流の増加制御時は、SW1をオフして図9(b)の等価回路に示すように、C*R2の時定数でON電圧情報を徐々に上げてスイッチングトランジスタのオン幅が広くなるように制御している。
入力電流の減少制御時は、SW1をオンして、図9(c)の等価回路図に示すように、C*{R1*R2/(R1+R2)}の時定数でON電圧情報を急速に下げてスイッチングトランジスタのオン幅が狭くなるように制御している。すなわち、入力電流の増加制御時と入力電流の減少制御時との間で、ミックス回路81の回路構成が切り替わるものである。特に入力電流の増加制御時には時定数を大きく設定し、入力電流の減少制御時には時定数を小さく設定する。
このように差を設けることで、通常は緩やかに応答する制御特性と、何らかの要因で入力電流が過渡に上昇した場合、素早い応答で入力電流を減少させて部品破壊等を防止する制御特性を実現できる。また、マグネトロンの非直線性負荷に対する制御特性の安定性も確保できる。
(実施の形態6)
本発明の実施の形態6は、図10の実施の形態6に関わるミックス回路の構成図に示すように、前記スイッチングトランジスタ39のコレクタ電圧を所定値に制御するコレクタ電圧制御情報を、前記ミックス回路81に入力する。
図10に示すように、コレクタ電圧と基準値とを比較したコレクタ電圧制御情報93でSW2をオン/オフ制御している。コレクタ電圧が低い場合は、SW2をオフしてC*R2の時定数でON電圧情報を徐々に上げてスイッチングトランジスタのオン幅が広くなるように制御している。コレクタ電圧が高い場合は、SW2をオンしてC*{R2*R3/(R2+R3)}の時定数でON電圧情報を急速に下げてスイッチングトランジスタのオン幅が狭くなるように制御している。すなわち、スイッチングトランジスタ39のコレクタ電圧の大きさに応じて、ミックス回路81の回路構成が切り替わるものである。特に、コレクタ電圧が低い場合には時定数が増加し、コレクタ電圧が高い場合には時定数が減少する。
図11は、マグネトロンの発振検知に関する時系列チャートを示し、入力電流の変化に伴う、アノード電流、コレクタ電圧の変化をも示す。マグネトロン50の発振開始以前においては、トランス41の二次側インピーダンスが非常に大きい、すなわち、マグネトロンのアノード・カソード間のインピーダンスが無限大である。従って、トランスの二次側負荷でほとんど電力消費されず、トランジスタ39のコレクタ電圧が所定値に制御(制限)されているので、発振検知回路63への入力電流は小さい(図11のIin1)。
一方、マグネトロン50の発振開始以降においては、マグネトロンのアノード・カソード間のインピーダンスが小さくなり、トランスの二次側インピーダンスも小さくなる。従って、トランジスタ39のコレクタ電圧が所定値に制御(制限)されたまま、このような重負荷(マグネトロン)を駆動するので、発振検知回路63への入力電流は発振開始前と比較して大きくなる(図11のIin2)。
先に述べた、発振検知回路63の発振検知スレッシュレベルは、図11に示したように上記Iin1とIin2の間に予め設定されている。すなわち、コレクタ電圧が一定レベルに維持されつつも、発振開始以前と以降とで入力電流に明確に差が生じることを判断材料としている。図示の例では、アノード電流の増加に伴う発振検知回路63への入力電流が増加を開始した後、スレッシュレベルまで到達するのに要する時間をt1、その後発振検知回路63が発振開始を判断するのに要する時間をt2としている。このとき、t3=t1+t2の時間、発振開始しても、発振開始と判別するまでコレクタ電圧制御が機能している。
この制御はマグネトロンが発振していないとき、すなわち前記電力制御が機能していないときのマグネトロンへの過大電圧印加防止に効果がある。また、マグネトロンの発振開始以降は、この制御を無効化して電力制御に影響しないようにするため、コレクタ電圧と比較される基準値をマグネトロン発振開始以前に比べて大きく設定するのが好ましい。
以上、本発明の各種実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態において示された事項に限定されず、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者がその変更・応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
本発明の高周波誘電加熱用電力制御によれば、入力電流が大きい部分は小さく、小さい部分は大きくなるように反転して入力電流を補正する制御ループが構成される。従って、マグネトロンの種類、特性によるバラツキ、アノード・カソード間電圧変動、電源電圧変動等があっても、これらの影響を受けない入力電流波形整形が、より簡単な構成で得られるようになり、マグネトロンの安定出力が簡単な構成で達成される。また、この補正ループに、マグネトロンの非発振時は入力電圧波形情報も入力しているので、マグネトロンの起動時間が短縮される。
本発明の実施の形態1に係る高周波誘導加熱用電力制御装置の構成図。 本発明の実施の形態3に係る入力電流検出部を有する高周波誘電加熱用電力制御装置の構成図。 図2に示す入力電流検出部の詳細図。 本発明の実施の形態4に係るミックス回路の回路図。 図1に示す高周波誘導加熱用電力制御装置の各部の基本波形を示す図。 図1に示す高周波誘電加熱用電力制御装置の入力電圧波形情報加算時の各部波形図。 図4に示す加算回路の1例を示す図。 図1に示す整形回路の詳細回路図。 本発明の実施の形態5に係るミックス回路の構成図。 本発明の実施の形態6に係るミックス回路の構成図。 マグネトロンの発振検知に関する時系列チャート。 従来の高周波加熱装置の構成図。 図12に示すマグネトロンのアノード・カソード印加電圧−アノード電流特性図。 従来の高周波誘電加熱用電力制御装置の構成図。 図14に示すミックス回路の回路図。
符号の説明
10 インバータ回路
20 交流電源
30 平滑回路
31 ダイオードブリッジ型整流回路
32 ダイオード
34 インダクタ
35 コンデンサ
36 共振回路
37 コンデンサ
38 1次巻線
39 スイッチングトランジスタ
41 トランス
42 3次巻線
43 2次巻線
45 コンデンサ
46 ダイオード
47 コンデンサ
48 ダイオード
50 マグネトロン
51 カソード
52 アノード
61 ダイオード
62 整形回路
63 発振検知回路
70 制御回路
71 電流検知部
72 整流回路
73 平滑回路
74 比較回路
75 出力設定部
81 ミックス回路
82 PWMコンパレータ
83 ノコギリ波発生回路
85 増幅回路
86 シャント抵抗
90 入力電流波形情報
91 電力制御情報
92 ON電圧情報
93 コレクタ電圧制御情報
94 入力電圧波形情報

Claims (18)

  1. 交流電源の電圧を整流し、スイッチングトランジスタの高周波スイッチングのオン時間を変調して高周波電力に変換するインバータ回路を制御する高周波誘電加熱用電力制御装置であって、
    前記交流電源からの前記インバータ回路への入力電流を検知し、電圧に変換した入力電流波形情報を出力する入力電流検出部と、
    前記交流電源からの前記インバータ回路への入力電圧を検知し、入力電圧波形情報を出力する入力電圧検出部と、
    前記マグネトロンの発振を検知する発振検知部と、
    前記発振検知部が前記マグネトロンの発振を検知するまでの期間において、前記入力電圧波形情報を、前記入力電圧検出部に出力させる切替スイッチと、
    前記入力電流波形情報と、前記期間において出力された前記入力電圧波形情報とを、前記波形情報が大きい時はオン時間を短くする極性に、前記波形情報が小さい時はオン時間を長くする極性に、前記インバータ回路のスイッチングトランジスタのオン・オフ駆動信号を変換する変換部と、
    を備える高周波誘電加熱用電力制御装置。
  2. 請求項1記載の高周波誘電加熱用電力制御装置であって、
    前記入力電流検出部及び前記変換部の間に接続され、前記入力電流波形情報と、前記マグネトロンの発振を検知するまでの期間において出力された前記入力電圧波形情報と、
    前記インバータ回路の入力電流信号、マグネトロンのアノード電流信号、スイッチングトランジスタのコレクタ電流信号、またはスイッチングトランジスタのコレクタ電圧信号のいずれかが所定値になるように制御する電力制御情報と、をミックスし、オン電圧信号を生成するミックス回路を更に有する高周波誘電加熱用電力制御装置。
  3. 請求項2記載の高周波誘電加熱用電力制御装置であって、
    前記入力電流と出力設定信号とを比較して、前記電力制御情報を出力する比較回路を備える高周波誘電加熱用電力制御装置。
  4. 請求項1記載の高周波誘電加熱用電力制御装置であって、
    前記入力電流検出部は、前記入力電流を検知する変流器と、検知された前記入力電流を整流し、出力する整流回路とを有する高周波誘電加熱用電力制御装置。
  5. 請求項3記載の高周波誘電加熱用電力制御装置であって、
    前記入力電流検出部は、前記インバータ回路の入力電流を整流した後の単一方向電流を検知して出力するように構成した高周波誘電加熱用電力制御装置。
  6. 請求項5記載の高周波誘電加熱用電力制御装置であって、
    前記入力電流検出部は、前記インバータ回路の入力電流を整流した後の単一方向電流を検知するシャント抵抗と、当該シャント抵抗の両端に生ずる電圧を増幅する増幅回路を有し、
    前記増幅回路により得られた出力を、前記入力電流波形情報として直接前記ミックス回路に入力し、
    前記増幅回路により得られた出力と出力設定信号と比較して前記電力制御情報を出力する比較回路を更に備える高周波誘導加熱用電力制御装置。
  7. 請求項2記載の高周波誘電加熱用電力制御装置であって、
    前記ミックス回路は、前記電力制御情報の高域成分をカットする構成を有する高周波誘電加熱用電力制御装置。
  8. 請求項2記載の高周波誘電加熱用電力制御装置であって、
    前記ミックス回路はフィルタ回路を含み、前記入力電流の増加制御時には前記フィルタ回路の時定数を大きく設定し、前記入力電流の減少制御時には前記フィルタ回路の時定数を小さく設定する高周波誘電加熱用電力制御装置。
  9. 請求項2記載の高周波誘電加熱用電力制御装置であって、
    前記ミックス回路には、前記スイッチングトランジスタのコレクタ電圧を所定値に制御するコレクタ電圧制御情報が入力され、前記コレクタ電圧の大きさに応じて回路構成が切り替わる高周波誘電加熱用電力制御装置。
  10. 請求項9記載の高周波誘電加熱用電力制御装置であって、
    前記ミックス回路はフィルタ回路を含み、前記コレクタ電圧が低い場合には前記フィルタ回路の時定数を大きく設定し、前記コレクタ電圧が高い場合には前記フィルタ回路の時定数を小さく設定する高周波誘電加熱用電力制御装置。
  11. 請求項1記載の高周波誘電加熱用電力制御装置であって、
    前記入力電流検出部は、商用電源の高次周波数部分および高周波スイッチング周波数等の高周波部分を減衰するフィルタ回路を有する高周波誘電加熱用電力制御装置。
  12. 請求項11記載の高周波誘電加熱用電力制御装置であって、
    前記入力電流検出部は、前記フィルタ回路に位相進み補償を付加した構成とした高周波誘電加熱用電力制御装置。
  13. 請求項1記載の高周波誘電加熱用電力制御装置であって、
    前記入力電圧検出部は、
    前記交流電源からの前記インバータ回路への入力電圧を検知する一組のダイオードと、
    当該ダイオードにより検出された入力電圧を波形整形して出力する整形回路と、を備える高周波誘電加熱用電力制御装置。
  14. 請求項13記載の高周波誘電加熱用電力制御装置であって、
    前記整形回路が、前記入力電圧の高次周波数部分を減衰する構成を有する高周波誘電加熱用電力制御装置。
  15. 請求項14記載の高周波誘電加熱用電力制御装置であって、
    前記整形回路が、位相進み補償を更に有する高周波誘電加熱用電力制御装置。
  16. 請求項1記載の高周波誘電加熱用電力制御装置であって、
    前記発振検知部が、前記入力電流検出部と前記入力電圧検出部との間に接続された発振検知回路より構成され、
    前記切替スイッチが、前記発振検知回路と前記入力電圧検知部との接続点に設けられた高周波誘電加熱用電力制御装置。
  17. 請求項1記載の高周波誘電加熱用電力制御装置であって、
    前記変換部が、前記オン電圧信号と所定の搬送波を重ね合わせて、前記スイッチングトランジスタの駆動信号を生成するパルス幅変調回路より構成された高周波誘電加熱用電力制御装置。
  18. 交流電源の電圧を整流し、スイッチングトランジスタの高周波スイッチングのオン時間を変調して高周波電力に変換するインバータ回路を制御する高周波誘電加熱用電力制御方法であって、
    前記交流電源からの前記インバータ回路への入力電流を検知するステップと、
    前記入力電流に対応して電圧に変換した入力電流波形情報を取得するステップと、
    前記交流電源からの前記インバータ回路への入力電圧を検知するステップと、
    前記入力電圧に対応した入力電圧波形情報を取得するステップと、
    前記マグネトロンの発振を検知するステップと、
    前記マグネトロンの発振が検知されるまでの期間において、前記入力電圧波形情報を出力するステップと、
    前記入力電流波形情報と、前記期間において出力された前記入力電圧波形情報とを、前記波形情報が大きい時はオン時間を短くする極性に、前記波形情報が小さい時はオン時間を長くする極性に、前記インバータ回路のスイッチングトランジスタのオン・オフ駆動信号を変換するステップと、
    を備える高周波誘電加熱用電力制御方法。
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