JP5137472B2 - 焼成物及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、汚染土壌、建設発生土、建設汚泥、河川や港湾の底質、浚渫土等の土壌を含む被処理物を原料として製造される、軽量骨材、軽量土等に用い得る焼成物、及びその製造方法に関する。
近年、ビル等のコンクリート構造物の高層化に伴なう、コンクリート構造物の重量の低減化の要求、及び、輸送コスト等の削減の観点から、軽量骨材、軽量土が注目されている。
従来、このような軽量骨材、軽量土は、膨張性頁岩を原料として用い、粉砕、焼成等を行うことによって製造されていた。しかし、資源の枯渇に対する危機感が高まっており、原料である膨張性頁岩の一部を、廃棄物等の他の材料で代替した軽量骨材、軽量土の製造方法が提案されている。
例えば、粒径が75μm以下の膨張性頁岩に石炭灰を配合した原料を、造粒し、焼成した後、篩分けを行うことを特徴とする高強度人工骨材の製造方法が提案されている(特許文献1)。
また、膨張性頁岩を粉砕、篩分けして得られた粒径が3mm以下の頁岩と土木汚泥を含有する原料を、造粒し、焼成した後、篩分けを行う人工骨材の製造方法が提案されている(特許文献2)。
さらに、粒径が75μm以下の膨張性頁岩と下水道汚泥焼却灰を配合した原料を、造粒し、焼成した後、篩分けを行うことを特徴とする人工軽量骨材の製造方法が提案されている(特許文献3)。
特開平11−263648号公報 特開2000−53454号公報 特開平11−263651号公報
上記特許文献1〜3の技術によると、簡易な製造工程で人工軽量骨材を製造することができる。
しかし、膨張性頁岩の一部に代えて石炭灰等の廃棄物を用いるものであり、人工軽量骨材の軽量性の低下等を避けるために、全材料中の石炭灰等の廃棄物の使用割合は、特定の値以下に限定される。つまり、原料として膨張性頁岩を使用することは必須であり、資源の枯渇の問題を根本的に解決することはできない。
一方、工場跡地等で見つかる汚染土壌に対して、水洗処理による浄化方法を適用した場合、浄化済みの粗粒分が回収された後に、微粒分からなる脱水ケーキが残存する。この脱水ケーキは、有害物質を含み、かつ含水率が大きく、非常にハンドリング性の悪いものである。そのため、脱水ケーキの多くは、産業廃棄物として埋立処分されているのが現状である。
また、建設現場等で発生する建設発生土は、年間で数百万トンにも達し、その相当量が残土処分されている。
近年、汚染土壌の処理生成物や、建設発生土等の廃棄物を受け入れる埋立処分場の確保が困難になりつつあり、また、廃棄に必要な費用も高騰する傾向にあることから、汚染土壌、建設発生土等の土壌含有物の有効な再利用法の確立が求められている。
本発明は、上述の背景に鑑みて成されたものであって、従来埋立処分されていた汚染土壌、建設発生土等の土壌含有物を主な原料として製造される、軽量骨材、軽量土等に利用可能な焼成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、汚染土壌等の特定の原料を用いSi、Al、及び融点降下成分の各量が互いに特定の関係式を満たし、かつ、Feが特定の割合で含まれるように、焼成用原料を調製すれば、膨張性頁岩を使用しなくても、軽量骨材、軽量土等に利用可能な焼成物を得ることができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[6]を提供するものである。
[1] 汚染土壌、建設発生土、建設汚泥、底質、及び浚渫土からなる群より選ばれる1種以上を含み下記の式(1)及び式(2)を満たし、かつ、強熱減量を除いた全量中のFe 換算での値として2〜12.5質量%の割合でFeを含む焼成用原料を焼成してなる焼成物であって、絶乾密度が1.3kg/リットル以下で、かつ圧壊強度が700N以上であることを特徴とする焼成物。
(1) 0.75≧S/(S+A+F)≧0.45
(2) 0.25≧A/(S+A+F)≧0.15
(式(1)及び式(2)中、Sは、焼成用原料から強熱減量を除いた全量中のSiO換算でのSiの質量割合であり、Aは、焼成用原料から強熱減量を除いた全量中のAl換算でのAlの質量割合であり、Fは、焼成用原料から強熱減量を除いた全量中の酸化物換算での融点降下成分の質量割合(ただし、融点降下成分がハロゲン元素である場合に限り、元素単体での質量割合とする。)である。)
[2] 上記焼成用原料が、さらに下記の式(3)を満たす上記[1]に記載の焼成物。
(3) 0.37≧F/(S+A+F)≧0.05
[3] 上記融点降下成分が、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、ハロゲン元素、及び鉄元素からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の元素を含むものである上記[1]または[2]に記載の焼成物。
[4] 上記焼成用原料が、融点降下成分として、強熱減量を除いた全量中のCaO換算での質量割合が2〜15質量%である量のCaを含む上記[1]〜[3]のいずれかに記載の焼成物。
[5] (A)汚染土壌、建設発生土、建設汚泥、底質、及び浚渫土からなる群より選ばれる1種以上を含む被処理物を分級してまたは分級を行わずに、最大粒径が500μm未満である細粒分を得る分級工程と、
(B)工程(A)で得られた上記細粒分を、1種単独でまたは2種以上を混合し、かつ、粒度増大化処理による粒状化または塊状化を行って、粒度が5〜30mmで下記の式(1)及び式(2)を満たし、かつ、強熱減量を除いた全量中のFe 換算での値として2〜12.5質量%の割合でFeを含む焼成用原料を調製する原料調製工程と、
(1) 0.75≧S/(S+A+F)≧0.45
(2) 0.25≧A/(S+A+F)≧0.15
(式(1)及び式(2)中、Sは、焼成用原料から強熱減量を除いた全量中のSiO換算でのSiの質量割合であり、Aは、焼成用原料から強熱減量を除いた全量中のAl換算でのAlの質量割合であり、Fは、焼成用原料から強熱減量を除いた全量中の酸化物換算での融点降下成分の質量割合(ただし、融点降下成分がハロゲン元素である場合に限り、元素単体での質量割合とする。)である。)
(C)上記焼成用原料を焼成して、絶乾密度が1.3kg/リットル以下で、かつ圧壊強度が700N以上である焼成物を得る焼成工程と
を含むことを特徴とする焼成物の製造方法。
[6] 工程(A)における分級が、湿式分級である上記[5]に記載の焼成物の製造方法。
本発明の焼成物は、Si、Al、及び融点降下成分の各量が互いに特定の関係式を満たすように調製した焼成用原料を焼成してなるため、軽量性及び機械的強度に優れている。
本発明の焼成物の製造方法によれば、工程の数が少なく、簡易な設備で、低コストで実施することができるので、実用性が高い。
本発明の焼成物の製造方法によると、膨張性頁岩を全く使用せずに、汚染土壌、建設発生土等の本来埋立て処分されるべき廃棄物からなる原料のみを用いて、軽量骨材、軽量土等に利用可能な焼成物を得ることができるため、環境保全、省資源、廃棄物量の削減等を実現することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の焼成物は、汚染土壌、建設発生土、建設汚泥、底質、及び浚渫土からなる群より選ばれる1種以上を含み下記の式(1)及び式(2)を満たし、かつ、強熱減量を除いた全量中のFe 換算での値として2〜12.5質量%の割合でFeを含む焼成用原料を焼成してなるものである。
(1) 0.75≧S/(S+A+F)≧0.45
(2) 0.25≧A/(S+A+F)≧0.15
(式(1)及び式(2)中、Sは、焼成用原料から強熱減量を除いた全量中のSiO換算でのSiの質量割合であり、Aは、焼成用原料から強熱減量を除いた全量中のAl換算でのAlの質量割合であり、Fは、焼成用原料から強熱減量を除いた全量中の酸化物換算での融点降下成分の質量割合(ただし、融点降下成分がハロゲン元素である場合に限り、元素単体での質量割合とする。)である。)
本発明の焼成用原料を構成する原料としては、汚染土壌、建設発生土、建設汚泥、底質、浚渫土からなる群より選ばれる1種以上を含むもの(廃棄物)を用いることができる。
汚染土壌としては、工場等からの有害物質を含む排水の漏出により汚染された土壌や、有害物質を含む薬品で汚染された工場跡地の土壌等が挙げられる。
建設発生土としては、例えば、工事現場の掘削やダムの浚渫工事等で発生する土壌や、残土等が挙げられる。
建設汚泥としては、泥水式シールド工法等において、掘削面の崩壊の防止や掘削土の排土のために泥水を用いることによって生じる建設副産物としての汚泥等が挙げられる。
その他に、河川や港湾の底質、及び浚渫土等が挙げられる。
汚染土壌、建設発生土、建設汚泥、河川や港湾の底質、及び浚渫土等の、土壌を含む被処理物中の固体分は、通常、土壌が主体である。該被処理物中の固体分に含まれる土壌の含有率は、通常、50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、特に好ましくは80質量%以上である。該被処理物中の固体分に含まれる土壌以外の成分としては、建設作業時などに混入する金属片、木片、セメント、石灰等が挙げられる。なお、本明細書中、「被処理物中の固体分」とは、被処理物中に含まれる大きな異物(縦、横、長さのいずれかの寸法が30mmを超えるもの)を除く成分をいう。
焼成用原料中に含まれる、汚染土壌、建設発生土、建設汚泥等の土壌の含有率は、好ましくは60質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上であり、特に好ましくは80質量%以上である。
一般の人工骨材の原料となる粘土や頁岩等は、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、及び、カルシア(CaO)等を主成分として含む。人工骨材は、機械的強度を向上させるために、焼成時に、粒状物や塊状物の内部を半溶融状態にしてガラス化させている。また、人工骨材を軽量化するために、焼成時に、粘土や頁岩等の原料からなる粒状物や塊状物の内部を溶融させて、適度な粘性の低下を促し、同時に頁岩等の原料中に含まれる成分(例えば、Fe等)の反応によって発生する気泡(OやCO等)を内部に捕捉させて、多孔質構造を形成し、軽量化している。本発明においても、同様のメカニズムによって多孔質構造が形成され、軽量化がなされるものと考えられる。
焼成用原料が、汚染土壌、建設発生土、建設汚泥、底質、及び浚渫土からなる群より選ばれる1種以上を含み下記の式(1)及び式(2)を満たし、かつ、強熱減量を除いた全量中のFe 換算での値として2〜12.5質量%の割合でFeを含むものであれば、焼成時に、焼成原料となる粒状物や塊状物の内部を半溶融状態にしてガラス化させて機械的強度を増大させることができる。また、粒状物や塊状物の内部が溶融して適度に粘性が低下することにより、焼成用原料中に含まれる成分(例えば、Fe等)の反応により発生する気泡(OやCO等)が、半溶融状態の内部に捕捉され、多孔質化され軽量化された焼成物を得ることができる。本発明によれば、天然の原料である膨張性頁岩等を全く使用せずに、絶乾密度が1.3kg/リットル以下と低く、圧壊強度が700N以上(好ましくは740N以上)と高い、軽量骨材や軽量土として利用可能な焼成物を得ることができる。
(1) 0.75≧S/(S+A+F)≧0.45
(2) 0.25≧A/(S+A+F)≧0.15
(式(1)及び式(2)中、Sは、焼成用原料から強熱減量を除いた全量中のSiO換算でのSiの質量割合であり、Aは、焼成用原料から強熱減量を除いた全量中のAl換算でのAlの質量割合であり、Fは、焼成用原料から強熱減量を除いた全量中の酸化物換算での融点降下成分の質量割合(ただし、融点降下成分がハロゲン元素である場合に限り、元素単体での質量割合とする。)である。)
焼成用原料は、Si成分とAl成分と融点降下成分の合計量に対するSi成分の質量比(S/(S+A+F))が、0.50以上、0.75以下であることがより好ましい。また、焼成用原料は、Si成分とAl成分と融点降下成分の合計量に対するAl成分の質量比(Al/(S+A+F))が、0.16以上、0.22以下であることがより好ましい。
焼成用原料が、上記の式(1)及び式(2)を満たすようにする方法としては、例えば、2種類以上の廃棄物を混合して焼成用原料を調製する方法や、廃棄物を含む原料中に組成制御材(例えば、工業原料である石灰石粉末や珪石粉末)を混合して焼成用原料を調製する方法が挙げられる。
上記焼成用原料が、さらに下記の式(3)を満たすものであることが好ましい。
(3) 0.37≧F/(S+A+F)≧0.05
焼成用原料が、さらに上記の式(3)を満たすものである場合は、融点降下成分(F)に含まれる成分(例えば、Fe等)の反応により発生する気泡によって、軽量骨材や軽量土として利用し得る更に軽量化された焼成物を得ることができる。また、融点降下成分(F)として含まれるCaと、焼成用原料中に含まれている有害物質(砒素)を結合させて、有害物質を焼成物中に固定化し、有害物質の溶出量の少ない無害な焼成物を得ることができる。
焼成用原料は、Si成分とAl成分と融点降下成分(F)の合計量に対する融点降下成分(F)の質量比(F/(S+A+F))が、0.07以上、0.30以下を満たすものであることがより好ましい。
本発明において、融点降下成分とは、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、ハロゲン元素、及び、鉄元素からなる群より選ばれる少なくとも1種以上を含むものである。具体的には、例えば、酸化ナトリウム(NaO)、酸化カリウム(KO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、塩素(Cl)、三酸化二鉄(Fe)等が挙げられる。
焼成用原料は、融点降下成分として、Caを含むものであることが好ましく、焼成用原料中のCaの質量割合は、強熱減量を除いた全量中のCaO換算での値として、好ましくは2〜15質量%、より好ましくは4〜12質量%である。
焼成用原料となる、汚染土壌、建設発生土、建設汚泥、底質、及び浚渫土等には、土壌汚染対策法で定められた第二種特定有害物質が含まれていることがある。特に砒素は、3価や5価の無機砒素化合物や有機砒素化合物等の種々の形態で含まれている場合がある。このような有害物質を含む土壌(廃棄物)であっても、該土壌を含む焼成用原料が特定の質量割合でCaを含むものである場合は、無害な焼成物を得ることができる。すなわち、焼成用原料中に含まれる3価の無機砒素化合物や有機砒素化合物は、焼成時の高温度の加熱によって、5価の砒素に変化させることができる。この5価の砒素と焼成用原料中のCa成分が結合することによって、水への溶解度積が6.8×10−19と非常に小さい砒酸カルシウム(Ca(AsO)が生成され、この砒酸カルシウムが焼成物中に固定されて、有害物質(砒素)が溶出することのない、無害な焼成物が得られる。
焼成用原料中に含まれるCaとしては、土壌中に含まれている炭酸カルシウム(CaCO)や成分調整材として添加したセメント等が挙げられる。
焼成用原料中に含まれるCaの質量割合が2質量%未満であると、焼成によって生成された5価の砒素を砒酸カルシウムとして、焼成物中に捕捉しておくことができず、焼成物の無害化が十分ではないため好ましくない。一方、Caの質量割合が15質量%を超えると、焼成物の絶乾密度が大きくなるため好ましくない。
焼成用原料中に含まれるCaの質量割合を好ましい範囲にする方法としては、例えば、2種類以上の土壌(廃棄物)を混合して焼成用原料を調製する方法や、土壌(廃棄物)に石灰石、セメント、高炉スラグ等を混合して焼成用原料を調製する方法が挙げられる。
焼成用原料中に含まれるCaの質量割合が2質量%未満であり、得られた焼成物の無害化が十分ではない場合であっても、この焼成物に対して、特定の処理を施すことによって、砒素の溶出が環境基準値以下となるように無害化することも可能である。例えば、得られた焼成物を無害化する方法として、焼成物が高温(200℃程度)の状態にある間に、この焼成物を水酸化カルシウム水溶液中に投入し、吸水させて、カルシウムと焼成物中の砒素を結合させて、この砒素を砒酸カルシウムとして焼成物中に固定し、無害化する方法が挙げられる。また、例えば、焼成物が高温(200℃程度)の状態にある間に、この焼成物を硫酸第一鉄(FeSO)水溶液中に投入し、吸水させて、還元反応によって、鉄と焼成物中の砒素を結合させて、焼成物中に固定し、無害化する方法が挙げられる。
焼成用原料は、発泡成分及び融点降下成分として、Feを含む。焼成用原料中のFeの質量割合は、強熱減量を除いた全量中のFe換算での値として、2〜12.5質量%、好ましくは2〜10質量%、より好ましくは4〜10質量%である。
焼成用原料中のFeの質量割合が2質量%未満であると、Feの含有率が小さすぎて、原料となる粒状物や塊状物の内部に気泡が発生しにくくなり、多孔質化、軽量化が十分ではなくなり、焼成物の絶乾密度が大きくなるため好ましくない。
焼成用原料中に含まれるFeの質量割合を好ましい範囲にするためには、例えば、2種類以上の土壌(廃棄物)を混合して焼成用原料を調製する方法や、土壌(廃棄物)にベンガラ等を混合して焼成用原料を調製する方法が挙げられる。
本発明の焼成物の好ましい物性は、次のとおりである。
本発明の焼成物の絶乾密度は、1.3kg/リットル以下である。該絶乾密度の下限は、特に限定されないが、通常、1.0kg/リットルである。
本発明の焼成物の圧壊強度は、粒度増大化処理の方法にもよるが、700N以上、好ましくは720N以上、より好ましくは740N以上である。該圧壊強度の上限は、特に限定されないが、通常、1000Nである。
次に、本発明の焼成物の製造方法について説明する。
本発明の焼成物の製造方法は、(A)汚染土壌、建設発生土、建設汚泥、底質、及び浚渫土からなる群より選ばれる1種以上を含む被処理物を分級してまたは分級を行わずに、最大粒径が500μm未満である細粒分を得る分級工程と、(B)工程(A)で得られた上記細粒分を、1種単独でまたは2種以上を混合し、かつ、粒度増大化処理による粒状化または塊状化を行って、粒度が5.0〜30mmで下記の式(1)及び式(2)を満たし、かつ、強熱減量を除いた全量中のFe 換算での値として2〜12.5質量%の割合でFeを含む焼成用原料を調製する原料調製工程と、
(1) 0.75≧S/(S+A+F)≧0.45
(2) 0.25≧A/(S+A+F)≧0.15
(式(1)及び式(2)中、Sは、焼成用原料から強熱減量を除いた全量中のSiO換算でのSiの質量割合であり、Aは、焼成用原料から強熱減量を除いた全量中のAl換算でのAlの質量割合であり、Fは、焼成用原料から強熱減量を除いた全量中の酸化物換算での融点降下成分の質量割合(ただし、融点降下成分がハロゲン元素である場合に限り、元素単体での質量割合とする。)である。)
(C)上記焼成用原料を焼成して、絶乾密度が1.3kg/リットル以下で、かつ圧壊強度が700N以上である焼成物を得る焼成工程とを含む。
[(A)分級工程]
本工程は、汚染土壌、建設発生土、建設汚泥、底質、及び浚渫土からなる群より選ばれる1種以上を含む被処理物を分級してまたは分級を行わずに最大粒径が500μm未満である細粒分を得る工程である。
汚染土壌、建設発生土、建設汚泥、底質、及び浚渫土からなる群より選ばれる1種以上を含む被処理物を分級する方法としては、湿式分級と乾式分級のいずれも用いることができるが、湿式分級を用いることが好ましい。湿式分級は、細粒分域において比較的分級精度が高いからである。湿式分級としては、例えば、液体サイクロン(例えば、水サイクロン等)等を用いる方法が挙げられる。
分級して得られる細粒分は、最大粒径500μm未満であり好ましくは300μm以下である。
なお、最大粒径とは、レーザー回折散乱式粒子径分布測定装置(例えば、HORIBA製:LA−950)を用いて測定した粒径をいう。
分級して得られる細粒分の最大粒径が500μm以上であると、原料の均一性が損なわれ、ある特定の成分が偏在し易くなるため、均一に発泡しにくくなるので、好ましくない。
被処理物は、汚染土壌、建設発生土、建設汚泥、底質、及び浚渫土からなる群より選ばれる1種以上を含むものである。被処理物としては、上述の含有率で土壌を含むものであることが好ましい。
[(B)原料調製工程]
本工程は、工程(A)で得られた上記細粒分を、1種単独でまたは2種以上を混合し、かつ、粒度増大化処理による粒状化または塊状化を行って、粒度が5.0〜30mmで下記の式(1)及び式(2)を満たし、かつ、強熱減量を除いた全量中のFe 換算での値として2〜12.5質量%の割合でFeを含む焼成用原料を調製する工程である。
(1) 0.75≧S/(S+A+F)≧0.45
(2) 0.25≧A/(S+A+F)≧0.15
(式(1)及び式(2)中、Sは、焼成用原料から強熱減量を除いた全量中のSiO換算でのSiの質量割合であり、Aは、焼成用原料から強熱減量を除いた全量中のAl換算でのAlの質量割合であり、Fは、焼成用原料から強熱減量を除いた全量中の酸化物換算での融点降下成分の質量割合(ただし、融点降下成分がハロゲン元素である場合に限り、元素単体での質量割合とする。)である。)
工程(A)で得られた細粒分が、上記の式(1)及び式(2)を満たし、かつ、強熱減量を除いた全量中のFe 換算での値として2〜12.5質量%の割合でFeを含む場合は、該細粒分を1種単独で焼成用原料として用いることができる。一方、工程(A)で得られた細粒分が、上記の式(1)及び式(2)を満たしていない、または、強熱減量を除いた全量中のFe 換算での値として2〜12.5質量%の範囲を外れてFeを含む場合は、2種類以上の細粒分を混合するか、組成制御材を混合して、上記の式(1)及び式(2)、及び、上記のFeの割合(強熱減量を除いた全量中のFe 換算での値として2〜12.5質量%)を満たすように調製して、焼成用原料を得ることができる。
組成制御材としては、Si及び/またはAlを含有するものを用いてもよく、このような組成制御材としては、例えば、珪砂、陶石、長石、カオリナイト、廃ガラス、土壌を含む産業廃棄物以外の他の産業廃棄物(例えば、石炭灰)等が挙げられる。
また、組成制御材として、融点降下成分を含有するものを用いてもよく、このような組成制御材としては、例えば、鉄元素を含むベンガラ等、アルカリ金属元素を含む廃ガラスやソーダ灰等、アルカリ土類金属元素を含む石灰石等が挙げられる。また、安価であり、入手しやすいセメントや、工業原料である石灰石粉末等を用いることが好ましい。
組成制御材の添加量は、特に制限されるものではなく、焼成用原料が上記の式(1)及び式(2)を満たす量を添加すればよい。
焼成用原料は、さらに下記の式(3)を満たすものであることが好ましい。
(3) 0.37≧F/(S+A+F)≧0.05
また、焼成用原料は、上述の質量割合でCa及びFeが含まれるものであることが好ましい。
工程(A)で得られた細粒分に対して行う粒度増大化処理とは、例えば、細粒分中の水分が15〜25質量%となるように水を加えて、押し出し成形機等を用いて粒状化または塊状化して、細粒分の粒度を増大化する方法等が挙げられる。この粒度増大化処理に用いられる手段(装置)としては、例えば、押し出し成形機の他に、皿型造粒機(パンペレタイザー)等が挙げられる。
焼成用原料の粒度は5.0mm以上である。
焼成用原料の粒度が1.0mm未満では、粒状物または塊状物の内部に気泡を捕捉しにくくなり、軽量化することが困難になる。
一方、焼成用原料の粒度の上限値は焼成物の粒度が大きすぎると、焼成物の用途が狭くなることから30mm以下であり好ましくは20mm以下である。
なお、本明細書中において、「粒度」とは、1つの粒状物または塊状物における最大寸法(例えば、断面が楕円状である粒状物においては、長径寸法)をいう。
[(C)焼成工程]
本工程は、工程(B)で得られた焼成用原料を焼成して、絶乾密度が1.3kg/リットル以下で、かつ圧壊強度が700N以上である焼成物を得る工程である。
本発明において、焼成時の最高温度は、焼成用原料中に含まれる融点降下成分等の成分組成によっても異なる。焼成物の軽量性を向上させる観点から、焼成時の最高温度は、好ましくは1,000℃以上である。また、焼成時の最高温度の上限値は、被焼成物が形状を保つことができないほどに溶融することのない温度であれば、特に限定されないが、好ましくは1,500℃以下である。
焼成用原料を焼成する手段(焼成装置)としては、上述の温度条件で焼成することができるものであれば、特に限定されないが、例えば、ロータリーキルン、シャフトキルン、電気炉、電熱炉等が挙げられる。
以下、本発明の焼成物及びその製造方法を実施例によって説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜3、比較例1〜4]
1.工程(A):分級工程
工場跡地の堀削工事により発生した汚染土壌を分級した後の細粒部(実施例1,2、及び、比較例1,4)、建物建設工事に伴って発生した建設汚泥を分級した後の細粒部(実施例4、及び、比較例2,3)、建物建設工事に伴って堀削除去した建設発生土を分級した後の細粒部(実施例5)、河川護岸工事に伴って発生した浚渫土(実施例3)の9種類の土壌を含む被処理物より、最大粒径500μm以下、平均粒径(体積累積分布50%)13〜20μmの細粒分を得た。実施例3を除いて、分級は湿式分級により行った。実施例3は、採取の時点で目的の粒径(最大粒径500μm未満)を満足していた。
2.工程(B):原料調製工程
得られた9種類の細粒分について、走査型蛍光X線分析装置を用いて、各々の細粒分の化学成分(質量%)を測定した。また、JIS R5202に準じて強熱減量を測定した。この結果を表1に示す。また、各々の細粒分の化学組成に基づき、各々の細粒分について、下記の式(1)〜式(3)を算出した。
実施例1〜5の細粒分は、下記の式(1)〜式(3)を満たしていた。一方、比較例1〜4は、下記の式(2)を満たしておらず、また、比較例3は下記の式(1)及び式(3)も満たしていなかった。
(1) 0.75≧S/(S+A+F)≧0.45
(2) 0.25≧A/(S+A+F)≧0.15
(3) 0.37≧F/(S+A+F)≧0.05
(式(1)〜式(3)中、Sは、焼成用原料から強熱減量を除いた全量中のSiO換算でのSiの質量割合であり、Aは、焼成用原料から強熱減量を除いた全量中のAl換算でのAlの質量割合であり、Fは、焼成用原料から強熱減量を除いた全量中の酸化物換算での融点降下成分の質量割合(ただし、融点降下成分がハロゲン元素である場合に限り、元素単体での質量割合とする。)である。)
次に、得られた9種類の細粒分を互いに混合することなく、また、細粒分と組成制御材とを混合することなく、該細粒分中の水分が約18質量%となるように水を加えて、押し出し成形機(本田鐵工社製、装置名:DE型真空押出成形機)を用いて、直径10mm、長さ約20mmの円柱ペレット(粒度増大化処理を行った焼成用原料)を作製した。この円柱ペレットをハンドリングがよくなるまで100℃で乾燥した。
3.工程(C):焼成工程
工程(B)において得られた円柱ペレット(焼成用原料)を、原料送入量を20kg/時間として、ロータリーキルンに供給した。この焼成用原料を、滞留時間が30分となるようにロータリーキルン内を通過させて焼成し、粒状の焼成物を得た。ロータリーキルンは、窯の内径が0.37m、窯の長さが3.2m、平均入口温度が800℃、炉内の最高温度が1200℃であった。得られた焼成物の絶乾密度と圧壊強度の測定を行った。結果を表1に示す。なお、焼成物の絶乾密度は、JIS A1135(構造用軽量粗骨材の密度及び吸水率試験方法)に準拠して測定し、焼成物の圧壊強度は、JIS Z8841(造粒物−強度試験方法)に準拠して測定した。
Figure 0005137472
表1に示すように、上記の式(1)〜式(3)を満たす焼成用原料から得られた焼成物(実施例1〜5)は、いずれも絶乾密度が1.3kg/リットル以下と小さく、圧壊強度が740N以上と大きく、軽量性及び機械的強度に優れており、軽量骨材や軽量土として利用可能なものであった。一方、Al成分の質量比が上記の式(2)の範囲外である焼成用原料(比較例1〜4)は、いずれも絶乾密度が1.71〜2.34kg/リットルと大きくなった。また、圧壊強度も低下する傾向にあった。
[実施例6]
工程(B)において、上記比較例1と2の細粒分を、1(比較例1):2(比較例2)の質量比で混合し、上記の式(1)〜式(3)を満たす焼成用原料(実施例6)を得た。実施例6の化学組成を表2に示す。この焼成用原料を実施例1〜5と同様にして、焼成物を得た。この焼成物の絶乾密度と圧壊強度を実施例1〜5と同様にして測定した。結果を表2に示す。
[実施例7]
工程(B)において、上記比較例3と4の細粒分を、1(比較例3):2(比較例4)の質量比で混合し、上記の式(1)〜式(3)を満たす焼成用原料(実施例7)を得た。実施例7の化学組成を表2に示す。この焼成用原料を実施例1〜5と同様にして、焼成物を得た。この焼成物の絶乾密度と圧壊強度を実施例1〜5と同様にして測定した。結果を表2に示す。
表2に示すように、比較例1〜4の細粒分を混合して得られた焼成物(実施例6,7)は、いずれも絶乾密度が1.3kg/リットル以下と小さく、圧壊強度が750N以上と大きく、軽量性及び機械的強度に優れており、軽量骨材や軽量土として利用可能なものであった。
Figure 0005137472
[実施例8]
工程(B)において、上記比較例1と、工業原料である石灰石粉末と珪石粉末とを、3(比較例1):1(石灰石粉末):1(珪石粉末)の質量比で均一に混合し、上記の式(1)〜式(3)を満たす焼成用原料(実施例8)を得た。実施例8の化学組成を表3に示す。この焼成用原料を実施例1〜5と同様にして、焼成物を得た。この焼成物の絶乾密度と圧壊強度を実施例1〜5と同様にして測定した。結果を表3に示す。
表3に示すように、焼成用原料から得られた焼成物(実施例8)は、絶乾密度が1.3kg/リットル以下と小さく、圧壊強度が750N以上と大きく、軽量性及び機械的強度に優れており、軽量骨材や軽量土として利用可能なものであった。
Figure 0005137472
[特定有害物質の溶出試験]
実施例1〜3の焼成用原料(焼成前)及び焼成物(焼成後)について、土壌汚染対策法で定められた第二種特定有害物質の含有量、及び溶出量の測定を行った。有害物質の含有量は、土壌汚染対策法施行規則第5条第4項第2号、及び有害物質の溶出量は、同法同規則同条第3項第4号に規定された環境大臣が定める方法により測定した。結果を表4に示す。表4に示すように、焼成により有害物質の含有量が低減していることが分かった。また、焼成により有害物質の溶出量も低減する傾向にあった。有害物質の溶出量の値から、Caの質量割合が2〜15質量%(CaO換算での質量割合)である焼成用原料から得られた焼成物(実施例1,3)については、特に無害化処理を行わない場合であっても、全ての有害物質の溶出量が基準値以下となり、汚染土壌等の土壌を含む被処理物を原料として用いた場合であっても、無害化された焼成物が得られることが分かった。
一方、実施例2の焼成物については、砒素の溶出量が0.019mg/リットルと、砒素の溶出量の環境基準値(0.01mg/リットル以下)を超えていた。これは、実施例2の焼成用原料中のCaの質量割合が2質量%未満と小さかったので、焼成用原料中に含まれていた砒素が焼成物中に固定化されなかったためと推測される。
Figure 0005137472
[砒素の無害化処理試験]
砒素の溶出量が環境基準値を超えていた実施例2の焼成物について、下記(a)、(b)の無害化処理を行った後、再び砒素の溶出量を測定した。結果を表5に示す。表5に示すように、Caの質量割合が2質量%未満と小さい焼成用原料から得られた焼成物であっても、得られた焼成物に無害化処理を施すことにより、砒素の溶出量が0.002mg/リットル未満と、砒素の溶出量の環境基準値(0.01mg/リットル以下)よりもかなり低くなり、無害化された焼成物が得られることが分かった。
(a)無害化処理1
実施例2の焼成物を、1質量%の濃度の水酸化カルシウム水溶液中で1分間洗浄し、100℃で乾燥した後、砒素の溶出量を測定した。
(b)無害化処理2
実施例2の焼成物を、5質量%の濃度の硫酸第一鉄水溶液中で1分間洗浄し、100℃で乾燥した後、砒素の溶出量を測定した。
Figure 0005137472

Claims (6)

  1. 汚染土壌、建設発生土、建設汚泥、底質、及び浚渫土からなる群より選ばれる1種以上を含み下記の式(1)及び式(2)を満たし、かつ、強熱減量を除いた全量中のFe 換算での値として2〜12.5質量%の割合でFeを含む焼成用原料を焼成してなる焼成物であって、絶乾密度が1.3kg/リットル以下で、かつ圧壊強度が700N以上であることを特徴とする焼成物。
    (1) 0.75≧S/(S+A+F)≧0.45
    (2) 0.25≧A/(S+A+F)≧0.15
    (式(1)及び式(2)中、Sは、焼成用原料から強熱減量を除いた全量中のSiO換算でのSiの質量割合であり、Aは、焼成用原料から強熱減量を除いた全量中のAl換算でのAlの質量割合であり、Fは、焼成用原料から強熱減量を除いた全量中の酸化物換算での融点降下成分の質量割合(ただし、融点降下成分がハロゲン元素である場合に限り、元素単体での質量割合とする。)である。)
  2. 上記焼成用原料が、さらに下記の式(3)を満たす請求項1に記載の焼成物。
    (3) 0.37≧F/(S+A+F)≧0.05
  3. 上記融点降下成分が、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、ハロゲン元素、及び鉄元素からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の元素を含むものである請求項1又は2に記載の焼成物。
  4. 上記焼成用原料が、融点降下成分として、強熱減量を除いた全量中のCaO換算での質量割合が2〜15質量%である量のCaを含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の焼成物。
  5. (A)汚染土壌、建設発生土、建設汚泥、底質、及び浚渫土からなる群より選ばれる1種以上を含む被処理物を分級してまたは分級を行わずに、最大粒径が500μm未満である細粒分を得る分級工程と、
    (B)工程(A)で得られた上記細粒分を、1種単独でまたは2種以上を混合し、かつ、粒度増大化処理による粒状化または塊状化を行って、粒度が5〜30mmで下記の式(1)及び式(2)を満たし、かつ、強熱減量を除いた全量中のFe 換算での値として2〜12.5質量%の割合でFeを含む焼成用原料を調製する原料調製工程と、
    (1) 0.75≧S/(S+A+F)≧0.45
    (2) 0.25≧A/(S+A+F)≧0.15
    (式(1)及び式(2)中、Sは、焼成用原料から強熱減量を除いた全量中のSiO換算でのSiの質量割合であり、Aは、焼成用原料から強熱減量を除いた全量中のAl換算でのAlの質量割合であり、Fは、焼成用原料から強熱減量を除いた全量中の酸化物換算での融点降下成分の質量割合(ただし、融点降下成分がハロゲン元素である場合に限り、元素単体での質量割合とする。)である。)
    (C)上記焼成用原料を焼成して、絶乾密度が1.3kg/リットル以下で、かつ圧壊強度が700N以上である焼成物を得る焼成工程と
    を含むことを特徴とする焼成物の製造方法。
  6. 工程(A)における分級が、湿式分級である請求項5に記載の焼成物の製造方法。
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