JP2004269301A - 軽量骨材及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】石炭ガス化複合発電等における石炭ガス化炉から排出される石炭ガス化スラグを原料とした軽量骨材であって、製造毎のばらつきの少ない優れた物性(特に小さな吸水率)を有し、使用時に優れたポンプ圧送性及び耐凍結融解性を発揮することのできる軽量骨材を提供する。
【解決手段】本発明の軽量骨材は、45質量%以上のSiO2を含む石炭ガス化スラグを、所定の温度下(例えば、900〜1,200℃)で焼成し発泡させてなる。本発明の軽量骨材は、24時間吸水率が7%以下、かつ、絶乾密度が1.8g/cm3以下であり、特に、ポンプ圧送等で施工されるモルタルの材料として好適に使用される。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明の軽量骨材は、45質量%以上のSiO2を含む石炭ガス化スラグを、所定の温度下(例えば、900〜1,200℃)で焼成し発泡させてなる。本発明の軽量骨材は、24時間吸水率が7%以下、かつ、絶乾密度が1.8g/cm3以下であり、特に、ポンプ圧送等で施工されるモルタルの材料として好適に使用される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、石炭ガス化複合発電等における石炭ガス化炉から排出されるスラグを原料とした軽量骨材及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
石炭は、化石燃料の中では埋蔵量が多く、可採年数が長く、産出国の政情が安定していることから、化石燃料資源に乏しい日本における安定したエネルギー供給源として、将来に向けて継続的に使用していくことが不可欠である。
しかし、微粉炭を燃焼させて電気を得る従来の火力発電方法は、得られる単位エネルギー当たりの炭酸ガスの排出量が比較的多いため、地球温暖化防止の観点から改善の余地がある。
このような状況下において、近年、発電の効率が高いゆえに炭酸ガスの排出量が少なくてすむ石炭ガス化複合発電が開発されている。
【0003】
石炭ガス化複合発電において、石炭の燃焼後の残滓は、従来のような微粉末状ではなく、砂状のスラグとして排出される。近年、この砂状のスラグを、廃棄物として処分するのではなく、焼成し発泡させて、軽量骨材、吸着剤、土壌改良材等として利用することが提案されている。
その一例として、石炭ガス化の残滓粒子を使用して、SiO2の含有率が60重量%以下である等の特定の成分組成を有する粒子径0.5〜50mmの無機質発泡体粒子を得ることが提案されている(特許文献1参照)。該無機質発泡体粒子は、0.01〜0.6kg/リットルの単位容積重量(換算すると、0.1〜1.2g/cm3程度の絶乾密度)を有するものである。
他の例として、石炭ガス化の残滓粒子を使用して、SiO2の含有率が60重量%以下である等の特定の成分組成を有する粒子径0.5〜3.5mmの無機質発泡体粒子を得ることが提案されている(特許文献2参照)。該無機質発泡体粒子は、0.6kg/リットルより大きな単位容積重量(換算すると、1.2g/cm3程度以上の絶乾密度)を有するものである。
【0004】
【特許文献1】
特公平5−81545号公報(第1頁第1欄の特許請求の範囲第1項、第3頁第5欄第24〜31行、第4頁第8欄第17〜32行)
【特許文献2】
特公平2−51858号公報(第1頁第1欄の特許請求の範囲第1項、第2頁第4欄第19〜30行)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述の特許文献1や特許文献2に記載された技術では、石炭ガス化の残滓粒子(石炭ガス化スラグ)を原料として製造された無機質発泡体粒子に関し、SiO2等の含有率や粒子径を特定の数値範囲内に限定している。そして、従来の天然材料と比べて、低温で膨張し、軽量で吸水率が低い無機質発泡体粒子が得られるとされている。
しかし、本来、石炭ガス化スラグ(吸水率:1〜2%程度)を発泡させることは、石炭ガス化スラグの内部の空隙を大きくすることであり、吸水率を増大させる可能性を高める。そして、石炭ガス化スラグを発泡させてなる吸水率の高い骨材を、コンクリートの材料として使用した場合には、フレッシュコンクリートの流動性(ポンプ圧送性等)が低下したり、耐凍結融解性が低下するという問題が生じ得る。
【0006】
本発明者は、多くの種類の石炭ガス化スラグを焼成し発泡させたところ、特許文献1及び特許文献2に記載された成分組成の範囲内であっても、石炭ガス化スラグの種類によって、吸水性や比重が大きく異なり、軽量骨材としての品質に優劣があることを見出した。
軽量骨材の原料として不適当なスラグが混入したままで軽量骨材の製造を行なうと、廃棄すべき低品質の軽量骨材が混じることとなり、これら低品質の軽量骨材の選別や処分の負担がかかり、軽量骨材の製造事業を圧迫することになりかねない。したがって、軽量骨材の製造事業を行なうには、高品質の軽量骨材のみを製造し得るように、石炭ガス化スラグを選別し使用することが不可欠である。
そこで、本発明は、石炭ガス化処理において発生する石炭ガス化スラグを原料とした軽量骨材であって、発泡させて軽量化しても吸水率が小さく、使用時に優れた流動性(ポンプ圧送性等)及び耐凍結融解性を発揮することのできる軽量骨材及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、石炭ガス化複合発電等における石炭ガス化炉から排出されるスラグを原料として、軽量骨材を製造するに際し、特定の成分組成を有するスラグを選択して使用することによって、発泡しても吸水率が小さく、コンクリート骨材として使用した時に優れた流動性(ポンプ圧送性等)及び耐凍結融解性を発揮することのできる軽量骨材を、品質のばらつきが少ない状態で安定的に得ることができること等を見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明(請求項1)の軽量骨材は、石炭ガス化処理において発生する45質量%以上のSiO2を含むスラグを、焼成し発泡させてなり、かつ、24時間吸水率が7%以下であることを特徴とする。
本発明では、原料として、石炭ガス化処理後に石炭ガス化炉から排出される45質量%以上のSiO2を含むスラグを用いているため、このスラグを発泡させると、吸水率が小さい軽量骨材を得ることができる。そして、この軽量骨材を使用した軽量コンクリートは、24時間吸水率が10%を超える汎用の軽量骨材と比べて、優れた流動性(ポンプ圧送性等)及び耐凍結融解性を期待することができる。
【0009】
前記軽量骨材は、通常、1.8g/cm3以下の絶乾密度を有する(請求項2)。
本発明の軽量骨材は、通常の骨材(絶乾密度2.5g/cm3以上)と比べて軽量であるため、軽量性を要求される建造物の材料として好適に用いることができる。また、軽量であることから、運搬や施工作業が容易であり、作業者の労力の軽減等を図ることができる。
【0010】
本発明(請求項3)の軽量骨材の製造方法は、石炭ガス化処理において発生するスラグを原料とした軽量骨材の製造方法であって、(A)石炭ガス化処理後のスラグ中のSiO2の含有率が45質量%以上となるように、石炭を選択する石炭選択工程と、(B)前記石炭を石炭ガス化処理して、スラグを得る石炭ガス化工程と、(C)前記スラグを焼成し発泡させて、軽量骨材を得るスラグ焼成工程とを含むことを特徴とする。
こうして得られる軽量骨材は、通常、軽量骨材として用いるのに適する比重(絶乾密度で1.8g/cm3以下)及び吸水率(24時間吸水率で7%以下)を有するため、セメント、水等の材料と混練して、水硬性組成物を調製した際に、優れた流動性(ポンプ圧送性等)及び耐凍結融解性を発揮することができる。
前記工程(C)においては、前記軽量骨材の24時間吸水率が7%以下となるように、前記スラグを焼成し発泡させることが好ましい(請求項4)。
【0011】
本発明(請求項5)の軽量骨材の製造方法は、石炭ガス化処理において発生するスラグを原料とした軽量骨材の製造方法であって、(D)石炭を石炭ガス化処理して、スラグを得る石炭ガス化工程と、(E)前記スラグの中から、45質量%以上のSiO2を含むスラグを選択するスラグ選択工程と、(F)前記選択されたスラグを焼成し発泡させて、軽量骨材を得るスラグ焼成工程とを含むことを特徴とする。
こうして得られる軽量骨材は、通常、軽量骨材として用いるのに適する比重(絶乾密度で1.8g/cm3以下)及び吸水率(24時間吸水率で7%以下)を有するため、セメント、水等の材料と混練して、水硬性組成物を調製した際に、優れた流動性(ポンプ圧送性等)及び耐凍結融解性を発揮することができる。
前記工程(F)においては、前記軽量骨材の24時間吸水率が7%以下となるように、前記スラグを焼成し発泡させることが好ましい(請求項6)。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の軽量骨材は、石炭ガス化複合発電等において石炭ガス化炉から排出される45質量%以上のSiO2を含むスラグを、焼成し発泡させてなるものである。
ここで、石炭ガス化複合発電とは、粉砕された石炭(例えば、瀝青炭)を、石炭ガス化炉内に投入し、ガス化剤(例えば、酸素)の存在下で所定の温度(例えば、1,200〜1,600℃)及び圧力(例えば、2〜3MPa)にて石炭ガス化処理を行ない、これにより発生した可燃性ガスを燃焼させることによって、ガスタービンを回すとともに、ガスタービンの排熱を利用して蒸気タービンを回す発電方法をいう。
石炭ガス化複合発電等での石炭ガス化炉内において、石炭中に含まれていた灰分は、高温下で溶融した状態で炉底に落下し、水中で急冷されて、粒状で非晶質のスラグ(本明細書中において、「石炭ガス化スラグ」という。)となる。
【0013】
なお、石炭ガス化炉の種類としては、例えば、噴流床ガス化炉、流動床ガス化炉、固定床ガス化炉等が挙げられる。中でも、噴流床ガス化炉は、大規模の発電用に適しており、シェルプロセス(シェル法)、テキサコプロセス(テキサコ法)等として既に商用規模での運転が行なわれている。
ここで、噴流床ガス化炉とは、1mm以下の粒度に微粉化した石炭を、気流搬送して炉内に供給し、1,200〜1,600℃程度の高温下でガス化反応させるものをいう。
【0014】
本発明においては、軽量骨材を製造するための原料として、45質量%以上、好ましくは53質量%以上のSiO2を含む石炭ガス化スラグが選択され使用される。SiO2の含有率が45質量%未満では、石炭ガス化スラグを焼成し発泡させて得られる粒状体(軽量骨材)の吸水率が大きくなり、高品質の軽量骨材を得ることができない。
【0015】
石炭ガス化スラグの主成分は、SiO2、Al2O3、CaO及びFe2O3である。したがって、SiO2の含有率を規定する代わりに、Al2O3、CaO及びFe2O3の含有率の合計値を規定することによって、軽量骨材の吸水率を制御することができる。
【0016】
本発明の軽量骨材は、前述のような成分組成を有する石炭ガス化スラグを、焼成し発泡させてなるものである。
焼成温度は、例えば、900〜1,200℃である。焼成時間は、例えば、30秒〜10分である。
石炭ガス化スラグを焼成し発泡させる過程において、適当な融着防止材を添加して焼成することが望ましい。
焼成窯としては、例えば、内熱式ロータリーキルン、外熱式ロータリーキルン等を使用することができる。
石炭ガス化スラグの発泡による膨張率(発泡後の体積/発泡前の体積の比率)は、例えば、1.2〜2.5である。
【0017】
本発明の軽量骨材の24時間吸水率は、7%以下、好ましくは4%以下である。
24時間吸水率の値が小さいと、軽量骨材の粒体内に侵入する水分の量が少なくなるため、優れた耐凍結融解性(凍結と融解とが繰り返し交互に起きることによる機械的強度の低下の生じ難さ)を発揮することができる。また、本発明の軽量骨材を含むモルタル等の水硬性組成物を、ポンプ及びホースを用いて施工場所に圧送する場合において、流動性の変化が少なくなるので、ポンプ圧送性が良好になり、円滑に作業することができる。
【0018】
24時間吸水率が7%以下であることは、次のように、汎用の軽量骨材とは異なる優れた特徴点である。
「JIS A 5002」は、軽量細骨材及び軽量粗骨材の各々について、絶乾密度をH、M、Lに区分している。
区分「M」の軽量細骨材の絶乾密度は、1.3〜1.8g/cm3である。市販されているJIS適合軽量細骨材の絶乾密度は、1.65〜1.7g/cm3である。
区分「M」の軽量粗骨材の絶乾密度は、1.0〜1.5g/cm3である。市販されているJIS適合軽量粗骨材の絶乾密度は、1.25〜1.34g/cm3である。
【0019】
これら市販されている区分「M」の軽量骨材は、コンクリート用砕石(JISA 5005:24時間吸水率3%以下)と比べて、24時間吸水率が10〜16%(粗骨材:10〜16%、細骨材:10%)と著しく大きく、ポンプ圧送で施工される用途や、耐凍結融解性が要求される用途等において、使用上の問題があった。この点、「JIS A 5002」には、軽量骨材の24時間吸水率についての規格がなく、24時間吸水率の明確な基準値(上限値)は存在しなかった。
しかし、砕石についての基準値(上限値)である3%では問題がないことを考慮すると、区分「M」の軽量骨材の24時間吸水率を6〜7%程度にまで低減することができれば、ポンプ圧送時のトラブル頻度の大幅な減少等を期待することのできる高品質の軽量骨材として、好適に用い得るものと考えられる。
この点、本発明の軽量骨材は、24時間吸水率が7%以下であり、汎用の軽量骨材(24時間吸水率:10〜16%)と区別し得る優れた物性を有している。
【0020】
本発明の軽量骨材の絶乾密度は、1.8g/cm3以下、好ましくは1.5g/cm3以下である。絶乾密度が1.8g/cm3を超えると、軽量骨材による軽量化効果が少なくなる。
なお、発泡に伴って骨材の強度が低下するため、絶乾密度の下限値は、要求される骨材の強度との関係から決定される。例えば、圧壊荷重値等の機械的強度を優れたものとする場合には、絶乾密度は、好ましくは、1.0g/cm3以上である。
本明細書中において、「絶乾密度」とは、骨材間の空隙の容積を除いた絶対乾燥状態にある骨材の単位容積(ただし、骨材内部の空隙を含む。)当たりの密度(単位:g/cm3)をいう。
なお、24時間吸水率及び絶乾密度は、「JIS A 1134」(構造用軽量細骨材の密度及び吸水率試験方法)及び「JIS A 1135」(構造用軽量粗骨材の密度及び吸水率試験方法)に規定する方法に準じて測定される。
【0021】
本発明の軽量骨材を製造するには、例えば、次の2つの方法(1)、(2)のいずれかを採用することができる。
[(1)石炭を選別する方法]
この方法は、石炭ガス化処理前の段階で、本発明の軽量骨材の原料を選別するものであり、具体的には、(A)石炭ガス化処理後のスラグ中のSiO2の含有率が45質量%以上となるように、石炭を選択する石炭選択工程と、(B)選択された石炭を石炭ガス化処理して、スラグ(石炭ガス化スラグ)を得る石炭ガス化工程と、(C)得られたスラグを焼成し発泡させて、軽量骨材(通常、24時間吸水率が7%以下であるもの)を得るスラグ焼成工程とからなるものである。
【0022】
一般に、石炭ガス化複合発電の発電所等で使用される石炭は、採掘地等によって成分組成が異なる。また、複数種の石炭を混合してなる混炭は、該混炭を構成する石炭の成分組成及び混合割合によって、成分組成が種々に変化する。このような石炭の種類による成分組成の相違に基づいて、石炭ガス化スラグ中のSiO2の含有率は、60質量%を超えることもあれば、30質量%程度に留まることもある。本発明では、石炭ガス化スラグ中のSiO2の含有率が45質量%以上となるように、予め石炭を選択したうえで、この選択された石炭を石炭ガス化処理し、それにより得られた石炭ガス化スラグ(すなわち、SiO2の含有率が45質量%以上のもの)を焼成し発泡させて、所定の物性を有する軽量骨材を得るものである。
【0023】
なお、石炭をガス化してスラグを得る工程において、灰分の融点を降下させるためのフラックスとして、石灰石(主成分:CaCO3)を添加することがある。この場合には、スラグのSiO2含有率が45質量%以上となるように石炭種を選定するか、あるいはフラックスの添加量を調整する。
工程(C)において、石炭ガス化スラグを焼成し発泡させて、24時間吸水率が7%以下である軽量骨材を得るには、石炭ガス化スラグの粒度分布等の条件に応じて焼成温度及び焼成時間を適宜定めて、良好な発泡状態を生じさせればよい。
【0024】
[(2)スラグを選別する方法]
この方法は、石炭ガス化処理後の段階で、本発明の軽量骨材の原料を選別するものであり、具体的には、(D)石炭を石炭ガス化処理して、スラグ(石炭ガス化スラグ)を得る石炭ガス化工程と、(E)得られたスラグの中から、45質量%以上のSiO2を含むスラグを選択するスラグ選択工程と、(F)選択されたスラグを焼成し発泡させて、軽量骨材(通常、24時間吸水率が7%以下であるもの)を得るスラグ焼成工程とからなるものである。
なお、工程(F)において、石炭ガス化スラグを焼成し発泡させて、24時間吸水率が7%以下である軽量骨材を得るには、石炭ガス化スラグの粒度分布等の条件に応じて焼成温度及び焼成時間を適宜定めて、良好な発泡状態を生じさせればよい。
【0025】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を説明する。
[実施例1〜13、比較例1〜6]
噴流床ガス化炉内に石炭(瀝青炭)を投入し、短時間(秒オーダー)で石炭ガス化処理を行なった後、炉底から、水冷された粒状の石炭ガス化スラグ(非晶質の溶融スラグ)を得た。石炭ガス化スラグの粒度は、0.5〜10mm程度であった。この操作を、種々の石炭(瀝青炭)毎に行ない、種々の石炭ガス化スラグ(実施例1〜13、比較例1〜6)を得た。これらの石炭ガス化スラグの成分の分析値を表1に示す。
【0026】
石炭ガス化スラグ(実施例1〜13、比較例1〜6)の粒径を0.5〜2mmに調整した後、この石炭ガス化スラグをロータリーキルンに投入し、1,000〜1,100℃の温度で3〜4分程度、焼成し発泡させて、粒径0.6〜3mm程度の粒状体を得た。この粒状体の絶乾密度及び24時間吸水率を測定したところ、表1に示す値を得た。
なお、表1中、「焼成最適温度」は、1,000℃、1,050℃、1,100℃の各温度で石炭ガス化スラグを焼成した中で、最も良好な物性が得られた温度であることを示す。焼成最適温度以外の温度で焼成された粒状体の物性値の記載は、省略する。
表1中のSiO2の含有率(質量%)と24時間吸水率(%)の関係を、図1にグラフとして示す。
表1及び図1から、SiO2の含有率が45質量%以上であると、吸水率が7%以下であり、得られた粒状体を高品質の軽量骨材として用い得ることがわかる。
【0027】
【表1】
【0028】
【発明の効果】
本発明の軽量骨材は、24時間吸水率が7%以下であるため、使用時に優れた流動性(ポンプ圧送性等)及び耐凍結融解性を発揮することができる。
ここで、吸水率が小さいことは、骨材が単独気泡からなり、連続した空隙が少ないことを示す。連続した空隙は、骨材に荷重がかかったときに応力が集中しやすく、破壊のきっかけとなりやすい。そのため、吸水率が高い骨材は、強度が低くなりやすい。この点、本発明の低吸水率を有する骨材は、絶乾密度が同じである高吸水率の骨材と比べて強度が大きい。したがって、本発明の軽量骨材は、軽量骨材としての使用に適する小さな比重(例えば、絶乾密度で1.8g/cm3以下)及び機械的強度(圧壊荷重)を有し、軽量性を求められるモルタル等の用途において好適に使用することができる。
【0029】
また、本発明の軽量骨材は、石炭ガス化複合発電等における石炭ガス化炉から排出される石炭ガス化スラグを原料としているため、従来は廃棄物として処理されることの多かった石炭ガス化スラグの再資源化を図ることができ、廃棄物処理問題の軽減に寄与することができる。
さらに、本発明の軽量骨材の製造方法によれば、高品質の軽量骨材(例えば、24時間吸水率が7%以下のもの)を、物性のばらつきが少ない状態で安定的に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】SiO2の含有率(質量%)と24時間吸水率(%)の関係を示すグラフである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、石炭ガス化複合発電等における石炭ガス化炉から排出されるスラグを原料とした軽量骨材及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
石炭は、化石燃料の中では埋蔵量が多く、可採年数が長く、産出国の政情が安定していることから、化石燃料資源に乏しい日本における安定したエネルギー供給源として、将来に向けて継続的に使用していくことが不可欠である。
しかし、微粉炭を燃焼させて電気を得る従来の火力発電方法は、得られる単位エネルギー当たりの炭酸ガスの排出量が比較的多いため、地球温暖化防止の観点から改善の余地がある。
このような状況下において、近年、発電の効率が高いゆえに炭酸ガスの排出量が少なくてすむ石炭ガス化複合発電が開発されている。
【0003】
石炭ガス化複合発電において、石炭の燃焼後の残滓は、従来のような微粉末状ではなく、砂状のスラグとして排出される。近年、この砂状のスラグを、廃棄物として処分するのではなく、焼成し発泡させて、軽量骨材、吸着剤、土壌改良材等として利用することが提案されている。
その一例として、石炭ガス化の残滓粒子を使用して、SiO2の含有率が60重量%以下である等の特定の成分組成を有する粒子径0.5〜50mmの無機質発泡体粒子を得ることが提案されている(特許文献1参照)。該無機質発泡体粒子は、0.01〜0.6kg/リットルの単位容積重量(換算すると、0.1〜1.2g/cm3程度の絶乾密度)を有するものである。
他の例として、石炭ガス化の残滓粒子を使用して、SiO2の含有率が60重量%以下である等の特定の成分組成を有する粒子径0.5〜3.5mmの無機質発泡体粒子を得ることが提案されている(特許文献2参照)。該無機質発泡体粒子は、0.6kg/リットルより大きな単位容積重量(換算すると、1.2g/cm3程度以上の絶乾密度)を有するものである。
【0004】
【特許文献1】
特公平5−81545号公報(第1頁第1欄の特許請求の範囲第1項、第3頁第5欄第24〜31行、第4頁第8欄第17〜32行)
【特許文献2】
特公平2−51858号公報(第1頁第1欄の特許請求の範囲第1項、第2頁第4欄第19〜30行)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述の特許文献1や特許文献2に記載された技術では、石炭ガス化の残滓粒子(石炭ガス化スラグ)を原料として製造された無機質発泡体粒子に関し、SiO2等の含有率や粒子径を特定の数値範囲内に限定している。そして、従来の天然材料と比べて、低温で膨張し、軽量で吸水率が低い無機質発泡体粒子が得られるとされている。
しかし、本来、石炭ガス化スラグ(吸水率:1〜2%程度)を発泡させることは、石炭ガス化スラグの内部の空隙を大きくすることであり、吸水率を増大させる可能性を高める。そして、石炭ガス化スラグを発泡させてなる吸水率の高い骨材を、コンクリートの材料として使用した場合には、フレッシュコンクリートの流動性(ポンプ圧送性等)が低下したり、耐凍結融解性が低下するという問題が生じ得る。
【0006】
本発明者は、多くの種類の石炭ガス化スラグを焼成し発泡させたところ、特許文献1及び特許文献2に記載された成分組成の範囲内であっても、石炭ガス化スラグの種類によって、吸水性や比重が大きく異なり、軽量骨材としての品質に優劣があることを見出した。
軽量骨材の原料として不適当なスラグが混入したままで軽量骨材の製造を行なうと、廃棄すべき低品質の軽量骨材が混じることとなり、これら低品質の軽量骨材の選別や処分の負担がかかり、軽量骨材の製造事業を圧迫することになりかねない。したがって、軽量骨材の製造事業を行なうには、高品質の軽量骨材のみを製造し得るように、石炭ガス化スラグを選別し使用することが不可欠である。
そこで、本発明は、石炭ガス化処理において発生する石炭ガス化スラグを原料とした軽量骨材であって、発泡させて軽量化しても吸水率が小さく、使用時に優れた流動性(ポンプ圧送性等)及び耐凍結融解性を発揮することのできる軽量骨材及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、石炭ガス化複合発電等における石炭ガス化炉から排出されるスラグを原料として、軽量骨材を製造するに際し、特定の成分組成を有するスラグを選択して使用することによって、発泡しても吸水率が小さく、コンクリート骨材として使用した時に優れた流動性(ポンプ圧送性等)及び耐凍結融解性を発揮することのできる軽量骨材を、品質のばらつきが少ない状態で安定的に得ることができること等を見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明(請求項1)の軽量骨材は、石炭ガス化処理において発生する45質量%以上のSiO2を含むスラグを、焼成し発泡させてなり、かつ、24時間吸水率が7%以下であることを特徴とする。
本発明では、原料として、石炭ガス化処理後に石炭ガス化炉から排出される45質量%以上のSiO2を含むスラグを用いているため、このスラグを発泡させると、吸水率が小さい軽量骨材を得ることができる。そして、この軽量骨材を使用した軽量コンクリートは、24時間吸水率が10%を超える汎用の軽量骨材と比べて、優れた流動性(ポンプ圧送性等)及び耐凍結融解性を期待することができる。
【0009】
前記軽量骨材は、通常、1.8g/cm3以下の絶乾密度を有する(請求項2)。
本発明の軽量骨材は、通常の骨材(絶乾密度2.5g/cm3以上)と比べて軽量であるため、軽量性を要求される建造物の材料として好適に用いることができる。また、軽量であることから、運搬や施工作業が容易であり、作業者の労力の軽減等を図ることができる。
【0010】
本発明(請求項3)の軽量骨材の製造方法は、石炭ガス化処理において発生するスラグを原料とした軽量骨材の製造方法であって、(A)石炭ガス化処理後のスラグ中のSiO2の含有率が45質量%以上となるように、石炭を選択する石炭選択工程と、(B)前記石炭を石炭ガス化処理して、スラグを得る石炭ガス化工程と、(C)前記スラグを焼成し発泡させて、軽量骨材を得るスラグ焼成工程とを含むことを特徴とする。
こうして得られる軽量骨材は、通常、軽量骨材として用いるのに適する比重(絶乾密度で1.8g/cm3以下)及び吸水率(24時間吸水率で7%以下)を有するため、セメント、水等の材料と混練して、水硬性組成物を調製した際に、優れた流動性(ポンプ圧送性等)及び耐凍結融解性を発揮することができる。
前記工程(C)においては、前記軽量骨材の24時間吸水率が7%以下となるように、前記スラグを焼成し発泡させることが好ましい(請求項4)。
【0011】
本発明(請求項5)の軽量骨材の製造方法は、石炭ガス化処理において発生するスラグを原料とした軽量骨材の製造方法であって、(D)石炭を石炭ガス化処理して、スラグを得る石炭ガス化工程と、(E)前記スラグの中から、45質量%以上のSiO2を含むスラグを選択するスラグ選択工程と、(F)前記選択されたスラグを焼成し発泡させて、軽量骨材を得るスラグ焼成工程とを含むことを特徴とする。
こうして得られる軽量骨材は、通常、軽量骨材として用いるのに適する比重(絶乾密度で1.8g/cm3以下)及び吸水率(24時間吸水率で7%以下)を有するため、セメント、水等の材料と混練して、水硬性組成物を調製した際に、優れた流動性(ポンプ圧送性等)及び耐凍結融解性を発揮することができる。
前記工程(F)においては、前記軽量骨材の24時間吸水率が7%以下となるように、前記スラグを焼成し発泡させることが好ましい(請求項6)。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の軽量骨材は、石炭ガス化複合発電等において石炭ガス化炉から排出される45質量%以上のSiO2を含むスラグを、焼成し発泡させてなるものである。
ここで、石炭ガス化複合発電とは、粉砕された石炭(例えば、瀝青炭)を、石炭ガス化炉内に投入し、ガス化剤(例えば、酸素)の存在下で所定の温度(例えば、1,200〜1,600℃)及び圧力(例えば、2〜3MPa)にて石炭ガス化処理を行ない、これにより発生した可燃性ガスを燃焼させることによって、ガスタービンを回すとともに、ガスタービンの排熱を利用して蒸気タービンを回す発電方法をいう。
石炭ガス化複合発電等での石炭ガス化炉内において、石炭中に含まれていた灰分は、高温下で溶融した状態で炉底に落下し、水中で急冷されて、粒状で非晶質のスラグ(本明細書中において、「石炭ガス化スラグ」という。)となる。
【0013】
なお、石炭ガス化炉の種類としては、例えば、噴流床ガス化炉、流動床ガス化炉、固定床ガス化炉等が挙げられる。中でも、噴流床ガス化炉は、大規模の発電用に適しており、シェルプロセス(シェル法)、テキサコプロセス(テキサコ法)等として既に商用規模での運転が行なわれている。
ここで、噴流床ガス化炉とは、1mm以下の粒度に微粉化した石炭を、気流搬送して炉内に供給し、1,200〜1,600℃程度の高温下でガス化反応させるものをいう。
【0014】
本発明においては、軽量骨材を製造するための原料として、45質量%以上、好ましくは53質量%以上のSiO2を含む石炭ガス化スラグが選択され使用される。SiO2の含有率が45質量%未満では、石炭ガス化スラグを焼成し発泡させて得られる粒状体(軽量骨材)の吸水率が大きくなり、高品質の軽量骨材を得ることができない。
【0015】
石炭ガス化スラグの主成分は、SiO2、Al2O3、CaO及びFe2O3である。したがって、SiO2の含有率を規定する代わりに、Al2O3、CaO及びFe2O3の含有率の合計値を規定することによって、軽量骨材の吸水率を制御することができる。
【0016】
本発明の軽量骨材は、前述のような成分組成を有する石炭ガス化スラグを、焼成し発泡させてなるものである。
焼成温度は、例えば、900〜1,200℃である。焼成時間は、例えば、30秒〜10分である。
石炭ガス化スラグを焼成し発泡させる過程において、適当な融着防止材を添加して焼成することが望ましい。
焼成窯としては、例えば、内熱式ロータリーキルン、外熱式ロータリーキルン等を使用することができる。
石炭ガス化スラグの発泡による膨張率(発泡後の体積/発泡前の体積の比率)は、例えば、1.2〜2.5である。
【0017】
本発明の軽量骨材の24時間吸水率は、7%以下、好ましくは4%以下である。
24時間吸水率の値が小さいと、軽量骨材の粒体内に侵入する水分の量が少なくなるため、優れた耐凍結融解性(凍結と融解とが繰り返し交互に起きることによる機械的強度の低下の生じ難さ)を発揮することができる。また、本発明の軽量骨材を含むモルタル等の水硬性組成物を、ポンプ及びホースを用いて施工場所に圧送する場合において、流動性の変化が少なくなるので、ポンプ圧送性が良好になり、円滑に作業することができる。
【0018】
24時間吸水率が7%以下であることは、次のように、汎用の軽量骨材とは異なる優れた特徴点である。
「JIS A 5002」は、軽量細骨材及び軽量粗骨材の各々について、絶乾密度をH、M、Lに区分している。
区分「M」の軽量細骨材の絶乾密度は、1.3〜1.8g/cm3である。市販されているJIS適合軽量細骨材の絶乾密度は、1.65〜1.7g/cm3である。
区分「M」の軽量粗骨材の絶乾密度は、1.0〜1.5g/cm3である。市販されているJIS適合軽量粗骨材の絶乾密度は、1.25〜1.34g/cm3である。
【0019】
これら市販されている区分「M」の軽量骨材は、コンクリート用砕石(JISA 5005:24時間吸水率3%以下)と比べて、24時間吸水率が10〜16%(粗骨材:10〜16%、細骨材:10%)と著しく大きく、ポンプ圧送で施工される用途や、耐凍結融解性が要求される用途等において、使用上の問題があった。この点、「JIS A 5002」には、軽量骨材の24時間吸水率についての規格がなく、24時間吸水率の明確な基準値(上限値)は存在しなかった。
しかし、砕石についての基準値(上限値)である3%では問題がないことを考慮すると、区分「M」の軽量骨材の24時間吸水率を6〜7%程度にまで低減することができれば、ポンプ圧送時のトラブル頻度の大幅な減少等を期待することのできる高品質の軽量骨材として、好適に用い得るものと考えられる。
この点、本発明の軽量骨材は、24時間吸水率が7%以下であり、汎用の軽量骨材(24時間吸水率:10〜16%)と区別し得る優れた物性を有している。
【0020】
本発明の軽量骨材の絶乾密度は、1.8g/cm3以下、好ましくは1.5g/cm3以下である。絶乾密度が1.8g/cm3を超えると、軽量骨材による軽量化効果が少なくなる。
なお、発泡に伴って骨材の強度が低下するため、絶乾密度の下限値は、要求される骨材の強度との関係から決定される。例えば、圧壊荷重値等の機械的強度を優れたものとする場合には、絶乾密度は、好ましくは、1.0g/cm3以上である。
本明細書中において、「絶乾密度」とは、骨材間の空隙の容積を除いた絶対乾燥状態にある骨材の単位容積(ただし、骨材内部の空隙を含む。)当たりの密度(単位:g/cm3)をいう。
なお、24時間吸水率及び絶乾密度は、「JIS A 1134」(構造用軽量細骨材の密度及び吸水率試験方法)及び「JIS A 1135」(構造用軽量粗骨材の密度及び吸水率試験方法)に規定する方法に準じて測定される。
【0021】
本発明の軽量骨材を製造するには、例えば、次の2つの方法(1)、(2)のいずれかを採用することができる。
[(1)石炭を選別する方法]
この方法は、石炭ガス化処理前の段階で、本発明の軽量骨材の原料を選別するものであり、具体的には、(A)石炭ガス化処理後のスラグ中のSiO2の含有率が45質量%以上となるように、石炭を選択する石炭選択工程と、(B)選択された石炭を石炭ガス化処理して、スラグ(石炭ガス化スラグ)を得る石炭ガス化工程と、(C)得られたスラグを焼成し発泡させて、軽量骨材(通常、24時間吸水率が7%以下であるもの)を得るスラグ焼成工程とからなるものである。
【0022】
一般に、石炭ガス化複合発電の発電所等で使用される石炭は、採掘地等によって成分組成が異なる。また、複数種の石炭を混合してなる混炭は、該混炭を構成する石炭の成分組成及び混合割合によって、成分組成が種々に変化する。このような石炭の種類による成分組成の相違に基づいて、石炭ガス化スラグ中のSiO2の含有率は、60質量%を超えることもあれば、30質量%程度に留まることもある。本発明では、石炭ガス化スラグ中のSiO2の含有率が45質量%以上となるように、予め石炭を選択したうえで、この選択された石炭を石炭ガス化処理し、それにより得られた石炭ガス化スラグ(すなわち、SiO2の含有率が45質量%以上のもの)を焼成し発泡させて、所定の物性を有する軽量骨材を得るものである。
【0023】
なお、石炭をガス化してスラグを得る工程において、灰分の融点を降下させるためのフラックスとして、石灰石(主成分:CaCO3)を添加することがある。この場合には、スラグのSiO2含有率が45質量%以上となるように石炭種を選定するか、あるいはフラックスの添加量を調整する。
工程(C)において、石炭ガス化スラグを焼成し発泡させて、24時間吸水率が7%以下である軽量骨材を得るには、石炭ガス化スラグの粒度分布等の条件に応じて焼成温度及び焼成時間を適宜定めて、良好な発泡状態を生じさせればよい。
【0024】
[(2)スラグを選別する方法]
この方法は、石炭ガス化処理後の段階で、本発明の軽量骨材の原料を選別するものであり、具体的には、(D)石炭を石炭ガス化処理して、スラグ(石炭ガス化スラグ)を得る石炭ガス化工程と、(E)得られたスラグの中から、45質量%以上のSiO2を含むスラグを選択するスラグ選択工程と、(F)選択されたスラグを焼成し発泡させて、軽量骨材(通常、24時間吸水率が7%以下であるもの)を得るスラグ焼成工程とからなるものである。
なお、工程(F)において、石炭ガス化スラグを焼成し発泡させて、24時間吸水率が7%以下である軽量骨材を得るには、石炭ガス化スラグの粒度分布等の条件に応じて焼成温度及び焼成時間を適宜定めて、良好な発泡状態を生じさせればよい。
【0025】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を説明する。
[実施例1〜13、比較例1〜6]
噴流床ガス化炉内に石炭(瀝青炭)を投入し、短時間(秒オーダー)で石炭ガス化処理を行なった後、炉底から、水冷された粒状の石炭ガス化スラグ(非晶質の溶融スラグ)を得た。石炭ガス化スラグの粒度は、0.5〜10mm程度であった。この操作を、種々の石炭(瀝青炭)毎に行ない、種々の石炭ガス化スラグ(実施例1〜13、比較例1〜6)を得た。これらの石炭ガス化スラグの成分の分析値を表1に示す。
【0026】
石炭ガス化スラグ(実施例1〜13、比較例1〜6)の粒径を0.5〜2mmに調整した後、この石炭ガス化スラグをロータリーキルンに投入し、1,000〜1,100℃の温度で3〜4分程度、焼成し発泡させて、粒径0.6〜3mm程度の粒状体を得た。この粒状体の絶乾密度及び24時間吸水率を測定したところ、表1に示す値を得た。
なお、表1中、「焼成最適温度」は、1,000℃、1,050℃、1,100℃の各温度で石炭ガス化スラグを焼成した中で、最も良好な物性が得られた温度であることを示す。焼成最適温度以外の温度で焼成された粒状体の物性値の記載は、省略する。
表1中のSiO2の含有率(質量%)と24時間吸水率(%)の関係を、図1にグラフとして示す。
表1及び図1から、SiO2の含有率が45質量%以上であると、吸水率が7%以下であり、得られた粒状体を高品質の軽量骨材として用い得ることがわかる。
【0027】
【表1】
【0028】
【発明の効果】
本発明の軽量骨材は、24時間吸水率が7%以下であるため、使用時に優れた流動性(ポンプ圧送性等)及び耐凍結融解性を発揮することができる。
ここで、吸水率が小さいことは、骨材が単独気泡からなり、連続した空隙が少ないことを示す。連続した空隙は、骨材に荷重がかかったときに応力が集中しやすく、破壊のきっかけとなりやすい。そのため、吸水率が高い骨材は、強度が低くなりやすい。この点、本発明の低吸水率を有する骨材は、絶乾密度が同じである高吸水率の骨材と比べて強度が大きい。したがって、本発明の軽量骨材は、軽量骨材としての使用に適する小さな比重(例えば、絶乾密度で1.8g/cm3以下)及び機械的強度(圧壊荷重)を有し、軽量性を求められるモルタル等の用途において好適に使用することができる。
【0029】
また、本発明の軽量骨材は、石炭ガス化複合発電等における石炭ガス化炉から排出される石炭ガス化スラグを原料としているため、従来は廃棄物として処理されることの多かった石炭ガス化スラグの再資源化を図ることができ、廃棄物処理問題の軽減に寄与することができる。
さらに、本発明の軽量骨材の製造方法によれば、高品質の軽量骨材(例えば、24時間吸水率が7%以下のもの)を、物性のばらつきが少ない状態で安定的に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】SiO2の含有率(質量%)と24時間吸水率(%)の関係を示すグラフである。
Claims (6)
- 石炭ガス化処理において発生する45質量%以上のSiO2を含むスラグを、焼成し発泡させてなり、かつ、24時間吸水率が7%以下であることを特徴とする軽量骨材。
- 絶乾密度が1.8g/cm3以下である請求項1に記載の軽量骨材。
- 石炭ガス化処理において発生するスラグを原料とした軽量骨材の製造方法であって、
(A)石炭ガス化処理後のスラグ中のSiO2の含有率が45質量%以上となるように、石炭を選択する石炭選択工程と、
(B)前記石炭を石炭ガス化処理して、スラグを得る石炭ガス化工程と、
(C)前記スラグを焼成し発泡させて、軽量骨材を得るスラグ焼成工程と
を含むことを特徴とする軽量骨材の製造方法。 - 前記工程(C)において、前記軽量骨材の24時間吸水率が7%以下となるように、前記スラグを焼成し発泡させる請求項3に記載の軽量骨材の製造方法。
- 石炭ガス化処理において発生するスラグを原料とした軽量骨材の製造方法であって、
(D)石炭を石炭ガス化処理して、スラグを得る石炭ガス化工程と、
(E)前記スラグの中から、45質量%以上のSiO2を含むスラグを選択するスラグ選択工程と、
(F)前記選択されたスラグを焼成し発泡させて、軽量骨材を得るスラグ焼成工程と
を含むことを特徴とする軽量骨材の製造方法。 - 前記工程(F)において、前記軽量骨材の24時間吸水率が7%以下となるように、前記選択されたスラグを焼成し発泡させる請求項5に記載の軽量骨材の製造方法。
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