JP5137305B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電子放出素子を用いてなる平面型の画像形成装置に関する。
従来、CRTを始めとする画像表示装置は、より一層の大画面化が求められ、大画面化に伴う装置の薄型化・軽量化が重要な課題となっている。このような薄型化・軽量化が可能な画像表示装置として、本出願人は表面伝導型電子放出素子を用いた平面型の画像表示装置を提案している。このような電子放出素子を用いた画像表示装置は、複数の電子放出素子と該素子に電圧を印加するためのマトリクス配線とを備えたリアプレート(電子源基板、カソード基板)と、該電子放出素子から放出された電子ビームの照射によって発光する発光部材(例えば蛍光体)とアノード電極とを備えたフェースプレート(アノード基板)とを対向配置させ、周縁部に枠材を介して封止することにより、真空容器(表示パネル)を形成してなる。このような画像形成装置においては、真空容器内部と外部との気圧差による基板の変形や破損を防止するため、スペーサと呼ばれる耐大気圧構造体を上記プレート間に介在させている。スペーサは通常、矩形薄板状であり、表面がプレートの法線方向に平行になるように、端部を両プレートに接して配置される。
一般に表示パネルを駆動する場合、パネル内に温度変動が発生し、その変動要因としては、(1)表示画像ソース、(2)使用環境、(3)パネル筐体内部の熱コンダクタンス不足等が挙げられ、変動の詳細な原因としては、発熱源、吸熱源として、電子源、マトリクス配線等のジュール熱、蛍光体の発熱、周囲温度とパネル各部の温度差、日光等による輻射熱交換、駆動回路等が挙げられる。これらは時間的、空間的に非定常であるため、パネルに発生する温度分布は面内方向分布のみならず、フェースプレートとリアプレートの外表面にも温度分布が発生する。このようなパネル表裏の温度分布は、使用環境、表示画像にも依存するが、5〜20℃、典型的には10℃程度の温度差が発生する。
このような温度分布が発生すると、スペーサ近傍において、フェースプレート側がリアプレート側に対して高温の場合には、電子ビームの到達位置がスペーサに吸引される方向に変位し、逆にフェースプレート側がリアプレート側に対して低温の場合には、電子ビーム位置はスペーサから離れる方向に変位する。電子ビームの到達位置の変位量は、画素ピッチにもよるが、画素ピッチが0.6mmで温度差が10℃の場合には、−0.1〜0.1ピッチ相当分に達し、表示品位を著しく低下させる場合があった。
このようなパネル表裏の温度差に起因したスペーサ近傍での電子ビーム到達位置変動を抑制する技術としては、特許文献1に開示された技術が挙げられる。これは、スペーサ部材の熱伝導度、及び抵抗値の温度依存性、スペーサ断面積と表示領域面積との比率、スペーサの高さを所望の範囲に設定することにより、パネル表裏の温度差に起因したビーム位置変動を抑制するものである。
アメリカ特許第5990614号明細書
スペーサは、「大気圧支持−強度・形状」、「静的な電位規定設計−電位分布の均一化」、「動的な電位規定設計−帯電防止構造」、「消費電力抑制のための抵抗値設計」等を同時に満足する必要がある。これらの課題を同時に単独の材料により全て解決することは極めて難しく、よって、表面凹凸化、絶縁性基体と高抵抗膜被覆、二次電子放出係数の異なる膜のパターニング等、機能分離するための手法が検討されてきた。またさらに、「化学的安定性、脱ガス抑制特性」や「コスト」、「製造上の取り扱い容易性」といった課題を解決することも要求されており、可能な限り設計要素をスペーサ以外に機能分離することが望まれていた。
本発明の課題は、パネル表裏で温度差が発生した場合の、スペーサ近傍における電子ビーム到達位置変動を抑制して、上記温度差に影響を受けない高品位表示の画像形成装置を提供することにある。さらには、上記電子ビームの到達位置変動を抑制するための制御パラメータをスペーサ以外に設けて機能分離し、安価な画像形成装置を提供することにある。
本発明の第一は、 複数の電子放出素子と該電子放出素子に電圧を印加する配線とを備えたリアプレートと、該リアプレートに対向配置され、該電子放出素子から放出された電子ビームの照射によって発光する発光部材とアノード電極とを備えたフェースプレートと、上記リアプレートとフェースプレートの周縁部に介在して上記リアプレートとフェースプレートと共に真空容器を形成する枠材と、上記リアプレートとフェースプレートとに接して配置され、電流場により静的に電位規定されて両プレート間距離を保持すると共に、前記真空容器内に露出したスペーサ表面が前記リアプレートとフェースプレートの法線方向に平行な薄板状をなすスペーサと、上記スペーサとフェースプレート及びリアプレートとの当接面の少なくとも一方に介在する、熱電変換材料からなる当接部材とを有する画像形成装置であって、
下記一般式(1)におけるΨ0×Ψ2が0.05以下の正の値であることを特徴とする。
Figure 0005137305
Δx:スペーサに起因する真空容器内の電界分布の変形により生じる電子ビーム到達位置の変位量[m]
Py:スペーサ表面に垂直な方向の電子放出素子ピッチ[m]
e:単位電荷[c]
Ea:スペーサの電位規定要素の抵抗値の逆数が示す活性化エネルギー[eV]
h:スペーサの高さ[m]
k:ボルツマン定数[J/K]
T:スペーサの任意の位置の温度[K]
Ψ0:下記一般式(2)で示されるスペーサ熱抵抗分割率
Ψ0=Rhsp/(Rhcfp+Rhsp+Rhcrp) (2)
Rhcfp:スペーサとフェースプレート間の熱抵抗[m2K/W]
Rhsp:スペーサの熱抵抗[m2K/W]
Rhcrp:スペーサとリアプレート間の熱抵抗[m2K/W]
Ψ2:下記一般式(3)で示されるスペーサ敏感度
Ψ2=γ/20 (3)
γ:h/x0で示されるスペーサ電場影響係数
0:スペーサの電界影響範囲距離[m]
ΔT 1 :スペーサを挟んで対向するフェースプレート外面の温度とリアプレート外面の温度との温度差[K]
本発明の第二は、複数の電子放出素子と該電子放出素子に電圧を印加する配線とを備えたリアプレートと、該リアプレートに対向配置され、該電子放出素子から放出された電子ビームの照射によって発光する発光部材とアノード電極とを備えたフェースプレートと、上記リアプレートとフェースプレートの周縁部に介在して上記リアプレートとフェースプレートと共に真空容器を形成する枠材と、上記リアプレートとフェースプレートとに接して配置され、電流場により静的に電位規定されて両プレート間距離を保持すると共に、前記真空容器内に露出したスペーサ表面が前記リアプレートとフェースプレートの法線方向に平行な薄板状をなすスペーサと、上記スペーサとフェースプレート及びリアプレートとの当接面の少なくとも一方に介在する、熱電変換材料からなる当接部材とを有する画像形成装置であって、
下記一般式(2)で示されるスペーサ熱抵抗分割率Ψ0が0.5以下の正の値であることを特徴とする。
Ψ0=Rhsp/(Rhcfp+Rhsp+Rhcrp) (2)
Rhcfp:スペーサとフェースプレート間の熱抵抗[m2K/W]
Rhsp:スペーサの熱抵抗[m2K/W]
Rhcrp:スペーサとリアプレート間の熱抵抗[m2K/W]
本発明の第三は、複数の電子放出素子と該電子放出素子に電圧を印加する配線とを備えたリアプレートと、該リアプレートに対向配置され、該電子放出素子から放出された電子ビームの照射によって発光する発光部材とアノード電極とを備えたフェースプレートと、上記リアプレートとフェースプレートの周縁部に介在して上記リアプレートとフェースプレートと共に真空容器を形成する枠材と、上記リアプレートとフェースプレートとに接して配置され、電流場により静的に電位規定されて両プレート間距離を保持すると共に、前記真空容器内に露出したスペーサ表面が前記リアプレートとフェースプレートの法線方向に平行な薄板状をなすスペーサと、上記スペーサとフェースプレート及びリアプレートとの当接面の少なくとも一方に介在する、熱電変換材料からなる当接部材とを有する画像形成装置であって、
下記一般式(2)で示されるスペーサ熱抵抗分割率Ψ0と、下記一般式(4)で示されるスペーサ電気抵抗分割率Eとが、0<Ψ0<E<1の関係を満たすことを特徴とする。
Ψ0=Rhsp/(Rhcfp+Rhsp+Rhcrp) (2)
Rhcfp:スペーサとフェースプレート間の熱抵抗[m2K/W]
Rhsp:スペーサの熱抵抗[m2K/W]
Rhcrp:スペーサとリアプレート間の熱抵抗[m2K/W]
E=Resp/(Recfp+Resp+Recrp) (4)
Recfp:スペーサとフェースプレート間の電気抵抗[Ω]
Resp:スペーサの電気抵抗[Ω]
Recrp:スペーサとリアプレート間の電気抵抗[Ω]
本発明によれば、パネル表裏に生じた温度差による電子ビーム到達位置変動が良好に抑制され、該温度差によらず高品位な表示が可能な画像形成装置が提供される。さらに本発明においては、上記電子ビーム到達位置変動を抑制するための制御パラメータがスペーサ以外に設けられているため、スペーサに要求される機能から当該作用を分離することができ、スペーサの設計が容易になる。よって、信頼性の高い画像形成装置をより安価に提供することが可能となる。
図14に、本発明の画像形成装置の一実施形態の表示パネルの構成を模式的に示す。図14は内部構造を示すためにパネルの一部を切り欠いて示している。図中、42は電子放出素子、43は行方向配線、44は列方向配線、45はリアプレート(電子源基板、カソード基板)、46は枠材、47はフェースプレート(アノード基板)、48は蛍光膜、49はメタルバック(アノード電極)、50はスペーサ、55はスペーサの固定部材である。
本発明においては、電子源基板であるリアプレート45とアノード基板であるフェースプレート47とが、周縁部において枠材46を介して封止され、気密容器を形成している。当該気密容器内は、10-4Pa程度の真空に保持されるため、大気圧や不意の衝撃などによる損傷を防止するために、耐大気圧構造体として矩形薄板状のスペーサ50を備えており、該スペーサ40は画像表示領域外において端部を固定部材55により固定されている。
リアプレート45には、表面伝導型の電子放出素子42がN×M個形成されており、M本の行方向配線43とN本の列方向配線44により単純マトリクス配置されている(M、Nは正の整数)。行方向配線43と列方向配線44との交差部は不図示の層間絶縁層にて絶縁されている。尚、本実施形態においては表面伝導型の電子放出素子を単純マトリクス配置した構成を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、電界放出型(FE型)やMIM型などの電子放出素子においても好ましく適用され、また、単純マトリクス配置に限定されるものではない。
図14の構成において、フェースプレート47には、蛍光膜48と、アノード電極としてCRTの分野では公知のメタルバック49が設けられている。蛍光膜48は例えばストライプ状に赤(R)、緑(G)、青(B)、の3原色の蛍光体に塗り分けられ、各色の蛍光体の間には黒色導電体(ブラックストライプ)が設けてある。但し、蛍光体の配列はストライプの配列に限られるものではなく、電子放出素子42の配列に応じて、例えばデルタ状配列など、それ以外の配列であってもよい。
また、本発明で用いられるスペーサ50は、カソード電極である行方向配線43に平行に配置され、行方向配線43及びアノード電極であるメタルバック49とに電気的に接続されて、電流場によって静的に電位規定されている。スペーサの構成としては、単一組成の基体を用いて、該基体を電位規定要素としても良いが、望ましくは、絶縁性基体の表面に該絶縁性基体よりも低抵抗の高抵抗膜を被覆し、該高抵抗膜をスペーサの電位規定要素とする構成である。
本発明者は、表示パネル表裏の温度差により電子ビーム到達位置変動が生じるメカニズムを以下のように分析し、制御因子を特定した。尚、以下の文章中の「FP」はフェースプレートを、「RP」はリアプレートを、「SP」はスペーサをそれぞれ示す。
〔ステップ1;FP/RPの外表面温度差ΔT1
外乱要因、内乱要因からパネルの表裏に温度分布が発生する。
〔ステップ2;スペーサの高さ方向の温度差ΔT2
スペーサは、FP及びRPを支持するため、各プレートに当接している。当該当接部とプレートとスペーサを伝熱パスとして熱伝導が発生し、高温側熱源から低温側熱源にかけて温度分布が形成される。
〔ステップ3;スペーサの高さ方向の電気抵抗分布ΔR〕
一般に電気抵抗値は温度依存性を有している。特に、スペーサの耐電圧を実現するためにスペーサに用いられている誘電材料、高抵抗材料においては、低抵抗材料に比較してその抵抗値の温度依存性が高い。よって、温度分布が生じているスペーサには電気抵抗分布が発生する。
〔ステップ4;スペーサの表面電位の変動ΔV1
スペーサが電流場により電位規定されている場合には、スペーサ表面の抵抗値分布は電界分布となり、スペーサの高さ方向の各領域の電位が変動を受ける結果となる。
〔ステップ5;スペーサ近傍空間の電位分布変形ΔV2
スペーサ近傍は、スペーサ内外で誘電率が異なるため、スペーサ表面を界面として電気力線が屈折する。その結果、界面近傍の電位は連続であるが、電位勾配が不連続となるため電位分布が局所的に変形する。
〔ステップ6;スペーサ近傍の電子ビーム到達位置変動Δx〕
電子放出素子から放出された電子ビームは加速されてアノード電極に到達するが、スペーサ近傍の電界分布に変形がある場合には、ビーム軌道も変動を受け、所望の位置から変位量Δxだけ到達位置がずれる。
周囲の雰囲気や部材の温度変化に対するパネルの伝熱特性を緩和すること(筐体設計)を例外とすると、上記各ステップは人間の視認特性上、実質的に同時に発生することになる。そのため、時間的な遅延作用を利用して電子ビームの到達位置変動を抑制することは難しいため、各ステップの変動係数の絶対値の少なくとも一つを抑制することが必要となる。
上記関係の定量的な理解のために変動要素を分解すると、以下のようになる。
〈ステップ1,2;定常熱伝導基礎方程式〉
前記ΔT2とΔT1との関係について、図1〜図3を用いて定式化し説明する。尚、図中、1はフェースプレート(FP)、2はリアプレート(RP)、3はスペーサ(SP)を示す。
先ず最初に、スペーサの高さ方向の温度差ΔT2を決定する因子の同定を行う。
本発明の画像形成装置に適用されるスペーサは真空中で動作するため、対流による熱交換は考慮する必要がない。また、部材間のイオン拡散による不可逆的な伝熱機構も、装置の信頼性の観点から考慮する必要性は認められないため、ここではFP,RPそれぞれの真空側露出面とスペーサ表面間の放射熱交換総量とFP側スペーサ当接部からRP側スペーサ当接部にかけて熱伝導総量のパネル表裏の温度差ΔT1に対する依存性を比較した。図1は評価モデル、図2は検討結果である。
図1の評価モデルの計算は、以下の原則に従って行った。
・熱放射はPlanck’s LawとStefan−Boltzmann’s Law、q=σT4[W/m2]に従う。
・各部材は灰色体であり、キルヒホッフ則に従い、熱放射率ρ、吸収率ρ、反射率1−ρの関係で記述される。
・放射エネルギー交換は相互の幾何学的関係で決定される形態係数Fijに依存する。(下記、放射熱量qiの右辺の第二項の級数部分を意味する。すなわち、あるiが受ける他の面からの吸収熱量は、他の面jの放射率×i面j面間の形態係数Fij×ある面iの吸収率の積の総和(積分値)であらわされる)
・放射熱平衡が成立する。divq=0
比較する評価パラメータは以下の二つである。
熱伝導輸送量 q[W]=K×A×(Tfp−Trp
放射熱量−吸収熱量 qi[W]=σT4−ρiΣFijj
K:実効的スペーサ部の熱伝達率[W/m2K]
A:スペーサのFP,RPに平行な方向の断面積[m2
fp:FPの絶対温度[K]
rp:RPの絶対温度[K]
ij:領域jから領域iに対する形態係数
qi:領域iの放射エネルギー量[W]
図2より、パネル表裏の温度差ΔT1に依存して発生する、スペーサとスペーサ以外の部材間の熱移動量は、熱伝導が支配的であり、パネル内部の高さ方向の温度差ΔT2は、該熱伝導により決定されることがわかった。これは、FP,RPの真空側露出面が輻射率の低い金属材料によって被覆されていること、スペーサ材料の輻射率は比較的高いがスペーサの高さが熱輻射の際に熱交換する相手と見なされるFP,RPの真空側露出面の面積に対して極めて小さく、スペーサから見た見込み角が小さい、即ち部材iと部材j間の相互の幾何学的関係で決定される形態係数Fijが十分小さいことに起因する。
次に、スペーサ部の温度分布を定量するため、図3の熱伝導モデルに従って定式化する。
「伝熱工学資料」第4刷、1986年、日本機械学会発行、(JSME”Heat Transfer Hand Book”4th edition)第5頁、第1章、第一項の単純平板の定常熱伝導基礎方程式に開示されているように、3部材間の接触部を介した熱伝導は、図3に示した熱伝導モデルと以下の一般式(5)、(6)により一義的に記述される。尚、図3中、6,7,8は各部材を示す。
通過熱量 q[W]=KA(T1−T2) (5)
熱伝達率 K[W/m2K]=1/{(1/h1)+(L/λ)+(1/h2)} (6)
1:上部材6の温度[K]
2:下部材7の温度[K]
K:熱伝達率[W/m2K]
A:中間部材8の断面積[m2
L:伝熱経路の長さ(中間部材8の高さ)[m]
1:上部材6と中間部材8との接触部(接触部1)における熱伝達率[W/m2K]
2:下部材7と中間部材8との接触部(接触部2)における熱伝達率[W/m2K]
λ:中間部材8の熱伝導率[W/mK]
ここで、
ΔT1=T1−T2:上部材6/下部材7の温度差[K]
ΔT2:中間部材8の高さ方向の温度差[K]
とすると、熱流の連続則を適用すれば、一般式(5)より、
q[W]=KA×ΔT1=(λ/L)A×ΔT2
よって、
ΔT2=(L/λK)×ΔT1
である。
ここで、上部材6をFP、下部材7をRP、中間部材8をスペーサとして下記の代入を行うと、下記一般式(7)に示されるようにΔT2はΔT1により一義的に規定される。
ΔT1:FP/RP外表面の温度差[K]
ΔT2:スペーサの高さ方向の温度差[K]
L:スペーサの高さh[m]
1:FPとスペーサとの当接部における熱伝達率tf[W/m2K]
2:RPとスペーサとの当接部における熱伝達率tr[W/m2K]
λ:スペーサの熱伝導率λ[W/mK]
Figure 0005137305
ここで、ΔT1の係数は、スペーサの熱伝導経路全体に占める、熱抵抗の分割率に相当するため、スペーサ熱抵抗分割率Ψ0とすると、下記一般式(8)で一義的に規定され、さらに、Ψ0は各部の熱抵抗Rh(=熱伝達率の逆数)の組み合わせによる下記一般式(2)で示される。
ΔT2=Ψ0×ΔT1 (8)
Ψ0=Rhsp/(Rhcfp+Rhsp+Rhcrp) (2)
Rhcfp:スペーサとFP間の熱抵抗[m2K/W]
Rhsp:スペーサの熱抵抗[m2K/W]
Rhcrp:スペーサとRP間の熱抵抗[m2K/W]
〈ステップ3;高抵抗材料の抵抗値温度依存性〉
スペーサの高さ方向の電気抵抗分布ΔRの定式化について説明する。
本発明に用いられるスペーサの電位規定要素は高抵抗である。純金属材料などの良導電体を不連続膜状態まで薄膜化して電位規定要素の高抵抗化を図った場合を除いて、金属以外の一般の高抵抗材料は、負の傾きを有した強い温度依存性を有している。
一般に高抵抗材料としてスペーサに適用されるような、セラミック、アモルファス(ガラス)材料は、組成の点では無機酸化物、無機窒化物から構成され、電子伝導性、正孔伝導性を有し、下記一般式(9)で示されるような、活性化型の抵抗値温度依存性R(T)を有することが多い。
Figure 0005137305
Ea:スペーサの電位規定要素の抵抗値の逆数が示す活性化エネルギー[eV]
e:単位電荷量[c]
k:ボルツマン定数[J/K]
T:スペーサの任意の位置の温度[T]
R∞:仮想的な温度無限大時の電気抵抗値[Ω]
上記した高抵抗材料も、極低温域や構造変化が伴うような高温域では別の伝導機構に従うようになるが、通常のディスプレイの使用温度域として室温を中心とした50℃程度の限定された温度変化範囲内においては、上記一般式(9)に極めて良好に従うことが多い。従って、本発明においても、スペーサが上記一般式(9)で示される抵抗値温度依存性に従うものとして扱う。
上記一般式(9)に従い、抵抗変化率ΔR/R(T)を求めると、以下のように表される。
Figure 0005137305
従って、スペーサの高さ方向の温度差ΔT2が与えられた時の、スペーサの高さ方向の電気抵抗値の変化率ΔR/R(T)は以下の一般式(10)で一義的に表される。
Figure 0005137305
〈ステップ4〉
スペーサの表面電位の抵抗変化率依存性について、図4及び図5を用いて説明する。図4はパネル内の電界計算イメージモデルであり、FP1側がRP2側に対して高温である場合の電位分布イメージを表現している。図中の11は等電位面、12,12’は電子ビームの軌道である。電界分布は以下のような特徴を有している。
スペーサ3近傍の電位が低下し、スペーサ3から遠ざかるとスペーサ3の影響を空間的に受けにくくなり、最終的にはある距離x0の地点でアノード(図14のメタルバック49)とカソード(図14の行方向配線43)との間の電位勾配により規定されている平行且つ均一な電位分布に従うようになる。実際には、スペーサ3からの距離に応じてこの影響度は連続的に変化し、等電位面11も連続的に接続される。このことは、スペーサ3の影響度に依存する距離x0を、着目する電子放出素子のスペーサ3からの距離毎に変化させる自由度を与えてやれば、説明が現実の電位分布と対応がとれる。
図4のモデルは、着目している電子放出素子の電子ビームの軌道と該軌道近傍の電場の傾きを直線で外挿したものであり、図4(a)の12は本来の電子ビームの軌道を、(b)の12’は傾いた電場の影響で実際に描く軌道を示している。スペーサ3の影響を受けない、典型的にはスペーサ3の高さhの2倍程度離れた領域の平衡均一電場と交差するポイントの平均値がx0として決まる。図4のモデルをさらに単純化した座標モデルを図5に示す。
スペーサ3上の電位は電流場で規定されているため、抵抗分割されており、終端部の抵抗比は既知であるから、これを下記一般式(11)とすると、
Figure 0005137305
y方向電界強度をEy(x,y)とすると、スペーサ3の高さ方向両端部の電場の境界条件から、
Figure 0005137305
と規定される。
さらに、スペーサ3上の電界分布(抵抗、温度)は、高さ方向にリニアとできるから、
Ey(0,y)=Ey(0,0)+ay
電界の境界条件として一般式(11)を満足するから、
Figure 0005137305
さらに、スペーサ3の表面電位の上下端部の境界条件から、
Figure 0005137305
カソード側(RP2側)のスペーサ3表面上のカソード端のy方向電界強度が記述され、カソード側のスペーサ3表面上のy方向電界強度が下記一般式(12)で記述される。
Figure 0005137305
従って、スペーサ3の高さ方向の電位分布は、抵抗変化率ΔR/Rを用いて下記一般式(13)で記述される。
Figure 0005137305
〈ステップ5,6〉
スペーサ近傍の電位変形ΔV2とスペーサ近傍の電子ビーム到達位置の変位Δxについて、図4,図5を用いて説明する。
図4(a)は、パネル表裏の温度差がなく、スペーサ3近傍空間の電位分布の変形がない場合の理想状態を示し、パネル表裏に温度差があり、スペーサ3によりスペーサ3近傍空間の電位分布が変形され、ビーム軌道が12から12’へ変化し、電子ビームの到達位置がΔxだけ変位した状態が図4(b)である。
ここで、計算のための条件は以下のとおりである。
アノード上における電子ビーム到達位置の変位量:Δx[m]
アノード・カソード間電圧:Va[V]
スペーサ高さ:h[m]
スペーサ表面上の電位分布の影響範囲として:0<x<x0[m]
電子質量:m[kg]
ここで、スペーサ3によるスペーサ3近傍空間の電位変形度合いを、スペーサの高さhを前記スペーサの電界影響範囲距離x0により規格化した無次元量パラメータをγとして、以下に示す。
スペーサ電場影響係数:γ
h=γx0
上記条件のもと、図5の座標モデルにおいて、周辺部の電位の境界条件は以下のように表される。
Figure 0005137305
前記境界条件内の電界は線形に補間してその電界分布内の電子軌道を求める。スペーサ3近傍の電子放出素子からの電子ビームの軌道は、電子の位置[x,y]、時刻t、電子質量mを用いた以下の運動方程式に従うから、
Figure 0005137305
その代数的解は、
Figure 0005137305
と求められる。次いで、スペーサ電場影響係数γ=h/x0を用いて変形され、以下の一般式(14)が得られる。
Figure 0005137305
さらに、抵抗変化率ΔR/Rがあまり大きくない場合は、下記一般式(15)で表される。
Figure 0005137305
ここで、スペーサ電場影響係数γを、
Ψ2=γ/20 (16)
となる一般式(16)で表されるパラメータΨ2を用いると、下記一般式(17)で表される。
Δx=−Ψ2×(ΔR/R)×h (17)
ここで、Ψ2は無次元パラメータであり、スペーサ敏感度とする。
結局、抵抗変化率ΔR/Rがあるスペーサの近傍の電子ビームの到達位置の変位量Δxは、スペーサ敏感度Ψ2と抵抗変化率ΔR/Rに比例することがわかる。
さらに、上記一般式(8)、(10)、(17)を用いて、パネルの表裏温度差ΔT1があるときのスペーサ近傍の電子ビーム到達位置の変位量Δxは、下記一般式(18)で表される。
Figure 0005137305
上記一般式(18)は、距離単位で記述しているので、表示特性の評価上有利な、電子放出素子の素子ピッチで規格化すると、以下の一般式(19)で表される。
Figure 0005137305
尚、素子ピッチPy[m]は、FPとRPの法線方向に平行なスペーサ表面に垂直な方向の電子放出素子ピッチである。
以上説明したように、本発明者の鋭意なる検討の結果、パネル表裏間の温度差に起因するスペーサ近傍の電子ビーム到達位置変動Δxを抑制するためには、上記一般式(19)より、
Figure 0005137305
の値を抑制すればよい。
上記一般式(19)で記述されたスペーサ近傍の電子ビーム到達位置の変位挙動を抑制するための具体的な手法を挙げると、
(a)h/Py値を小さくする。
(b)eEa/kT2値を小さくする。
(c)1/kT2値を小さくする。
(d)Ψ0値を小さくする。具体的には0.5以下とする。(第2発明)
(e)Ψ2値を小さくする。具体的には0.25以下とする。
(f)Ψ0×Ψ2値を小さくする。具体的には0.05以下とする。(第1発明)
また、上記(a)〜(e)は組み合わせることによりさらなる効果が得られる。
以下に、各手法について詳細に説明する。
(a)h/Py値を小さくする。
ディスプレイの画素ピッチPy[m]が与えられた場合、スペーサの高さを抑制することになる。Pyはディスプレイのサイズと解像度(画素数)が規定されると一義的に決定され、通常0.3×10-3〜0.6×10-3m程度である。この条件のもと、一般的に選択されるhの下限は輝度特性と耐圧特性と真空特性により決定され、0.5×10-3〜2×10-3m程度のスペーサ高さが選択される。よって、h/Pyとしては、2〜5程度の値が利用されるが、h/Py値は2.5以下であることが望ましい。
(b)eEa値を小さくする。
即ち、スペーサの電位規定要素の抵抗値の逆数が示す活性化エネルギーEa[eV]を小さくする。材料選択上、金属材料、バンドギャップが小さい材料、即ち室温時の体積抵抗が低い材料が、Ea値も低い値を示す傾向がある。室温時の体積抵抗は、室温時の上記電位規定要素のシート抵抗Rsと厚みtを用いて、Rs×tと記述されるが、いずれも以下のような下限の制約範囲内で選択することになる。
シート抵抗Rsの下限は、主にスペーサの消費電力により規定される。消費電力上のシート抵抗の下限は、通常、10kVのアノード電圧(Va)に対して1×1010Ω/□程度である。
電位規定要素の厚みtの下限は、スペーサが単一基体である場合には、強度上の下限が規定され、50μm程度が下限である。一方、スペーサが絶縁性基体表面により低抵抗の高抵抗膜を被覆してなり、該高抵抗膜が電位規定要素である場合、高抵抗膜の膜厚は電子侵入長や抵抗値の均一化の観点から下限が規定され、好ましくは100nm程度である。上記事情を鑑みると、消費電力、発熱等を満足するために、同一のスペーサのシート抵抗条件下においては、スペーサの基体自体に導電性を付与して電位規定要素とするよりも、絶縁性基体表面に電位規定要素としての高抵抗膜を形成した構成の方が、より体積抵抗を低く設定することが可能となり、低バンドギャップの材料を選択することが可能となる。即ち、電位規定要素の活性化エネルギーを小さくすることができるため、好適である。より好適な範囲としては、抵抗値の活性化エネルギーは0.35eV以下が望ましく、さらには、0.25eV以下である。
(c)1/kT2値を小さくする。
即ち、スペーサの動作温度を高くする。スペーサ自体のシート抵抗値を下げてジュール熱効果を増大させ、且つ、FP,RPとの伝熱を制限することが考えられる。具体的な手法は、後述のΨ0の抑制と同様である。
(d)Ψ0値を小さくする。
Ψ0は好ましくは0.5以下である。スペーサ熱抵抗分割率Ψ0の制御手段について、図6〜図8を用いて説明する。図中の21,22はそれぞれFP1,RP2とスペーサ3との当接部である。前記Ψ0の値が0.5より大きい場合、スペーサ部材の温度差がパネルの温度差と近い状態となり、ビーム位置の制御が不安定になるばかりではなく、スペーサ自体の局所的な動作温度も変動を受けやすくなり、その他の特性として、帯電抑制上の緩和時定数の増大、消費電力の増大などの影響を受けやすくなる。
スペーサ部の熱抵抗モデルを図6に示す。図6(b−1)はモデル構成、(b−2)は熱抵抗を、(a),(c)はそれぞれ、外部熱源支配時及び内部熱源支配時の温度勾配プロファイルを示す。
ここで、スペーサの高さ方向の温度差を発生させる要因となる熱発生源を考慮すると、スペーサ3と当接部21,22に関する熱抵抗が支配的となることがわかる。熱発生源は、パネル外部要因、パネル内部要因の両方があるが、多くの場合は両方が足されている。パネル外部の熱発生源は、パネルと筐体との間のドライバ回路や、筐体外からの輻射熱、対流熱、伝導熱等であり、パネル内部の熱発生源は、スペーサ部のジュール熱、蛍光体の無効消費電力分、カソードのジュール熱等である。これらの熱源のうち、外部要因に関しては、ファンやヒートシンク等の導入により、気密容器と筐体の熱均一化設計が可能である。最終的に熱発生源として支配的となるのは、パネル内部の熱発生源であることがわかった。特に、蛍光体の無効電力分と、カソードの無効電力分の発熱が支配的であることがわかった。これらはFP及びRPの真空側の面にその熱発生箇所を有することから、スペーサ部分の温度差を考慮する上では、FP,RP自体の熱抵抗は考慮する必要が少ないことになる。従って、Ψ0を制御する上で必要な熱抵抗発生要素は、カソードとアノード間の要素である。
ここで、カソード・アノード間に、アメリカ特許第5614781号明細書や同第5742117号明細書等に開示されているような、電気的コンタクトを目的として金属部材を当接部21,22に配置したり、当接部21,22の接触面積を十分確保してスペーサ3を配置したりした場合の熱抵抗モデルと電気抵抗モデルを図7に示す。
図7において、(a)は温度勾配プロファイル、(c)は電位勾配プロファイルであり、(b−1)はモデル構成、(b−2)は当接部21,22の熱抵抗が実質的に0の時の熱抵抗を、(b−3)は当接部21,22の電気抵抗が実質的に0の時の電気抵抗を示す。
図7に示すように、当接部21,22の熱抵抗及び電気抵抗がいずれも実質的に0である場合、アノード・カソード間の熱抵抗はスペーサ部が支配的となり、Ψ0は実質的に1である。また、下記一般式(4)で示されるスペーサの電気抵抗分割率Eも実質的に1であり、スペーサ部の電位分布が発生しやすい構成となっている。
E=Resp/(Recfp+Resp+Recrp) (4)
Recfp:スペーサとFP間(当接部21)の電気抵抗[Ω]
Resp:スペーサの電気抵抗[Ω]
Recrp:スペーサとRP間(当接部22)の電気抵抗[Ω]
一方で、当接部21,22が熱抵抗を有し、且つ、電気抵抗が実質的に0である場合の熱抵抗モデルと電気抵抗モデルを図8に示す。
図8において、(a)は温度勾配プロファイル、(c)は電位勾配プロファイルであり、(b−1)はモデル構成、(b−2)は熱抵抗を、(b−3)は電気抵抗を示す。
図8のような構成を用いることで、Ψ0を制御しつつ、当接部21,22の電位規定を両立させることが可能となる。具体的には、熱抵抗を発生させるが、電気抵抗は実質的に無視できる程度に小さい当接部21,22を設ければよい。即ち、前記した一般式(4)で示されるスペーサ電気抵抗分割率Eと一般式(2)で示されるスペーサ熱抵抗分割率Ψ0とが0<Ψ0<E<1の関係を満たせばよく、当該関係を満たした画像形成装置が本発明の第3の発明である。
上記したような、電気抵抗が小さく熱抵抗の大きな当接部21,22を有する画像形成装置を構成する場合、当接部21,22を介在させることが好ましく、その場合、ペルチェ素子等に利用される熱電変換材料が好ましく用いられる。該熱電変換材料は、電気抵抗が小さく、熱抵抗が大きいことが必要となる材料であるため、当接部材として最適である。
また本発明において、当接部21,22の熱抵抗増大の実施手段としては、当接部21,22の面積を抑制することが好ましい。従って、当接部21,22としてFP1,RP2とスペーサ3との間に当接部材を介在させ、さらに、該当接部材の断面積を抑制することが好適である。具体的には、上記当接部材及びスペーサ3のそれぞれの、FP,RPに平行な方向の断面積をScr、Sspとした時、当接率(Scr/Ssp)が0.05以下であることが好ましい。
当接部21,22に当接部材を介在させる場合、該当接部材が形成する電位が、スペーサ部材近傍空間の所望の電位分布に(通常はスペーサの高さ方向に対して線形増大が望ましい電位分布に)影響を与えないようにするためには、スペーサ3の高さ方向の線形な電位勾配分布を妨げない程度の高さである必要があり、これが当接部材の高さの上限を規定する。また、当接部材に十分な熱抵抗を持たせるために、熱伝導パスの長さが必要であり、これにより当接部材の高さ(厚み)の下限が決まる。具体的には、スペーサ3の高さhの1%以下の高さとすることが好ましく、1〜20μm程度で介在させることが好ましい。
上記のような条件下で用いられる具体的な当接部材のサイズ及び材料定数について、図9に示すモデルで説明する。図9において、(a)は当該モデルの断面図(スペーサ3の厚み方向;図14のY方向)、(b)は側面図(図14のX方向)、(c)は熱抵抗、(d)は温度プロファイルを示す。
スペーサ熱抵抗分割率Ψ0は、FP側、RP側それぞれに介在する当接部材の熱伝導率をλc[W/mK]、スペーサ3の熱伝導率をλ[W/mK]、当接部材の高さをh1,h2[m]、スペーサ3の高をh[m]とすると、必要な関係式は以下の一般式(20)で示される。
Figure 0005137305
さらに、当接部21,22が、スペーサ3の側面の線形な電位勾配を乱さない程度に電位降下を有しない条件として、スペーサ3の電気抵抗分割率Eを用いて、
Figure 0005137305
と記述することができる。ここで、tはスペーサの厚み[m]に一致し、σcは当接部材の電気伝導率[S/m]、Rspはスペーサのシート抵抗[Ω/□]である。
好ましい物理設計モデル例としては、例えば、熱伝導率λ=0.9[W/mK]の絶縁性のガラス材料(例えば旭硝子社製「PD200」)をスペーサとして用い、当接率(Scr/Ssp)=0.01、当接部材の高さh1+h2=20×10-6[m]、スペーサの高さh=1.6×10-3[m]とした時の仮想設計値は、スペーサ熱抵抗分割率Ψ0を0.5とする時の当接部材の熱伝導率上限は1.4[W/mK]であり、同様に、Ψ0を0.1とする時の当接部材の熱伝導率上限は0.15[W/mK]である。また、当接部の電気的導通を両立するための当接部材の導電率σcの下限は6×10-5[S/m]である。これを実現する材料物性範囲を示すσ−λマップを図10に示す。
さらに別の好ましい物理設計モデル例としては、当接率(Scr/Ssp)=0.001とした以外、上記モデル例と同じ構成での仮想設計値は、スペーサ熱抵抗分割率Ψ0を0.5とする時の当接部材の熱伝導率上限は14[W/mK]であり、同様に、Ψ0を0.1とする時の当接部材の熱伝導率上限は1.5[W/mK]である。また、当接部の電気的導通を両立するための当接部材の導電率σcの下限は6×10-4[S/m]である。これを実現する材料物性範囲を示すσ−λマップを図11に示す。
図10,図11において、右下の領域に入る材料が、本発明において当接部材として有効な材料群である。また、図中の実線の直線とΨ0=0.5の破線との交点から右上の該直線上に金属群が集中的に位置するが、これらの金属群のうち、Mn、ステンレス鋼(SUS330)等は比較的熱伝導率が低く、電気伝導率σも低く、スペーサの電位規定上の導電率としては十分であり、上記σ−λマップの右下の好適な領域に属する材料と同等に本発明に十分用いることができる。
本発明においては、前記したように、当接部材として、ペルチェ素子、発電装置において用いられる熱電変換材料が好ましく用いられる。具体的には、Na1.2Co2-xCux4,NaCl24,Ca1.95La0.05Co2-xAlx5といった層状コバルト酸化物が挙げられ、該層状コバルト酸化物はその特異な電気的、熱的特性の要因から「強相関電子系酸化物」と呼ばれている。また、AgPbBiTe3,Bi2Te3,PbTe,Sb2Te3といったTe含有合金も好ましく用いられる。これら熱電変換材料は、前記した熱電変換効率上の必要な物性を考慮して選択すればよいが、プロセス上、耐熱性やパターニングの容易性を考慮すればよい。また、上記当接部の熱抵抗を確保する方法は、前述の(c)のスペーサの動作温度を確保するための実現手段としても機能する。
(e)スペーサ敏感度Ψ2値を小さくする。
本発明において、スペーサ敏感度Ψ2としては0.25以下の正の数であることが好ましく、より好ましくは0.15以下である。スペーサ敏感度Ψ2が、0.25より大きい場合は、スペーサ近傍空間の電位変化を大きくし、ビーム位置制御性が悪くなる。さらには、カソード側におけるスペーサの電位規定部のカソード面との高さの違いによって生じる電位面の歪に起因して、ビーム位置変動が大きくなる等の問題が発生する。スペーサ敏感度Ψ2を抑制するには、スペーサの誘電率εsp[F/m]とスペーサ近傍の空間、即ち真空の誘電率εspace[F/m]との誘電比率(比誘電率)を小さくすることにより達成される。好ましくは該比誘電率を40以下とする。
ここで、スペーサの高さ方向の電位規定を電流場により規定する場合、誘電体である基体に導電性を付与するバルク電位規定タイプと、絶縁性基体に高抵抗膜を付与するスキン電位規定タイプに分けることができる。スペーサは完全な絶縁体でも、完全な金属導電性を有するものでもないため、誘電性と導電性の両方を兼ね備えるが、この時、スキン電位規定タイプは、沿面の電位の過渡応答を決定する時定数において、時定数を規定する要素が機能分離している点で有利である。即ち、時定数を規定する抵抗要素は高抵抗膜が機能し、時定数を規定する静電容量要素は、電束の広がる範囲で規定される絶縁性基体及び周囲の空間の誘電率が機能する。この点で、高抵抗膜に導電性を付与しても、スペーサ部材としてのトータルの誘電率を低く設定することが可能である。
具体的には、絶縁性基体としての高歪点ガラスである旭硝子社製の「PD200」の比誘電率が7.9、コーニング社製のホウケイ酸ガラス「7059」の比誘電率が5.8(共に室温付近)程度となり、絶縁性基体上の高抵抗膜の膜厚を該高抵抗膜の電束の基体方向への浸みだし深さを考慮して数μm程度以下に設定すれば、上記絶縁性基体の比誘電率が実質的にスペーサの比誘電率となる。
一方、バルク規定タイプのスペーサでは、アメリカ特許第6002198号明細書に開示されているように、スペーサの等価的な比誘電率が100以上になってしまう場合があり、スペーサ敏感度Ψ2を抑制する点で不利である。本発明においては、バルク規定タイプのスペーサの等価的な比誘電率が40以下、より好ましくは10以下である。
また、スキン電位規定タイプのスペーサにおいては、絶縁性基体の比誘電率は40以下が好ましく、より好ましくは10以下、さらに好ましくは6以下である。一方、高抵抗膜の比誘電率は60以下が好ましく、より好ましくは30以下である。また、各部材の比誘電率の下限は1である。
(f)Ψ0×Ψ2値を小さくする。
具体的には、Ψ0×Ψ2は0.05以下が好ましい。前記、Ψ0×Ψ2値を0.05以下にすることにより、熱抵抗設計上および、スペーサの誘電率設計上の敏感度の抑制を両立することが可能となる。この結果、パネル表裏に温度差が発生しても、ビーム位置変化を抑制することが可能となり、高品位の電界加速型ディスプレイを提供することが可能となる。
以下に、本発明にかかるパラメータの求め方を記載する。
〔Ψ0×Ψ2
パネル表裏の温度差ΔT1と、該ΔT1に起因するスペーサ近傍での電子ビーム到達位置の変位量Δxを測定し、スペーサの電位規定要素の抵抗値の逆数が示す活性化エネルギーEa、動作温度を決定し、スペーサの高さを測定する。得られた値を一般式(1)に代入し、Ψ0×Ψ2を求める。尚、活性化エネルギーEaは、電流値/電圧値の温度依存性をアレニウスプロットし、その傾きにより求める。この際、縦軸が、対数軸の電流値/電圧値であり、横軸が、絶対温度の逆数値をリニアな軸でとる。
〔スペーサ熱抵抗分割率Ψ0
方法1:
アノード・カソード間の温度差ΔT1をパネルの両外表面からヒーター、ペルチェ素子等で規定して、スペーサの高さ方向の熱分布を側面から赤外放射線温度計で測定し、当接部におけるスペーサ側の温度を確定し、ΔT2を得る。得られたΔT2/ΔT1からΨ0を決定する。
方法2:
スペーサの高さ方向の温度差ΔT2は、高さ方向に並んだ任意の2点の外挿により当接部の不連続温度差の合計値を決定する、温度二点測定により外挿し決定しても良い。具体的な測定方法を図12に示す。図中、31,32,38は基板、33は面状ヒーター、34、35は水冷ヒートシンク、36a,36b,37a,37b,39a,39bは熱電対である。
図12(a)では、スペーサの熱抵抗Rhsp[m2K/W]を決定するためのスペーサの熱伝導率λの決定方法について説明する。同様の方法でスペーサとRP間の熱抵抗Rhcrp[m2K/W]、スペーサとFP間の熱抵抗Rhcfp[m2K/W]も決定することができる。
バルクの熱伝導率を決定する場合は、対象物の形状、大きさ等は測定しやすい形状に置換できる。例えば、熱電対、ヒーター等の設置が行いやすい形状を選択すればよい。図12(a)では、対象物である基板31,32の伝熱経路の中央付近で伝熱経路長を2箇所測定できるように熱電対36aと36b、37aと37bを組み込み、基板31と基板32とで消費熱量が既知の面状ヒーター33を挟持する。基板31と32とで厚みが異なっていても良い。基板対31,32の上下面を、水冷ヒートシンク34,35で挟む(ペルチェ素子等を用いても良い)。さらに、伝熱経路以外の熱収支が0となるように、保温材で周囲を囲む。
熱伝導率λの決定においては、一定の発熱量Q(=VI)[W]となるように中央の面状ヒーター33に通電し、さらに、外側の上下面がそれぞれ時間に対して一定の温度になるようにヒートシンク34,35への供給水量、供給水温度を制御する。この時の、4組の熱電対の温度を測定し、隣接熱電対の距離L2,L3[m]を用いて、下記一般式(22)により決定する。Sは基板31,32の熱伝導経路に直交する方向の断面積[m2]であり、前記図の中においては、紙面に垂直且つ、紙面に水平な方向である。
Figure 0005137305
こうして決定されたλと実際の構成の伝熱経路長(例えばスペーサ高さh)をλで規格化することにより、部材の熱抵抗Rh[m2K/W]が決定する。もしくは、得られたRhの逆数1/Rhが、部材の熱伝達率t[W/m2K]である。
次に、図12(b)を用いて、当接面の規定方法を説明する。図中、38は部材、39a,39は熱電対である。
図12(a)と同様であるが、仮想の部材を当該当接部に相当するRP(もしくはFP)とスペーサに相当する構成で接触させる。相当する当接部材としては、スペーサとの被当接部に存在する予定のFP上のメタルバックやブラックマトリクス、RP上の配線等を形成した基板38を準備し、さらに、スペーサが気密容器内で設置されるときと同様な面圧で当接されるように加圧する。
それぞれの基板31,32,38に対して2箇所に熱電対36aと36b、37aと37b、39aと39bを設けて測定する方法は、図12(a)と同様である。予め基板31と32の熱伝導率λが判明しているので、ヒーター33の片側の供給熱量Q2[W/m2]は決定可能である。さらに、熱電対37aと37b、39aと39bとの距離L3,L4と温度差T3−T4、T5−T6により着目する部材32,38の接触面の温度TS1,TS2[K]を外挿により決定可能である。こうして得られたQ2[W/m2]とTS1,TS2[K]より、下記一般式(23)により当接面の熱抵抗Rh[m2K/W]を決定する。このRhの逆数が熱伝達率t[W/m2K]である。
Rh=1/t=(TS1−TS2)/Q2 (23)
方法3:
大気圧支持相当の当接状態を再現することや、その他の制限によりΨ0の実測が困難な場合等は、Ψ2,Ψ0×Ψ2の決定により、Ψ0を決定しても良い。
〔スペーサ敏感度Ψ2
スペーサ近傍の電子放出素子のΨ0×Ψ2の値に関係した、温度敏感度の距離依存性をとり、その影響度の減衰距離xを決定し、スペーサの、スペーサ近傍空間への電界影響範囲距離x0[m]を決定し、各素子毎のγ値を確定し、Ψ2を決定する。この方法に従った決定例を図13に示す。
図13において、縦軸がΨ0×Ψ2に関係した敏感度[ライン/K]であり、横軸が任意の素子とスペーサ表面との距離であり、一般にexponentialな距離依存性を有しているため、上記距離依存性に対してf(x)=a×exp(−x/xr)となる(a、xrは定数)モデル関数で最小二乗法を起用して、a、xrを決定する。ここで、決定されたxrが上記減衰距離xである。着目している素子(通常は、より敏感度の高い最近接素子)とスペーサとの距離x1における、上記決定したf(x)の一階微分式
f’(x1)=0条件を得るxが、スペーサの電界影響範囲距離x0である。最終的にΨ2は、一般式(3)に従い、スペーサ高さhを用いて下記一般式にて決定される。
尚、前記の敏感度の決定は以下の方法に従って行うことができる。
スペーサのビーム位置Δxを、当該ディスプレイの画素ピッチで規格化した値に、一般式(1)のΨ0×Ψ2以外の既知の項から得られた数値(eEah/kT2Py)/ΔTで規格化することにより求める。
Ψ2=γ/20 (3)
=h/20x0
〔スペーサ電気抵抗分割率E〕
部材及び部材間の接触電気抵抗を、一般的なIV測定により行い、得る。
(実施例1)
基本的なスペーサの気密容器内の設置方法は、特開2002−157959号公報に開示された実施例1の方法に従った。但し、スペーサの絶縁性基体としては旭硝子社製「PD200」を用い、厚みt=200μm、高さh=1600μm、有効長=900mmとした。また、該基体は予め加熱延伸装置により、母材の凹凸加工品を加熱延伸したものであり、凹凸表面を有している。この絶縁性基体に、電位規定用の高抵抗膜として金属WとGeの焼結体とスパッタの原料ソースとして不活性ガスArとN2とを導入し、高周波スパッタ成膜を行った。室温における側面、アノード・カソードとの当接面のシート抵抗は、それぞれ2.5×1012Ω/□、2×1012Ω/□であった。さらに、スペーサの側面の抵抗値の逆数が示す活性化エネルギーEaを測定したところ、0.35eVであった。
上記スペーサを側面同士で重ねたものを用意し、FP側の当接比が0.01となる領域に高さ11μmとなるようにNaCo24を晶材とする酸化物ペーストを焼成し、セラミックからなるFP側当接部材を形成した。また、RPのAgからなる行方向配線(走査線)上にも同様に、スクリーン印刷にて同じ当接比、同じ高さで上記セラミックからなるカソード側当接部材を形成した。上記当接部材及びスペーサそれぞれのフェースプレート及びリアプレートに平行な方向の断面積ScrとSspとの当接率Scr/Sspが、FP側、RP側ともに0.01となっている。
FPの発光部材としては、一般にCRTに使用されているRGB各色のP22蛍光体を用いた。この蛍光体に厚さ100nmのAl膜のメタルバックを介して入射した10keV入射電子に対する実効的な発光効率は2%であることを確認した。
また、電子放出素子の放出効率は3%であることを確認した。電子放出素子の放出効率は、放出電流を該放出電流と素子の駆動電流との和で規格化したものである。この電子放出素子をアノード電圧10kVの印加条件下で自然動画を駆動した時のパネルの平均動作温度ΔTは50℃であった。この時の電子ビームの到達位置の変位量ΔxをCCDカメラ測定系にて測定し、パネル表裏の温度差ΔT1との関係から傾きを求めた。これを図15に示す。得られた特性の一次相関係数を最小二乗法から、7.9×10-4[1/℃]として求めた。さらに、スペーサ高さh、活性化エネルギーEa、スペーサの任意の位置の温度Tから、Ψ0×Ψ2を0.008として求めた。画面内にも温度分布に依存したビームズレは目視では確認できなかった。
ここで、部材の熱伝導測定により、カソード側の熱抵抗値Rhcrp、スペーサ部の熱抵抗値Rhsp、アノード側の熱抵抗値Rhcfpは、それぞれ、4.5×10-5[m2K/W]、6.9×10-5[m2K/W]、4.0×10-5[m2K/W]であり。Ψ0は、0.45であった。
尚、本実施例1において使用したディスプレイの電子放出素子間ピッチPy(スペーサのディスプレイ内で露出している部分のうち最大の面に垂直な方向の電子放出素子ピッチ)は、615μmであった。
さらに、上記スペーサ部材および、当接部材の動作温度付近50℃の一当説箇所あたりの電気抵抗を測定したところ、スペーサ部材は、1.1×1012[Ω]、FP側の当接部材の電気抵抗1.3×107[Ω]、RP側の当接部材の電気抵抗1.2×107[Ω]であって、電気抵抗分割率E=1(=0.99997)であることを確認した。
(実施例2)
当接部材をCa1.95La0.05Co2-xAlx5を晶材とする酸化物ペーストに変更した他は実施例1と同一の条件でスペーサを設置し、ビームズレを評価した。その結果、Ψ0×Ψ2は0.008以下であり、画面内にも温度分布に依存したビームズレは目視では確認できなかった。
(実施例3)
当接部材をFP側だけに配置し、RP側のスペーサとAg配線との当接率を0.8とした他は実施例2と同一の条件でスペーサを設置し、ビームズレを評価した。その結果、Ψ0×Ψ2は0.015以下であり、画面内にも温度分布に依存したビームズレは目視では確認できなかった。
(実施例4)
当接部材を金属Mnとし、光学的パターニングとリフトオフプロセスにより、当接率を0.001となるように配置した以外は実施例1と同一の条件でスペーサを設置し、ビームズレを評価した。その結果、Ψ0×Ψ2は0.020以下であり、画面内にも温度分布に依存したビームズレは目視では確認できなかった。
(実施例5)
スペーサの絶縁性基体をホウケイ酸ガラスであるコーニング社製「7059」に変更した以外は実施例1と同一の条件でスペーサを設置し、ビームズレを評価した。その結果、Ψ0×Ψ2は0.008以下であり、画面内にも温度分布に依存したビームズレは目視では確認できなかった。
(実施例6)
カソード配線及びメタルバック上にそれぞれ、当接率が0.001以下となるように、厚み13μmのAgホイルと厚み13μmのAlホイルを転写し、リフトオフによりパターニングした。さらに、スペーサの絶縁性基体をホウケイ酸ガラスであるコーニング社製「7059」に変更した。それ以外は実施例1と同様にスペーサを設置し、ビームズレを評価した。その結果、Ψ0×Ψ2は0.04以下であり、画面内にも温度分布に依存したビームズレは目視では確認できなかった。
(実施例7)
高抵抗膜をPtAlN膜に変更し、活性化エネルギーを0.20eV、側面の室温でのシート抵抗を2.6×1012Ω/□とした以外は実施例1と同一の条件でスペーサを設置し、ビームズレを評価した。その結果、Ψ0×Ψ2は0.007以下であり、画面内にも温度分布に依存したビームズレは目視では確認できなかった。
(実施例8)
絶縁性基体として青板ガラスを用い、高抵抗膜のWGeN膜を形成する下地層として10μmの厚みのSiO2の連続膜をスパッタ法にて成膜した以外は実施例1と同一の条件でスペーサを設置し、ビームズレを評価した。その結果、Ψ0×Ψ2は0.04であり、画面内にも温度分布に依存したビームズレは目視では確認できなかった。
本発明にかかる、スペーサの高さ方向における熱伝導総量のパネル表裏温度差ΔT1に対する依存性を評価するための評価モデルの模式図である。 図1の評価モデルにおける評価結果を示す図である。 本発明にかかる、スペーサ部の温度分布を定量するための熱伝導モデルである。 本発明にかかる、パネル内の電界計算イメージモデルである。 図4のモデルを単純化した座標モデルである。 本発明にかかる、スペーサ部の熱抵抗モデルである。 当接部の電気抵抗、熱抵抗が実質的に0の時の熱抵抗及び電気抵抗モデルである。 当接部が熱抵抗を有し、電気抵抗が実質的に0の時の熱抵抗及び電気抵抗モデルである。 本発明で用いられる具体的な当接部材の説明のための熱抵抗モデルである。 本発明で用いられる当接部材の材料物性範囲を示すσ−λマップである。 本発明で用いられる当接部材の材料物性範囲を示すσ−λマップである。 本発明にかかる、スペーサの熱伝導率と当接面の熱伝達率の求め方を示す模式図である。 本発明にかかる、スペーサ敏感度の求め方の一例を示す図である。 本発明の画像形成装置の表示パネルの一例を模式的に示す斜視図である。 本発明の実施例におけるビームずれの温度依存性を示すグラフである。
符号の説明
1 フェースプレート(FP)
2 リアプレート(RP)
3 スペーサ(SP)
4 枠材
6 上部材
7 下部材
8 中間部材
11 等電位面
12,12’ 電子ビームの軌道
21,22 当接部
31,32,38 基板
33 面状ヒーター
34,35 水冷ヒートシンク
36a,36b,37a,37b,39a,39b 熱電対
42 電子放出素子
43 行方向配線
44 列方向配線
45 リアプレート(電子源基板、カソード基板)
46 枠材
47 フェースプレート(アノード基板)
48 蛍光膜
49 メタルバック(アノード電極)
50 スペーサ
55 スペーサ固定部材

Claims (15)

  1. 複数の電子放出素子と該電子放出素子に電圧を印加する配線とを備えたリアプレートと、該リアプレートに対向配置され、該電子放出素子から放出された電子ビームの照射によって発光する発光部材とアノード電極とを備えたフェースプレートと、上記リアプレートとフェースプレートの周縁部に介在して上記リアプレートとフェースプレートと共に真空容器を形成する枠材と、上記リアプレートとフェースプレートとに接して配置され、電流場により静的に電位規定されて両プレート間距離を保持すると共に、前記真空容器内に露出したスペーサ表面が前記リアプレートとフェースプレートの法線方向に平行な薄板状をなすスペーサと、上記スペーサとフェースプレート及びリアプレートとの当接面の少なくとも一方に介在する、熱電変換材料からなる当接部材とを有する画像形成装置であって、
    下記一般式(1)におけるΨ0×Ψ2が0.05以下の正の値であることを特徴とする画像形成装置。
    Figure 0005137305
    Δx:スペーサに起因する真空容器内の電界分布の変形により生じる電子ビーム到達位置の変位量[m]
    Py:スペーサ表面に垂直な方向の電子放出素子ピッチ[m]
    e:単位電荷[c]
    Ea:スペーサの電位規定要素の抵抗値の逆数が示す活性化エネルギー[eV]
    h:スペーサの高さ[m]
    k:ボルツマン定数[J/K]
    T:スペーサの任意の位置の温度[K]
    Ψ0:下記一般式(2)で示されるスペーサ熱抵抗分割率
    Ψ0=Rhsp/(Rhcfp+Rhsp+Rhcrp) (2)
    Rhcfp:スペーサとフェースプレート間の熱抵抗[m2K/W]
    Rhsp:スペーサの熱抵抗[m2K/W]
    Rhcrp:スペーサとリアプレート間の熱抵抗[m2K/W]
    Ψ2:下記一般式(3)で示されるスペーサ敏感度
    Ψ2=γ/20 (3)
    γ:h/x0で示されるスペーサ電場影響係数
    0:スペーサの電界影響範囲距離[m]
    ΔT 1 :スペーサを挟んで対向するフェースプレート外面の温度とリアプレート外面の温度との温度差[K]
  2. 上記スペーサ熱抵抗分割率Ψ0が0.5以下の正の値である請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 上記スペーサ敏感度Ψ2が0.25以下の正の値である請求項1または2に記載の画像形成装置。
  4. 上記スペーサの誘電率εsp[F/m]と装置内の真空空間の誘電率εspace[F/m]との比εsp/εspaceが40以下である請求項3に記載の画像形成装置。
  5. 上記スペーサ熱抵抗分割率Ψ0と、下記一般式(4)で示されるスペーサ電気抵抗分割率Eとが、0<Ψ0<E<1の関係を満たす請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
    E=Resp/(Recfp+Resp+Recrp) (4)
    Recfp:スペーサとフェースプレート間の電気抵抗[Ω]
    Resp:スペーサの電気抵抗[Ω]
    Recrp:スペーサとリアプレート間の電気抵抗[Ω]
  6. 複数の電子放出素子と該電子放出素子に電圧を印加する配線とを備えたリアプレートと、該リアプレートに対向配置され、該電子放出素子から放出された電子ビームの照射によって発光する発光部材とアノード電極とを備えたフェースプレートと、上記リアプレートとフェースプレートの周縁部に介在して上記リアプレートとフェースプレートと共に真空容器を形成する枠材と、上記リアプレートとフェースプレートとに接して配置され、電流場により静的に電位規定されて両プレート間距離を保持すると共に、前記真空容器内に露出したスペーサ表面が前記リアプレートとフェースプレートの法線方向に平行な薄板状をなすスペーサと、上記スペーサとフェースプレート及びリアプレートとの当接面の少なくとも一方に介在する、熱電変換材料からなる当接部材とを有する画像形成装置であって、
    下記一般式(2)で示されるスペーサ熱抵抗分割率Ψ0が0.5以下の正の値であることを特徴とする画像形成装置。
    Ψ0=Rhsp/(Rhcfp+Rhsp+Rhcrp) (2)
    Rhcfp:スペーサとフェースプレート間の熱抵抗[m2K/W]
    Rhsp:スペーサの熱抵抗[m2K/W]
    Rhcrp:スペーサとリアプレート間の熱抵抗[m2K/W]
  7. 複数の電子放出素子と該電子放出素子に電圧を印加する配線とを備えたリアプレートと、該リアプレートに対向配置され、該電子放出素子から放出された電子ビームの照射によって発光する発光部材とアノード電極とを備えたフェースプレートと、上記リアプレートとフェースプレートの周縁部に介在して上記リアプレートとフェースプレートと共に真空容器を形成する枠材と、上記リアプレートとフェースプレートとに接して配置され、電流場により静的に電位規定されて両プレート間距離を保持すると共に、前記真空容器内に露出したスペーサ表面が前記リアプレートとフェースプレートの法線方向に平行な薄板状をなすスペーサと、上記スペーサとフェースプレート及びリアプレートとの当接面の少なくとも一方に介在する、熱電変換材料からなる当接部材とを有する画像形成装置であって、
    下記一般式(2)で示されるスペーサ熱抵抗分割率Ψ0と、下記一般式(4)で示されるスペーサ電気抵抗分割率Eとが、0<Ψ0<E<1の関係を満たすことを特徴とする画像形成装置。
    Ψ0=Rhsp/(Rhcfp+Rhsp+Rhcrp) (2)
    Rhcfp:スペーサとフェースプレート間の熱抵抗[m2K/W]
    Rhsp:スペーサの熱抵抗[m2K/W]
    Rhcrp:スペーサとリアプレート間の熱抵抗[m2K/W]
    E=Resp/(Recfp+Resp+Recrp) (4)
    Recfp:スペーサとフェースプレート間の電気抵抗[Ω]
    Resp:スペーサの電気抵抗[Ω]
    Recrp:スペーサとリアプレート間の電気抵抗[Ω]
  8. スペーサ熱抵抗分割率Ψ0が0.5以下の正の値である請求項7に記載の画像形成装置。
  9. 上記スペーサが比誘電率が40以下の基体からなる請求項1〜8のいずれかに記載の画像形成装置。
  10. 上記スペーサが絶縁性基体の表面に該基体よりも抵抗値の低い高抵抗膜を被覆しなり、絶縁性基体の比誘電率が40以下であり、高抵抗膜の比誘電率が60以下で且つ体積抵抗が1×107Ωcm以上である請求項1〜8のいずれかに記載の画像形成装置。
  11. 上記熱電変換材料が、Te含有合金または強相関電子系酸化物からなる請求項に記載の画像形成装置。
  12. 上記Te含有合金が、AgPbBiTe3,Bi2Te3,PbTe,Sb2Te3のいずれかである請求項11に記載の画像形成装置。
  13. 上記強相関電子系酸化物は、層状コバルト酸化物である請求項11に記載の画像形成装置。
  14. 上記強相関電子系酸化物が、Na1.2Co2-xCux4,NaCl24,Ca1.95La0.05Co2-xAlx5のいずれかである請求項11に記載の画像形成装置。
  15. 上記フェースプレート及びリアプレートと、上記スペーサとの間に、それぞれ当接部材が介在されており、上記当接部材及びスペーサのフェースプレート及びリアプレートに平行な方向の断面積をそれぞれcr 及びspしたとき、両者の比Scr/Sspが0.05以下である請求項1〜14のいずれか一項に記載の画像形成装置。
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