JP5135677B2 - リチウム二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウム二次電池に関し、特に水系ペーストを用いて作製された正極を備えるリチウム二次電池に関する
リチウム二次電池は、リチウムイオンを吸蔵・放出し得る材料(活物質)を有する正極を備え、該正極と負極の間の電解質(典型的には非水電解液)をリチウムイオンが行き来することにより充放電する二次電池である。
一般にリチウム二次電池に装備される正極は、導電性基体(以下「集電体」という。)と該集電体上に形成された活物質層とから構成されている。かかる活物質層は、多くの場合、LiNiO2、LiCoO2等の正極活物質と結着材(バインダ)と必要に応じて用いられる導電材とを含み、ペースト(又はスラリー)状に調製された活物質層形成用組成物(すなわち活物質層形成用ペースト)を集電体に塗布することによって形成されている。正極用の集電体としては、アルミニウムを主構成材料とするものが好適に用いられる。
活物質層形成用ペーストとして、従来、有機溶剤を溶媒とし且つポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の溶剤系結着材を含む溶剤系ペーストと、水を溶媒とし且つカルボキシメチルセルロース(CMC)等の水系結着材を含む水系ペーストとが利用されている。例えば特許文献1には、正極活物質と導電助剤とPVDF系バインダとを含む正極合剤層(すなわち、溶剤系ペーストを使用して成る正極合剤層)を有するリチウムイオン電池用正極が記載されている。
特開2003−249224号公報
一方、水系ペースト(すなわち水系結着材)の使用は、水系結着材が非水電解液に不溶であることから活物質の結着性能に優れ、電池の良好なサイクル特性(長寿命)を実現し得る。また、溶剤系ペーストに比べて水系ペーストは概して取り扱いが容易であり、製造設備の簡略化、作業環境の改善、材料費の節減等にも寄与し得る。その反面、正極活物質の内容(例えば、次式:LiNixCo1-x2(0≦x≦1);により表されるリチウム遷移金属複合酸化物等)によっては、該活物質から溶出したリチウムイオンによって水系ペーストが強アルカリ性となる。かかる強アルカリ性の水系ペーストがアルミニウム製集電体に塗布されると、該集電体の表面が腐食されてガス(典型的には、主としてH2ガス)が発生する。かかるガス発生は、形成される正極活物質層の内部構造(特に、該活物質層に含まれる空隙(孔)の形状、容積割合、細孔径分布等)に重要な影響を及ぼし得る。このため、アルミニウム製の正極集電体に水系ペーストを付与して成る正極活物質層を有するリチウム二次電池では、電池性能の低下(例えば、内部抵抗の上昇)や該電池性能のばらつきの増大等の事象が生じがちである。
本発明の一つの目的は、アルミニウムを主構成材料とする正極集電体に水系ペーストを付与して製造された場合にも高性能の電池を構築し得る正極を備えたリチウム二次電池を提供することである
本発明によると、正極と負極とを備えるリチウム二次電池が提供される。当該電池の正極は、アルミニウムを主体とする正極集電体と、該集電体上に形成された正極活物質層とを有する。その正極活物質層は、水系溶媒に溶解または分散可能な有機溶剤に対して実質的に不溶性である少なくとも一種のバインダと、リチウム遷移金属複合酸化物を主成分とする正極活物質とを含む。
ここに開示される一つのリチウム二次電池は、上記構成を有する電池であって、前記正極活物質層における直径2μm以下の細孔の合計容積が全細孔容積に占める割合が概ね45vol%以上である。
かかる構成の正極活物質層を備える電池は、該活物質層の内部構造(より具体的には、所定以下の直径を有する細孔の割合)が適正化されていることにより、該活物質層が前記正極集電体に水系ペーストを付与して形成された場合であっても、内部抵抗および/または該内部抵抗のばらつきが低減されたものであり得る。
ここに開示される他の一つのリチウム二次電池は、上記構成を有する電池であって、前記正極活物質層における水銀ポロシメータにより測定される細孔屈曲度の値が概ね2.216以下である。
かかる構成の正極活物質層を備える電池は、該活物質層の内部構造(より具体的には、上記屈曲率を指標として把握される細孔形状)が適正化されていることにより、前記正極集電体に水系ペーストを付与して形成された場合であっても、内部抵抗および/または該内部抵抗のばらつきが低減されたものであり得る。
また、本明細書は、リチウム二次電池の製造方法も提供する。その方法は、正極を用意することと、負極を用意することと、それら正極および負極を用いてリチウム二次電池を構築することとを含む。ここで、前記正極を用意することは、アルミニウムを主体とする正極集電体を用意することを含み得る。また、リチウム遷移金属複合酸化物を主成分とする正極活物質と水系溶媒と該水系溶媒に溶解または分散しているバインダとを含む活物質層形成用組成物を用意することを含み得る。また、該組成物を前記活物質層形成用表面に付与することを含み得る。
ここに開示される一つのリチウム二次電池製造方法では、上記製造方法のうち前記活物質層形成用組成物を構成する水系溶媒が、水と、水と均一に混合し得る極性溶媒とを含み得る。また、前記活物質層形成用組成物を用意することが、前記形成される正極活物質層において直径2μm以下の細孔の合計容積が全細孔容積に占める割合が凡そ45vol%以上となるように、前記活物質層形成用組成物を構成する水系溶媒全体に占める前記極性溶媒の質量割合を2〜20wt%とすることを含み得る。また、その決定された組成を有する前記活物質層形成用組成物を用意することを含み得る。
かかる製造方法によると、前記正極集電体に前記組成物(水系ペースト)を付与することにより、直径2μm以下の細孔の合計容積が全細孔容積に占める割合が凡そ45vol%以上である正極活物質層が形成され得る。したがって、この製造方法は、かかる正極活物質層を備える上記電池を製造する方法として好適に採用され得る。このような正極活物質層を備えるリチウム二次電池は、上述のように、内部抵抗および/または該内部抵抗のばらつきが低減されたものであり得る。したがって、上記方法によると、アルミニウムを主体とする正極集電体に水系ペーストを付与して、内部抵抗および/または該内部抵抗のばらつきが低減されたリチウム二次電池を製造することができる。
ここに開示される他の一つのリチウム二次電池製造方法では、上記製造方法のうち前記活物質層形成用組成物を用意することが、前記形成される正極活物質層において水銀ポロシメータにより測定される細孔屈曲度τの値が概ね2.216以下となるように、前記活物質層形成用組成物を構成する水系溶媒の組成および該水系溶媒が前記活物質層形成用組成物全体に占める質量割合を決定することを含み得る。また、その決定された組成を有する前記活物質層形成用組成物を用意することを含み得る。
かかる製造方法によると、前記正極集電体に前記組成物(水系ペースト)を付与することにより、細孔屈曲度τの値が概ね2.216以下である正極活物質層が形成され得る。したがって、この製造方法は、かかる正極活物質層を備える上記電池を製造する方法として好適に採用され得る。このような正極活物質層を備えるリチウム二次電池は、上述のように、内部抵抗および/または該内部抵抗のばらつきが低減されたものであり得る。したがって、上記方法によると、アルミニウムを主体とする正極集電体に水系ペーストを付与して内部抵抗および/または該内部抵抗のばらつきが低減されたリチウム二次電池を製造することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書において特に言及している内容以外の技術的事項であって本発明の実施に必要な事項は、従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書によって開示されている技術内容と該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
ここに開示されるリチウム二次電池を構成する正極(または、ここに開示されるリチウム二次電池製造方法に使用される正極)は、アルミニウムを主体とする正極集電体(すなわち、該集電体の主構成元素がアルミニウムである正極集電体)と、該集電体上に形成された正極活物質層とを有する。上記集電体の形状は、正極および電池の形状に応じて異なり得るため特に制限はなく、棒状、板状、網状、シート状もしくは箔状等の種々の形態であり得る。例えば、ここに開示されるリチウム二次電池の好ましい一態様として、捲回型電極体を備える電池が挙げられる。この態様において、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる箔状の正極集電体(アルミニウム箔)が好ましく使用される。
このような正極集電体の少なくとも一方の表面に正極活物質層が形成されている。この正極活物質層は、リチウム遷移金属複合酸化物を主成分とする正極活物質(典型的には、該酸化物から実質的に構成される正極活物質)を含む。使用するリチウム遷移金属複合酸化物は、従来この種の二次電池で用いられている酸化物であればよく、特定のリチウム遷移金属複合酸化物に限定されない。例えば、リチウムニッケル系複合酸化物(該酸化物を構成する主たる遷移金属元素がニッケルであるリチウム遷移金属複合酸化物をいい、典型例としてLiNiO2が挙げられる。以下同様。)、リチウムコバルト系複合酸化物(典型例としてはLiCoO2)、リチウムマンガン系複合酸化物(典型例としてはLiMn24)等を正極活物質として好ましく用いることができる。二種以上の遷移金属元素を構成元素として含む複合酸化物(例えば一般式:LiNixCo1-x2で示される複合酸化物、ここでxは0<x<1を満足する正の実数)であってもよい。あるいは、Ni、Co以外の元素を構成要素とするものでもよい。例えば、一般式:Lix(Ni1-yCoy1-zz2;で示される複合酸化物であり得る。ここで、xは好ましくは0.9≦x≦1.1を満足する数であり、yは好ましくは0≦y≦1を満たす数であり、zは好ましくは0.01≦z≦0.2を満足する数である。Mは、アルミニウム(Al)、マンガン(Mn)、チタン(Ti)、マグネシウム(Mg)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、バナジウム(V)、亜鉛(Zn)およびホウ素(B)から成る群から選択される少なくとも一種の元素であることが好ましく、Alを含むものが特に好ましい。
上記正極活物質層は、また、有機溶剤(典型的には、リチウム二次電池等において非水電解液として用いられ得る有機溶剤)に対して実質的に不溶性である少なくとも一種のバインダを含む。水系溶媒(典型的には水)に対して可溶性であるか、少なくとも高度に分散可能な水系バインダの使用が好ましい。ここに開示される技術におけるバインダとしては、このような特性を示す種々のポリマーを使用し得る。従来からリチウム二次電池の正極活物質層を形成するのに水系結着材として(典型的には、水系ペーストの構成成分として)好適に用いられている種々のポリマーが好適である。例えば、親水性(水溶性)ポリマーであるカルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)等の、種々のセルロース誘導体が好適例として挙げられる。これらのうちCMCの使用が好ましい。また、水系溶媒(典型的には水)に対して高度に分散可能な(ディスパージョンを形成し得る)ポリマーとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重含体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等のフッ素系樹脂;酢酸ビニル共重合体;スチレンブタジエンブロック共重合体(SBR)、アクリル酸変性SBR樹脂(SBR系ラテックス)、アラビアゴム等のゴム類;等が挙げられる。これらのうちPTFE等のフッ素系樹脂の使用が好ましい。水系溶媒に分散可能なポリマーと水溶性ポリマーとを併用してもよい。少なくとも水溶性ポリマーを含む正極活物質層が好ましい。
上記正極活物質層は、該活物質層中の正極活物質と集電体との間に十分な導電経路(導電パス)を確保するため、必要に応じて種々の導電材をさらに含有することができる。使用する導電材は、従来この種の二次電池において利用されているものであればよく、特定の導電材に限定されない。例えば、カーボンブラック(アセチレンブラック等)のような炭素(カーボン)粉末、ニッケル粉末等の導電性金属粉末等を用いることができる。
ここに開示される一つの電池では、上記組成の正極活物質層における直径2μm以下の細孔(以下、「微細孔」ということもある。)の合計容積(Vs)が全細孔容積(Vt)に占める割合(Vs/Vt)が凡そ45vol%以上である。この割合Vs/Vtは、例えば、水銀ポロシメータを用いて正極活物質層の細孔径分布を測定することにより求めることができる。正極活物質層のVs/Vtが凡そ45vol%以上であることが好ましく、凡そ50vol%以上であることがより好ましい。Vs/Vtの上限は特に限定されず、例えば該割合が実質的に100vol%の(すなわち、直径2μmを超える細孔が実質的に存在しない)正極活物質層であってもよい。製造容易性の観点から、例えばVs/Vtを凡そ45〜90vol%(より好ましくは、凡そ50〜80vol%)の範囲とすることができる。
このように全細孔容積に占める微細孔の割合が多い(換言すれば、直径が2μmを超える細孔の割合が少ない)正極活物質層によると、該活物質層を備える正極を用いて構築されたリチウム電池において、より低い内部抵抗を実現することができる。また、かかるリチウム電池の製品間における内部抵抗のばらつきが低減され得る。したがって、高品質の(内部抵抗の低い)リチウム電池を安定的に提供することができる。
このような構造の正極活物質層とすることによって該正極活物質層を備えるリチウム二次電池の内部抵抗および/または内部抵抗のばらつきが低減される理由は、例えば以下のように考えられる。すなわち、全細孔容積に占める微細孔の割合が多い(換言すれば、2μmよりも大きな直径を有する細孔の割合が少ない)正極活物質層は、より微細孔の割合が少ない正極活物質層に比べて該活物質層の均質性が良好である。該正極活物質層を備える正極を用いて構築されたリチウム電池において、かかる良好な均質性が内部抵抗の低減に寄与しるものと推察される。また、正極活物質層の均質性が高いことにより、電池性能のばらつきが低減されるものと推察される。
好ましい一つの態様では、上記正極活物質層における直径10μm以上の細孔の合計容積(Vb)が全細孔容積Vtに占める割合(Vb/Vt)が凡そ40vol%以下である。この割合Vb/Vtは、上記Vs/Vtと同様に、例えば、水銀ポロシメータを用いて正極活物質層の細孔径分布を測定することにより求めることができる。正極活物質層のVb/Vtが凡そ35vol%以下であることがより好ましい。Vb/Vtの下限は特に限定されず、例えば該割合が実質的に0vol%の(すなわち、直径10μmを超える細孔が実質的に存在しない)正極活物質層であってもよい。製造容易性の観点から、例えばVb/Vtを凡そ10〜40vol%(より好ましくは、凡そ15〜35vol%)の範囲とすることができる。
特に限定するものではないが、上記正極活物質層の密度は概ね2mg/cm3以上(例えば、2〜3mg/cm3)であることが好ましい。正極活物質層の密度が低すぎると(あるいは、該正極活物質層全体の体積に占める全細孔容積(空隙率)が多すぎると)、内部抵抗が上昇しがちとなる。また、正極活物質層の体積当たりに含まれる正極活物質の量が少なくなるため電池の容量密度が低下傾向となる。正極活物質層の密度を上記範囲とする好ましい一つの方法として、正極活物質層形成用組成物を正極集電体に付与して乾燥させた後、必要に応じてプレス(圧縮)を行う方法を例示することができる。
ここに開示される他の一つの電池では、上記組成の正極活物質層において、水銀ポロシメータにより測定される細孔屈曲度(Tortuosity,τ)の値が概ね2.216以下である。このように屈曲度τが比較的小さい正極活物質層によると、該活物質層を備える正極を用いて構築されたリチウム電池において、より低い内部抵抗を実現することができる。
ここで細孔屈曲度τは、以下の式(1)によって有効拡散率Deffと関連付けられる特性値である。
eff=(Db・θ0)/τ ・・・(1)
式(1)中、Deffは有効拡散率、Dbは理論上の拡散率、θ0は細孔容積フラクション、τは細孔屈曲度(屈曲因子ともいう。)をそれぞれ表す。電池の通常の使用状態では正極活物質層の密度は実質的に変化しないことから、上記式中のθ0は不変とみなすことができる。そうすると、細孔屈曲度τは、拡散経路が真っ直ぐであることからのズレを示す値として把握することができる。すなわち、屈曲度τの値が小さいほど細孔の形状が真っ直ぐに近いといえる。この屈曲度τは通常1〜7の間の値をとり、交差しない円筒形細孔の場合の理論値はτ=2である。
また、τはFickの第一法則から誘導した式に補正項を加えて、以下の式(2):
τ=(2.33−1.13Vρ)(0.92y)1-E ・・・(2)
ただし、y=(4/S)Σ(ΔV/d);
により表される。ここで、Vは全細孔容積(水銀ポロシメータ測定における水銀の進入体積)、ρは固体密度、Eは細孔形状を表す指数(円筒形ではE=1)である。また、yは、全表面積Sと、細孔容積の変化量ΔVと平均直径dとの比の積分値により表される値である(S.C.Carniglia,J.Catal.,102,401(1986))。
上記式が組み込まれた水銀ポロシメータ(市販品として、例えば、ユアサイオニクス株式会社製品、製品名「PoreMaster」が挙げられる。)によれば、この細孔屈曲度τの値を測定時に(あるいは、得られた測定値から測定後に)求めることができる。
このような構造の正極活物質層とすることによって該正極活物質層を備えるリチウム二次電池の内部抵抗および/または内部抵抗のばらつきが低減される理由は、例えば以下のように考えられる。すなわち、細孔屈曲度τの値が概ね2.216以下である正極活物質層(典型的には、τが凡そ2〜2.216の範囲にある正極活物質層)は、より大きな該屈曲度を示す正極活物質層に比べ、細孔の形状が概してより真っ直ぐである。このような形状の細孔はリチウムイオンの拡散効率がよい。このことが内部抵抗の低減および/または該内部抵抗のばらつきに寄与するものと考えられる。
このような組成および構造(全細孔容積に占める微細孔の割合および/または細孔屈曲率τの値)の正極活物質層を形成する好適な一方法として、上記正極活物質と、適当な水系溶媒と、該水系溶媒に溶解または分散しているバインダとを含む活物質層形成用組成物を用意(典型的には調製)し、該組成物を上記正極集電体に付与する方法が挙げられる。ここで「水系溶媒」とは、水または水を主体とする混合溶媒を指す。該混合溶媒を構成する水以外の溶媒としては、水と均一に混合し得る有機溶媒の一種または二種以上を適宜選択することができる。
ここに開示される電池またはその製造方法の好ましい一つの態様では、上記活物質層形成用組成物を構成する水系溶媒が、水と、水と均一に混合し得る他の極性溶媒とを含む。該極性溶媒としては、例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等のラクタム類;メチルアルコール、エチルアルコール等の低級(例えば炭素数1〜3の)アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)等の低級(例えば炭素数3〜5の)ケトン類;等からなる群から選択される一種または二種以上を選択し得る。なかでも好ましい極性溶媒として、NMP、エチルアルコールおよびMEKが挙げられる。NMPおよび/またはエチルアルコールの使用が特に好ましい。かかる組成の水系溶媒(すなわち、水と上記極性溶媒との混合溶媒)を用いることにより、アルミニウムを主体とする正極集電体(例えばアルミニウム箔)に上記活物質層形成組成物を付与した際における該集電体の腐食が抑制され、ひいては該腐食によるガス発生が抑制され得る。このことによって、該組成物を用いて形成される正極活物質層における内部構造の乱れ(例えば、集電体に付与された組成物に上記発生ガスの気泡が取り込まれて正極活物質層内に比較的大きな空隙が生じること)が防止され得る。かかる作用によって、上述した好ましい微細孔割合および/または細孔屈曲率を有する正極活物質層が適切に形成され得る。
ここに開示される一つの製造方法では、上記全細孔容積に占める微細孔の割合および/または細孔屈曲率τの値を満たす正極活物質層を形成し得るように、活物質層形成用組成物を構成する水系溶媒の組成(使用する極性溶媒および該極性溶媒と水との混合割合)を決定する。かかる特性を満たす正極活物質層を形成するためには、例えば、上記水系溶媒全体に占める上記極性溶媒(二種以上の極性溶媒を含む場合にはそれらの合計)の質量割合を凡そ2〜20wt%(より好ましくは、凡そ3〜15wt%)とすることが好ましい。
特に限定するものではないが、正極集電体に付与される活物質形成用組成物における不揮発分(正極活物質層形成成分)の割合は、例えば凡そ40〜70wt%とすることができ、凡そ45〜60wt%とすることが好ましい。上記不揮発分の質量割合が少なすぎる(すなわち水系溶媒の含有割合が多すぎる)と、2μmよりも大きな細孔の容積割合が高くなりがちである。また、細孔屈曲率τの値が大きくなりがちである。その結果、上記特性値を満たす正極活物質層が得られにくくなる。一方、上記不揮発分の質量割合が多すぎると組成物の粘度が過剰に高くなり、該組成物を正極集電体に均一に付与し難くなることがある。その結果、正極活物質層の均一性が低下傾向となることがある。
なお、活物質形成用組成物全体に占める上記極性溶媒の含有割合は、例えば、凡そ1〜10wt%とすることができ、凡そ1.5〜7.5wt%とすることが好ましい。
このような活物質層形成用組成物は、リチウム二次電池用正極の製造に従来用いられてきた水系ペーストと同様に調製すればよく、特別な操作を必要としない。例えば、水系溶媒と、正極活物質(典型的には粉末状であり、例えば平均直径5〜25μm程度の粉末状正極活物質の使用が好ましい。)と上記バインダとを適当な質量割合で水系溶媒に添加して混合することによって、ペースト(又はスラリー)状の組成物を容易に調製することができる。例えば、活物質と水系バインダとの合計量を100質量%としたときの活物質の含有率が85〜99質量%、水系バインダの含有率が1〜15質量%となるようにこれらを配合して、適用な水系溶媒に添加することが好ましい。
また、形成される活物質層中の正極活物質と集電体との間に十分な導電経路(導電パス)を確保するため、上記活物質形成用組成物に導電材をさらに含有させることが好ましい。特に限定しないが、活物質と導電材と水系バインダとの合計量を100質量%としたときの活物質の含有率が80〜95質量%、導電材の含有率が2〜15質量%、水系バインダの含有率が1〜15質量%となるようにこれらを配合することが好ましい。
上述のようにして調製した活物質層形成用組成物(水系ペースト)を正極集電体に付与することによって、該集電体上に正極活物質層を形成する。典型的には、適当な塗布装置(コーター)を使用して、集電体表面に活物質層形成用ペーストを所定の厚みで層状に塗布することができる。該ペーストを塗布する厚みは特に限定されず、正極および電池の形状や用途に応じて適宜異なり得る。例えば、厚み10〜30μm程度の箔状集電体(例えばAl箔)の表面に、乾燥後の厚みが5〜100μm程度となるように塗布することができる。塗布後、適当な乾燥機を用いて塗布物を乾燥することによって、集電体表面に所定の厚みの活物質層を形成することができる。このようにして得られた正極を、所望によりプレスすることによって、目的とする厚みの正極シートを得ることができる。また、正極活物質層の目標密度および目標厚さから正極集電体に付与する活物質形成用ペーストの量(単位面積当たりの付与量)を決定してもよい。ここに開示される技術には、上述のような構成のリチウム二次電池用正極および該正極の製造方法が含まれる。
ここに開示されるリチウム二次電池製造方法は、このようにして用意された正極を用いてリチウム二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)を構築することを含む。該正極を用いて電池を構築する手段は、上述の正極を製造(又は用意)し且つその正極を用いること以外、従来のリチウム二次電池製造方法に準じればよく、特に説明を要する特別な処理を必要としない。例えば、上述した正極シートと、金属(例えば銅)またはカーボン等から成る負極用箔状集電体の表面に適当な負極活物質を付着させて得た負極シートと、多孔質ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)シート等のセパレータとを用い、従来公知の方法に基づいて、上述したような捲回型その他のシート構造電極を備えるリチウム二次電池を構築することができる。
具体的には、リチウムイオン(Li)を挿入及び脱離可能なグラファイト構造(層状構造)のカーボン材料(すなわち負極活物質)を有する負極シートおよび上述したセパレータを予め用意する。そして、正極シートと負極シートとをセパレータを介して重ね合わせる(積層する)。この積層物を適当な電池容器に収容する。好ましい態様では、該積層物を捲回して捲回型電極構造体を構成し、それを電池容器に収容する。或いは、複数枚の正極シート及び複数枚の負極シートをそれぞれセパレータを挟んで交互に積層した積層型電極構造体を構成し、それを電池容器に収容してもよい。
このような電極構造体を収容した電池容器に、予め用意しておいた電解液を供給(注入)することにより、正極、負極及びセパレータに電解液を含浸させる。これにより、所望するリチウムイオン二次電池を構築することができる。
典型的には、リチウムイオン二次電池用電解液は、非水系溶媒と該溶媒に添加され溶解しているリチウム塩(支持塩)とを含む非水電解液である。
非水系溶媒としては、カーボネート類、エステル類、エーテル類、ニトリル類、スルホン類、ラクトン類等の非プロトン性の溶媒を用いることができる。プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート(EMC)、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、アセトニトリル、プロピオニトリル、ニトロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン等の、一般に非水系電池(リチウムイオン二次電池等)の電解液等に使用し得るものとして知られている非水系溶媒から選択される一種又は二種以上を用いることができる。
電解液に含有させる支持塩としては、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiC49SO3、LiN(CF3SO22、LiC(CF3SO23、LiI等から選択される一種又は二種以上のリチウム化合物(リチウム塩)を用いることができる。
なお、電解液における支持塩の濃度は、従来のリチウムイオン二次電池で使用される電解液と同様でよく、特に制限はない。適当なリチウム化合物(支持塩)を0.1〜5mol/L程度の濃度で含有する電解液を使用することができる。
以下、本発明に関する実験例につき説明するが、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。
<実施例1>
以下の手順により18650型のリチウムイオン二次電池を製造した。
すなわち、イオン交換水とN−メチル−2−ピロリドンとを90:10の質量比で含む水系溶媒を用意した。正極活物質としてのLiNiO2粉末85質量部、導電材としてのカーボンブラック(CB)10質量部および水系バインダとしてのテトラフルオロエチレン(PTFE)5質量部を上記水系溶媒100質量部と混合して、不揮発分(正極活物質層形成成分)の含有割合が50wt%のペースト状組成物(正極活物質層形成用組成物)を調製した。ここで使用したLiNiO2粉末(二次粒子)の平均粒径は約10μmであり、粒径5μm〜25μmの二次粒子に富む正極活物質であった。
上記ペースト状組成物(水系ペースト)を、JIS規格1085材からなる厚み約15μmの長尺状アルミニウム箔の両面に、乾燥後の付着量が片面当たり約12mg/cm2となるように塗布した。これを真空乾燥させた後、全体の厚みが約70μmとなるようにプレスした。プレス後における正極活物質層の密度は約2.2g/cm3であった。このようにしてシート状の正極(正極シート)を作製した。
他方、負極活物質として天然黒鉛を使用し、バインダとしてCMC及びスチレンブタジエンブロック共重合体(SBR)を使用して負極活物質層形成用組成物を調製した。すなわち、前記負極活物質および結着材をイオン交換水と混合して負極活物質層形成用ペーストを調製した。このペーストに含まれる各材料(水以外)の凡その質量比は、カーボン材料:98質量%、CMC:1質量%、SBR:1質量%である。負極集電体としての厚み約15μmの長尺状銅箔の両面に上記ペーストを塗布(付着)して乾燥させ、該集電体の両面に厚み約64μmの負極活物質層を形成した。次いで全体の厚みが約74μmとなるようにプレスした。このようにして負極シートを作製した。
得られた正極シートおよび負極シートを二枚のセパレータ(ここでは多孔質ポリエチレンシートを用いた。)とともに積層し、この積層シートを捲回して捲回型電極構造体を作製した。この電極構造体を電解液とともに容器に収容して、直径18mm、高さ65mm(すなわち18650型)の円筒型リチウムイオン二次電池を作製した。電解液としては従来のリチウムイオン二次電池に用いられる電解液を特に制限なく用いることができるが、ここではエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)との3:7(体積比)混合溶媒に1mol/LのLiPF6を溶解させた組成の非水電解液を用いた。このようにして、実施例1に係るリチウムイオン二次電池を作製した。
<比較例1>
本比較例では、上記混合溶媒(H2O:NMPの質量比が90:10の混合溶媒)に代えて同量のイオン交換水を使用して、不揮発分の含有割合が50wt%の正極活物質形成用組成物を調製した。該組成物を用いて正極活物質層を形成した点以外は上記実施例1と同様にして、比較例1に係るリチウムイオン二次電池を作製した。
<比較例2>
本比較例では、正極活物質層形成用組成物に占める正極活物質層構成成分(不揮発分)の割合が45wt%となるように該活物質層構成成分とイオン交換水との混合割合を変更した。かかる組成物を用いて正極活物質層を形成した点以外は上記比較例1と同様にして、比較例2に係るリチウムイオン二次電池を作製した。
上記各実施例および比較例にかかる正極活物質層形成用組成物(水系ペースト)の概略組成を表1にまとめて示す。これらの組成物のいずれにおいても、該組成物に含まれる正極活物質層形成成分の組成比は、LiNiO2:CB:PTFE=85:10:5(質量比)である。
Figure 0005135677
なお、電池の製造ばらつきを評価するため、実施例1については上記手順により三個の電池を別々に作製した。以下、それらの電池をそれぞれサンプルA1−1,サンプルA1−2およびサンプルA1−3といい、これら各電池の備える正極活物質層を該電池と同じサンプル名により表すことがある。同様に、比較例1にかかる電池については上記手順により二個の電池を別々に作製した。それらの電池および該電池の備える正極活物質層を、それぞれサンプルB1−1およびサンプルB1−2ということがある。また、比較例2にかかる電池および該電池の備える正極活物質層をサンプルB2ということがある。
<細孔径分布の測定>
水銀ポロシメータ(ユアサイオニクス株式会社製品、製品名「PoreMaster」)を用いて、上記各実施例および比較例により作製された正極活物質層の細孔径分布を測定した。実施例1により得られたサンプルA1−1の正極活物質層、および、比較例1により得られたサンプルB1−1の正極活物質層の測定により得られた細孔径分布チャートを図1に示す。サンプルA1−1の活物質層(図1中の実線)では、サンプルB1−1の活物質層(図1中の点線)に比べて直径10μm以上の細孔の容積が顕著に低減される一方、直径2μm以下の細孔(微細孔)の容積が増加していることがわかる。
上記細孔径分布の測定結果から、各サンプルについて直径2μm以下の細孔(微細孔)の合計容積Vsが全細孔容積Vtに占める割合(Vs/Vt)を求めた。それらの結果を表2に示す。この表からわかるように、水と極性溶媒(ここではNMP)とを90:10の質量比で含む混合溶媒を水系溶媒とする実施例1の正極活物質層形成用組成物によると、微細孔の割合(Vs/Vt)が45vol%以上(さらには50vol%以上)である正極活物質層(A1−1〜A1−3)を形成することができた。
一方、実施例1の正極活物質層形成用組成物においてNMPをイオン交換水に置き換えた組成に相当する比較例1の正極活物質層形成用組成物では、形成された正極活物質層のVs/Vtが45vol%に満たなかった。また、比較例1に比べて不揮発分の割合を低くした(すなわち、水系溶媒の割合を多くした)比較例2の正極活物質層形成用組成物を用いて形成された正極活物質層ではVs/Vtがさらに低下した。
<細孔径分布の測定>
上記水銀ポロシメータ測定により、上記各実施例および比較例により作製された正極活物質層の細孔屈曲度(Tortuosity)τを求めた。
<内部抵抗値の測定>
上述した各実施例および比較例により得られたリチウムイオン二次電池の内部抵抗を評価した。すなわち、環境温度25℃において、1000mA/cm2の定電流で3.75Vまで充電した後に、3.75Vで定電位充電を行うことにより、各電池を満充電の約60%の充電状態(State of charge:SOC)に調整した。その後、以下の(a)〜(f)の順に充放電を行い、各充放電後の電圧を縦軸とし且つ充放電電流を横軸とした電流(I)−電圧(V)プロット値の一次近似直線の傾きから、各電池の内部抵抗の値(初期抵抗値)を求めた。
(a) 300mA/cm2で10秒間放電する。
(b) 300mA/cm2で10秒間充電する。
(c) 900mA/cm2で10秒間放電する。
(d) 900mA/cm2で10秒間充電する。
(e)2700mA/cm2で10秒間放電する。
(f)2700mA/cm2で10秒間充電する。
これらの測定により得られた微細孔の割合(Vs/Vt)、細孔屈曲度および内部抵抗値を表2に示す。また、微細孔の割合に対して内部抵抗をプロットしたグラフを図2に、細孔屈曲度に対して内部抵抗をプロットしたグラフを図3に示す。
Figure 0005135677
表2および図2からわかるように、微細孔の割合(Vs/Vt)が45vol%以上(さらには50vol%以上)であるサンプルA1−1〜A1−3の内部抵抗値はいずれも60mΩ以下であった。また、図2によく示されるように、この範囲でVs/Vtが変動しても内部抵抗値に与える影響(すなわち、内部抵抗値のばらつき)は少なかった。また、表2および図3より、細孔屈曲度τが2.216〜2.222程度の範囲では該屈曲度が小さくなるにつれて内部抵抗値は低下する一方、屈曲度が概ね2.216以下の範囲では該屈曲度が内部抵抗値に与える影響(内部抵抗値のばらつき)が少なくなることがわかる。
以上の結果は、実施例1の組成の正極活物質層形成用組成物によると、内部抵抗値の低い電池が安定して製造され得ることを示している。また、上述した好ましい微細孔の割合および/または細孔屈曲度を有する正極活物質層が形成されるように正極の製造条件(例えば正極活物質層形成用組成物の組成、特に該組成物を構成する水系溶媒の組成、該組成物に占める前記水系溶媒の質量割合等)を設定することにより、内部抵抗値の低い電池が安定して製造され得ることを示している。
さらに、水系溶媒の組成を下記表3(表中のEtOHはエチルアルコールを表す。)に示すように変更した点以外は実施例1と同様にして実施例2〜4にかかる正極活物質層形成用組成物を調製し、該組成物を用いて実施例1と同様に正極活物質層(正極シート)を作製した。それらの正極活物質層の構造を上記と同様に評価したところ、いずれの実施例により作製された正極活物質層においても微細孔の割合(Vs/Vt)は45vol%以上であった。より具体的には、Vs/Vtが概ね50〜80の範囲にあった。また、いずれの実施例により作製された正極活物質層においても細孔屈曲度τは2.216〜2.21の範囲にあった。
Figure 0005135677
これらの正極シートを用いて実施例1と同様にリチウムイオン二次電池を構築し、同様に内部抵抗値を測定した。得られた結果を表3に併せて示す。この表からわかるように、実施例2〜4のいずれの電池においても、水系溶媒として水のみを用いた電池(例えば、比較例1−1および1−2)に比べて内部抵抗値を低減することができた。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書又は図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書又は図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
細孔径分布の測定結果を示す特性図である。 微細孔の割合に対して内部抵抗の値をプロットしたグラフである。 細孔屈曲度に対して内部抵抗の値をプロットしたグラフである。

Claims (2)

  1. 正極と負極とを備えるリチウム二次電池であって、
    前記正極は、
    アルミニウムを主体とする正極集電体と、
    該集電体上に形成された正極活物質層であって、水系溶媒に溶解または分散可能な有機溶剤に対して実質的に不溶性である少なくとも一種のバインダと、リチウム遷移金属複合酸化物を主成分とする正極活物質とを含む正極活物質層と、を備え、
    ここで、前記正極活物質層は、直径2μm以下の細孔の合計容積が全細孔容積に占める割合が45vol%以上である、リチウム二次電池。
  2. 前記正極活物質層は、水銀ポロシメータにより測定される細孔屈曲度の値が2.216以下である、請求項1に記載のリチウム二次電池。
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