JP5135522B2 - 難燃性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、特に屋外又は車載機器で使用される電力用電線・ケーブルの被覆に有用な、耐酸性・耐熱性に優れた難燃性樹脂組成物に関するものである。
従来、電線等に用いる難燃性樹脂組成物としては、主にハロゲン化物質を含んだ樹脂組成物が用いられていた。ハロゲン化物質を含む難燃性樹脂組成物は、燃焼させるとハロゲン化水素ガスを発生する。このガスは腐食性であり、さらに環境負荷が大きいため、近年ではハロゲン化物質を含まないハロゲンフリーの難燃性樹脂組成物の需要が高まっている。
こうしたハロゲンフリーの難燃性樹脂組成物としては、難燃性でない熱可塑性樹脂に金属水酸化物である水酸化マグネシウム等を混合して難燃性を持たせたものが用いられている。
しかし、水酸化マグネシウムを混合した従来の樹脂組成物は、特に屋外で使用する場合、空気中の二酸化炭素と反応して生じた炭酸により水酸化マグネシウムが炭酸マグネシウムに変化して表面に白く析出するため、商品価値が著しく損なわれるという問題があった。
そこで、例えば特許文献1のように、水酸化マグネシウムの粉末を脂肪酸の一種であるステアリン酸又はステアリン酸金属塩で表面処理して熱可塑性樹脂に加えることで、耐酸性を高めて炭酸マグネシウムの析出を抑える発明が提案されていた。
特開平5−65367号公報
しかし、特許文献1の発明(以下、従来技術1とする。)による難燃性樹脂組成物は、耐酸性がハロゲン化物質を含んだ樹脂組成物に比べてまだ不十分であり、実用に供し得なかった。
これは、ステアリン酸と水酸化マグネシウムの結合が弱いため、水酸化マグネシウムの酸との反応を十分に抑えきれないためと考えられる。特に、安価で入手性が良いが粒径のバラツキが大きく樹脂との親和性が低い天然鉱石を原料とした水酸化マグネシウムを使用する場合、トンネル等の湿度の高い場所で使用すると炭酸マグネシウムの析出が著しく、電線として実用に供することが不可能であった。
このため、従来技術1の実施例では、高価であるが粒径が揃っており樹脂との親和性が天然原料由来のものより良く不純物のほとんどない合成水酸化マグネシウムを用いていた。しかし、従来のハロゲン化物質を含む難燃性樹脂組成物に比べると、まだ耐酸性は劣っていた。
また、特許文献1の発明による難燃性樹脂組成物は、耐熱性に劣るという問題があった。これは、上述のようにステアリン酸と水酸化マグネシウムの結合が弱いため、熱で遊離されたマグネシウムイオンや水酸化マグネシウムに不純物として含まれる他の金属イオンが触媒として働いて、樹脂の共有結合を切断し酸化を促進することで、樹脂組成物の変質を引き起こすためと推測される。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上記問題点を解決できるハロゲンフリーの難燃性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明は上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
請求項1に記載の発明は、ベース樹脂に対し、キレート剤と脂肪酸金属塩とで表面処理された難燃剤が配合されており、前記難燃剤は、金属水酸化物であり、前記金属水酸化物は、水酸化マグネシウムであり、前記ベース樹脂はオレフィン系樹脂であり、前記オレフィン系樹脂100重量部に対し、前記水酸化マグネシウム30〜200重量部が配合されている難燃性樹脂組成物であることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、前記キレート剤は、ジペンタエリスリトール、モノペンタエリスリトールおよび多価アルコールからなる群のうちの一種であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、前記脂肪酸金属塩は、ステアリン酸亜鉛又はステアリン酸カルシウムである難燃性樹脂組成物であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、前記水酸化マグネシウム100重量部に対し、前記キレート剤0.1〜5重量部、脂肪酸金属塩0.5〜10重量部が配合されている難燃性樹脂組成物であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、前記オレフィン系樹脂は、エチレン・エチルアクリレート共重合樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン又はエチレン・酢酸ビニル共重合樹脂からなる群のうちの一種である難燃性樹脂組成物であることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、充填剤、酸化防止剤、着色剤、滑剤の少なくとも1つが配合されている難燃性樹脂組成物であることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、前記キレート剤と前記脂肪酸金属塩の分散剤がさらに含まれる難燃性樹脂組成物であることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、キレート剤と脂肪酸金属塩とで表面処理された難燃剤であって、前記難燃剤は、金属水酸化物であり、前記金属水酸化物は、水酸化マグネシウムであり、前記キレート剤は、ジペンタエリスリトール、モノペンタエリスリトールおよび多価アルコールからなる群のうちの一種であり、前記脂肪酸金属塩は、ステアリン酸亜鉛又はステアリン酸カルシウムであり、前記水酸化マグネシウム100重量部に対し、前記キレート剤0.1〜5重量部、脂肪酸金属塩0.5〜10重量部が配合されている難燃剤であることを特徴とする。
本発明の難燃性樹脂組成物は、金属水酸化物と脂肪酸金属塩にキレート剤を用いて難燃剤の表面処理を行うことにより、キレート剤がキレート錯体を形成することで金属水酸化物と脂肪酸金属塩が強固に結合する。これにより、表面処理の効率が上がり、水酸化マグネシウムの酸に対する反応を従来に比べて抑えられるため、耐酸性に優れるという利点を有する。
また、本発明の難燃性樹脂組成物は、上述のように金属水酸化物と脂肪酸金属塩が強固に結合しているため、遊離脂肪酸等による樹脂組成物の変質を抑えることができる。これにより、耐熱性に優れるという利点を有する。
本発明者らは、耐酸性と耐熱性に優れた難燃性樹脂組成物について鋭意検討した結果、金属水酸化物100重量部に対し、キレート剤0.1〜5重量部と脂肪酸金属塩0.5〜10重量部を加えたもので表面処理を行い、これを難燃剤としてベース樹脂に配合することで、好適な難燃性樹脂組成物が得られることを見出した。
この表面処理を行った難燃剤は、ベース樹脂100重量部に対し、30〜200重量部を配合することが望ましい。該配合比は、難燃剤が30重量部より少ないと難燃性・耐熱性が悪くなり、逆に200重量部より多いと必要な機械的強度が得られないためである。
また、上記金属水酸化物としては、水酸化マグネシウムが好適であるが、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウムなども使用可能である。また、これらのうちの1種でも、また複数種の混合であっても良い。
さらに、水酸化マグネシウムの場合、天然鉱石を原料とする水酸化マグネシウムを使用することができる。
また、上記ベース樹脂としては、オレフィン系樹脂が好適である。このオレフィン系樹脂としては、エチレン・エチルアクリレート共重合樹脂(EEA)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)又はエチレン・酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)等の一般的で安価な樹脂を用いることができる。
また、上記キレート剤としてはジペンタエリスリトールが好適である。さらに、モノペンタエリスリトール又は多価アルコール等も使用できる。
この際、用いる容量としては、金属水酸化物100重量部に対し、キレート剤0.1〜5重量部配合するのが好適である。このキレート剤は、0.1重量部より少ないと効果が少なく、5重量部を超えると、耐酸性・耐熱性に変化はみられない。
また、上記脂肪酸金属塩としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等を使用する。
この際、用いる容量としては、金属水酸化物100重量部に対し、脂肪酸金属塩0.5〜10重量部を配合するのが好適である。この脂肪酸金属塩は、0.5重量部以下では効果が少なく、10重量部以上では樹脂組成物の機械的強度が低下するためである。
さらに、本発明の実施形態に係る難燃性樹脂組成物においては、上記の主たる配合物に加えて、樹脂組成物に樹脂のみでは実現できない特性を与える添加物を含んでいてもよい。例えば、充填剤を加えると、機械強度などの特性を強化することができる。また、酸化防止剤を加えると、樹脂組成物の劣化を防止することができる。また、着色剤を加えると、樹脂の色合いを整えたり機械強度を強化したりすることができる。また、加工性を上げるための滑剤等も、必要に応じて配合されていても良い。
さらに加えて、パラフィンオイル等を、キレート剤と脂肪酸金属塩を分散させる分散剤として用いても良い。
以下では、表1を参照して、本発明の実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明の実施例においては、オレフィン系樹脂にエチレン・エチルアクリレート共重合樹脂(A-1100:日本ポリエチレン社製)、難燃剤の金属水酸化物として天然鉱石を原料とする水酸化マグネシウム(ポリセーフMG-2:味の素ファインテクノ社製)、脂肪酸金属塩としてステアリン酸亜鉛(SZ-T:堺化学工業社製)、キレート剤としてジペンタエリスリトール(プレンライザーST-210:味の素ファインテクノ株式会社製)を使用し、酸化防止剤にイルガノックス1010を加え、表1に示すような各種配合比にて樹脂組成物を作製した。また、比較例用に、ステアリン酸(SA-200:旭電化工業製)を使用した。
次に、本発明の実施例の説明をする。表1の実施例1〜18はすべて実験例である。実施例1〜3は、オレフィン系樹脂100重量部に対し、水酸化マグネシウムを30重量部とし、ステアリン酸亜鉛とジペンタエリスリトールの配合比を変えてそれぞれ調製した。また、実施例5〜12は、水酸化マグネシウムを100重量部とし、同様に配合比を変えて調製した。また、実施例13〜18は、水酸化マグネシウムを200重量部とし、同様に配合比を変えて調製した。
また、表1の比較例1〜4は従来技術1の樹脂組成物について、それぞれ水酸化マグネシウムの量とステアリン酸の配合比を変えて調製した。
上記の組成物の調製法は、例えば以下の通りである。まず、難溶性である水酸化マグネシウムと、ステアリン酸亜鉛とジペンタエリスリトールを蒸留水中に加えて懸濁し、この溶液を乾燥させて、表面処理を行った水酸化マグネシウムを得た。
次に、これをエチレン・エチルアクリレート共重合樹脂に一般的な混練機で混練した後、厚さ1mm、幅5mm、長さ40mmの短冊状にした黒色のサンプルシートを作成した。
比較例の各種組成物については、従来技術1の方法に従って同様の大きさのサンプルシートとして作成した。
次に、上記の各樹脂組成物について、耐炭酸性と耐熱性を調べた。
耐炭酸性については、湿度90%以上のデシケーター中に炭酸ガスを200mL/分の流量で流し、試験片を72時間放置した後に、試験片の外観を目視でチェックした。これは、屋外で炭酸ガスに長期間暴露されても問題ないことを確かめるための標準的な試験法である。
チェックした際、析出による白化無しを◎、やや白化が見られるものを○、明らかに白化したものを×と判定した。白化した組成物は炭酸に弱いことを示し、商品価値が著しく劣るため、屋外用や車載機器用の電力用電線・ケーブルの被覆に適さない。たとえばトンネル等の湿度が高い場所では、まったく使用不可能である。
また、耐熱性については、上記サンプルシートを180℃のギヤオーブン内に置き、目視により外観の耐変色性をチェックした。この際、5時間以上変色なしを○、3〜5時間で変色したものを△、3時間以下で変色したものを×と判定した。変色した組成物は、商品価値の低下が著しいため電線の被覆には適さない。
結果の一覧を表1に示す。
Figure 0005135522
表1の比較例においては、上述したような理由で水酸化マグネシウムの重量比が増えると耐炭酸性が落ちる。この点においては、該重量比が100重量部以下でも、炭酸マグネシウムの析出による白化が見られる。つまり、耐炭酸性が低く、商品価値が低い。
これに対して、本発明の実施例1〜18の樹脂組成物は、すべて非常に良好な耐炭酸性を示す。
これは、上述のように金属水酸化物と脂肪酸金属塩が強固に結合するため、水酸化マグネシウムが反応する表面積が減少するためだと考えられる。また、表面処理剤にステアリン酸亜鉛を使用することで、耐水性が高い被膜が均質に形成されていることからも耐炭酸性が上がっていると推測される。
また、表1の比較例においては、上述したような理由で水酸化マグネシウムの重量比が増えると耐変色性が落ちる。従来技術1では、水酸化マグネシウムを50重量部以下では難燃性が劣るとしているが、30重量部でかろうじて3〜5時間の耐変色性を示す。
これに対し、本発明の実施例1乃至18において明らかなように、キレート剤と脂肪酸金属塩により表面処理を行った難燃剤をオレフィン系樹脂に配合することにより、すべての実施例において耐変色性が高い、つまり良好な耐熱性を示す。
これは、上述のようにキレート剤が金属イオンとキレート錯体を形成し、脂肪酸金属塩と金属水酸化物がより強固に結合するためと考えられる。さらに、遊離した金属イオンがキレート剤により安定的に保持されるため、樹脂本体に影響を与えるのを抑えるとも推測される。
以上の実施例の試験結果より、キレート剤であるジペンタエリスリトールについては、0.1〜5重量部が配合されていれば好適である。キレート剤を加えることにより、耐熱性が向上するという効果が得られる。
脂肪酸金属塩であるステアリン酸亜鉛については上記の実施例1〜18で示したように0.5〜10重量部が配合されていれば好適である。
さらに、ステアリン酸単体でなく、ステアリン酸金属塩を使用するため、上述のようにキレート剤を加えることで金属水酸化物と脂肪酸金属塩が強固に結合する効果が得られる。
加えて、ステアリン酸亜鉛やステアリン酸カルシウムは水にほぼ不溶であるため、炭酸マグネシウムに耐水性の被膜をつくる効果が高い。
また、ステアリン酸亜鉛を使用した場合、粉末のすべりを良くする効果が高く、樹脂との親和性が高いため、金属水酸化物の表面を処理する効率が向上する。
また、本発明の実施例に用いたオレフィン系樹脂は大変広く使われており、加工法に関する知見が豊富なため、オレフィン系樹脂を元に難燃性樹脂組成物を製造することにより加工性が高まる。
また、各実施例において、キレート剤と脂肪酸金属塩の分散剤として、重量部を適宜設定してパラフィンオイルを加えることもできる。この分散剤については、パラフィンオイル以外のオイル等を使用することも可能である。
なお、本発明においてはキレート剤・脂肪酸金属塩・難燃剤とも実施例以外の配合比で配合することも可能である。また、表面処理を行う場合、実施の形態で述べた湿式の他に、脂肪酸金属塩の粉末にキレート剤をよく分散させる乾式で表面処理を行うことができる。
加えて、本発明の趣旨を変更しない範囲で、配合する化合物を変更することもできる。
例えば、上記ベース樹脂として、アクリルゴムやエチレンプロピレンゴム、各種熱可塑性エラストマー等を用いることもできる。
以上説明したように、本発明の実施形態に係る難燃性樹脂組成物は、オレフィン系樹脂に対し、キレート剤と脂肪酸金属塩とで表面処理が行われている難燃剤が配合されていることにより、従来のハロゲン化物質を含む難燃性樹脂組成物と同等以上に耐酸性に優れる。このため、本発明の実施形態に係る難燃性樹脂組成物を使用すると、屋外に暴露していても金属水酸化物の析出による表面の劣化が起こりにくく、商品価値が向上する。
また、本発明の実施形態に係る難燃性樹脂組成物は、従来の耐酸性の高い難燃性樹脂組成物よりも耐熱性が向上するという特性を持つ。このため、熱環境が厳しい場所でも変色・変質しにくいため、商品価値が向上し、メンテナンスの手間を省くことができ、安全に使用することができる。
さらに、水酸化マグネシウムをキレート剤と脂肪酸金属塩を用いて表面処理することにより、キレート剤がキレート錯体を形成することによって水酸化マグネシウムと脂肪酸金属塩が強固に結合されるため、従来技術1の水酸化マグネシウム表面処理法よりも表面処理効率の優れた表面処理をすることができる。
よって、この方法により表面処理された水酸化マグネシウムを難燃剤として用いることによって耐酸性や耐熱性に優れた難燃性樹脂組成物を製造することが可能になる。
さらに、本発明の実施形態に係る樹脂組成物により、ブルース石等が由来の、安価な天然鉱石を使用した水酸化マグネシウムを合成した水酸化マグネシウムと同様に使用することが可能になる。
これは、本発明の実施形態に係る樹脂組成物においては、キレート剤を使用することで上述のように金属水酸化物と脂肪酸金属塩が強固に結合するため、表面処理の効率が上がり、粒径がそれほど揃っていない天然鉱石を使用した水酸化マグネシウムでも、合成した水酸化マグネシウムと同等以上に安定的に表面の被覆を形成できるためであると考えられる。
また、キレート剤により金属イオンが安定的に保持されるので、必ずしも純度が高くない天然鉱石を使用した水酸化マグネシウムでも、遊離したマグネシウムイオンや不純物由来の金属イオンが反応するのを抑えられるためだと考えられる。
以上の特徴より、本発明の難燃性樹脂組成物は、ポリ塩化ビニルに代表されるハロゲン化物質を含んだ樹脂の代用とすることができる。
これにより、ハロゲンフリーで難燃性の屋外配線用電線などを製造できる。この屋外配線用電線は、まず一般的な混練機(ニーダー)で混練して造粒し、この造粒物を押し出し機で押し出し加工することで、容易に製造可能である。また、この屋外用電線を、トンネルや林間、海の近く等、湿度の高い場所で通常に用いることができる。
さらに、この難燃性樹脂組成物は、高い耐熱性と耐酸性を示すため、過酷な環境である自動車内のワイヤーハーネス等の電装部品に用いることも可能である。
加えて、ハロゲンフリーの電線と同等以上の耐久性があるので、電力用電線・ケーブルのような一般的な電線・ケーブル全般に用いることができる。この際、天然鉱石を使用した安価な水酸化マグネシウムを使用できるので、従来の難燃樹脂組成物よりも安価に提供できる。

Claims (8)

  1. ベース樹脂に対し、キレート剤と脂肪酸金属塩とで表面処理された難燃剤が配合されており、
    前記難燃剤は、金属水酸化物であり、
    前記金属水酸化物は、水酸化マグネシウムであり、
    前記ベース樹脂はオレフィン系樹脂であり、前記オレフィン系樹脂100重量部に対し、前記水酸化マグネシウム30〜200重量部が配合されている
    ことを特徴とする難燃性樹脂組成物。
  2. 前記キレート剤は、ジペンタエリスリトール、モノペンタエリスリトールおよび多価アルコールからなる群のうちの一種であることを特徴とする請求項に記載の難燃性樹脂組成物。
  3. 前記脂肪酸金属塩は、ステアリン酸亜鉛又はステアリン酸カルシウムであることを特徴とする請求項1又は2に記載の難燃性樹脂組成物。
  4. 前記水酸化マグネシウム100重量部に対し、前記キレート剤0.1〜5重量部、脂肪酸金属塩0.5〜10重量部が配合されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の難燃性樹脂組成物。
  5. 前記オレフィン系樹脂は、エチレン・エチルアクリレート共重合樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン又はエチレン・酢酸ビニル共重合樹脂からなる群のうちの一種であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の難燃性樹脂組成物。
  6. 充填剤、酸化防止剤、着色剤、滑剤の少なくとも1つが配合されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1つに記載の難燃性樹脂組成物。
  7. 前記キレート剤と前記脂肪酸金属塩の分散剤がさらに含まれることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1つに記載の難燃性樹脂組成物。
  8. キレート剤と脂肪酸金属塩とで表面処理された難燃剤であって、
    前記難燃剤は、金属水酸化物であり、
    前記金属水酸化物は、水酸化マグネシウムであり、
    前記キレート剤は、ジペンタエリスリトール、モノペンタエリスリトールおよび多価アルコールからなる群のうちの一種であり、
    前記脂肪酸金属塩は、ステアリン酸亜鉛又はステアリン酸カルシウムであり、
    前記水酸化マグネシウム100重量部に対し、前記キレート剤0.1〜5重量部、脂肪酸金属塩0.5〜10重量部が配合されている
    ことを特徴とする難燃剤。
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