JP5134646B2 - 燃料電池車両 - Google Patents

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Description

この発明は、燃料タンクから燃料電池に供給される燃料ガスの供給路(燃料ガス供給路)に挿入される電磁遮断弁等への電力供給を節電する燃料電池車両に関する。
例えば、固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜からなる電解質膜の両側にそれぞれアノード電極(燃料極)及びカソード電極(酸化剤極)を設けた電解質膜・電極構造体を、一対のセパレータによって挟んで保持するとともに、アノード電極とセパレータとの間に燃料ガス流路が形成される一方、カソード電極とセパレータとの間に酸化剤ガス流路が形成されている。この燃料電池は、通常、電解質膜・電極構造体及びセパレータを所定数だけ積層することにより、燃料電池スタックとして使用されている。
燃料電池システムにおいて、燃料ガスが充填された燃料タンクから燃料ガス供給路を通じ、前記燃料電池内の前記燃料ガス流路を介してアノード電極に供給された燃料ガス、例えば、水素含有ガスは、電極触媒上で水素イオン化され、電解質膜を介してカソード電極へと移動し、その移動の間に生じた電子が外部回路に取り出され、直流の電気エネルギとして利用される。カソード電極には、酸化剤ガス供給部から酸化剤ガス供給路を通じ、前記燃料電池内の前記酸化剤ガス流路を介して酸化剤ガス、例えば、空気等の酸素含有ガスが供給されているために、このカソード電極において、水素イオン、電子及び酸素ガスが反応して水が生成される。
このような燃料電池システムにおいて、前記燃料タンクと前記燃料電池との間の前記燃料ガス供給路に燃料ガスの流通を遮断する電磁遮断弁が設けられる(特許文献1)。
イグニッションスイッチがオフにされると、この電磁遮断弁が圧縮バネ等の弁体復元力に閉弁され、例えば、前記電解質膜・電極構造体が保護される。すなわち、燃料電池が保護される。
その一方、イグニッションスイッチがオンにされると、前記電磁遮断弁の電力供給端子に補機バッテリ等から電力が供給され、この電力の供給によるソレノイド励磁により前記弁体復元力に抗う駆動力により弁体が開弁され、前記燃料タンクから前記燃料ガス供給路を通じて前記燃料電池内に前記水素含有ガスが供給される。
特開2009−129593号公報([0033]、[0041])
特許文献1には、イグニッションスイッチがオンにされて、前記電磁遮断弁の電力供給端子に電力が供給されてから、前記電磁遮断弁の開弁完了確定時間を必要最低限の時間として決定乃至設定できる電磁遮断弁の開弁完了判断装置が開示されている。
開弁完了確定時間が必要最低限の時間に設定できるので、イグニッションスイッチがオンにされた後、燃料電池から負荷への電力供給までの時間を必要最低限の時間に決定乃至設定することができる。
ところで、上述したように、電磁遮断弁は、電力供給端子に電力が供給されていないと、圧縮バネ等による弁体復元力により弁体が閉弁してしまう。そのため、燃料電池車両においては、イグニッションスイッチがオンにされているときには電磁遮断弁の開弁状態を保持するために、補機バッテリ等から電力供給端子に電力を連続的に供給して電磁遮断弁のソレノイドを励磁することで、ソレノイドに弁体復元力に抗う駆動力(開弁保持力)を付与しておく必要がある。
図10は、燃料電池車両のイグニッションスイッチのオフ時(停車時、駐車時)からイグニッションスイッチのオン時(走行時、一時停車時等)に切り替わりさらにオフ時に切り替わる際の電磁遮断弁の弁体に付与される各種力の大きさを示す従来技術に係るタイムチャートである。
図11A〜図11Dは、一般的な電磁遮断弁40(後述する実施の形態での主遮断弁に対応する。)の模式的動作説明図である。
図11Aは、コイル2とヨーク4とにより構成されるソレノイド40Sに駆動電圧Vdが印加されていない弁体8のノーマルクローズ(常閉)状態NSを示し、弁体8は、圧縮バネ9の弁体復元力(閉弁時弁体復元力)Fr1により、可動範囲MAの一端部まで可動して閉弁状態CSになっている。
この図11Aのノーマルクローズ状態NSにおいて、図10の時点t1でイグニッションスイッチがオフからオンにされると、ソレノイド40Sに駆動電圧Vd、ここでは、ソレノイド40Sに十分に大きな起動力Fs5を発生させるのに対応する十分に高い駆動電圧Vdである弁体駆動電圧(起動電圧ともいう。)Vd5が印加され、時点t2において、ソレノイド40Sに発生する駆動力Fsが、起動閾値力Fs4(Fs4<Fs5)を上回ると、図11Bに示すように、図示しない可動鉄心(プランジャ)と一体的に移動する弁体8が矢印Q方向に移動を開始して弁体駆動期間DS中になる。なお、起動閾値力Fs4をソレノイド40Sに発生させる駆動電圧Vdを起動閾値電圧Vd4という。
次に、弁体駆動電圧Vd5が印加された状態の時点t3において、図11Cに示すように、弁体8が可動範囲MAの他端部の開弁状態OSに到達すると、弁体復元力Fは、F=Fr2となる。
時点t2〜時点t10の間で、弁体駆動電圧Vd5が連続してソレノイド40Sに印加されているので、ソレノイド40Sに発生される駆動力Fsが大きな起動力Fs5になっている。そのため、時点t3〜時点t10における弁体8が開弁状態OSにある開弁保持期間HS中であって、例えば、燃料電池車両の走行中の時点t4〜t6の間に、走行加速度等の外力Feが弁体8に加わり、弁体復元力Frと外力Feの合成力Fr+Feが最大合成力Fr2+Femax(Femaxは推定最大外力とする。)となっても、ソレノイド40Sに発生させる起動力Fs5が、この合成力Fr+Fe以上の大きさになっているので、弁体8は、開弁状態OSに保持される。
時点t10において、イグニッションスイッチがオンからオフにされると、図11Dの弁体復帰期間PS中の状態に示すように、ソレノイド40Sに対する弁体駆動電圧Vd5の印加が解消されてVd=0となり、弁体復元力Frにより弁体8が開弁状態OSから矢印R方向に移動し、時点t11において、弁体8が閉弁状態CSに復帰する。
なお、燃料ガスは、弁体8が開弁状態OSにある時点t3〜t10の間で、燃料タンクから燃料電池に供給される。
ところで、時点t3〜t10の開弁保持期間HS中を含む、時点t2〜t10の間では、ソレノイド40Sに、十分に高い弁体駆動電圧Vd5に係る大電力が供給されているために、補機バッテリの電力の消費が大きい。補機バッテリの、例えば、公称値+12[V]のバッテリ電圧Vbによる駆動力Fsは、低電圧であり、弁体駆動電圧Vd5を発生させるためには、図示しない昇圧器により補機バッテリの出力電圧を昇圧することが必要である。
ところで、ソレノイド40Sによる弁体8の開弁保持期間HS中の補機バッテリの消費電力は、電力節減(節電)の観点からできるだけ小さいことが好ましい。
図12は、電磁遮断弁40を含む電磁弁(この発明では、電磁遮断弁を対象としているので、以下電磁遮断弁という。)の可動範囲MAに対する必要な電力Pwの特性、いわゆる電力特性200を示している。縦軸は、電力Pwであり、横軸は、閉弁状態CSにあるノーマルクローズ位置NPからの弁体8の開弁状態OSの保持位置HPまでの移動距離MDを示している。
電磁遮断弁40は、安定状態として、閉弁状態CS又は開弁状態OSのどちらかしか採ることができないが、電力特性200から分かるように、プランジャ(可動鉄心)と一体的に動く弁体8の可動範囲MA中、弁体8が閉弁状態CSのノーマルクローズ位置NPになっていてソレノイド40Sのヨーク4から最も離れている(図11A参照)駆動初期時に、弁体8を静止状態から移動状態に遷移させる大きな閾値電力Pwth{起動閾値電圧Vd4(図10参照)に対応する。}が必要とされる一方、弁体8の可動範囲MA中、弁体8が開弁状態OSの保持位置HPになっていてソレノイド40Sのヨーク6に最も近づいている開弁保持期間HS中には、必要電力Pwが最小電力Pwminになる。なお、上述した十分に高い弁体駆動電圧Vd5は、閾値電力Pwthを発生する起動閾値電圧Vd4に対して余裕分、換言すれば、許容誤差分高く設定している電圧である。
そこで、補機バッテリの節電の観点から、例えば、図13に示すように、時点t1〜t3の間では、バッテリ電圧Vbを最も昇圧した十分に高い弁体駆動電圧Vd5をソレノイド40Sに印加するが、図12に示した電力特性200を考慮し、一旦開弁した後は、図13に示す走行時の推定最大外力Femaxに余裕を見た駆動力(最大外力対応力)Fs3をソレノイド40Sに発生させる駆動電圧(最大外力対応開弁保持電圧)Vd3まで駆動電圧Vdを低くすることが考えられる。
電力は、駆動電圧Vdの自乗に比例するので、この場合、時点t3〜時点t10の開弁保持期間HSにおいて、図10及び図13を比較すれば、電圧差(Vd5−Vd3)の自乗に比例する電力が節減できることが分かる。
この発明はこのような課題・知見を考慮してなされたものであり、燃料電池車両の走行中等、電磁遮断弁の開弁保持期間中(燃料ガス供給中)に、電磁遮断弁の消費電力をさらに低減することを可能とする燃料電池自動車を提供することを目的とする。
この発明に係る燃料電池車両は、燃料ガスと酸化剤ガスとの反応により発電する燃料電池と、前記燃料ガスを貯留する燃料タンクと、前記燃料タンクから前記燃料電池に前記燃料ガスを供給する燃料ガス供給路と、前記燃料ガス供給路に挿入され、前記燃料ガスの供給を弁体復元力により遮断する閉弁状態にされるとともに、電力供給端子への電力供給によるソレノイド励磁により前記弁体復元力に抗って弁体が開放されて開弁状態になる電磁遮断弁と、前記電磁遮断弁の閉弁状態を検知する閉弁状態検知器と、当該燃料電池車両の補機バッテリと、前記補機バッテリと前記電磁遮断弁との間に接続される昇圧器と、前記昇圧器を制御する制御器と、を備え、前記制御器は、前記電磁遮断弁が閉弁状態から開弁状態に遷移する第1の期間では、前記昇圧器を駆動することで前記補機バッテリの出力電圧を弁体駆動電圧まで昇圧して前記電力供給端子に印加する弁体駆動制御を行い、前記弁体駆動制御により前記電磁遮断弁が開弁状態に遷移した後、前記電力供給端子に供給する電力を遮断するまでの第2の期間では、前記第1の期間で前記電磁遮断弁に供給される電圧よりも低い開弁保持電圧を前記電力供給端子に印加する開弁保持制御を行い、前記開弁保持制御中に、前記閉弁状態検知器により前記電磁遮断弁の閉弁状態が検知されたときには、前記弁体駆動制御を行い、再度、前記開弁保持制御に移行させ、前記電磁遮断弁は、前記開弁保持電圧により発生する前記弁体の開弁保持力が、前記弁体が閉弁状態に復帰する方向の前記弁体復元力より大きく、当該燃料電池車両の走行時に前記弁体に閉弁方向にかかる推定最大外力よりも小さく設定されていることを特徴とする。
この発明によれば、電磁遮断弁が閉弁状態から開弁状態に遷移する第1の期間(弁体駆動期間中)では、昇圧器を駆動することで補機バッテリの出力電圧を弁体駆動電圧まで昇圧して電力供給端子に印加して、前記電磁遮断弁を開弁状態に遷移させ、開弁状態になった後、前記電力供給端子に供給する電力を遮断するまでの第2の期間(開弁保持期間中)では、発生頻度の低い推定最大外力あるいは推定最大外力近傍の外力がかかった場合には、閉弁状態に復帰することを許容する程度の開弁保持力を発生する開弁保持電圧を前記電磁遮断弁の前記電力供給端子に印加するように駆動電圧(印加電圧)を調整している。
そして、開弁保持期間中に、外力により閉弁状態に復帰した場合に、再度、昇圧器により補機バッテリの出力電圧を弁体駆動電圧まで昇圧して電磁遮断弁の弁体を開弁状態に移動させる。
この場合、前記補機バッテリの出力電圧を、前記開弁保持電圧に設定しておくことで、前記弁体を前記開弁状態に保持する前記開弁保持制御中には、昇圧器の昇圧動作を停止することができる。
さらに、前記燃料電池と前記補機バッテリとの間に接続され、前記燃料電池の高電圧を、前記開弁保持電圧に降圧する降圧コンバータを備えることで、前記補機バッテリの出力電圧が前記開弁保持電圧の設定であってもなくても、降圧コンバータから前記開弁保持電圧が印加された場合には、昇圧器の昇圧動作を停止することができる。
この場合において、前記制御器は、前記補機バッテリの出力電圧を監視し、前記補機バッテリの出力電圧が前記開弁保持電圧よりも低い電圧となったとき、前記弁体駆動制御を行った後、前記降圧コンバータから前記開弁保持電圧が印加されるまで、前記補機バッテリの出力電圧を前記昇圧器により前記開弁保持電圧の最小電圧まで昇圧させるようにすることで、補機バッテリが劣化等して出力電圧が低下した場合においても、電磁遮断弁の開弁状態を保持することができる。
この発明によれば、電磁遮断弁が閉弁状態から開弁状態に遷移する第1の期間(弁体駆動期間)では、昇圧器を駆動することで補機バッテリの出力電圧を弁体駆動電圧まで昇圧して電力供給端子に印加することで、前記電磁遮断弁を開弁状態に遷移させ、開弁状態になった後、前記電力供給端子に供給する電力を遮断するまでの第2の期間(開弁保持期間中)では、発生頻度の低い推定最大外力近傍の外力がかかった場合には、閉弁状態に復帰することを許容する程度の開弁保持力を発生する開弁保持電圧を前記電磁遮断弁の前記電力供給端子に印加するように駆動電圧(印加電圧)を調整しているので、電磁遮断弁の開弁保持期間中(燃料ガス供給中)において、電磁遮断弁の消費電力をさらに低減することができる。
この発明の一実施形態に係る燃料電池車両の概略構成図である。 昇圧器ECUの構成を示す回路ブロック図である。 ソレノイドの電流電圧特性図である。 第1実施例の動作説明に供されるフローチャートである。 補機バッテリのバッテリ電圧の設定又は電磁遮断弁の選択の仕方の説明図である。 第1実施例の動作説明に供されるタイムチャートである。 第2実施例の動作説明に供されるフローチャートである。 第2実施例の動作説明に供されるタイムチャートである。 図9Aは、昇圧器の昇圧動作の回路説明図、図9Bは、昇圧器の非昇圧状態での開弁保持動作の回路説明図である。 従来技術に係る燃料電池車両の電磁遮断弁の弁体に付与される各種力の大きさを示すタイムチャートである。 図11Aは、一般的なノーマルクローズ型電磁遮断弁の閉弁状態の模式図、図11Bは、ソレノイドに駆動電圧を印加した電磁遮断弁の駆動状態の模式図、図11Cは、電磁遮断弁の開弁状態の模式図、図11Dは、ソレノイドに対する駆動電圧の印加を解除したときの模式図である。 電磁遮断弁等の弁体の可動範囲に対する必要な電力を表す電力特性図である。 開弁保持期間中において、走行等により弁体に外力がかかった状態を説明するととともに、開弁保持期間中のソレノイド駆動電圧を低下させた状態の説明図である。
以下、この発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下に、参照する図面において、上記図10〜図13に示したものと対応するものには、同一の符号を付けてその詳細な説明は省略する。また、重複して説明することの煩雑さを避けるために、必要に応じて、上記図10〜図13を参照して説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る燃料電池車両10の概略構成図である。
この燃料電池車両10は、基本的には、燃料電池(FC)12と、高圧の燃料ガス(水素ガス)を貯留し前記燃料電池12に燃料ガスを供給する燃料タンク14と、燃料電池12に酸化剤ガスを含む空気を供給するエアコンプレッサ16と、各種補機に電力を供給する補機バッテリ18と、燃料電池12の高圧の出力電圧Vfcが供給されるインバータ20を通じて駆動される走行用モータ22とを備える。
走行用モータ22の出力軸は、トランスミッション24を通じて車輪26に回転トルクを与えて回転させる。
燃料電池12は、固体高分子電解質膜をアノード電極とカソード電極とで挟んで保持して構成される燃料電池セルを、複数積層させて一体化させたスタック構造になっている。
燃料電池12には、水素ガスを供給するための水素供給口28と、燃料電池12から排出される未使用の水素ガスを含む排ガスを排出するための水素排出口30と、燃料電池12に、空気を供給するための空気供給口32と、未使用の酸素を含む空気を燃料電池12から排出するための空気排出口34とが設けられている。
水素供給口28には、燃料ガス供給路36aが連通される。
燃料タンク14に連通する燃料ガス供給路36eに電磁遮断弁である主遮断弁40が設けられている。
主遮断弁40と、水素供給口28の燃料ガス供給路36aとの間には、燃料ガス供給路36d、出口圧力P2を調整するレギュレータ42、燃料ガス供給路36c、電磁遮断弁である副遮断弁44、燃料ガス供給路36b及びエゼクタ46が設けられている。
燃料ガス供給路36d、36c、及び36bには、それぞれ、出口圧力P1、出口圧力P2及び出口圧力P3を検知する圧力センサ48a、48b、48cが接続されている。
圧力センサ48aは主遮断弁40の開弁状態を検知する開弁状態検知器として機能し、圧力センサ48cは、副遮断弁44の開弁状態検知器として機能する。なお、開弁状態検知器としては、主遮断弁40(副遮断弁44)の入出力口(入出力ポート)間の差圧を検知するようにしてもよい。
エゼクタ46は、燃料ガス供給路36bを通じて供給される燃料ガスを燃料ガス供給路36a、水素供給口28を通じて燃料電池12に供給するとともに、燃料電池12の水素排出口30から排出されるオフガスを水素排出口30に連通する水素循環流路48から吸引して燃料電池12に再供給する。
水素循環流路48には、燃料電池12のアノード電極経路に溜まった水やカソード電極から電解質膜を透過してアノード電極経路に混入した窒素ガスを含む燃料ガスを、水素パージ流路50を介して排出して発電安定性を確保するために発電運転時に適宜開放される水素パージ弁52が設けられる。
一方、空気供給口32には、酸化剤ガス供給路(空気供給路)54が連通され、この酸化剤ガス供給路54には、大気からの空気を圧縮して供給する前記エアコンプレッサ16が設けられる。
空気排出口34は、空気排出路56に連通している。
燃料電池12の発電出力は、ダイオード58、電磁リレー60を通じて前記インバータ20に供給されるとともに、降圧コンバータ(ダウンバータともいう。)62に供給される。降圧コンバータ62は、発電電圧Vfc又は走行用モータ22の回生電力に基づくインバータ20の直流側に現れる電圧を所定の(補機バッテリ18が劣化していないときの)のバッテリ電圧Vbに降圧する。発電電圧Vfcとバッテリ電圧Vbは、それぞれ電圧センサ64、66により検知される。
補機バッテリ18は、バッテリ電圧Vbを発生する。バッテリ電圧Vbは、定電圧レギュレータであるECU電圧発生器68を介してバッテリ電圧Vbより低い定電圧Vccにされる(Vcc<Vb<<Vfc)。定電圧Vccは、主ECU(Electronic Control Unit)70や昇圧器ECU72の制御器76の電源電圧とされる。バッテリ電圧Vbは、後述するように、昇圧器ECU72を構成する昇圧器74の電源電圧とされる。
燃料電池車両10は、制御装置として、相互に通信する前記主ECU70と、前記昇圧器ECU72とを備える。
主ECU70は、基本的には、イグニッションスイッチ73からオン信号を受けて、燃料電池12を起動して発電させ、発電電力により燃料電池車両10を走行させる制御を行うとともに、イグニッションスイッチ73からオフ信号を受けて、燃料電池12の発電を停止させ、燃料電池車両10を停止させる制御を行う。
図2は、昇圧器ECU72の基本構成を示している。昇圧器ECU72は、基本的には、昇圧器74と、制御器76と、規定時間tr等を計時する計時器77とから構成される。
昇圧器74は、チョッパ型の昇圧コンバータであり、リアクトル78と整流ダイオードと平滑コンデンサ82と、IGBT又はMOSFET等の半導体スイッチ84とを備える。
バッテリ電圧Vbが昇圧器74によって所定電圧である駆動電圧Vdに昇圧され、昇圧された駆動電圧Vdが、IGBT又はMOSFET等の半導体スイッチ(メインスイッチという。)86を通じて主遮断弁40のソレノイド40Sの電力供給端子38、39に印加される。
半導体スイッチ84及びメインスイッチ86は、制御器76から出力される駆動信号Sa、Sbによりそれぞれオンオフ制御される。
制御器76及び主ECU70は、マイクロコンピュータを含む計算機であり、CPU(中央処理装置)、メモリであるROM(EEPROMも含む。)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、その他、A/D変換器、D/A変換器等の入出力装置、計時器(タイマ)、その他の駆動回路等を有しており、CPUがROMに記録されているプログラムを読み出し実行することで各種機能実現部、たとえば制御部、演算部、処理部等として機能する。
この実施形態において、主ECU70と昇圧器ECU72とは、検知された各種データを相互に共有している。
実際上、昇圧器ECU72は、主遮断弁40の他、副遮断弁44のソレノイド44S及び電磁リレー60のソレノイド60Sにも、バッテリ電圧Vbを昇圧した昇圧電圧を駆動電圧Vdとして印加するが、その際の昇圧器74の構成、動作は、図2に示した昇圧器74と同一であるので、回路構成及び動作説明の詳細は省略する。
図3に示すように、ソレノイド40s、44s、60sの電流電圧特性40sc、44sc、60scは、それぞれ異なるが、駆動の仕方は、電力特性PW1、PW2、PW3(PW1<PW2<PW3)をパラメータとして駆動される。駆動電圧Vdにより電流電圧特性40sc、44sc、60scを参照して駆動電流Idが決定され、決定された駆動電流Idによりプランジャに印加される駆動力(電磁力)が決定される。
基本的には、以上のように構成される燃料電池車両10について、以下、電磁遮断弁である主遮断弁40の節電制御についての第1実施例及び第2実施例について説明する。
第1実施例は、図4のフローチャートと図5、図6のタイムチャートを参照して説明し、第2実施例は、図7のフローチャートと図5、図8のタイムチャートを参照して説明する。
なお、図4のフローチャートを参照して説明する第1実施例は、補機バッテリ18が劣化していないときの主遮断弁40の駆動制御であり、図7のフローチャートを参照して説明する第2実施例は、補機バッテリ18が劣化して内部抵抗が増加し同一の出力電流において補機バッテリ18が劣化していないときのバッテリ電圧Vbに対してバッテリ電圧Vbが低下しているときの主遮断弁40の駆動制御である。
図7のフローチャートでは、ステップS12の降圧コンバータ制御処理が、図4のフローチャートに対して追加されている点で異なる。
第1実施例及び第2実施例のフローチャートを参照した説明に先立ち、好ましい主遮断弁40の選択(設定)について説明する。
図5のタイムチャートは、主遮断弁40の設定を説明するためのものであり、補機バッテリ18が劣化していないバッテリ電圧Vbを昇圧しないときの当該バッテリ電圧Vbに基づきソレノイド40Sに発生される開弁保持力Fs2が、頻度の低い大きな外力である推定最大外力Femax程度の外力Feがかかった場合には、時点t5〜時点t5´に示すように、主遮断弁40の弁体8が図11Aに示した閉弁状態CSに復帰することを許容する設定とする。ただし、図5の時点t5´以降の弁体復元力Frに示すように、主遮断弁40が閉弁状態CSに留まったままであると、燃料電池12に燃料ガスが供給されない状態となるので、以下に、この供給されない状態が継続する状態を直ちに解消して開弁状態OCとし、燃料ガスが燃料電池12に供給されるようにする制御処理を含む第1実施例の動作について、図6のタイムチャートを参照して説明する。なお、燃料電池12は、燃料タンク14から燃料ガス供給路36を通じて供給される燃料ガスが瞬断されても、燃料電池12内のアノード電極のガス流路には、燃料ガスが貯留しているので、発電は連続的に行われる。
上述の開弁保持力Fs2を発生する昇圧しないバッテリ電圧Vbを開弁保持電圧Vd2という。
[第1実施例]
そこで、図6のノーマルクローズ状態NSの時点t1において、主ECU70が、イグニッションスイッチ73がオフからオンにされたことを検知すると、イグニッションスイッチ73がオンにされたことが主ECU70から昇圧器ECU72の制御器76に伝達される。
このとき、ステップS1において、制御器76は、主遮断弁40の出口圧力P1を、圧力センサ48aを通じて検知し、出口圧力P1が閾値圧力Pthより小さいかどうかを判断する。出口圧力P1が閾値圧力Pthより小さい場合には、主遮断弁40が閉弁状態CSにあると判断し、ステップS2以降の開弁処理を実行する。
この場合、まず、ステップS2において、制御器76は、ハイレベルの駆動信号Sbによりメインスイッチ86を閉じる(メインスイッチ86をオンにする。)。
次に、ステップS3において、制御器76は、ソレノイド40Sに、図9Aに示すように、オンオフ(ハイレベルとρレベルの)繰り返し信号となる駆動信号Saを供給する。なお、デューティ{オン時間/(オン時間+オフ時間)}は、電圧センサ66により検知されるバッテリ電圧Vbを弁体駆動電圧Vd5まで昇圧するデューティに設定される弁体駆動制御が実行される。
この場合、昇圧器74は、半導体スイッチ84をオンとすることで、リアクトル78にバッテリ電圧Vbから接地に向かう電流が流れ、この電流によりリアクトル78にエネルギが蓄積される。このエネルギ蓄積状態では、整流ダイオード80はオフとなっており、平滑コンデンサ82からメインスイッチ86を通り負荷であるソレノイド40Sに電流が流れる。半導体スイッチ84をオフとすることで、リアクトル78に蓄積されたエネルギが逆起電力(電圧をViとする。)の形で放出され、整流ダイオード80がオンとなり、平滑コンデンサ82を充電すると同時に、負荷であるソレノイド40Sに電流として供給される。ソレノイド40Sにかかる弁体駆動電圧Vd5は、Vd5=Vb+Vi−Vf(Vfは整流ダイオード80の順方向電圧)となる。
この弁体駆動電圧Vd5により、図11Aに示す弁体8の閉弁状態CSから、図11Bに示すように、ソレノイド40Sのコイル2に電流が流れ、図6の時点t2において、ソレノイド40Sに発生する駆動力が起動閾値力Fs4を上回ると、ブランジャと一体になっている弁体8が矢印Q方向に移動を開始し、ノーマルクローズ状態NSから弁体駆動期間DS中の状態になる。これにより、弁体8が開弁状態OSの保持位置HP(図12参照)に向かい燃料タンク14から燃料電池12に対して燃料ガスが供給される。
なお、イグニッションスイッチ73がオンにされた時点で、規定時間trを計時する計時器77が計時を開始するとともに、レギュレータ42の出口圧力P2が設定され、副遮断弁44が開弁状態とされる。副遮断弁44は、主遮断弁40に比較して入出力圧力差が小さいので弁体復元力の小さい電磁弁が使用され主遮断弁40よりも先に開弁する。さらに、エアコンプレッサ16もイグニッションスイッチ73がオンにされた時点で動作を開始する。
次いで、昇圧中のステップS4において、主遮断弁40の下流側の圧力センサ48aによる出口圧力P1が、閾値圧力Pthに上昇したかどうかが確認される。閾値圧力Pthになっていなかった場合には、ステップS5において、イグニッションスイッチ73がオンとされた時点から規定時間trが経過したかどうかが判断される。換言すれば、昇圧中のステップS4において、主遮断弁40の下流側の圧力センサ48aによる出口圧力P1が、燃料タンク14から燃料ガスが供給されるのに応じて、計時器77により計時される時間が規定時間tr以内(ステップS5の判断)に閾値圧力Pthに上昇したかどうかが確認される。なお、閾値圧力Pthまで規定時間tr以内に上昇しなかった場合には、ステップS6において、警告(燃料タンク14の燃料ガスが過少又は主遮断弁40の動作不良等)がなされる。
規定時間tr以内に圧力P1が閾値圧力Pth(P1=Pth)に到達した場合、正常に主遮断弁40が開弁したと判断し、ステップS7において、制御器76から出力される駆動信号Saをオンオフ繰り返し信号から、図9Bに示す、オフ信号(Sa=0=OFF)にして、半導体スイッチ84をオフ状態に保持する。これにより、昇圧器74による昇圧が解除される。
この場合、昇圧器74は、図9Bに示すように、メインスイッチ86が閉状態となっており、上述したように、半導体スイッチ84は、オフ状態(開状態)になっている。
この場合、図6の時点t3に示すように、主遮断弁40のソレノイド40Sにバッテリ電圧Vbに応じた開弁保持力Fs2が発生されている。
ステップS7(時点t3)以降の弁体駆動期間DS中において、燃料電池12が発電を開始した後、燃料電池車両10は、走行可能状態とされる。
主ECU70は、図示しないアクセルペダル等の操作に応じて、インバータ20を駆動し、燃料電池12で発電された電力を、走行用モータ22に伝達することで、燃料電池車両10が走行する。
次いで、時点t3以降のステップS8において、圧力P1が異常低下閾値圧力Path(0≦Path<<Pth)になったかどうか(P1<Path)が監視される。
このステップS8の監視判断は、例えば、時点t4から燃料電池車両10の走行加速度の変化に応じて主遮断弁40の弁体8に外力Feが加わり、弁体復元力Frと外力Feとの合成力Fr+Feが、頻度の少ない推定最大外力Femaxの発生により、駆動力(開弁保持力)Fs2を上回ったとき(時点t5参照)、弁体8が開弁状態OSから閉弁状態CSになった場合に、出口圧力P1が異常低下閾値圧力Pathを下回り、肯定的となる。
そこで、時点t5+αの時点で、再び、ステップS3にもどり、昇圧器74を用いた昇圧処理が開始され、弁体8を閉弁状態Cから再び開弁状態OSにする(ステップS4:肯定)。
このようにして、第1実施例に係る補機バッテリ18が劣化していないときの主遮断弁40の駆動制御処理が継続され、イグニッションスイッチ73がオンからオフにされた時点t10において、メインスイッチ86が開状態(オフ)とされて、制御処理が終了し、主遮断弁40は、保持期間HS中の状態から復帰期間RS中の状態を通じてノーマルクローズ状態NSになる。
その時点t10において、レギュレータ42の設定も解除され、副遮断弁44も閉状態(ノーマルクローズ状態)にされる。
なお、時点t11以降、直ぐに、イグニッションスイッチ73がオフからオンにもどされた場合には、再度ステップS1において、出口圧力P1が閾値圧力Pthより小さいかどうかが判断されるが、圧力が残っていて、ステップS1の判断は肯定的とされる場合がある。
この場合には、ステップS9において、再びメインスイッチ86が閉状態とされ、さらに、ステップS10において、バッテリ電圧Vbを弁体駆動電圧Vd5まで昇圧する昇圧制御を開始し、この昇圧制御の時間が、ステップS11の判断により規定時間trに到達したときに、主遮断弁40は、開弁状態OSに戻ったものとみなされて、ステップS7の昇圧解除処理がなされ、時点t3以降と同様の、開弁状態OSの保持期間HS中の状態に遷移する。
以上説明したように、第1実施例によれば、制御器76は、主遮断弁40が閉弁状態CSから開弁状態OSに遷移する第1の期間(例えば、図6の時点t1〜時点t3)では、昇圧器74を駆動することで補機バッテリ18の電圧Vbを弁体駆動電圧Vd5まで昇圧して電力供給端子38、39に印加する弁体駆動制御を行い、前記弁体駆動制御により主遮断弁40が開弁状態OSに遷移した後、電力供給端子38、39に供給する電力を遮断するまでの第2の期間(例えば、図6の時点t3〜時点t10)では、前記第1の期間で主遮断弁40に供給される弁体駆動電圧Vd5よりも低い開弁保持電圧Vd2(開弁保持電圧Vd2は、この実施形態のように昇圧器72により昇圧しないバッテリ電圧Vbとすることが節電の観点からより好ましいが、昇圧した電圧としても一定の節電効果が得られる。)を電力供給端子38、39に印加する開弁保持制御を行い、前記開弁保持制御中に、圧力センサ48aにより主遮断弁40の閉弁状態CSとみなされる状態が検知されたときには(図6の時点t5近傍)、前記弁体駆動制御を行い、再度、前記開弁保持制御に移行させる。
この場合において、主遮断弁40に対する駆動力Fsは、開弁保持電圧Vd2(補機バッテリ18が劣化していないときのバッテリ電圧Vbを昇圧しない当該バッテリ電圧Vb)により発生する弁体8の開弁保持力Fs2が、弁体8が閉弁状態CSに復帰する方向の弁体復元力Frより大きく、燃料電池車両10の走行時に弁体8に閉弁方向にかかる推定最大外力Femaxよりも小さく設定されている。
このように、主遮断弁40が閉弁状態CSから開弁状態OSに遷移する第1の期間(弁体駆動期間DS中)では、昇圧器74を駆動することで補機バッテリ18の電圧+12[V]を弁体駆動電圧Vd5まで昇圧して電力供給端子38、39に印加して、主遮断弁40を開弁状態OSに遷移させ、開弁状態OSになった後、電力供給端子38、39に供給する電力を遮断するまでの第2の期間(開弁保持期間HS中)では、発生頻度の低い推定最大外力Femax近傍の外力Feがかかった場合には、閉弁状態CSに復帰することを許容する程度の開弁保持力Fs2を発生する開弁保持電圧Vd2=Vbを主遮断弁40の電力供給端子38、39に印加するように駆動電圧(印加電圧)Vdを調整している。
そして、開弁保持期間HS中に、外力Feにより閉弁状態CSに復帰した場合に、再度、昇圧器74により補機バッテリ18のバッテリ電圧Vbを弁体駆動電圧Vd5まで昇圧して主遮断弁40の弁体8を開弁状態OSに移動させる。
このように制御することにより、弁体駆動期間DS中のバッテリ電圧Vbの昇圧により弁体8の閉弁状態CSから開弁状態OSまでの弁体駆動期間が短くなり、かつ外力Feによる弁体復帰時RS(図6の時点t5〜t5´)にも燃料電池12への燃料ガスの供給を迅速に再開できるので燃料電池12の発電作用に影響を与えることがない。
そして、開弁保持期間Hs中の主遮断弁40の消費電力は、駆動電圧Vdが、図13を参照して説明した最大外力対応開弁保持電圧Vd3から図6に示す開弁保持電圧Vd2に低下させたので、燃料電池車両10のイグニッションスイッチ73がオンとなっている走行時における主遮断弁40の開弁状態OSの全期間でハッチング領域で示す節減消費電力ΔEe分消費電力を低下させることができる。
この実施形態では、補機バッテリ18の出力電圧Vbを、開弁保持電圧Vd2に設定しているので、弁体8を開弁状態OSに保持する開弁保持制御中HSには、昇圧器74の昇圧動作を停止することができ、昇圧器74が作動しない分消費電力をさらに低減することができる。
[第2実施例]
次に、第2実施例について、図7のフローチャートと、図5、図8のタイムチャートを参照して説明する。上述したように、第2実施例は、補機バッテリ18が劣化して内部抵抗が増加し、同一の出力電流においてバッテリ電圧Vbが低下しているときの主遮断弁40の制御である。図7のフローチャートでは、ステップS12の降圧コンバータ制御処理が、図4のフローチャートに対して追加されている点で異なっている。以下、追加されている部分を主に説明する。
補機バッテリ18が劣化すると、内部抵抗が大きくなり、同一の電流を流しだしても、バッテリ電圧Vbが劣化していないときのバッテリ電圧Vbよりも低下する。そこで、降圧コンバータ62の低圧側(補機バッテリ18側)の設定電圧は、補機バッテリ18が劣化していない状態でのバッテリ電圧Vbに設定しておく。
図7のステップS3での昇圧を開始し、ステップS4での開弁状態OSの確認後の図8の時点t3において、ステップS12aで、降圧コンバータ62の制御を行う。この場合、電圧センサ66により検知されるバッテリ電圧Vbが、図8に示す開弁保持力Fs2を発生可能な開弁保持電圧Vd2よりも高くなっているかどうかを判断し(Vb>Vd2)、低くなっている場合には、ステップS12bで補機バッテリ18のバッテリ電圧Vbを昇圧器74により開弁保持最小電圧Vd2minまで昇圧して(昇圧器74の消費電力は若干増加するが、開弁保持電圧Vd2まで昇圧してもよい。)、主遮断弁40の電力供給端子38、39に供給する。
そして、図8の時点t3以降において、燃料電池12における発電が開始し、時点t3´で降圧コンバータ62が動作を開始すると、その時点t3´において、電圧センサ66により検知しているバッテリ電圧Vbが、開弁保持電圧Vd2まで上昇し、ステップS12aの判断が肯定的となり(Vb≧Vd2)、ステップS7にもどり、昇圧器74によるバッテリ電圧Vbを開弁保持最小電圧Vd2minまで昇圧する昇圧動作を解除する。
以降、時点t3´〜時点t10の間では、降圧コンバータ62によりバッテリ電圧Vbが閾値電圧Vthに保持される。この第2実施例においても、図8の時点t5〜時点t6に示すように、頻度の少ない大きな外力Feにより主遮断弁40が閉弁状態CSに復帰したとしても(ステップS8:肯定)、時点t5+αの時点で、再び、ステップS3の昇圧器74を用いた弁体駆動電圧Vd5までの昇圧処理が開始され、弁体8が閉弁状態Cから再び開弁状態OSにされる(ステップS4:肯定)。
以上説明したように、上述した第2実施例によれば、燃料電池12と補機バッテリ18との間に接続され、燃料電池12の高電圧Vfcを、開弁保持電圧Vd2に降圧する降圧コンバータ62を備えているので、補機バッテリ18の出力電圧であるバッテリ電圧Vbが、劣化して低下している等により開弁保持電圧V2の設定電圧になっていなくても、イグニッションスイッチ73のオン時に昇圧器74により弁体駆動電圧Vd5まで昇圧して主遮断弁40を開弁状態OSにして燃料電池12に燃料ガスを供給した後、燃料電池12が実際に発電を開始して発電電圧Vfcを発生する迄の間、必要に応じて昇圧器74により現在のバッテリ電圧Vbを開弁保持最小電圧Vd2minまで昇圧して開弁状態OSを保持し、その後、発電電圧Vfcが発生され降圧コンバータ62から開弁保持電圧Vd2が印加されたときに、昇圧器74の昇圧動作を停止することができる。
すなわち、制御器76は、補機バッテリ18の出力電圧であるバッテリ電圧Vbを監視し、バッテリ電圧Vbが開弁保持電圧Vd2よりも低い電圧となっている場合に、イグニッションスイッチ73がオンとされたとき、前記弁体駆動制御を行った後、降圧コンバータ62から開弁保持電圧Vthが印加されるまで、バッテリ電圧Vbを昇圧器74により開弁保持電圧Vd2の最小値である最小開弁保持電圧Vd2hminまで昇圧させるように制御することで、補機バッテリ18が劣化等してバッテリ電圧Vbが低下している場合においても、一旦開弁した主遮断弁40の開弁状態OSを保持することができる。
なお、この発明は、上述の実施形態に限らず、この明細書の記載内容に基づき、上述した主遮断弁40に適用することの他、例えば、副遮断弁44あるいは電磁リレー60に適用する等、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
2…コイル 4…ヨーク
8…弁体 10…燃料電池車両
12…燃料電池 14…燃料タンク
18…補機バッテリ
36、36a〜36e…燃料ガス供給路 38、39…電力供給端子
40…主遮断弁(電磁遮断弁) 40S、44S、60S…ソレノイド
44…副遮断弁 48a〜48c…圧力センサ
60…電磁リレー 62…降圧コンバータ
64、66…電圧センサ 73…イグニッションスイッチ
74…昇圧器 76…制御器

Claims (4)

  1. 燃料ガスと酸化剤ガスとの反応により発電する燃料電池と、
    前記燃料ガスを貯留する燃料タンクと、
    前記燃料タンクから前記燃料電池に前記燃料ガスを供給する燃料ガス供給路と、
    前記燃料ガス供給路に挿入され、前記燃料ガスの供給を弁体復元力により遮断する閉弁状態にされるとともに、電力供給端子への電力供給によるソレノイド励磁により前記弁体復元力に抗って弁体が開放されて開弁状態になる電磁遮断弁と、
    前記電磁遮断弁の閉弁状態を検知する閉弁状態検知器と、
    当該燃料電池車両の補機バッテリと、
    前記補機バッテリと前記電磁遮断弁との間に接続される昇圧器と、
    前記昇圧器を制御する制御器と、
    を備え、
    前記制御器は、
    前記電磁遮断弁が閉弁状態から開弁状態に遷移する第1の期間では、前記昇圧器を駆動することで前記補機バッテリの出力電圧を弁体駆動電圧まで昇圧して前記電力供給端子に印加する弁体駆動制御を行い、
    前記弁体駆動制御により前記電磁遮断弁が開弁状態に遷移した後、前記電力供給端子に供給する電力を遮断するまでの第2の期間では、前記第1の期間で前記電磁遮断弁に供給される電圧よりも低い開弁保持電圧を前記電力供給端子に印加して維持する開弁保持制御を行い、
    前記開弁保持制御中に、前記閉弁状態検知器により前記電磁遮断弁の閉弁状態が検知されたときには、前記昇圧器を駆動することで前記補機バッテリの出力電圧を前記弁体駆動電圧まで昇圧して前記電力供給端子に印加する前記弁体駆動制御を行った後、再度、前記開弁保持電圧に降圧し該開弁保持電圧を維持する前記開弁保持制御に移行させ、
    前記電磁遮断弁は、
    前記開弁保持電圧により発生する前記弁体の開弁保持力が、前記弁体が閉弁状態に復帰する方向の前記弁体復元力より大きく、当該燃料電池車両の走行時に走行加速度の変化に応じて前記弁体に閉弁方向にかかる推定最大外力よりも小さく設定されている
    ことを特徴とする燃料電池車両。
  2. 請求項1記載の燃料電池車両において、
    前記補機バッテリの出力電圧が、前記開弁保持電圧に設定されている
    ことを特徴とする燃料電池車両。
  3. 請求項1又は2記載の燃料電池車両において、
    さらに、前記燃料電池と前記補機バッテリとの間に接続され、前記燃料電池の高電圧を、前記開弁保持電圧に降圧する降圧コンバータを備える
    ことを特徴とする燃料電池車両。
  4. 請求項3に記載の燃料電池車両において、
    前記制御器は、
    前記補機バッテリの出力電圧を監視し、
    前記補機バッテリの出力電圧が前記開弁保持電圧よりも低い電圧となったとき、前記弁体駆動制御を行った後、前記降圧コンバータから前記開弁保持電圧が印加されるまで、前記補機バッテリの出力電圧を前記昇圧器により前記開弁保持電圧の最小電圧まで昇圧させる
    ことを特徴とする燃料電池車両。
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