しかしながら、上記特許文献1に記載された風呂落とし込み装置の場合、一般的な給湯器と同等な構造の主給湯器に加えて、補助給湯器や、補助給湯器から主給湯器に至る配管などが設けられることになる。そのため、それら補助給湯器及びそれに付随する構成部品が増える分だけ、機器全体が一般的な給湯器よりも大がかりなものになりやすい、という問題があった。
また、上記特許文献2に記載された風呂装置の場合も、風呂装置本体に加えて、太陽熱集熱器や、風呂装置本体と太陽熱集熱器との間の配管などが設けられることになる。そのため、上記特許文献1に記載の技術同様、それら太陽熱集熱器やそれに付随する構成部品が増えて、機器全体が一般的な給湯器よりも大がかりなものになりやすい、という問題があった。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、給湯器本体とは別体とされた機器を利用しなくても、太陽熱のような給湯器本体外にある熱源を利用した加熱を実施可能な給湯器を提供することにある。
以下、本発明において採用した構成について説明する。
請求項1に記載の給湯器は、浴槽への給湯が可能な給湯器であって、給湯時に作動する加熱手段と、給湯器本体の内部又は周囲の温度を検出可能な温度検出手段と、前記加熱手段を作動させていない状態であるにもかかわらず、前記温度検出手段によって検出される温度があらかじめ定められた第一のしきい値以上となった場合に、前記加熱手段を作動させない状態のまま、前記給湯器本体内に設けられた配管内の水を一時的に前記浴槽へと放出する制御を行う制御手段とを備えることを特徴とする。
このように構成された給湯器によれば、加熱手段を作動させていない状態であるにもかかわらず、給湯器本体の温度が上昇するような環境(例えば、日当たりのよい場所など)に給湯器が設置してある場合、温度検出手段によって検出される温度が第一のしきい値以上に変化すれば、加熱手段が作動しない状態のまま、給湯器本体内に設けられた配管内の水が浴槽へと放出される。したがって、単に加熱手段による加熱のみを行う給湯器とは異なり、給湯器外から到来するエネルギーを有効に利用して、浴槽内の湯温を上昇させることができる。
なお、以上のような給湯器において、配管内の水を一時的に浴槽へと放出する制御としては、例えば、配管内の水の放出を開始した後、第一のしきい値以上となったことを検出した温度検出手段によって検出される温度が、あらかじめ定められた第二のしきい値以下となった場合に、配管内の水の放出を停止させる制御を行う、といったものを考え得る。このように構成された給湯器であれば、配管内の水の温度が第二のしきい値以下まで下がると水の放出が停止されるので、十分に昇温した状態にない水が無駄に浴槽に貯め込まれてしまうのを防止できる。
また、配管内の水を一時的に浴槽へと放出する制御としては、例えば、配管内から放出される水の量を流量検出手段で検出し、所定量の水が放出されたことを検出した場合に、配管内の水の放出を停止させる制御を行う、といったものでもよい。あるいは、浴槽内の水位を水位検出手段で検出し、所定の水位に達したことを検出した場合に、配管内の水の放出を停止させる制御を行う、といったものでもよい。あるいは、例えば、配管内の水を所定時間だけ浴槽へと放出する制御を行ってもよい。
以上のような構成を採用する場合、所定時間や所定量などの値は、あらかじめ取り決められている固定値となっていてもよいし、利用者が任意に設定可能な可変値となっていてもよい。あるいは、利用者が任意には設定できない値であっても、外気温や季節等の条件に応じて給湯器が自ら設定変更を行う可変値となっていてもよい。
加えて、これら時間、量、温度などの諸条件は、併用することも可能であり、例えば、所定温度以下になった、所定量を放出した、所定時間が経過した、といった諸条件の中から2以上を選ぶとともに、その選ばれた2以上の条件のうち、少なくとも一つが満たされた場合に浴槽への放出を停止させる制御を行っても、配管内の水を一時的に浴槽へと放出することができる。
請求項2に記載の給湯器は、請求項1に記載の給湯器において、入水路を介して前記給湯器へ供給される水の温度を検出する入水温検出手段、出湯路を介して前記給湯器から出湯箇所へ供給される湯の温度を検出する出湯温検出手段、前記給湯器が備える内胴内の温度を検出する内胴温検出手段、前記給湯器の外部の気温を検出する外気温検出手段、前記浴槽から前記給湯器へ戻される湯の温度を検出する風呂戻り湯温検出手段、及び前記給湯器へ戻されてから再び前記浴槽へと供給される湯の温度を検出する風呂行き湯温検出手段のうち、少なくとも一つの手段を備えていて、当該少なくとも一つの手段が、前記温度検出手段として利用されており、前記制御手段は、前記少なくとも一つの手段からなる温度検出手段のうち、いずれか一つの温度検出手段によって検出される温度があらかじめ定められた第一のしきい値以上となった場合に、前記加熱手段を作動させない状態のまま、前記給湯器本体内に設けられた配管内の水を一時的に前記浴槽へと放出する制御を行うことを特徴とする。
このように構成された給湯器によれば、入水温検出手段、出湯温検出手段、内胴温検出手段、外気温検出手段、風呂戻り湯温検出手段、及び風呂行き湯温検出手段のうち、少なくとも一つの手段を備えており、その少なくとも一つの手段が、上述の温度検出手段として利用されるので、上述の少なくとも一つの手段とは別に、専用の温度検出手段を設けなくても済み、その分だけ給湯器の構成を簡素化することができる。
請求項3に記載の給湯器は、浴槽から給湯器を経て前記浴槽へと戻る循環流路と、作動時に前記循環流路内を流れる水に対する加熱を行う加熱手段とを備えた給湯器であって、給湯器本体の内部又は周囲の温度を検出可能な温度検出手段と、前記加熱手段を作動させていない状態であるにもかかわらず、前記温度検出手段によって検出される温度があらかじめ定められた第一のしきい値以上となった場合に、前記加熱手段を作動させない状態のまま、前記循環流路内の水を一時的に循環させる制御を行う制御手段とを備えることを特徴とする。
このように構成された給湯器によれば、加熱手段を作動させていない状態であるにもかかわらず、給湯器本体の温度が上昇するような環境(例えば、日当たりのよい場所など)に給湯器が設置してある場合、温度検出手段によって検出される温度が第一のしきい値以上に変化すれば、加熱手段が作動しない状態のまま、循環流路内の水が循環する。したがって、単に加熱手段による加熱のみを行う給湯器とは異なり、給湯器外から到来するエネルギーを有効に利用して、浴槽内の湯温を上昇させることができる。
なお、以上のような給湯器において、循環流路内の水を一時的に循環させる制御としては、例えば、循環流路内の水の循環を開始した後、浴槽から給湯器へ戻される湯の温度を検出する風呂戻り湯温検出手段、又は給湯器へ戻されてから再び浴槽へと供給される湯の温度を検出する風呂行き湯温検出手段のうち、いずれかによって検出される温度の変化幅が所定以下となった場合に、循環流路内の水の循環を停止させる制御を行う、といったものを考え得る。
また、循環流路内の水を一時的に循環させる制御としては、上記のような温度変化を見るほか、例えば、循環流路内の水を所定時間だけ循環させて、その後は循環を停止させる制御を行う、といったものでもよい。あるいは、例えば、配管内の水を所定量だけ循環させて、その後は循環を停止させる制御などを採用してもよい。
以上のような構成を採用する場合、所定時間や所定量などの値は、あらかじめ取り決められている固定値となっていてもよいし、利用者が任意に設定可能な可変値となっていてもよい。あるいは、利用者が任意には設定できない値であっても、外気温や季節等の条件に応じて給湯器が自ら設定変更を行う可変値となっていてもよい。
加えて、これら温度、時間、量などの諸条件は、併用することも可能であり、例えば温度の変化幅が所定以下になった、所定時間が経過した、所定量を循環させた、といった諸条件の中から2以上を選ぶとともに、その選ばれた2以上の条件のうち、少なくとも一つが満たされた場合に循環流路内における水の循環を停止させる制御を行っても、循環流路内の水を一時的に循環させることができる。あるいは、上記のような温度変化と時間を組み合わせる方法としては、循環流路内の水の循環をあらかじめ定められた時間だけ循環させて、その後は循環流路内で温度を検出し、その温度の変化幅が所定以下となった場合に、循環流路内の水の循環を停止させる制御を行う、といった組み合わせ方もできる。
請求項4に記載の給湯器は、請求項3に記載の給湯器において、入水路を介して前記給湯器へ供給される水の温度を検出する入水温検出手段、出湯路を介して前記給湯器から出湯箇所へ供給される湯の温度を検出する出湯温検出手段、前記給湯器が備える内胴内の温度を検出する内胴温検出手段、前記給湯器の外部の気温を検出する外気温検出手段、前記浴槽から前記給湯器へ戻される湯の温度を検出する風呂戻り湯温検出手段、及び前記給湯器へ戻されてから再び前記浴槽へと供給される湯の温度を検出する風呂行き湯温検出手段のうち、少なくとも一つの手段を備えていて、当該少なくとも一つの手段が、前記温度検出手段として利用されており、前記制御手段は、前記少なくとも一つの手段からなる温度検出手段のうち、いずれか一つの温度検出手段によって検出される温度があらかじめ定められた第一のしきい値以上となった場合に、前記加熱手段を作動させない状態のまま、前記循環流路内の水を一時的に循環させる制御を行うことを特徴とする。
このように構成された給湯器によれば、入水温検出手段、出湯温検出手段、内胴温検出手段、外気温検出手段、風呂戻り湯温検出手段、及び風呂行き湯温検出手段のうち、少なくとも一つの手段を備えており、その少なくとも一つの手段が、上述の温度検出手段として利用されるので、上述の少なくとも一つの手段とは別に、専用の温度検出手段を設けなくても済み、その分だけ給湯器の構成を簡素化することができる。
請求項5に記載の給湯器は、請求項3又は請求項4に記載の給湯器において、少なくとも前記風呂戻り湯温検出手段又は前記風呂行き湯温検出手段のいずれかを備えていて、前記制御手段は、前記循環流路内の水の循環を開始させた後、前記風呂戻り湯温検出手段又は前記風呂行き湯温検出手段のいずれかで循環流路内の水温を検出し、その水温が所定温度以上となった場合に、前記浴槽へ追加給水する制御を行うことを特徴とする。
このように構成された給湯器によれば、循環流路内の水温が所定温度以上となった場合に浴槽へ追加給水される。ここで、上記所定温度としては、例えば、この所定温度よりも循環流路内の水温が高い場合に循環流路内における水の循環を続けても、浴槽や循環流路内における大幅な水温上昇が期待できないと想定される温度、あるいは、浴槽内の水温をこの所定温度以上上昇させる必要がない、といった温度などが任意に設定される。
いくつかの具体例を挙げれば、例えば、外気温検出手段などによって外気温を実測すれば、その外気温と循環流路内の水温との関係に基づいて、水の循環を続けても水温の大幅な上昇が期待できないかどうかを予測できるので、そのような外気温又は外気温に応じて決まる値などを上記所定温度として利用することができる。
また、上記のように個々の給湯器が外気温をその場で実測しなくても、例えば、モデルケースとなる環境で循環流路内の水を循環させて循環流路内の水温がどの程度まで上昇するのかを実測し、その実測値から平均温度や最低温度などを求めれば、それら平均温度や最低温度などをメモリに記憶しておいて、その記憶値を上記所定温度として利用することもできる。
さらには、循環流路内の水温がどの程度になったときに浴槽へ追加給水するかは、利用者が任意に決めても構わない事項なので、上記のような固定値や変動値を給湯器側において決定する必要もなく、例えば、利用者が任意に所定温度を設定できるようになっていても構わない。この場合、利用者が入浴時に期待する湯温と追加給水による温度低下を勘案して、所望の温度を適宜設定するようなこともできる。
つまり、上記のような所定温度の決め方は様々であり、上記手法どれでも任意に採用することができ、さらには上記以外の手法で所定温度を決めても構わないが、いずれにしても、この給湯器では、上記のような所定温度を判断基準にして、循環流路内の水温が所定温度以上となった場合に、浴槽への追加給水が行われる。
そのため、例えば、水の循環を続けても水温の大幅な上昇が期待できない状態に至っている場合でも、上記のような追加給水に伴って浴槽内の水温が低下すれば、浴槽内の水はさらに熱交換器内で加熱され得る温度となる。したがって、このような浴槽への追加給水を行わないまま循環を続ける場合に比べ、より多くの熱エネルギーを給湯器外から受け取ることができるようになるとともに、追加給水分だけ浴槽内の水量を増やすことができる。
あるいは、例えば、浴槽内の水温が利用者によって設定された所望の温度を超えたような場合でも、上記のような追加給水に伴って浴槽内の水温が低下すれば、浴槽内の水温を利用者によって設定された所望の温度に近づけることができ、これにより、浴槽内の水温を必要以上に高温にすることなく、追加給水分だけ浴槽内の水量を増やすことができる。
なお、請求項5に記載の給湯器において、浴槽への追加給水を行った場合、その後に循環を再開させるか否かは任意である。また、追加給水や循環を行う回数なども任意であり、例えば、浴槽内の水量が所望の量に達するまで、循環と追加給水を繰り返すようにしてもよい。
また、上記のような追加給水を行うに当たっては、循環流路内の水の循環をいったん停止させてから、浴槽への追加給水を行ってもよいし、循環流路内の水の循環を停止させることなく、浴槽への追加給水を行ってもよい。
次に、請求項6に記載の給湯器は、請求項3〜請求項5のいずれか一項に記載の給湯器において、少なくとも前記風呂戻り湯温検出手段又は前記風呂行き湯温検出手段のいずれかを備えていて、前記制御手段は、前記循環流路内の水の循環を開始させた後、少なくとも前記風呂戻り湯温検出手段又は前記風呂行き湯温検出手段のいずれかによって検出される温度の変化幅が所定以下となった場合に、前記循環流路内の水の循環を停止させる制御を行うことを特徴とする。
このように構成された給湯器によれば、風呂戻り湯温検出手段又は風呂行き湯温検出手段のいずれかによって検出される温度の変化幅が所定以下となった場合に、循環流路内の水の循環が停止するので、循環流路内の水温に変化がないにもかかわらず、循環流路内の水を無駄に循環させてしまうのを防止できる。
請求項7に記載の給湯器は、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の給湯器において、加熱手段の作動時に給湯器本体の内部へ空気を送り込む送風手段を備えており、前記制御手段は、前記少なくとも一つの手段からなる温度検出手段のうち、いずれか一つの温度検出手段によって検出される温度があらかじめ定められた第一のしきい値以上となった場合に、前記加熱手段を作動させない状態のまま、前記送風手段を作動させることを特徴とする。
このように構成された給湯器によれば、給湯器本体内において、水が流れる流路から離れた箇所の熱も、水が流れる流路へと移動しやすくなるので、より効率良く流路内の水を昇温させることができる。
なお、以上説明したような構成のほか、本発明の給湯器においては、さらに次のような構成を採用してもよい。まず、給湯器本体の温度が上昇するような環境として、日当たりのよい場所を想定する場合は、給湯器の外装色が黒色又は黒色に近い系統の色合いであると、給湯器本体の温度が上昇しやすいので好ましい。
また、上記請求項7に記載の構成では、温度検出手段によって検出される温度があらかじめ定められた第一のしきい値以上となった場合に、送風手段を作動させているが、この他、請求項1に記載の構成であれば、給水の開始を契機として送風手段を作動させてもよい。また、請求項3に記載の構成であれば、循環の開始を契機として送風手段を作動させてもよい。
また、請求項1又は請求項2に記載のような制御を行う際には、事前に音声などで、利用者に対して浴槽の栓を閉じるように要請するメッセージを報知すると好ましい。あるいは、浴槽の栓の開閉制御を行うことができる場合は、浴槽の栓を閉じる制御を行ってもよい。
次に、本発明の実施形態について、いくつかの具体的な例を挙げて説明する。
〔1〕第一実施形態
[給湯器の構造]
以下に例示する給湯器1は、図1に示すように、給湯栓2や浴槽3などの出湯箇所へ湯を供給する給湯部1Aと、浴槽3内にある湯の保温ないし追い焚きを行う保温部1Bと、これら給湯部1A及び保温部1Bの作動を制御する制御部1Cとを備えている。
この給湯器1において、給湯部1Aは、内胴11A内に形成された燃焼室12Aを有し、燃焼室12A内には、バーナー13A〜13Cと熱交換器15Aが配設されている。また、保温部1Bは、内胴11B内に形成された燃焼室12Bを有し、燃焼室12B内には、バーナー13Dと熱交換器15Bが配設されている。
これら燃焼室12A,12Bは、互いに連通した構造になっていて、ファンモーター18によってファン19を回転駆動することにより、内胴11A,11Bの外部から燃焼室12A,12Bの内部へ空気を供給可能になっている。
また、給湯器1は、バーナー13A〜13Dへのガス供給路となるガス供給管21を備えている。このガス供給管21は、上流端側がガス供給源(例えば、都市ガス内管やプロパンガス用配管等)に接続された本管23と、本管23から複数に分岐した支管24A〜24Dとで構成され、給湯部1Aにおいては支管24A〜24Cの下流端がバーナー13A〜13Cに接続され、保温部1Bにおいては支管24Dの下流端がバーナー13Dに接続されている。
このガス供給管21において、本管23には元電磁弁27、及びガス比例制御弁28が設けられ、さらに支管24A〜24Dには切替電磁弁29A〜29Dが設けられている。これら元電磁弁27、ガス比例制御弁28及び切替電磁弁29A〜29Dは、それぞれが制御部1Cに制御されて作動する。
さらに、給湯器1は、以下のような各種通水用配管を備えている。まず、給湯部1Aには、熱交換器15Aへの入水路をなす給水管31と、熱交換器15Aからの出湯路をなす出湯管33と、給水管31の流路途中から分岐して出湯管33へと連通するバイパス管35と、出湯管33の流路途中から分岐して保温部1B側へと延びる分岐管37が設けられている。
一方、保温部1Bには、浴槽3内の湯を熱交換器15Bへと戻す風呂戻り流路をなす風呂戻り配管41と、熱交換器15Bから浴槽3への風呂行き流路をなす風呂行き配管43が設けられ、これら風呂戻り配管41及び風呂行き配管43が、浴槽3から熱交換器15Bを経て浴槽3へと戻る循環流路を形成している。
また、保温部1Bには、風呂戻り配管41の流路途中から分岐して風呂行き配管43へと連通するバイパス管45も設けられている。なお、上述した給湯部1Aの分岐管37は、風呂戻り配管41の流路途中に連通している。
これらの通水用配管のうち、給水管31は、その上流端側が水供給源(例えば、水道管)に接続され、給水管31の上流端側から下流端側に至る流路の途中には、上流端側から順に、上流側から下流側へと流れる水を濾過するストレーナー51、給水管31内を流れる水量を検出する給湯水量センサー53、給水管31内を流れる水量を増減制御する水量制御モーター55、熱交換器15Aへ流れる水の温度を検出する入水温検出用サーミスター57、及び給水管31内の水が凍結するのを防止する凍結予防ヒーター59などが設けられている。
出湯管33は、その下流端側が出湯箇所(本実施形態においては給湯栓2のある箇所)に接続され、出湯管33の上流端側から下流端側に至る流路の途中には、上流端側から順に、熱交換器15Aから流出する湯の温度を検出する第一出湯温検出用サーミスター61、出湯管33とバイパス管35の合流点よりも下流側において湯の温度を検出する第二出湯温検出用サーミスター63などが設けられている。
分岐管37は、出湯管33側を上流側として下流側にある風呂戻り配管41への給湯路を形成する配管で、分岐管37の上流端側から下流端側に至る流路の途中には、分岐管37を介して浴槽3へ給湯を行う際に開弁される給湯用電磁弁71、分岐管37を流れる水量を検出する落し込み水量センサー73、分岐管37における逆流を阻止する逆止弁75などが設けられている。
また、分岐管37には縁切弁77が付設されており、上水側(給水管31側)の水圧低下等に起因して、分岐管37よりも下流側となるべき流路から上流側となるべき流路へ水を吸い上げてしまうような負圧が生じた際には、縁切弁77が開くことで、分岐管37を介して水が逆流するのを防止している。また、分岐管37内の圧力が過大になったときには、縁切弁77が開くことで、その圧力を逃がす役割も果たしている。
風呂戻り配管41は、上流端側がバスアダプター81を介して浴槽3に取り付けられ、風呂戻り配管41の上流端側から下流端側に至る流路の途中には、浴槽3から流入する湯の温度を検出する風呂戻り湯温検出用サーミスター83、風呂戻り配管41内の圧力を検出する圧力センサー85、風呂戻り配管41において上流側から下流側へ湯を圧送する循環ポンプ87、風呂戻り配管41内を水(湯)が流れたことを検出する流水スイッチ89などが設けられている。
ちなみに、風呂戻り配管41は、浴槽3内の湯を熱交換器15Bへと圧送する際には、上述の通り、バスアダプター81側が上流端、熱交換器15B側が下流端となる配管であるが、分岐管37を介して浴槽3への給湯を行う際には、風呂戻り配管41と分岐管37との合流点からバスアダプター81側へ向かって湯が逆向きに流れる状態になる。
風呂行き配管43は、下流端側がバスアダプター81を介して浴槽3に取り付けられ、風呂行き配管43の上流端側から下流端側に至る流路の途中には、熱交換器15Bから流出する湯の温度を検出する風呂行き湯温検出用サーミスター91が設けられている。
加えて、この給湯器1において、制御部1Cは、給湯機能や保温機能の作動状態を制御するためのコントローラー93と、浴室外に配設される給湯リモコン95と、浴室内に配設される風呂リモコン97とを備えている。
コントローラー93は、CPU,ROM,RAMなどを備えたマイクロコンピュータを内蔵しており、上述した各種センサーから情報を入力するとともに、上述した各種電磁弁、モーター、ポンプ、点火用イグナイターなどの作動を制御する。
給湯リモコン95及び風呂リモコン97は、双方とも利用者からの入力操作を受け付ける入力部と利用者に対する情報表示や音声出力を行う出力部などのユーザーインターフェースを備え、その入力部から入力された情報がコントローラー93へ伝達されるとともに、コントローラー93から伝達される情報に基づいて出力部から情報表示や音声出力を行う仕組みになっている。
なお、以上のように構成された給湯器1において、給湯部1A及び保温部1Bが備える大部分の構成部品は、図示しない金属製の外装筐体の内部に収納されていて、その外装筐体からガス供給管21や各種通水用配管(給水管31,出湯管33,風呂戻り配管41,風呂行き配管43等)が導出されている。そして、上記外装筐体は、太陽熱を効率良く集熱するために筐体外面が黒色又は黒色に近い系統の色に塗装され、その筐体外面に直射日光が当たるような場所を選んで給湯器1の設置が行われる。
[温水供給制御]
次に、給湯器1において実行される温水供給制御について、図2及び図3に示すフローチャートに基づいて説明する。この温水供給制御は、給湯器1の電源がオンとされたときにコントローラー93によって開始され、その後、給湯器1が作動している間は常時実行されることになる制御である。
この制御を開始すると、コントローラー93は、まず、バーナー13A〜13Dに点火されていない状態にもかかわらず、第一出湯温検出用サーミスター61によって検出される温度が、あらかじめ定められた給水開始温度以上となっているか否かを判断する(S105)。
S105において、バーナー13A〜13Dに点火されていない状態にもかかわらず、第一出湯温検出用サーミスター61により、給水開始温度以上の温度が検出されるのは、給湯器1の外装筐体が太陽熱を受けて高温になり、その熱が給湯器1内部の各種構成部品に伝わるためである。
そして、本実施形態において、S105では、第一出湯温検出用サーミスター61によって温度を検出しているが、これは、第一出湯温検出用サーミスター61が、給湯器1の外装筐体の内部に配置されているため、第一出湯温検出用サーミスター61を使えば、給湯器1の外装筐体の内部が太陽熱で高温になっているかどうかを判定できるからである。
ちなみに、給湯器1の外装筐体の内部が太陽熱で高温になっているかどうかを判定できるような位置に他のサーミスターが配設されている場合は、S105では、第一出湯温検出用サーミスター61に代えて他のサーミスターを利用してもよい。
具体的には、例えば、入水温検出用サーミスター57、第二出湯温検出用サーミスター63、風呂戻り湯温検出用サーミスター83、風呂行き湯温検出用サーミスター91などが、給湯器1の外装筐体の内部に配置されている場合は、これら他のサーミスターのいずれかを利用してS105の判断を行ってもよい。
S105において、検出温度が給水開始温度以上となっていない場合(S105:NO)、S105へ戻ることにより、検出温度が給水開始温度以上となるまで待機する。そして、検出温度が給水開始温度以上となった場合は(S105:YES)、浴槽水量が上限値未満か否かを判断する(S110)。このS110の判断は、落し込み水量センサー73で計測した浴槽3内への供給済水量に基づいて判断してもよいし、浴槽3内の水位を図示しないセンサーで検出して判断する構成を採用してもよい。
S110において、浴槽水量が上限値未満であった場合(S110:YES)、浴槽3には、まだ給水する余地があることになるので、この場合は、浴槽3への給水処理を実行する(S115)。このS115の詳細については後述する。一方、S110において、浴槽水量が上限値未満でなかった場合(S110:NO)、浴槽3には給水する余地がないことになるので、この場合は、S115を実行することなく、S120へと進む。また、S115を実行した場合も、S120へと進む。
なお、S120では、所定時間(例えば、30分)だけ待機し(S120)、その後は、S105へと戻る。このような待機時間を設けることにより、S105以降の処理を実行する頻度を、所定時間が経過する毎に実行される程度に抑えることができる。
[浴槽への給水処理(S115)の詳細]
さて、次に、上述したS115の「浴槽3への給水処理」について、さらに詳しく説明する。S115は、詳しくは図3に示すような処理になる。
この処理を開始すると、コントローラー93は、まず、給湯リモコン95及び風呂リモコン97から、事前に音声などで、利用者に対して浴槽の栓を閉じるように要請する注意喚起メッセージを出力する(S205)。
そして、給湯リモコン95又は風呂リモコン97において、利用者が「浴槽3への給水処理」実行を了承する旨の入力(例えば、所定のスイッチのオン操作)を行ったか否かを判断し(S210)、入力が行われていない場合は(S210:NO)、所定時間が経過したか否かを判断し(S215)、まだ所定時間が経過していなければ(S215:NO)、S210へと戻る。
このようなS210〜S215の繰り返し処理により、コントローラー93は、利用者による入力操作を待ち受ける状態となる。ただし、この状態において、利用者が入力操作を行わないまま時間が経過すると、いずれはS215において所定時間が経過した(すなわち、タイムオーバーに至った)と判断されることになり(S215:YES)、この場合は、図3に示す処理を終了する。これにより、利用者が不在にもかかわらず、入力操作を待ち受ける状態が継続してしまうのを回避することができる。
一方、上記のような所定時間が経過する前の段階で、利用者が「浴槽3への給水処理」実行を了承する旨の入力操作を行うと(S210:YES)、コントローラー93は、ファンモーター18に駆動信号を与えることにより、ファン19の作動を開始させる(S220)。このファン19の作動に伴って、給湯器1の外装筐体の熱によって加熱された気流が熱交換器15Aに当たる状態となり、給湯器1の外装筐体から熱交換器15Aへ熱の移動がより一層促されることになる。
そして、コントローラー93は、給湯用電磁弁71を開く制御を行い(S225)、浴槽3への給水を開始する。これにより、給湯器1の外装筐体内の熱によって昇温した状態となっていた水(湯)は、分岐管37及び風呂戻り配管41を介して浴槽3へと供給される。
その後、コントローラー93は、浴槽3への出湯温度(本実施形態においては、第一出湯温検出用サーミスター61によって検出される温度。)があらかじめ定められた給水停止温度以下になったか否かを判断し(S230)、給水停止温度以下になっていなければ(S230:NO)、浴槽3への給水量(本実施形態においては、落し込み水量センサー73で計測した給湯量。)が所定量に達したか否かを判断し(S235)、給水量が所定量に達していない場合は(S235:NO)、S230へと戻る。
このようなS230〜S235の繰り返し処理により、コントローラー93は、出湯温度がある程度以上低下してしまうか、浴槽3へ給水する余地がなくなるまで、給水を続けることになる。
一方、浴槽3への出湯温度があらかじめ定められた給水停止温度以下になった場合(S230:YES)、あるいは浴槽3への給水量が所定量(設定された湯張り量)に達した場合(S235:YES)、コントローラー93は、給湯用電磁弁71を閉じる制御を行い(S240)、浴槽3への給水を停止する。
そして、ファン19の作動を停止させて(S245)、図3に示す処理を終了する。なお、図3に示す処理を終了すると、先に説明した図2のS115を終えることになる。
[効果]
以上説明した通り、上記給湯器1によれば、「バーナー13A〜13D(本発明でいう加熱手段の一例に相当。)に点火されていない状態にもかかわらず、給湯器1本体の温度が上昇するような環境(例えば、日当たりのよい場所など)」に給湯器1が設置してある場合、第一出湯温検出用サーミスター61(本発明でいう温度検出手段の一例に相当。)によって検出される温度が、あらかじめ定められた給水開始温度(本発明でいう第一のしきい値に相当。)以上に変化すれば、バーナー13A〜13Dが作動しない状態のまま、給湯器1本体内に設けられた配管内の水が浴槽3へと放出される。したがって、単にバーナーによる加熱のみを行う一般的な給湯器とは異なり、給湯器1の外部から到来するエネルギー(本実施形態の場合は太陽熱。この他、他の熱源から受ける熱でも可。)を有効に利用して、浴槽3内の湯温を上昇させることができる。
また、上記給湯器1においては、S230,S240により、給湯器1内部の配管内にある水の放出を開始した後、第一出湯温検出用サーミスター61によって検出される温度が、給水停止温度(第二のしきい値)以下となった場合に、配管内の水の放出を停止させる制御を行っているので、十分に昇温した状態にない水が無駄に浴槽3に貯め込まれてしまうのを防止できる。
しかも、上記給湯器1においては、S235,S240により、給湯器1内部の配管内から放出される水の量を落し込み水量センサー73(流量検出手段)で検出し、所定量の水が放出されたことを検出した場合に、配管内の水の放出を停止させる制御を行っているので、過剰な量の水が無駄に浴槽3に貯め込まれてしまうのも防止できる。
さらに、上記給湯器1では、上述のような制御を行うに当たって、本来は熱交換器15Aからの出湯温度を検出するために設けられた第一出湯温検出用サーミスター61を利用して、給湯器1内部の温度を検出している。したがって、給湯器1内部の温度を検出するために専用の温度検出用センサーを設けなくても済み、その分だけ給湯器1の構成を簡素化することができる。
また、上記給湯器1は、バーナー13A〜13Dの作動時に給湯器1本体の内部(給湯器1の内胴11A,11B内)へ空気を送り込むファン19(本発明でいう送風手段の一例に相当。)を備えており、第一出湯温検出用サーミスター61によって検出される温度が給水開始温度以上に変化した際には、S225による給水を開始するタイミングで、S220により、バーナー13A〜13Dを作動させない状態のまま、ファン19を作動させる。そのため、給湯器1本体内において、水が流れる流路から離れた箇所の熱も、水が流れる流路へと移動しやすくなるので、より効率良く流路内の水を昇温させることができる。
〔2〕第二実施形態
次に、上述の第一実施形態とは別の実施形態について、図4及び図5に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、以下に説明する実施形態では、コントローラー93によって上記第一実施形態とは異なる制御が実行されることになるが、給湯器1の構造に関しては第一実施形態と同様となるので、以下の説明においては、第一実施形態と差異がある部分を中心に説明し、差異のない部分については、その説明を省略する。
[温水供給制御]
以下に説明する温水供給制御も、第一実施形態同様、給湯器1の電源がオンとされたときにコントローラー93によって開始され、その後、給湯器1が作動している間は常時実行されることになる制御である。なお、第一実施形態との相違点は、S305〜S320を備える点と、それに伴ってS335の処理内容(詳細は図5)が第一実施形態とは異なる処理になる点である。
この制御を開始すると、コントローラー93は、まず、バーナー13A〜13Dに点火されていない状態にもかかわらず、第一出湯温検出用サーミスター61によって検出される温度が、あらかじめ定められたファン作動開始温度以上となっているか否かを判断する(S305)。
S305において、ファン作動開始温度以上となっている場合(S305:YES)、コントローラー93は、ファンモーター18に駆動信号を与えることにより、ファン19の作動を開始させて(S310)、S315へと進む。なお、S305において、ファン作動開始温度以上となっていない場合は(S305:NO)、S310を実行することなくS315へと進む。
続いて、コントローラー93は、第一出湯温検出用サーミスター61によって検出される温度が、あらかじめ定められたファン作動停止温度以下となっているか否かを判断する(S315)。
S315において、ファン作動停止温度以下となっている場合(S315:YES)、コントローラー93は、ファンモーター18への駆動信号出力を停止することにより、ファン19の作動を停止させて(S320)、S325へと進む。なお、S315において、ファン作動停止温度以下となっていない場合は(S315:NO)、S320を実行することなくS325へと進む。
なお、S305,S315に関し、ファン作動停止温度としては、ファン作動開始温度よりも所定の温度幅だけ低い温度が設定されている。これにより、第一出湯温検出用サーミスター61によって検出される温度がファン作動開始温度を僅かに下回った程度では、ファン19が直ちに作動を停止せず、且つ、第一出湯温検出用サーミスター61によって検出される温度がファン作動停止温度を僅かに上回った程度では、ファン19が直ちに作動を開始せず、ファン19の作動開始及び停止が頻繁に繰り返されないようになっている。
さて、S325へ進むと、コントローラー93は、バーナー13A〜13Dに点火されていない状態にもかかわらず、第一出湯温検出用サーミスター61によって検出される温度が、あらかじめ定められた給水開始温度以上となっているか否かを判断する(S325)。
S325において、検出温度が給水開始温度以上となっていない場合(S325:NO)、S305へ戻ることにより、S305〜S325を繰り返す。給水開始温度としては、ファン作動開始温度よりも所定の温度幅だけ高い温度が設定され、これにより、S310によるファン19の作動に伴って給湯器1内部に十分に熱が伝わってから、S325での肯定判断がなされるようにされている。
そして、S325において、検出温度が給水開始温度以上となっている場合(S325:YES)、コントローラー93は、浴槽水量が上限値未満か否かを判断する(S330)。ここで、浴槽水量が上限値未満であった場合(S330:YES)、浴槽3には、まだ給水する余地があることになるので、この場合は、浴槽3への給水処理を実行する(S335)。このS335の詳細については後述する。一方、S330において、浴槽水量が上限値未満でなかった場合(S330:NO)、浴槽3には給水する余地がないことになるので、この場合は、S335を実行することなく、S340へと進む。また、S335を実行した場合も、S340へと進む。
なお、S340では、所定時間(例えば、30分)だけ待機し(S340)、その後は、S305へと戻る。このような待機時間を設けることにより、S305以降の処理を実行する頻度を、所定時間が経過する毎に実行される程度に抑えることができる。
[浴槽への給水処理(S335)の詳細]
さて、次に、上述したS335の「浴槽3への給水処理」について、さらに詳しく説明する。S335は、詳しくは図5に示すような処理になる。なお、第一実施形態との相違点は、S220,S245相当の処理を行わない点と、それに伴ってS435の判定条件がS235とは異なる判定条件になっている点である。
この処理を開始すると、コントローラー93は、まず、給湯リモコン95及び風呂リモコン97から、事前に音声などで、利用者に対して浴槽の栓を閉じるように要請する注意喚起メッセージを出力する(S405)。
そして、給湯リモコン95又は風呂リモコン97において、利用者が「浴槽3への給水処理」実行を了承する旨の入力(例えば、所定のスイッチのオン操作)を行ったか否かを判断し(S410)、入力が行われていない場合は(S410:NO)、所定時間が経過したか否かを判断し(S415)、まだ所定時間が経過していなければ(S415:NO)、S410へと戻る。
このようなS410〜S415の繰り返し処理により、コントローラー93は、利用者による入力操作を待ち受ける状態となる。ただし、この状態において、利用者が入力操作を行わないまま時間が経過すると、いずれはS415において所定時間が経過した(すなわち、タイムオーバーに至った)と判断されることになり(S415:YES)、この場合は、図5に示す処理を終了する。これにより、利用者が不在にもかかわらず、入力操作を待ち受ける状態が継続してしまうのを回避することができる。
一方、上記のような所定時間が経過する前の段階で、利用者が「浴槽3への給水処理」実行を了承する旨の入力操作を行うと(S410:YES)、コントローラー93は、給湯用電磁弁71を開く制御を行い(S425)、浴槽3への給水を開始する。これにより、給湯器1の外装筐体内の熱によって昇温した状態となっていた水(湯)は、分岐管37及び風呂戻り配管41を介して浴槽3へと供給される。
その後、コントローラー93は、浴槽3への出湯温度(本実施形態においては、第一出湯温検出用サーミスター61によって検出される温度。)があらかじめ定められた給水停止温度以下になったか否かを判断し(S430)、給水停止温度以下になっていなければ(S430:NO)、浴槽3内の水位が所定水位に達したか否かを判断し(S435)、浴槽3内の水位が所定水位に達していない場合は(S435:NO)、S430へと戻る。
このようなS430〜S435の繰り返し処理により、コントローラー93は、出湯温度がある程度以上低下してしまうか、浴槽3内の水位が所定水位に達するまで、給水を続けることになる。
一方、浴槽3への出湯温度があらかじめ定められた給水停止温度以下になった場合(S430:YES)、あるいは浴槽3内の水位が所定水位に(設定された湯張り水位)に達した場合(S435:YES)、コントローラー93は、給湯用電磁弁71を閉じる制御を行い(S440)、浴槽3への給水を停止し、図5に示す処理を終了する。なお、図5に示す処理を終了すると、先に説明した図4のS335を終えることになる。
[効果]
以上説明したような温水供給制御を行う第二実施形態の給湯器1でも、単にバーナーによる加熱のみを行う一般的な給湯器とは異なり、給湯器1の外部から到来するエネルギーを有効に利用して、浴槽3内の湯温を上昇させることができるなど、第一実施形態同様の効果を期待することができる。
また、第二実施形態の給湯器1においては、S305〜S320により、給湯に先立って早めにファン19を作動させているので、第一実施形態のもの以上に効率良く給湯器1内部を昇温させることができ、熱交換器15Aを介して給水(給湯)温度のより一層の上昇を図ることができる。
〔3〕第三実施形態
次に、上述の第一,第二実施形態とはさらに別の実施形態について、図6及び図7に示すフローチャートに基づいて説明する。
[浴槽水循環制御]
以下に説明する浴槽水循環制御は、給湯器1の電源がオンとされたとき、浴槽3に循環させる水(湯)がある場合にコントローラー93によって開始され、その後、給湯器1が作動している間は常時実行されることになる制御である。なお、浴槽3に循環させる水(湯)がない場合については、この浴槽水循環制御を実行しないようにしてもよいし、事前に浴槽3への給水を行うことにより、浴槽3に循環させる水を溜めてから、この浴槽水循環制御を実行するようにしてもよい。
この制御を開始すると、コントローラー93は、まず、バーナー13A〜13Dに点火されていない状態にもかかわらず、風呂行き湯温検出用サーミスター91によって検出される温度が、あらかじめ定められた循環開始温度以上となっているか否かを判断する(S505)。
S505において、検出温度が循環開始温度以上となっていない場合(S505:NO)、S505へ戻ることにより、検出温度が給水開始温度以上となるまで待機する。そして、検出温度が循環開始温度以上となった場合(S505:YES)、コントローラー93は、循環ポンプ87の作動を開始させ(S510)、浴槽3と熱交換器15Bとの間で水の循環を開始する。これにより、給湯器1の外装筐体内の熱によって昇温した状態となっていた水(湯)は、風呂戻り配管41及び風呂行き配管43を介して浴槽3へと供給される。
また、S505によって循環ポンプ87の作動を開始したら、ファンモーター18に駆動信号を与えることにより、ファン19の作動も開始させる(S515)。このファン19の作動に伴って、給湯器1の外装筐体の熱によって加熱された気流が熱交換器15Bに当たる状態となり、給湯器1の外装筐体から熱交換器15Bへ熱の移動がより一層促されることになる。
そして、コントローラー93は、風呂行き湯温検出用サーミスター91によって検出される風呂行き温度に所定温度幅以上の変化がない状態が、所定時間以上継続しているか否かを判断し(S520)、そのような状態が所定時間以上継続していなければ(S520:NO)、「風呂行き温度が所定上限値以上の状態」が所定時間以上継続しているか否かを判断し(S525)、そのような状態が所定時間以上継続していない場合は(S525:NO)、S520へと戻る。
このようなS520〜S525の繰り返し処理により、コントローラー93は、風呂行き温度にある程度以上の温度変化があるか、風呂行き温度が上限値を超える高温状態となるまで、浴槽水の循環を続けることになる。
一方、S520において、風呂行き温度に所定温度幅以上の変化がない状態が所定時間以上継続している場合は(S520:YES)、浴槽3内の水が昇温しない状態にあるにもかかわらず、無駄に循環を行っていることになるので、この場合は、循環ポンプ87の作動を停止させ(S530)、ファン19の作動も停止させて(S535)、S540へと進む。
なお、S540では、所定時間(例えば、30分)だけ待機し(S540)、その後は、S505へと戻る。このような待機時間を設けることにより、S505以降の処理を実行する頻度を、所定時間が経過する毎に実行される程度に抑えることができる。
さて一方、S525において、「風呂行き温度が所定上限値以上の状態」が所定時間以上継続している場合(S525:YES)、浴槽水量が上限値未満か否かを判断する(S545)。このS545の判断は、落し込み水量センサー73で計測した浴槽3内への供給済水量に基づいて判断してもよいし、浴槽3内の水位を図示しないセンサーで検出して判断する構成を採用してもよい。
S545において、浴槽水量が上限値未満でなかった場合(S545:NO)、浴槽3には給水する余地がないことになるので、この場合は、S530へと進む。なお、S530以降の処理については、すでに説明したのでここでの説明は省略する。
一方、S545において、浴槽水量が上限値未満であった場合(S545:YES)、浴槽3には、まだ給水する余地があることになるので、この場合は、浴槽3への追加給水処理を実行する(S550)。このS550の詳細については後述する。そして、S550を終えたら、S510へと進むことにより、浴槽水の循環制御を再開する。なお、S510以降の処理については、すでに説明したのでここでの説明は省略する。
[浴槽への追加給水処理(S550)の詳細]
さて、次に、上述したS550の「浴槽3への追加給水処理」について、さらに詳しく説明する。S550は、詳しくは図7に示すような処理になる。
この処理を開始すると、コントローラー93は、まず、先に説明したS510によって作動を開始している循環ポンプ87について、その作動を停止させる(S605)。そして、バーナー13A〜13Dに点火することなく、給湯用電磁弁71を開く制御を行って(S610)、浴槽3への追加給水を開始する。
続いて、コントローラー93は、浴槽3への給水量(本実施形態においては、落し込み水量センサー73で計測した給水量。)が所定量に達したか否かを判断し(S615)、給水量が所定量に達していない場合は(S615:NO)、S615へと戻る。
このS615の繰り返し処理により、給水量が所定量に達した場合(S615:NO)、コントローラー93は、給湯用電磁弁71を閉じる制御を行って(S620)、浴槽3への給水を停止し、図7に示す処理を終了する。なお、図7に示す処理を終了すると、先に説明した図6のS550を終えることになる。
[効果]
以上説明した通り、第三実施形態の給湯器1によれば、「バーナー13A〜13D(本発明でいう加熱手段の一例に相当。)に点火されていない状態にもかかわらず、給湯器1本体の温度が上昇するような環境(例えば、日当たりのよい場所など)」に給湯器1が設置してある場合、風呂行き湯温検出用サーミスター91(本発明でいう温度検出手段の一例に相当。)によって検出される温度が、あらかじめ定められた循環開始温度(本発明でいう第一のしきい値に相当。)以上に変化すれば、バーナー13A〜13Dが作動しない状態のまま、浴槽3から熱交換器15Bを経て浴槽3へと戻る循環流路内の水が循環する。したがって、単にバーナーによる加熱のみを行う一般的な給湯器とは異なり、給湯器1の外部から到来するエネルギー(本実施形態の場合は太陽熱。この他、他の熱源から受ける熱でも可。)を有効に利用して、浴槽3内の湯温を上昇させることができる。
また、上記給湯器1では、S520,S530により、風呂行き湯温の変化幅が所定以下となった場合に、循環流路内の水の循環を停止させる制御を行うので、循環流路内の水温に変化がないにもかかわらず、循環流路内の水を無駄に循環させてしまうのを防止できる。
さらに、上記給湯器1では、上述のような制御を行うに当たって、本来は熱交換器15Bからの出湯温度を検出するために設けられた風呂行き湯温検出用サーミスター91を利用して、給湯器1内部の温度を検出している。したがって、給湯器1内部の温度を検出するために専用の温度検出用センサーを設けなくても済み、その分だけ給湯器1の構成を簡素化することができる。
また、上記給湯器1では、S525,S545,S530により、循環流路内の水の循環を開始させた後、循環流路内の水温があらかじめ定められた上限値以上となっている状態が、あらかじめ定められた期間よりも長期にわたって継続している場合に、循環流路内の水の循環を停止させるので、浴槽3の水温が十分に上昇しているにもかかわらず、無駄に循環流路内の水を循環させ続けることがない。
加えて、上記給湯器1では、水温上昇に伴ってS605による循環停止制御を行ったら、さらにS610〜S620により浴槽3への追加給水を行ってから、S510へと戻ることにより、循環を再開させているので、浴槽3の水量を増量したい場合に効果的である。なお、本実施形態では、浴槽3への給水流路と循環流路が一部兼用されているので、循環流路内の水の循環を停止させてから、浴槽3への追加給水を行っているが、給湯器の構造によっては、循環流路内の水の循環を停止させることなく、浴槽3への追加給水を行うように構成してもよい。
また、上記給湯器1でも、第一実施形態同様、S515により、バーナー13A〜13Dを作動させない状態のまま、ファン19を作動させており、これにより、給湯器1本体内において、水が流れる流路から離れた箇所の熱も、水が流れる流路へと移動しやすくなるので、より効率良く流路内の水を昇温させることができる。
〔4〕その他の実施形態
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の具体的な一実施形態に限定されず、この他にも種々の形態で実施することができる。
例えば、上記第三実施形態では、循環流路内の水を一時的に循環させる制御として、循環させている水の温度に大幅な変化がない場合に循環を停止させる例を示したが、この他、循環流路内の水を所定時間だけ循環させて、その後は循環を停止させる制御や、配管内の水を所定量だけ循環させて、その後は循環を停止させる制御などを採用してもよい。
あるいは、最初は温度変化を検出することなく循環流路内の水を所定時間だけ循環させて、その後に、循環させている水の温度変化を検出して、その温度に大幅な変化がない場合に循環を停止させる、といった制御としてもよい。
また、上記第三実施形態では、追加給水を行った後、循環を再開させる例を示したが、浴槽3の水量を増量することが目的ではない場合は、例えば、水温上昇に伴って循環を停止させたら、温度調節を目的として浴槽への追加給水だけを行い、その後は循環の再開を行わない構成としてもよい。
さらには、循環させている水の温度がまだ変化し得る状態にあるとしても、例えば、利用者が任意に設定した所定温度に達したら循環を停止させてもよく、また、必要があれば、利用者が任意に設定した所定温度に達した時点で、追加給水を行うようにしてもよい。このような制御を行えば、浴槽3内の水温を利用者が任意に設定した温度付近に調節することができる。