JP5130487B2 - 製鋼スラグの処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、製鋼スラグの処理方法に関し、特に、改質材として石炭灰を用いる製鋼スラグの溶融改質処理方法に関する。
一般に、脱リン、脱硫、脱炭精錬により生成されるスラグ(以下、「製鋼スラグ」という。)は、遊離CaO(以下、「f・CaO」という。)を含み、このf・CaOの水和反応により体積が膨張し、多くの微小な亀裂や開気孔を発生する場合がある。このようなf・CaOを多く含む製鋼スラグは、吸水率が高く強度が低い。このため、製鋼スラグは、主に、土木工事用の仮設材、道路の地盤改良材、下層路盤材等の用途でしか使用されておらず、より高いスラグ品質が要求される上層路盤材、コンクリート用骨材、石材原料等には用いられにくく、一般に、このような高級用途には天然石が用いられている。
これに対して、製鋼スラグを、上層路盤材、コンクリート用骨材、石材原料等の用途に有効利用すべく、従来から、製鋼スラグの高品質化を図り商品価値を高めるために、製鋼スラグ中のf・CaOを低減させることが行われている。例えば、非特許文献1では、転炉から排出された脱炭スラグを溶融状態のまま改質する方法が提案されている。これは、溶融スラグ中に酸素と珪石(SiO源)を浸漬ランスを通じて吹き込み、スラグ中の酸化鉄(FeO)を酸化して昇熱しながら改質材により塩基度を低減し、f・CaOを化合物に転換する方法である。
M.Kuehn,et al.,2nd European Steelmaking Congress,Taranto(1997)p445−453
しかしながら、溶融製鋼スラグへの改質材の添加に浸漬ランスを用い、さらに、改質材として石炭灰を用いた場合には、石炭灰中に残存する炭素が、改質材である石炭灰とともに溶融製鋼スラグ中に添加されてしまうことがあり、改質した製鋼スラグの品質を悪化させてしまう、という問題があった。
すなわち、内部に炭素分が残存する石炭灰を製鋼スラグ中に添加して、石炭灰中の炭素が溶融製鋼スラグと接すると、溶融スラグ中の酸化鉄(FeO)成分と反応し(C+FeO → CO↑+Fe、C+2FeO → CO↑+2Fe)、一酸化炭素(CO)気泡もしくは二酸化炭素(CO)気泡が形成される。そのため、スラグ中に気泡が残存し、操業中にスラグが膨張して、反応容器から溢れ出る可能性が生ずる。
このような内部に気泡が残存しているスラグを凝固・冷却させた場合には、凝固後のスラグ中に気泡が残存してしまうことから、スラグの強度が低下してしまい、製品化されたスラグを天然石の代替として高級用途に用いることが困難になり、スラグ製品の用途が限定されてしまう。
また、石炭灰中の炭素と溶融スラグ中のFeOとの反応により、溶融スラグ中のFeOの濃度が低下すると、スラグの溶融温度が上昇するため、溶融均一化するための改質温度を高くする必要が生じ、処理時間が長くなるためにコストも上昇する。
さらに、上記の反応により、FeOが還元されてFe(粒鉄)が生成され、このFeがスラグ中に残存すると、スラグを使用した際にFeが酸化して錆が発生するため、スラグ表面に斑点状に錆が出現し、外観も悪くなる。
そこで、本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、改質材として石炭灰を用いる製鋼スラグの溶融改質処理方法において、石炭灰中に残存する炭素が溶融製鋼スラグ中に添加されないようにすることによりCOもしくはCO気泡の発生を抑制し、改質した製鋼スラグの品質を向上させることを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、酸素バーナーを用いて改質材である石炭灰を溶融製鋼スラグに溶射し、石炭灰中の炭素を溶射中に燃焼させることにより、石炭灰中の残存炭素がスラグに接することを防止して、COもしくはCO気泡の発生を抑制できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
ここで、石炭灰中の炭素分は、石炭灰の粒子の内部に存在しているため、石炭灰中の炭素を燃焼させるためには、まず、炭素の周囲の石炭灰を燃焼させる必要がある。従って、石炭灰中の炭素を完全に燃焼させるためには、石炭灰中に含まれる量の炭素を燃焼させるのに化学量論的に必要な酸素量を供給するだけでは足りず、化学量論的に必要な酸素量に加えて、所定量以上過剰に酸素を供給する必要がある点を、本発明者は見出した。
すなわち、本発明は、溶融状態の製鋼スラグに、酸素を供給しながら石炭灰を含む改質材を溶射することにより、製鋼スラグの溶融改質処理を行う製鋼スラグの処理方法であり、この製鋼スラグの溶融改質処理において、石炭灰中に含まれる炭素量を予め測定しておき、測定した石炭灰中に含まれる炭素量に基づいて、石炭灰中の炭素を理論的に完全燃焼させるために必要な酸素量を算出し、該酸素量よりも過剰に酸素を供給する。
ここで、上記製鋼スラグの処理方法において、溶融改質処理の際に供給する酸素量V(Nm/時間)は、石炭灰中の炭素を酸素バーナー中で完全に燃焼させるという観点から、下記式(I)により算出される量である。
V≧A+1.05×B ・・・(I)
V:製鋼スラグの溶融改質処理の際に供給する酸素量(Nm/時間)
A:燃料を理論的に完全燃焼させるために必要な酸素量(Nm/時間)
B:石炭灰中の炭素を理論的に完全燃焼させるために必要な酸素量(Nm/時間)
ここで、石炭灰中の炭素を理論的に完全燃焼させるために必要な酸素量に対して過剰に供給する酸素の量を0.05×B以上としたのは、後述する実施例の評価結果から、過剰に供給する酸素量を0.05×B以上とした場合に、COもしくはCO気泡の発生が顕著に抑制できることが判明したためである。
さらに、本発明者らが検討したところによれば、溶融製鋼スラグを改質する際の反応容器中の溶融製鋼スラグ表面の温度ばらつきは大きいことにより、歩留まりが低下するという問題があることも判明した。そこで、前記製鋼スラグの処理方法においては、前記溶融改質処理の際に、前記改質材の照射部周辺の前記製鋼スラグ表面の温度と、溶融改質処理容器の内壁近傍の前記製鋼スラグ表面の温度について、それぞれ一箇所以上の位置で測定し、測定された最高温度と最低温度との温度差が、50℃未満になった時点で前記溶融改質処理を終了する。
本発明によれば、改質材として石炭灰を用いる製鋼スラグの溶融改質処理方法において、石炭灰中の炭素を燃焼させるために化学量論的に必要な酸素量よりも過剰に酸素を供給することにより、石炭灰中の炭素を溶射中に完全に燃焼させることができ、COもしくはCO気泡の発生を抑制することが可能である。したがって、本発明によれば、溶融改質されたスラグの品質を向上させることができる。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(第1の実施形態)
以下、図1及び図2に基づき、本発明の第1の実施形態に係る製鋼スラグの処理方法について説明する。なお、図1は、本発明の第1の実施の形態に係る製鋼スラグの処理方法を示す流れ図であり、図2は、同実施の形態に係る製鋼スラグの処理方法における操業を説明するための説明図である。
本実施形態に係る改質処理の対象となる製鋼スラグとしては、脱リン、脱硫等の溶銑予備処理の際に生成される溶銑予備処理スラグ、その後の脱炭精錬の際に生成される脱炭スラグ等がある。
まず、本実施形態に係る製鋼スラグ10の処理の最初の工程においては、図1及び図2(a)に示すように、溶融状態の製鋼スラグ10を転炉20から排滓鍋30に排出する(工程S102)。次いで、図1及び図2(b)に示すように、製鋼スラグ10が排出された排滓鍋30を台車40に乗せてスラグを処理場に搬送する(工程S104)。排滓鍋30をスラグ処理場に搬送した後、図1及び図2(c)に示すように、酸素バーナー50を用いて、改質材として所定の炭素分を含む石炭灰12を、排滓鍋30中の溶融状態の製鋼スラグ10に溶射する(工程S106)。
ここで、図3に基づき、本実施形態に係る製鋼スラグの処理方法における石炭灰12の溶射方法について説明する。なお、図3は、同実施の形態に係る製鋼スラグの処理方法における改質材の溶射方法を示す説明図である。
図3に示すように、本実施形態において改質材である石炭灰12を溶射する際は、酸素バーナー50によって添加する石炭灰12を溶融状態にして、酸素14を供給しながら、製鋼スラグ10の加熱のための燃料(図示せず)とともに溶融状態の製鋼スラグ10の表面に吹き付ける。このように、製鋼スラグ10に石炭灰12を添加する際に、酸素バーナー50を用いて溶射する場合には、併せて石炭灰12の加熱を行うことができ、塊状もしくは粉状の石炭灰12を溶融状態にして溶解しやすい状態で添加することができるので、石炭灰12等の改質材を短時間で均一に溶融状態の製鋼スラグ10に溶解することが可能となる。
ただし、上述したように、石炭灰12中の炭素分は、石炭灰12の粒子の内部に存在しているため、酸素バーナー50中で炭素の周囲に存在する石炭灰12の粒子が溶融した後に酸素14と反応して燃焼する。従って、未燃焼の炭素が残存することなく、石炭灰12中の炭素を完全に燃焼させるためには、石炭灰12中の炭素を完全燃焼させるために化学量論的に必要な酸素量に加えて、所定量以上過剰に酸素を供給することが必要である。さもないと、石炭灰12中に未燃焼の炭素が残存したまま製鋼スラグ10に添加されることとなり、この未燃焼の炭素と製鋼スラグ10中に含まれるFeOとの反応によりCOもしくはCO気泡が発生してしまい、製鋼スラグ10の品質(例えば、強度)を低下させてしまう。
そこで、本実施形態においては、石炭灰12中に含まれる炭素量を予め測定しておき、この測定した石炭灰12中に存在する量の炭素を完全燃焼させるために化学量論的に必要な酸素量に対して、5体積%以上過剰に酸素を供給することとしている。具体的には、測定した石炭灰12中の炭素量に基づいて、下記式(I)により算出された量V(Nm/時間)の酸素を供給する。
V≧A+1.05×B ・・・(I)
V:製鋼スラグ10の溶融改質処理の際に供給する酸素量(Nm/時間)
A:燃料を理論的に完全燃焼させるために必要な酸素量(Nm/時間)
B:石炭灰12中の炭素を理論的に完全燃焼させるために必要な酸素量(Nm/時間)
このように、予め測定した石炭灰12中に含まれる炭素量に基づいて、石炭灰12中の炭素を燃焼させるために化学量論的に必要な酸素量に加えて、5体積%以上過剰に酸素14を供給することにより、石炭灰12中の炭素を溶射中に完全に燃焼させることができ、石炭灰12中の未燃焼の残存炭素が、改質材である石炭灰12とともに溶融状態の製鋼スラグ10に添加されることを防止できる。従って、石炭灰12中の残存炭素と製鋼スラグ10中のFeOとの反応によるCOもしくはCO気泡の発生もないため、操業中に製鋼スラグ10が膨張して反応容器である排滓鍋30から溢れ出ることや、凝固後の製鋼スラグの強度の低下を抑制することができる。また、溶融状態の製鋼スラグ10中のFeOの濃度が低下することもなく、製鋼スラグ10の溶融温度が上昇することもないため、コストも上昇しない。さらに、製鋼スラグ10中のFeOが還元されてFeが生成されることもないため、製鋼スラグ10の表面に斑点状に錆が出現し、外観が悪くなることも防止できる。
なお、本実施形態では、上述したように、製鋼スラグ10に対し、酸素バーナー50を用いて直接改質材である石炭灰12を溶射しているが、このような場合に限られず、例えば、製鋼スラグ10に石炭灰12を添加した後に、酸素バーナー50を用いて石炭灰12を溶射してもよい。
以上、本実施形態に係る製鋼スラグ10の処理方法における石炭灰12の溶射方法について説明したが、以下、再び、図1及び図2を参照しながら、本実施形態に係る製鋼スラグ10の処理方法の説明を続ける。
工程S106で石炭灰12を溶融状態の製鋼スラグ10に添加した後、排滓鍋30中の溶融状態の製鋼スラグ10を撹拌する(工程S108)。ここで、撹拌方法としては、機械撹拌によるものでもガス撹拌によるものでもよく、特に限定はされない。機械撹拌の場合は、図2(d)の上図に示すように、例えば、撹拌用インペラー60などの撹拌手段により機械的に撹拌する。一方、ガス撹拌の場合は、図2(d)の下図に示すように、所定量の空気を撹拌ガス吹き込み用ランス70などの装置により吹き込むことにより撹拌する。
このように、改質材(本実施形態では、石炭灰12)を添加した後に撹拌する工程(工程S108)を含むことにより、製鋼スラグ10中の塩基度を低くするために添加した改質材を溶融製鋼スラグ10中に均一に混合及び溶解させることができる。
さらに、上記工程S108の終了後に、排滓鍋30内の製鋼スラグ10をスラグ冷却容器(図示せず)内に注入し冷却することにより、溶融状態の製鋼スラグ10を凝固させる(工程S110)。
本実施形態においては、上述したように、石炭灰12中に含まれる炭素を酸素バーナー50中で完全に燃焼させてから、製鋼スラグ10に石炭灰12を溶射するため、溶融状態の製鋼スラグ10中における石炭灰12中の未燃焼炭素に起因するCOもしくはCO気泡の発生がなく、冷却されて凝固した後の製鋼スラグ10中にもCOもしくはCO気泡が残存しない。そのため、凝固後の製鋼スラグ10の品質を向上させることができ、例えば、上層路盤材やコンクリート用骨材等の高級用途にも用いることができる。
また、上述したような条件で石炭灰12を用いて製鋼スラグ10の溶融改質処理を行うことにより、製鋼スラグ10の加熱に石炭灰12の燃焼熱(発熱)を利用することができ、熱的に効率的に改質処理を行うことができる。従って、本実施形態に係る製鋼スラグ10の処理方法によれば、溶融改質処理の際に、製鋼スラグ10の加熱に用いる燃料の原単位を低く抑えることができ、熱効率やコストの面でも有利である。
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態においても改質した製鋼スラグの品質を向上させることができるが、本発明者によるさらなる検討の結果、以下のことも判明した。溶融製鋼スラグを改質する際の反応容器中の溶融製鋼スラグ表面の温度ばらつきは大きく、浴の攪拌等により、時間の経過とともに温度ばらつきは低下するが、この温度ばらつきがない状態にするためには、かなりの長時間を要する。一方、スラグ表面温度のばらつきが大きいまま改質処理を終了した場合、改質スラグを凝固容器に注入すると、温度の低い部分が、反応容器中に固相として付着して排出されない。そのために、歩留まりが悪くなるだけでなく、注入時点で固相であった部分と液相であった部分が異なった凝固組織として残存し、異相界面が凝固組織として残存してしまう結果となり、凝固後のスラグ強度のばらつきが大きくなる。また、固相であった部分は改質されていない場合が多く、スラグの強度だけでなく品質を悪化させてしまう場合もある。
このような観点から、以下に説明する本発明の第2の実施形態においては、COもしくはCO気泡の発生を抑制することに加え、溶融改質処理容器(反応容器)中の溶融製鋼スラグの表面温度のばらつきが所定の範囲内となるまで、浴の攪拌を継続することにより、改質した製鋼スラグの品質を向上させ、かつ、歩留まりも向上させることを目的としている。
本発明者らは、上記の目的を達成するために検討を重ねた結果、溶融改質処理容器中における溶融製鋼スラグ表面温度を測定し、ΔT(酸素バーナーによる改質材の照射部直下周辺の高温部と、溶融改質処理容器内壁近傍の低温部との温度差を意味しており、以降、ΔTと記載する場合がある。)が、スラグの要求品質よって決定される所定の温度範囲に低下するまで、浴の攪拌を継続することにより、スラグ品質のばらつきを抑制できることを見出した。以下、このような知見に基づいて完成された本発明の第2の実施形態に係るスラグの処理方法について説明する。なお、上述した第1の実施形態と同様の部分については、説明を省略する。
溶融改質処理容器(反応容器)中における溶融製鋼スラグの表面温度は、図5に示すように、加熱源である酸素バーナー50直下の改質材の照射部16が最も高温であり、酸素バーナー50による照射部16周辺の高温部分18と、溶融改質処理容器(図5では、転炉30)内壁近傍の低温部分17とに大別される。ここで、酸素バーナー50による照射部16は、改質処理中は最も高い温度のまま推移するが、改質処理の進行に伴い、酸素バーナー50による照射部16周辺の高温部分18と溶融改質処理容器内壁近傍の低温部分17との温度の差は、処理時間の経過とともに小さくなる。従って、効率的に改質処理を実施するためには製鋼スラグ10の表面温度を酸素バーナー50による照射部16周辺の高温部18と、溶融改質処理容器(転炉30)内壁近傍の低温部17について、それぞれ最低一カ所ずつ、計二カ所以上の溶融スラグ10の温度を測定し、ΔTが所定の温度範囲内になった時点で処理を終了させることが望ましい。
具体的には、上述した第1の実施形態に係る製鋼スラグの処理方法におけるステップS108の攪拌工程を経る際に、溶融改質処理容器(転炉30)内壁近傍である低温部17の温度が上昇することにより、酸素バーナー50による照射部16周辺の製鋼スラグ10の温度である高温部18との温度差が小さくなる。この際、攪拌工程の処理時間が長い方が、低温部17と高温部18との温度差が小さくなるが、処理時間が長くなると、工業的には溶融改質処理容器(転炉30)の耐火物の損耗が大きくなり、かつ燃料消費量も増大するので、高温部18と低温部17の温度を独立に測温することにより、高温部18と低温部17との温度差ΔTが所定の範囲内になった時点で、攪拌工程を終了することが可能となるので効率的である。ここで、攪拌工程を終了する温度差ΔTの所定の範囲は、改質されたスラグの要求品質に応じて、予め、実験や操業実績等により、得ることができる。
また、高温部18および低温部17の温度測定に当たっては、複数の測温装置を配置しても良いが、一つの測温装置で、一定時間間隔で複数の測定箇所を測定しても良い。ここで上記溶融改質処理の際に、溶融改質処理容器(転炉30)中の製鋼スラグ10の表面の温度の測定は、例えば、放射温度計等により測定することができる。
ここで、攪拌工程を終了する温度差ΔTの所定の範囲は、本発明者らの調査によれば、50℃未満が代表的な値であることがわかった。
ここで、溶融改質処理容器(転炉30)の内壁近傍の製鋼スラグ10の表面温度に関して、内壁近傍とは、測定可能な範囲であれば良く、内壁からの距離は特に規定するものではないが、現実的には20cm以内が例示できる。
また、酸素バーナー50による照射部16周辺の製鋼スラグ10の表面温度に関して、酸素バーナー50による照射部16周辺とは、酸素バーナー50のフレーム温度の影響を受けない距離であれば良く、酸素バーナー50による照射部の外周からの距離は特に規定するものではないが、例えば、40〜50cm程度が例示できる。
このように、上述したような条件における攪拌工程において、溶融製鋼スラグ10表面の温度差ΔTを測温することにより、過剰な処理を行うことなく攪拌工程を終了することができるので、スラグ品質のばらつきを抑制できるとともに、熱効率、コストの面からも有利となる。
以上説明した本実施形態に係る製鋼スラグの処理方法によれば、石炭灰中の炭素を燃焼させるために化学量論的に必要な酸素量よりも過剰に酸素を供給することにより、石炭灰中の炭素を溶射中に完全に燃焼させることができ、COもしくはCO気泡の発生を抑制することが可能である。また、要求される歩留まりを確保し、品質のばらつきを小さくすることが可能となる。したがって、本実施形態に係る製鋼スラグの処理方法によれば、溶融改質されたスラグの歩留まりを向上させ、かつ品質を向上させることができる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例にのみ限定されるものではない。
本実施例では、製鋼スラグに石炭灰を溶射する際に供給する酸素量を変化させて、溶融改質したスラグの凝固後の品質を評価した。具体的には、製鋼スラグに添加する改質材としての石炭灰の組成を分析して石炭灰中に含まれる炭素量を予め測定しておき(下記表2を参照)、下記表1に示した組成を有する処理前温度が1350℃の製鋼スラグ10トンに、予め炭素量を測定した下記表2の石炭灰2トンを、酸素バーナーを用いて溶射した。石炭灰の溶射の際、酸素バーナーから供給する酸素量を、下記表3に示したように変化させた。
酸素バーナーから供給する酸素量は、予め測定しておいた石炭灰中の炭素量(本実施例では、表2に示すように、8質量%)に基づき、下記式(I’)により溶融改質処理前に算出した。なお、下記式(I’)において、溶融改質処理時に供給する過剰酸素量(石炭灰中の炭素を理論的に完全燃焼させるために必要な酸素量よりも過剰に加える分の酸素量)は、y×Bとなり、yがマイナスの場合は、石炭灰中の炭素を完全燃焼させるために化学量論的に必要な酸素量よりも少ないことを意味する。
V=A+(1+y)×B ・・・(I’)
V:製鋼スラグの溶融改質処理の際に供給する酸素量(Nm/時間)
A:燃料を理論的に完全燃焼させるために必要な酸素量(Nm/時間)
B:石炭灰中の炭素を理論的に完全燃焼させるために必要な酸素量(Nm/時間)
y:比例係数
以上のようにして、溶融改質処理を行った後の製鋼スラグを冷却して凝固させた後のスラグ中のf・CaO量(質量%)、スラグの吸水率(質量%)、処理後のスラグ温度(℃)を下記表3に示す。なお、スラグの吸水率が高いほど、スラグの気孔率が大きいこと意味する。また、溶融改質処理の際のスラグ温度測定は、主として、パイロメータまたは二色温度計を用いて、バーナー照射部周辺の高温部18(図5参照)と溶融改質処理容器の内壁近傍の低温部17(図5参照)との二カ所の溶融スラグ表面の温度を光学的に測定した。
Figure 0005130487
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Figure 0005130487
表3に示すように、f・CaOの量については、SiO成分を多く含む石炭灰の添加により、いずれの水準においても、製鋼スラグ中のf・CaOと石炭灰中のSiOとの反応により、f・CaOの量が低減されていることがわかった。
一方、吸水率に関しては、yが0より大きい水準、すなわち、石炭灰中の炭素を完全燃焼させるために化学量論的に必要な酸素量よりも過剰に酸素を供給した水準では、yが0以下の水準と比較して、吸水率が大きく低下することがわかった。特に、yが0.05以上の水準10〜13、すなわち、石炭灰中の炭素を完全燃焼させるために化学量論的に必要な酸素量に対して5体積%以上過剰に酸素を供給した水準では、yが0より大きく0.05未満の水準8、9よりもさらに吸水率が顕著に低下することがわかった。このことから、石炭灰中の炭素を完全燃焼させるために化学量論的に必要な酸素量よりも過剰に、特に、化学両論的に必要な酸素量に対して5体積%以上過剰に酸素を供給しながら、溶融改質処理を行うことにより、石炭灰中の炭素と製鋼スラグ中のFeOとの反応によるCOもしくはCO気泡の発生が顕著に抑制され、その結果、凝固後のスラグの吸水率が顕著に低下することが示唆された。
ここで、通常、スラグを路盤材として使用しようとすれば、スラグの吸水率は5質量%以下であることが必要である。また、一般には、路盤材として使用されるスラグの吸水率は1.5質量%以下の場合が多く、望ましくは、吸水率が0.5質量%以下のスラグが使用される。吸水率が0.5質量%以下であれば、上層路盤材への適用も可能である。吸水率は小さければ小さいほどスラグの品質としては良くなり、吸水率が高い場合には下層路盤材のような価値の低いものに充当される。
従って、本発明の実施例による水準8〜13であれば、路盤材として使用可能なスラグを得ることができ、特に、石炭灰中の炭素を完全燃焼させるために化学量論的に必要な酸素量に対して5体積%以上過剰に酸素を供給した水準10〜13であれば、上層路盤材等の高級用途への適用も可能なスラグを得ることができることが示唆された。
また、処理後のスラグ処理温度に関しては、yが0より大きい水準8〜13の方が、yが0以下の水準1〜7よりもやや高くなることがわかった。このことから、石炭灰中の炭素の燃焼による燃焼熱により、スラグの温度がやや上昇し、石炭灰中の炭素が溶融改質時の燃料の一部としても作用することが示唆された。
また、図4に、本発明例8の攪拌工程での低温部分17、酸素バーナーの照射部16、照射部16周辺の高温部分18の温度推移の一例(水準8の場合)を示す。攪拌時間の推移とともに低温部分17の温度は上昇している。従って、高温部18と低温部17の温度推移を測定することで、改質スラグの要求品質に応じ品質を満足するΔTとなった時点で攪拌工程を終了することが可能となった。本発明例では、要求される品質を確保する上でのΔTは50℃未満であることを、実験により確認していたので、これに基づき、処理時間21分でΔT=48℃となった時点で改質処理を終了した。一方、比較例では、処理時間を10分以上とし、10分を超えた後、溶融スラグの表面に目視にて未溶解の塊が見えなくなった時点で改質処理を終了した。また、すべての水準についても同様に温度測定を行った。改質されたスラグの一軸圧縮強度を測定し、その強度のばらつきを表3に示す。低温部17と高温部18との温度差を示すΔTが小さくなるに伴い、強度を測定した際の標準偏差;σで示される強度のばらつきも小さくなり、高品質の改質スラグとなっていることが分かる。強度のばらつきは、凝固したスラグの任意の位置よりn=10個以上の強度評価用試料を採取し、一軸圧縮試験を実施して求めた。ここで、一軸圧縮強度試験はJIS A1108に記載されるコンクリートの圧縮強度試験方法を用いた。
なお、本発明例では品質を満足するΔTは50℃であったが、ΔTの絶対値はスラグの要求品質および処理プロセスの条件によって異なるので、改質プロセスに応じて、予めΔTと改質されたスラグ品質との関係を評価しておけばよい。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明の第1の実施の形態に係る製鋼スラグの処理方法を示す流れ図である。 同実施の形態に係る製鋼スラグの処理方法における操業を説明するための説明図である。 同実施の形態に係る製鋼スラグの処理方法における改質材の溶射方法を示す説明図である。 同実施の形態に係る製鋼スラグの処理中温度の推移の例を示す説明図である。 本発明の第2の実施の形態に係る製鋼スラグの処理中温度の測定位置の例を示す説明図である。
符号の説明
10 製鋼スラグ
12 石炭灰
20 転炉
30 排滓鍋
40 台車
50 酸素バーナー

Claims (1)

  1. 溶融状態の製鋼スラグに、酸素を供給しながら石炭灰を含む改質材を溶射することにより、前記製鋼スラグの溶融改質処理を行う製鋼スラグの処理方法において、
    石炭灰中に含まれる炭素量を予め測定し、測定した前記石炭灰中に含まれる炭素量に基づいて、前記石炭灰中の炭素を理論的に完全燃焼させるために必要な酸素量を算出し、該酸素量よりも過剰酸素を、下記式(I)により算出された酸素量V(Nm /時間)で供給し、
    前記改質材の照射部周辺の前記製鋼スラグ表面の温度と、溶融改質処理容器の内壁近傍の前記製鋼スラグ表面の温度について、それぞれ一箇所以上の位置で測定し、測定された最高温度と最低温度との温度差が、50℃未満になった時点で前記溶融改質処理を終了することを特徴とする、製鋼スラグの処理方法。

    V≧A+1.05×B ・・・(I)
    V:製鋼スラグの溶融改質処理の際に供給する酸素量(Nm /時間)
    A:燃料を理論的に完全燃焼させるために必要な酸素量(Nm /時間)
    B:石炭灰中の炭素を理論的に完全燃焼させるために必要な酸素量(Nm /時間)
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