以下、本発明の一実施形態を図1〜図13に基づいて説明する。
[デバイス製造処理システム]
図1には、本発明の一実施形態に係るデバイス製造処理システム1000の概略構成が示されている。このデバイス製造処理システム1000は、例えば、半導体工場内に設置され、半導体ウエハを処理し、半導体素子を製造するシステムである。図1に示されるように、デバイス製造処理システム1000は、工場内生産管理メインホストシステム600と、複数の露光工程セル7001、7002と、工程間搬送ライン800と、工程間搬送コントローラ850と、デバイス製造処理装置群900とを備えている。
[工場内生産管理メインホストシステム]
工場内生産管理メインホストシステム(以下、「ホスト」と呼ぶ)600は、デバイス製造処理システム1000全体を把握し、露光工程セル7001、7002、工程間搬送ライン800、工程間搬送コントローラ850、デバイス製造処理装置群900を統括制御するメインホストコンピュータである。ホスト600と、露光装置セル7001、7002、工程間搬送コントローラ850と、デバイス製造処理装置群900との間は、有線又は無線の通信ネットワーク又は専用の通信回線を通じて接続されており、相互にデータ通信を行うことができるようになっている。このデータ通信により、ホスト600は、このシステムの統括制御を実現している。
露光工程セル7001は、露光工程Aが行われる際に稼動し、露光工程7002は、露光工程Bが行われる際に稼動する。露光工程セル7001、7002は、それぞれ4台の露光装置100と、4台のトラック110と、2台の測定器120と、後述する通信サーバ機能を有する装置コントローラ130と、搬送ライン140と、搬送コントローラ150と、後述する連携レシピファイルを管理する露光工程管理コントローラ160とを備えている。以下では、露光工程セルを代表して、露光工程セル7001の構成について説明する。
[露光装置]
露光装置100は、デバイスパターンを、フォトレジストが塗布されたウエハに転写する装置である。露光装置100は、露光用照明光を射出する照明系、その照明光により照明されるデバイスパターン等が形成されたレチクルを保持するステージ、照明光により照明されたデバイスパターン等を投影する投影光学系、露光対象となるウエハを保持するステージ及びこれらの制御系等を備えている。露光装置100は、露光用照明光に対し、上記各ステージを駆動してレチクルとウエハとの相対同期走査と、ウエハのステッピングを繰り返すことにより、レチクル上のデバイスパターンをウエハ上の複数の異なる領域に転写している。すなわち、露光装置100は、走査露光(ステップ・アンド・スキャン)方式の露光装置である。
露光装置の制御系は、照明光の強度(露光量)を制御する露光量制御系と、両ステージの同期制御や、投影光学系の焦点深度内にウエハ面を一致させるオートフォーカス/レベリング制御(以下、単に、フォーカス制御という)などを行うステージ制御系とを備えている。
露光量制御系は、露光量を検出可能な各種露光量センサの検出値に基づいて、露光量をその目標値に一致させるように制御するフィードバック制御を行っている。ステージ制御系は、ステージの位置を計測する干渉計の計測値に基づいてフィードバック制御を行って、両ステージの位置制御及び速度制御を実現している。露光装置100には、ウエハ面のフォーカス/レベリングずれを複数検出点にて検出する多点AF(オートフォーカス)センサが設けられている。ステージ制御系は、この多点AFセンサの複数検出点のうち、例えば9個の検出点(9チャンネル)でウエハ面高さを検出し、露光領域に対応するウエハ面を、投影光学系の像面に一致させるようなフィードバック制御を行うことにより、フォーカス制御を実現している。
なお、露光装置100においては、両ステージの同期制御に関連する2次元座標系をXY座標系(同期走査方向をY軸としている)とし、投影光学系の光軸と平行な座標軸をZとして、XYZ座標系の下でステージ制御を行っている。以下では、ステージ制御系のうち、両ステージの同期制御を行う制御系を同期制御系とし、ステージ位置(ウエハ面)のZ位置やX軸回り、Y軸回りの回転量を制御する制御系を、フォーカス制御系として説明する。
[制御パラメータ]
露光装置100では、上記各制御系の動作を規定するファクタが幾つか制御パラメータ化されており、それらの値を、自由に設定することができるようになっている。制御パラメータは、その設定値を変更する際に、プロセスを一旦停止して装置調整が必要となる調整系パラメータと、装置調整を必要としない非調整系パラメータとに大別される。
調整系パラメータの代表例について幾つか説明する。まず、露光量制御系関連では、露光量を検出する露光量センサの調整パラメータや、ウエハ面上の照明光の強度を計測する照度計測センサの調整パラメータなどがある。また、同期制御系関連では、ステージの位置測定用の干渉計からのレーザービームを反射するためにウエハやレチクルを保持するステージ上に設けられた移動鏡曲がり補正用の補正関数の係数値などのパラメータや、フィードバック制御の位置ループゲイン、速度ループゲイン、積分時定数などがある。また、フォーカス制御系関連では、露光時のウエハ面と投影レンズ像面とを一致させる際のフォーカス制御のオフセット調整値であるフォーカスオフセット、露光時のウエハ面が投影レンズ像面と一致(平行)させるためのレベリング調整パラメータ、多点AFセンサの個々の検出点のセンサである位置検出素子(PSD)のリニアリティ、センサ間オフセット、各センサの検出再現性、チャンネル間オフセット、ウエハ上へのAFビーム照射位置(すなわち検出点)、その他AF面補正などに関連するパラメータなどがある。これら調整系パラメータの値は、いずれも装置のキャリブレーションや試運転によって調整する必要があるものである。
次に、非調整系パラメータの代表例について幾つか説明する。まず、露光量制御系関連では、例えば、照明系におけるNDフィルタの選択に関するパラメータや、露光量目標値がある。また、同期制御系関連では、例えば、走査(スキャン)速度などがある。また、フォーカス制御系関連では、例えば、9チャンネル分のフォーカスセンサの選択状態、後述するフォーカス段差補正マップ関連のパラメータ、フォーカスオフセットの微調整量、ウエハ外縁のエッジショットにおけるスキャン方向などがある。これらのパラメータの設定値は、いずれも装置のキャリブレーションを行わずに値を変更することが可能なパラメータであり、露光レシピによって指定されているものが多い。なお、NDフィルタについては、あるウエハに対する露光開始時に、露光量目標値を適当に(例えば最小に)設定した状態で1回だけ行われる平均パワーチェックの結果により選択される。また、このNDフィルタの選択によっては、スキャン速度もある程度微調整される。
ウエハ上に転写形成されるデバイスパターンの線幅や転写位置は、露光量、同期精度、フォーカスの各制御誤差により設計値からずれる。そこで、露光装置100では、露光量制御系から得られる露光量誤差に関連する制御量の時系列データ(露光量トレースデータ)、同期制御系から得られる同期精度誤差に関連する制御量の時系列データ(同期精度トレースデータ)、フォーカス制御系から得られるフォーカス誤差に関連する制御量の時系列データ(フォーカストレースデータ)をロギングし、それらのデータをパターン線幅や転写位置の解析評価に利用している。
[ウエハ]
図2(A)には、露光装置100において露光対象となるウエハWの一例が示されている。図2(A)に示されるように、ウエハW上には、デバイスパターンが形成された複数の領域SApが形成されている。この領域SApは、ショット領域とも呼ばれている。図2(B)に示されるように、各ショット領域SApには、ウエハマーク(MXp、MYp)が付設されている。ウエハマーク(MXp、MYp)は、その形状等からその位置情報を検出することが可能なマークである。例えば、図2(B)では、ウエハマーク(MXp、MYp)は、ライン・アンド・スペース・マークとして示されている。ウエハマークの形状としては、他にも、ボックスマーク、十字マークなどを採用することができる。
露光装置100では、このウエハW上のショット領域SApに対して、レチクル上のデバイスパターンを、正確に重ね合わせ露光する必要がある。正確な重ね合わせ露光を実現するためには、各ショット領域SApの位置を正確に把握する必要がある。ウエハマークは、各ショット領域SApの位置(その中心Cpの位置)を把握するために設けられている。ウエハマーク(MXp、MYp)は、それが付設されたショット領域SApのデバイスパターンとともに転写形成されたものであることから、ウエハW上のそれらの位置関係はほぼ固定であり、マークの位置がわかればそのショット領域の中心位置Cpがわかるようになっている。
なお、図2(A)、図2(B)に示される、ウエハW、ショット領域SAp、ウエハマーク(MXp、MYp)は、あくまで一例であって、そのサイズ、ショット領域1つ当たりの数、配列状態、形状などは、適宜変更されうるものである。
ウエハマークの位置を計測するため、露光装置100には、このウエハマークの位置を計測するためのアライメント系が設けられている。このアライメント系では、ウエハマークが含まれるウエハ面に関する波形、例えばそのウエハ面の凹凸に対応する波形を、内部に備えるアライメントセンサを用いて例えば光電検出する。この光電検出により、このウエハマークを含むウエハ面に相当する波形データが得られるようになる。アライメント系では、検出した波形データから、マークに対応する波形(マーク波形)を抽出し、その抽出結果に基づいてマーク波形の位置を検出する。アライメント系では、検出されたマーク波形の位置と、アライメントセンサの検出視野の位置とに基づいて、XY座標系におけるウエハマークの位置を算出する。露光装置100では、その算出結果に基づいて、デバイスパターンの転写位置が決定される。
なお、デバイスパターン正確な重ねあわせ露光を行うためには、ウエハ上のすべてのショット領域の位置情報を計測してもよいが、それでは、スループットに影響が出るおそれがある。そこで、露光装置100では、実際に計測するウエハマークを限定し、計測されたウエハマークの位置の計測結果から、ウエハ上のショット領域の配列(αβ座標系で規定されるショット配列)を統計的に推定するグローバルアライメント技術を採用している。露光装置100では、このグローバルアライメントとして、設計上のショット配列に対する実際のショット配列のずれを、X、Yの多項式で表現し、統計演算を行ってその多項式における妥当な係数を求める、いわゆるEGA方式のウエハアライメントが採用されている。EGA方式のウエハアライメントでは、まず、計測対象のウエハマークを計測するショット領域を幾つか選択する。選択されたショット領域をサンプルショットという。アライメント系では、サンプルショットに付設されたウエハマーク(サンプルマーク)の位置を計測する。このような計測動作を、以下ではEGA計測と呼ぶ。
このEGA計測では、波形データが、マーク波形を抽出するものとして適切か否かの判断を行っている。具体的には、波形データから、そのマーク波形がどの程度正確に検出できるか否かを、波形データの形状から求め、それを数値化し、検出結果スコアとして算出している。この検出結果スコアが所定の閾値よりも良好な場合には、マークが検出できたものとして、サンプルマークのマーク検出結果をOKとし、サンプルマークのマーク検出結果をNGとしている。
EGA方式のウエハアライメントでは、このEGA計測の計測結果、すなわち幾つかのサンプルマークの位置情報に基づく統計演算により、各ショット領域のXY位置座標を表す補正量を推定する。このような演算を、以下ではEGA演算と呼ぶ。なお、EGA方式のウエハアライメントについては、特開昭61−44429号公報等に開示されているので、詳細な説明を省略する。
この多項式により求められる、各ショット領域の位置のXY補正量を、EGA補正量という。EGA方式のウエハアライメントで求められる多項式の係数は、最小二乗法で求められたものであることから、マーク位置の実測値と、EGA補正量により補正されたマーク位置との間にはずれが残る。このずれを残差という。この残差は、精度の観点からすれば、小さい方が望ましいのは勿論である。
残差を小さくするための手段の1つが、EGA多項式モデルの高次化である。例えば、EGA多項式モデルを、1次式でなく、2次式や3次式とした方が残差は当然に小さくなる。ただし、多項式を高次化する場合には、それに合わせてサンプルショットの数を増やす必要がある。
また、ある一部のサンプルマークの計測結果が、実際のショット配列から著しくずれている場合には、全体の残差が大きくなる傾向がある。したがって、このようなサンプルマークの計測位置については、EGA演算に用いないようにリジェクトするのが望ましい。すなわち、EGA計測によりサンプルマークの位置のうちの幾つかを、EGA演算に用いないようにして、推定精度を高めていくことも可能である。このように、サンプルマークの数や配置の選択は、EGA方式のウエハアライメントにとって重要なファクタとなる。
[アライメント関連パラメータ]
露光装置100では、上記アライメント系によるEGA方式のウエハアライメントに関連する動作を規定するファクタを幾つかパラメータ化し、アライメント関連パラメータとしてその設定値を設定することができるようになっている。アライメント関連パラメータは、その値を調整するのに、アライメント系による再度の計測を必要としない波形処理パラメータと、再度の計測が必要となる要実測パラメータとに大別される。
波形処理パラメータとしては、例えば、既に計測されたサンプルマークから選択される、実際にEGA演算に用いるサンプルマークの組合せ(サンプルマークの数や位置)がある。すなわち、計測されたサンプルマークをすべてEGA演算に用いるのではなく、その中のサンプルマークの適当な組合せによるEGA演算を行うものとした場合、その組合せが波形処理パラメータとなる。また、マーク単位・ショット領域単位でのサンプルマークのリジェクトの指定、マーク検出時のリジェクトリミット値(サンプルマークをEGA演算からリジェクトするか否かの基準となる閾値)なども波形処理パラメータに含まれる。
また、アライメント系が、複数種類のアライメントセンサを備え、全てのセンサでマーク検出を行っていた場合に、実際のマーク位置の検出に用いられた波形データを検出したアライメントセンサの種類(FIA(Field Image Alignment)方式か、LSA(Laser Step Segment)方式かなど)も波形処理パラメータに含まれる。また、波形データに対する処理条件、すなわち信号処理条件(信号処理アルゴリズム(エッジ抽出法、テンプレートマッチング法、折り返し自己相関法等、スライスレベル等)も波形処理パラメータに含まれる。
また、EGA多項式モデルの種類(6パラメータモデル、10パラメータモデル、ショット内平均化モデル、ショットファクタ間接適用モデル、高次EGA処理条件(使用次数と使用補正係数)等)、重み付けEGA処理条件、EGAオプション機能の拡張EGA処理条件(ショット内多点EGA実施条件、EGA計算モデル、ショット成分補正条件等)、計測されたマークの計測位置に加えるべき補正量(アライメント補正値等)なども波形処理パラメータに含まれる。
また、要実測パラメータには、サンプルマークの種類(マーク形状が異なる場合を含む)、数や配置(新たなサンプル点を計測する場合)、マーク計測時にマークを照明する際の照明条件(照明波長、明/暗視野、照明強度、位相差照明の有無等)、マーク検出時のフォーカス状態(フォーカスオフセット等)、マーク検出に用いるアライメントセンサを変更する際のアライメントセンサの指定等が含まれる。
制御パラメータ及びアライメント関連パラメータは、上述したものに限られない。また、制御パラメータ及びアライメント関連パラメータのその全ては、基本的に全て可変であるが、全てのアライメント関連パラメータを可変とせずに、その一部のアライメントパラメータを不変(固定)としておくようにしてもよい。その際に、どのアライメントパラメータを固定とするかは、使用者が適宜任意に選択することができる。
以上述べたように、露光装置100には、装置パラメータとして、制御パラメータとアライメント関連パラメータとを設定可能となっている。これらの設定値は、レチクル上のデバイスパターンが、ウエハ上へ良好に転写されるようにある程度調整しておく必要がある。
なお、露光装置100には、ウエハを保持するステージが2台設けられている。続けて処理されるウエハは、両ステージに交互にロードされて順次露光される。このようにすれば、一方のステージに保持されたウエハに対する露光を行っている最中に、他方のステージ上にウエハをロードし、アライメントなどを行っておくことができるので、1台のステージでウエハ交換→アライメント→露光を繰り返し行うよりもスループットが向上する。
図1では、露光装置100が4台が示されているが、これは何台であってもよい。これらの露光装置は、同じ種類のものであっても、異なる種類のものであっても構わないが、説明を簡単にするために、本実施形態では、同じ種類の露光装置であるものとする。露光工程セル7001内の各露光装置100の装置名を#1〜#4としている。
[トラック]
トラック110は、露光装置100を囲むチャンバ(不図示)に接するように配置されている。トラック110は、露光装置100に対し主としてウエハの搬入・搬出を行う装置である。トラック110内部には、前述のように搬送ライン(不図示)が配置されている。露光工程セル7001内の搬送ライン140と、トラック110内の搬送ラインとは、接続されている。2つの搬送ラインの間には、多数のウエハWを収納するウエハキャリアの不図示の設置場所が設けられており、露光工程セル7001の搬送ライン140によって搬送されてきたウエハキャリアが、その場所にセットされる。トラック110内の搬送ラインには、そのウエハキャリアから取り出されたウエハが、搬送される。トラック110内の搬送ラインの露光装置100側の端部には、露光装置100のチャンバ側面のシャッタ付きの開口が設置されている。トラック110内の搬送ラインは、露光装置100と、露光装置セル7001内の搬送ラインとの間でウエハの搬送を行う。
トラック110内には、レジスト塗布及び現像を行うコータ・デベロッパ(C/D)が設けられている。C/Dは、ウエハ上に対するフォトレジストの塗布及び現像を行う。C/Dは、露光装置100や、後述する測定器120とは、独立して動作可能である。このC/Dにおいても処理部1、2が設けられており、処理時間の短縮が実現されている。C/Dは、トラック110の搬送ラインに沿って配置されている。したがって、この搬送ラインによって、露光装置100とC/Dとトラック110の外部との間でウエハの搬送が可能となる。
すなわち、露光装置100、トラック110内のC/Dは、相互にインライン接続されている。ここで、インライン接続とは、装置間及び各装置内の処理ユニット間を、ロボットアームやスライダ等のウエハを自動搬送する搬送装置を介して接続することを意味する。このインライン接続により、露光装置100とC/Dとの間でのウエハの受け渡し時間を格段に短くすることができる。
インライン接続された露光装置100とトラック110とは、これを一体として、1つの基板処理装置(100、110)とみなすこともできる。基板処理装置(100、110)は、ウエハに対して、フォトレジスト等の感光剤を塗布する塗布工程と、感光剤が塗布されたウエハ上にマスク又はレチクルのパターンの像を投影露光する露光工程と、露光工程が終了したウエハを現像する現像工程等を行う。露光装置セル7001は、基板処理装置(100、110)を4つ備えていることになる。
[測定器]
測定器120は、露光装置100でのウエハの露光前後(すなわち、事前、事後)において、そのウエハを測定対象とする様々な測定を行うことが可能な複合的な測定器である。測定器120は、露光前に測定を行う事前測定器と、露光後に測定を行う事後測定器とを備えている。
事前測定器は、ウエハが露光装置100に搬送される前に、露光装置100における露光条件を最適化するための測定を行う。事前測定器の測定対象の1つに、露光対象となるウエハの表面状態がある。事前測定器は、ウエハの前層の各領域に形成されたデバイスパターン等によって生じた個々のウエハ面の表面形状(凹凸)であるいわゆるショットフラットネス(デバイストポグラフィ、フォーカス段差ともいう)を測定する。このショットフラットネスが、露光前に既知であれば、その情報をフォーカス制御に反映すれば、その制御精度が向上する。事前測定器には、例えば、露光装置100における多点AFセンサとマッチングのとれた多点AFセンサが設けられており、これにより、ウエハ面が検出され、ショットフラットネスが測定される。測定器120は、露光装置100やトラック200とは、独立して動作可能である。また、測定器120は、事前測定器におけるこのショットフラットネスの測定結果を、通信ネットワークを介して外部にデータ出力することができるようになっている。
事前計測器は、他に、露光装置100に搬入される前に、ウエハ上に形成されたウエハマークの計測(EGA計測)を行う。この事前計測により、そのウエハマークがサンプルマークとしてふさわしいか否かを判断するようにすれば、露光装置100のEGA計測を効率的なものとすることができる。事前計測器は、露光装置100のアライメント系と同等のウエハ上のウエハマークの位置計測機能を有している。すなわち、測定器120は、露光装置100のアライメント系とマッチングがとれたアライメント系を有している。このアライメント系では、露光装置のアライメント系と同様にアライメント関連パラメータを設定可能であり、露光装置のアライメント系と同じ状態でサンプルマークを計測することが可能となっている。また、事前測定器では、このEGA計測の結果に基づいて、EGA演算を行うことも可能となっている。
一方、測定器120の事後測定器は、露光装置100で転写されC/Dで現像された露光後(事後)のウエハ上のレジストパターン等の線幅や重ね合わせ誤差の測定を行う。測定器120は、事後測定器における測定結果に基づいて、露光装置100の露光条件を最適化する最適化部をさらに備えている。
最適化部には、アライメントユニットと同じ内容のアライメントユニットライブラリが搭載されている。このアライメントユニットライブラリは、最適化対象の露光装置の機種や、ソフトバージョンに対応したものが複数搭載されており、選択切り替え可能な構成となっている
また、最適化部は、アライメントシミュレータと、線幅シミュレータとを備えている。
アライメントシミュレータは、デフォルト設定された所定の基準アライメント条件(基準アライメントパラメータ)下で実施されたEGA演算結果(基準演算結果)としての基準EGAデータを露光装置100から取得する。ここで、基準アライメント条件(基準アライメントパラメータ)とは、計測対象となるサンプルショットの特定や、そのマークを計測する時の照明条件や得られたマーク信号に対する波形アルゴリズムやEGA演算モデル等が予めデフォルトで所定条件に設定されている条件(パラメータ)のこと(後述する波形処理パラメータ及び要実測パラメータを含む)であり、露光装置100で実際に適用されたアライメント条件である。アライメントシミュレータは、基準アライメント条件の一部又は全部を変更して実施されたEGA演算結果(比較演算結果)としての比較EGAデータを、露光装置100から取得する。アライメントシミュレータは、事後測定器により実測されたデバイスパターンの重ね合わせ誤差の計測結果を取得し、基準EGAデータと、その基準EGAデータに対応する重ね合わせ誤差の計測結果と、比較EGAデータ等に基づいて、最適なアライメント条件を推定する。
線幅シミュレータは、露光装置において取得される露光量、同期精度、フォーカスのトレースデータから算出される露光量、同期精度、フォーカスの各制御誤差の統計値に基づいて、デバイスパターンの線幅のシミュレーション値を算出することができる。
なお、測定器120においても、処理部1、2が設けられており、処理時間の短縮が実現されている。本実施形態では、露光工程セル7001に、2台の測定器が設けられている。したがって、露光工程セル内において、測定器の台数(2台)は、露光装置の台数(4台)より少なくなっている。
[装置コントローラ]
装置コントローラ130は、露光工程管理コントローラ160からの制御指令に応じて、露光工程セル内の各装置を制御するコンピュータである。装置コントローラ130は、露光装置セル7001内において、各露光装置100(#1〜#4)、各測定器120(#1、#2)と、所定の通信ネットワークで接続され、データ通信が可能となっている。このようなコンピュータとしては、例えばパーソナルコンピュータを採用することができる。装置コントローラ130は、露光工程セル7001内の装置間のデータ通信を可能とする通信サーバ機能を有している。
通信サーバ機能は、通信仕様などが異なる露光装置100、測定器120などの各種装置間でのデータ通信を支援する通信支援機能である。この通信サーバ機能により、各装置のデータ通信機能を改造することなく、異なる種類の装置間のデータ通信が可能となる。図3には、この通信サーバ機能を中心とする装置コントローラ130の概念的なソフトウエアの概略構成図が示されている。図3に示されるように、装置コントローラ130は、通信サーバ部53と、送受信部51、52と、変換定義ファイル登録部54と、変換レシピファイル登録部55とを備えている。
各装置でのデータ通信の際にそのデータの変換が必要となるのは、個々の装置のレシピファイルや測定器120における計測結果が記述されたファイルといったファイルの書式、すなわちファイル・フォーマットと、ストリーム・ファンクション等の通信メッセージと、HSMS、SECS−I等の通信プロトコル(いずれもSEMI規格で定められる通信プロトコル)との3つである。したがって、図3に示されるように、通信サーバ部53には、ファイル・フォーマット変換部53aと、通信メッセージ変換部53bと、通信プロトコル変換部53cの3つの変換部が設けられている。
各変換部53a〜53cにおけるデータ変換は、変換定義ファイルを参照して行われる。変換定義ファイルとは、データ通信を行うデバイス製造処理装置間のデータ変換規則を定義するファイルであり、変換定義ファイル登録部54に登録されている。このファイルを参照すれば、一方のデバイス製造処理装置から送られてきたデータを、他方のデバイス製造処理装置において認識可能なデータに変換することができる。変換定義ファイルについても、ファイル・フォーマット変換定義ファイル541、通信メッセージ変換定義ファイル542、通信プロトコル変換定義ファイル543の3種類の定義ファイルが必要である。変換定義ファイル(541、542、543)は、テキストファイル形式で登録されている。装置コントローラ130は、テキストエディタを備えており、オペレータは、必要に応じて、テキストエディタを利用して、ファイル内容の追加・編集・削除が可能となっている。
ある装置から他の装置へのデータ通信1回についてそれぞれ利用される3種類の変換定義ファイルの情報は、変換レシピファイルにまとめられている。この変換レシピファイル551、552、553、…は、装置コントローラ130の変換レシピファイル登録部55に、実際に露光装置セル7001内でデータ通信を行うデバイス製造処理装置の組み合わせ毎に登録されている。変換レシピファイル551、552、553、…には、対象となる接続装置名、変換定義ファイル名が指定されており、装置コントローラ130の通信サーバ部53における各変換部53a、53b、53cは、データ通信を行う2つのデバイス製造処理装置の組合せに対応する変換レシピファイルをファイルオープンし、データの送信元と送信先の装置名を確認し、変換に必要な変換定義ファイル541、542、543、のファイル名を特定し、そのファイル名をキーとしてそれぞれの変換定義ファイルをファイルオープンして、その変換定義ファイルに記述されたデータ変換規則に基づいて、データを変換する。
例えば、露光装置#1と測定器#1とのデータ通信を行う場合には、装置コントローラ130は、露光装置#1と測定器#1との間のデータ通信に対応する変換レシピファイルを参照し、その変換レシピファイルに登録されている、ファイル・フォーマット変換定義ファイル541、通信メッセージ変換定義ファイル542、通信プロトコル変換定義ファイル543をファイルオープンし、そのファイルの内容に従って、受信したデータを、ファイルレベル、メッセージレベル、プロトコルレベルで変換し、変換したデータを、データの送り先に送信する。
このような通信サーバ部53を備えることにより、露光装置セル7001内におけるデバイス製造処理装置間のデータ通信が可能となる。以下では、露光装置セル内7001のデータ通信は、この通信サーバを介して行われるものとする。また、露光装置セル7001において、新しい露光装置100、測定器120などのデバイス製造処理装置を新たに接続した場合には、その新しいデバイス製造処理装置に対する、変換定義ファイル、変換レシピファイルを、変換定義ファイル登録部54、変換レシピファイル登録部55に登録するだけで、露光装置セル内におけるデータ通信機能を維持したまま、露光装置セル7001内の装置構成を迅速に変更することが可能となる。
なお、本実施形態に係る装置コントローラ130の通信サーバ部53では、変換定義ファイルを参照して、データ変換を行ったが、変換定義ファイルの代わりに、実際に変換処理を行うダイナミック・リンク・ライブラリのような変換プログラムを登録し、その変換プログラムを実行してデータ変換を行うようにしてもよい。
[工程内搬送ライン]
工程内搬送ライン140は、露光工程セル7001内で、すなわち、基板処理装置(100、110)と測定器120との間をウエハキャリアを搬送する搬送ラインである。工程内搬送ライン140は、露光工程セル7001外の工程間搬送ライン800との間で、ウエハキャリアの受け渡しができるように連結されている。
[搬送コントローラ]
搬送コントローラ150は、露光工程管理コントローラ160からの制御指令に従って、露光工程セル7001内の搬送ライン140におけるウエハキャリアの搬送を制御する。このようなコントローラとしては、例えば、パーソナルコンピュータを採用することができる。
[露光工程管理コントローラ]
露光工程管理コントローラ160は、露光装置セル7001内の各装置と搬送とを統括制御するコンピュータである。露光工程管理コントローラ160は、装置コントローラ130を介して、露光装置100により実施される露光工程を集中的に管理するとともに、露光工程セル7001内の各デバイス製造処理装置の管理及びそれらの連携動作の制御を行っている。また、露光工程管理コントローラ160は、搬送コントローラ150を介して露光工程セル7001内の搬送ライン140を管理する。このようなコンピュータとしては、例えば、パーソナルコンピュータを採用することができる。
露光装置セル7001内の各装置の連携動作の制御は、そのコンピュータ上で動作する制御アプリケーションプログラムが実行されることにより実現されている。図4には、その制御アプリケーションプログラムを中心とする露光工程管理コントローラ160のソフトウエアの概略構成が示されている。図4に示されるように、露光工程管理コントローラ160は、送受信部61、62と、制御部63と、記憶装置64とを備えている。
[連携レシピファイル]
露光工程管理コントローラ160の記憶装置64には、複数の連携レシピファイル651、652、653、654、…が格納されている。連携レシピファイル65nは、露光装置セル7001内の複数種類のデバイス製造処理装置、すなわち露光装置100、測定器120に跨る処理手順が所定のスクリプト言語で記述されたスクリプトファイルである。
露光工程管理コントローラ160は、この連携レシピファイル651等に記述された処理手順に従って、露光装置セル7001内の複数種類のデバイス製造処理装置(100、120)を連携動作させる。この連携レシピファイル651等による装置の連携動作が実現されれば、露光装置セル7001の効率的な運用が可能となる。
例えば、露光装置100によりウエハの前後において、測定器120によりそのウエハに対する測定を行い、その測定結果に基づいて、必要な場合には、露光装置100における露光工程を調整するように、連携レシピファイル651等における処理手順を記述すれば、露光装置100の露光工程の最適化を迅速に実現することができるようになる。
より具体的には、例えば、測定器120において露光装置100のアライメント系と同様に事前にEGA計測を行って、そのEGA計測結果に基づいてアライメント関連のパラメータを最適化し、その最適化結果に基づいて、露光装置100のアライメント関連のパラメータを調整する、いわゆる事前計測によるEGA計測最適化シーケンスを行うことができる。
まず、露光工程セル7001において可能なEGA計測最適化シーケンスの一般的な流れについて説明する。図5には、1枚のウエハに対し露光装置100の露光前に行われる測定器120の事前測定器によるEGA計測最適化シーケンスの一例を示すフローチャートが示されている。このフローチャートは、連携レシピファイルが記述内容の基礎となる。
まず、ステップ201において、測定器120は、露光装置100からEGA計測に必要なデータを取得する。このデータは、例えば、露光装置100のアライメント系によって実際に計測される予定であるマークの位置、すなわちサンプルマーク位置と、露光装置100に設定されているアライメント関連のパラメータの設定値などに関する情報を含んでいる。
次のステップ203では、測定器120の事前測定器において、露光装置100のアライメント系と同様のサンプルマークに対するEGA計測を行う。露光装置100のアライメント系と同様のEGA計測であっても、露光装置100から独立して動作可能な測定器120で行った結果の方がスループットの面で優位である。また、後述する通り、一旦露光装置100内へ搬入したウエハをEGA計測不可のためリジェクトするという無駄を回避できる。このEGA計測では、露光装置100におけるEGA計測と同様に、各サンプルマークのマーク検出結果(OK/NG)と、検出結果スコアが算出される。
次のステップ205では、測定器120の事前測定器は、露光装置100に対し、この測定結果に関するデータを送信する。次のステップ207では、露光装置100は、受信した測定結果に基づいて、検出結果スコアが閾値より良好でなく、マーク検出結果がNGとなったサンプルマークの数(マーク検出エラー数)が許容値以上であるか否かを判断する。
このステップ207における判断が肯定された場合には、ステップ209に進み、露光装置100は、予め指定されている探索領域内の他のサンプルマークを計測するか否かを判断する。ステップ209における判断が肯定された場合には、さらにステップ211に進み、露光装置100は、所定の優先順位によって決定された他のサンプルマークの位置と、アライメント関連パラメータの設定値に関するデータを探索する。露光装置100は、探索した他のサンプルマークの位置と、アライメント関連パラメータの設定値に関するデータを測定器120に送る。
ステップ213実行後は、ステップ203に戻る。その後、改めて、ステップ203〜ステップ213が繰り返され、測定器120における他のマークについてのEGA計測(ステップ203)、マーク検出結果と検出結果スコアの送信(ステップ205)、マーク検出エラー数の判断(ステップ207)等が行われる。この一連の処理で、マーク検出結果がNGとなったサンプルマークの数が設定許容数以下になった場合には、ステップ207での判断が肯定されるようになり、基板処理装置(100、110)にウエハキャリアを搬送し、露光装置100において、露光工程を行う。
一方、ステップ209での判断が否定された場合(すなわち、探索領域内のマークでEGA計測していないマークがなくなった場合)には、探索領域内のサンプルマークを全て計測しても、マーク検出結果がNGとなったサンプルマークの数が予め設定された許容数以上のままであったとみなし、ステップ215に進み、露光装置100へウエハを搬送することなく、そのウエハをリジェクトする。
上述したような露光装置セル7001内の露光装置100と、測定器120との連携動作を行うことにより、露光装置100への搬入前のウエハに対しEGA計測を行って、EGA計測の最適化を実現することが可能となる。このようにすれば、EGA計測を満足に実行することのできる見込みのないウエハ、すなわち重ね合わせ露光を精度良く行うことができないウエハをリジェクトして、無駄な露光処理を行わないようにすることができる。
図6には、このような、事前計測によるEGA計測最適化シーケンスを実現するための連携レシピファイル65nの記述例が示されている。図6に示されるように、この連携レシピファイル65nは、測定器120の事前計測によるEGA計測最適化シーケンスの処理手順をテキスト形式で記述したものである。この連携レシピファイル65nでは、順番に実行されるべき命令が、原則として上から1行毎に記述されている。“;”以降の部分は、コメント文であり、このコメント文は、行を数える場合にはカウントしない。
このレシピファイルの1行目には、“For wafer_no.=1 To wafer_num.”と記述されている。また、最終行には、“Next wafer_no.”と記述されている。これらは、いわゆるループ構文である。
すなわち、このレシピファイルでは、1行目から最終行までの処理手順を繰り返すように記述されている。“wafer_num.”は、1ロット内のウエハの数であり、最終のウエハ番号を意味している。“wafer_num.”は、定数として、予め定義されている。
“wafer_no.”は、変数であり、処理中のウエハ番号を意味している。“wafer_no.”は、デフォルトで1が設定されている。”For”から“Next wafer_no.”までの処理が1回繰り返されると、”wafer_no.”が1だけインクリメントされるようになる。そして、1行目の”For”文に戻ると、”wafer_no.”が、”wafer_num.”を超えたかどうかを判断することにより、ループ処理の終了判断がなされる。
以上のことから、このレシピファイルでは、ウエハ番号1番(wafer_no.=1)のウエハから、最終ウエハ番号(wafer_num.)のウエハまでのウエハに対し、1行目から最終行までの処理が繰り返されるようになっている。
連携レシピファイルの2行目には、”[send] ExpMC#1 → MeasMC#1 @PreALGMarkMeas_Lot_A[1]”と記述されている。“[send] A→B @C”は、Aという装置からBという装置にCというレシピファイルに従って、データを送れという命令である。“ExpMC#1”は、露光装置#1を意味し、“MeasMC#1”は、測定器#1を意味する。また、“PreALGMarkMeas_Lot_A[1]”は、ロット処理Aについてのアライメントマーク事前計測用の1番目レシピファイルを意味する。すなわち、この命令は、露光装置#1から測定器#1にレシピファイル“PreALGMarkMeas_Lot_A[1]”に指定されているデータを送れという命令である。レシピファイル“PreALGMarkMeas_Lot_A[1]”には、まず、サンプルマークの位置・アライメント関連パラメータに関するデータが指定されている。したがって、ここでは、露光装置#1から測定器#1へ、計測対象のアライメントマーク位置・マーク検出パラメータのデータが送られるようになる。すなわち、この命令が、図5のフローチャートのステップ201に相当する。
なお、このレシピファイル“PreALGMarkMeas_Lot_A[1]”は、露光装置と測定器との両方共通なファイル・フォーマットで作成されているか、又は、ファイル・フォーマットが異なる場合には、装置コントローラのデータ変換により、露光装置と測定器の両方から共通に読み出すことができるようになっている。露光工程管理コントローラ160は、装置コントローラ130を介して露光装置#1と測定器#1に対し、レシピファイル“PreALGMarkMeas_Lot_A[1]”に指定されたデータの送受信を実行するように通知する。露光装置#1と測定器#1とは、サンプルマーク位置・マーク検出パラメータに関するデータの送受信を、直接、又は、データ変換が必要な場合には装置コントローラ130の通信サーバ53を介して行う。
この連携レシピファイルの3行目には、”[exec] MeasMC#1 @PreALGMarkMeas_Lot_A[1]”と記述されている。[exec] A @Bは、Aという装置に、Bというレシピファイルを実行せよという命令である。すなわち、この命令は、測定器#1は、レシピファイル“PreALGMarkMeas_Lot_A[1]”に基づいて、マーク検出を実行する命令である。
この連携レシピファイルの4行目には、”[send] MeasMC#1 →ExpMC#1 Result@PreALGMarkMeas_Lot_A[1]”と記述されている。“Result@A”は、Aというレシピファイルの実行結果が書き込まれたファイルである。したがって、この命令を実行することにより、レシピファイル“PreALGMarkMeas_Lot_A[1]”の実行結果のファイル“Result@PreALGMarkMeas_Lot_A[1]”が、測定器#1から露光装置#1へ送られるようになる。なお、レシピファイル“PreALGMarkMeas_Lot_A”の計測結果“Result”のデータ構造体は、レシピファイル内に定義されており、少なくとも3つのデータ、“Error.Result”(マーク検出エラー数)、“Status.Result[i]”(マーク検出結果ステータス)、“Score.Result[i]”(マーク検出結果スコア)を含んでいる。
この連携レシピファイルの5行目には、”If Error.Result@PreALGMarkMeas_Lot_A[1]>Error_Threshold”と記述されている。これは、条件分岐構文のいわゆる“if”文である。この“if”文の内容が肯定された場合には“Then”から“End if”までの命令を実行し、否定された場合には“End if”以下の命令を実行するようになる。
“Error_Threshold”は、定数であり、マーク検出結果のエラー数の許容値を意味している。“Error.Result@PreALGMarkMeas_Lot_A[1]”は、レシピファイル“PreALGMarkMeas_Lot_A[1]”の実行結果に含まれるマーク検出エラー数である。すなわち、マーク検出結果内のエラー数が許容値を超過したか否かが判断される。
“Then”以下の7行目〜10行目の命令、“[send] ExpMC#1 → MeasMC#1 @PreALGMarkMeas_Lot_A[2]”、“[exec] MeasMC#1 @PreALGMarkMeas_Lot_A[2]”、“[send] MeasMC#1 →ExpMC#1 Result@PreALGMarkMeas_Lot_A[2]”、“If Error.Result@PreALGMarkMeas_Lot_A[2]>Error_Threshold”の命令は、指定されたレシピファイルが、“PreALGMarkMeas_Lot_A[2]”である点が2行目〜5行目の命令と異なっているだけである。
すなわち、露光装置#1から測定器#1への次候補の計測対象のマーク位置、マーク検出パラメータのデータ送信、測定器#1での次候補のアライメントマークの検出、測定器#1から露光装置#1への次候補のマーク検出結果のデータ送信、マーク検出エラー数チェックが行われる。このマーク検出エラー数のチェックにおいて、エラー数が許容値を超過した場合には、@Wafer_Rejectを実行することにより、該当ウエハのリジェクトを行う。また、エラー数が許容値以内であれば、“Next wafer_no.”を移行する。
5行目の“If” 文が肯定的であった場合には、14行目の“[exec]ExpMC#1”の命令を実行する。すなわち、露光装置#1において、ロットAの露光レシピ“Exposure_Lot_A”を実行する。
この連携レシピファイル65nでは、上述の複数の命令手順が、指定ウエハ数分繰り返されるようになる。なお、図5におけるフローチャートは、複数回のリトライを行う場合の処理であったが、図6における連携レシピファイルは、リトライの回数は1回のみとして記述されている。本実施形態に係る半導体製造処理システムでは、測定器120が基板処理装置(100、110)とインラインでは接続されておらず、ウエハ1枚1枚の連携動作が困難であるため、図6に示される連携レシピファイルが採用される。
このように、連携レシピファイルにおいては、具体的に処理を行わせようとする装置を、装置名(ここでは、ExpMC#1、MeasMC#1)を用いて指定することが可能である。そして、その処理手順をその順番に記述し、各処理手順毎に、処理を行う装置を装置名で指定しているので、連携レシピファイルでは、結果的に、特定された装置を使用する順番を指定することが可能となる。また、処理を行う装置を装置名で特定することができるため、同じ種類の装置(例えば露光装置#1〜#4)があっても、その中から実際に使用する装置を指定することが可能である。また、露光装置の装置名には、“ExpMC”というテキスト文(冠名)を付与し、測定器の装置名には“MeasMC”というテキスト文(冠名)を付与することにより、指定された装置の種類も識別可能としたので、互いに種類の異なるデバイス製造処理装置を誤りなく指定することが可能である。
また、この連携レシピファイルでは、“For”などのループ構文、“If”などの分岐構文などで、処理手順の繰り返し、分岐などが可能となっている。これにより、処理手順の制御が可能となるとともに、その記述を簡便なものとすることができる。
露光工程管理コントローラ160では、連携レシピファイルは、複数登録可能であり、上記EGA計測の最適化シーケンスの他、様々な種類の最適化シーケンスに関する連携レシピファイルを用意しておくことができる。例えば、露光装置100での露光前に、測定器120においてウエハのフォーカス段差を計測する事前計測によるフォーカス段差補正シーケンスの連携レシピファイルを用意しておくことができる。図7には、1枚のウエハに対して行われる事前計測によるフォーカス段差補正シーケンスの一例のフローチャートが示されている。
まず、ステップ301では、段差データを更新するか否かを判断する。段差データが存在しない場合には新規に段差データを作成する必要があるため、ここでの判断は肯定される。また、ロット内のウエハでは、その面形状が同じ傾向にあることが予想されるため、ウエハ毎にショットフラットネスを変更する必要がない場合には、この判断が否定される。否定された場合は、ステップ311に進む。肯定された場合は、そのままステップ303に進む。ロット先頭のウエハに対しては、この判断は肯定されることになる。ステップ303では、測定器120の事前測定器に、露光対象であるウエハをロードし、EGA計測及びEGA演算、すなわちEGA方式のウエハアライメントを実行する。これにより、ウエハ上の各ショット領域の位置座標が明らかになる。
次のステップ305では、測定器120の事後測定器は、ウエハ上の各ショット領域におけるデバイスパターンなどによる段差測定を行う。この場合、ショット領域の段差を測定するショット領域は、幾つかのショット領域(測定ショット領域)に限定することができる。この段差測定では、各測定ショット領域の段差データの測定を所定回数繰り返し、その段差データをショット内座標系(ショット領域ごとに設定される座標系)に変換し、各回の段差データの平均値をそのショット領域の段差データとして算出する。この場合、各回の段差測定において、段差データが検出された検出点には、若干の位置ずれが生じるが、この位置ずれに対しては、最小2乗近似、スプライン補間、またはフーリエ級数等による補間その他の補間により、位置の合わせこみを行えばよい。これにより各測定ショット領域ごとに、そのショットの中心位置を基準とするX、Y軸方向に指定ピッチで並ぶ格子状の地点にそれぞれ対応する離散的な段差データが得られるようになる。
これらの検出点間の段差データの補間についても、最小2乗近似や上記各種補間を用いることができる。この場合、全検出点の中から選択された幾つかの検出点の段差データにそれぞれオフセットと重みを付与し、ショット単位で、測定ショット領域の近似面を算出する。この近似面は、平面であっても曲面であってもよい。そして、段差データを、その近似面からの差分データ(オフセットデータ)に変換する。ただし、近似面から著しくはなれたようなデータ(ある閾値(第1閾値とする)より大きいデータ)は、除外する。
さらに、近似面からパラメータとして指定された第2の閾値以上離れたデータを異常値データとしたときに、この異常値となった検出点の数が、パラメータとして指定された個数を超える場合には、その測定ショット領域自体を計測に失敗した失敗ショットとし、残りの成功ショット(失敗ショット以外の測定ショット領域)のみの段差データを平均化し、その平均値をデバイス段差補正量として算出する。ここでの平均化の際にも、必要に応じて補間演算を行う。
次のステップ307では、測定ショット領域の数分の段差測定が終了したか否かを判断する。この判断が肯定されるまで、ステップ305を測定ショットを変えながら段差測定を繰り返す。ステップ307の判断が肯定されると、ステップ309に進む。
ステップ309では、各測定ショット領域におけるデバイス段差データ、すなわちショットフラットネスを測定器120から露光装置100へ送信する。ステップ311では、露光装置100は、測定器120から送られたショットフラットネスデータに基づいてフォーカス制御を行いながら、露光工程を行う。
上述したような連携動作を行うことにより、露光対象となるウエハが露光装置100に搬入される前にフォーカス段差測定を行い、その測定結果に用いてフォーカス制御の最適化を実現することが可能となる。
図8には、このような事前計測によるフォーカス段差最適化シーケンスを実現するための連携レシピファイルの記述例が示されている。この連携レシピファイルは、事前計測によるフォーカス段差最適化シーケンスについて、テキスト形式で記述されたものである。
このレシピファイルの1行目の命令と、最終行の命令は、図5の連携レシピファイルと同じである。2行目の命令は、“[send]ExpMC#1 →MeasMC#1 @PreFocusMeas_Lot_A”と記述されている。これは、PreFocusMeas_Lot_Aというレシピファイル(事前フォーカス段差測定のレシピファイル)に記述されているように、アライメント関連のパラメータ&フォーカス制御関連の制御パラメータの設定値に関するデータを露光装置#1から測定器#1へ送信せよという命令である。次の3行目の命令は、“[exec]MeasMC#1 @PreFocusMeas_Lot_A”と記述されており、これは、事前測定器#1において、アライメント実行後、指定ショット数分の段差測定を実行せよという命令である。
次の4行目の命令は、“If Status.Result@PostFocusMeas_Lot_A=Error_Threshold”と記述されており、これは、アライメント&フォーカス測定中にエラーが発生したか否かを判定せよという命令である。ここで、エラーが発生したと判別した場合に実行される命令は、@Wafer_Rejectと記述されており、これは、そのウエハをリジェクトするためレシピファイルを指定する命令である。この命令が実行されると、該当ウエハをリジェクトするための情報が、しかるべき場所に登録される。ここで、エラーが発生しなかったと判別した場合に実行される命令は、“[send]MeasMC#1 →ExpMC#1 Result@PreFocusMeas_Lot_A”と記述されている。これは、アライメント&段差測定が正常に終了したものとして、段差補正データを測定器120から露光装置100へ送信せよという命令である。そして、その後に行われる命令は、“[exec]ExpMC#1 @Exposure_Lot_A”と記述されており、これは、事前に得られた段差測定データに基づき露光装置#1において露光工程を実行せよという命令である。そして、この連携レシピファイルによれば、1行目と最終行のループ構文により、上述した処理が、指定ウエハ枚数分繰り返されることになる。
以上述べた2つのEGA計測最適化シーケンス、フォーカス段差最適化シーケンスは、事前計測による露光装置100の露光工程の最適化シーケンスであったが、以下では、事後計測による露光装置の最適化シーケンスの連携レシピファイルを記述することも可能である。以下では、事後測定による露光装置の最適化シーケンス及びその連携レシピファイルについて述べる。
図9には、重ね合わせ誤差の事後測定によるアライメント最適化シーケンスのフローチャートが示されている。
ステップ401では、予め、最適化対象となるアライメント関連のパラメータのON/OFFを指定し、重ね合わせ計測結果に対するずれ異常検出のための閾値を決定する。アライメント関連のパラメータは多数存在するため、最適化の対象を絞った方が効率が良い。そこで、ここでは、最適化対象となるアライメント関連のパラメータを指定(ON設定)する。最適化対象のパラメータとしては、FIA系のマーク検出パラメータがある。また、上記重ね合わせ計測結果に対するずれ異常検出のための閾値としては、重ね合わせ計測結果の平均、ばらつき(3σ等)、又は、平均の絶対値とばらつき(3σ等)との和を設定することができる。
次のステップ403では、測定器120の事後測定器において、重ね合わせ誤差の計測を行う。ステップ405では、重ね合わせ計測結果が、その閾値を超過したか否かを判断する。この判断が否定されれば、重ね合わせに異常はないものとして、そのまま処理を終了する。
一方、ステップ405における判断が肯定された場合には、重ね合わせに異常が発生したものとして、ステップ407に進む。ステップ407では、露光装置100から測定器120に、アライメント関連パラメータとアライメント結果に関するデータを送信する。ここで、アライメント関連パラメータとしては、アライメントマーク(数、配置、マーク形状など)、アライメント照明条件(波長、明暗視野、強度、位相差など)、アライメントセンサ、EGA多項式モデル、アライメントフォーカスオフセット、マーク検出処理パラメータなどがある。また、アライメント計測結果としては、EGA計測の結果(波形データ等)、EGA演算結果(EGA補正量や残差等)のログデータなどがある。
次のステップ409では、測定器120の最適化部は、EGA演算の残差成分(ランダム成分)が最も小さくなるアライメント関連の最適化対象のパラメータをアライメントシミュレータを用いて導出する。次のステップ411では、最適化されたアライメント関連のパラメータを、測定器120から露光装置100へ送信する。
図10には、重ね合わせ誤差の事後測定によるアライメント最適化シーケンスの連携レシピファイルの記述例が示されている。この連携レシピファイルは、事後計測によるアライメント関連のパラメータの最適化シーケンスについて、テキスト形式で記述されたものである。
このレシピファイルの1行目の命令は、“[send]ExpMC#1 →MeasMC#2 @PostOverlayMeas_Lot_A”と記述されている。これは、重ね合わせ計測パラメータを露光装置#1から測定器#2へ送信せよという命令である。次の2行目の命令は、“[exec]MeasMC#2 @PostOverlayMeas_Lot_A”と記述されており、これは、事後測定器#2にて、計測パラメータを使用して、重ね合わせ計測を実行せよという命令である。
次の3行目の命令は、“If Status.Result@PostOverlayMeas_Lot_A=Error”と記述されており、これは、重ね合わせ計測結果が予め設定された閾値を超過したか否かを判断する命令である。ここで、重ね合わせ誤差が、閾値を超過した場合の第1の命令は、“[send]ExpMC#1 →MeasMC#2 Result@EGA_Meas_Lot_A”と記述されている。これは、露光装置#1におけるアライメント関連パラメータを測定器#2へ送信せよという命令である。そして、第2の命令は、“[send]MeasMC#2 @EGA_Sim_Lot_A”と記述されている。これは、露光装置から得られた計測データに基づき、測定器#2のアライメントシミュレータにてEGAシミュレーションを実行せよという命令である。そして、第3の命令は、“[send]MeasMC#2 →ExpMC#1 Result@EGA_Sim_Lot_A”と記述されており、これは、レシピファイルEGA_Sim_Lot_Aにおいて指定されたEGAシミュレーション結果を測定器#2から露光装置#1へ送信せよという命令である。
一方、重ね合わせ誤差が、閾値を超過した場合の第1の命令は、“[exec]ExpMC#1 @Exposure_Lot_A”と記述されており、これは、シミュレーションで最適化されたEGAパラメータを用い、レシピファイルExposure_Lot_Aで露光装置#1にて露光工程を続行せよという命令である。
図11には、線幅最適化シーケンスのフローチャートが示されている。図11に示されるように、ステップ501では、露光装置100で露光され、C/Dで現像されたウエハ上のデバイスパターンの線幅測定を測定器120で行う。次のステップ503では、線幅が、閾値を超えているか否か判断する。超えていなければ、処理を終了し、露光工程を続行する。
測定器120における実測線幅が設計値から大幅にずれ、この判断が肯定されれば、ステップ505に進む。ステップ505では、ここでは、露光装置100から、測定器120の最適化部に、フォーカス/露光量/同期精度の各トレースデータ又は各制御誤差の統計値と、制御パラメータに関するデータ等を送信する。そして、ステップ507で、これらの制御誤差のうち、規格外である制御誤差があるか否かを判断する。この判断が否定された場合には、処理を終了する。なお、この判断では、測定器120での実測線幅と、各制御誤差の統計値から線幅シミュレータにより推定される線幅の推定値との整合性をチェックし、一致する場合には、各制御誤差の統計値(露光スリット幅での移動平均、移動標準偏差)を算出し、規格(露光装置スペック)外であり判断が肯定された場合には、ステップ509に進む。一致しない場合には、処理を終了する。この場合、露光装置以外の装置に線幅異常の原因があるものとみなすことができるので、システムを一旦停止し、各装置のチェックを行うようにしてもよい。
ステップ507における判断が肯定された場合には、ステップ509に進む。ステップ509では、補正対象の制御系パラメータを最適化する。次のステップ511では、最適化した制御パラメータに関するデータ(すなわち最適値データ)を、露光装置100へ送信する。この制御系パラメータの最適値は露光装置100に設定される。この後、露光装置100は、露光工程を続行する。
図12には、線幅の最適化シーケンスを行う際に用いられる連携レシピファイルの記述例が示されている。この連携レシピファイルは、事後計測による線幅の最適化シーケンスについて、テキスト形式で記述されたものである。
1行目の命令では、“[exec]MeasMC#2 @PostCDMeas_Lot_A”と記述されており、これは、事後測定器#2にて、露光パターンの線幅計測を実行せよという命令である。また、2行目の命令は、“If Status.Result@PostCDMeas_Lot_A=Error”と記述されており、これは、線幅計測結果が線幅ばらつき閾値を超過したか否かを判定せよという命令である。ここで、線幅の計測結果が閾値を超過した場合は、4行目の命令“[send]ExpMC#1 → MeasMC#2 Result@Exposure_Log_Lot_A”が実行されるようになり、露光量、同期精度、フォーカスの各トレースデータ又は各制御誤差の統計値、制御パラメータに関するデータが露光装置#1から測定器#2へ送信されるようになる。
5行目の“[exec]MeasMC#2 @CD_Sim_Lot_A”は、測定器#2の最適化部にて、線幅シミュレータを用いてCDシミュレーションを実行せよという命令である。そして、5行目の命令は、“If Status.Result@CD_Sim_Lot_A=Error”と記述されており、これは、露光量、同期精度、フォーカスの各制御誤差に規格外のものがあるか否かを判定せよという命令である。
この判断が肯定された場合に行われる8行目の“[send] MeasMC#2 → ExpMC#1 Result@CD_Sim_Lot_A”は、算出された露光量、同期精度、フォーカスの各制御誤差が規格外の場合に、CDシミュレーションの結果得られた規格外の制御ユニットの補正パラメータを露光装置#1へ送信せよという命令である。そして、最終行の“[exec]ExpMC#1 @Exposure_Lot_A”は、補正された制御パラメータを、露光装置#1に設定して、露光処理を続行せよという命令である。
露光工程管理コントローラ160上で動作する制御部63は、記憶装置64に格納された上述したような複数の連携レシピファイル651、652、653、654、…の中から、ホスト600から指示された連携レシピファイルを選択し、選択された連携レシピファイルを読み込んで、連携レシピファイルの内容を解析し、そのファイル内容に沿って、露光装置セル7001内の各装置が連携動作するように、装置コントローラ130に対する制御命令と、搬送コントローラ150に対する制御命令をそれぞれ出力する。
図4には、露光工程管理コントローラ160上で動作する制御部63の概略的なソフトウエア構成が示されている。図4に示されるように、制御部63は、ファイル読み込み部631と、命令解析部632と、指令作成部633とを備えている。ファイル読み込み部631は、指定された連携レシピファイルを、ファイルオープンして、その内容を、記憶装置64からメモリに読み込む。ファイル解析部632は、読み込まれた連携レシピファイルの内容を解析する。ファイル解析部632は、連携レシピファイルの書式チェックなども行う。指令作成部633は、解析内容に基づいて、装置コントローラ130及び搬送コントローラ150に対する制御命令を作成し、出力する。
装置コントローラ130は、上記制御命令に従って露光装置セル7001内の各装置を動作させ、搬送コントローラ150は、上記制御命令に従って露光装置セル7001内の搬送ライン140を制御する。ところで、露光工程管理コントローラ160は、この制御アプリケーションプログラムの他に、テキストエディタも備えている。テキストエディタを用いれば連携レシピファイルの編集が可能となる。
他の露光工程セル7002の工程は、上記構成と同様であるため、詳細な説明を省略する。露光工程セル7001、7002は、半導体の生産が完了するまでの各露光工程に対応して設けられている。図1では、露光工程セル7001は、A工程のセルとして示され、露光工程セル7002は、B工程のセルとして示されている。しかしながら、露光工程セルは、露光工程ごとに設けられていても良いし、複数の工程を行うセルが含まれていても良い。
[デバイス製造処理装置群]
デバイス製造処理装置群900としては、CVD(Chemical Vapor Depositon:化学気相成長法)装置910と、エッチング装置920と、化学的機械的研磨を行いウエハを平坦化する処理を行うCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学機械研磨)装置940と、酸化・イオン注入装置930と、ウエハの検査を行う検査器950とが設けられている。CVD装置910は、ウエハ上に薄膜を生成する装置であり、CMP装置940は、化学機械研磨によってウエハの表面を平坦化する研磨装置である。また、エッチング装置920は、現像されたウエハに対しエッチングを行う装置であり、酸化・イオン注入装置930は、ウエハの表面に酸化膜を形成し、又はウエハ上の所定位置に不純物を注入するための装置である。検査器950は、ウエハ上の各層のデバイスパターンの欠陥・異物検査や、線幅計測処理などを行う。CVD装置910、エッチング装置920、CMP装置940及び酸化・イオン注入装置930、検査器950にも、2つの処理部(処理部1、2)が設けられており、スループットの向上が図られている。また、CVD装置910、エッチング装置920、CMP装置940及び酸化・イオン注入装置930、検査器950も、露光装置100などと同様に複数台設けられており、相互間でウエハを搬送可能とするための搬送経路が設けられている。デバイス形成装置群900には、この他にも、プロービング処理、リペア処理、ダイシング処理、パッケージング処理、ボンディング処理などを行う装置も含まれている。
[工程間搬送ライン]
工程間搬送ライン800は、各露光工程セル7001、7002と、デバイス製造処理装置群900の各装置との間のウエハキャリアを搬送する搬送ラインである。
[工程間搬送コントローラ]
工程間搬送コントローラ850は、ホスト600の指示の下、工程間搬送ライン800のウエハキャリアの搬送を制御する。
なお、各基板処理装置(100、110)、測定器120、各種デバイス製造処理装置群900は、温度及び湿度が管理されたクリーンルーム内に設置されている。
[プロセスの流れ]
次に、デバイス製造処理システム100における一連のプロセスの流れについて説明する。まず、ホスト600は、工程間搬送コントローラ850にそのロットのウエハキャリアを、CVD装置910に搬送するように指令する。工程間搬送コントローラ850、そのロットのウエハキャリアを、CVD装置910に搬送する。ウエハキャリアの搬送が完了すると、工程間搬送コントローラ850は、ホスト600に終了を通知する。ホスト600は、CVD装置910に、そのロットのウエハに対し、成膜処理を行うように指示する。
図13に示されるように、CVD装置910は、搬送されたロット内のウエハに対し、成膜処理を行う(ステップ601)。CVD装置910は、成膜処理が終了すると、終了通知をホスト600に送信する。ホスト600は、工程間搬送コントローラ850に、そのロットのウエアキャリアを露光工程セル7001に搬送するように通知する。工程間搬送コントローラ850は、搬送ライン800を介して、そのロットのウエハキャリアを露光工程セル7001に搬送する。搬送が終了すると、工程間搬送コントローラ850は、ホスト600に終了を通知する。ホスト600は、露光工程セル7001の露光工程管理コントローラ160に対し、連携レシピファイルの指定を含む、処理開始指令を通知する。
この処理開始命令には、処理するロット名、そのロット内のウエハに設定されるレジスト厚、露光時間、アライメントオフセット、フォーカスオフセット、レチクル名等の情報、すなわち、露光工程セル7001内の各装置で行われる処理内容に関する情報も含まれている。この処理開始命令には、連携レシピファイルも指定されている。露光工程管理コントローラ160のファイル読込部631は、指定された連携レシピファイルをメモリに読み込む。ファイル解析部632は、メモリに読み込まれた連携レシピファイルを1行1行ずつ解析する。制御指令作成部633は、この解析内容に従って、装置コントローラ130及び搬送コントローラ150に対する制御指令を作成する。露光工程管理コントローラ160は、この制御命令に基づいて、装置コントローラ130、搬送コントローラ150に各種の制御信号を出力し、各露光工程セル7001内を協調動作させる。
搬送コントローラ150は、ウエハキャリアを、露光装置#1に対応する基板処理装置(100、110)に搬送する。この搬送が終了すると、搬送コントローラ150は、終了通知を露光工程管理コントローラ160に返す。露光工程管理コントローラ160は、レジスト塗布の処理開始命令を、装置コントローラ130に出力する。装置コントローラ130は、トラック110のC/Dに、ウエハキャリア内のウエハ1枚1枚にフォトレジスト塗布、プリベーク及びクーリングを行うように指示する。C/Dは、ウエハに対し、フォトレジスト塗布等を行う(ステップ602)。
ここで、指定された連携動作レシピファイルに、事前測定器によるウエハの測定が記述されている場合には、露光工程管理コントローラ160は、搬送コントローラ150に対し、ウエハを収納するウエハキャリアを、測定器120に搬送するように指示する。したがって、ウエハは、一旦、ウエハキャリア内に戻される。すべてのウエハがウエハキャリア内に戻されると、装置コントローラ130は、処理終了通知を露光工程管理コントローラ160に返す。
露光工程管理コントローラ160は、搬送コントローラ150に対し、ウエハキャリアを測定器120に送るように指示する。搬送コントローラ150は、ウエハキャリアを、連携レシピファイルに指定された測定器120に送る。
測定器120では、連携レシピファイルに記述された事前測定を行う(ステップ603)。この事前測定を行う際には、前述のようにパラメータ等の必要なデータを露光装置100から受信し、測定結果を露光装置100に送信したりする。
測定器120でのロット内のウエハの測定が完了すると、ウエハキャリアは、再び、基板処理装置(100、110)に戻される。ここで、トラック110内、または、トラック110に隣接して測定器120を配置し、露光装置100、C/D110、測定器120間のインライン接続により、ウエハ1枚ごとにレジスト塗布等→事前測定→露光→現像→事後測定を連続して行うことが望ましい。
一方、連携レシピファイルに、測定器120の事前測定器によるウエハの測定が記述されていなかった場合には、事前測定は行われず、露光工程管理コントローラ160は、レジスト塗布等の処理が終わったウエハは、1枚ずつ、露光装置100に送られる。
ウエハは、トラック110内の搬送ラインによって搬送され、露光装置100に搬入される。露光装置100では、まず、搬入されたウエハの外形基準の概略位置合わせが行われる。そして、この外形基準で、ステージにウエハがロードされる。そして、アライメント系のアライメントセンサを低倍率に設定してその検出視野を広めに設定し、ウエハ上の概略的なショット配列を算出するいわゆるサーチアライメントを行う。そして、上述したEGA計測及びEGA演算、すなわちEGA方式のウエハアライメントを行う。このアライメントの結果は、ログデータとして保存される。そして、このウエハアライメントにより求められたショット配列にしたがって、レチクル上のデバイスパターンを、ウエハ上のショット領域に重ね合わせて転写する(ステップ605)。露光装置100では、この露光中、露光量/フォーカス/同期精度の各トレースデータをロギングする。
露光が完了したウエハは、ステージからアンロードされ、C/Dに送られ、現像される(ステップ607)。これにより、ウエハ上に、レチクルのデバイスパターンに対応した凹凸のレジストパターンが形成される。
ここで、連携レシピファイルに、事後測定器によるウエハの測定が記述されている場合には、露光工程管理コントローラ160は、ウエハは、ウエハキャリアに一旦納入され、測定器120に送られる。測定器120では、連携レシピファイルに記述された内容の測定が行われ(ステップ609)、連携レシピファイルに記述された命令に従って、その測定結果に対する最適化が行われる。ここで、トラック110内、または、トラック110に隣接して測定器120を配置し、露光装置100、C/D110、測定器120間のインライン接続により、ウエハ1枚ごとにレジスト塗布等→事前測定→露光→現像→事後測定を連続して行うことが望ましい。
この後、このロットのウエハキャリアは、測定器120からエッチング装置920に搬送される。エッチング装置920においてエッチングが行われ(ステップ611)、不純物拡散、アルミ蒸着配線処理、CVD装置910にて成膜、CMP装置940にて平坦化、酸化・イオン注入装置930でのイオン注入、検査器950でのウエハ上のパターンの欠陥・異物検査などを必要に応じて行う。そして、ウエハキャリアは、露光工程Aが完了し、ウエハ上にすべてのデバイスパターンが転写形成されたか否かを、ホスト500において判断し、露光工程Aを終了する。以下、同様にして、露光工程Bが露光装置セル7002等において行われ、露光工程Aでウエハ上に形成されたデバイスパターンの上に、露光工程Bでウエハ上に形成されたデバイスパターンが階層的に積層される。このようにして、工程が繰り返された後(ステップ613)、検査器950において、プロービング処理、リペア処理が実行される。
なお、連携レシピファイルにおいては、検出した線幅の異常が発生した箇所などの情報を、検査器950に送るように処理手順を組むこともできる。検査器950では、ウエハ上の線幅異常、重ね合わせ異常が発生した箇所については、チップ単位で、プロービング処理、リペア処理の処理対象から除外することができる。その後、ダイシング処理、パッケージング処理、ボンディング処理が実行され、最終的に製品チップが完成する。なお、プロービング処理において、メモリ不良検出時には、リペア処理において、冗長回路へ置換する処理が行われる。なお、測定器120における事後測定処理は、必要に応じて、ステップ613のエッチング後に行うようにしてもよい。この場合、ウエハのエッチング像に対し線幅測定が行われる。
以上詳細に述べたように、本実施形態に係る半導体製造システム1000によれば、複数種類のデバイス製造処理装置(100、120)に跨る連携デバイス製造処理の連携動作を、1つの連携レシピファイル65nで記述するという簡単かつ単純な方法で実現することができるようになる。これにより、連携レシピファイル65nの記述内容を変更することにより、複数種類のデバイス製造処理装置(100、120)に跨る連携デバイス製造処理の連携動作を、簡単に調整し、ウエハの流れや、データの流れを簡単に制御することができるようになる。さらに、ホスト500だけで、全体のスケジューリングを行わないようにすることができるので、ホスト500の処理負担を軽減することもできる。
また、本実施形態によれば、連携レシピファイル65nは、露光工程セル7001内の複数のデバイス製造処理装置の中で、連携デバイス製造処理に用いられるデバイス製造処理装置(露光装置#1〜#4、測定器#1、#2)を特定するための情報を含めることができる。このようにすれば、連携レシピファイル65nにより、特定のデバイス製造処理装置を指定して動作させることができるので、連携動作を個別具体的に規定することができる。
また、本実施形態によれば、連携レシピファイル65nは、連携デバイス製造処理の中で、連携デバイス製造処理に用いられる複数のデバイス製造処理装置を特定する情報と、特定されたデバイス製造処理装置を使用する順番に関する情報とを含めることができる。このようにすれば、連携動作を行う複数のデバイス製造処理装置を指定することができるとともに、その使用順をも指定することができるようになり、連携動作を具体的に規定することができる。
また、本実施形態によれば、前記連携レシピファイルは、同一種類の複数のデバイス製造処理装置(例えば露光装置#1〜#4、測定器#1、#2)の中から、特定のデバイス製造処理装置を連携デバイス製造処理に使用するデバイス製造処理装置として特定する情報を含めることができる。このようにすれば、同じ種類のデバイス製造処理装置が複数あったとしても、その中から1つのデバイス製造装処理装置を明確に指定することができるので、連携動作を個別具体的に規定することができる。さらには、同一種類のデバイス製造処理装置間でも、微妙な特性の差(号機間差)が存在するのが通常であるが、このような差を考慮して、目的に沿う号機を選択できる。
また、本実施形態によれば、連携レシピファイル65nは、複数のデバイス製造処理装置の中から、互いに種類の異なる複数のデバイス製造処理装置を連携デバイス製造処理に使用するデバイス製造処理装置として特定する情報を含めることができる。このようにすれば、種類が異なるデバイス製造処理装置の連携動作が容易となる。
また、本実施形態によれば、連携レシピファイル65nは、上述したような図6等に示される書式で記述されたスクリプトファイルとしたが、本発明はこれには限られない。例えば、連携レシピファイルは、制御プログラムから読出可能なダイナミック・リンク・ライブラリなどのプログラムファイルであってもよい。このようにプログラムファイルも、テキスト形式のソースプログラムをコンパイルやインタプリトすることにより、実行ファイルとして作成されるものであり、オペレータによって編集が可能であることに変わりはない。
また、連携レシピファイル65nでは、露光装置セルにおける各デバイス製造処理装置において実行するレシピファイルの指定が可能である。このようにすれば、連携レシピファイル65n内では、連携レシピファイルの書式に沿って指定情報を記述するだけであり、指定される各デバイス製造処理装置は、それぞれの書式に沿って記述されるので、装置間でレシピファイルの書式が異なっていたとしても、そのレシピファイルを連携レシピファイルを用いて装置の連携動作を記述することが可能となるとともに、各デバイス製造処理装置毎のレシピファイルの指定、選択を連携レシピファイルから行うことが可能となる。
また、本実施形態によれば、連携レシピファイルは、連携デバイス製造処理の少なくとも一部の条件分岐又は繰り返しを制御する情報を含めることができる。このようにすれば、連携レシピファイルにおいて、処理結果に応じた処理手順の制御が可能となるうえ、処理手順が多様化し、さらにその記述が簡便となる。
また、本実施形態によれば、デバイス製造処理装置間のデータ通信を仲介する通信サーバ(装置コントローラ130)をさらに備える。このようにすれば、データの互換性のないデバイス製造処理装置の間のデータ通信が可能となる。この結果、その装置間の連携動作に要する時間を短縮することができるようになるとともに、各デバイス製造処理装置の故障の発生やメンテナンス、新しい装置の導入などにより発生するシステム変更により装置の連携動作を変更する場合が生じたときにも、それらの装置の改造をすることなく、通信サーバにおける定義変換ファイル、変換レシピファイルの追加などを最小限の変更として、装置の連携動作を問題なく行うことができるようになる。
また、本実施形態によれば、複数種類のデバイス製造処理装置には、ウエハを露光する少なくとも1台の露光装置100と、その露光対象となるウエハに対する測定を行う少なくとも1台の測定器120とが含まれる。このようにすれば、露光装置と、測定器との連携動作が可能となり、測定結果を、露光装置100における露光工程に迅速に反映することが可能となる。
また、本実施形態によれば、露光工程管理コントローラ160の連携レシピファイルには、測定器120の測定結果に応じて連携デバイス製造処理を変化させることができる。前述の条件分岐などの命令を用い、測定器120の測定結果を条件とすれば、処理手順を変化させることが容易となる。
また、露光工程管理コントローラ160では、ファイル内の記述に係る連携デバイス製造処理が異なる複数の連携レシピファイルの中から、測定器120の測定結果に応じた連携レシピファイルを選択し、選択された連携レシピファイルに従って、複数種類のデバイス製造処理装置を連携動作させることができる。例えば、事後測定における重ね合わせ結果の結果が悪化した場合には、EGA計測最適化シーケンスを行う連携レシピファイルを実行するように選択を切り替えることができる。
また、本実施形態によれば、露光工程管理コントローラ160には、デバイス製造処理装置の処理内容を最適化し、その最適化結果を、そのデバイス製造処理装置に送る最適化部を測定器に備えている。連携レシピファイルには、所定の条件が満たされた場合には、測定器120の最適化部により、連携デバイス製造処理を最適化する最適化処理が行われるように処理手順を記述することもできる。例えば、上記実施形態では、重ね合わせ異常や、線幅異常が発生した場合にのみ、アライメント関連のパラメータや、制御系パラメータの最適化を行うこととした。
なお、測定器120の最適化部において、所定の条件が満たされたと判断された場合には、複数の連携レシピファイルから最適な連携デバイス製造処理に適した連携レシピファイルを選択するようにすることもできる。すなわち、例えば、事後測定における重ね合わせ結果の結果が悪化した場合には、EGA計測最適化シーケンスを行う連携レシピファイルを実行するように選択を切り替えることができる。
また、本実施形態では、測定器120の測定結果が閾値よりも悪化した場合に測定器120の最適化部による最適化を行うように記述された連携レシピファイルについて述べたが、すなわち、ロットの先頭だけ最適化を行ったり、3枚おきに最適化を行ったり、10枚おきに最適化を行ったりなど、ウエハの処理数を条件として連携レシピファイルに記述するようにしてもよい。この場合、一旦、測定器120の測定結果が閾値よりも悪化した場合には、最適化を行う間隔を少なくしていけばよい。このようにすれば、測定器の絶対数が少なかったとしても、処理が滞ることはない。
すなわち、本発明では、測定器120での重ね合わせ計測について、重ね合わせ計測対象のロット、ウエハ、ショット領域を過去の運用履歴に基づき、重ね合わせ精度安定時は減らし、重ね合わせ精度悪化時は増やして処理効率を高めることができる。
また、本実施形態によれば、露光処理前に行われる測定器120における事前測定の測定内容は、EGA計測と、ウエハ上のショットフラットネス(デバイス段差データ)であったが、この他にも、ウエハの外形基準のラフアライメントに関する測定を行うこともできる。また、ウエハ上に転写形成されたデバイスパターンの欠陥、異物を検査する検査器の検査結果を、測定器120の測定結果と同様に扱うことができる。
また、露光処理後に行われる測定器120における事後測定の測定内容は、ウエハ上に形成されたレジストパターンの重ね合わせ誤差の測定と、レジストパターンのサイズの測定であったが、この他にも、露光装置の投影光学系の収差に関する測定を行うこともできる。また、ウエハ上に転写形成されたデバイスパターンの欠陥、異物を検査する検査器の検査結果を、測定器120の測定結果と同様に扱うことができる。このように、連携レシピファイルの内容は、上記実施形態のものには限られず、様々な装置連携動作が可能となる。また、構文も、If文や、For文に限られず、例えばswitch〜caseのような構文や他の構文を採用することも可能である。
また、本実施形態によれば、レジスト上のデバイスパターンをウエハ上に転写する露光は、複数種類のデバイス製造処理装置に跨る連携デバイス製造処理を制御するための情報が記述された連携レシピファイルに基づいて、連携デバイス製造処理の間に実行される。このようにすれば、連携レシピファイルに基づいて連携デバイス製造処理が行われる間に露光を行うので、露光工程を含む連携デバイス製造処理の処理効率を高めることができる。
また、本実施形態によれば、別の観点からすると、複数種類のデバイス製造処理装置に跨る連携デバイス製造処理を制御するための情報が記述された連携レシピファイルに基づいて、連携デバイス製造処理の間に実行されることを特徴とする測定又は検査方法であるとすることができる。このようにすれば、複数種類のデバイス製造処理装置に跨る連携デバイス製造処理が行われている間に測定・検査を行うことができるので、測定・検査の実行からその結果の反映までに要する時間を短くして、システムの処理効率を高めることができる。
また、本実施形態によれば、測定器120又は検査器950は、連携デバイス製造処理の間に測定又は検査を行っている。これにより、測定・検査の実行からその結果の反映までに要する時間を短くして、システムの処理効率を高めることができる。
また、本実施形態では、管理対象をラインパターンの線幅としたが、ボックスマークなどのラインパターンでないパターンの幅などであってもよいことは勿論である。すなわち、管理対象はパターンのサイズであればよい。
本実施形態では、測定器120は、トラック110外に設けられているが、測定器120は、図1に示されるようにトラック110外に設けられていてもよいし、トラック110内に設けられていてもよい。上記実施形態では、トラック110外に測定器を配置したが、トラック110内、またはトラック110に隣接して測定器を配置し、それを露光装置100やC/Dとインラインに接続するようにしてもよい。このようにすれば、ウエハ1枚ごとに、レジスト塗布等→事前測定→露光→現像→事後測定を連続して行うことができるため、迅速な測定が可能となり、スループットの観点から有利であるが、その分システムコストを要する。一方、トラック110外に測定器120を配置した場合には、処理効率は低下するが、測定器を露光装置毎に備える必要はないため、全体のシステムコストを抑えることはできる。
なお、搬送時間が問題とならないのであれば、測定器120は、露光工程セル7001外にスタンドアローンタイプで配置し、オフラインで他の装置と接続するようにしてもよい。この場合、連携レシピファイルの格納場所は、ホスト600であってもよい。
また、本実施形態では、露光装置100を、ステップ・アンド・スキャン方式の露光装置としたが、これに限らず、ステップ・アンド・リピート方式や他の方式の露光装置であってもよい。これに代表されるように、各種装置についても、その種類には限定されない。
なお、上記実施形態では、露光工程セル内における各装置の連携動作を行ったが、これに限らず、半導体製造処理システム内のあらゆる装置が連携動作の対象となる。ただし、この場合、それらの装置の連携動作が記述された連携レシピファイルを管理するのは、連携動作するすべての装置を統括制御するコンピュータとするのが望ましい。例えば、測定器と、デバイス製造処理装置群900のいずれかの装置とを連携動作させる場合には、ソフトにより、連携レシピファイルを管理するのが望ましい。
このように、本発明は、上記実施形態の係る半導体製造システムの構成に限定されるものではない。例えば、事後測定の結果により、露光装置の露光条件を最適化する最適化部を備えるのは測定器でなくてもよく、各装置とは独立して動作するコンピュータ上にあってもよいし、露光装置100、トラック110、装置コントローラ、露光工程管理コントローラ160などに備えられるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、露光工程管理コントローラ160を、例えばPCとした。すなわち露光工程管理コントローラ160における制御動作は、制御部63が、PCのCPUで実行されることにより実現されている。この制御プログラムは、上述したようにメディアを介してPCにインストール可能となっていてもよいし、インターネットなどを通じてPCにダウンロード可能となっていてもよい。また、露光工程管理コントローラ160がハードウエアで構成されていても構わないのは勿論である。
また、上記実施形態では、装置コントローラ130を、例えばPCとした。すなわち装置コントローラ130における通信サーバ部の機能は、そのサーバプログラムが、PCのCPUで実行されることにより実現されている。このサーバプログラムは、上述したようにメディアを介してPCにインストール可能となっていてもよいし、インターネットなどを通じてPCにダウンロード可能となっていてもよい。また、装置コントローラ130がハードウエアで構成されていても構わないのは勿論である。
また、上記実施形態では、ウエハに関する測定を行う測定器を含むデバイス製造処理装置の連携動作について説明したが、レチクルに関する測定、例えば、レチクルの平坦度の計測や、欠陥・異物検査の測定器を含むデバイス製造処理装置の連携動作についても、本発明を適用することができる。
また、上記実施形態に係る半導体製造処理システムは、複数の露光工程A,Bにそれぞれ対応する露光工程セル7001、7002を備えていたが、単一の露光工程のみを有する半導体製造処理システムにも本発明を適用することができるのは勿論である。
また、デバイスパターンをガラスプレート上に転写する工程、薄膜磁気ヘッドの製造工程、及び撮像素子(CCDなど)、マイクロマシン、有機EL、DNAチップなどの製造工程の他、すべてのデバイス製造工程における、工程管理(線幅管理、重ね管理)に本発明を適用することができるのは勿論である。
また、本発明は、ガラスプレート等の基板を処理して、液晶表示素子を製造する液晶基板製造システムにも適用することができる。また、液晶表示素子に限らず、他の種類のディスプレイの製造工程にも適用可能である。
複数種類の装置、製造装置や測定器、検査器を用いた一連の工程を行って、装置間でオンライン通信を行いながら、デバイスを製造する生産システムであれば、本発明を適用することが可能である。
51、52…送受信部、53…通信サーバ部、53a…ファイル・フォーマット部、53b…通信メッセージ変換部、53c…通信プロトコル部、54…変換定義ファイル登録部、541…ファイルフォーマット変換定義ファイル、542…通信メッセージ変換定義ファイル、543…通信プロトコル変換定義ファイル、55…変換レシピファイル登録部、551、552、553…変換レシピファイル、61、62…送受信部、63…制御プログラム、64…連携レシピファイル登録部、651、652、653…変換レシピファイル、100…露光装置、110…トラック、120…測定器、130…装置コントローラ、140…搬送ライン、150…搬送コントローラ、160…露光工程管理コントローラ、600…工場内生産管理ホストシステム、7001、7002…露光工程セル、800…工程間搬送ライン、850…工程間搬送コントローラ、900…デバイス製造処理装置群、910…CVD装置、920…エッチング装置、930…酸化・イオン注入装置、940…CMP装置、950…検査器、1000…半導体製造処理システム、Cp…中心位置、MXp、MYp…ウエハマーク、SAp…ショット領域、W…ウエハ。