JP5128015B1 - 放電加工機のワーク取付台 - Google Patents

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Abstract

加工槽(6)の内部において電極とワーク(12)との間で放電を行ってワーク(12)の表面を除去することにより、ワーク(12)を加工する放電加工機のワーク取付台(20)であって、導電性材料で形成され、加工槽(6)の底部に設置された定盤取付台(3)と、各々が平板状であって、定盤取付台(3)の上に各々の間に隙間(4)を空けて並べて固定されて絶縁平板(30)を構成する複数の絶縁材(2)と、金属材料で形成され、絶縁平板(30)の上に固定されて絶縁平板(30)によって定盤取付台(3)と絶縁され、ワーク(12)が固定される定盤(1)とを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、放電加工機のワーク取付台に関する。
例えばワイヤカット放電加工機などの定盤を絶縁するため、従来は特許文献1のように被加工物(ワーク)を固定する定盤の足を絶縁性のブロック材とすることで定盤自体の絶縁を確保する方法がある。また、特許文献2のように定盤の下に鋳物からなる定盤の取付台、その下に絶縁ブッシュを設けることで、定盤と定盤取付台からなるワーク取付台自体を絶縁する絶縁方法があった。
また、ワークを定盤に取り付ける際には、被加工物の加工精度がミクロン単位の精度を要求されることから定盤面にも高い精度が要求される。このため機械を出荷後、機械を輸送する運搬コンテナ内で大きな温度上昇/低下による定盤面の精度変化が生じないことも要求される。例えば、鋳物(線膨張率12)である定盤取付台とステンレス(線膨張率17)の定盤とをセラミック(線膨張率7)を使用して絶縁する場合、線膨張率の異なる材料間に生じるバイメタル効果により輸送時の温度変化による定盤面の精度悪化の問題が生じる。
通常は定盤を分割してバイメタル効果を抑える形状をとっていた(特許文献3参照)。
特開昭63−185530号公報 国際公開第00/54919号 特開平4−360716号公報
上記特許文献1の方法では大きな重量のワークを絶縁材で支える構造となるため、ブロック状の絶縁材は剛性が必要となり、絶縁材が大型になって製作コストも高くなる問題があった。
また、特許文献2に記載の絶縁方法では、定盤取付台の下に絶縁ブッシュを設けるため、浸漬加工中の加工屑の堆積によって絶縁が破壊されるという問題があった。
特許文献3のように定盤を分割する場合にはワークの取付位置によって加工電流などの条件が微妙に異なる等、別の不具合も発生していた。
また、定盤を分割せず、一体の定盤の下に絶縁材を組み付けた構造の場合、輸送中の温度変化によるバイメタル効果によって定盤を固定しているボルトに対して定盤と絶縁材との間の面での剪断力が発生する。この剪断力が定盤を固定しているボルトの締結力によって生じる定盤と絶縁材との間の摩擦力を超えた場合、接触面での滑りを伴った変形が生じる。この現象は絶縁板と定盤取付台との間でも同様に生じるが、このような温度変化に伴う変形は、場合によってはヒステリシスを伴った変形となるため、温度が元に戻った場合でも定盤精度が低下したまま戻らないという問題があった。
このように、従来の加工機は上記のような構造をとっているため、絶縁材の製造コストが高い、絶縁構造の信頼性が劣る、温度変化でバイメタル効果によるヒステリシスを伴う変形で定盤精度が低下したままになるなどの問題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、安価な定盤絶縁構造を有し、輸送時の温度変化の影響による定盤精度の低下を防止した放電加工機のワーク取付台を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、加工槽の内部において電極とワークとの間で放電を行ってワークの表面を除去することにより、ワークを加工する放電加工機のワーク取付台であって、導電性材料で形成され、加工槽の底部に設置された定盤取付台と、各々が平板状であって、定盤取付台の上に各々の間に隙間を空けて並べて固定されて絶縁平板を構成する複数の絶縁材と、金属材料で形成され、絶縁平板の上に固定されて絶縁平板によって定盤取付台と絶縁され、ワークが固定される定盤とを有することを特徴とする。
本発明にかかる放電加工機のワーク取付台は、温度変化の影響による定盤精度の低下を防止でき、定盤の絶縁を安定して行えるという効果を奏する。
図1は、本発明にかかる放電加工機のワーク取付台の実施の形態の構成を示す図である。 図2は、ワーク取付台の部分断面図である。 図3は、絶縁平板を分割していない場合に定盤、絶縁材及び定盤取付台の各々の界面に生じる応力を模式的に示す図である。 図4は、絶縁平板を分割している場合に定盤、絶縁材及び定盤取付台の各々の界面に生じる応力を模式的に示す図である。 図5は、定盤を固定するボルトや絶縁材を固定するボルトのピッチを狭くした場合に、温度変化によって定盤、絶縁材及び定盤取付台の間に生じる剪断方向応力を模式的に示す図である。 図6は、絶縁平板の隙間に対応する部分に逃がしを設けた定盤取付台を有するワーク取付台の部分側面図である。 図7は、絶縁平板の隙間を絶縁材料で封止したワーク取付台の部分側面図である。
以下に、本発明にかかるワーク取付台の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態.
図1は、本発明にかかる放電加工機のワーク取付台の実施の形態の構成を示す図である。図1では加工槽6の一部を切り欠いて示すことによって、加工槽6の内部を図示している。ワーク取付台20は加工槽6の底部に設けられる。ワーク取付台20には鋳物からなる定盤取付台3の上に、平板状の複数の絶縁材2が一定の隙間4を持って(各々の間に隙間4を空けて)固定されており、絶縁材2全体が、所定の長さに分割された絶縁平板30を形成している。絶縁材2は、電気的絶縁性を有する材料によって形成されている。絶縁板2の材料としては、物性が安定しており、かつ高い強度を備えるセラミック、例えばアルミナ(Al)やシリカ(SiO)などを適用可能である。これら平板状の絶縁材2の上には定盤1が固定されている。絶縁平板30を複数の絶縁材2からなる分割した平板として構成することより、絶縁材2の使用量を削減でき、加工も容易であることから低コストで製作が可能となる。
定盤1は、金属製導電体によって形成されている。定盤1の材料としては、硬度が高く防錆性に優れたステンレス材料(例えばマルテンサイト系ステンレス)を適用可能である。定盤1の上面は精度良く平面度が仕上げられており、この上にワーク12を取り付けて電気的に加工を施すようになっている。定盤1に直接ワーク12を取り付けることができるため、ワーク12の取付作業が容易である。また定盤1は、加工槽6の底面から離れた位置で絶縁平板30によって定盤取付台3と絶縁されているため、加工槽6の底面に堆積した加工屑によって定盤1と定盤取付台3との絶縁が破壊されることは防止される。すなわち、絶縁材2を定盤取付台3の下ではなく定盤取付台3と定盤1との間に固定することで加工屑の堆積による絶縁破壊が生じにくくなっている。
図2は、ワーク取付台20の部分断面図である。絶縁材2は、ボルト15によって定盤取付台3に固定されている。また、定盤1は、ボルト5によって絶縁材2に固定されている。定盤1及び絶縁材2の固定位置をワーク取付台20の左右方向で対称とすることにより、ワーク12の取付位置の違いによる加工電流などの加工条件の変動を小さく抑えることができる。
複数の絶縁材2がなす絶縁平板30は、図1に示すように隙間4で分割されており、定盤1の温度変化によって生じる定盤1と絶縁材2との界面7での剪断方向応力9は、定盤1を固定しているボルト5の締結力によって定盤1と絶縁材2との界面7に生じる摩擦力11aによる応力よりも小さくされている。また、絶縁材2と定盤取付台3との界面8での剪断方向応力10は、絶縁材2を固定しているボルト15の締結力によって絶縁材2と定盤取付台3との界面8に生じる摩擦力11bによる応力よりも小さくされている。
図3は、絶縁平板30を分割していない場合に定盤1、絶縁材2及び定盤取付台3の各々の界面に生じる応力を模式的に示す図である。図4は、絶縁平板30を分割している場合に定盤1、絶縁材2及び定盤取付台3の各々の界面に生じる応力を模式的に示す図である。ここでは説明の簡略化のためにボルト5及ボルト15の設置位置を揃えて図示しているが、これらは図2に示したように不揃いに設置されていても良い。絶縁平板30を分割している場合には、隙間4の部分では絶縁材2が定盤1及び定盤取付台3の変形を妨げないため、定盤1や定盤取付台3の隙間4に対応する部分では、両脇の絶縁材2が存在する部分へ向かう方向の応力が発生する。この応力は、定盤1や定盤取付台3の絶縁材2に対応する部分で生じた応力と打ち消し合う。このため、絶縁平板30を分割構造とすることにより、機械の温度変化によって生じる定盤1と絶縁材2との界面7での剪断方向応力9を、定盤1を固定しているボルト5の締結力によって生じる定盤1と絶縁材2との界面7での摩擦力11aによる応力よりも小さくすることができる。また、絶縁材2と定盤取付台3との界面8での剪断方向応力10についても、絶縁材2を固定しているボルト15の締結力によって生じる絶縁材2と定盤取付台3との界面8での摩擦力11bによる応力よりも小さくすることができる。
隙間4は、放電加工の際に発生する加工屑の粒子と比べて十分に大きい寸法とすることにより、隙間4内に加工屑が堆積して定盤1と定盤取付台3との間の絶縁が破壊されることを防止するとともに、定盤1と絶縁材2との界面7や絶縁材2と定盤取付台3との界面8での温度変化によるヒステリシスを伴った変形を抑え、定盤1の精度の低下を防止する効果を高めることができる。
図1に示す例では絶縁平板30を4分割しているが、絶縁平板30の分割数はこれに限定されず、増減させることが可能である。図5は、定盤1を固定するボルト5や絶縁材2を固定するボルト15のピッチを狭くした場合に、温度変化によって定盤1、絶縁材2及び定盤取付台3の間に生じる剪断方向応力9、10を模式的に示す図である。図5に示すように、定盤1や絶縁材2を固定しているボルト5、15のピッチを狭くして固定するボルト5、15の数を増やすと、ボルト5、15の各々1本当たりの剪断方向応力9、10を小さくすることができる。したがって、絶縁平板30の分割数を減らす場合には、隙間4の減少により剪断方向応力9、10が大きくなるため、ボルト5、15の本数を増やす必要がある。逆に、絶縁平板30の分割数を増やす場合には、隙間4の増加により剪断方向応力9、10が小さくなるため、ボルト5、15の本数を減らすことが可能である。
また、図2に示したように、ワーク取付台20は、定盤取付台3、絶縁材2及び定盤1が逆段差となるように構成されている。換言すると、定盤取付台3の上に絶縁材2が張り出し、絶縁材2の上にさらに定盤1が張り出す構造となっている。このような構造とすることにより、加工屑の堆積による絶縁破壊が起きにくくなっている。これにより、ワーク取付台20は高い耐久性を有し、長期使用が可能となっている。
図6は、絶縁平板30の隙間4に対応する部分に下側に凹んだ逃がし形状部13を設けた定盤取付台3を有するワーク取付台20の部分側面図である。図6に示すように、定盤取付台3の隙間4に対応する部分については、例えば鋳物をU字状に逃がし形状部13を設けて加工屑の排出性が良くなるように形成することも考えられる。なお、逃がし形状部13は加工屑の排出性を高めることができればよく、コの字状、V字状、その他任意形状とすることもできる。
図7は、絶縁平板30の隙間4を絶縁材料14で封止したワーク取付台20の部分側面図である。図7に示すように、絶縁平板30の隙間4に加工屑が入らないように、シリコンやゴムなどの絶縁材料14で隙間4を封止することも可能である。
上記の例では定盤1が一体形状である場合を例としたが、加工電流などの条件の変動が問題とならないのであれば、定盤1を分割した場合でも同様の効果が得られることは言うまでもない。この場合には、定盤1及び絶縁材2の固定位置をワーク取付台20の左右方向で対称とすることにより、ワーク12の取付位置の違いによる加工電流などの加工条件の変動を小さく抑えることができる。
本実施の形態によれば、分割しない一体の形状の定盤であっても、分割した絶縁材を定盤と定盤取付台との間に挟み込む構造とすることで、絶縁材を最小限の平板形状として安価な絶縁構造を得ることが可能となり、加工屑の堆積による絶縁破壊の影響も無くした信頼性の高い絶縁構造をとることが可能となる。また、絶縁された定盤構造であるにもかかわらず機械輸送時の温度変化による定盤の精度の低下を防ぎ、温度変化によらない安定した定盤精度を維持することが可能である。
以上のように、本発明にかかる放電加工機のワーク取付台は、温度変化の影響による定盤精度の低下を防止でき、かつ、絶縁板の加工コストを低く抑えられる点で有用である。
1 定盤
2 絶縁材
3 定盤取付台
4 隙間
5、15 ボルト
6 加工槽
7、8 界面
9、10 剪断方向応力
11a、11b 摩擦力
12 ワーク
13 逃がし形状部
14 絶縁材料
20 ワーク取付台
30 絶縁平板

Claims (11)

  1. 加工槽の内部において電極とワークとの間で放電を行って前記ワークの表面を除去することにより、前記ワークを加工する放電加工機のワーク取付台であって、
    導電性材料で形成され、前記加工槽の底部に設置された定盤取付台と、
    各々が平板状であって、前記定盤取付台の上に各々の間に隙間を空けて並べて固定されて絶縁平板を構成する複数の絶縁材と、
    金属材料で形成され、前記絶縁平板の上に固定されて該絶縁平板によって前記定盤取付台と絶縁され、前記ワークが固定される定盤とを有し、
    前記定盤取付台は、前記絶縁材同士の間に対応する部分に、下側に凹んだ逃がし形状部を有することを特徴とする放電加工機のワーク取付台。
  2. 前記定盤、前記絶縁平板及び前記定盤取付台を、逆段差をなすように重ねたことを特徴とする請求項1に記載の放電加工機のワーク取付台。
  3. 前記隙間が絶縁材料で封止されたことを特徴とする請求項1または2に記載の放電加工機のワーク取付台。
  4. 前記絶縁平板及び前記定盤が、前記定盤取付台の上面の中心を基準として左右対称に固定されたことを特徴とする請求項1または2に記載の放電加工機のワーク取付台。
  5. 前記定盤は、複数に分割されていることを特徴とする請求項1または2に記載の放電加工機のワーク取付台。
  6. 前記定盤取付台は鋳物であり、前記複数の絶縁材はセラミック板であり、前記定盤はステンレス製であることを特徴とする請求項1または2に記載の放電加工機のワーク取付台。
  7. 加工槽の内部において電極とワークとの間で放電を行って前記ワークの表面を除去することにより、前記ワークを加工する放電加工機のワーク取付台であって、
    導電性材料で形成され、前記加工槽の底部に設置された定盤取付台と、
    各々が平板状であって、前記定盤取付台の上に各々の間に隙間を空けて並べて固定されて絶縁平板を構成する複数の絶縁材と、
    金属材料で形成され、前記絶縁平板の上に固定されて該絶縁平板によって前記定盤取付台と絶縁され、前記ワークが固定される定盤とを有し、
    前記隙間が絶縁材料で封止されたことを特徴とする放電加工機のワーク取付台。
  8. 前記定盤、前記絶縁平板及び前記定盤取付台を、逆段差をなすように重ねたことを特徴とする請求項7に記載の放電加工機のワーク取付台。
  9. 前記絶縁平板及び前記定盤が、前記定盤取付台の上面の中心を基準として左右対称に固定されたことを特徴とする請求項7または8に記載の放電加工機のワーク取付台。
  10. 前記定盤は、複数に分割されていることを特徴とする請求項7または8に記載の放電加工機のワーク取付台。
  11. 前記定盤取付台は鋳物であり、前記複数の絶縁材はセラミック板であり、前記定盤はステンレス製であることを特徴とする請求項7または8に記載の放電加工機のワーク取付台。
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