現在、一般家庭におけるテレビジョン放送(以下、単に「テレビ」と記す)の視聴率の調査を行う際、通常用いられる方法を技術的な観点から分類すると、「日記式のアンケートによる調査」と、「チャンネルセンサによる調査」とに大別することができる。
「日記式のアンケートによる調査」とは、日記式のアンケートを用いて、視聴率の調査を行うものである。視聴率の調査を行う調査員が、各家庭の視聴者に調査票を届け、調査対象者にテレビの視聴状況を記入してもらうことにより、個人別の視聴率の調査を行う。この調査では、テレビ受像機ごとに、視聴者個人単位で、視聴時間を表す矢印を5分刻みで記入欄に記入してもらい、このような視聴履歴の記録を一週間継続して実施するのが一般的である。その後、このような視聴記録を回収して集計することにより、視聴番組(視聴チャンネル)および視聴時間に加えて、視聴者層の情報も含めた視聴率を算出することができる。
一方、「チャンネルセンサによる調査」とは、調査対象となる世帯のテレビ受像機にチャンネルセンサを接続することにより、視聴率の調査を行うものである。チャンネルセンサとは、テレビ受像機が受信して放送しているチャンネルを識別する装置である。この装置を利用して、テレビ受像機が受信しているチャンネルを、視聴者が視聴しているチャンネルとみなして調査を行う。このチャンネルセンサには、具体的には、アナログ放送のチャンネルを識別する「メディアセンサ」と、デジタル放送のチャンネルを識別する「デジタルテレビセンサ」とがある。チャンネルセンサを用いる視聴率の調査においては、調査員が調査ごとに視聴者の世帯を訪問する必要はない。
このように、各家庭におけるテレビ受像機のチャンネルの情報は、テレビ受像機ごとに設置されたチャンネルセンサにより取得された後、世帯ごとに設置された「オンラインメータ」に無線通信により送信されて蓄積される。このオンラインメータは、各テレビ受像機のチャンネルセンサが取得したデータをまとめて、毎日早朝に自動ダイヤルにより、データ通信回線(電話回線)を通して外部の調査会社(コンピュータセンタ)に送出する。外部の調査会社は、送出されたデータを集計することにより、対象地区の視聴率を算出する。オンラインメータには、アナログ放送に対応している「β(ベータ)メータII」と、放送のデジタル化による多チャンネル時代に備えて開発された「デジタルメータ」とがある。以上のように、オンラインメータを含む機械式の世帯視聴率の調査システムは、オンラインメータシステムと呼ばれている。
また、視聴に係るチャンネルの情報をメディアセンサにより収集する際に、ピープルメータ(PM:People Meter)により視聴者を特定する情報をさらに付加する調査も行われている。ピープルメータは、日記式の調査に代わるものとして開発された、個人視聴率の調査を可能にするシステムであり、世帯視聴率と個人視聴率とを同時に調査することができる。このようなシステムは、すでに、関東地区では1997年に、関西地区では2001年に、名古屋地区では2005年に導入されている。
このシステムは、テレビ受像機ごとの視聴チャンネルを識別する、上述した「チャンネルセンサ」と、当該チャンネルを選択した個人を特定するための入力を促し、当該入力の結果を表示する「PM表示器」とを備えている。PM表示器とは、視聴者個人に割り当てられたボタンの入力状況を、光るイラストボタンにより表示する装置である。各視聴者が、視聴の開始時および終了時に、各人に割り当てられたボタンを押すことにより、個人の視聴登録を行う。また、視聴者がボタンを押し忘れるのを防ぐために、ランプやアラームなどの警報装置を内蔵している。このようにPM表示器に各視聴者個人が入力を行うことにより、PMシステムにおいて個人視聴率の調査を行うことができる。
なお、個人視聴率とは、調査対象の世帯において年齢が4歳以上の家族全員の総数の中で、時間別または番組別にどのくらいの人がテレビ放送をリアルタイムで視聴していたかという割合を示すものである。視聴者を性別、年齢別、職業別などに分けて、個人視聴率を算出する。
上述した日記式のアンケートによる調査以外の視聴率調査方法においては、チャンネルセンサによって、視聴者が選択したチャンネルを識別する技術が不可欠である。
チャンネルセンサによるチャンネル識別方法は、従来、ピクチャマッチング方式が採用されていた。このピクチャマッチング方式とは、視聴者が選択したチャンネルによるテレビの所定の箇所の映像をセンサによって読み取り、基準チューナにより各チャンネルの映像を順次スキャンした結果と比較する方法である。テレビ受像機から読み取った映像と、スキャンした基準チューナの映像とが合致するチャンネルが存在すれば、その映像を放送する基準チューナのチャンネルが、視聴者が選択しているチャンネルであると判定する。したがって、このチャンネル識別方法は、基準チューナで受信できる放送のチャンネルでなければ、チャンネルの識別を行うことができない。
近年のデジタル放送においては、チャンネルセンサによるチャンネル識別方法は、上述したピクチャマッチング方式に代えて、サウンドマッチング方式が採用されている。この方式を採用することで、デジタル放送により放送されるチャンネル数の増加に対応している。
このサウンドマッチング方式は、視聴者が選択したチャンネルによるテレビの音声を、基準チューナによる各チャンネルの音声を順次スキャンした結果と比較する方法である。テレビ受像機の音声と、スキャンした基準チューナの音声とが合致するチャンネルを検索して、その音声を放送する基準チューナのチャンネルが、視聴者が選択したチャンネルであると判定する。したがって、この方式においても、ピクチャマッチング方式と同様に、チャンネルの識別に対応できるチャンネルは、基準チューナで受信できる放送のチャンネルに制限される。
上述したように、従来のチャンネルセンサを用いたピクチャマッチング方式およびサウンドマッチング方式では、識別対象(テレビ受像機)のチューナとは別個に基準チューナを設置しなければならない。また、上述したように、識別に対応できるチャンネルは、基準チューナで受信できる放送のチャンネルに制限される。
したがって、チャンネルセンサに基準チューナが1つしかない場合には、例えば、CS、BS、ケーブルテレビ等の多チャンネルのチューナを複数用いたチャンネルの識別を行うことはできない。このような、多チャンネルのチューナを複数用いたチャンネルの識別を行うには、各放送のチューナに対応する基準チューナをそれぞれ設置する必要がある。このように番組の受信に用いるチューナごとに基準チューナを設置する調査方法は、機器の構成を複雑化させるため、設備コストの観点から効率的とは言い難い。今後ますます多コンテンツ化が予想される番組の放送事情を鑑みると、低コストで(複数チューナの)多チャンネルに対応可能なチャンネルセンサが望まれる。
なお、現在、通常行われている視聴率の調査の対象となるのは、所定の放送機器を用いてリアルタイムで視聴されている放送のみである。すなわち、地上波放送、衛星放送(BS放送やCS放送)、またはケーブルテレビ(CATV)などのテレビ放送は視聴率の調査対象である。一方、ビデオテープレコーダ(VTR)やハードディスク(HDD)内臓型のデジタルビデオレコーダ(DVR)による録画・再生、あるいはテレビゲームやパソコンによるテレビ放送の視聴などは、通常の視聴率には含まれない。しかしながら、今日では、ビデオカセットレコーダ(VCR)が極めて多くの家庭に普及し、HDDレコーダやDVD/ブルーレイレコーダなどの記録(録画)機器も急速に普及しており、放送をリアルタイムで視聴せずに、録画して後から視聴する人も数多い。
そこで、通常の視聴率以外にも、これらのような録画機器を用いて行われる録画を調査することに基づく、いわゆる「録画率」も、テレビの番組やコマーシャルなどを視聴した世帯や人々の多さを示すひとつの指標として、重要な意義を有するようになっている。
録画機器を用いてテレビを録画している最中は、放送が視聴されていない(再生されていない)ことが多い。放送が視聴されていない場合であっても、録画中にチューナから映像および/または音声の信号が出力される仕様の録画機器を用いていれば、上述したピクチャマッチングまたはサウンドマッチングにより、録画中のチャンネルを識別することは可能である。ところが、たとえ録画中のチャンネルを識別できたとしても、録画機器が「録画中」であることを特定できなければ、そのチャンネル識別情報を、いわゆる「録画率」の調査に活かすことはできない。
このような場合、例えばVTRにおいては、VTRの音声/映像の信号の出力からチャンネルマッチングを行うとともに、録画機器の消去ヘッドからERASE信号(消去信号)を取得することにより、このERASE信号の状態から、録画機器が録画状態であることを検出することができる。このようにすれば、録画中の放送について、録画中であることの識別と共に、ピクチャマッチング/サウンドマッチングにより、どのチャンネルが録画されているかを示す情報である録画チャンネルを識別することが可能である。
しかしながら、上述したように、ピクチャマッチング/サウンドマッチング方式では、基準チューナを用いなければならず、さらに、識別に対応できるチャンネルは、基準チューナで受信できる放送のチャンネルに制限されるという問題が残る。したがって、昨今のデジタルビデオレコーダ(DVR)などのレコーダにおいて、デジタル放送をはじめとする、各種放送のチャンネル数の増加に対応したチャンネルの識別を行うことは困難になっている。
また、録画機器によっては、録画中は、チューナから映像信号または音声信号が出力されないものもある。したがって、このような録画機器を用いて上述した録画率を調査しようとする際は、録画中に映像も音声も出力されないため、上述したピクチャマッチング方式によっても、サウンドマッチング方式によっても、チャンネルの識別を行うことはできない。
そこで、上述した内容に関連する技術として、ラジオ放送の聴取率の測定にあたり、ラジオ受信機に表示されるチャンネル表示を読み取って認識する技術が開示されている(例えば特許文献1参照)。
この特許文献1に記載のチャンネル認識装置は、図11に示すように、検出アタッチメントのエリア・センサ900上に、多数の光電変換素子(フォトダイオード)930を配置している。このエリア・センサ900を、ラジオ受信機本体の前面に配設された発光表示部910の前面に重畳させて、発光表示部910に表示された選局情報の文字/数字パターン(図示の例ではFM7ch)を多数の光電変換素子930により認識している。
この装置によれば、視聴者が選択したチャンネルを効率的かつ直接的に識別することができる。すなわち、このような装置を利用して視聴率の調査を行う際には、チャンネルの識別に際して、視聴者が選択したチャンネルの映像や音声と比較するための基準チューナは一切不要になる。
以下、本発明の各実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、本実施の形態においては、チャンネル認識装置は、従来のデジタル放送のチューナと組み合わせて用い、当該チューナによる放送のチャンネルを認識する装置として説明する。しかしながら、本実施の形態のチャンネル認識装置は、デジタル放送のチューナのみならず、テレビのアナログ放送やラジオ放送のチューナなど、チャンネル情報の表示部を有する任意のチューナに組み合わせて適用することができる。
また、以下の各実施の形態において、本発明のチャンネル認識装置と組み合わせて用いるデジタル放送チューナは、デジタル放送を受信するチューナの機能を主とするチューナ専用機を例に挙げて説明する。しかしながら、本発明のチャンネル認識装置と組み合わせて用いるチューナは、専用機に限定されるものではない。本発明のチャンネル認識装置は、チューナを内蔵したHDDレコーダやDVD/ブルーレイレコーダのような種々の録画再生機などと組み合わせて使用することもできる。
(第1実施の形態)
図1は、第1実施の形態に係るチャンネル認識装置100を、従来のデジタル放送チューナ500と共に概略的に示す斜視図である。
チャンネル認識装置100は、図1に示すように、従来のデジタル放送チューナ500と組み合わせて使用する。このチャンネル認識装置100は、その前面(図のY軸方向)にチャンネル透過表示部110と、リモコン信号受信部120とを備えている。また、チャンネル認識装置100は、その上面(図のZ軸方向)に、デジタル放送チューナ500のゴム脚部を固定するための凹部300を有している。さらに、チャンネル認識装置100は、その側部(図のX軸方向)に、デジタル放送チューナ500本体をチャンネル認識装置100本体に固定するための固定ベルト400を備えている。
なお、従来のデジタル放送チューナ500は、その前面にチャンネル表示部510を備えているものであれば任意のものを使用することができる。このチャンネル表示部510には、現在選択している放送のチャンネル情報が表示され、さらに、放送波の種別(CS/BS/地上デジタル)を示すインジケータなども表示される。
また、デジタル放送チューナ500は、図示しない遠隔制御装置(以下、単に「リモコン」という)により遠隔操作(遠隔制御)を行うことを可能にするため、リモコンの信号を受信するリモコン信号受信部520を備えている。デジタル放送チューナ500は、視聴者によるリモコンに対する操作入力に基づいて、赤外線通信などによる信号をリモコン信号受信部520から受信することにより、チャンネルの変更などの遠隔制御を行う。
図2は、デジタル放送チューナ500を、固定ベルト400を用いてチャンネル認識装置100に固定した状態を概略的に示す斜視図である。
図2(A)は、図1に示したチャンネル認識装置100に、デジタル放送チューナ500を固定した状態を示している。しかしながら、本実施の形態においては、図2(A)に示すように、チャンネル認識装置100を、デジタル放送チューナ500の下側に配置することは必須の要件ではない。例えば、簡単な設計変更により、図2(B)に示すように、チャンネル認識装置100がデジタル放送チューナ500の上側に配置される設計にしても、同様に本実施の形態の効果を得ることができる。以下の説明においては、設計の一例として、図2(A)に示す形状のチャンネル認識装置100について説明する。
図3は、図1に示したチャンネル認識装置100のみを、各座標軸に沿って概略的に示す図である。
図3(A)は、チャンネル認識装置100を、図1に示したY軸方向に沿って示した図である。前述したように、チャンネル認識装置100は、その前面に、チャンネル透過表示部110と、リモコン信号受信部120とを備えている。
図3(B)は、チャンネル認識装置100を、図1に示したZ軸方向に沿って示した図である。チャンネル認識装置100は、一部切り欠いて示すように、その内部に、カメラマウント132に搭載した、撮像部を構成するカメラ130を備えている。カメラ130は、画像を撮像する超小型のデジタルカメラとするのが好適である。カメラマウント132は、チャンネル認識装置100の底板に固定されているが、スクリュー等を緩めることにより、その位置を調整することができる。カメラマウント132の位置を調整することにより、カメラ130の撮像範囲を調整することができる。これは、デジタル放送チューナ500のチャンネル表示部510の位置に応じて、カメラ130の位置を調整できるようにするための措置である。
なお、この調整を行うために、カメラマウント132の下側の一部分などを、チャンネル認識装置100の底板を貫通させて露出させるのが好適である。この露出部分を移動させることにより、チャンネル認識装置100の天板を開放するなど分解することなく、チャンネル認識装置100の下側などからカメラ130の位置の調整を行うことができる。
図3(C)は、チャンネル認識装置100を、図1に示したX軸方向に沿って示した図である。チャンネル認識装置100は、一部切り欠いて示すように、その内部にカメラ130を備えている他、前面のチャンネル透過表示部110の裏側に相当するチャンネル認識装置100内部に、光学系140を備えている。この光学系140については後述する。
図4は、チャンネル認識装置100の光学系140および関連箇所を概略的に示す図である。すなわち、図4は、図3(C)に示すチャンネル認識装置100の光学系140周辺の詳細を示す図である。
本実施の形態においては、光学系140は、図4に示すように、ハーフミラー142およびミラー144を含んで構成される。ハーフミラー142は、入射光を分離して、一部を反射するとともに一部を透過するビームスプリッタであれば任意のもので構成することができる。また、ミラー144は、入射光を全反射するものであれば、プリズムなど任意のもので構成することができる。
本実施の形態によるチャンネル認識装置100は、デジタル放送チューナ500のチャンネル表示部510に表示されるチャンネル表示の画像を、ハーフミラー142によって一部透過させ、さらにミラー144によってカメラ130に導く。
すなわち、図4に示すように、デジタル放送チューナ500のチャンネル表示部510に表示されるチャンネル表示の画像を構成する光は、まず、ハーフミラー142に入射して分離される。すると、分離された入射光の一部はそのまま透過して、チャンネル認識装置100のチャンネル透過表示部110に、チャンネル表示の画像を表示(投影)する。したがって、ハーフミラー142の作用により、チャンネル認識装置100のチャンネル透過表示部110は、デジタル放送チューナ500のチャンネル表示部510に表示されるチャンネル表示を、そのまま外部に視認可能に表示する。
さらに、入射光のうちハーフミラー142により反射された光は、ミラー144によってさらに反射されてカメラ130に導かれる、つまりカメラ130の撮像面に表示(投影)される。
図5は、図4に示したハーフミラー142およびミラー144(光学系140)ならびにチャンネル透過表示部110による作用の概略を、3次元的に示す斜視図である。
このように、本実施の形態では、光学系140を構成するハーフミラー142によって、チャンネル表示部510に表示されるチャンネル表示画像を分離して、外部すなわちチャンネル透過表示部110に視認可能に透過表示する。これとともに、さらに光学系140を構成するミラー144によって、チャンネル表示画像をカメラ130に導く、つまりカメラ130の撮像面にチャンネル表示画像を表示(投影)する。
図6は、チャンネル認識装置100およびデジタル放送チューナ500の機能の概略構成を示すブロック図である。
上述したように、チャンネル認識装置100は、デジタル放送チューナ500のチャンネル表示部510に表示されているチャンネル表示の画像を、光学系140によって分離して外部に視認可能に表示するチャンネル透過表示部110を備えている。また、チャンネル認識装置100は、チャンネル表示部510に表示されるチャンネル表示の画像を、光学系140によって分離した後さらに反射させて、そのチャンネル表示の画像が導かれるカメラ130を備えている。
さらに、図6に示すように、チャンネル認識装置100は、カメラ130から出力される撮像信号を処理する処理回路150を備えている。この処理回路150には、ディップスイッチなどで構成される切替スイッチ160が接続される。
処理回路150は、制御部152と、信号処理部154と、画像認識部156とを含んで構成される。
制御部152は、処理回路150の全体を制御するとともに、内部には、図示しない記憶部を備えている。この記憶部には、チャンネル認識装置100全体を制御するための基礎となるプログラム、およびデジタル放送チューナ500のチャンネル表示部510に表示されるチャンネル表示画像を、各メーカおよび機種別に認識するための各種ソフトウェアなどが格納されている。
信号処理部154は、カメラ130の撮像信号(アナログ信号)を増幅し、所定の電圧にクランプ処理した後、画像認識部156が処理できる形態のデータにアナログ/デジタル変換を施す。
また、画像認識部156は、信号処理部154からのデータに基づいて画像解析を行い、チャンネル表示部510に表示されているチャンネル表示の画像から、現在表示されているチャンネルを認識する。具体的には、画像認識部156は、信号処理部154により2値化された信号に基づいて、例えばチャンネル表示部510が図5に示すような7セグメントのLEDから構成される場合、表示されたチャンネル番号の各桁を構成する表示の撮像位置を認識する。次に、画像認識部156は、LEDにより表示された各桁の中心位置から、各桁の処理エリアを決定し、そのエリア内の発光セグメントに基づいて、表示された数字(文字)を認識する、などの処理を行う。
このように、画像認識部156は、処理可能にしたカメラ130の出力に基づいて、チャンネル表示部510にて現在選択されているチャンネルを示すチャンネル情報を認識する。画像認識部156は、チャンネル表示画像を常時監視して、前回認識したチャンネル表示画像に変化が生じた場合、変化後のチャンネル表示画像に基づいて、放送波の種別およびチャンネル番号を認識する処理を行う。このようにして画像認識部156で認識されたチャンネル情報(放送波の種別およびチャンネル番号のデータ)は、出力部を構成するチャンネル情報出力部170から出力され、例えばオンラインメータなどの外部機器に供給される。
なお、デジタル放送チューナ500のチャンネル表示部510の仕様はメーカおよび機種ごとにかなり異なることが想定され、これに伴って、チャンネル表示部510に表示されるチャンネル表示の表示態様も種々のものが存在し得る。
図7は、従来のデジタル放送チューナ500のチャンネル表示部510に表示される各種チャンネル表示の代表的な表示態様を例示する図である。
図7(A)に示すチャンネル表示部510は、図5に示したものと同様に、7セグメントLEDによりチャンネル番号を表し、さらに別のLEDのインジケータにより放送波の種別(地上波デジタル/BSデジタル/CSデジタル)を示すタイプのものである。チャンネル表示部510の左側にあるLEDインジケータを点灯させて放送波の種別を示し、右側の3桁の7セグメントLEDによりチャンネル番号を表示する。図7(A)に示すチャンネル表示の左右を入れ換えたタイプのものも考えられる。
チャンネル表示部510の他のタイプとしては、図7(B)〜(D)に示すように、3桁の7セグメントLEDのみを用いることにより、放送波の種別とチャンネル番号との両方を示すものもある。
例えば、図7(B)に示すチャンネル表示部510は、まず放送波の種別(CSデジタルを表すjc)を短時間表示した後に、その表示がチャンネル表示部510’に示すように変化して、チャンネル番号(例えば762チャンネル)を示している。また、図7(C)に示すチャンネル表示部510は、まず放送波の種別(BSデジタルを表すbs)を短時間表示した後に、その表示がチャンネル表示部510’に示すように変化して、チャンネル番号(例えば103チャンネル)を示している。さらに、図7(D)に示すチャンネル表示部510は、まず放送波の種別(地上波デジタルを表すtd)を短時間表示した後に、その表示がチャンネル表示部510’に示すように変化して、チャンネル番号(例えば21チャンネル)を示している。
また、チャンネル表示部510のさらに他のタイプとしては、図7(E)に示すように、LEDを細かくドット表示させることによりチャンネル番号を示すものもある。さらに、より細かくLED等を表示させることにより、精細度の高いグラフィック表示により、特徴のある書体で放送波の種別およびチャンネル番号を表示することも可能である。他にも、液晶ディスプレイ(LCD)を用いて放送波の種別およびチャンネル番号を表示することもでき、この場合には、バックライト照明機構を有するものと有さないものとが考えられる。さらに他にも、有機ELディスプレイを用いて放送波の種別およびチャンネル番号を表示するなど、今後の技術動向により、極めて多種多様な表示態様のチャンネル表示部510を想定することができる。
本実施の形態によるチャンネル認識装置100は、デジタル放送チューナ500のチャンネル表示部510を、カメラ130により光学的に読み取る(撮像する)ため、上述のような表示態様をはじめとして、極めて多種多様なチャンネル表示の態様に対応できる。
このような各種チャンネル表示を撮像したチャンネル表示画像を画像処理部156が認識できるように、各メーカおよび各機種別のチャンネル表示画像の認識に対応したソフトウェアを、制御部152の記憶部に予め格納する。本実施の形態によるチャンネル認識装置100は、デジタル放送チューナ500のメーカおよび機種に応じて、チャンネル表示画像を認識するソフトウェアを、切替スイッチ160に対する入力に基づいて切り替えることができる。切替スイッチ160に対する入力によりデジタル放送チューナ500のメーカおよび機種の設定が変更されると、制御部152は、当該メーカおよび機種に対応したチャンネル表示画像を認識するソフトウェアを記憶部から読み出す。このソフトウェアに基づいて、画像処理部156は、各メーカおよび各機種別にチャンネル表示画像を認識する。
また、デジタル放送チューナ500が新機種である等の理由により、制御部152の記憶部に、当該チューナのチャンネル表示画像の認識に対応したソフトウェアが予め格納されていない場合も想定される。このため、チャンネル認識装置100は、処理回路150の制御部152に接続される外部機器インタフェース190から、現在格納されていないソフトウェアを取得することができる。このようにして、チャンネル認識装置100は、未対応のデジタル放送チューナ500に対しても、後に提供されるソフトウェアを取得することにより、チャンネル表示画像の認識に対応することができる。また、この外部機器インタフェース190を経てパソコン等の各種外部機器に接続することにより、チャンネル認識装置100のメンテナンスなどの管理を行うこともできる。
このように、本実施の形態によるチャンネル認識装置100は、デジタル放送チューナ500のチャンネル表示部510に表示される各種態様のチャンネル表示を認識して、その認識結果をチャンネル情報として出力することができる。したがって、従来のチャンネル認識(識別)装置のように、基準チューナのような装備は一切必要なく、例えば地上波デジタル/CSデジタル/BSデジタルなどの複数の種別の放送におけるチャンネルであっても、容易かつ確実に認識(識別)することができる。さらに、チャンネルの認識に際しては、フォトダイオードのような光電変換素子を使用しないため、バックライト照明機構のない液晶ディスプレイ(LCD)のように、自発光しない表示部に表示されるチャンネル表示であっても認識することができる。
チャンネル認識装置100により、視聴者は、簡単な初期設定を行うのみで、それ以降は他のデジタル放送チューナに交換するまで、チャンネル認識装置100を設置していることを特に意識することなく、デジタル放送チューナを使用することができる。他のデジタル放送チューナに交換する場合でも、チャンネル認識装置100の基本設計は変更することなく、チャンネル表示画像の認識ソフトウェアを変更またはアップグレード(更新)するのみで対応することができる。さらに、視聴者は、チャンネル認識装置100のチャンネル透過表示部110を見ることにより、デジタル放送チューナ500のチャンネル表示部510に表示されるチャンネル情報を知ることができる。したがって、チャンネル認識装置100を用いることで、視聴者にほとんど手間や労力を課すことなく、また視聴者が番組を視聴することを邪魔することなく、視聴率の調査を行うことができる。
なお、デジタル放送チューナ500は、リモコンによる遠隔制御(遠隔操作)が可能であるが、チャンネル認識装置100をデジタル放送チューナ500に設置すると、当該チューナのリモコン信号受光部520が隠れてしまう恐れがある。例えば、図1に示すデジタル放送チューナ500の前面にはリモコン信号受光部520が配置されている。しかしながら、チャンネル認識装置100をデジタル放送チューナ500に設置すると、リモコン信号受光部520は、図2(A)に示すように、チャンネル認識装置100の筐体の一部により遮られてしまう。このような場合、デジタル放送チューナ500は、リモコン信号受光部520からリモコンの信号を受信することができないため、遠隔制御が不可能になる。
したがって、本実施の形態によるチャンネル認識装置100は、図1に示したように、その前面にリモコン信号受信部120を備えている。このリモコン信号受信部120は、図6に示すように、リモコンから受信した信号(遠隔制御信号)を制御部152に供給する。制御部152は、供給された遠隔制御信号を、デジタル放送チューナ500にて処理できる形態の信号に変換してから(または制御部152をバイパスして)、リモコン信号出力部180に出力する。したがって、リモコン信号出力部180から出力される信号を、デジタル放送チューナ500のリモコン拡張コネクタに接続することにより、遠隔制御信号をデジタル放送チューナ500に供給することができる。
このように、本実施の形態によるチャンネル認識装置100は、リモコンからの信号を代理で受け付けてデジタル放送チューナ500に供給することにより、デジタル放送チューナ500を遠隔制御する機能を維持させることができる。
また、本実施の形態によれば、デジタル放送チューナ500が、チューナを内蔵したHDDレコーダやDVD/ブルーレイディスクレコーダなどの録画再生機である場合、録画中に選択されているチャンネルを認識することもできる。
これらのようなチューナ内蔵型の録画再生機は、一般に、タイマなどの機能に基づいて、予め設定された時刻になると、予め設定されたチャンネルの放送の記録(録画)を開始する。この場合、例えば図7(F)に示すように、チャンネル表示部510には、「録画」と表示される録画インジケータのように、チューナ500により現在選択されているチャンネルの放送を記録中(録画中)である旨を示す情報が表示される。図7(F)は、一例として、地上波デジタル放送の第33チャンネルを録画中である旨がチャンネル表示部510に表示されていることを示している。
したがって、本実施の形態では、光学系140により、チューナ500のチャンネル表示部510に表示されたチャンネル表示画像を、現在選択されているチャンネルの放送を記録中である旨を示す情報(録画インジケータ等)を含めた状態で、撮像部130に導くことができる。導かれたチャンネル表示画像を撮像した撮像部130の出力に基づいて、画像認識部156は、現在選択されている記録中(録画中)のチャンネルを表すチャンネル情報を認識することができる。このようにして、チャンネル認識装置100は、デジタル放送チューナ500がチューナを内蔵した録画再生機である場合、録画中に選択されているチャンネルを認識(識別)することができる。
なお、デジタル放送チューナ500が録画中である旨を示す録画インジケータは、図7(F)に示すように、チャンネル表示部510内に、LEDなどで表示される場合がある他、種々の態様が想定される。例えば、この録画インジケータは、機器の仕様によって、LCDにより構成されたチャンネル表示部510内に液晶表示されることもある。さらに、このような録画インジケータは、チャンネル表示部510の近傍などに別個に設けられたLED等により表示されることもある。
本実施の形態によるチャンネル認識装置100は、撮像部130の出力に基づいてチャンネル情報を認識するため、上述したような種々の表示態様に対しても、極めて柔軟かつ容易に対応することができる。このように、本実施の形態のチャンネル認識装置100は、チューナを内蔵したHDDレコーダやDVD/ブルーレイレコーダなどが録画中であることを認識すると共に、録画中に選択されているチャンネルを表すチャンネル情報を認識することができる。
このように、本実施の形態によるチャンネル認識装置100は、現在視聴中のチャンネルを認識(識別)するのみならず、記録中(録画中)のチャンネルも認識(識別)することができる。したがって、チャンネル認識装置100は、テレビの視聴率の調査などに際して顕著な効果を奏するのみならず、今後ますますの需要が見込まれる、いわゆる録画率の調査などに際しても極めて有効である。
(第2実施の形態)
次に、本発明の第2実施の形態に係るチャンネル認識装置を説明する。
図8は、第2実施の形態によるチャンネル認識装置の光学系および関連箇所を概略的に示す図である。図8に示すように、第2実施の形態に係るチャンネル認識装置200は、第1実施の形態で説明したチャンネル認識装置100において、光学系140およびチャンネル透過表示部110を変更したものである。その他の部分の構成および機能は、第1実施の形態で説明したチャンネル認識装置100と同様であるため、説明を省略する。
図8に示すように、本実施の形態によるチャンネル認識装置200の光学系240は、2組のミラー244を含んで構成される。このミラー244は、入射光を全反射するものであれば、例えば光学系240全体をプリズムで構成するなど、任意のもので構成することができる。
本実施の形態によるチャンネル認識装置200は、デジタル放送チューナ500のチャンネル表示部510に表示されるチャンネル表示の画像を、2組のミラー244によって2回反射させることにより、カメラ130に導く。
すなわち、図8に示すように、デジタル放送チューナ500のチャンネル表示部510に表示されるチャンネル表示の画像を構成する光は、まず、上側のミラー244に入射して下方に反射される。次に、上側のミラー244により下方に反射された光は、下側のミラー244によって、入射方向とは逆方向にさらに反射されてカメラ130に導かれる、つまりカメラ130の撮像面に表示(投影)される。
したがって、本実施の形態では、第1実施の形態で用いたハーフミラー142は使用せずに、チャンネル表示部510に表示されるチャンネル表示の画像を透過させた画像を外部に視認可能に表示するチャンネル透過表示部110も使用しない。その代わり、第1実施の形態と同様にしてカメラ130により撮像して認識した、現在選択されているチャンネルを表すチャンネル情報を表示する認識チャンネル表示部210を、チャンネル認識装置200の前面に配置する。この認識チャンネル表示部210を見ることにより、視聴者は、現在選択されているチャンネルを表すチャンネル情報を知ることができる。
図9は、図8に示した2組のミラー244(光学系240)および認識チャンネル表示部210による作用の概略を、3次元的に示す斜視図である。
このように、本実施の形態では、光学系240を構成する2組のミラー244によって、チャンネル表示部510に表示されるチャンネル表示画像を反射させて、チャンネル表示画像をカメラ130に導く、つまりカメラ130の撮像面にチャンネル表示画像を表示(投影)させる。さらに、処理回路150は、カメラ130により撮像されたチャンネル表示画像を認識することにより得られるチャンネル情報を、認識チャンネル表示部210に表示する。
したがって、本実施の形態では、認識チャンネル表示部210を、チャンネル認識装置200本体の任意の位置に配置することができる。また、認識チャンネル表示部210は、チャンネル情報を表示できるものであれば、任意の表示部を使用することができ、チャンネル情報の表示態様の自由度を飛躍的に向上させることができる。このため、視聴者にとって視認が容易な表示態様の表示部により認識チャンネル表示部210を構成するのが好適である。
図10は、チャンネル認識装置200およびデジタル放送チューナ500の機能の概略構成を示すブロック図である。
図10に示すように、チャンネル認識装置200は、デジタル放送チューナ500のチャンネル表示部510に表示されているチャンネル表示の画像を、光学系240によって反射させて、カメラ130に導く。信号処理部154は、第1実施の形態と同様に、カメラ130の出力を、画像認識部156が処理できる形態のデータに変換するなどの処理を行う。
次に、画像認識部156は、信号処理部154により処理可能にしたカメラ130の出力に基づいて、チャンネル表示部510にて現在選択されているチャンネルを示すチャンネル情報を認識する。このようにして画像認識部156で認識されたチャンネル情報(放送波の種別およびチャンネル番号のデータ)は、チャンネル情報出力部170から出力され、例えばオンラインメータなどの外部機器に供給される。
さらに、チャンネル認識装置200の制御部152は、画像認識部156が認識したチャンネル情報を、認識チャンネル表示部210に表示するように制御を行う。なお、このような表示制御の際には、認識チャンネル表示部210にチャンネル情報を表示する制御を行うためのソフトウェアが必要になる場合がある。このようなソフトウェアは、制御部152の記憶部に予め格納しておくか、または外部機器インタフェース190を経て外部機器から取得する。
このように、本実施の形態によるチャンネル認識装置200は、第1実施の形態のチャンネル認識装置100と同様の効果を有しつつ、さらに認識チャンネル表示部210により、視聴者に視認し易いチャンネル情報を、高い自由度で提供することができる。また、本実施の形態では、光学部240のミラー244により、チャンネル表示画像を全反射させているため、カメラ130を用いたチャンネル表示画像の認識の精度が向上することも期待できる。
なお、本発明は、上述した実施の形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変更または変形が可能である。例えば、上述した各実施の形態によるチャンネル認識装置100,200は、デジタル放送チューナ500のチャンネル表示部510の位置に応じて、カメラ130の位置をカメラマウント132により調整できるようになっている。これに併せて、チャンネル認識装置100,200本体のうち光学部140,240およびチャンネル透過表示部110または認識チャンネル表示部210を含む部分も、ある程度可動式にする構成にもできる。このようにすれば、デジタル放送チューナ500のチャンネル表示部510が配置される位置の一層大きな自由度に対応することができる。
上述した各実施の形態によるチャンネル認識装置100,200の本体の形状は、あくまでも例を示したに過ぎず、組み合わせるデジタル放送チューナ500の形状に応じて、またチャンネル表示部510の位置に応じて種々の形状とすることができる。本発明に係る要部は非常に簡潔な機構により構成することができるため、このような種々の形状の本体(筐体)に適用することができる。