JP5122724B2 - 黄色酸化チタン系顔料及びその製造方法並びにそれを用いた樹脂組成物 - Google Patents

黄色酸化チタン系顔料及びその製造方法並びにそれを用いた樹脂組成物 Download PDF

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本発明は、耐熱性に優れた黄色酸化チタン系顔料及びその製造方法並びにそれを用いた樹脂組成物、特にポリオレフィン樹脂組成物に関する。
黄色酸化チタン系顔料は、二酸化チタンの格子結晶中に種々の金属元素を固溶させて、黄色に発色させたもので、例えば、クロム‐アンチモン複合系、ニッケル‐アンチモン複合系、クロム‐ニオブ複合系、コバルト‐タングステン複合系、ニッケル‐タングステン複合系、ニッケル‐バリウム複合系等が知られている。黄色酸化チタン系顔料は、黄色無機顔料の中でも耐久性、耐熱性、隠ペイ力、着色力が優れ、特に、クロム‐アンチモン複合系(カラーインデックスネーム:ピグメントブラウン24、カラーインデックスナンバー:77310)は、赤みを帯びた黄色を呈し、有毒性が問題となっている同系の色調の鉛黄、クロム黄に替わり、プラスチックス、塗料、インキ、紙等の着色に用いられている。例えば、クロム‐アンチモン複合黄色酸化チタン顔料を用いたポリオレフィン樹脂組成物が知られている(特許文献1参照)。
特開平7−258485号公報(第1頁)
しかし、プラスチックス樹脂組成物、特にポリオレフィン樹脂組成物においては、クロム‐アンチモン複合黄色酸化チタン顔料を用いても耐熱性が不十分で、約250℃以上の高温で成形すると、変色するという問題があり、プラスチックス系での耐熱性に優れた黄色酸化チタン系顔料が求められている。
本発明者らは、このような問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、クロム及びアンチモンを含有する黄色酸化チタン系顔料において、特定の元素を顔料粒子の表面及び/又は内部に含み、更に粒子表面に特定の酸化物の被覆を有する黄色酸化チタン系顔料は耐熱性に優れていることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明はクロム及びアンチモンを含有する黄色酸化チタン系顔料であって、その粒子表面及び/又は内部にリン、マグネシウム、リチウム、亜鉛、アルミニウム、カルシウムからなる群より選ばれる少なくとも2種の第三元素を含み、さらに、粒子表面に酸化アルミニウム及び/又は酸化スズの被覆を有することを特徴とする黄色酸化チタン系顔料である。
本発明の黄色酸化チタン系顔料は、このものを配合したプラスチックス樹脂組成物における耐熱性が優れているので、高温で加工しても変色が抑制され、各種の成形物に適用できる。
本発明はクロム及びアンチモンを含有する黄色酸化チタン系顔料であって、その粒子表面及び/又は内部にリン、マグネシウム、リチウム、亜鉛、アルミニウム、カルシウムからなる群より選ばれる少なくとも2種の第三元素を含み、さらに、粒子表面に酸化アルミニウム及び/又は酸化スズの被覆を有することを特徴とする。酸化チタンは一般的に触媒活性が強く、有機化合物の分解、劣化を促進すると言われており、黄色酸化チタン顔料も高温度下でプラスチックス樹脂の酸化劣化を促進し、変色させると考えられる。クロム及びアンチモンを含有する黄色酸化チタン系顔料は、通常、酸化チタン、水酸化チタン、含水酸化チタン等のチタン酸化物と、クロム及びアンチモンを含む化合物とを混合し、加熱焼成することで得られる。本発明では、クロム及びアンチモンを含有する黄色酸化チタン系顔料において、その粒子表面及び/又は内部にリン、マグネシウム、リチウム、亜鉛、アルミニウム、カルシウムからなる群より選ばれる少なくとも2種の第三元素を含むことで、これら第三元素を単独で含むものと較べ、黄色酸化チタン系粒子の結晶がより一層安定化され、同時に酸化アルミニウム及び/又は酸化スズの表面被覆が黄色酸化チタン顔料とプラスチックス樹脂との接触を防ぐという効果も付加されるため、これまで得られなかった優れた耐熱性が得られるものと推測される。
本発明の黄色酸化チタン系顔料に含まれる第三元素は、リン、マグネシウム、リチウム、亜鉛、アルミニウム、カルシウムからなる群より選ばれる少なくとも2種であって、黄色酸化チタン系顔料の粒子表面、粒子内部のどちらか一方か、あるいは両方に含まれていてもよい。おそらくは、リンは金属リンまたはリン酸化物として黄色酸化チタン顔料の粒子表面に吸着された状態で存在し、マグネシウム、リチウム、亜鉛、アルミニウム、カルシウムは黄色酸化チタン系顔料の結晶格子中に固溶された状態で存在すると考えられる。第三元素の少なくとも1種がリンであれば、リン以外の元素との相乗効果により、黄色酸化チタン系顔料の結晶を安定化して耐熱性を付与する能力が高いので好ましく、リン以外の元素がマグネシウム、リチウム、カルシウムから選ばれる少なくとも1種であればより好ましく、特にマグネシウムが好ましい。その含有量は、リンはP換算で、マグネシウムはMgO換算で、リチウムはLiO換算で、亜鉛はZnO換算で、アルミニウムはAl換算で、カルシウムはCaO換算で、いずれも0.03〜2重量%の範囲であるのが好ましい。含有量がこの範囲より少ないと所望の耐熱性が得られず、多くしても更なる効果は得られず、却って、黄色酸化チタン系顔料の発色を阻害する要因になる場合がある。より好ましい含有量は、0.05〜1.0重量%の範囲である。
本発明の黄色酸化チタン系顔料は、さらに、その粒子表面に酸化アルミニウム及び/又は酸化スズの被覆を有する。本発明において酸化アルミニウム、酸化スズは、アルミニウム及びスズの酸化物、水和酸化物、水酸化物を包含する化合物であり、酸化スズであれば、酸化第一スズ(SnO)であっても酸化第二スズ(SnO)であってもよい。その好ましい被覆量は、酸化アルミニウムであればAl換算で、酸化スズであればSnO換算で0.05〜20重量%の範囲である。被覆量がこの範囲にあると、耐熱性が改良されるばかりでなく、黄色酸化チタン顔料とポリオレフィン樹脂との親和性を高め、分散性が向上する効果も有すると考えられる。この範囲より少ないと、所望の耐熱性が得られず、この範囲より多くしても更なる耐熱性の改良効果が発現せず、却って、被覆層が多孔質になり黄色酸化チタン顔料の分散性が低下してしまう。より好ましい被覆量は、0.1〜2重量%の範囲である。また、酸化アルミニウム、酸化スズは、それぞれを単独で被覆してもよく、それらの混合被覆としたり、それらを積層して被覆する等、2種を複合して用いてもよい。
また、黄色酸化チタン系顔料の表面には、酸化アルミニウム、酸化スズ以外にも、耐久性を改良したり、分散性を更に向上させる目的で、各種の無機化合物や有機化合物が被覆されていてもよい。無機化合物としては、例えば、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、酸化チタン、リン酸アルミニウム等が挙げられる。また、有機化合物としては、例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール、トリエチルアミン、トリメチルアミン等のアルカノールアミンまたはそれら誘導体、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等のポリシロキサン類、アミノシラン、ビニルシラン等のシランカップリング剤、アルキルシラン類、フェニルシラン類、及び、フルオロアルキルシラン類等の有機ケイ素化合物、ステアリン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸またはそれらの金属塩、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等の高級脂肪属炭化水素等が挙げられる。
本発明の黄色酸化チタン系顔料の色調は、クロム及びアンチモンの含有量により調節することができる。クロムがCr換算で2.5〜11重量%の範囲で、アンチモンがSb換算で7.5〜19.5重量%の範囲で含まれていると、クロム‐アンチモン複合系に求められる赤味色調の黄色が発現するので好ましい。クロム、アンチモンは黄色酸化チタン系顔料中に固溶されていると考えられる。黄色酸化チタン系顔料の結晶形は、ルチル形、アナターゼ形等、特に制限は無いが、耐久性の点でルチル形であるのが好ましい。また、その一次粒子の平均粒子径(電子顕微鏡法による累積50%粒子経)は、0.1μmより大きく、1.0μm以下の範囲であれば、優れた隠ペイ性が得られるので好ましく、より好ましい範囲は、0.1μmより大きく、0.8μm以下の範囲である。
次に、本発明は、黄色酸化チタン系顔料の製造方法であって、リン、マグネシウム、リチウム、亜鉛、アルミニウム、カルシウムからなる群より選ばれる少なくとも2種の第三元素の化合物、チタン酸化物、クロム化合物及びアンチモン化合物とを混合し、加熱焼成して黄色酸化チタン系粒子を得る第1の工程、得られた黄色酸化チタン系粒子を含むスラリーに、アルミニウム塩及び/又はスズ塩の溶液と中和剤とを添加して、粒子表面を酸化アルミニウム及び/又は酸化スズで被覆する第2の工程を含むことを特徴とする。上記製造方法により、プラスチックス樹脂組成物に、特にポリオレフィン樹脂組成物に用いた場合に、熱変色が小さい耐熱性が優れた黄色酸化チタン系顔料が得られる。
第1の工程黄色酸化チタン系粒子を得る工程であって、リン、マグネシウム、リチウム、亜鉛、アルミニウム、カルシウムからなる群より選ばれる少なくとも2種の第三元素の化合物、チタン酸化物、クロム化合物及びアンチモン化合物とを混合し、加熱焼成する工程である。第三元素の化合物、チタン酸化物、クロム化合物及びアンチモン化合物を混合するには、先ず、チタン酸化物を水等の分散媒に分散させてスラリー化し、スラリー中にチタン酸化物以外の化合物を添加した後、乾燥すると、均一に混合されるので好ましい。チタン酸化物としては、酸化チタン、含水酸化チタン等が、クロム化合物としては、塩化クロム、硫酸クロム等が、アンチモン化合物としては、塩化アンチモン、酸化アンチモン等が、リン化合物としてはオルトリン酸、メタリン酸、ピロリン酸またはそれらの塩等が、マグネシウム化合物としては塩化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム等が、リチウム化合物としては塩化リチウム、炭酸リチウム等が、亜鉛化合物としては酸化亜鉛、硫酸亜鉛等が、アルミニウム化合物としては酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、カルシウム化合物としては水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム等が挙げられる。また、加熱焼成は、600〜1300℃の範囲の温度で、好ましくは1000〜1200℃の範囲の温度で行う。上記温度で加熱焼成することで、黄色酸化チタン系粒子を得る。
本発明においては、チタン酸化物として含水酸化チタンを用いるのが好ましい。含水酸化チタンは、通常、非晶質もしくはアナターゼ形構造を有するもので、所謂硫酸法と呼ばれる二酸化チタン顔料の製造方法において中間生成物として得られる。具体的には、例えば、イルミナイト鉱、チタンスラグ等のチタン含有鉱石を必要に応じて粉砕し、硫酸で溶解させながらチタン成分と硫酸とを反応させて、硫酸チタニル(TiOSO4)を生成させ、静置分級、濾過した後、硫酸チタニルを加熱加水分解させることで得られる。非晶質もしくはアナターゼ形構造を有する含水酸化チタンは加熱焼成時にルチル形に転移し易い性質を有するので、ルチル形の複合黄色酸化チタン系粒子を得るには、含水酸化チタンを十分に加熱焼成してもよい。しかし、本発明ではルチル形に転移し易いように、ルチル形核晶を含む含水酸化チタンを用いるのが好ましい。ルチル形核晶を含む含水酸化チタンを得るには、加水分解後の含水酸化チタンにルチル形核晶を混合しても良く、ルチル形核晶の存在下で硫酸チタニルを加熱加水分解させても良い。ルチル形核晶は、例えば、硫酸チタニル、含水酸化チタン、四塩化チタン等のチタン化合物を中和加水分解したり、加熱加水分解する等の公知の方法により調製できる。また、ルチル形結晶を安定化させるために、前記元素を含む化合物以外に、カリウム、ナトリウム等を含む化合物を加熱焼成時に添加しても良い。
次の第2の工程は、黄色酸化チタン系顔料を得る工程であって、第1の工程で得られた黄色酸化チタン系粒子を含むスラリーに、アルミニウム塩及び/又はスズ塩の溶液と中和剤とを添加して、粒子表面を酸化アルミニウム及び/又は酸化スズで被覆して黄色酸化チタン系顔料を得る。先ず、第1の工程で得られた黄色酸化チタン系粒子を、必要に応じて乾式粉砕または湿式粉砕した後、水等の媒液に分散させスラリーにする。このスラリーに、アルミニウム塩及び/又はスズ塩の溶液を添加した後、中和剤を添加する方法や、アルミニウム塩及び/又はスズ塩の溶液と中和剤とを同時に添加する等して酸化アルミニウムまたは酸化スズを黄色酸化チタン粒子の表面に被覆することができる。中和pHは、アルミニウム塩を用いる場合であれば、6.0〜8.0の範囲が、スズ塩を用いる場合であれば7.0〜8.0の範囲が好ましい。用いることのできるアルミニウム塩としては、アルミン酸ナトリウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム等が挙げられる。また、スズ塩としては、塩化スズ、硫酸スズ等が挙げられる。さらに、中和剤としては、酸性化合物若しくは塩基性化合物を用いることができ、酸性化合物としては、例えば、硫酸、塩酸等の無機酸、酢酸等の有機酸が、塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物あるいは炭酸化物、アンモニア等のアンモニウム化合物、アミン類等が挙げられる。
第2の工程の後、公知の方法により、脱水・洗浄、乾燥、乾式粉砕し、黄色酸化チタン系顔料粉末を得る。酸化スズを被覆した場合、所望の酸化数を有するものを得るには、乾燥温度や乾燥雰囲気を調整する。例えば、非酸化性雰囲気で乾燥を行うと酸化第一スズが、酸化性雰囲気で行うと酸化第二スズが生成する。乾燥温度は乾燥時間や雰囲気等で異なるが、大気中で20時間以上乾燥するのであれば、通常、130℃以下の温度で乾燥すると酸化第一スズが、160℃以上の温度で乾燥すると酸化第二スズの被覆が得られ易い。
本発明の製造方法で用いる装置・機器類は、公知のもので良く、例えば、湿式粉砕には縦型サンドミル、横型サンドミル、ボールミル等が、加熱焼成には、ロータリーキルン、トンネルキルン等が、乾燥にはバンド式ヒーター、バッチ式ヒーター等が、乾式粉砕にはハンマーミル、ピンミル等の衝撃粉砕機、解砕機等の摩砕粉砕機、ジェットミル、スネイルミル等の気流粉砕機、噴霧乾燥機等を用いることができる。
更に、本発明は樹脂組成物であって、前記の黄色酸化チタン系顔料とプラスチックス樹脂とを含むことを特徴とする。本発明の樹脂組成物は耐熱性が優れており、約250℃以上の高温度下で加工しても、実用上問題にならない程度に変色が抑制される。本発明で用いるプラスチックス樹脂には特に制限は無く、例えば、ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ポリエステル樹脂、芳香族系樹脂、ナイロン樹脂、ポリカーボネート樹脂、セルロース樹脂、ポリ乳酸樹脂等の熱硬化型樹脂や、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱可塑型樹脂を用いることができる。中でも、本発明はポリオレフィン樹脂に対して、耐熱性を付与する効果が高い。ポリオレフィン樹脂としては、低密度型ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度型ポリエチレン(LLDPE)、中密度型ポリエチレン(MDPE)、高密度型ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレンや、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン類共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチレンアクリレート共重合体、エチレンアイオノマー等が挙げられる。
樹脂組成物中の黄色酸化チタン系顔料の配合量は、用途に応じて適宜設定するが、通常は、プラスチックス樹脂100重量部に対し、黄色酸化チタン顔料を0.01〜200重量部の範囲で配合するのが好ましく、0.1〜10重量部の範囲が更に好ましい。樹脂組成物には、黄色酸化チタン顔料とプラスチックス樹脂の他にも、目的に応じて有機顔料、無機顔料、染料等の着色剤、増量剤、界面活性剤、可塑剤、滑剤・安定剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、難燃剤、殺菌剤、補強材等の各種添加剤、充填剤等が含まれていてもよい。
本発明の樹脂組成物は、黄色酸化チタン系顔料とプラスチックス樹脂に、必要に応じて前記の添加剤、充填剤を添加し、一軸または二軸エクストルーダー等の押出成形機、カレンダーロール等のロール成形機、バンバリーミキサー等の加圧ミキサー等を用いた公知の方法で分散させて得られる。あるいは、押出成形機や加圧ミキサーを用いてペレット化した後、射出成形機または前記の各種成形機により成形してもよい。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに制限されるものではない。
実施例1
(1)第1の工程(黄色酸化チタン系粒子の調製)
TiOとして75.5gに相当するルチル形核晶を含む含水酸化チタンに対し、Cr換算で7重量%に相当する塩化クロム、Sb換算で15重量%に相当する塩化アンチモンと、P換算で0.3重量%に相当するオルトリン酸、及び、MgO換算で0.5重量%に相当する硫酸マグネシウムを含水酸化チタンに添加し、電気炉を用いて1120℃の温度で1時間加熱焼成して、ルチル形の黄色酸化チタン系粒子を得た。
(2)第二の工程(表面被覆)
第1の工程で得られた黄色酸化チタン系粒子をTiO濃度が300g/リットルの水性スラリーとし、水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10.5として分散させた後、サンドミルで粉砕し、静置分級を行った。分級後のスラリーを1000ミリリットル分取し、温度を60℃に保持しながら、攪拌下で、硫酸を添加してpHを9に調整した後、アルミン酸ナトリウム水溶液(Alとして300g/リットルの濃度)20ミリリットルと硫酸とを、pHを8〜9に維持するよう20分間かけて添加した。次いで、硫酸でpHを7に調整した後30分間熟成した。熟成後、吸引濾過器で濾過、水洗し、120℃で20時間乾燥した後、ジェットミルで粉砕して、平均粒子径が0.60μmで、リンとマグネシウムとを含み、酸化アルミニウム水和物をAl換算で2重量%被覆した本発明の黄色酸化チタン系顔料(試料A)を得た。
実施例2
(1)第1の工程
実施例1と同様にして、黄色酸化チタン系粒子を得た。
(2)第二の工程
実施例1と同様にして得られた分級後のスラリーを1000ミリリットル分取し、温度を60℃に保持しながら、攪拌下で、硫酸を添加してpHを9に調整した後、塩化スズ水溶液(SnOとして400g/リットル)3.75ミリリットルと水酸化ナトリウムとを、pHを7.0〜8.0に維持するよう20分間かけて添加した。次いで、硫酸でpHを7に調整した後30分間熟成した。熟成後、吸引濾過器で濾過、水洗し、120℃で20時間乾燥した後、ジェットミルで粉砕して、平均粒子径が0.60μmで、リンとマグネシウムとを含み、酸化第一スズ水和物をSnO換算で0.5重量%被覆した本発明の黄色酸化チタン系顔料(試料B)を得た。
実施例3
乾燥を180℃の温度で行った以外は実施例2と同様にして、リンとマグネシウムとを含み、酸化第二スズ水和物をSnO換算で0.5重量%被覆した本発明の黄色酸化チタン系顔料(試料C)を得た。
比較例1
実施例1の第2の工程において、分級後のスラリーを濾過、水洗し、120℃で20時間乾燥した後、ジェットミルで粉砕した以外は実施例1と同様にして、リンとマグネシウムとを含み、表面被覆を有しない黄色酸化チタン系顔料(試料D)を得た。
比較例2
実施例1の第1の工程において、塩化クロムの使用量をCr換算で5重量%、塩化アンチモンの使用量をSb換算で12重量%とし、硫酸マグネシウムを用いずに黄色酸化チタン系顔料粒子を調製した以外は実施例1と同様にして、リンを含み、酸化アルミニウム水和物の被覆を有する黄色酸化チタン系顔料(試料E)を得た。
比較例3
実施例1の第1の工程において、塩化アンチモンの使用量をSb換算で14重量%とし、硫酸マグネシウムを用いずに黄色酸化チタン系粒子を調製したこと、及び第2の工程において分級後のスラリーを濾過、水洗し、120℃で20時間乾燥した後、ジェットミルで粉砕した以外は実施例1と同様にして、リンを含み、酸化アルミニウム水和物の被覆を有しない黄色酸化チタン系顔料(試料F)を得た。
評価1
実施例1〜3、比較例1〜3の黄色酸化チタン系顔料(試料A〜F)を用い、試料0.7g、HDPE樹脂70g(ハイゼックス5000S三井化学製)の混合物とした。この混合物を、6インチロール成形機(西村工機株式会社製、NS−155(w)型)にて樹脂温度が140℃になるようにして混練し、その後油圧成形機(神藤金属工業所株式会社製、F−37型)にて150℃でフィルム状に成形し、プラスチックス樹脂100重量部に対し黄色チタン顔料を1重量部含む樹脂組成物を得た。これらのフィルムを、300℃の温度で40分間加熱し、加熱前後のハンター表色系によるカラー(L、a、b)を式差計(Z‐1001DP型:日本電色製)を用いて計測し、ΔE(={(ΔL)+(Δa)+(Δb)1/2)を算出した。ΔEが大きい程、変色が大きい。結果を表1に示す。本発明の黄色酸化チタン系顔料を用いた樹脂組成物は、変色が小さく、耐熱性に優れていることが判る。
Figure 0005122724
本発明の黄色酸化チタン顔料はプラスチックス樹脂、特にポリオレフィン樹脂を用いた樹脂組成物に優れた耐熱性を付与できる。このため、本発明の樹脂組成物は、射出成形品、押出成形品、インフレーション加工品、カレンダー加工品、ラミネート加工品等として有用であり、更には、最終的な成形品としてばかりでなく、カラーペレット、マスターバッチ等の中間品にも適用できる。

Claims (6)

  1. クロム及びアンチモンを含有する黄色酸化チタン系顔料であって、その粒子表面及び/又は内部にTiO 換算の酸化チタンに対し、リンをP 換算で0.03〜2重量%の範囲で、マグネシウムをMgO換算で0.03〜2重量%の範囲で含み、さらに、粒子表面に酸化アルミニウム及び/又は酸化スズの被覆を有することを特徴とする黄色酸化チタン系顔料。
  2. 被覆量が0.05〜20重量%の範囲であることを特徴とする求項1記載の黄色酸化チタン系顔料。
  3. 平均粒子径が0.1μmより大きく、1.0μm以下であることを特徴とする請求項1記載の黄色酸化チタン系顔料。
  4. TiO 換算のチタン酸化物に対し、P 換算で0.03〜2重量%の範囲に相当するリン化合物、及びMgO換算で0.03〜2重量%の範囲に相当するマグネシウム化合物と、チタン酸化物、クロム化合物及びアンチモン化合物とを混合し、加熱焼成して黄色酸化チタン系粒子を得る第1の工程、得られた黄色酸化チタン系粒子を含むスラリーに、アルミニウム塩及び/又はスズ塩の溶液と中和剤とを添加して、粒子表面を酸化アルミニウム及び/又は酸化スズで被覆する第2の工程を含むことを特徴とする黄色酸化チタン系顔料の製造方法。
  5. 請求項1記載の黄色酸化チタン系顔料とプラスチックス樹脂とを含むことを特徴とする樹脂組成物。
  6. プラスチックス樹脂がポリオレフィン樹脂であることを特徴とする請求項記載の樹脂組成物。
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