以下、本発明を実施するための最良の形態(第1〜第3の実施の形態)について図面を用いて説明する。
なお、これらの実施の形態は、複数の棚2を無線タグ付物品の収納部とし、これらの棚2に置かれている多数の物品の中から所望の物品を検索する場合である。
(第1の実施の形態)
本実施の形態に係る物品検索装置1の模式図を図1に示す。物品検索装置1は、無線タグリーダ11と、この無線タグリーダ11に接続された複数nのアンテナ12(12-1、12-2、12-3、12-4、12-5、…、12-n)を備えている。無線タグリーダ11は、図示しないホスト装置と有線または無線の通信回線を介して相互データ通信自在に接続されている。
各アンテナ12は、図2に示すように、収納部である棚2の各段21に、それぞれ所定の間隔を開けて配設されている。アンテナ12は、各段21を構成する棚板の表面または裏面に貼り付けられていてもよいし、棚板に埋設されていてもよい。また、隣接するアンテナ12との間隔は、必ずしも等間隔である必要はない。
無線タグリーダ11の要部構成を図3のブロック図で示す。無線タグリーダ11は、リーダ本体31とアンテナ切換器32とから構成されている。リーダ本体31は、インターフェイス部41、制御部42、変調部43、送信側増幅部44、受信側増幅部45、復調部46及び出力切換部47で構成される。
インターフェイス部41は、制御部42とホスト装置との間のデータ通信を司る。変調部43は、制御部42から与えられる送信データで搬送波を変調する。送信側増幅部44は、変調部43からの信号を増幅する。受信側増幅部45は、アンテナ12からの信号を増幅する。復調部46は、増幅部45で増幅された信号を復調する。復調された信号は、制御部42に与えられる。
制御部42は、ホスト装置からの指令に従い、送信データを変調部43に出力する機能と、復調部46にて復調された信号から無線タグのデータを認識する機能と、出力切換部47の切換動作を制御する機能とを有する。これらの機能を実現させるプログラムは、制御部42に実装されたメモリ48に記憶されている。
出力切換部47は、制御部42の制御に従い、送信側増幅部44の増幅率を切り換える。増幅率が大きくなると、アンテナ12から放射される電波出力が増大する。逆に、増幅率が小さくなると、アンテナ12から放射される電波出力が減少する。本実施の形態では、増幅率を「高」>「中」>「低」の3段階に切り換えられるようにする(強度切換手段)。
アンテナ切換器32は、アンテナ12-1〜12-nと同数のスイッチSW1〜SWnを備えている。各スイッチSW1〜SWnは、制御部42からのスイッチ制御信号Sにより選択的にオン(閉成)、オフ(開放)される。
各スイッチSW1〜SWnは、それぞれアンテナ12-1〜12-nに1対1で接続している。スイッチSW1〜SWnがオン(閉成)することによって、そのスイッチSW1〜SWnに対応したアンテナ12-1〜12-nがリーダ本体31と接続される。リーダ本体31と接続されたアンテナ12-1〜12-nに対しては、送信側増幅部44にて増幅された信号がスイッチSW1〜SWnを介して供給され、そのアンテナ12-1〜12-nから電波として放射される。また、リーダ本体31と接続されたアンテナ12-1〜12-nで受信した電波の信号は、スイッチSW1〜SWnを介して受信側増幅部45に供給され、増幅された後、復調される。
かかる構成の無線タグリーダ11は、アンテナ管理テーブル50を有している。アンテナ管理テーブル50は、例えば制御部42のメモリ48に記憶されている。
図2に示すように、収納部としての棚2の段数を“3”とし、各段21にアンテナ12がそれぞれ6個ずつ配設されている場合のアンテナ管理テーブル50のデータ構造例を図4に示す。
同図において、アンテナ番号kは、各アンテナ12-1〜12-nをそれぞれ識別するために、アンテナ12-1〜12-n毎に異なるように設定された固有の番号(アンテナID)である。棚番号aは、各棚2をそれぞれ識別するために、棚2毎に異なるように設定された“1”からの連続番号(棚ID)である。段番号bは、棚2の各段21をそれぞれ識別するために、段21毎に異なるように設定された“1”からの連続番号(段ID)である。列番号cは、棚2の各段21にそれぞれ6個ずつ配設されたアンテナ12を、例えば図2において向かって左から1列目のアンテナ、2列目のアンテナというように識別するために、列毎に異なるように設定された“1”からの連続番号(列ID)である。したがって、棚番号a、段番号b及び列番号cの組合せによって、対応するアンテナ番号kのアンテナ12-kが一意に特定される。
上記アンテナ管理テーブル50を記憶した無線タグリーダ11の制御部42は、ホスト装置からの物品検索指令に応じて図5〜図6の流れ図に示す手順の物品検索処理を実行するように、プログラムされている。すなわち制御部42は、ホスト装置からの物品検索指令を待機している(図5のST1)。
ここで、オペレータが、所望の物品の検索を指令するためにホスト装置を操作すると、ホスト装置は、各物品とその物品に付与された無線タグとを関連付けたデータベースを検索して、その検索対象の物品に付与されている無線タグの識別情報であるIDを検出する。そして、この検索対象タグIDを含む物品検索コマンドを生成し、無線タグリーダ11に送信する。この物品検索コマンドは、インターフェイス部41を介して制御部42に与えられる。
制御部42は、物品検索コマンドを受信すると(ST1のYES)、そのコマンドに含まれる検索対象タグIDをメモリ48のエリアMに記憶する(ST2:記憶手段)。また、3つのカウンタA,B,Cをいずれも“0”にリセットする(ST3)。カウンタAは、棚番号カウンタである。カウンタBは、段番号カウンタである。カウンタCは、列番号カウンタである。
制御部42は、先ず、棚番号カウンタAを“1”だけカウントアップする(ST4)。そして、棚番号カウンタAが棚番号の最大数amax、すなわち検索を行う棚の数を越えたか否かを判断する(ST5)。
棚番号カウンタAが棚番号最大数amaxを越えていない場合(ST5のNO)、制御部42は、アンテナ管理テーブル50を参照して、棚番号Aが設定されたアンテナ番号を全て検出する。すなわち、棚番号Aによってグループ化されるアンテナ群12(A)を検出する(ST6)。アンテナ群12(A)を検出したならば、制御部42は、これらアンテナ群12(A)が全てリーダ本体31と接続されるように、スイッチ制御信号Sをアンテナ切換器32に供給する(ST7)。しかる後、制御部42は、タグ問合せコマンドの送信データを変調部43に出力する(ST8)。
上記スイッチ制御信号Sを受信したアンテナ切換器32は、アンテナ群12(A)にそれぞれ対応するスイッチ群SW(A)を一斉にオン(閉成)する。したがって、変調部43にて変調され、送信側増幅部44で増幅された信号、すなわち、タグ問合せコマンドの送信データで変調された搬送波信号は、アンテナ群12(A)から一斉に電波として放射される。なお、出力切換部47によって制御される送信側増幅部44の増幅率は「低」に設定されている。したがって、アンテナ群12(A)から放射される電波の到達距離は短く、隣接する他のアンテナから放射される電波と干渉するようなことはない。
アンテナ群12(A)から放射された電波は、それぞれそのアンテナ12(A)の近傍に置かれた物品に付与されている無線タグで受信される。上記タグ問合せコマンドの電波を受信した無線タグは、自己のIDを含む応答信号を返信する。この応答信号は、アンテナ群12(A)で受信され、アンテナ切換器32を経由して、リーダ本体31の受信側増幅部45に入力される。そして増幅され、復調部46で復調された後、制御部42に与えられる。
制御部42は、復調された受信データから無線タグのIDを読み取る。そして、エリアMで記憶している検索対象タグIDと一致するIDを読取れたか否かを判断する(ST9)。検索対象タグIDと一致するIDを読取れなかった場合(ST9のNO)、制御部42は、ST4の処理に戻る。すなわち、棚番号カウンタAをさらに“1”だけカウントアップする。そして、ST5以降の処理を再度実行する。すなわち、棚番号(A+1)によってグループ化されるアンテナ群12(A+1)を検出し、これらアンテナ群12(A+1)に対応したスイッチSW(A+1)を一斉に閉成して、タグ問合せコマンドを送信する。ここに、上記ST4〜ST9の処理は、アンテナ12を2以上の群にグループ化し、そのグループを単位としてアンテナを切り換えて前記無線タグと交信させるグループ制御手段を構成する。
制御部42は、検索対象タグIDと一致するIDを読取れるまで、ST4〜ST9の処理を繰返し実行する。その結果、棚番号カウンタAが棚番号最大数amaxを超えた場合(ST5のYES)、各棚2には検索対象の物品が存在しない。制御部42は、検索対象なしの応答コマンドをホスト装置に送信する(ST10)。以上で、今回の制御が終了する。
一方、棚番号Aによってグループ化されたアンテナ群12(A)から放射された電波に応答した無線タグの中に、検索対象タグIDを応答した無線タグが存在していた場合(ST9のYES)、このアンテナ群12(A)が設けられている棚2に検索対象の物品が存在する。
制御部42は、次に、段番号カウンタBを“1”だけカウントアップする(ST11)。そして、段番号カウンタBが段番号の最大数bmax、すなわち検索を行う棚の段数を越えたか否かを判断する(ST12)。
段番号カウンタBが段番号最大数bmaxを越えていない場合(ST12のNO)、制御部42は、アンテナ管理テーブル50を参照して、棚番号Aが設定されたアンテナ番号のうち段番号Bが設定されたアンテナ番号を検出する。すなわち、棚番号Aかつ段番号Bによってグループ化されるアンテナ群12(A,B)を検出する(ST13)。アンテナ群12(A,B)を検出したならば、制御部42は、これらアンテナ群12(A,B)が全てリーダ本体31と接続されるように、スイッチ制御信号Sをアンテナ切換器32に供給する(ST14)。しかる後、制御部42は、タグ問合せコマンドの送信データを変調部43に出力する(ST15)。
上記スイッチ制御信号Sを受信したアンテナ切換器32は、アンテナ群12(A)にそれぞれ対応するスイッチ群SW(A)を一旦オフ(開放)した後、アンテナ群12(A,B)にそれぞれ対応するスイッチ群SW(A,B)を一斉にオン(閉成)する。したがって、変調部43にて変調され、送信側増幅部44で増幅された信号、すなわち、タグ問合せコマンドの送信データで変調された搬送波信号は、アンテナ群12(A,B)から電波として放射される。なお、出力切換部47によって制御される送信側増幅部44の増幅率は、やはり「低」に設定されている。
アンテナ群12(A,B)から放射された電波は、それぞれそのアンテナ12(A,B)の近傍に置かれた物品に付与されている無線タグで受信される。上記タグ問合せコマンドの電波を受信した無線タグは、自己のIDを含む応答信号を返信する。この応答信号は、アンテナ群12(A,B)で受信され、アンテナ切換器32を経由して、リーダ本体31の受信側増幅部45に入力される。そして増幅され、復調部46で復調された後、制御部42に与えられる。
制御部42は、復調された受信データから無線タグのIDを読み取る。そして、エリアMで記憶している検索対象タグIDと一致するIDを読取れたか否かを判断する(ST16)。検索対象タグIDと一致するIDを読取れなかった場合(ST16のNO)、制御部42は、ST11の処理に戻る。
すなわち、段番号カウンタBをさらに“1”だけカウントアップする。そして、ST12以降の処理を再度実行する。すなわち、棚番号(A+1)によってグループ化されるアンテナ群12(A)のうち段番号(B+1)によってグループ化されるアンテナ群12(A+1,B+1)を検出し、これらアンテナ群12(A+1,B+1)に対応したスイッチ群SW(A+1,B+1)を一斉に閉成して、タグ問合せコマンドを送信する。ここに、上記ST11〜ST16の処理も、グループ制御手段を構成する。
制御部42は、検索対象タグIDと一致するIDを読取れるまで、ST11〜ST16の処理を繰返し実行する。その結果、段番号カウンタBが段番号最大数bmaxを超えた場合(ST12のYES)、棚番号Aの棚には検索対象の物品が存在しない。制御部42は、ST3の処理に戻る。すなわち、3つのカウンタA,B,Cを再度リセットして、ST4以降の処理をやり直す。
一方、棚番号Aによってグループ化されたアンテナ群12(A)のうち、段番号Bによってグループ化されたアンテナ群12(A,B)から放射された電波に応答した無線タグの中に、検索対象タグIDを応答した無線タグが存在していた場合(ST16のYES)、このアンテナ群12(A,B)が設けられている棚2の段21に検索対象の物品が存在する。
制御部42は、次に、列番号カウンタCを“1”だけカウントアップする(ST17)。そして、列番号カウンタCが列番号の最大数cmax、すなわち検索を行う棚の段に配設されたアンテナの数を越えたか否かを判断する(ST18)。
列番号カウンタCが列番号最大数cmaxを越えていない場合(ST18のNO)、制御部42は、アンテナ管理テーブル50を参照して、棚番号Aが設定されたアンテナ番号でかつ段番号Bが設定されたアンテナ番号のうち列番号Cが設定されたアンテナ番号を検出する。すなわち、棚番号Aかつ段番号Bによってグループ化されるアンテナ群12(A,B)のなかから列番号Cの位置に配設されている唯一のアンテナ12(A,B,C)を検出する(ST19)。アンテナ12(A,B,C)を検出したならば、制御部42は、このアンテナ12(A,B,C)がリーダ本体31と接続されるように、スイッチ制御信号Sをアンテナ切換器32に供給する(ST20)。しかる後、制御部42は、タグ問合せコマンドの送信データを変調部43に出力する(ST21)。
上記スイッチ制御信号Sを受信したアンテナ切換器32は、アンテナ群12(A,B)にそれぞれ対応する閉成状態のスイッチSW(A,B)を一旦オフ(開放)した後、アンテナ12(A,B,C)に対応するスイッチSWをオン(閉成)する。したがって、変調部43にて変調され、送信側増幅部44で増幅された信号、すなわち、タグ問合せコマンドの送信データで変調された搬送波信号は、アンテナ12(A,B,C)から電波として放射される。なお、出力切換部47によって制御される送信側増幅部44の増幅率は「低」に設定されている。この場合、電波の干渉を考慮しなくてもよいので、増幅率を「中」に設定し、電波到達距離を延ばしてもよい。
アンテナ12(A,B,C)から放射された電波は、そのアンテナ12(A,B,C)の近傍に置かれた物品に付与されている無線タグで受信される。上記タグ問合せコマンドの電波を受信した無線タグは、自己のIDを含む応答信号を返信する。この応答信号は、アンテナ12(A,B,C)で受信され、アンテナ切換器32を経由して、リーダ本体31の受信側増幅部45に入力される。そして増幅され、復調部46で復調された後、制御部42に与えられる。
制御部42は、復調された受信データから無線タグのIDを読み取る。そして、エリアMで記憶している検索対象タグIDと一致するか否かを判断する(ST22)。検索対象タグIDと一致しない場合(ST22のNO)、制御部42は、ST17の処理に戻る。
すなわち、列番号カウンタCをさらに“1”だけカウントアップする。そして、ST18以降の処理を再度実行する。すなわち、棚番号(A+1)と段番号(B+1)とによってグループ化されるアンテナ群12(A,B)のなかから次の列(C+1)のアンテナ12(A+1,B+1,C+1)を検出し、このアンテナ12(A+1,B+1,C+1)に対応したスイッチSW(A+1,B+1,C+1)を閉成して、タグ問合せコマンドを送信する。ここに、上記ST17〜ST22の処理は、グループを単位として切り換えられたアンテナで交信した無線タグの中に記憶手段(エリアM)で記憶している識別情報(ID)を有する無線タグが存在するとき、そのグループに属するアンテナを個別に切り換えて無線タグと交信させる個別制御手段を構成する。
制御部42は、検索対象タグIDと一致するIDを読取れるまで、ST17〜ST22の処理を繰返し実行する。そして、列番号カウンタCが列番号最大数cmaxを超えた場合(ST18のYES)、棚番号Aの棚2でかつ段番号Bの段21には検索対象の物品が存在しない。制御部42は、ST3の処理に戻る。すなわち、3つのカウンタA,B,Cを再度リセットして、ST4以降の処理をやり直す。
一方、棚番号Aと段番号Bとによってグループ化されたアンテナ群12(A,B)のうち、列番号Cによって特定されるアンテナ12(A,B,C)から放射された電波に応答した無線タグが、検索対象タグIDを応答した無線タグであった場合(ST22のYES)、このアンテナ12(A,B,C)が設けられている部位の近傍に検索対象の物品が存在する。制御部42は、このアンテナ12(A,B,C)に該当する棚番号A、段番号B及び列番号Cのデータをホスト装置に送信する(ST23)。以上で、今回の制御が終了する。
このように本実施の形態の物品検索装置1においては、ホスト装置から物品検索コマンドを受信すると、先ず、1つの棚2が選択される。そして、この棚2に配設されている全てのアンテナ12群から一斉にタグ問合せコマンドが送信されて、検索対象Dを応答する無線タグの有無が判別される。
ここで、検索対象Dを応答する無線タグが存在しない場合には、次の棚2が選択される。そして、この棚2に配設されている全てのアンテナ12群から一斉にタグ問合せコマンドが送信される。
こうして、棚2毎にアンテナ12がグループ化され、このグループを単位としてアンテナ12が切り換えられて無線タグとの交信が行われる。その結果、検索対象Dを応答する無線タグが検出されると、次に、その棚2の中から1つの段21が選択される。そして、この段21に配設されている全てのアンテナ12群から一斉にタグ問合せコマンドが送信されて、検索対象Dを応答する無線タグの有無が判別される。
ここで、検索対象Dを応答する無線タグが存在しない場合には、別の段21が選択される。そして、この段21に配設されている全てのアンテナ12群から一斉にタグ問合せコマンドが送信される。
こうして、段21毎にアンテナ12がグループ化され、このグループを単位としてアンテナ12が切り換えられて無線タグとの交信が行われる。その結果、検索対象Dを応答する無線タグが検出されると、次に、その段21の中から1つのアンテナ12が選択される。そして、このアンテナ12からタグ問合せコマンドが送信されて、検索対象Dを応答する無線タグの有無が判別される。
ここで、検索対象Dを応答する無線タグが存在しない場合には、別のアンテナ12が選択される。そして、このアンテナ12からタグ問合せコマンドが送信される。
こうして、段21に配設されているアンテナ12が個別に切り換えられて無線タグとの交信が行われる。その結果、検索対象Dを応答する無線タグが検出されると、そのアンテナ12の位置情報、すなわち、当該アンテナのアンテナ番号kに対応した棚番号a、段番号b及び列番号cが、ホスト装置に通知される。オペレータはホスト装置に通知された棚番号a、段番号b及び列番号cを確認することにより、検索対象の物品が置かれている場所を特定できる。
このように本実施の形態によれば、各棚2にそれぞれ配設された複数のアンテナを2以上の群にグループ化し、そのグループを単位としてアンテナを切り換えて無線タグと交信させ、このグループを単位として切り換えられたアンテナで交信した無線タグの中に検索対象の物品に付された無線タグの識別情報を有する無線タグが存在するとき、そのグループに属するアンテナを個別に切り換えて無線タグと交信させるようにしている。したがって、収納部に配設された複数の無線タグ用アンテナから電波を順番に出力し、全てのアンテナから電波を出力し終えるまでを検索サイクルの1サイクルとしていた従来と比較すると、所望の物品を検出できるまでに要する時間を短縮することができ、作業効率の向上を図ることができる。
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態は、第1の実施の形態において、制御部42が実行する物品検索処理にて、棚番号Aによってグループ化されたアンテナ群12(A)から放射された電波に応答した無線タグの中に、検索対象タグIDを応答した無線タグが存在していた場合(ST9のYES)の後の処理の一部が異なる。それ以外の部分については、第1の実施の形態と同一なので、共通する部分には同一符号を付し、その詳しい説明を省略する。
第2の実施の形態において、棚番号Aによってグループ化されたアンテナ群12(A)から放射された電波に応答した無線タグの中に、検索対象タグIDを応答した無線タグが存在していた場合(ST9のYES)の後の処理の手順を図7の流れ図に示す。同図において、処理ステップを示す符号“ST”にダッシュ“′”が付されている部分が第1の実施の形態とは異なる。
すなわち、制御部42は、検索対象タグIDを応答した無線タグが存在していた場合(ST9のYES)、列番号カウンタCを“1”だけカウントアップする(ST11′)。そして、列番号カウンタCが列番号の最大数cmax、すなわち検索を行う棚の1段に配設されたアンテナの数を越えたか否かを判断する(ST12′)。
列番号カウンタCがアンテナ数cmaxを越えていない場合(ST12′のNO)、制御部42は、アンテナ管理テーブル50を参照して、棚番号Aが設定されたアンテナ番号のうち列番号Cが設定されたアンテナ番号を検出する。すなわち、棚番号Aかつ列番号Cによってグループ化されるアンテナ群12(A,C)を検出する(ST13′)。アンテナ群12(A,C)を検出したならば、制御部42は、これらアンテナ群12(A,C)が全てリーダ本体31と接続されるように、スイッチ制御信号Sをアンテナ切換器32に供給する(ST14′)。しかる後、制御部42は、タグ問合せコマンドの送信データを変調部43に出力する(ST15)。
上記スイッチ制御信号Sを受信したアンテナ切換器32は、アンテナ群12(A)にそれぞれ対応するスイッチ群SW(A)を一旦オフ(開放)した後、アンテナ群12(A,C)にそれぞれ対応するスイッチ群SW(A,C)を一斉にオン(閉成)する。したがって、変調部43にて変調され、送信側増幅部44で増幅された信号、すなわち、タグ問合せコマンドの送信データで変調された搬送波信号は、アンテナ群12(A,C)から電波として放射される。
アンテナ群12(A,C)から放射された電波は、それぞれそのアンテナ12(A,C)の近傍に置かれた物品に付与されている無線タグで受信される。上記タグ問合せコマンドの電波を受信した無線タグは、自己のIDを含む応答信号を返信する。この応答信号は、アンテナ群12(A,C)で受信され、アンテナ切換器32を経由して、リーダ本体31の受信側増幅部45に入力される。そして増幅され、復調部46で復調された後、制御部42に与えられる。
制御部42は、復調された受信データから無線タグのIDを読み取る。そして、エリアMで記憶している検索対象タグIDと一致するIDを読取れたか否かを判断する(ST16)。検索対象タグIDと一致するIDを読取れなかった場合(ST16のNO)、制御部42は、ST11′の処理に戻る。
すなわち、列番号カウンタCをさらに“1”だけカウントアップする。そして、ST12′以降の処理を再度実行する。すなわち、棚番号(A+1)によってグループ化されるアンテナ群12(A)のうち列番号(C+1)によってグループ化されるアンテナ群12(A+1,C+1)を検出し、これらアンテナ群12(A+1,C+1)に対応したスイッチ群SW(A+1,C+1)を一斉に閉成して、タグ問合せコマンドを送信する。ここに、上記ST11′〜ST16の処理は、グループ制御手段を構成する。
制御部42は、検索対象タグIDと一致するIDを読取れるまで、ST11′〜ST16の処理を繰返し実行する。その結果、列番号カウンタCが列番号最大数cmaxを超えた場合(ST12′のYES)、棚番号Aの棚には検索対象の物品が存在しない。制御部42は、ST3の処理に戻る。すなわち、3つのカウンタA,B,Cを再度リセットして、ST4以降の処理をやり直す。
一方、棚番号Aによってグループ化されたアンテナ群12(A)のうち、列番号Cによってグループ化されたアンテナ群12(A,C)から放射された電波に応答した無線タグの中に、検索対象タグIDを応答した無線タグが存在していた場合(ST16のYES)、このアンテナ群12(A,C)が設けられている棚2の各段21のC列に検索対象の物品が存在する。
制御部42は、次に、段番号カウンタBを“1”だけカウントアップする(ST17′)。そして、段番号カウンタB′が段番号の最大数bmaxを越えたか否かを判断する(ST18′)。段番号カウンタBが段番号最大数bmaxを越えていない場合(ST18′のNO)、制御部42は、アンテナ管理テーブル50を参照して、棚番号Aが設定されたアンテナ番号でかつ列番号Cが設定されたアンテナ番号のうち段番号Bが設定されたアンテナ番号を検出する。すなわち、棚番号Aかつ列番号Cによってグループ化されるアンテナ群12(A,C)のなかから段番号Bの位置に配設されている唯一のアンテナ12(A,B,C)を検出する(ST19′)。アンテナ12(A,B,C)を検出したならば、制御部42は、このアンテナ12(A,B,C)がリーダ本体31と接続されるように、スイッチ制御信号Sをアンテナ切換器32に供給する(ST20)。しかる後、制御部42は、タグ問合せコマンドの送信データを変調部43に出力する(ST21)。
上記スイッチ制御信号Sを受信したアンテナ切換器32は、アンテナ群12(A,C)にそれぞれ対応する閉成状態のスイッチSW(A,C)を一旦オフ(開放)した後、アンテナ12(A,B,C)に対応するスイッチSWをオン(閉成)する。したがって、変調部43にて変調され、送信側増幅部44で増幅された信号、すなわち、タグ問合せコマンドの送信データで変調された搬送波信号は、アンテナ12(A,B,C)から電波として放射される。
アンテナ12(A,B,C)から放射された電波は、そのアンテナ12(A,B,C)の近傍に置かれた物品に付与されている無線タグで受信される。上記タグ問合せコマンドの電波を受信した無線タグは、自己のIDを含む応答信号を返信する。この応答信号は、アンテナ12(A,B,C)で受信され、アンテナ切換器32を経由して、リーダ本体31の受信側増幅部45に入力される。そして増幅され、復調部46で復調された後、制御部42に与えられる。
制御部42は、復調された受信データから無線タグのIDを読み取る。そして、エリアMで記憶している検索対象タグIDと一致するか否かを判断する(ST22)。検索対象タグIDと一致しない場合(ST22のNO)、制御部42は、ST17′の処理に戻る。
すなわち、段番号カウンタBをさらに“1”だけカウントアップする。そして、ST18′以降の処理を再度実行する。すなわち、棚番号(A+1)と列番号(C+1)とによってグループ化されるアンテナ群12(A,C)のなかから次の段(B+1)のアンテナ12(A+1,B+1,C+1)を検出し、このアンテナ12(A+1,B+1,C+1)に対応したスイッチSW(A+1,B+1,C+1)を閉成して、タグ問合せコマンドを送信する。ここに、上記ST17′〜ST22の処理は、個別制御手段を構成する。
制御部42は、検索対象タグIDと一致するIDを読取れるまで、ST17′〜ST22の処理を繰返し実行する。そして、段番号カウンタBが段番号最大数bmaxを超えた場合(ST18′のYES)、棚番号Aの棚2でかつ各段21のC列には検索対象の物品が存在しない。制御部42は、ST3の処理に戻る。すなわち、3つのカウンタA,B,Cを再度リセットして、ST4以降の処理をやり直す。
一方、棚番号Aと列番号Cとによってグループ化されたアンテナ群12(A,C)のうち、段番号Bによって特定されるアンテナ12(A,B,C)から放射された電波に応答した無線タグが、検索対象タグIDを応答した無線タグであった場合(ST22のYES)、このアンテナ12(A,B,C)が設けられている部位の近傍に検索対象の物品が存在する。制御部42は、このアンテナ12(A,B,C)に該当する棚番号A、段番号B及び列番号Cのデータをホスト装置に送信する(ST23)。以上で、今回の制御が終了する。
このように構成された第2の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、所望の物品を検出できるまでに要する時間を短縮することができ、作業効率の向上を図ることができる。
因みに、棚、段、列の順に検索する第1の実施の形態は、段の数と比べて1段に配設されているアンテナの数が多い場合に有効である。棚、列、段の順に検索する第2の実施の形態は、段の数と比べて1段に配設されているアンテナの数が少ない場合に有効である。
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態は、第1の実施の形態において、制御部42が実行する物品検索処理のST7,ST8,ST14,ST15及びST21の処理が異なる。それ以外の部分については、第1の実施の形態と同一なので、共通する部分には同一符号を付し、その詳しい説明を省略する。
第3の実施の形態において、制御部42が実行する物品検索処理の要部手順を図8及び図9の流れ図で示す。ST1〜ST6の処理は、第1の実施の形態と同一である。制御部42は、棚番号Aによってグループ化されるアンテナ群12(A)を検出したならば(ST6)、これらアンテナ群12(A)の中から任意のアンテナを代表アンテナとして選択する。本実施の形態では、中央に位置するアンテナ12(A)-CENTERを代表アンテナとして選択する(ST31)。
中央アンテナ12(A)-CENTERの選択方法としては、例えば、検出されたアンテナ群のなかからアンテナ番号の最大値を検出し、この最大値の1/2に最も高いアンテナ番号を有するアンテナを中央アンテナ12(A)-CENTERとして選択する。なお、最も高いアンテナ番号を有するアンテナが2つ存在する場合には、予め定義された側、例えば番号が小さい方を選択する。あるいは、アンテナ群12(A)毎に予め中央アンテナを設定し、その設定情報をメモリ48で記憶しておき、制御部42がこの設定情報を参照することによって中央アンテナを選択してもよい。
中央アンテナ12(A)-CENTERが選択されたならば、制御部42は、この選択された中央アンテナ12(A)-CENTERがリーダ本体31と接続されるように、スイッチ制御信号Sをアンテナ切換器32に供給する(ST32)。しかる後、制御部42は、タグ問合せコマンドの送信データを変調部43に出力する。このとき、送信側増幅部44の増幅率が「大」となるように、制御部42は、出力切換部47を制御する(ST33)。
上記スイッチ制御信号Sを受信したアンテナ切換器32は、アンテナ群12(A)の中から選択された中央アンテナ12(A)-CENTERに対応するスイッチSW(A) -CENTERをオン(閉成)する。したがって、変調部43にて変調され、送信側増幅部44で増幅された信号、すなわち、タグ問合せコマンドの送信データで変調された搬送波信号は、中央アンテナ12(A)-CENTERから電波として放射される。このとき、送信側増幅部44の増幅率は「大」なので、アンテナ群12(A)が配設されている棚の略全域に電波が到達する。このタグ問合せコマンドの電波を受信した無線タグは、自己のIDを含む応答信号を返信する。この応答信号は、アンテナ群12(A)の中央アンテナ12(A)-CENTERで受信され、アンテナ切換器32を経由して、リーダ本体31の受信側増幅部45に入力される。そして増幅され、復調部46で復調された後、制御部42に与えられる。
制御部42は、復調された受信データから無線タグのIDを読み取る。そして、エリアMで記憶している検索対象タグIDと一致するIDを読取れたか否かを判断する(ST9)。検索対象タグIDと一致するIDを読取れなかった場合(ST9のNO)、制御部42は、ST4の処理に戻る。検索対象タグIDと一致するIDを読取れた場合(ST9のYES)、制御部42は、ST11の処理に進む。
ST11〜ST13の処理は、第1の実施の形態と同一である。棚番号Aかつ段番号Bによってグループ化されるアンテナ群12(A,B)を検出したならば(ST13)、これらアンテナ群12(A,B)の中から中央に位置するアンテナ12(A,B)-CENTERを選択する(ST41)。この選択方法は、前述したアンテナ12(A)-CENTERの場合と同様の方法が考えられる。
中央アンテナ12(A,B)-CENTERが選択されたならば、制御部42は、この選択された中央アンテナ12(A,B)-CENTERがリーダ本体31と接続されるように、スイッチ制御信号Sをアンテナ切換器32に供給する(ST42)。しかる後、制御部42は、タグ問合せコマンドの送信データを変調部43に出力する。このとき、送信側増幅部44の増幅率が「中」となるように、制御部42は、出力切換部47を制御する(ST43)。
上記スイッチ制御信号Sを受信したアンテナ切換器32は、アンテナ群12(A,B)の中から選択された中央アンテナ12(A,B)-CENTERに対応するスイッチSW(A) -CENTERをオン(閉成)する。したがって、変調部43にて変調され、送信側増幅部44で増幅された信号、すなわち、タグ問合せコマンドの送信データで変調された搬送波信号は、中央アンテナ12(A,B)-CENTERから電波として放射される。このとき、送信側増幅部44の増幅率は「中」なので、アンテナ群12(A)が配設されている棚のうち、アンテナ12(A,B)が配設されている段の略全域に電波が到達する。他の段にはほとんど到達しない。このタグ問合せコマンドの電波を受信した無線タグは、自己のIDを含む応答信号を返信する。この応答信号は、中央アンテナ12(A,B)-CENTERで受信され、アンテナ切換器32を経由して、リーダ本体31の受信側増幅部45に入力される。そして増幅され、復調部46で復調された後、制御部42に与えられる。
制御部42は、復調された受信データから無線タグのIDを読み取る。そして、エリアMで記憶している検索対象タグIDと一致するIDを読取れたか否かを判断する(ST16)。検索対象タグIDと一致するIDを読取れなかった場合(ST16のNO)、制御部42は、ST11の処理に戻る。検索対象タグIDと一致するIDを読取れた場合(ST16のYES)、制御部42は、ST17の処理に進む。
ST17〜ST20の処理は、第1の実施の形態と同一である。棚番号Aかつ段番号Bによってグループ化されるアンテナ群12(A,B)のなかから列番号Cの位置に配設されている唯一のアンテナ12(A,B,C)を検出する(ST19)。そして、このアンテナ12(A,B,C)がリーダ本体31と接続されるように、スイッチ制御信号Sをアンテナ切換器32に供給する(ST20)。しかる後、制御部42は、タグ問合せコマンドの送信データを変調部43に出力するこのとき、送信側増幅部44の増幅率が「低」となるように、制御部42は、出力切換部47を制御する(ST51)。
上記スイッチ制御信号Sを受信したアンテナ切換器32は、アンテナ12(A,B,C)に対応するスイッチSW(A,B,C)をオン(閉成)する。したがって、変調部43にて変調され、送信側増幅部44で増幅された信号、すなわち、タグ問合せコマンドの送信データで変調された搬送波信号は、アンテナ12(A,B,C)から電波として放射される。このとき、送信側増幅部44の増幅率は「低」なので、アンテナ12(A,B,C)の近傍のみ電波が到達する。このタグ問合せコマンドの電波を受信した無線タグは、自己のIDを含む応答信号を返信する。この応答信号は、アンテナ12(A,B,C)で受信され、アンテナ切換器32を経由して、リーダ本体31の受信側増幅部45に入力される。そして増幅され、復調部46で復調された後、制御部42に与えられる。
制御部42は、復調された受信データから無線タグのIDを読み取る。そして、エリアMで記憶している検索対象タグIDと一致するIDを読取れたか否かを判断する(ST22)。検索対象タグIDと一致するIDを読取れなかった場合(ST22のNO)、制御部42は、ST18の処理に戻る。検索対象タグIDと一致するIDを読取れた場合(ST22のYES)、制御部42は、ST17の処理に進む。アンテナ12(A,B,C)に該当する棚番号A、段番号B及び列番号Cのデータをホスト装置に送信する(ST23)。以上で、今回の制御が終了する。
このように構成された第3の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、所望の物品を検出できるまでに要する時間を短縮することができ、作業効率の向上を図ることができる。
なお、この発明は前記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
例えば、第3の実施の形態において、1つの棚2で検索対象の物品に付与された無線タグが検出されたとき、第2の実施の形態と同様に、その棚の同列に配置されているアンテナ群をグループ化し、その中央アンテナを選択して無線タグと交信させ、再び検索対象の物品に付与された無線タグが検出されたならば、その列に配置されている複数のアンテナを段毎に選択して無線タグと送信させるようにしてもよい。
また、この第3の実施の形態において、グループ化されたアンテナ群の中から中央のアンテナを代表アンテナとして選択して無線タグと交信させたが、選択すべき代表アンテナは中央のアンテナに限定されるものではない。要は、そのアンテナから出力された電波の到達領域が、そのアンテナが属するグループ内の各アンテナから増幅率が「小」のときに出力される電波の到達領域を含むアンテナであればよい。
また、前記実施の形態では、収納部を複数の棚としたが、単一の棚であってもよい。この場合、段毎にそれぞれ配設されているアンテナをグループ化し、検索対象の物品に付与された無線タグが検出されたならば、その段に配置されている複数のアンテナを列順に選択して無線タグと送信させるようにする。あるいは、1つの棚を上方の複数段と下方の複数段とに区分し、それぞれの段に配設されているアンテナをグループ化して、同様に制御してもよい。
この他、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を組合わせてもよい。
1…物品検索装置、2…棚、11…無線タグリーダ、12(12-1〜12-N)…アンテナ、31…リーダ本体、32…アンテナ切換器、50…アンテナ管理テーブル。