JP5119393B2 - 抗酸化剤、抗炎症剤及び美白剤、並びにこれらの利用 - Google Patents

抗酸化剤、抗炎症剤及び美白剤、並びにこれらの利用 Download PDF

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Description

本発明は、特定の植物の加工物を含有する抗酸化剤、抗炎症剤及び美白剤、並びに、これらの剤の少なくとも1種を配合してなる化粧品及び美肌用飲食品に関する。
生体組織が加齢に伴い衰えてきたり、紫外線に長時間暴露されると活性酸素の生成を誘発し、例えば、皮膚に炎症をひき起こし、シミ、くすみ、そばかす等の美容上のトラブルを生じさせることが知られている。又、肌の色を決定づける最も重要な因子のひとつにメラニン色素がある。皮膚が過多の紫外線に暴露されると、皮膚組織の表皮基底層に存在する色素細胞(メラノサイト)が活性化されてメラニン色素の生成が著しく亢進され、肌のシミ、くすみ、そばかす、色素沈着を生じる。メラノサイトにおいてチロシンがチロシナーゼによりドーパ、ドーパキノンに変換され、これが更に酸化されてド−パクロム、5,6一ジヒドロキシインドールを経て重合し、最終的にメラニン色素になる。従って、肌の炎症、シミ、くすみ、そばかす、色素沈着等の皮膚トラブルを防止又は改善するためには、活性酸素の生成を阻害又は生成する活性酸素を除去することに加えて、メラニン色素の産生を抑制することが重要である。
従来、抗炎症剤としてグリチルリチン酸、アラントイン、グアイアズレン、酸化亜鉛、アロエ抽出物、カミツレ抽出物等が知られ、活性酸素消去剤としてスーパーオキシドディスムターゼ、カロチノイド類、カテキン類、没食子酸等が知られ、チロシナーゼ阻害剤としてトウキ、サンザシ、ホップ、ヨクイニン等の植物抽出物が公知である。又、活性酸素消去作用及びチロシナーゼ阻害作用を併せもつ素材としてヤーコン抽出物(特許文献1)、イワベンケイ属植物の抽出物(特許文献2)、ハイノキ属植物の抽出物(特許文献3)、ホルトノキ属植物の抽出物(特許文献4)、ブドウ抽出物(特許文献5)、シラタマカズラの抽出物(特許文献6)等が提案されている。しかしながら、これらの素材は、安定性や使用面、コスト面等の点でも必ずしも十分に満足できるものではなく、前記皮膚トラブルをより効果的に改善できる素材が求められていた。
特開平8−175964号公報 特開2002−20301号公報 特開2003−55184号公報 特開2003−95857号公報 特開2005−29490号公報 特開2006−36713号公報
前記の実情に鑑みて、本発明では、紫外線や加齢等によって生体内に生じる活性酸素を除去し、活性酸素によってもたらされる酸化的障害、とりわけ皮膚の炎症、シミ、くすみ、そばかす、色素沈着等の皮膚のトラブルを予防及び/又は改善するための、安全かつ安定な素材を開発し、これを利用した化粧品及び美肌用飲食品を提供することを課題とした。
本発明者らは、前記課題を解決するために、活性酸素を効果的に除去し、皮膚の炎症及び色素沈着を抑制する各種素材について鋭意検討した結果、前記皮膚トラブルを防止するためにはチゲタサシ属に属する植物が極めて有用であることを見出し、本発明を完成した。
本発明の特徴の第1はチダケサシ属に属する植物を含有する活性酸素消去剤であり、その第2はチダケサシ属に属する植物を含有する抗炎症剤であり、その第3はチダケサシ属に属する植物を含有する美白剤である。これらの活性酸素消去剤、抗炎症剤及び美白剤(以下、これらの各々を単に剤と省略することがある)において、チダケサシ属に属する植物の種類としてはアカショウマ、アワモリショウマ及びトリアシショウマからなる群から選ばれる1種又は2種以上であることが好ましく、その使用部位としては根及び/又は根茎であることが好ましく、その形態は乾燥粉末、抽出物又は精製物であることが好ましい。更に、この抽出物又は精製物は少なくとも水及び/又は親水性有機溶媒を用いて抽出されたものが望ましく、精製物は含水アセトン抽出物の酢酸エチル可溶画分であることが望ましい。
本発明の特徴の第4は前述の各剤から選ばれる1種又は2種以上を配合してなる化粧品であり、第5は前述の各剤から選ばれる1種又は2種以上を配合してなる美肌用飲食品である。
アカショウマ等のチダケサシ属植物の乾燥粉末、抽出物及びその精製物はスーパーオキサイド消去作用、ヒドロキシラジカル消去作用等の活性酸素消去能を有し、細胞の脱顆粒抑制作用で示される抗炎症効果を有し、及び、紫外線照射によるメラニン色素産生抑制作用、メラノーマ細胞のメラニン色素産生抑制作用、チロシナーゼ阻害作用等の美白効果を有する。従って、チダケサシ属植物は、これを皮膚に塗布することにより、紫外線や加齢等にともない生じる生体組織中の活性酸素を消去して酸化的障害を防止し、肌の炎症やシミ、くすみ、そばかす、色素沈着等の皮膚トラブルを予防及び/又は改善するための化粧品として利用でき、又、経口的に摂取することにより、前記皮膚トラブルを防止するための美肌用飲食品として利用できる。
本発明の活性酸素消去剤、抗炎症剤及び美白剤はチダケサシ(Astilbe)属に属する植物を有効成分として含有してなることを特徴とする。このチダケサシ属植物はユキノシタ科に分類されるものであり、代表例としてアカショウマ(学名:Astilbe thunbergii(SIEB.EtZUCC.)MIQ.)を挙げることができる。アカショウマは赤升麻あるいは紅升麻とも称せられ、日本の山地にも自生する多年草で、本来はその根茎を赤升麻とよび、古来より下熱や解毒等を目的とする升麻(キンポウゲ科のサラシナショウマ:Cimicifuga simplex WORMSKJORD等)の代用品として飲食に供せられてきた。
チゲタサシ属の植物の例としてAstilbe chinensis、Astilbe austrosinensis、Astilbe thunbergii、Astilbe thunbergii(SIEB.et ZUCC.)Miq.:アカショウマ、Astilbe thunbergii(SIEB.et ZUCC.)MIQ.var.congesta BOISS.(=Astilbe odontophylla MIQ.):トリアシショウマ、Astilbe polyandra、Astilbe grandis、Astilbe rivularis、Astilbe japonica(MORR.et DECNE.)A.GRAY:アワモリショウマ、Astilbe microphylla KNOLL:チダケサシ等を挙げることができる。本発明ではアカショウマ、アワモリショウマ及びトリアシショウマからなる群から選択される1種又は2種以上を好適に使用することができ、最も好適なものはアカショウマである。
本発明で用いるアカショウマ等のチダケサシ属植物の形態は、前記植物の根及び/又は根茎が望ましく、根及び/又は根茎そのもの、これに乾燥、細断あるいは粉砕等の加工処理を施したもの、これらを溶媒で抽出処理した抽出液、該抽出液から溶媒を除いた抽出物、該抽出物にシリカゲル、ケイ酸マグネシウム、イオン交換樹脂、活性アルミナ、セルロース、活性炭等の吸着剤を用いたカラムクロマトグラフィーや溶剤分別等の精製処理を施した精製物のいずれでもよい。飲食品用途に使用する場合は、前記植物の根及び/又は根茎を乾燥し適宜に粉砕した粉末、該乾燥物の細断片や粉末を水又は親水性有機溶媒又はこれらの混合溶媒で抽出した抽出物とするのが利便性及び製造コストの点から望ましい。又、化粧品用途に利用する場合は、前記の抽出液、抽出物あるいは高純度の精製物を用いることが望ましい。
尚、前記の抽出物及び精製物はいずれも少なくとも水及び/又は親水性有機溶媒を用いて抽出するのがよい。すなわち、本発明の所望効果を発現させるためには、チダケサシ属植物中の高極性成分あるいは親水性成分を有効成分とすることが好適である。親水性有機溶媒としてはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等の低級一価アルコール類、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、グリセリン等の多価アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、エーテル、石油エーテル、酢酸エチル及びこれらの含水物や混合物を例示することができる。本発明に係る抽出物を効率的に得るには、エタノール、アセトン、酢酸エチル及びこれらの含水物を抽出用溶媒とすることが好ましい。含水物の水分含量は一律に規定し難いが、例えば、エタノールの場合では1〜99重量%、より好ましくは10〜50重量%であり、アセトンの場合には1〜50重量%、より好ましくは10〜30重量%であり、酢酸エチルの場合は80〜99重量%、より好ましくは85〜95重量%である。これらの範囲を外れると本発明の所望の効果が減少し又は抽出物の収量が低下する傾向が大きくなる。
抽出処理は該処理原料に対して1〜100重量倍程度の前記抽出用溶媒を加え、常圧又は加圧下、常温又は加熱状態で、適宜に攪拌して10分〜数日間抽出処理する。不溶物を濾過又は遠心分離して除き本発明に係る抽出液を得ることができ、更に該抽出液から減圧蒸留、噴霧乾燥、凍結乾燥等の公知の手段で溶媒を除去することによって本発明に係る抽出物を得ることができる。チダケサシ属植物の精製物をより簡便かつ効率的に得るには、含水エタノール又は含水アセトン、望ましくは前記水分含量の含水アセトンで抽出し、該抽出物を更に酢酸エチルで分別してその可溶画分を採取するのがよい。
アカショウマ等のチダケサシ属に属する植物の根と根茎には、デンプンやタンニンのほかにベルゲニン、アスチルビン、アスチルビン酸等のフラボノイド類が含まれていることが知られており、これらの成分が前述の薬理作用を示すといわれている(Shimada,H.ら、Yakugaku Zasshi、第72巻、第578−588頁、1952年)。これに対して、本発明では、アカショウマ等のチダケサシ属の植物の前記形態のものが活性酸素消去及び/又はラジカル消去作用を有し、炎症を抑制する作用を有し、又、メラニン産生を抑制及び/又はチロシナーゼを阻害する作用を見出したものである。
本発明の各剤は、前述のチダケサシ属植物の乾燥粉末、抽出物又は精製物を単独で又は適宜に組み合わせて含有してなり、固体状、粉末状、ペースト状あるいは液体状の形態となし、又、必要に応じて澱粉やセルロース等の賦形剤、精製水、ゼラチンやプルラン等の被覆剤を副原料として使用して顆粒状、錠剤状、カプセル状、水溶液等に加工してもよい。かかる副原料を用いる場合、前記態様のチダケサシ属植物の含有割合は各剤の約0.1重量%〜約99重量%であることが好ましく、より望ましくは約1重量%〜約80重量%である。約0.1重量%を下回ると本発明の所望効果が認められなくなることがあり、約99重量%を超えると実用的な加工物を調製することが難しくなることがある。
上述のようにして得られる本発明の活性酸素消去剤はスーパーオキサイドやヒドロキシラジカルを消去する作用を有し、抗炎症剤は細胞の脱顆粒を抑制する作用を有し、又、美白剤は紫外線照射時の皮膚メラニン色素の産生を抑制したりチロシナーゼ活性を阻害する等の作用を有する。従って、これらの剤を望ましくは皮膚や毛髪に塗布したり、経口的に摂取又は投与する用途に利用することができる。すなわち、本発明では前記各剤から選ばれる1種又は2種以上を配合してなる化粧品及び美肌用飲食品が提供される。本発明の化粧品及び美肌用飲食品はいずれも紫外線や加齢にともない生体組織中に生じる活性酸素の弊害を防止し、肌の炎症やシワ、くすみ、色素沈着等の皮膚トラブルを予防及び/又は改善して健全な皮膚を形成、維持させるために有用である。
本発明の化粧品及び美肌用飲食品は、前述の活性酸素消去剤、抗炎症剤又は美白剤を単独であるいは適宜組み合わせ、より好ましくは公知の添加物を併用して、常法により含有せしめて調製することができる。ここで、公知の添加物は本発明の趣旨に反しない限り種々の原料や成分を使用でき、とりわけ皮膚外用剤、化粧料、トイレタリー製品、経口摂取物、飲食品等に通常使用されるものが好ましく、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、湿潤剤、流動化剤、酸化防止剤、保存剤、界面活性剤、安定剤、希釈剤、溶解剤、等張化剤、pH調整剤、酸味料、甘味料、紫外線吸収剤、殺菌剤、防腐剤、矯味剤、矯臭剤、着色剤、香料等の添加物質を利用できる、又、活性酸素消去作用、抗酸化作用、抗炎症作用、メラニン色素産生抑制作用、チロシナーゼ阻害作用、美白作用等を有する既知成分やその含有素材を併用してもよい。尚、これらの添加物の種類は本発明の剤を利用する用途に応じて適宜に選択すればよく、又、その含有量は、本発明の所望効果を発現させるために製品処方全体の概ね99重量%を超えないことが好ましい。
前記の公知添加物のうち、賦形剤の例としてセルロース及びその誘導体、澱粉、化工澱粉、デキストリン、難消化性デキストリン、乳糖、マンニトール、ソルビトール等の糖アルコール類、第二リン酸カルシウム、マイカ、タルク等が挙げられる。
結合剤や崩壊剤としては結晶セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルメロースナトリウム等のセルロース系誘導体、小麦、米、トウモロコシ、馬鈴薯等由来の澱粉、これらのα化澱粉、部分α化澱粉、ヒドロキシプロピルスターチ等の化工澱粉、デキストリン、プルラン、ポリビニルピロリドン、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、メタクリル酸コポリマー、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ポリビニルアルコール、アラビアゴム、寒天、ゼラチン、白色セラック、トラガント、精製白糖、マクロゴール等を例示できる。
滑沢剤として、例えば、小麦、米、トウモロコシ、馬鈴薯等由来の澱粉、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、タルク、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、リン酸水素カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、ショ糖脂肪酸エステル、ロウ類、水素添加植物油、ポリエチレングリコール等がある。
湿潤剤、保湿剤、エモリエント剤としては、スクワラン、スクワレン、レシチン、リゾレシチン、コレステロール、スフィンゴ脂質、セリン、グルタミン、ソルビトール、マンニトール、グリセリン、ピロリドンカルボン酸、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、乳酸及びその塩、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、水溶性コラーゲン、加水分解エラスチン、アルギン酸及びその塩、ムコ多糖類、ポリエチレングリコール、ポリアスパラギン酸塩、水溶性キチン、グルコサミン類、長鎖アシルグルタミン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、硬化ヒマシ油、12−ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸、ロジン酸、ラノリン脂肪酸コレステリルエステル、パルミチン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、シリコーン油(メチコン、ジメチコン、シクロメチコン)、乳ホエー等を例示することができる。
流動化剤の例として、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、乾燥水酸化アルミニウムゲル、合成ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムが挙げられる。
酸化防止剤としては、アスコルビン酸、トコトリエノール、dl−α−トコフェロール、α−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール等のトコフェロール類、クエン酸イソプロピル、エチレンジアミン四酢酸カルシウム二ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン、フィチン酸、カフェ酸、カテキン、没食子酸、没食子酸プロピル、エリソルビン酸及びそのナトリウム塩、チオジプロピオン酸ジラウリル、L−システイン塩酸塩等を例示できる。
保存剤や防腐剤の例として安息香酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、プロピオン酸、亜硫酸ナトリウム、クロロブタノール、等がある。
界面活性剤の例としては、大豆レシチン、卵黄レシチン、リゾレシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン等のグリセロリン脂質、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、モノステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシプロピレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレン脂肪酸エステル、ポリソルベート80、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等の非イオン界面活性剤、塩化ベンザルコニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム等のカチオン界面活性剤、2−ココイル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アミド酢酸ベタイン等の両性界面活性剤、高級アルコール硫酸塩、高級アルコールエーテル硫酸塩、長鎖脂肪酸アルカリ金属塩、長鎖脂肪酸アルカリ土類金属塩、長鎖脂肪酸塩基性アミノ酸塩、N−長鎖アシルアミノ酸、N−長鎖アシルアミノ酸塩等のアニオン界面活性剤がある。
安定剤としては、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン等のパラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール等のアルコール類、塩化ベンザルコニウム、無水酢酸、ソルビン酸等が挙げられる。
希釈剤、溶解剤、可溶化剤として精製水、エタノール、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、オリーブ油、ヒマシ油、シリコンオイル、流動パラフィン、シクロデキストリン等がある。
等張化剤の例として塩化ナトリウム、塩化カリウム、グリセリン、ホウ酸等がある。
pH調整剤としては、クエン酸、乳酸、グルコン酸、酢酸ナトリウム、アルギニン、トリエタノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素三カリウム等が含まれる。
酸味料には、酢酸、酢酸ナトリウム、乳酸、コハク酸、コハク酸二ナトリウム、フマル酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、グルコン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、グルコノデルタラクトン、アジピン酸等がある。
甘味料には、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、キシロース、キシリトール、グリチルリチン酸二ナトリウム、ソルビトール、スクラロース、ステビア等が包含される。
紫外線吸収剤は、例えば、パラアミノ安息香酸、パラジメチルアミノ安息香酸オクチル等のパラアミノ安息香酸誘導体、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、パラメトキシ桂皮酸エチル、パラメトキシ桂皮酸オクチル等のメトキシ桂皮酸誘導体、サリチル酸オクチル、サリチル酸ホモメンチル等のサリチル酸誘導体、N−ベンゾイル−O−メチル−α−デヒドロチロシン−2−エチルヘキシルエステル等のα−デヒドロアミノ酸誘導体、4−(3,4−ジメトキシフェニル)メチレン−2,5−ジオキソ−1−イミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシルエステル等のベンザールヒダントイン誘導体、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、4−ter−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等を挙げることができる。
化粧品用途の殺菌剤として、例えば、ヒノキチオール、トリクロサン、クロルヘキシジングルコン酸塩、フェノキシエタノール、レゾルシン、イソプロピルメチルフェノール、アズレン、サリチル酸、ジンクピリチオン等がある。
着色剤の例として、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化鉄、シリカ、タルク、マイカ、銅クロロフィル、水溶性アナトー、β−カロテン、リボフラビン及びその酪酸エステル、クチナシ黄、青色1号、赤色202号、食用赤色2号、同105号、食用黄色4号、食用緑色3号、食用青色2号等を挙げることができる。
その他、各種香料やフレーバー類も必要に応じて利用でき、化粧品用途では油脂類としてアボガド油、オリーブ油、ホホバ油等の植物油、オレイン酸、イソステアリン酸等の脂肪酸、ワセリン、ラノリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、カルナバロウ、キャンデリラロウ、椰子油脂肪酸、ラウリン酸、硬化牛脂脂肪酸等の脂肪酸、2−エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸−2−オクチルドデシル、ジ−2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセロール、オレイン酸−2−オクチルドデシル、トリイソステアリン酸グリセロール、2−エチルヘキサン酸ジグリセリド等のエステル油、長鎖アシルグルタミン酸オクチルドデシルエステル等のエステル油、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等のシリコン油、流動パラフィン、スクワレン、スクワラン等の液状炭化水素油等も適宜に使用できる。
本発明の化粧品の形態は、特に限定されるものではなく、皮膚や毛髪に適用されるもの全般を対象にして、ローション剤,乳剤,ゲル剤,クリーム剤,軟膏等の剤型で提供することができ、例えば、化粧水、乳液、クリーム、ファンデーション、パック、エッセンス、口紅、洗顔料、シャンプー、リンス、ヘアトニック、ヘアトリートメント等を挙げることができる。又、軟膏、パップ剤、浴用剤、洗浄剤、エアゾル剤等の医薬部外品を含めてもよい。これらの化粧品には、前述のように、化粧品に一般的に用いられる各種成分、すなわち水性成分、油性成分、粉末成分、アルコール類、エステル類、界面活性剤、保湿剤、美白成分、紫外線吸収剤、増粘剤、色剤、香料、抗酸化剤、pH調整剤、キレート剤、防腐剤等の成分を配合することができる。
本発明の化粧品を製造するには、前記の公知添加物のうち化粧品用途に適するものを適宜選択し、これに本発明の剤の少なくとも1種を所定量加え、通常の製造法により加工処理すればよい。ここで、本発明の剤の配合量は、本発明の剤に含まれるチダケサシ属植物に由来する成分の濃度の違いにより一概に規定し難いが、約0,01重量%〜約90重量%、より望ましくは約1重量%〜約70重量%である。約0.01重量%を下回ると本発明の化粧品が所望効果を発現しない場合があり、約90重量%を超えると化粧品としての剤型を加工し難くなることがある。本発明の化粧品は、その用途目的から、肌の前記トラブルを予防及び/又は改善するために皮膚や毛髪に塗布したり接触させる方法で、必要に応じて使用することができる。
本発明の美肌用飲食品は、例えば、野菜ジュース、果汁飲料、清涼飲料、茶等の飲料類、スープ、ゼリー、プリン、ヨーグルト、ケーキプレミックス製品、菓子類、ふりかけ、味噌、醤油、ソース、ドレッシング、マヨネーズ、植物性クリーム、味噌、焼肉用たれや麺つゆ等の調味料、麺類、うどん、蕎麦、スパゲッティ、ハムやソーセージ等の畜肉魚肉加工食品、ハンバーグ、コロッケ、ふりかけ、佃煮、ジャム、牛乳、クリーム、バター、スプレッドやチーズ等の粉末状、固形状又は液状の乳製品、マーガリン、パン、ケーキ、クッキー、チョコレート、キャンディー、グミ、ガム等の各種一般加工食品のほか、粉末状、顆粒状、丸剤状、錠剤状、ソフトカプセル状、ハードカプセル状、ペースト状又は液体状の栄養補助食品、特定保健用食品、機能性食品、健康食品、濃厚流動食や嚥下障害用食品の治療食等の形態に加工することができる。
本発明の飲食品を製造するには、特に制限を受けることなく、本発明の剤の少なくとも1種、通常使用される飲食品用原料及び前記の公知添加物のうち飲食品用途に適するものを適宜に選択して、常法により加工処理すればよい。例えば、本発明の剤の所定量に、必要に応じてデキストリン、ブドウ糖、乳糖、澱粉又はその加工物、セルロース粉末、ビタミン類、ミネラル類、動植物や魚介類の油脂、蛋白質、糖質、色素、香料、酸化防止剤、各種栄養機能成分又はこれを含む粉末やエキス類等の飲食用原料とともに処理して粉末、顆粒、ペレット、錠剤、カプセル等の形状に加工したり、一般加工食品、飲料、ドリンク剤等の形状に加工して、栄養補助食品や健康食品として利用することは好適である。とりわけ、錠剤、カプセル剤、ドリンク剤が望ましい。
これらの飲食品に配合する本発明の剤の量は、本発明の剤に含まれるチダケサシ属植物に由来する成分の濃度の違いにより一概に規定し難いが、約0,01重量%〜約90重量%、より望ましくは約0.1重量%〜約70重量%である。約0.01重量%を下回ると本発明の飲食品による所望効果を期待するために多量の摂取が必要になることがあり、約90重量%を超えると実用的な飲食品を製造し難くなることがある。本発明の飲食品は、その用途目的から、肌の前記トラブルを予防及び/又は改善するために、特に美肌用として、経口摂取又は投与する方法で適宜に使用することができる。この場合、本発明の剤の好適な摂取量の目安は、該剤に含まれるチダケサシ属植物に由来する成分として、ヒト成人1日あたり約10mg〜約1,000mg、望ましくは約30mg〜約500mg、更に望ましくは約50mg〜約300mgである。
次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれによって何ら限定されるものではない。各例において、%、部及び比率は特に表示しない限り全て重量基準である。
製造例1
アカショウマ(Astilbe thunbergii(SIEB.et ZUCC.)MIq.)の乾燥根茎粉砕物100gを1Lの50%エタノール(含水率:50%)に浸漬し、2時間還流下に加熱した。その後、濾過して抽出液を採取し、残渣を再び1Lの50%エタノールで同様に処理した。この2回の処理により得られた各抽出液を合わせて減圧下に濃縮、乾燥し、20.6gの粉末状抽出物(試料1とする)を得た。
製造例2
アカショウマ(Astilbe thunbergii(SIEB.et ZUCC.)MIq.)の乾燥根茎粉砕物100gを1Lの80%エタノール(含水率:20%)に浸漬し、2時間還流下に加熱した。その後、濾過して抽出液を採取し、残渣を再び1Lの80%エタノールで同様に処理した。この2回の処理により得られた各抽出液を合わせて減圧下に濃縮、乾燥し、15.2gの粉末状抽出物(試料2とする)を得た。
製造例3
アカショウマ(Astilbe thunbergii(SIEB.et ZUCC.)MIq.)の乾燥根茎粉砕物100gを1Lの熱水(90℃)で2時間抽出処理した。その後、濾過して抽出液を採取し、残渣を再び1Lの熱水(90℃)で同様に処理した。この2回の処理により得られた各抽出液を合わせて減圧下に濃縮、乾燥し、22.8gの粉末状の抽出物(試料3とする)を得た。
製造例4
製造例1において、アカショウマをトリアシショウマ(Astilbe thunbergii(SIEB.et ZUCC.)MIQ.var.congesta BOISS(=Asrilbe odontophylla MIQ.)に置き換えて同様に処理して21.1gの粉末状の抽出物(試料4とする)を得た。
製造例5
アカショウマ(Astilbe thunbergii(SIEB.et ZUCC.)MIq.)の乾燥根茎粉砕物100gを1Lの75%アセトン(含水率:25%)に浸漬し、45℃で2時間、ゆるやかに撹拌した。その後、濾過して抽出液を採取し、残渣を再び1Lの75%アセトンで同様に処理した。この2回の処理により得られた各抽出液を合わせて減圧下に濃縮、乾燥し、23.5gの粉末状の抽出物を得た。次いで、これを100mLの酢酸エチル中に分散させ、室温で静置後、濾過して可溶分を採取し、減圧下の濃縮、乾燥して8.3gの粉末状の精製物(試料5とする)を得た。
試験例1
本発明に係るチダケサシ属植物の抽出物(試料1〜試料4)及び精製物(試料5)について、以下に述べる方法で活性酸素消去能を評価した。
(1)スーパーオキサイド消去作用試験(NBT法)
試験管に0.05N炭酸緩衝液を2.4mL採り、そこに3mMキサンチン溶液、3mM EDTA溶液、0.015%BSA溶液、0.75mMニトロブルーテトラゾリウム溶液(いずれも和光純薬工業(株)製、試薬グレードを用いて調製した)を0.1mLずつ加えて混合した。次に、前記試料をジメチルスルホキシド(シグマ社製、試薬グレード)に100mg/mL、濃度になるように溶解し、更に純水で所定の濃度に希釈した溶液を0.1mL加えて25℃で10分間インキュベートした後、キサンチンオキシダーゼ溶液(シグマ社製、試薬グレードをブランクの吸光度が0.20〜0.23になるように調製)を加えて混合し、25℃で20分間インキュベートした。その後、6mM塩化第二銅水溶液を0.1mL加えて反応を停止させ、560nmにおける吸光度を測定した。各吸光度の値を用いて、スーパーオキサイド消去率を次のように求めた。すなわち、A:試料を添加しない場合の吸光度、B:試料を添加した場合の吸光度、C;ブランクの吸光度とするとき、スーパーオキサイド消去率(%={1−(B−C)/(A−C)}×100から算出した。なお、比較のため、アスコルビン酸ナトリウムを用いて同条件で試験した。
この結果を表1に示した。同表において、数値はスーパーオキサイド50%消去濃度(IC50)を示す。表1のデータから、チダケサシ属に属する植物の抽出物及び精製物は、いずれも強力なスーパーオキサイド消去作用を有することが明らかになった。
Figure 0005119393
(2)ラジカル消去作用試験
ラジカル消去作用試験は文献(R.H.Poirier,F.Benington,J.Org.Chem.,第17巻,第1437頁〜第1445頁,1952年)に記載の方法に従って測定した。すなわち、試験管にDPPHエタノール溶液3mLを採り、これに試料溶液(0.1M酢酸緩衝液(pH5.5)/エタノール=1/1(V/V)で混合した溶液)を3mL加え、直ちに密栓して混合し、30分間静置した。その後、520nmにおける吸光度を測定し、各吸光度の値を用いて、ヒドロキシラジカル消去率を次のようにして求めた。A:試料を添加しない場合の吸光度、B:試料を添加した場合の吸光度、C:ブランクの吸光度とするとき、ラジカル消去率(%)={1−(B−C)/(A−C)}×100。なお、比較のため、アスコルビン酸ナトリウムを用いて同条件で試験した。
この結果を表2に示した。同表において、数値はヒドロキシラジカル50%消去濃度(IC50)を示す。表2のデータから、チダケサシ属に属する植物の抽出物及び精製物は、いずれも強力なヒドロキシラジカル消去作用を有することが認められた。
Figure 0005119393
試験例2
本発明に係るチダケサシ属植物の抽出物(試料1〜試料4)及び精製物(試料5)について、以下に述べる方法で抗炎症作用を評価した。
(a)細胞培養上清への脱顆粒誘導:
ラット好塩基球性白血病細胞(RBL−2H3、財団法人ヒューマンサイエンス研究資源バンクから入手)を10%ウシ胎児血清含有イーグル最少必須培地(ニッスイ(株)製)に懸濁して96穴プレートに1×10個ずつ播種し、COインキュベーター(37℃、5%CO強化気相下。以下同様)で24時間培養した。コンフルエントになった細胞をリリーシング緩衝液(117mM塩化ナトリウム、5.4mM塩化カリウム、2.0mM塩化カルシウム、0.8mM硫酸マグネシウム、5.6mMD−グルコース、25mM HEPES(2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルフォン酸)及び1mg/mLウシ血清アルブミン(シグマ社製)を含む。pH7.7)200μL/ウェルで洗浄した後、前記リリーシング緩衝液に試料1〜5を100μg/mL濃度となるようにそれぞれ混和した供試液を作成して各ウエルに添加し、さらに細胞からの脱顆粒を誘導するため、200μg/mL濃度のコンパウンド48/80(和光純薬工業(株)製)/リリーシング緩衝液の混合液100μLを添加して、COインキュベーターで1時間培養した。なお、対照試験として、試料を含まない前記リリーシング緩衝液のみを添加したウェルを2群設け、一方のウェル(対照A)には前記コンパウンド48/80とリリーシング緩衝液との混合溶液を、また、他方のウェル(対照B)にはリリーシング緩衝液のみをそれぞれ200μL添加して、COインキュベーターで1時間培養した。
(b)ベータヘキソサミニダーゼ活性測定による脱顆粒率の判定:
前述の脱顆粒誘導後、細胞外に遊離したベータヘキソサミニダーゼの酵素活性を測定するために細胞上清50μLを別の96穴マイクロプレートに分取し、ベータヘキソサミニダーゼ活性の測定を次のように行った。すなわち、分取した各細胞上清50μLに基質として5mMパラニトロフェニル−2−アセタミド−2−デオキシ−ベータグルコピラノシドを50μL加え、37℃のCOインキュベーター内で30分反応させた。その後100μLの0.2Mグリシン緩衝液(pH10.7)を加えて反応を停止させ、吸光プレートリーダー(ナルジェヌンクインターナショナル(株)製)を用いて405nmの吸光度を測定し、ベータヘキソサミニダーゼ活性の指標とした。脱顆粒抑制率は、ベータへキソサミニダーゼ活性に相当する前記吸光度を用いて、脱顆粒抑制率(%)=[1−{(試料添加時の吸光度)−(対照Bの吸光度)}/{(対照Aの吸光度)−(対照Bの吸光度)}]×100から算出した。
この結果を表3に示した。このデータから、各試料を添加することにより細胞からの脱顆粒が顕著に抑制されており、脱顆粒の度合いと炎症発現との相関性が公知であるから、本発明に係る各試料は強い抗炎症作用を有することが確認された。
Figure 0005119393
試験例3
本発明に係るチダケサシ属植物の抽出物(試料1〜試料4)及び精製物(試料5)について、以下に述べる方法で皮膚の美白作用を評価した。
(1)UV−B照射によるメラニン産生に対する抑制作用試験
6週齢の褐色モルモット(Brown TAKEI:(株)埼玉実験動物供給所から購入)を、基礎飼料(CE−2、日本クレア(株)製)及び飲用水を自由摂取させて1週間予備飼育後、背部の毛を2cm×5cmの大きさで剃り、そこにUV−B(1 J/4min)を1日1回、2日間照射した。次いで、1%濃度になるように精製水で希釈した各試料の溶液を1日1回、28日間、皮膚に塗布した。該塗布終了後に表皮を切り取り、0.1% L−ドーパ存在下、37℃で5時間反応させ、ドーパをメラニンに変換し黒色化した細胞をドーパ陽性細胞として、その細胞数(表皮1mm当り)を測定した。精製水のみを塗布した場合の前記細胞数を対照としてメラニン産生抑制率(%)を算出した。
この結果を表4に示した。同表の数値は対照試験の場合を100とした相対値で示す。この試験結果から、本発明に係る試料を塗布した場合はいずれもUV−B照射による皮膚メラニン産生を抑制する作用を有することが明らかになった。
Figure 0005119393
(2)B16メラノーマ細胞のメラニン産生抑制作用試験
マウスのメラニン産生細胞株であるB16メラノーマ細胞を用い、テオフィリン刺激により亢進したメラニン産生に対する各試料の影響について試験した。常法通りに培養したB16メラノーマ細胞(財団法人ヒューマンサイエンス研究資源バンクから入手)を10%FCS−RPMI培地(和光純薬工業(株)製)中に浮遊させ、96穴プレートに1×10/ウェルで播き、24時間後に試料を、更にその12時間後にテオフィリンを添加してCOインキュベーター(37℃、5%CO強化気相下)で培養した。次いで、テオフィリン添加から3日後に培養上清を取り除き、1N水酸化ナトリウム液を加えてメラニンを溶解させ、405nmにおける吸光度を測定した。
この結果を表5に示した。同表において、数値は同時に実施した対照試験(試料を添加しない場合)の値を100としたときの相対値で示した。表5のデータから、本発明に係る試料が濃度依存的にメラノーマ細胞のメラニン産生を抑制すること、従って、メラノサイトへ直接影響を及ぼすことを確認した。
Figure 0005119393
(3)チロシナーゼ阻害作用試験
チロシナーゼはL−チロシンからメラニンを合成する経路でL−チロシンをL−ドーパに変換し、さらにL−ドーパをドーパキノンに変換する酵素であり、紫外線を浴びたとき皮膚のメラノサイトでチロシナーゼの産生が亢進し、メラニン産生が亢進されることが知られている。このため、本試験では、本発明に係る試料がL−チロシンの変換及びL−ド−パの変換に及ぼす影響を調べた。すなわち、基質としてL−チロシンを用いた場合は、L−チロシンに試料溶液(試料をジメチルスルホキシドに100mg/mL濃度に溶解させたもの。以下同様)の所定量を加えて37℃で5分間プレインキュベートした。その後、酵素溶液(チロシナーゼを0.2Mリン酸緩衝液に2.4mg/100mL濃度に溶解させたもの。以下同様)0.5mLを加えて37℃で20分間インキュベートし、475nmにおける吸光度を測定した。又、基質にL−ドーパを用いた場合は、L−ドーパに試料溶液を加え37℃で5分間プレインキュベートした。その後、酵素溶液を加えて37℃で5分間インキュベートし、475nmにおける吸光度を測定した。各吸光度の値から、次式によりチロシナーゼ活性阻害率を算出した。A:試料を添加しない場合の吸光度、B:試料を添加した場合の吸光度、C:ブランクの吸光度とするとき、チロシナーゼ活性阻害率(%)={1−(B−C)/(A−C)}×100。
この結果を表5に示した。同表中の数値は各対照試験の場合を100とした相対値で示す。表5のデータから、本発明に係る試料を用いた場合には、濃度依存的にチロシナーゼ活性が阻害されることが明らかになった。
Figure 0005119393
試作例1〜7
以下に示す処方(数値は全て重量%)を用いて各種化粧品を試作した。
(1)ローション
(a)ソルビット 2
(b)1,3−ブチレングリコール 4
(c)ポリエチレングリコール1000 2
(d)エタノール 10
(e)試料1 1
(f)防腐剤(メチルパラベン) 適量
(g)精製水 残量
(a)〜(f)を80℃に加熱した(g)に加え、撹拌して溶解した後、室温まで冷却して容器に充填した。
(2)乳液
(a)スクワラン 4
(b)ワセリン 1
(c)ステアリルアルコール 0.5
(d)ソルビタンモノステアラート 1.5
(e)ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレアート 3
(f)1,3−ブチレングリコール 5
(g)試料2 0.1
(h)精製水 残量
(a)〜(d)を80℃で加熱溶解して油相成分とし、(e)〜(h)を80℃で加熱溶解して水相成分とした。同温度にて、水相成分に油相成分を撹拌しながら加え、ホモジナイザーにより均一に乳化した後、室温まで冷却、脱気して容器に充填した。
(3)クリーム
(a)スクワラン 20
(b)ミツロウ 5
(c)ホホバ油 5
(d)ソルビタンモノステアラート 1
(e)グリセリンモノオレアレート 3
(f)ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアラート 3
(g)グリセリン 5
(h)試料3 5
(i)精製水 残量
(a)〜(e)を80℃で加熱溶解して油相成分とし、(f)〜(i)を80℃で加熱溶解して水相成分とした。同温度にて、水相成分に油相成分を撹拌しながら加え、ホモジナイザーにより均一に乳化した後、室温まで冷却、脱気して容器に充填した。
(4)ボディーソープ
(a)ラウリン酸カリウム 13
(b)ミリスチン酸カリウム 5
(c)プロピレングリコール 7
(d)試料4 10
(e)pH調整剤(リンゴ酸) 適量
(f)防腐剤(メチルパラベン) 適量
(g)精製水 残量
(a)及び(b)を予め80℃で加熱溶解した(c)〜(g)の溶液に撹拌しながら加え、ホモジナイザーにより均一に混合した後、室温まで冷却、脱気して容器に充填した。
(5)シャンプー
(a)ラウリン酸ジエタノールアミド 2
(b)ラウリル硫酸トリエタノールアミン 5
(c)ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ソーダ 12
(d)1,3−ブチレングリコール 4
(e)エデト酸二ナトリウム 0.1
(f)試料5 0.05
(g)防腐剤及び香料 各適量
(h)精製水 残量
(b)〜(h)を加熱溶解して70℃とし、(a)を添加してホモミキサーにより乳化後、冷却、脱気して容器に充填した。
(6)ヘアトニック
(a)オレイン酸エチル 1
(b)エタノール 45
(c)ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油 2
(d)試料1 15
(e)精製水 残量
(c)〜(e)を加熱溶解して60℃とし、同温度に加熱した(a)及び(b)の混合物を添加してホモミキサーにより可溶化後、冷却、脱気して容器に充填した。
(7)粉末浴用剤
(a)炭酸水素ナトリウム 50
(b)無水硫酸ナトリウム 35
(c)ホウ砂 3
(d)試料3 7
(e)カミツレ抽出末 4
(f)着色料及び香料 各適量
(a)〜(f)を粉体混合機で混合して容器に充填した。
試作例8
バター100部、ショートニング120部、上白糖90部及び牛乳100部をホイッパーに入れて攪拌しながら、牛乳100に対して鶏卵1個を加えて十分に混合した後、薄力粉190部、ベーキングパウダー1.5部及び試料1を20部添加して十分に捏ねあわせた。これを30分間ねかせた後、金型で40個に分割し、オーブンで焼いてバタークッキーを試作した。このクッキーは美肌用菓子として常食することができる。
試作例9
市販の野菜ジュース1Lに試料3を5g加えて混合し、美肌用野菜ジュースを試作した。これは元の野菜ジュースと比較して何ら遜色のないものであった。
試作例10
試料2:30部、コエンザイムQ10(日清ファルマ(株)製):5部、コーンスターチ:100部、リン酸三カルシウム:40部及びリボフラビン:7部及びL−アスコルビン酸:10部を混合機に仕込み、20分間攪拌して混合した。これを直打式打錠機に供して直径7.5mm、高さ4mm、重量150mg/個の素錠を作成し、コーティング機でシェラック被膜を形成させて錠剤形状の食品を試作した。
試作例11
カプセル充填機に試料1〜試料5のいずれかを仕込み、常法により1粒あたり内容量が150mgのゼラチン被覆ハードカプセル製剤を5種類試作した。これらのカプセル製剤は経口摂取が可能な栄養補助食品として利用できる。
本発明に係るチダケサシ属に属する植物の乾燥物、抽出物及び精製物は、これを皮膚に塗布し又は経口摂取することにより、生体組織の活性酸素を除去し、炎症を抑制し、チロシメナーゼ活性を阻害し、メラニン産生を抑制する作用を有するため、化粧品や美肌用飲食品等に有効利用できる。

Claims (5)

  1. チダケサシ属に属する植物の根及び/又は根茎から得られる抽出物又は精製物を含有する活性酸素消去剤。ここで、前記抽出物は、水分含量が10〜50重量%の含水エタノールで抽出したものであり、前記精製物は、水分含量が10〜30重量%の含水アセトンで抽出した後、該抽出物を酢酸エチルで分別した酢酸エチル可溶画分である。
  2. チダケサシ属に属する植物の根及び/又は根茎から得られる抽出物又は精製物を含有する抗炎症剤。ここで、前記抽出物は、水分含量が10〜50重量%の含水エタノールで抽出したものであり、前記精製物は、水分含量が10〜30重量%の含水アセトンで抽出した後、該抽出物を酢酸エチルで分別した酢酸エチル可溶画分である。
  3. チダケサシ属に属する植物の根及び/又は根茎から得られる抽出物又は精製物を含有する美白剤。ここで、前記抽出物は、水分含量が10〜50重量%の含水エタノールで抽出したものであり、前記精製物は、水分含量が10〜30重量%の含水アセトンで抽出した後、該抽出物を酢酸エチルで分別した酢酸エチル可溶画分である。
  4. チダケサシ属に属する植物がアカショウマ、アワモリショウマ及びトリアシショウマからなる群から選ばれる1種又は2種以上である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の剤。
  5. 請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の剤から選ばれる1種又は2種以上を配合してなる化粧品。
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