JP5119393B2 - 抗酸化剤、抗炎症剤及び美白剤、並びにこれらの利用 - Google Patents
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Description
アカショウマ(Astilbe thunbergii(SIEB.et ZUCC.)MIq.)の乾燥根茎粉砕物100gを1Lの50%エタノール(含水率:50%)に浸漬し、2時間還流下に加熱した。その後、濾過して抽出液を採取し、残渣を再び1Lの50%エタノールで同様に処理した。この2回の処理により得られた各抽出液を合わせて減圧下に濃縮、乾燥し、20.6gの粉末状抽出物(試料1とする)を得た。
アカショウマ(Astilbe thunbergii(SIEB.et ZUCC.)MIq.)の乾燥根茎粉砕物100gを1Lの80%エタノール(含水率:20%)に浸漬し、2時間還流下に加熱した。その後、濾過して抽出液を採取し、残渣を再び1Lの80%エタノールで同様に処理した。この2回の処理により得られた各抽出液を合わせて減圧下に濃縮、乾燥し、15.2gの粉末状抽出物(試料2とする)を得た。
アカショウマ(Astilbe thunbergii(SIEB.et ZUCC.)MIq.)の乾燥根茎粉砕物100gを1Lの熱水(90℃)で2時間抽出処理した。その後、濾過して抽出液を採取し、残渣を再び1Lの熱水(90℃)で同様に処理した。この2回の処理により得られた各抽出液を合わせて減圧下に濃縮、乾燥し、22.8gの粉末状の抽出物(試料3とする)を得た。
製造例1において、アカショウマをトリアシショウマ(Astilbe thunbergii(SIEB.et ZUCC.)MIQ.var.congesta BOISS(=Asrilbe odontophylla MIQ.)に置き換えて同様に処理して21.1gの粉末状の抽出物(試料4とする)を得た。
アカショウマ(Astilbe thunbergii(SIEB.et ZUCC.)MIq.)の乾燥根茎粉砕物100gを1Lの75%アセトン(含水率:25%)に浸漬し、45℃で2時間、ゆるやかに撹拌した。その後、濾過して抽出液を採取し、残渣を再び1Lの75%アセトンで同様に処理した。この2回の処理により得られた各抽出液を合わせて減圧下に濃縮、乾燥し、23.5gの粉末状の抽出物を得た。次いで、これを100mLの酢酸エチル中に分散させ、室温で静置後、濾過して可溶分を採取し、減圧下の濃縮、乾燥して8.3gの粉末状の精製物(試料5とする)を得た。
本発明に係るチダケサシ属植物の抽出物(試料1〜試料4)及び精製物(試料5)について、以下に述べる方法で活性酸素消去能を評価した。
(1)スーパーオキサイド消去作用試験(NBT法)
試験管に0.05N炭酸緩衝液を2.4mL採り、そこに3mMキサンチン溶液、3mM EDTA溶液、0.015%BSA溶液、0.75mMニトロブルーテトラゾリウム溶液(いずれも和光純薬工業(株)製、試薬グレードを用いて調製した)を0.1mLずつ加えて混合した。次に、前記試料をジメチルスルホキシド(シグマ社製、試薬グレード)に100mg/mL、濃度になるように溶解し、更に純水で所定の濃度に希釈した溶液を0.1mL加えて25℃で10分間インキュベートした後、キサンチンオキシダーゼ溶液(シグマ社製、試薬グレードをブランクの吸光度が0.20〜0.23になるように調製)を加えて混合し、25℃で20分間インキュベートした。その後、6mM塩化第二銅水溶液を0.1mL加えて反応を停止させ、560nmにおける吸光度を測定した。各吸光度の値を用いて、スーパーオキサイド消去率を次のように求めた。すなわち、A:試料を添加しない場合の吸光度、B:試料を添加した場合の吸光度、C;ブランクの吸光度とするとき、スーパーオキサイド消去率(%={1−(B−C)/(A−C)}×100から算出した。なお、比較のため、アスコルビン酸ナトリウムを用いて同条件で試験した。
ラジカル消去作用試験は文献(R.H.Poirier,F.Benington,J.Org.Chem.,第17巻,第1437頁〜第1445頁,1952年)に記載の方法に従って測定した。すなわち、試験管にDPPHエタノール溶液3mLを採り、これに試料溶液(0.1M酢酸緩衝液(pH5.5)/エタノール=1/1(V/V)で混合した溶液)を3mL加え、直ちに密栓して混合し、30分間静置した。その後、520nmにおける吸光度を測定し、各吸光度の値を用いて、ヒドロキシラジカル消去率を次のようにして求めた。A:試料を添加しない場合の吸光度、B:試料を添加した場合の吸光度、C:ブランクの吸光度とするとき、ラジカル消去率(%)={1−(B−C)/(A−C)}×100。なお、比較のため、アスコルビン酸ナトリウムを用いて同条件で試験した。
本発明に係るチダケサシ属植物の抽出物(試料1〜試料4)及び精製物(試料5)について、以下に述べる方法で抗炎症作用を評価した。
(a)細胞培養上清への脱顆粒誘導:
ラット好塩基球性白血病細胞(RBL−2H3、財団法人ヒューマンサイエンス研究資源バンクから入手)を10%ウシ胎児血清含有イーグル最少必須培地(ニッスイ(株)製)に懸濁して96穴プレートに1×105個ずつ播種し、CO2インキュベーター(37℃、5%CO2強化気相下。以下同様)で24時間培養した。コンフルエントになった細胞をリリーシング緩衝液(117mM塩化ナトリウム、5.4mM塩化カリウム、2.0mM塩化カルシウム、0.8mM硫酸マグネシウム、5.6mMD−グルコース、25mM HEPES(2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルフォン酸)及び1mg/mLウシ血清アルブミン(シグマ社製)を含む。pH7.7)200μL/ウェルで洗浄した後、前記リリーシング緩衝液に試料1〜5を100μg/mL濃度となるようにそれぞれ混和した供試液を作成して各ウエルに添加し、さらに細胞からの脱顆粒を誘導するため、200μg/mL濃度のコンパウンド48/80(和光純薬工業(株)製)/リリーシング緩衝液の混合液100μLを添加して、CO2インキュベーターで1時間培養した。なお、対照試験として、試料を含まない前記リリーシング緩衝液のみを添加したウェルを2群設け、一方のウェル(対照A)には前記コンパウンド48/80とリリーシング緩衝液との混合溶液を、また、他方のウェル(対照B)にはリリーシング緩衝液のみをそれぞれ200μL添加して、CO2インキュベーターで1時間培養した。
前述の脱顆粒誘導後、細胞外に遊離したベータヘキソサミニダーゼの酵素活性を測定するために細胞上清50μLを別の96穴マイクロプレートに分取し、ベータヘキソサミニダーゼ活性の測定を次のように行った。すなわち、分取した各細胞上清50μLに基質として5mMパラニトロフェニル−2−アセタミド−2−デオキシ−ベータグルコピラノシドを50μL加え、37℃のCO2インキュベーター内で30分反応させた。その後100μLの0.2Mグリシン緩衝液(pH10.7)を加えて反応を停止させ、吸光プレートリーダー(ナルジェヌンクインターナショナル(株)製)を用いて405nmの吸光度を測定し、ベータヘキソサミニダーゼ活性の指標とした。脱顆粒抑制率は、ベータへキソサミニダーゼ活性に相当する前記吸光度を用いて、脱顆粒抑制率(%)=[1−{(試料添加時の吸光度)−(対照Bの吸光度)}/{(対照Aの吸光度)−(対照Bの吸光度)}]×100から算出した。
本発明に係るチダケサシ属植物の抽出物(試料1〜試料4)及び精製物(試料5)について、以下に述べる方法で皮膚の美白作用を評価した。
(1)UV−B照射によるメラニン産生に対する抑制作用試験
6週齢の褐色モルモット(Brown TAKEI:(株)埼玉実験動物供給所から購入)を、基礎飼料(CE−2、日本クレア(株)製)及び飲用水を自由摂取させて1週間予備飼育後、背部の毛を2cm×5cmの大きさで剃り、そこにUV−B(1 J/4min)を1日1回、2日間照射した。次いで、1%濃度になるように精製水で希釈した各試料の溶液を1日1回、28日間、皮膚に塗布した。該塗布終了後に表皮を切り取り、0.1% L−ドーパ存在下、37℃で5時間反応させ、ドーパをメラニンに変換し黒色化した細胞をドーパ陽性細胞として、その細胞数(表皮1mm2当り)を測定した。精製水のみを塗布した場合の前記細胞数を対照としてメラニン産生抑制率(%)を算出した。
マウスのメラニン産生細胞株であるB16メラノーマ細胞を用い、テオフィリン刺激により亢進したメラニン産生に対する各試料の影響について試験した。常法通りに培養したB16メラノーマ細胞(財団法人ヒューマンサイエンス研究資源バンクから入手)を10%FCS−RPMI培地(和光純薬工業(株)製)中に浮遊させ、96穴プレートに1×104/ウェルで播き、24時間後に試料を、更にその12時間後にテオフィリンを添加してCO2インキュベーター(37℃、5%CO2強化気相下)で培養した。次いで、テオフィリン添加から3日後に培養上清を取り除き、1N水酸化ナトリウム液を加えてメラニンを溶解させ、405nmにおける吸光度を測定した。
チロシナーゼはL−チロシンからメラニンを合成する経路でL−チロシンをL−ドーパに変換し、さらにL−ドーパをドーパキノンに変換する酵素であり、紫外線を浴びたとき皮膚のメラノサイトでチロシナーゼの産生が亢進し、メラニン産生が亢進されることが知られている。このため、本試験では、本発明に係る試料がL−チロシンの変換及びL−ド−パの変換に及ぼす影響を調べた。すなわち、基質としてL−チロシンを用いた場合は、L−チロシンに試料溶液(試料をジメチルスルホキシドに100mg/mL濃度に溶解させたもの。以下同様)の所定量を加えて37℃で5分間プレインキュベートした。その後、酵素溶液(チロシナーゼを0.2Mリン酸緩衝液に2.4mg/100mL濃度に溶解させたもの。以下同様)0.5mLを加えて37℃で20分間インキュベートし、475nmにおける吸光度を測定した。又、基質にL−ドーパを用いた場合は、L−ドーパに試料溶液を加え37℃で5分間プレインキュベートした。その後、酵素溶液を加えて37℃で5分間インキュベートし、475nmにおける吸光度を測定した。各吸光度の値から、次式によりチロシナーゼ活性阻害率を算出した。A:試料を添加しない場合の吸光度、B:試料を添加した場合の吸光度、C:ブランクの吸光度とするとき、チロシナーゼ活性阻害率(%)={1−(B−C)/(A−C)}×100。
以下に示す処方(数値は全て重量%)を用いて各種化粧品を試作した。
(1)ローション
(a)ソルビット 2
(b)1,3−ブチレングリコール 4
(c)ポリエチレングリコール1000 2
(d)エタノール 10
(e)試料1 1
(f)防腐剤(メチルパラベン) 適量
(g)精製水 残量
(a)〜(f)を80℃に加熱した(g)に加え、撹拌して溶解した後、室温まで冷却して容器に充填した。
(a)スクワラン 4
(b)ワセリン 1
(c)ステアリルアルコール 0.5
(d)ソルビタンモノステアラート 1.5
(e)ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレアート 3
(f)1,3−ブチレングリコール 5
(g)試料2 0.1
(h)精製水 残量
(a)〜(d)を80℃で加熱溶解して油相成分とし、(e)〜(h)を80℃で加熱溶解して水相成分とした。同温度にて、水相成分に油相成分を撹拌しながら加え、ホモジナイザーにより均一に乳化した後、室温まで冷却、脱気して容器に充填した。
(a)スクワラン 20
(b)ミツロウ 5
(c)ホホバ油 5
(d)ソルビタンモノステアラート 1
(e)グリセリンモノオレアレート 3
(f)ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアラート 3
(g)グリセリン 5
(h)試料3 5
(i)精製水 残量
(a)〜(e)を80℃で加熱溶解して油相成分とし、(f)〜(i)を80℃で加熱溶解して水相成分とした。同温度にて、水相成分に油相成分を撹拌しながら加え、ホモジナイザーにより均一に乳化した後、室温まで冷却、脱気して容器に充填した。
(a)ラウリン酸カリウム 13
(b)ミリスチン酸カリウム 5
(c)プロピレングリコール 7
(d)試料4 10
(e)pH調整剤(リンゴ酸) 適量
(f)防腐剤(メチルパラベン) 適量
(g)精製水 残量
(a)及び(b)を予め80℃で加熱溶解した(c)〜(g)の溶液に撹拌しながら加え、ホモジナイザーにより均一に混合した後、室温まで冷却、脱気して容器に充填した。
(a)ラウリン酸ジエタノールアミド 2
(b)ラウリル硫酸トリエタノールアミン 5
(c)ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ソーダ 12
(d)1,3−ブチレングリコール 4
(e)エデト酸二ナトリウム 0.1
(f)試料5 0.05
(g)防腐剤及び香料 各適量
(h)精製水 残量
(b)〜(h)を加熱溶解して70℃とし、(a)を添加してホモミキサーにより乳化後、冷却、脱気して容器に充填した。
(a)オレイン酸エチル 1
(b)エタノール 45
(c)ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油 2
(d)試料1 15
(e)精製水 残量
(c)〜(e)を加熱溶解して60℃とし、同温度に加熱した(a)及び(b)の混合物を添加してホモミキサーにより可溶化後、冷却、脱気して容器に充填した。
(a)炭酸水素ナトリウム 50
(b)無水硫酸ナトリウム 35
(c)ホウ砂 3
(d)試料3 7
(e)カミツレ抽出末 4
(f)着色料及び香料 各適量
(a)〜(f)を粉体混合機で混合して容器に充填した。
バター100部、ショートニング120部、上白糖90部及び牛乳100部をホイッパーに入れて攪拌しながら、牛乳100に対して鶏卵1個を加えて十分に混合した後、薄力粉190部、ベーキングパウダー1.5部及び試料1を20部添加して十分に捏ねあわせた。これを30分間ねかせた後、金型で40個に分割し、オーブンで焼いてバタークッキーを試作した。このクッキーは美肌用菓子として常食することができる。
市販の野菜ジュース1Lに試料3を5g加えて混合し、美肌用野菜ジュースを試作した。これは元の野菜ジュースと比較して何ら遜色のないものであった。
試料2:30部、コエンザイムQ10(日清ファルマ(株)製):5部、コーンスターチ:100部、リン酸三カルシウム:40部及びリボフラビン:7部及びL−アスコルビン酸:10部を混合機に仕込み、20分間攪拌して混合した。これを直打式打錠機に供して直径7.5mm、高さ4mm、重量150mg/個の素錠を作成し、コーティング機でシェラック被膜を形成させて錠剤形状の食品を試作した。
カプセル充填機に試料1〜試料5のいずれかを仕込み、常法により1粒あたり内容量が150mgのゼラチン被覆ハードカプセル製剤を5種類試作した。これらのカプセル製剤は経口摂取が可能な栄養補助食品として利用できる。
Claims (5)
- チダケサシ属に属する植物の根及び/又は根茎から得られる抽出物又は精製物を含有する活性酸素消去剤。ここで、前記抽出物は、水分含量が10〜50重量%の含水エタノールで抽出したものであり、前記精製物は、水分含量が10〜30重量%の含水アセトンで抽出した後、該抽出物を酢酸エチルで分別した酢酸エチル可溶画分である。
- チダケサシ属に属する植物の根及び/又は根茎から得られる抽出物又は精製物を含有する抗炎症剤。ここで、前記抽出物は、水分含量が10〜50重量%の含水エタノールで抽出したものであり、前記精製物は、水分含量が10〜30重量%の含水アセトンで抽出した後、該抽出物を酢酸エチルで分別した酢酸エチル可溶画分である。
- チダケサシ属に属する植物の根及び/又は根茎から得られる抽出物又は精製物を含有する美白剤。ここで、前記抽出物は、水分含量が10〜50重量%の含水エタノールで抽出したものであり、前記精製物は、水分含量が10〜30重量%の含水アセトンで抽出した後、該抽出物を酢酸エチルで分別した酢酸エチル可溶画分である。
- チダケサシ属に属する植物がアカショウマ、アワモリショウマ及びトリアシショウマからなる群から選ばれる1種又は2種以上である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の剤。
- 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の剤から選ばれる1種又は2種以上を配合してなる化粧品。
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