JP5119392B2 - 果実収穫ロボットとイチゴ栽培施設 - Google Patents
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Description
しかし、これら工場生産的な手法により栽培を行うものにおいては、近年、農村における人手不足や人件費の高騰等のため管理及び収穫作業の自動化が要望されるようになってきた。
該合成画像二分割装置で得られた左右の各分割画像内の収穫する果実の数を、それぞれ対応する左右一対のマニピュレータ(R、R)の各々の収穫数とし、合成画像内の全体の果実の数が偶数で、かつ左右一対のマニピュレータ(R、R)にそれぞれ割り当てた各々の収穫数が異なる場合には、左右一対のマニピュレータ(R、R)の収穫数の差が0になるよう合成画像の分割位置を修正し、合成画像内の全体の果実の数が奇数の場合には、左右一対のマニピュレータ(R、R)の収穫数の差が1になるよう合成画像の分割位置を修正する二分割位置修正装置と、該二分割位置修正装置の修正結果に従ってマニピュレータ(R)を作動させるマニピュレータ作動制御装置とを備えたことを特徴とする果実収穫ロボットである。
また、請求項1記載の発明によれば、果実の着色率を検出し、収穫に適した果実か否かを判断することによって、未熟な果実を収穫してしまうことが防止されるので、適切な果 実の収穫を行うことができる。
本実施例の収穫ロボットは図1の斜視図に示す構成からなり、該収穫ロボットは、土耕栽培又は水耕栽培によるイチゴ等果実類の結実時にその両端側から垂れ下がるよう栽培する一定の厚みと幅を有するイチゴ栽培設備の、横長の栽培ベッド1の下部空間に進出と後退が自在な台車2を含む構成である。
なお、本発明の収穫ロボットは、支柱3、平行リンク5、作業アーム6、作業ハンド7及び第1電動モータM1〜第3電動モータM3の各一組だけからなる単一の作業マニピュレータRを用いる構成でも良い。
さらに、上記収穫ロボットの台車2上には下方からイチゴの果実を撮影できる第1カメラ13と側方(イチゴ栽培設備正面)からイチゴの果実を撮影できる第2カメラ14を備えている。
(単一の作業マニピュレータRを使用する場合)
図7(a)には単一の作業マニピュレータRを用いてイチゴの収穫をする場合のフローチャートを示す。図7(a)のフローで、先ずイチゴ栽培ベッド1の作業棚の終端にロボットがいないことを近接センサ又は接触センサ15等で確認すると、単一の作業マニピュレータRを用いて収穫対象であるイチゴの収穫対象認識ルーチンの各行程での動作を行い、次いで認識したイチゴに作業マニピュレータRを移動する収穫マニピュレータ移動ルーチン及び収穫ルーチンの各行程の作業を行って、果実の収穫を行う。
図8(a)に示すイチゴの下方から第1カメラ13で撮影したXZ平面のカラー画像を得るために、3つのイチゴからなる各収穫対象のXZ座標面の位置データ(x1,z1)〜(x3,z3)を得る。
これらのデータを基に図8(d)に示す、上記3つのイチゴの三次元座標位置データ(x1,y1,z1)〜(x3,y3,z3)を得る。
上記連結処理の次ぎに収穫対象のイチゴの番号付け(ナンバリング、ラベリングとも言う)を行う。その後、「同一画像内の全収穫対象」を走査する。
なお、表1及びそれに続く各表はイメージであり、実際の値は載せていない。
次いで、XY平面についても図10のフローチャートに示すように、図9に示すフローチャートと同様に第1カメラ13と第2カメラ14で収穫対象Iのイチゴの画像を撮影して画像処理を行う。ただし図10のフローチャートで図9のフローチャートとの相違点は収穫対象Iのイチゴについて水平面(XZ座標面)方向にある中心座標はX軸の中心座標のみでよく、以下に説明する果柄(果実の付いた枝)の位置を特定するために画像のY軸方向のY値の最高値Ymaxを記憶して、収穫対象のR(赤)とW(白)部分の画素数と収穫対象のX軸座標の平均値から収穫対象のX軸上の中心座標を算出し、該X中心座標と前記Y値の最高値Ymaxを表2に示すXYテーブルに記録する。
着色率(Rv)=(赤(R)/白(W))×100
なお、上記例では着色率を赤色と白色の対比で検討したが、その他蜜柑、枇杷、桃、葡萄などの果実に応じて、橙色と緑色の対比、黄色と緑色の対比、桃色と緑色などの対比で着色率をみてもよい。
まず、単一のマニピュレータRを用いての移動では、まず水平方向(XZ軸座標平面)の回転角度調整を次のように行う。図11に示す同一のXZ軸座標平面上にある第1モータM1と第3モータM3(図1参照)を作動させるために、平行リンク5をXZ軸座標平面上で回転させるための第1モータM1と、作業アーム6をXZ軸座標平面上で回転させるための第3モータM3を用いて、作業ハンド7を有する作業アーム6の操作及び、図12に示す同一XY軸座標平面上にある第2モータM2を基部に備えた平行リンク5の操作を図13に示すフローチャートの制御フローにより実行する。なお、ここで計算処理の簡略化のために作業アーム6は常にX座標軸に平行な向きに長手方向があるとしてX座標位置はゼロとして扱う。
なお、前記目標回転角度θ2は、作業終了後の回転角度+δ(例えばδ=30°)として、その初期値は次式の通りの数値を用いる。これは基準となる数値が無いと図13のフローでの計算処理が行えないためである。
ここで、図11から作業アーム6の先端部(作業ハンド7:作業ハンド7の長さを無視する)のXZ座標上の位置(X1,Z1)と回転角度θ1と回転角度θ2は次の通りである。
Z1=L1sinθ1+L3sinδ
θ1=cos-1{(X1−L3cosδ)/L1}
θ2=180°−(θ1+δ)
ここで、
Lx=L1sinθ1
であり、L1は平行リンク5の長さ、L3は作業アーム6の長さである。
θ2”=0°+δ’(例えばδ’=330°)
また、左右一対のマニピュレータR、Rを用いる場合には、上記第3モータM3の動作は左右2つのマニピュレータR、R共に同一方向に回転する。
図12に示す同一のXY軸座標平面上にある第2モータM2を基部に備えた長さL1の平行リンク5のY軸となす回転角度θ3が目標回転角度θ3dより大きければモータM2を矢印A方向(図の右方向)に回転させて平行リンク5を下方向に回動させる。また、前記回転角度θ3が目標回転角度θ3dより小さければモータM2を矢印A方向の反対方向(図の左方向)に回転させて平行リンク5を上方向に回動させる。こうして平行リンク5のY軸となす回転角度θ3を目標回転角度θ3dと一致させて第2モータM2の作動を停止させる。
X1=L1cos(90°−θ3)+L3
Y1=−L1cosθ3
θ3=cos-1(−L1)
Y=Y+β
Z=Z+(t−1)P+γ
ただし、ここでX、Y、Zはイチゴの中心位置、Pは各パックのピッチ、α、β、γは基台アーム10aの基準位置(機台アーム10aの支持部12)からパックの基準位置(s=0、t=0)までのずれを表す。
図14に示す同一のXY軸座標平面上にある第4モータM4を基部に備えた長さL4の基台アーム10aのX軸に沿った方向となす回転角度θ4が目標回転角度θ4dより大きければモータM4を左方向に回転させて基台アーム10aを下方向(矢印C方向)へ回動させる。また、前記回転角度θ4が目標回転角度θ4dより小さければモータM4を右方向に回転させて基台アーム10aを上方向(矢印C方向の反対方向)に回動させる。こうして基台アーム10aのX軸となす回転角度θ4を目標回転角度θ4dと一致させて第4モータM4の作動を停止させる。
Y1=L4sinθ4+L5sinθ5
なお、計算処理が可能となるようにするためにリンク10bのX軸となす回転角度θ5は次のように設定しておく。
初期位置はθ5=0°+γ(例えばγ=210°)
上記図17のサブルーチンのフローが終了すると収納棚9がカットされる果実の真下に移動しているので、該果実の約3mm上の果柄の把持とカッティングを行い、収納棚9の所定のパック領域にイチゴを詰めた後、基台アーム10aを退避させて所定の初期位置に戻す。
なお、前記Nは収納棚s方向のパック領域総数であり、Mは収納棚t方向のパック領域総数である。
図19に示すイチゴのサイズ別に収納可能な収納棚9を備えたロボットを使用し、その収納手順は図9、図10、図13、図15、図17及び図18とほぼ同一の手順で行うが、着色率の計算のステップにおいて、図10の着色率フローに図20に示すようなサイズ分け行程のフローチャートを加えて着色率と共にイチゴのサイズを順次決め、さらに図15の果柄のカッティング行程(Stepα)以降のフローに修正を加えて図21、図22に示すフローチャートに従って、イチゴの果柄のカッティングのステップにおいて時に果柄を把持したまま、図16に示す収納棚9にサイズ別に詰める。
イチゴがSサイズであると収納棚9のパックがサイズSである座標位置(X,Z)を算出し、パックが空(S=0)であると、サイズSのs=1、t=1に収納するように指示し、順次sがNになるまでと、tがMになるまでの座標位置を計算する。
Z=Z+(t−1)P+2MP+γ
X,Z:イチゴの中心位置、
MP:収穫棚のパックの前後方向のピッチ
α、γ:基台アーム10aの基準位置(機台アーム10aの支持部12の位置)からパックの基準位置(s=0、t=0)までのずれ
また、図7(b)のフローチャートに示すように、左右一対の作業マニピュレータR、Rを使用する場合は、収穫対象認識ルーチンの各行程での動作を行い、次いで左右の各作業マニピュレータR、Rの分担に応じて左作業マニピュレータRの移動ルーチンと右作業マニピュレータRの移動ルーチンのそれぞれでの各行程の作業を行って、収納棚9のパック詰めルーチンにより果実(イチゴ)の収穫を行う。
収穫対象IのX軸上のX中心座標がX中心座標の平均値より大きければ、右マニピュレータRの作動制御用に収穫対象Iの情報を収穫対象Mとして順次右ハンドのXYZテーブルに記録する。
果実(イチゴ)群を左右から挟むような形で2つの作業ハンド7,7を設けた左右マニピュレータR、Rを用いる場合には、一方のハンド7が収穫すべきイチゴが多いのに、もう一方のハンド7は収穫するイチゴがない場合は、無駄な時間が生じるので2ハンド方式であっても能率は2倍になることはない。例えば図27(a)に示すように、右ハンド7での分担数が左ハンド7の分担数より2個以上少ない場合は、図27(b)に示すように、右ハンド領域に近い左ハンド領域の果実を右ハンド分担数として加える。
上記全作業が終了した場合には、収納棚9の終端に達したがどうかを判断し、終端であればロボットによる果実の収穫作業を終了する。また、収納棚9の終端に達していない場合は、再び果実の収穫作業を行う。
イチゴ栽培施設は図28(a)の斜視図に示すように格子状棚1aを備えた栽培ベッド1を設けた。該格子状棚1aを使用しない場合は図28(b)に示すように折り畳んでおき、葉かき、摘花の作業時に格子状棚1aが邪魔にならないようにし、イチゴ収穫時に展開して図28(c)の格子棚1aの部分拡大図に示すように、イチゴ果実を格子棚1aに並列状に設けた紐の間から下方に垂れ下がり、葉、茎は格子棚1aに載ったままとなるので、収穫ロボット台車2でのイチゴ収穫時に葉や茎が邪魔にならず果実部分のみを収穫し易く、また、ロボット台車2側に葉や茎の除去機能を設ける必要がなくなる。
収穫ロボットによるイチゴの収穫直前に格子状棚1aを展開状態にするためのスイッチを「オン」にすると収穫棚1aに微振動が与えられ、果実のみが容易に棚下に垂れる。
1b 連結部材 1c 電動モータ
1d レール 2 台車
3 支柱 5 平行リンク
6 作業アーム 6a、6b フック
7 作業ハンド 7a カッター
7b フィンガー 7c 電磁弁
7d 支持ピン 7e、7f フック
7g、7h 引っ張りスプリング 9 収納棚
10 収納棚移送ハンド 10a 第1ハンド
10b 第2ハンド 12 支持部
13 第1カメラ 14 第2カメラ
15 近接センサ又は接触センサ 16 ポテンショメータ
17 電動モータM1〜M5の回転軸 18 減速ギア
19 軸受 20 イチゴ収穫台車
20a 座席 20b スイッチ
20c モータシリンダ 21 収穫ロボット
22 水槽 30 制御装置(CPU)
M1 第1電動モータ M2 第2電動モータ
M3 第3電動モータ M4 第4電動モータ
M5 第5電動モータ R 作業マニピュレータ
Claims (2)
- 果実群に向かって左右に並列配置された、果実を収穫する一対のマニピュレータ(R、R)と、
果実群の下方から果実の画像を撮影する第一撮像装置(13)と、
果実の正面から果実の画像を撮影する第二撮像装置(14)と、
第一撮像装置(13)が得た果実の第一画像と第二撮像装置(14)が得た果実の第二画像から画像を合成する画像合成装置を有する制御装置(30)と
を備え、
制御装置(30)は、さらに、
第一撮像装置(13)で得た第一画像から果実の下面の着色状態を判別する第一判別装置と、
第二撮像装置(14)で得た第二画像から果実の正面の着色状態を判別する第二判別装置と、
前記第一、第二判別装置が得た着色状態から果実全体の着色率を推定し、得られた果実の着色率に基づき収穫する果実か否かを判断する果実収穫判断装置と、
果実収穫判断装置で収穫すべき果実であると判断された果実の三次元座標位置を算出する収穫果実の三次元座標位置算出装置と、
収穫果実の三次元座標位置算出装置により算出した三次元座標位置近傍にマニピュレータ(R)を作動させるマニピュレータ作動制御装置と、
前記画像合成装置で作成された合成画像を中央の分割位置で左右二分割する合成画像二分割装置と、
該合成画像二分割装置で得られた左右の各分割画像内の収穫する果実の数を、それぞれ対応する左右一対のマニピュレータ(R、R)の各々の収穫数とし、合成画像内の全体の果実の数が偶数で、かつ左右一対のマニピュレータ(R、R)にそれぞれ割り当てた各々の収穫数が異なる場合には、左右一対のマニピュレータ(R、R)の収穫数の差が0になるよう合成画像の分割位置を修正し、合成画像内の全体の果実の数が奇数の場合には、左右一対のマニピュレータ(R、R)の収穫数の差が1になるよう合成画像の分割位置を修正する二分割位置修正装置と、
該二分割位置修正装置の修正結果に従ってマニピュレータ(R)を作動させるマニピュレータ作動制御装置とを備えたことを特徴とする果実収穫ロボット。 - 果実を収穫する左右一対のマニピュレータ(R、R)は、各々独立して移動自在な構成からなることを特徴とする請求項1記載の果実収穫ロボット。
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