JP5118951B2 - 遠心ポンプ用羽根車及び遠心ポンプ - Google Patents

遠心ポンプ用羽根車及び遠心ポンプ Download PDF

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Description

本発明は、例えば汚水等の搬送に好適な遠心ポンプ用の羽根車及びそれを備えた遠心ポンプに関する。
従来より、汚水等の搬送に好適なポンプとして遠心ポンプが用いられている。遠心ポンプは、主要な構成要素として、羽根車とケーシングとを備えている。羽根車のうち、夾雑物等の固形物を含んだ汚水等に対しても詰まりが生じにくい羽根車として、内部に螺旋状の流路が形成されたノンクロッグ型の羽根車が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に開示された遠心ポンプの羽根車は、下面に形成された入口から上方に向かって延びる内部流路と、遠心羽根によって区画されることにより外周面に沿って周回すると共に、内部流路に連続する外部流路とを有している。この羽根車では、通過粒径(流路を通過することができる球の最大直径)が流路の途中で変化しないようになっており、内部流路の直径と外部流路の流路幅(羽根車の回転軸方向に対する幅)とは、ほぼ等しい。
特開2005−36778号公報
こうした汚水用のポンプには、小流量域で高揚程のポンプ特性が要求されることが多い。しかしながら、前記従来の遠心ポンプの羽根車は、通過粒径を大きく設定していることに伴い外部流路の流路幅が比較的広く、そのため、外部流路の流路面積は大きくなっている。この大きな流路面積によって遠心ポンプの吐出流量が多くなるため、高い揚程を得ることができず、従来の遠心ポンプでは、小流量域で高揚程のポンプ特性を得ることが困難であった。すなわち、従来の遠心ポンプは、外部流路の流路面積が大きいことに起因して、その揚程曲線(吐出量と全揚程との関係を示す曲線)の傾きが緩やかになってしまうのである。このため、従来において所望の揚程を得ようとしたときには、ポンプ動力を高めるべくポンプ容量を必要以上に大きくしなければならない。
また、例えば羽根車の径を大きくすることによって揚程を高めることも考えられるが、この場合は吐出流量の増大に伴い所要動力が急激に増大して、運転状態によっては定格電力を超えてしまうという問題がある。従って、単に羽根車の径を大きくすることは好ましくない。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、螺旋状の内部流路と揚程に寄与する外部流路とを有する羽根車を備えた遠心ポンプにおいて、通過粒径を大きく設定しつつも、小流量域で高揚程化することにある。
本発明は、羽根車における内部流路さえ、所定の通過粒径となるように、その径を比較的大きく設定しておけば、外部流路の流路幅をその通過粒径と同程度にまで広げなくても、固形物の排出が可能である点に着目した発明である。つまり、本発明は、外部流路の流路幅を、通過粒径の大きさ(幅)よりも狭くしてその外部流路の流路面積を縮小させることにより遠心ポンプの吐出流量を減少させ、それによって、高揚程化を実現可能にした。
具体的に、本発明の一側面による遠心ポンプ用羽根車は、一端面に開口する入口と周面とを繋ぐように、その内部において回転軸回りに周回しながら当該回転軸方向に延びると共に、前記周面に開口する螺旋状の内部流路が形成された羽根車本体、前記羽根車本体の周面を削るようにすることで径方向の内方に窪みかつ、前記内部流路から前記羽根車本体の周方向に延びる溝状に形成された外部流路、及び、前記外部流路の外向きの壁面を構成するように前記羽根車本体に設けられた一枚の遠心羽根、を備え、前記入口及び前記羽根車本体の周面における前記開口を含む内部流路は、所定の通過粒径を有しており、前記外部流路の、流れ方向に対する少なくとも一部の区間は、その回転軸方向の幅が、前記内部流路の前記羽根車本体の周面における前記開口よりも小に設定されている。
この構成によると、羽根車の内部流路は、その入口及び羽根車本体の周面における開口と共に、所定の通過粒径を有しているため、汚水に含まれる固形物は、この内部流路を通って遠心ポンプの吐出口から外部に排出される。
これに対し水は、内部流路を通過した後に外部流路を通る。このときに遠心羽根によって昇圧される。そうして、遠心ポンプの吐出口を通じて外部に吐出される。
ここで外部流路は、その少なくとも一部の区間において、回転軸方向の幅が、羽根車本体の周面における内部流路の開口幅、つまり通過粒径の幅よりも小に設定されている。これによって、外部流路の断面積は縮小され、その縮小に伴い吐出流量は減少する。このため、当該羽根車を備えた遠心ポンプは、その揚程曲線の傾きが急になる。このことにより、従来と同等の所要動力であっても、羽根車本体の外径を大きくすることが可能になり、その結果、揚程が高まることになる。つまり、小流量域での高揚程化が実現する。
前記外部流路の幅は、その下流端を含む一部の区間において、前記開口よりも小の一定幅に設定されている、としてもよい。また、前記外部流路の幅は、その上流端から下流端までの全区間に亘って、前記開口の幅よりも小の一定幅に設定されている、としてもよい。
こうすることで、遠心ポンプの吐出流量がさらに絞られることになり、揚程曲線の傾きはさらに急になる。従って、さらなる高揚程化が可能になる。
本発明の他の側面によると、遠心ポンプ用羽根車は、前記外部流路が、その回転軸方向の幅が流れ方向の下流に向かって次第に縮小する縮小部分を有している。
この構成によると、外部流路は、下流に向かって幅が次第に縮小する縮小部分を有しているため、吐出流量が減少する。従って、当該羽根車を備えた遠心ポンプは、その揚程曲線の傾きが急になるため、前述したように、小流量域での高揚程化が実現する。
また、この構成においては、外部流路をその流れ方向に観たときに、幅が急変しないため、渦損失の発生が抑制される。それによって、ポンプ効率の低下が抑制されるという利点がある。
前記外部流路の幅は、その上流端から下流端までの全区間に亘って、次第に縮小している、としてもよい。
こうすることで、遠心ポンプの吐出流量がさらに絞られるため、小流量域において、さらなる高揚程化が図られると共に、ポンプ効率の低下も抑制される。つまり、この構成においては、遠心ポンプの効率低下を伴わずに、ポンプを高揚程化することができる。
前記外部流路の、前記羽根車本体の周面に対する開口縁は、径方向の内方から外方に向かって前記流路幅が回転軸方向に緩やかに拡大するように、削られている、としてもよい。
このことにより、遠心ポンプの損失低減が図られる。つまり、羽根車本体の外部流路の幅を、羽根車本体の周面における内部流路の開口幅よりも狭く設定する一方で、羽根車本体を収容するケーシングの渦形室の幅を、羽根車本体の周面における内部流路の開口幅と略同じに設定すると仮定する。この場合、外部流路を横断面で観たときに(流れ方向に直交する断面で観たときに)、羽根車本体の外部流路とケーシングの渦形室との間で流路の幅が急激に拡大することになるため、渦損失が発生する。
これに対し前記の構成では、外部流路の、前記羽根車本体の周面に対する開口縁は、前記流路幅が回転軸方向に緩やかに拡大するように削られているため、流路の急拡大が無くなり、遠心ポンプにおいて、この部分における渦損失が低減する。
前記羽根車本体における前記外部流路を挟んだ回転軸方向の両側部分はそれぞれ、遠心ポンプにおいて前記羽根車本体を収容するケーシングの内周壁に対して微小隙間を空けて配置されるフランジ部とされ、前記両フランジ部の少なくとも一方には、その周面から凹陥すると共に、当該周面を周回する凹溝が形成されている、としてもよい。
外部流路の幅を縮小することに伴い、フランジ部の厚みがその分、分厚くなり、遠心ポンプにおいては、フランジ部の周面とケーシング内周壁との接触面積(フランジ部の周面とケーシング内周壁とは接触していないが、ここでは便宜上、フランジ部の周面とケーシング内周壁とが微小隙間を空けて相対している部分の面積を接触面積と呼ぶ)が拡大して、フランジ部とケーシングの内周壁との摩擦抵抗が増大する虞がある。
これに対し、前記の構成では、フランジ部に凹溝を形成することによって、フランジ部の周面とケーシングの内周壁面との接触面積が減少し、摩擦抵抗の増大が抑制される。これはポンプ効率を高める上で有利である。
また、前記凹溝を形成することによって、フランジ部とケーシングの内周壁との微小隙間においてラビリンス効果が得られ、それによってその隙間を通じた漏れ流れが防止される。この漏れ流れを抑制する観点からは、フランジ部を挟んだ両側の圧力差が大きい、羽根車における内部流路の入口側(遠心ポンプの吸込側)に対応するフランジ部に凹溝を形成することが好ましい。
本発明のさらに別の側面によると、遠心ポンプは、前記の遠心ポンプ用羽根車と、吸込口、渦形室及び吐出口を有しかつ、その内部に前記遠心ポンプ用羽根車を収容するケーシングと、前記遠心ポンプ用羽根車を回転駆動するモータ部と、を備え、前記吐出口の通過粒径は、前記遠心ポンプ用羽根車の内部流路の通過粒径以上に設定されている。
この構成によると、遠心ポンプ用羽根車の外部流路の幅が、周面における内部流路の開口幅よりも狭くなっている一方で、ケーシングの吐出口の通過粒径が内部流路の通過粒径以上に設定されていることで、羽根車の内部流路内を通過して開口に到達した固形物は、羽根車の回転に伴い、その開口と吐出口とが一致したとき(開口と吐出口が相対したとき)に、羽根車から吐出口に吐き出され、その吐出口を通じてポンプの外部に排出される。
また水は、羽根車の遠心羽根によって外周方向に吐き出されると共に、ケーシングの渦形室内を通って、その吐出口からポンプの外部に排出される。
以上説明したように、本発明によると、羽根車の内部流路は、所定の通過粒径を有するように設定する一方で、外部流路の流路面積を縮小させて遠心ポンプの吐出流量を絞ることにより、通過粒径を大きく設定しつつも、小流量域で高揚程化を図ることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
(実施形態1)
図1に示すように、実施形態に係るポンプは、汚水処理用の水中ポンプ10である。この水中ポンプ10は遠心ポンプからなり、羽根車11と、羽根車11を覆うケーシング12と、羽根車11を回転させる密閉型の水中モータ13とを備えている。
水中モータ13は、ステータ14及びロータ15からなるモータ16と、モータ16を覆うモータケーシング17とを備えている。ロータ15の中心部分には、上下方向に延びる駆動軸18が設けられている。この駆動軸18は、上部軸受19及び下部軸受20によって回転自在に支持されている。駆動軸18の下端部は羽根車11に連結されており、これによって、水中モータ13の回転駆動力が羽根車11に伝達されるようになっている。
ケーシング12は、その内部に、羽根車11を覆う渦形室26を有している。渦形室26は、横断面視で半円状に湾曲した側壁12aによって区画されている。この渦形室26の軸方向に対する幅(図1における上下方向の幅)は、後述する羽根車11の内部流路35の周面における開口の幅と略同じに設定されている。
ケーシング12の下端には、下方に突出する吸込部21が一体に形成されている。この吸込部21には、下方に向かって開口する吸込口22が形成されている。吸込口22は、後述する羽根車11の入口33に連通している。
一方、ケーシング12の側部には、側方に突出する吐出部23が一体に形成されている。この吐出部23は、渦形室26に連通していると共に、側方に向かって開口する吐出口24が形成されている。吐出部23は、この実施形態ではその下流側に向かって流路径が拡大しているが、これに限らず、流路径を一定に設定してもよい。吐出部23における入口(渦形室26との接続口)の径は、後述する羽根車11の内部流路35の周面における開口径と略同じに設定されている。つまり、吐出部23は、後述する羽根車11の内部流路35と同じ通過粒径に設定されている。尚、吐出部23の通過粒径は、内部流路35の通過粒径以上であればよい。
図2〜6に示すように、羽根車(羽根車本体)11は、上端面及び下端面とその両面の間の周面を含む略円筒形状であり、その下端面には、下向きに開口する入口33が形成されている一方、その周面には側方に向かって開口する出口34が形成されている。また、羽根車11の内部には、回転軸回りに周回しながらその軸方向に延びる内部流路35が形成されており、この内部流路35によって入口33と出口34とが互いに繋がっている。図2に示すように、出口34は、内部流路35の延長方向に向かって開口している。入口33及び周面の開口を含む内部流路35は、水中ポンプ10よりも上流側の配管径に応じて設定される通過粒径となるように構成されている。ここでは、所定の通過粒径となるように、内部流路35の径が比較的大きく設定されている。
羽根車11の周面には、径方向の内方に窪んだ外部流路36が形成されている。この外部流路36は、回転軸方向に延びる流路ではなく、その流路中心は羽根車11の回転軸と直交する直交面上に位置している。外部流路36は、図2に示すように、出口34において内部流路35の下流側と連続している。外部流路36は、羽根車11の半周以上の長さにわたって周回している。具体的に、外部流路36の下流端は、出口34の近傍にまで延びている。尚、外部流路36の長さは、半周以上かつ1周未満が好ましいが、特に限定されるものではない。
この外部流路36は、羽根37によって区画されている。この羽根37は、いわゆる半径流形の羽根(遠心羽根)である。この遠心羽根37によって、外部流路36内の水が昇圧されて外周側(径方向外側)に吐出される。
外部流路36の回転軸方向に対する幅W’は、図3等に示すように、内部流路35の周面の開口における幅Wよりも狭く設定されている(W’<W)。このため、図3の(a)に示すように、出口34と外部流路36との間で流路は急縮小している。外部流路36の流路幅は、その上流端に対応する遠心羽根37の前縁から、下流端に対応する遠心羽根37の後縁まで、縮小された幅のままで一定に設定されている。
羽根車11において外部流路36よりも上側には、全周にわたって側方に突出した第1フランジ部38が形成されている。また、外部流路36よりも下側には、同じく全周にわたって側方に突出した第2フランジ部39が形成されている。第2フランジ部39は、羽根車11における、入口33が形成された下側部分と、出口34が形成された上側部分とを上下に仕切っている。すなわち、この羽根車11は、入口33と出口34との間が第2フランジ部39で仕切られたクローズドタイプの羽根車である。
なお、羽根車11の上端面には、その中心にボス部31が設けられている。ボス部31には、駆動軸18の先端を挿入するための取付穴32が形成されている。
前記水中ポンプ10では、汚水は以下のようにして吐出される。すなわち、水中モータ13によって羽根車11が回転し、この回転によって、羽根車11の下側の入口33から汚水が上方へ向かって吸い込まれる。吸い込まれた汚水は、羽根車11内の内部流路35を通過し、出口34を通じて外部流路36に至り、そこから、遠心羽根37によって外周側に吐出される。吐出された汚水は、羽根車11を覆うケーシング12によって受け止められ、渦形室26内を流通した後、吐出口24を通じてポンプ外へと排出される。
ここで、羽根車11の入口33から固形物が吸い込まれたときには、内部流路35の通過粒径は、前述したように比較的大に設定されているため、その固形物は、内部流路35を通って、その出口34に到達することになる。内部流路35に対して外部流路36は、その流路幅が縮小されているため、固形物はこの外部流路36を通過することはできないものの、ケーシング12の吐出部23の径は、通過粒径以上に設定されているため、羽根車11の回転に伴い、羽根車11の内部流路35の周面における開口とケーシング12の吐出部23とが一致したとき(対向したとき)に、固形物は羽根車11から吐出部23へと吐き出され、その吐出部23を介して水中ポンプ10の外部に、汚水と共に排出されることになる。
また、外部流路36は、その流路幅が比較的小さくされているため、外部流路36の断面積がその分小さくなり、それによって、水中ポンプ10の吐出流量は減少する。このことにより水中ポンプ10は、小流量域での高揚程化が実現する。すなわち、同じ揚程を得るために、従来の遠心ポンプよりもポンプ動力を低減することが可能になり、要求仕様を満たす水中ポンプ10の運用の効率化が図られる。
また逆に、ポンプ動力を一定にしたままで、羽根車11の外径をより大きくすることが実現し得る。これによって、小流量域において高揚程化が図られる。
次に、具体的に実施した実施例について説明する。先ず、実施例として図2〜6に示すように、外部流路36の、回転軸方向に対する幅を縮小させた羽根車11を用意した。この流路幅は、内部流路35の周面における開口の幅の75%となるように縮小させたものである(W’/W=0.75)。これに対し、比較例として、図示は省略するが、外部流路の流路幅を、前記の開口幅と同じにした羽根車を用意した(W’/W=1)。そうしてそれぞれの羽根車について、図7に示すように、遠心ポンプの特性、つまり吐出量に対する所要動力、全揚程及びポンプ効率をそれぞれ比較した。図7(b)に示すように、実施例の羽根車を備えた遠心ポンプは、比較例の遠心ポンプと比較して、揚程曲線の傾きが急になっている。また、実施例の遠心ポンプは、その最高効率点が、比較例に比べて小流量側に移動しているものの、最高効率は比較例と同程度である。さらに、図7(a)に示すように、実施例の遠心ポンプは、所要動力が比較例の遠心ポンプと比べて低下している。従って、実施例のポンプは、小流量域での高揚程化が実現し得ることがわかる。
尚、ここでは実施例として、外部流路36の流路幅を、通過粒径の幅の75%となるように縮小させた例を示したが、外部流路36の流路幅と通過粒径の幅との間の比率は、これに限定されるものではない。外部流路36の流路幅をさらに縮小させれば、揚程曲線の傾きはさらに急になると共に、ポンプ効率及び所要動力の特性も変化することから、外部流路36の流路幅は、所望のポンプ特性に応じて適宜設定すればよい。
また、ここでは外部流路36の流路幅を、遠心羽根37の前縁から後縁までの全区間(外部流路36の上流端から下流端までの全区間)に亘って一定幅に縮小させているが、遠心羽根37の前縁から後縁までの間の一部の区間のみを一定幅に縮小させてもよい。例えば、遠心羽根37の前縁と後縁との中間位置から後縁までの間を一定幅に縮小させることによって、羽根車11の出口34と外部流路36との接続部分が急縮小しないようにしてもよい。
(実施形態2)
図8,9は、実施形態2に係る羽根車41を示している。図8は図3に対応し、図9は図5に対応する。この羽根車41は、外部流路36の流路幅が、その上流側から下流側に向かって次第に縮小している。
具体的には、羽根車41の外部流路36は、遠心羽根37の前縁に対応する外部流路36の上流端(出口34との接続位置)から、遠心羽根の後縁に対応する外部流路36の下流端に至るまでの間、一定の割合で縮小している(図8(a)及び図9(a)のW1〜W4参照。但し、W1>W3>W2>W4)。尚、この羽根車41において、図3等に示す羽根車11と同様の構成については、同じ符号を付してその説明は適宜省略する。
実施形態2に係る羽根車41においても、外部流路36が縮小されているため、その分、水中ポンプ10の吐出流量が絞られることになり、前記と同様に、小流量領域での高揚程化を図ることができる。
また、この羽根車41では、外部流路36の流路幅を次第に縮小させているため、外部流路36の上流側から下流側にその流れ方向に沿って観たときに、流路幅が急縮小することがない。このため、そうした急縮小に伴う渦損失が発生せず、ポンプ効率をより向上させることができるという利点がある。
尚、この羽根車41において、外部流路36の流路幅の縮小割合は、ポンプ性能を考慮して適宜設定すればよい。また、流路幅を縮小させる区間を、遠心羽根37の前縁から後縁までの全区間の内の一部の区間に設定してもよい。例えば、外部流路36において、遠心羽根37の前縁からその途中位置までは、出口34の幅と同じになるように一定の流路幅にすると共に、その途中位置から後縁に至るまでの区間において、流路幅を次第に縮小させてもよい。
(実施形態3)
図10は、実施形態3に係る遠心ポンプにおける、羽根車42を収容したケーシング12部分を示している。尚、水中モータ13の構成については、図1と同じであるため、ここでの説明は省略する。
実施形態3に係る遠心ポンプでは、羽根車42におけるフランジ部38,39の形状を工夫することによって、ポンプ効率の向上を図らんとしている。
つまり、図10に示すように、この羽根車42は、その外部流路36の流路幅が、内部流路35の周面における開口の幅よりも縮小されており、これによって外部流路36の流路幅は、ケーシング12の渦形室26の幅よりも狭くなっている。この点は、実施形態1に係る羽根車11と同様である。
そうして、この羽根車42においては、第1フランジ部38と外部流路36との間の角部にアール42aが形成されている。同様に、第2フランジ部39と外部流路36との間の角部にもアール42aが形成されている。これによって、外部流路36の流れ方向に直交する断面で観たときに、その流路幅が、径方向の内方から外方に向かって回転軸方向に緩やかに拡大するようにされている。
前述したように、外部流路36の流路幅を、ケーシング12の渦形室26の幅よりも狭くしたときには、外部流路36の流れ方向に直交する断面で観たときに、通常は、外部流路36と渦形室26との間で、流路の幅が回転軸方向に急拡大することになる(例えば図1参照)。
これに対して、実施形態3の羽根車42においては、外部流路36の、羽根車42の周面に対する開口縁を削ることによって、外部流路36の流路幅は、その径方向の内方から外方に向かって、回転軸方向に緩やかに拡大している。このため、流路の幅の急拡大に伴う渦損失が発生せず、ポンプ効率の向上を図ることができる。
ここで、第1及び第2フランジ部38,39と外部流路36との各角部は、図10に示すように円弧状に削る以外にも、直線状に斜めに削ってもよい。
また、外部流路36は、その上流側から下流側に向かって一定の流路幅にするのではなく、実施形態2のようにその上流側から下流側に向かって次第に縮小させてもよい。
(実施形態4)
図11は、実施形態4に係る遠心ポンプの一部を示している。水中モータ13の構成については、図1と同じであるため、その説明は省略する。
実施形態4に係る遠心ポンプでは、羽根車43におけるフランジ部38,39の形状を工夫することによって、ポンプの損失低減を図っている。
つまり、図11に示すように、この羽根車43は、その外部流路36の流路幅が、内部流路35の周面における開口の幅よりも縮小されている。この点は、実施形態1に係る羽根車11と同様である。この流路幅の縮小に伴い、第1及び第2フランジ部38,39の幅(厚み)は相対的に分厚くなる。このため、第1及び第2フランジ部38,39と、ケーシング12の内壁面とが微小隙間を空けて相対する箇所の面積(以下、便宜上、接触面積と呼ぶ)が、流路幅を縮小しない場合に比べて拡大することになる。このことは、羽根車43とケーシング12との間の摩擦抵抗の増大を招く。
そこで、実施形態4に係る羽根車43は、その第1及び第2フランジ部38,39に、その周面から凹陥すると共に、当該周面を周回する凹溝38a,39aを形成している。この凹溝38a,39aによって、フランジ部38,39の周面とケーシング12の内周壁との接触面積が減少し、前記の摩擦の増大が回避される。
また、この凹溝38a,39aにより、フランジ部38,39の周面とケーシング12の内周壁との微小隙間においてラビリンス効果が得られる。その結果、この微小隙間を通じた高圧側から低圧側への漏れ、例えば第2フランジ部39とケーシング12との間を通って、羽根車の入口33側へと至る漏れ流れが低減される。
これらの結果、実施形態4では、遠心ポンプの効率が向上する。
尚、凹溝の断面形状は、特に限定されるものではなく、どのようなものであってもよい。また、ラビリンス効果を得る観点からは、第2フランジ部39にのみ凹溝を形成してもよい。また、第1フランジ部38にのみ凹溝を形成してもよい。この場合、少なくとも摩擦低減効果を得ることができる。
尚、前記実施形態1〜4は、適宜組み合わせることが可能である。
(他の実施形態)
尚、前記各実施形態では、羽根車11は入口33が鉛直下向きに開口するような姿勢で設置されていたが、羽根車11の設置姿勢は何ら限定されない。例えば、入口33が横方向を向くように、羽根車11を横置き設置することも可能である。前述の説明における上下方向は説明の便宜上の方向であり、実際の設置方向を限定するものではない。
以上説明したように、本発明は、流体を搬送する遠心ポンプについて有用であり、例えば、夾雑物等を含んだ汚水を搬送する汚水処理用ポンプ等について有用である。
水中ポンプの縦断面図である。 羽根車の横断面図(図3のII−II線断面図)である。 (a)は図2のD3方向矢視図であり、(b)は図2のIII−III線断面図である。 (a)は図2のD4方向矢視図であり、(b)は図2のIV−IV線断面図である。 (a)は図2のD5方向矢視図であり、(b)は図2のV−V線断面図である。 (a)は図2のD6方向矢視図であり、(b)は図2のVI−VI線断面図である。 (a)及び(b)は、水中ポンプの性能曲線図である。 実施形態2に係る羽根車の図3対応図である。 実施形態2に係る羽根車の図5対応図である。 実施形態3に係る遠心ポンプにおけるケーシング部分の断面図である。 実施形態4に係る遠心ポンプにおけるケーシング部分の断面図である。
10 水中ポンプ(遠心ポンプ)
11 羽根車(羽根車本体)
12 ケーシング
13 水中モータ(モータ部)
22 吸込口
24 吐出口
26 渦形室
33 入口
34 出口
35 内部流路
36 外部流路
37 遠心羽根
38 第1フランジ部
38a 凹溝
39 第2フランジ部
39a 凹溝
41 羽根車(羽根車本体)
42 羽根車(羽根車本体)
42a アール
43 羽根車(羽根車本体)

Claims (8)

  1. 一端面に開口する入口と周面とを繋ぐように、その内部において回転軸回りに周回しながら当該回転軸方向に延びると共に、前記周面に開口する螺旋状の内部流路が形成された羽根車本体
    前記羽根車本体の周面を削るようにすることで径方向の内方に窪みかつ、前記内部流路から前記羽根車本体の周方向に延びる溝状に形成された外部流路、及び、
    前記外部流路の外向きの壁面を構成するように前記羽根車本体に設けられた一枚の遠心羽根、を備え、
    前記入口及び前記羽根車本体の周面における前記開口を含む内部流路は、所定の通過粒径を有しており、
    前記外部流路の、流れ方向に対する少なくとも一部の区間は、その回転軸方向の幅が、前記内部流路の前記羽根車本体の周面における前記開口よりも小に設定されている遠心ポンプ用羽根車。
  2. 請求項1に記載の遠心ポンプ用羽根車において、
    前記外部流路の幅は、その下流端を含む一部の区間において、前記開口よりも小の一定幅に設定されている遠心ポンプ用羽根車。
  3. 請求項1又は2に記載の遠心ポンプ用羽根車において、
    前記外部流路の幅は、その上流端から下流端までの全区間に亘って、前記開口よりも小の一定幅に設定されている遠心ポンプ用羽根車。
  4. 一端面に開口する入口と周面とを繋ぐように、その内部において回転軸回りに周回しながら当該回転軸方向に延びると共に、前記周面に開口する螺旋状の内部流路が形成された羽根車本体
    前記羽根車本体の周面を削るようにすることで径方向の内方に窪みかつ、前記内部流路から前記羽根車本体の周方向に延びる溝状に形成された外部流路、及び、
    前記外部流路の外向きの壁面を構成するように前記羽根車本体に設けられた一枚の遠心羽根、を備え、
    前記入口及び前記羽根車本体の周面における前記開口を含む内部流路は、所定の通過粒径を有しており、
    前記外部流路は、その回転軸方向の幅が流れ方向の下流に向かって次第に縮小する縮小部分を有している遠心ポンプ用羽根車。
  5. 請求項4に記載の遠心ポンプ用羽根車において、
    前記外部流路の幅は、その上流端から下流端までの全区間に亘って、次第に縮小している遠心ポンプ用羽根車。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載の遠心ポンプ用羽根車において、
    前記外部流路の、前記羽根車本体の周面に対する開口縁は、径方向の内方から外方に向かって前記流路幅が回転軸方向に緩やかに拡大するように、削られている遠心ポンプ用羽根車。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の遠心ポンプ用羽根車において、
    前記羽根車本体における前記外部流路を挟んだ回転軸方向の両側部分はそれぞれ、遠心ポンプにおいて前記羽根車本体を収容するケーシングの内周壁に対して微小隙間を空けて配置されるフランジ部とされ、
    前記両フランジ部の少なくとも一方には、その周面から凹陥すると共に、当該周面を周回する凹溝が形成されている遠心ポンプ用羽根車。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載の遠心ポンプ用羽根車と、
    吸込口、渦形室及び吐出口を有しかつ、その内部に前記遠心ポンプ用羽根車を収容するケーシングと、
    前記遠心ポンプ用羽根車を回転駆動するモータ部と、を備え、
    前記吐出口の通過粒径は、前記遠心ポンプ用羽根車の内部流路の通過粒径以上に設定されている遠心ポンプ。
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