JP5118381B2 - 保護層システムを有する工具 - Google Patents

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Description

本明細書は、添付資料Aを有する。
本発明は、工具本体および耐摩耗性層システムを有する工具に関し、該層システムは、少なくとも1層のMeX層を含み、
−Meはチタンおよびアルミニウムを含み、
−Xは窒素および炭素のうち少なくとも一方である。
定義
・用語QIは、θ−2θ法を使用する材料のX線回折において(200)面および(111)面にそれぞれ割当てられる、回折強度I(200)対I(111)の比として規定される。したがって、有効値QI=I(200)/I(111)が存在する。強度値は、以下の機器を使用して以下の設定により測定された:
シーメンス回折器 D500
パワー: 動作電圧: 30kV
動作電流: 25mA
開口絞り: 絞り位置 I: 1°
絞り位置 II: 0.1°
検出器絞り: ソーラスリット
時定数: 4s
2θ角速度: 0.05°/分
放射: Cu−Kα(0.15406nm)
「MSに従って測定された」という表現は、これらの機器および設定を使用して測定がなされたことを意味する。本願を通じたQIおよびIのすべての量的な結果は、MSに従って測定されたものである。
・「工具本体」とは、コーティングされていない工具である。
・「硬質材料」とは、動作中に機械的および熱的に高い負荷がかけられる工具に対して、耐摩耗性を付与するためにコーティングされる材料である。該材料の好ましい例として、MeX材料が以下に言及される。
工具保護の分野においては、MeXで規定されるような、硬質材料の層を少なくとも1層含む、耐摩耗性層システムを提供することがよく知られている。
本発明は、該工具の寿命を大いに改善するという目的を有する。この目的は、上記少なくとも1つの層のために、その有効値が
I≧1
であるQI値を選択することによって達成される。工具本体は、高速度鋼(HSS)または超硬合金で形成され、該工具は、硬質炭化物エンドミルや硬質炭化物ボールノーズミルではない。さらに、I(200)の値は、MSに従って測定されたノイズ強度平均レベルよりも少なくとも20倍高い。
本発明に従えば、このように特定されたQI値によって、耐摩耗性が驚くほど改善され、かつしたがって、工具が特定された種類の物である場合、その工具の寿命も飛躍的に増す。
現在まで、MeX硬質材料の耐摩耗性層システムは、工具本体の材料と、工具に動作中にかけられる機械的および熱的負荷との間の相互作用に関係なく利用されてきた。本発明においては、特定のQI値を特定の種類の工具と選択的に組合せたときに耐摩耗性が驚くほど改善される、という事実に基づいて、MSに従った測定において、平均ノイズ強度レベルより少なくとも20倍高い、I(200)の値を達成する。
本発明に従って超硬合金の工具本体をコーティングする場合、その超硬合金の工具がインサート、ドリルまたは、ホブもしくは形削りカッタ等の歯切工具であれば、その寿命が大いに延びることがわかった。したがって、そのようなインサートまたはドリルに特に改善が認められる。
本発明によって達成される改善は、QIが2以上に選択されればさらに増し、また、QIを5以上に選択することによって、より一層の改善がなされる。改善の度合いが最大となるのは、QIを10以上とした場合である。ただし、回折強度I(111)がゼロに近づいた状態における回折強度I(200)に従って一意の結晶配向が層材料に与えられる場合には、QIは無限大に向かって増加すると考えられる。したがって、QIに上限はなく、それはただ実行可能性によってのみ設定されるものである。
当業者には知られているように、層の硬度とその応力との間には相互関係がある。応力が高くなるほど、硬度が増す。
にもかかわらず、応力が増すにつれて、工具本体への密着性は減少する傾向にある。本発明に従った工具については、密着性の高さの方が、得られ得る最高の硬度よりも、より重要である。したがって、MeX層における応力は、下に述べる応力範囲の下方側で有利に選択される。
これらの考慮事項によって、実際に利用できるQIの値は制限される。
本発明の工具の好ましい実施例においては、工具のMeX材料は、チタンアルミニウム窒化物、チタンアルミニウム炭窒化物、または、チタンアルミニウムボロン窒化物であって、最初に述べた2つの材料が、今日においては、チタンアルミニウムボロン窒化物よりも好ましい。
本発明の工具のさらに別の実現例においては、層材料MeXのMeは、ボロン、ジルコニウム、ハフニウム、イットリウム、シリコン、タングステン、クロム、のうち少なくとも1つの元素を付加的に含んでもよく、したがって、この群の中から、イットリウムおよび/またはシリコンおよび/またはボロンを使用するのが好ましい。チタンおよびアルミニウムに付加されるこのような元素は、Meを100原子%として、好ましくは、有効値が
0.05原子%≦i≦60原子%
である含有量iで、層材料に導入される。
該少なくとも1つのMeX層の種々の実施例すべてにおいて、有効値が
0.05μm≦d≦5μm
である厚さdを有する窒化チタンの付加的な層を、MeX層と工具本体との間に挿入することによって、さらなる改善が達成される。
できる限り低コストで、かつしたがって非常に経済的に製造が可能である新規な工具を提供するという、本発明の包括的な目的に鑑みて、該工具が、MeX材料の層を1層のみ有し、かつ、MeX層と工具本体との間に配される付加的な層を有することが、さらに提案される。
また、MeXにおける応力σは、好ましくは
1GPa≦σ≦4GPa
の範囲内で選択され、最も好ましくは
1.5GPa≦σ≦2.5GPa
の範囲内で選択される。
MeX層のMe成分におけるチタンの含有量xは、好ましくは
70原子%≧x≧40原子%
の範囲内で選択され、さらに好ましい実施例においては
65原子%≧x≧55原子%
の範囲内で選択される。
一方、MeX材料のMe成分におけるアルミニウムの含有量yは、好ましくは
30原子%≦y≦60原子%
の範囲内で選択され、さらに好ましい実施例においては
35原子%≦y≦45原子%
の範囲内で選択される。
また別の好ましい実施例においては、チタンおよびアルミニウムに関するこれら両方の範囲が達成される。
層、特にMeX層の蒸着(deposition)は、知られているいかなる真空蒸着(deposition)技術によっても行なわれ得るが、特に、反応性陰極アーク蒸着(evaporation)または反応性スパッタリング等の、反応性PVDコーティング技術によって行なわれ得る。コーティングの成長に影響を及ぼすプロセスパラメータを適切に制御することによって、本発明で利用されるQIの範囲が達成される。
工具本体に対する層の優れた再生可能な密着性を実現するために、準備段階においてプラズマエッチング技術を使用した。これは、添付資料Aに記載するように、アルゴンプラズマに基づいて行なわれた。なお、添付資料Aは、このようなエッチングおよびその後のコーティングに関して、参考のために本明細書に統合するものである。該文献は、本願と同じ発明者(2名)および出願人による、米国特許出願番号第08/710 095号に準ずる。
例1
添付資料Aに記載した、磁気的に制御されるアーク源を用いるアークイオンプレーティング装置を、表1に示すように動作させて使用して、超硬合金のインサート上に、やはり表1に示すように、MeX層を蒸着(deposit)させた。蒸着されたMeX層の厚さは常に5μmであった。ここで、サンプル番号1から7においては、本発明に従って示されるQI値が達成され、これに対し、比較のために、サンプル番号8から12においては、この条件は満たされなかった。I(200)値は、MSに従った測定において、常に、ノイズの平均値の20倍よりもはるかに大きかった。コーティングされたインサートは、以下の条件下でフライス削りするのに使用されて、層間剥離に至るまでに到達可能なフライス削り距離が求められた。この工具の寿命に従って結果として得られたフライス削り距離を、やはり表1に示す。
テスト切削条件:
−切削対象となる材料: SKD 61(HRC45)
−切削速度: 100m/分
−送り速度: 0.1m/刃
−切削深さ: 2mm
コーティングされかつテストされるインサートの形状は、SEE 42 TN(G9)に準じた。
本発明に従ってコーティングされたインサートが、比較条件に従ってコーティングされたインサートよりも、層間剥離に対してはるかによく保護されることが、表1から明らかに理解される。
また、サンプル7の結果は明らかに、ここでは層の応力、かつしたがって層の硬度が減じられ、22.5という高いQIに対して予測されるよりも、切削距離が短くなったことを示しているが、それでも、上に規定した応力の要件は満たしている。
例2
例1に従ったコーティングに使用された装置をやはり使用して、表2のサンプル番号13から22までをコーティングした。コーティング全体の厚さはやはり5μmであった。例1のコーティングに加えて、MeX層と工具本体との間に、窒化チタンの中間層が、また、最も外側に、表2に示したそれぞれの材料の層が付与されたことがわかるであろう。
MSに従って測定される、I(200)および平均ノイズレベルに関する条件はほぼ満たされた。
MeX層と工具本体との間に中間層を設けることによって、すでに、さらなる改善がなされたことがわかるであろう。チタン炭窒化物、チタンアルミニウム酸窒化物のうち一方の最外層を、また特に、酸化アルミニウムの最外層を設けることによって、さらに付加的な改善が達成された。また、比較サンプル番号19から22に対して本発明で示されるQI値を達成することによって、大いに改善がなされることもまた、わかるであろう。
0.5μm厚さの酸化アルミニウムの最外層は、プラズマCVDで形成された。
超硬合金のコーティングされたインサートは、例1と同じ条件下でテストされ、QIはMSに従って測定された。
例3
やはり、超硬合金のインサートを、例1の装置を使用して、表3に示すMeX層でコーティングした。本発明において示されたQI条件がやはり満たされ、またさらに、平均ノイズレベルに対するI(200)の条件が満たされた。これらはMSに従って測定された。ここで、ジルコニウム、ハフニウム、イットリウム、シリコンおよびクロムのうちの1つが、Me内に上述の量で導入された。
コーティングされたインサートは、750℃のエアオーブン内に、30分間保持された。その後、酸化層の最終厚さが測定された。これらの結果もまた、表3に示す。比較のために、MeX材料の異なるMe成分で本発明に従ってコーティングされたインサートが同様にテストされた。サンプル23から32に従ったいかなる元素をMeに付加しても、結果として得られる酸化膜の厚さが大いに減じられることが判る。酸化に対して最良の結果は、シリコンまたはイットリウムを付加することによって得られた。
当業者には知られていることだが、MeX材料の耐摩耗性層に関しては、有効値があることを指摘しておかなければならない。すなわち、酸化抵抗が増し、かつしたがって結果として得られる酸化膜が薄くなればなるほど、切削性能は向上する。
例4
例1のサンプルのために使用された装置およびコーティング方法をやはり使用した。
直径6mmのHSSドリルを4.5μmのMeXでコーティングし、MeX層と工具本体との間にTiN中間層を、0.1μm厚さで設けた。テスト条件は以下の通りとした:工具: HSSツイストドリル、直径6mm
材料: DIN 1.2080(AISI D3)
切削パラメータ: vc=35m/分
f =0.12mm/回転
深さ15mmの止り穴、冷却液使用。
工具の寿命は、ドリルが悪くなるまでに掘削することのできた穴の数で判断した。
本発明に従ってコーティングされたドリルの結果は、表4のサンプル番号36および37に示す。サンプル番号38および39はやはり、比較サンプルを示す。サンプル36および37について、MSに従って測定されたI(200)はやはり、平均ノイズ強度レベルの20倍をはるかに上回った。
例5
例1に記載した装置および方法をやはり使用して、直径12mmのHSS荒削りミルを、4.5μmのMeX層でコーティングした。MeX層と工具本体との間に、厚さ0.1μmの窒化チタンの中間層を設けた。テスト条件は以下の通りとした:
工具: HSS荒削りミル、直径12mm
z=4
材料: AISI H13(DIN 1.2344)
640N/mm2
切削パラメータ: vc=47.8m/分
t=0.07mm
p=18mm
e=6mm
下向きフライス削り(climb milling)、乾式。
HSS荒削りミルは、平均幅0.2mmの逃げ面摩耗が得られるまで使用された。
表5のサンプル番号40は、本発明に従ってコーティングされた工具の結果を示し、サンプル番号41はやはり、比較のためのものである。サンプル番号40のI(200)はやはり、MSに従って測定される、ノイズに対する条件を満たした。
例6:
例1に従った装置およびコーティング方法をやはり使用した。6歯の、直径10mmの硬質炭化物エンドミルを、3.0μmのMeX層でコーティングした。MeX層と工具本体との間に、厚さ0.08μmの窒化チタンの中間層を設けた。エンドミルのためのテスト条件は以下の通りとした:
工具: 硬質炭化物エンドミル、直径10mm
z=6
材料: AISI D2(DIN 1.2379)
60 HRC
切削パラメータ: vc=20m/分
t=0.031mm
p=15mm
e=1mm
下向きフライス削り、乾式。
硬質炭化物エンドミルは、0.20mmの平均幅の逃げ面摩耗が得られるまで使用された。ただし、硬質炭化物エンドミルは、QI≧1を有する硬質材料層で本発明に従ってコーティングされる工具群には属さないことに留意されたい。表6に示す結果から、この種の工具については、QI>1が改善につながらないことが明らかであろう。やはり、MSで測定される、I(200)対ノイズの条件が、サンプル番号42については満たされ、サンプル番号43については、I(111)対ノイズの条件が満たされた。
例7:
やはり、例1のサンプルに対して使用された装置および方法を使用した。
直径11.8mmの硬質炭化物ドリルを、4.5μmのMeX層でコーティングした。MeX層と工具本体との間に、TiN中間層を設けた。
テスト条件:
工具: 硬質炭化物ドリル、直径11.8mm
ワークピース: 鋳鉄 GG25
機械加工条件: vc=110m/分
f=0.4mm/回転
止り穴 3 x 直径
冷却液なし
硬質炭化物ドリルは、0.8mmの最大幅の逃げ面摩耗が得られるまで使用された。MSで測定される、I(200)対ノイズの条件が、やはり満たされた。
例8:
例1に示した装置および方法をやはり使用した。
CNGP432に従った形状で回転する超硬合金のインサートを、4.8μmのMeX層でコーティングした。MeX層と工具本体との間に、厚さ0.12μmのTiN中間層を設けた。テスト条件は以下の通りとした:
工具: 炭化物インサート(CNGP432)
材料: DIN 1.4306(X2CrNi 1911)
切削パラメータ: vc=244m/分
f=0.22mm/回転
p=1.5mm
乳化液使用
工具の寿命は、分単位で評価した。示される値は、3つの測定値の平均値である。やはり、MSで測定される、I(200)/ノイズの条件が満たされた。
図1に、上に説明した例を実現するため使用された反応性PVD蒸着(deposition)方法としての反応性陰極アーク蒸着(evaporation)のために適用された、窒素分圧対工具本体のバイアス電圧の線形スケーリング(linear scaling)された図を示す。
陰極アーク蒸着(evaporation)プロセスのすべてのプロセスパラメータ、すなわち、
アーク電流、
プロセス温度、
蒸着(deposition)速度、
蒸着(evaporation)される材料、
アーク源に隣接する磁場の強さおよび構成、
プロセス室および処理されるワークピース工具のジオメトリおよび寸法、は一定に維持された。これ以外のプロセスパラメータ、すなわち、反応性ガスの分圧、または全圧、およびワークピースとしてコーティングされるべき工具本体の、室の壁の接地電位について、予め定められた基準電位に関してのバイアス電圧は変えられた。
こうして、チタンアルミニウム窒化物が蒸着(deposition)された。反応性ガスの分圧および工具本体のバイアス電圧に関しては、異なった、有効に作用する点が確定され、蒸着(deposition)された硬質材料層におけるQI値がMSに従って測定され、得られた。
図1の図からは、図の座標の原点に少なくとも隣接する部分から線形に第1の近似において延びる領域Pがあり、結果として得られる層が、I(200)およびI(111)の極めて低いXRD強度値となることがわかる。Pの境界を厳密に決定するためには、多数の測定を行なわなければならないことは明らかである。ここでは、MSに従って測定した場合、平均ノイズレベルの20倍もの大きさとなる強度値I(200)およびI(111)は存在しない。
図1に示すようにこの領域Pの一方側では、QIは1よりも大きく、Pに関して他方の領域においては、QIは1よりも小さい。これらのいずれの領域においても、MSに従って測定した場合、値I(200)、I(111)の少なくとも1つが平均ノイズレベルの20倍よりも大きい。
図1の矢印で示すように、反応性ガスの分圧の低下、または前記分圧と実質的に等しいのであれば全圧の低下および/またはコーティングされる工具本体のバイアス電圧の増加によって、QIが減少する。このように、工具本体と、少なくとも1つの硬質材料層を含む耐摩耗性層システムとを含む工具を製造するためのこの発明の方法は、真空室内で少なくとも1つの硬質材料層を反応性PVD蒸着(deposition)するステップと、それによって、反応性ガスの分圧および工具本体のバイアス電圧という2つのプロセスパラメータのいずれか一方または両方に加えてPVD蒸着(deposition)プロセスステップ用のプロセスパラメータ値を予め選択するステップとを含む。そして所望のQI値を実現するためにこれらの2つのパラメータのいずれか一方または両方が調節され、この発明により、バイアス電圧が減少されるおよび/または反応性ガスの分圧が増加されて、上に説明したように少なくとも1よりも大きく好ましくは少なくとも2よりも大きくまたはさらに5でありより好ましくは10であるQI値を得る。Pに関しての「左手」領域におけるこの発明により利用されるQI値に加え、MSに従って測定した場合、I(200)は強度平均ノイズレベルの20倍よりも大きく、多くは20倍よりもはるかに大きい。
図2に、図1のこの発明によりQI≧1領域内にチタンアルミニウム窒化物硬質材料層を蒸着(deposition)し、QI値、5.4を得た場合の典型的な強度対角度2θの図を示す。平均ノイズレベルN*は、I(200)/20よりも著しく低い。測定はMSによって行なう。
図3に、図2と類似するが、チタンアルミニウム窒化物の蒸着(deposition)がバイアス電圧および窒素分圧によって制御されQI≦1を得た図を示す。得られたQI値は0.03である。ここで、MSに従って測定した、I(111)値は、強度平均ノイズレベルよりも大きい。
図1においてはそれぞれの領域内のそれぞれのQI値は、(MSに従って)測定された各々の有効に作用する点において示されることに注意されたい。
図4に、図2および図3と類似する、図1の有効に作用する点P1に関しての図を示す。Pの外側の領域内と比較すると、強度I(200)およびI(111)が著しく減じられていることがわかるであろう。ノイズ平均レベルN*の20倍の値に達する値I(200)およびI(111)は存在しない。
このように、2つのQI制御反応PVDプロセスパラメータ、すなわち反応性ガスの分圧およびワークピースのバイアス電圧の少なくとも一方を調節するだけで、この発明の利用するQI値が制御される。
図1には、∂Q1<0で、QIを減ずるための調節方向が概略的に示され、2つの制御プロセスパラメータの逆の調節方向においては、QIが増加されることは明らかである。
「添付資料A」
ワークピースコーティングのためのプロセスおよび装置
この発明は、請求項1の概括的な記述によるコーティング構成と、請求項14の概括的な記述によるワークピースをコーティングするためのプロセスとに関する。
多くの公知の真空処理プロセスにおいて、ワークピース表面の掃除は真空コーティング(被覆)の前に行なわれる。さらに、ワークピースは掃除のステップの前または後に所望の温度に加熱されることがある。このようなステップは主に、堆積されるコーティングの十分な結合力を確実にするため必要である。これは特に、ワークピースおよび特に工具に耐摩耗コーティングが施される応用において重要である。ドリル、フライス、ブローチおよびフォーミングダイなどの工具では、このようなコーティングは非常に高い機械的およびアブレシブ(abrasive)応力を受ける。このため、有効かつ経済的な使用のために基板との非常に良好な結合が不可欠である。このような工具を前処理する確かな方法としては、電子衝撃により加熱し、たとえばスパッタエッチングなどのイオンエッチングによりエッチングすることが挙げられる。プラズマ放電からの電子衝撃による加熱はたとえばDE33 30 144から公知である。
プラズマ放電経路はたとえばアルゴンイオンなどの重い希ガスイオンを生じるのに用いてもよく、この重い希ガスイオンはこのプラズマからワークピースまたは基板に向けて加速され、ワークピースまたは基板上にスパッタエッチングを施す。これはDE28 23
876に記載される。
スパッタエッチング以外に、別の公知の技術では、さらなる反応性ガスでプラズマ放電を行ない、ワークピースを化学的にエッチングする。しかしながら、反応性エッチングとスパッタエッチングを組合せるプロセス技術も実行可能である。これらすべての前処理プロセスの目的は、後に堆積されるコーティングが基板に良好に付着するような態様でワークピース表面を準備することである。
プラズマ発生のため、前述の構成では低電圧アーク放電を用い、低電圧アーク放電は装
置の中心軸において配置されるが、ワークピースは円筒形表面に沿ってこのアークのまわりにある距離をおいて配置される。コーティングはその後、熱蒸着またはスパッタリングによって堆積される。プロセス管理に応じて、コーティングの間に対応の基板バイアスからさらなるイオン衝撃が発生されるが、この技術はイオンプレーティングとして公知である。この構成の利点は低電圧アークから小さい粒子エネルギを有する大きなイオン流を引出すことができ、これによりワークピースに優しい処理が行なわれる。しかしながら、均一かつ再現性のある結果を達成するためには、ワークピースを放電に対して径方向に規定されるゾーンに配置しなければならず、大抵、ワークピースを中心軸およびワークピース自体の軸について回転させなければならないという不利な点がある。
別の不利な点としては、許容可能な円筒形処理帯域幅が比較的狭いため、処理可能なワークピースの大きさが制限されるか、または多数の小さいワークピースに関してバッチサイズが限られるため、公知の構成の原価効率が著しく制限されることである。これは、処理室の中央を貫通する低電圧アーク放電自体がある程度の広さを必要とすることに起因する。良好な再現性のある結果を生じるためには、ワークピースは放電から適当な距離を有していなければならず、これは中央処理室の空間の大きな部分を利用できないことを意味する。
また、いわゆるダイオード放電を備えたスパッタリング構成も公知である。このようなダイオード放電は1000ボルトまでの、および1000ボルトより高いこともある高電圧で動作する。ダイオードエッチング装置は要件の厳しい応用には不適当であることがわかっている。一方、達成可能なエッチングレートが低く、よって効率も低く、他方ではこうした高電圧は敏感な基板に欠陥を生じることがある。特に、工具などの3次元処理を必要とするワークピースはこのような構成では容易に処理することができない。たとえば、工具はいくつかの微細な刃先を備えるよう設計されており、このような放電はその微細な刃先に集中する傾向があるため、結果としてこのような微細なエッジおよび先端において過熱および機能エッジの破壊などの制御できない影響が生じ得る。
DE 41 25 365の特許出願において、前述の問題を解決するアプローチが記載される。そのアプローチではいわゆるアーク蒸着プロセスによりコーティングが堆積されることを想定している。そのような蒸着装置によって良好に結合するコーティングを生成するため、蒸着装置自体のアークを実際のコーティングの前に用いて、特に金属イオンなど、アークにおいて生じるイオンを蒸発ターゲットからワークピースに向けて、典型的には500ボルトより高いが、多くの場合800ボルトから1000ボルトの範囲内である負の加速電圧により加速させ、堆積される材料よりも量の多い材料がワークピースからスパッタリングにより取り除かれるようにする。このエッチングプロセスの後、蒸着装置はコーティング源として動作する。この記述では、アークコーティング技術に基づく通常のプロセスではアーク蒸着プロセスにより良好に付着するコーティングを生成するためにこのような高電圧が不可欠であると述べている。
不均一な質量分布または微細なワークピースジオメトリに対する過熱またはエッチングの問題を防ぐため、その記述ではアークプラズマに加えて、蒸着アークに結合される補足のイオン化を生じる高電圧によって補助放電経路を動作させることを提案している。さらなるDC源によりプラズマからイオンが抽出され、ワークピースに向けて加速させられ、これによって所望のエッチング効果を得るようにする。この効果を増すために、別個の電源から動作する別の放電経路を伴うさらなるアノードについても考慮される。エッチングプロセスの間、アーク蒸着装置をシャッタを閉じた状態で動作させるため、基板は蒸着装置の直接の影響から遮蔽され、これにより基板上にいわゆる小さい粒が生じるのを防ぐ。
上記の構成の不利な点は、これも高電圧を必要とし、限られた処理均質性しか達成でき
ず、異なるプラズマ経路の結合により動作環境の調整能力もまた制限されることである。さらに、この構成は非常に複雑であり、よって製造し動作させるのに高い費用がかかるため、製造システムの経済性をひどく損なうことになる。1000ボルトを超える電圧の利用にはさらに安全上の注意が必要となる。
現在の技術に基づくシステムは、高い処理品質も必要となる場合には高いスループットにさほど適してはいない。1000mmまでの、またそれ以上のコーティング幅に対応するシステムが製造できるとすれば、これは非常な困難を伴う。
この発明の目的は、特に、コーティング構成をもたらし、多数のワークピースまたは質量分布が不均一である個別の大きいワークピースに対して良好に付着するコーティングを堆積するのに適したプロセスを提案することによって、微細構造を損なうことなく所望の均質性および必要とされる非常に経済的な処理速度を実現しつつ、現在の技術の前述の不利な点をなくすことである。
これは、請求項1の特徴部分による冒頭で言及したプロセス構成の設計および請求項14の特徴部分に従って設計されるコーティングプロセスによって達成される。
したがって、コーティングすべきワークピース表面は熱カソード低電圧アーク放電構成として設計されるプラズマ源に、これを後者の放電経路の線状の広がりに対して横方向に運搬することによってさらされる。ワークピースは負の電圧に接続されているため、イオンがアーク放電から抽出され、ワークピースに対して加速され、後者がスパッタエッチングされるようにする。この後、ワークピースは低電圧アーク放電が有効であった側と同じ側からコーティングされる。
この発明に従ったコーティング構成の好ましい設計変形例は従属請求項2から13に記載されており、プロセスの好ましい設計変形例は請求項14から17に記載される。
イオン源としての熱カソード低電圧アーク放電構成によりエッチングすることは、このようなアーク放電を200ボルトより低い放電電圧で動作させることができ、すなわちこのプロセスが高電圧エッチングの不利な点に悩まされることはないため特に有利である。また低電圧アーク放電によるエッチングは特にワークピースに対して害を及ぼさない。すなわち、より大きいワークピースの刃先などの微細構造に熱過負荷による悪影響が生じることもなく、また高エネルギイオン衝撃によってエッジが丸められることもない。
30ボルトDCから200ボルトDCの動作範囲、好ましくは30ボルトから120ボルトの範囲内の比較的低い放電電圧にもかかわらず、数十から数百アンペア、好ましくは100アンペアから300アンペアの非常に高い放電電流が実行可能である。このことは、このタイプの放電では低エネルギで非常に高いイオン流を生成できることを意味する。高いイオン流が利用可能であることから、比較的低い加速電圧で基板上の高いエッチングレートが達成でき、上にも述べたように、ワークピースに優しい処理が行なわれる。基板上の抽出電圧または加速電圧は−50ボルトから−300ボルトの範囲内であり、好ましくは−100ボルトから−200ボルトの範囲内である。ワークピースに導かれるイオン流の値は5アンペアから20アンペアに達し、好ましい動作範囲は8アンペアから16アンペアである。ワークピースの処理幅は最大1000mmであってもよい。さらに幾分か精巧な装置設計では、より大きい処理幅も実行可能である。この達成可能な値はアーク放電の動作値のみに依存するのではなく、ワークピースに対するそれらの幾何学的構成および選択される使用圧力にも依存する。典型的な使用圧力は10-3mbarのオーダのものである。アーク放電を動作させるのに使用ガスとして希ガスが用いられ、好ましくはアルゴンなどの重い希ガスが用いられる。
これまでは、低電圧アーク放電構成は回転対称のものであり、すなわち、アーク放電が中心に配置され、ワークピースを中心軸に位置付けられるこのアーク放電のまわりで回転させていた。ここでは、中央に配置されるアーク放電を備えた回転対称形構成によって、均一性およびエッチング動作の速度に関して可能である最良の結果がもたらされるはずであると仮定されていた。しかしながら、驚いたことに、この発明により提案される非対称の構成の方が全体的に前述の回転対称構成よりはるかに有利であることがわかった。アーク放電が中心軸に設けられた回転対称形構成では、体積の大きいワークピースの配置はアーク放電自体により中心方向に制限される。さらに、このようなワークピースは中心軸についてだけではなくそれらの自体の軸についても回転させなければならず、これによってエッチングプロセスの後にエッチングされたワークピース表面が室の壁上に配置されるコーティング源によりすぐにコーティングできるようにしなければならない。このようなやり方でしかエッチングプロセスおよびコーティング厚さの十分な分布を確実にすることができない。
また、ワークピースがアーク放電に向かう片側からしかアーク放電にさらされることのない非対称の構成と比べて回転対称構成の方がアーク放電からのワークピースの距離がより重要なものとなることがわかった。
この発明による装置では、体積の大きいワークピースをさらに回転させることなくアーク放電の前を通過させることが可能であり、これにより処理室の大きさを妥当な範囲内に抑えることができ、重いワークピースの取扱いが非常に簡単になる。このことは製造システムの経済性に重要な影響を及ぼす。この発明による構成は体積の大きいワークピースに対してのみ有利なのではなく、対応する多数のより小さいワークピースを収容し同時に処理することも可能である。
この発明による構成の別の利点は、もはやエッチング装置を処理室の一体化された部分として構成する必要がないことであり、これはエッチング装置を処理室の壁の領域内に配置するだけでよく、すなわち後者の外壁上に細長いより小さい放電室として配置することができるためであり、これによって処理室の設計においてはるかに大きな自由度がもたらされる。この構成ではアーク放電とワークピース表面との間の距離がさほど重要ではなく、より大きいワークピースで典型的に生じるより大きい間隔変動に対しても結果のより高い再現性が達成できることがわかった。アーク放電から抽出できる全体のイオン流も依然として有利に高い値に達しておりワークピースに十分に集中させることができるため、所望の高いエッチングレートがもたらされる。処理室または処理ゾーンから低電圧アーク放電またはプラズマ源が実際に分離されていることから、この源の設計により高い自由度がもたらされ、したがって、放電が装置の中央軸に設けられる一体型回転対称構成の場合と比べて、源設計をプロセス要件にかなり柔軟に適合させることができる。
エッチングプロセスの後に良好に結合するコーティングを堆積するため、処理室の壁上に同じ側から作用する1つ以上のさらなる蒸発源が配置される。特に適しているのは、細長い低電圧放電のように、対応する細長い領域にわたって源の前を運ばれるワークピースをコーティングするような態様で配置することができる源である。スパッタリング源またはアーク蒸発源などが適した源である。実施によりいわゆるカソードスパーク蒸着装置またはアーク蒸着装置が特に適していることがわかっているが、これは、これらおよび前述のエッチングプロセスにより良好に結合するコーティングを経済的に生成できるためである。この構成により処理された試験工具では、前述の高電圧エッチングを伴う公知のアーク蒸着のコーティングにより達成される有効寿命よりもかなり長くかつ再現性のある長い有効寿命が達成された。たとえば、フライスなどの切削工具の有効寿命は少なくとも1.5倍に向上し、特に好ましい場合では従来技術に対して倍にさえなった。さらに、非常に
均質なエッチング分布が達成され、これは従来と比べてワークピースジオメトリにほとんど依存しておらず、また、バッチにおいて異なる基板を混ぜることも可能となる。
提案される構成では、希ガスだけではなく化学的活性ガスをも用いてプロセスを実現することが容易に可能であり、これは低電圧アーク放電がN2およびH2などのガスを非常に良好に活性化させるためである。絶縁表面に生じる望ましくない寄生放電は低電圧放電によって容易に制御できる。低電圧アーク放電は好ましくは、熱カソードを収容しかつ小さな開口部を通してのみ放電室または処理室と連通する別個のカソード室またはイオン化室によって動作される。ガスは好ましくはこのカソード室を介して入れられる。この結果、処理室とコーティング源との間でガスがある程度分離されることとなり、このことによりターゲットの汚染の問題が減少または除去される。この構成ではまた、実際のコーティング段階において異なった処理ガスによってワークピースに対し活性化を行なうことができる。所望の動作条件はワークピースに対し、対応する負のまたは正であってもよい電圧を選択することによって設定できる。
一般的にワークピースは、必要なエッチング深さまたはコーティング深さおよび均一かつ再現性のある処理を達成するために処理ステップにおいて源の前を数回通過させなければならないため、ワークピースを中心軸について回転できるようにし、かつ源がすべて外側から内側に向かって作用するような態様で源を室の壁上に配置するように装置を設計することが有利である。この場合、非常に大きいワークピースを処理するために、これがその中心軸について回転するような態様で配置してもよい。しかしながら、同じ空間において、大きさが異なっていてもよい多数の小さいワークピースをホルダ上に配置してこの中心軸について回転させながら源を横切るように通過させ、均質な結果を得るようにしてもよい。このような構成は特に小型であり容易に製造することができるが、これは経済的なプロセスには不可欠である。
プラズマ源または低電圧アーク放電は好ましくは処理室壁上に運搬方向に対して横方向に配置される。好ましくは、低電圧アーク放電装置はたとえば、箱形の付属物内に配置されてもよく、ここではこれは放電室の形であり、これは低電圧アークがワークピースまたは処理すべきゾーンの正反対の側に配置されるような態様で長い狭い開口部によって処理室と接続されている。低電圧アーク放電はある距離をおいて配置される電気的加熱または熱電子放出カソードとアノードとにより発生される。対応する放電電圧がこのアノードに印加されアーク電流を引出させる。この放電では、使用ガスとともにアーク放電が供給されるガス入口ポートを特徴とする。この構成は好ましくはアルゴンなどの希ガスで動作するが、上述のように反応性ガスを加えてもよい。放電経路の大きさは処理ゾーン幅の少なくとも80%でなければならず、所望の処理分布または均質性が得られるような態様で処理ゾーンに対して位置付ける必要がある。ワークピース上に対応するスパッタエッチングを行なうには、後者またはワークピースホルダをアーク放電構成に関して負の電圧で動作させる。コーティングの際の反応性プロセスなど、プロセスによっては、そのような電圧を用いずにこの構成を動作させてもよく、または正の電圧すなわち電子衝撃を用いてこの構成を動作させることさえできる。DC電圧以外に中間または高周波AC電圧を用いてもよく、また、DCのACに対する重ね合せも実行可能である。DC電圧はまたパルス状に与えられてもよく、その一部分のみをAC供給に重ね合せることも可能である。そのような供給を用いることで、ある特定の反応性プロセスを制御することが可能となる。また、特に、装置およびワークピースの表面に誘電ゾーンが存在するまたは形成されている場合に寄生アークを防ぐこともできる。
処理ゾーンに関する所望の分布は放電の長さおよびその位置を介して設定することができる。分布を制御する別のパラメータはアーク放電に沿ったプラズマ密度分布である。この分布にはたとえば、放電室の領域内に配置されるさらなる磁界を用いることによって影
響を与えることができる。プロセスパラメータの設定および修正のため、放電室に沿って永久磁石が置かれる。しかしながら、分布要件に従って放電経路に沿って配置される別々の電源が供給されるさらなるアノードによって放電経路を動作させるとより良好な結果が得られる。このような構成では、分布曲線でさえもある程度は影響を与えることができる。このため、修正磁石(correction magnets)を備えておらず放電経路に沿って2つ以上のアノードを備えた構成が好ましい。しかしながら、この好ましい構成をさらなる修正磁石と組合せることも可能である。さらなるアノードは単一のカソードと組合せて容易に動作させることができる。しかしながら、放出カソードを各アノードの反対側に設け、これらの回路の結合を最適な態様で外し、これによって制御性を向上させることが有利である。
熱電子放出カソードは好ましくは、小さい開口部を通して放電室と連通する別個の小さいカソード室内に配置される。このカソード室は好ましくは、希ガスのための入口ポートを備える。所望であれば、このガス入口を介して反応性ガスを入れてもよい。好ましくは反応性ガスはカソード室には入れられることがないが、たとえば放電室には入れられる。カソード室の開口部を介して電子がアノードに引きつけられるため、少なくとも部分的にイオン化されたガスがこの開口部から現われる。処理室は好ましくは、ワークピースが回転する中心軸が垂直方向に配置されるような態様で設計される。カソードまたはカソード室は好ましくはアノードの上方に配置される。カソード室において、出口開口部は好ましくは下向きに配置される。こうした構成によりシステムの全体の取扱いが簡略化され、微粒子生成によって生じ得る問題を回避することができる。
低電圧アーク放電構成に加えて、処理室は好ましくはアーク蒸着装置の形である少なくとも1つのさらなる源を備える。これらの源は外側から中心軸または処理ゾーンに向かう同じ方向において径方向に作用する。低電圧アーク放電が運搬方向に関してコーティング源の前に配置されるのが有利である。アーク放電構成と同様に、通常アーク蒸着装置は線状の広がりを有し、これは運搬方向に対し横方向であるため、処理ゾーン全体が所望の均質性をもってコーティングできる。提案されるコーティング構成では、好ましくはいくつかの丸いアーク蒸着装置が用いられ、これらは所望の均質性が達成されるような態様で室の壁に沿って分配される。その利点は、蒸着装置の高い消費電力を分割することができ、コーティング厚さ分布をより良好に制御したりまたはこれを電源によってある程度まで調整することさえできることである。このように、非常に高いコーティング速度を達成することができ、この結果経済性が向上する。たとえば、特にフォーミングダイなどの工具のためのプロセスは以下のように構成される。
プロセスの例
システム構成は図2および図3に対応する。工具はそれ自体の軸について回転させるのではなく、ただワークピースホルダをその中心軸について回転させることによって源の前を通過させる。幅bが1000mmで直径dが700mmであるコーティングゾーンが形成され、この中にワークピースが配置される。処理室は直径が1200mmであり高さが1300mmである。
エッチングパラメータ:
低電圧アーク電流 ILVA=200 A
アーク放電電圧 ULVA=50 V
アルゴン圧力 PAr=2.0×10-3mbar
エッチング電流 Isub=12A
エッチング時間 t=30分
エッチング深さ 200 nm

コーティング:
各アーク蒸着装置に対する電流 IARC=200 A
(8個の蒸着装置と直径150mmのチタンターゲット)
アーク放電電圧 UARC=20 V
窒素圧力 PN2=1.0×10-2mbar
バイアス圧力 UBias=-100 V
コーティング時間 t=45分
コーティング厚さTiN 6μm

加熱および冷却を含む、1バッチに対するプロセスサイクル時間は150分である。
ワークピースに対する負の加速電圧のための電圧生成装置は通常最大300ボルトDCの電圧で動作するが、ワークピースを保護するために電圧は好ましくは100ボルトから200ボルトの範囲内に抑えられ、この範囲であっても欠陥を生じることなく良好なエッチングレートが実行できる。低電圧アーク構成はワークピースから少なくとも10cm離して動作させなければならないが、この距離は好ましくは15cmより大きいか、または好ましくは15cmから25cmの範囲内であるとよく、この際に分布の良好な高いレートが達成できる。
この発明によるコーティングシステムは、ドリル、フライスおよびフォーミングダイなどの工具を処理するのに特に適している。ホルダおよび運搬装置はこのタイプの工具に対して特定的に設計される。この発明のコーティング構成では一般的に、コーティングすべきワークピースを装置を中心軸についてのみ回転させる場合でも良好な結果を達成できる。特に重大な場合またはシステム内に非常に多数の小さい部品が装填される場合、この設計概念においては、中心軸のまわりを回転するさらなる回転軸を加えることによって中心軸についての回転を容易に補うことができる。
以下の図面を用いてこの発明を例示し、概略的に説明する。
図1は、従来の技術に従った低電圧放電を備えたコーティング構成である(最新技術)。
図2は、低電圧放電のための周辺放電室を備えた、この発明による典型的なコーティングシステムの断面図である。
図3は、図2に示されるシステムの水平断面図である。
図4aは、低電圧アーク放電のための放電室および室の内部に配置される複数のアノードを備えた構成の一部分の断面図である。
図4bは、図4aと同様であるが、カソードが別個のカソード室に配置される別個のカソード−アノード放電経路をさらに示す図である。
図4cは、図4aおよび図4bと同様に、別個のカソード−アノード放電経路を有するが、カソードが共通のカソード室内に配置されているのを示す図である。
図5は、従来技術およびこの発明による技術によってコーティングされる工具の実用寿命の比較曲線である。
図1は、公知のワークピースコーティング構成を示す。真空室が低電圧アーク放電18を収容するための処理室1の役割を果たし、低電圧アーク放電18は真空室1の中央を後者の中心軸16に沿って走っており、マグネトロンスパッタリング源14が処理室1の室の壁に外側から周縁においてフランジとして付けられる。処理室1の頂部には、熱電子熱
カソード3を保持するカソード室2があり、これにガス入口5を介して、典型的にはアルゴンのような希ガスである使用ガスを供給できる。反応性プロセスでは活性ガスもまた添加できる。カソード室2はシャッタ4の小さい孔を介して処理室1と連通する。カソード室は通常、絶縁体6によって処理室から絶縁される。シャッタ4はさらに、絶縁体6を介してカソード室からも絶縁されているため、シャッタ4を必要に応じてフローティング電位または補助電位で動作させることができる。アノード7は中心軸16の方向のカソード室2の反対側に配置される。アノード7はるつぼの形態であってもよく、低電圧アーク放電によって蒸発すべき材料を保持する。エッチングプロセスの間、この蒸発オプションは用いられず、ただイオンが低電圧アーク放電から抽出されワークピースに向けて加速され、後者がスパッタエッチングされるようにする。低電圧アーク放電18を動作させるため、カソード3はヒータ供給ユニットで加熱され、カソード3が電子を放出するようにする。カソード3とアノード7との間にはアーク放電を動作させるためのさらなる電源8がある。これは通常低電圧アーク18を維持するためにアノード7に正のDC電圧を生じる。アーク放電18と処理室1の壁との間には、ワークピース11を保持するワークピースホルダが配置され、十分な処理品質性を達成するためにこれらをその垂直中心軸17について回転させてもよい。ワークピースホルダ10は、回転ドライブを備えたさらなるワークピースホルダ構成12上に支持され、この回転ドライブによってワークピースホルダ10を中心軸16について回転させる。このタイプの装置において、さらに、たとえばヘルツホルムコイルの形であるさらなるコイル13を介して低電圧アーク放電18を集中させることが必要となる。ワークピース11を低電圧アーク放電18によって処理できることと、イオン衝撃が基板に負の電圧を印加した際に生じることと、正の基板電圧を印加することによって電子衝撃が可能になることとは明らかである。このようにワークピースは、加熱により誘導される電子衝撃によってまたはスパッタエッチングを伴うイオン衝撃によって、低電圧アーク放電の助けにより前処理することができる。その後、低電圧アークによるるつぼ7からの材料の蒸発を介して、または電源15により供給されるマグネトロンスパッタ源14によるスパッタリングを介してワークピース11をコーティングできる。
基板移動のための機械的組立体および低電圧アーク放電の構成がこのレイアウトでは比較的複雑であるのが容易に理解されるであろう。他方では、中央に位置付けられる低電圧アーク放電と室の外側の壁との間にしかワークピースを配置できないため自由度が著しく制限される。このタイプのシステムはワークピースが大きい場合またはバッチの量が多い場合には動作が不経済である。
この発明による好ましいコーティング構成の一例が図2の断面図として示される。処理室1はワークピースホルダ11を含み、ワークピースホルダ11はワークピースが処理室の中心軸16について回転できるような態様で配置される。室は通常処理ステップに必要となる使用圧力を維持する真空ポンプ19により減圧される。提案される構成では、中心軸16を越えて延在する大きいワークピース11を、たとえば処理室の壁上に配置される源によって処理できるような態様で処理室1内に配置できる。ワークピースを装填するのに利用可能なゾーンは処理室1をほぼ完全に埋めつくしている。このような構成では、単一の大きいワークピース11または室の容積をほぼ埋める多数のより小さいワークピースのいずれかを位置付けることができる。
ワークピース11を中心軸16について回転させるワークピースホルダは回転方向に対して横方向にコーティング幅bにわたって存在する。この発明によるシステムでは、大きいコーティング幅bにわたって、または中心軸16からコーティング幅の周囲まで延びる大きい深さ範囲、すなわち直径D全体の範囲内にわたって均一かつ再現性のあるコーティング結果を達成できることが特に有利である。このような条件が重要であった従来技術による公知の同心構成によれば、この発明による偏心構成がより良好な結果を生じることは期待されていなかった。熱応力または望ましくないアークの発生に関する問題を起こすこ
となく、この大きい領域において微細エッジおよび刃先を備えた多様なワークピースジオメトリに対処することができる。
処理室の外壁上にエッチング源およびコーティング源が配置されており、いずれも外側からワークピースに向かって作用する。重要な予備のスパッタエッチングプロセスのため、室の壁にはスロット形の開口部が設けられ、その長さは少なくとも処理幅bに対応する。この開口部26の背後に箱形放電室21があり、この中で低電圧アーク放電18が生成される。この低電圧アーク放電18は処理幅bにほぼ平行に走っており、処理幅bの少なくとも80%となる有効長さを有する。好ましくは、放電の長さは処理幅bと同等であるか、またはこれを超えて延びているとよい。
アーク放電18の軸は最も近い処理ゾーン、すなわち次のワークピースセクションから距離d離れている。この距離dは少なくとも10cmであり、好ましくは15cmから25cmである。これにより、良好な処理均質性が得られ、高いスパッタリング速度を維持できる。放電室21の下部において、カソード室2がフランジで付けられ、これはオリフィス4を介して放電室21と連通する。カソード室2は加熱力供給ユニット9を介して供給される熱カソード3を含む。この供給はACまたはDCで動作させることができる。カソード室2は、通常アルゴンなどの希ガスである使用ガス、または、ある特定の反応性プロセスに対しては希ガス−活性ガス混合物である使用ガスを供給するためのガス入口ポート5を特徴とする。補助のガス入口22によって処理室1を介して使用ガスを入れることも可能である。活性ガスは好ましくはガス入口22を介して処理室1に直接入れられる。
放電室21の上部には、アノードとして設計される電極7がある。DC供給8はカソード3とアノード7との間に接続され、陽極がアノード7上にあり低電圧アーク放電を引出すことができるようにする。低電圧アーク放電構成とワークピース11との間の電圧発生器によりワークピースホルダまたはワークピース11に負の電圧を印加することによって、アルゴンイオンがワークピースに向けて加速され、表面がスパッタエッチングされる。これは、最大300ボルトDCの加速電圧によって達成できるが、ワークピース11の優しい処理を確実にするため好ましくは100ボルトから200ボルトの範囲内の電圧で行なわれる。プロセスの均質性はカソード室2を適当に配置することと、プロセス仕様に従って処理すべきワークピースの処理幅bに関連してアノード7を配置することによって設定することができる。別の要因はアノード7の形状である。後者はたとえば平坦な形、皿状に窪んだ形または矩形のものであってもよく、または管状の冷却されたアノードとして設計されてもよい。
図3は、図2に基づくシステムの水平断面図を示す。スロット開口部26を通じて処理ゾーンと連通する処理室1の外側の壁上の箱形の放電室21が再び示される。無論、必要に応じて、たとえば処理効果をさらに高めるためにシステムにいくつかのこうした放電室を配置してもよい。また、室の壁にフランジとして付けられる蒸発源23が示される。たとえば、マグネトロンスパッタ源を蒸発源23として用いてもよいが、低コストで高い処理速度を達成するにはいわゆるアーク蒸発源を用いるのが好ましい。この構成の利点は、複数の源の分配された構成によって所望のコーティング均質性を設定でき、高いコーティング速度を維持できるような態様でアーク蒸発源23を外側から自由に配置できることである。単一の矩形の蒸発源を用いるのではなく、プロセス要件に従ってシステムの周囲に配置されるいくつかのより小さい丸形の源を用いることがより有利であることがわかっている。
図4aは、カソード室2が放電室21の頂部に位置付けられる、この発明による構成の別の有利な変形例を示す。その利点は、このようなコーティングシステムでは必ず生じる粒子による放電経路の動作への干渉が最も少ないことである。また、いくつかのアノード
−カソード回路を用い、放電1に沿った強さを調整可能なものにすることによって放電経路をさらに分割する可能性が示される。主な放電はメインアノード7とカソード室2との間の電源8によって発生させる。補助アノード24および補助電源25によってさらなる補助の放電を発生させてもよい。このように、放電の電力密度を、局所的にアノード7とカソード2との間の放電経路全体に沿って、かつワークピースの均質性要件に対する強さに関して調整することが可能となる。
図4bは別の構成を示す。アノード−カソード経路は完全に離すことができ、または別個のアノード7および24、別個のカソード3および3′ならびに別個のカソード室2および2′を用いて結合を外すこともできる。図4cに示される別のものでは2つの別個のアノード7および24と、2つの熱カソード3および3′を備えた共通のカソード室2とが用いられている。
図5は、この発明(曲線b)および従来の技術(曲線a)に従って処理されたHSS仕上げのフライスのテスト結果を示す。いずれの場合にも、フライスには3.5μm TiNコーティングが与えられた。従来技術(曲線a)によるフライスでは、まず高電圧エッチングが従来の態様で行なわれたが、曲線bにより表わされるフライスではこの発明によるプロセスが用いられた。テスト条件は以下のとおりである。
HSS仕上げフライス: 直径16 mm
歯の数 4

テスト材料: 42 CrMo4(DIN 1.7225)
硬度: HRC 38.5

送り込まれるもの(infeed): 15 mm×2.5 mm
切削速度 40 m/分
歯1つ当りの送り量 0.088 mm
送り量 280 mm/分

寿命の終り:スピンドルトルク80(任意単位)

この結果から、この発明にしたがって処理された工具の寿命に明らかな向上が見られる。1.5倍以上の向上が容易に達成できる。重要なのは、工具寿命の延長だけではなく、工具寿命の終りに近づくにつれての工具の品質劣化を示すトルク曲線の進行がより平坦であることである。図5による例では、このことは15mの全フライス削り深さにおいてはっきりと認識される。従来技術を表わす曲線aは15mの全フライス削り深さにおいて工具品質の急な劣化を示している。このことは、従来技術で達成できる切削の品質には工具寿命全体にわたって大きなばらつきがあり、すなわちさほど一定ではないことを意味する。
図2から図4に示されるこの発明に従って製造されたシステムは従来技術に対応するシステム1と比較してはるかに大きいスループットと上に述べた高品質をもたらす。スループットは容易に倍増でき、または3倍から5倍に増加することができるため、経済性が著しく向上する。
要約
コーティングの前にスパッタエッチングすべき高性能工具に硬質コーティングを堆積するために、この発明ではその工具を低電圧アーク放電によってスパッタエッチングし、その後にエッチングされた方向から工具をコーティングすることを提案する。
請求の範囲
1.真空処理室(1)および室上に配置されるプラズマ源(18)を備えた、ワークピース(11)を処理するためのコーティング構成であって、コーティング源(23)が前記室内に配置されており、前記室は、ワークピース(11)を源の前に位置付けるまたは源の前を通過させるための処理ゾーン(b)を規定する保持および/または運搬装置を備えており、前記源はワークピースに対してある程度の距離のところに配置され同じ方向から作用し、前記コーティング構成は、熱カソード低電圧放電構成として設計されるプラズマ源(18)を特徴としており、ワークピース運搬方向に対して横方向における線状の広がり(1)は処理ゾーンの幅(b)に実質的に対応し、前記コーティング構成はアーク放電(18)とワークピース(11)との間に電界(20)を発生するための装置を含む、コーティング構成。
2.ワークピース(11)のための保持および運搬装置は処理室(1)の中心軸(16)について回転可能に配置され、源(18、23)はいずれも中心軸(16)の方向において外側から径方向に作用するような態様で室の壁上に配置される、請求項1に記載の構成。
3.放電室(21)のプラズマ源は室(1)の外側の壁上に配置され、放電室(21)の内側またはその上に熱電子放出カソード(3)が設けられ、処理ゾーン幅の少なくとも80%が処理ゾーン幅(b)から離れかつ沿っており、低電圧アーク放電(18)を発生するためのアノード(7)が位置付けられ、前記構成において、電圧発生器(20)を備えた放電室(21)内の希ガスポート(5)は、陰極がワークピース(11)上にある態様でアノード−カソード回路とワークピース(11)の間に位置付けられ、プラズマ源構成(2、7、18、21)がスパッタエッチング装置として機能するようにする、請求項1または2に記載の構成。
4.前記プラズマ経路からある距離のところでプラズマ経路に沿って延在する少なくとも1つのさらなるアノード(24)が、アーク放電(18)に沿ったプラズマ密度分布を調整するために放出カソード(3)とアノード(7)との間に配置される、請求項1から3のいずれかに記載の構成。
5.アノード(7)とさらなるアノード(24)とは別々の調整可能な電源(25)に接続され、好ましくは各アノード(7、25)に対して反対のカソード(3)が設けられており、これは対応するアノード(7、25)および別個の電源(8、25)とともにそれ自体の調整可能な電源回路を形成する、請求項1から4のいずれかに記載の構成。
6.放出カソード(3)は放電室(21)とは別のカソード室2内に配置され、前記カソード室(2)は、開口部(4)を介して放電室(21)と連通しており、開口部(4)を通して電子が現われることができ、希ガス入口ポート(5)が好ましくはこのカソード室(2)上に配置される、請求項1から5のいずれかに記載の構成。
7.処理室(1)およびその中心軸(16)は垂直方向に配置され、カソード(3)またはカソード室(2)がアノード(7、24)の上方に配置され、カソード室(2)の開口部(4)が好ましくは下方を向いている、請求項2から6のいずれかに記載の構成。
8.好ましくは少なくとも1つのアーク蒸着装置(23)からなる少なくとも1つのコーティング源(23)がプラズマ源(18)の隣の処理室壁上に配置され、プラズマ源(18)は運搬方向においてさらに前方に位置付けられる、請求項1から7のいずれかに記載の構成。
9.電圧発生器(20)は300V DCまでの電圧、好ましくは100Vから200Vの電圧に対して設計される、請求項1から8のいずれかに記載の構成。
10.低電圧アーク放電構成(18)はワークピース(11)から少なくとも10cm、好ましくは15cmから25cm離れて位置付けられる、請求項1から9のいずれかに記載の構成。
11.保持および運搬装置は、特にドリル、フライスおよびフォーミングダイのための工具ホルダとして設計される、請求項1から10のいずれかに記載の構成。
12.少なくとも1つの磁界発生器がプラズマ密度分布を調整するため放電室(21)の中または上に配置される、請求項1から11のいずれかに記載の構成。
13.放電室(21)は処理ゾーンの全幅(b)に沿った開口部を有し、開口部は後者に面しており処理ゾーンがアーク放電にさらされるようにする、請求項1から12のいずれかに記載の構成。
14.真空処理室(1)内でワークピース(11)を少なくとも部分的にコーティングするためのプロセスであって、処理室上に配置されるプラズマ源(18)とコーティング源(23)とを備え、保持および/または運搬装置が室(1)内に配置され、前記装置がワークピース(11)を源(18、23)の前に位置付けるまたはその前を通過させるための処理ゾーン(b)を定めており、源は同じ側から作用し、ワークピース(11)からある距離のところに配置されており、前記プロセスにおいて、プラズマ源(18)は、実質的に少なくとも処理ゾーンの幅(b)の80%にわたって、ワークピースの運搬方向に対して横方向において熱カソード低電圧アーク(18)を発生し、前記プロセスにおいて、電圧がアーク放電とワークピースとの間に印加され、プラズマから電荷担体を抽出してこれらを基板に向けて加速させることができるようにする、プロセス。
15.ワークピースは好ましくは処理室の中心軸(16)について連続的に回転し、源(18、23)の前を通過し、プラズマ処理が第1のステップにおいて電荷担体衝撃を介して生じ、ワークピース(11)のコーティングが第2のステップにおいて行なわれる、請求項14に記載のプロセス。
16.電荷担体は、負のワークピース電圧の助けにより直接アーク放電(18)から抽出されワークピース(11)をスパッタエッチングするイオンからなる、請求項14または15に記載のプロセス。
17.コーティングゾーン(b)にわたるエッチ分布の均質性は、アーク長さ、アークとワークピースとの間の距離(d)およびワークピースに対するアークの位置を選択し、かつアークに沿ったプラズマ密度分布を調整することによって予め定められた値に設定することができる、請求項14から16のいずれかに記載のプロセス。
図5
スピンドルトルク[a.u.]
工具寿命の終り
高電圧エッチング、3.5μm TiN(アークコーティング)
低電圧アークコーティング、3.5μm TiN(アークコーティング)、(発明)
全フライス削り深さ[m]
窒素分圧対工具本体のバイアス電圧の線形スケーリング(linear scaling)された図である。 図1のQI≧1領域内にチタンアルミニウム窒化物硬質材料層を蒸着(deposition)し、QI値、5.4を得た場合の典型的な強度対角度2θの図である。 図2と類似するが、チタンアルミニウム窒化物の蒸着(deposition)がバイアス電圧および窒素分圧によって制御されQI≦1を得た図である。 図2および図3と類似する、図1の有効に作用する点P1に関しての図である。
符号の説明
1 真空処理室、18 プラズマ源、11 ワークピース、20 電解、23 コーティング源。

Claims (12)

  1. 工具本体および耐摩耗性層システムを備え、最外層としてチタン炭窒化物、チタンアルミニウム酸窒化物およびCVD法によって製造された酸化アルミニウムのいずれかが設けられた工具であり、前記層システムはMeXの少なくとも1つの層を含み、
    Meはチタンおよびアルミニウムを含み、Me内のチタンの含有量xは、
    70原子%≧x≧40原子%であり、
    前記Me内のアルミニウムの含有量yは、
    30原子%≦y≦60原子%であり、
    Xは窒素および炭素の少なくとも1つであり、
    前記層は、
    5≦QI≦22.5
    のQI値を有し、
    前記工具本体は、
    高速度鋼(HSS)、
    超硬合金
    の材料の一方であり、
    前記工具は、硬質炭化物エンドミルおよび硬質炭化物ボールノーズミルではなく、
    前記少なくとも1つの層と前記工具本体との間に窒化チタンのさらなる層をさらに含み、
    前記さらなる層は厚さdを有し、dの有効範囲は、
    0.05μm≦d≦5.0μm
    である、工具。
  2. インサート、ドリル、歯切工具である、請求項1に記載の工具。
  3. 超硬合金インサート、超硬合金ドリルおよび超硬合金歯切工具の1つである、請求項2に記載の工具。
  4. 前記QIの有効範囲は、
    I≧10である、請求項1から3のいずれか1項に記載の工具。
  5. Me内のチタンの含有量xは、
    65原子%≧x≧55原子%
    である、請求項1から4のいずれか1項に記載の工具。
  6. 前記Me内のアルミニウムの含有量yは、
    35原子%≦y≦45原子%
    である、請求項1から5のいずれか1項に記載の工具。
  7. 前記MeX材料は、チタンアルミニウム窒化物、チタンアルミニウム炭窒化物、チタンアルミニウムボロン窒化物の1つであり、好ましくはチタンアルミニウム窒化物およびチタンアルミニウム炭窒化物の1つである、請求項1から6のいずれか1項に記載の工具。
  8. Meはさらに、ボロン、ジルコニウム、ハフニウム、イットリウム、シリコン、タングステン、クロムからなるグループからの少なくとも1つのさらなる元素を含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の工具。
  9. 前記層システムは前記少なくとも1つの層および前記さらなる層により形成される、請求項8に記載の工具。
  10. 前記少なくとも1つの層内の応力σは、
    1GPa≦σ≦6GPaである、請求項9に記載の工具。
  11. 前記少なくとも1つの層内の応力σは、
    1GPa≦σ≦4GPaである、請求項10に記載の工具。
  12. 前記少なくとも1つの層内の応力σは、
    1.5GPa≦σ≦2.5GPa
    である、請求項10に記載の工具。
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