JP2001516654A - 保護層システムを有する工具 - Google Patents
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Abstract
Description
テムは、少なくとも1層のMeX層を含み、 −Meはチタンおよびアルミニウムを含み、 −Xは窒素および炭素のうち少なくとも一方である。定義 ・用語QIは、θ−2θ法を使用する材料のX線回折において(200)面およ び(111)面にそれぞれ割当てられる、回折強度I(200)対I(111)
の比として規定される。したがって、有効値QI=I(200)/I(111) が存在する。強度値は、以下の機器を使用して以下の設定により測定された: シーメンス回折器 D500 パワー: 動作電圧: 30kV 動作電流: 25mA 開口絞り: 絞り位置 I: 1° 絞り位置 II: 0.1° 検出器絞り: ソーラスリット 時定数: 4s 2θ角速度: 0.05°/分 放射: Cu−Kα(0.15406nm) 「MSに従って測定された」という表現は、これらの機器および設定を使用し
て測定がなされたことを意味する。本願を通じたQIおよびIのすべての量的な 結果は、MSに従って測定されたものである。 ・「工具本体」とは、コーティングされていない工具である。 ・「硬質材料」とは、動作中に機械的および熱的に高い負荷がかけられる工具に
対して、耐摩耗性を付与するためにコーティングされる材料である。該材料の好
ましい例として、MeX材料が以下に言及される。
くとも1層含む、耐摩耗性層システムを提供することがよく知られている。
上記少なくとも1つの層のために、その有効値が QI≧1 であるQI値を選択することによって達成される。工具本体は、高速度鋼(HS S)または超硬合金で形成され、該工具は、硬質炭化物エンドミルや硬質炭化物
ボールノーズミルではない。さらに、I(200)の値は、MSに従って測定さ
れたノイズ強度平均レベルよりも少なくとも20倍高い。
寿命も飛躍的に増す。
に動作中にかけられる機械的および熱的負荷との間の相互作用に関係なく利用さ
れてきた。本発明においては、特定のQI値を特定の種類の工具と選択的に組合 せたときに耐摩耗性が驚くほど改善される、という事実に基づいて、MSに従っ
た測定において、平均ノイズ強度レベルより少なくとも20倍高い、I(200
)の値を達成する。
工具がインサート、ドリルまたは、ホブもしくは形削りカッタ等の歯切工具であ
れば、その寿命が大いに延びることがわかった。したがって、そのようなインサ
ートまたはドリルに特に改善が認められる。
意の結晶配向が層材料に与えられる場合には、QIは無限大に向かって増加する と考えられる。したがって、QIに上限はなく、それはただ実行可能性によって のみ設定されるものである。
る。応力が高くなるほど、硬度が増す。
ある。本発明に従った工具については、密着性の高さの方が、得られ得る最高の
硬度よりも、より重要である。したがって、MeX層における応力は、下に述べ
る応力範囲の下方側で有利に選択される。
ミニウム窒化物、チタンアルミニウム炭窒化物、または、チタンアルミニウムボ
ロン窒化物であって、最初に述べた2つの材料が、今日においては、チタンアル
ミニウムボロン窒化物よりも好ましい。
、ジルコニウム、ハフニウム、イットリウム、シリコン、タングステン、クロム
、のうち少なくとも1つの元素を付加的に含んでもよく、したがって、この群の
中から、イットリウムおよび/またはシリコンおよび/またはボロンを使用する
のが好ましい。チタンおよびアルミニウムに付加されるこのような元素は、Me
を100原子%として、好ましくは、有効値が 0.05原子%≦i≦60原子% である含有量iで、層材料に導入される。
挿入することによって、さらなる改善が達成される。
な工具を提供するという、本発明の包括的な目的に鑑みて、該工具が、MeX材
料の層を1層のみ有し、かつ、MeX層と工具本体との間に配される付加的な層
を有することが、さらに提案される。
ら両方の範囲が達成される。
deposition)技術によっても行なわれ得るが、特に、反応性陰極アーク蒸着(ev
aporation)または反応性スパッタリング等の、反応性PVDコーティング技術 によって行なわれ得る。コーティングの成長に影響を及ぼすプロセスパラメータ
を適切に制御することによって、本発明で利用されるQIの範囲が達成される。
おいてプラズマエッチング技術を使用した。これは、添付資料Aに記載するよう
に、アルゴンプラズマに基づいて行なわれた。なお、添付資料Aは、このような
エッチングおよびその後のコーティングに関して、参考のために本明細書に統合
するものである。該文献は、本願と同じ発明者(2名)および出願人による、米
国特許出願番号第08/710 095号に準ずる。例1 添付資料Aに記載した、磁気的に制御されるアーク源を用いるアークイオンプ
レーティング装置を、表1に示すように動作させて使用して、超硬合金のインサ
ート上に、やはり表1に示すように、MeX層を蒸着(deposit)させた。蒸着さ
れたMeX層の厚さは常に5μmであった。ここで、サンプル番号1から7にお
いては、本発明に従って示されるQI値が達成され、これに対し、比較のために 、サンプル番号8から12においては、この条件は満たされなかった。I(20 0)値は、MSに従った測定において、常に、ノイズの平均値の20倍よりもは
るかに大きかった。コーティングされたインサートは、以下の条件下でフライス
削りするのに使用されて、層間剥離に至るまでに到達可能なフライス削り距離が
求められた。この工具の寿命に従って結果として得られたフライス削り距離を、
やはり表1に示す。テスト切削条件: −切削対象となる材料: SKD 61(HRC45) −切削速度: 100m/分 −送り速度: 0.1m/刃 −切削深さ: 2mm コーティングされかつテストされるインサートの形状は、SEE 42 TN
(G9)に準じた。
ングされたインサートよりも、層間剥離に対してはるかによく保護されることが
、表1から明らかに理解される。
硬度が減じられ、22.5という高いQIに対して予測されるよりも、切削距離 が短くなったことを示しているが、それでも、上に規定した応力の要件は満たし
ている。
ル番号13から22までをコーティングした。コーティング全体の厚さはやはり
5μmであった。例1のコーティングに加えて、MeX層と工具本体との間に、
窒化チタンの中間層が、また、最も外側に、表2に示したそれぞれの材料の層が
付与されたことがわかるであろう。MSに従って測定される、I(200)およ
び平均ノイズレベルに関する条件はほぼ満たされた。
改善がなされたことがわかるであろう。チタン炭窒化物、チタンアルミニウム酸
窒化物のうち一方の最外層を、また特に、酸化アルミニウムの最外層を設けるこ
とによって、さらに付加的な改善が達成された。また、比較サンプル番号19か
ら22に対して本発明で示されるQI値を達成することによって、大いに改善が なされることもまた、わかるであろう。
。
、QIはMSに従って測定された。
層でコーティングした。本発明において示されたQI条件がやはり満たされ、ま たさらに、平均ノイズレベルに対するI(200)の条件が満たされた。これら
はMSに従って測定された。ここで、ジルコニウム、ハフニウム、イットリウム
、シリコンおよびクロムのうちの1つが、Me内に上述の量で導入された。
持された。その後、酸化層の最終厚さが測定された。これらの結果もまた、表3
に示す。比較のために、MeX材料の異なるMe成分で本発明に従ってコーティ
ングされたインサートが同様にテストされた。サンプル23から32に従ったい
かなる元素をMeに付加しても、結果として得られる酸化膜の厚さが大いに減じ
られることが判る。酸化に対して最良の結果は、シリコンまたはイットリウムを
付加することによって得られた。
値があることを指摘しておかなければならない。すなわち、酸化抵抗が増し、か
つしたがって結果として得られる酸化膜が薄くなればなるほど、切削性能は向上
する。
した。
と工具本体との間にTiN中間層を、0.1μm厚さで設けた。テスト条件は以
下の通りとした: 工具: HSSツイストドリル、直径6mm 材料: DIN 1.2080(AISI D3) 切削パラメータ: vc=35m/分 f =0.12mm/回転 深さ15mmの止り穴、冷却液使用。
た。
および37に示す。サンプル番号38および39はやはり、比較サンプルを示す
。サンプル36および37について、MSに従って測定されたI(200)はや
はり、平均ノイズ強度レベルの20倍をはるかに上回った。例5 例1に記載した装置および方法をやはり使用して、直径12mmのHSS荒削
りミルを、4.5μmのMeX層でコーティングした。MeX層と工具本体との
間に、厚さ0.1μmの窒化チタンの中間層を設けた。テスト条件は以下の通り
とした: 工具: HSS荒削りミル、直径12mm z=4 材料: AISI H13(DIN 1.2344) 640N/mm2 切削パラメータ: vc=47.8m/分 ft=0.07mm ap=18mm ae=6mm 下向きフライス削り(climb milling)、乾式。
た。
示し、サンプル番号41はやはり、比較のためのものである。サンプル番号40
のI(200)はやはり、MSに従って測定される、ノイズに対する条件を満た
した。
0mmの硬質炭化物エンドミルを、3.0μmのMeX層でコーティングした。
MeX層と工具本体との間に、厚さ0.08μmの窒化チタンの中間層を設けた
。エンドミルのためのテスト条件は以下の通りとした: 工具: 硬質炭化物エンドミル、直径10mm z=6 材料: AISI D2(DIN 1.2379) 60 HRC 切削パラメータ: vc=20m/分 ft=0.031mm ap=15mm ae=1mm 下向きフライス削り、乾式。
使用された。ただし、硬質炭化物エンドミルは、QI≧1を有する硬質材料層で 本発明に従ってコーティングされる工具群には属さないことに留意されたい。表
6に示す結果から、この種の工具については、QI>1が改善につながらないこ とが明らかであろう。やはり、MSで測定される、I(200)対ノイズの条件
が、サンプル番号42については満たされ、サンプル番号43については、I(
111)対ノイズの条件が満たされた。
グした。MeX層と工具本体との間に、TiN中間層を設けた。 テスト条件: 工具: 硬質炭化物ドリル、直径11.8mm ワークピース: 鋳鉄 GG25 機械加工条件: vc=110m/分 f=0.4mm/回転 止り穴 3 x 直径 冷却液なし 硬質炭化物ドリルは、0.8mmの最大幅の逃げ面摩耗が得られるまで使用さ
れた。MSで測定される、I(200)対ノイズの条件が、やはり満たされた。
のMeX層でコーティングした。MeX層と工具本体との間に、厚さ0.12μ
mのTiN中間層を設けた。テスト条件は以下の通りとした: 工具: 炭化物インサート(CNGP432) 材料: DIN 1.4306(X2CrNi 1911) 切削パラメータ: vc=244m/分 f=0.22mm/回転 ap=1.5mm 乳化液使用 工具の寿命は、分単位で評価した。示される値は、3つの測定値の平均値であ
る。やはり、MSで測定される、I(200)/ノイズの条件が満たされた。
tion)方法としての反応性陰極アーク蒸着(evaporation)のために適用された 、窒素分圧対工具本体のバイアス電圧の線形スケーリング(linear scaling)さ
れた図を示す。
定に維持された。これ以外のプロセスパラメータ、すなわち、反応性ガスの分圧
、または全圧、およびワークピースとしてコーティングされるべき工具本体の、
室の壁の接地電位について、予め定められた基準電位に関してのバイアス電圧は
変えられた。
スの分圧および工具本体のバイアス電圧に関しては、異なった、有効に作用する
点が確定され、蒸着(deposition)された硬質材料層におけるQI値がMSに従 って測定され、得られた。
近似において延びる領域Pがあり、結果として得られる層が、I(200)およ
びI(111)の極めて低いXRD強度値となることがわかる。Pの境界を厳密
に決定するためには、多数の測定を行なわなければならないことは明らかである
。ここでは、MSに従って測定した場合、平均ノイズレベルの20倍もの大きさ
となる強度値I(200)およびI(111)は存在しない。
1つが平均ノイズレベルの20倍よりも大きい。
に等しいのであれば全圧の低下および/またはコーティングされる工具本体のバ
イアス電圧の増加によって、QIが減少する。このように、工具本体と、少なく とも1つの硬質材料層を含む耐摩耗性層システムとを含む工具を製造するための
この発明の方法は、真空室内で少なくとも1つの硬質材料層を反応性PVD蒸着
(deposition)するステップと、それによって、反応性ガスの分圧および工具本
体のバイアス電圧という2つのプロセスパラメータのいずれか一方または両方に
加えてPVD蒸着(deposition)プロセスステップ用のプロセスパラメータ値を
予め選択するステップとを含む。そして所望のQI値を実現するためにこれらの 2つのパラメータのいずれか一方または両方が調節され、この発明により、バイ
アス電圧が減少されるおよび/または反応性ガスの分圧が増加されて、上に説明
したように少なくとも1よりも大きく好ましくは少なくとも2よりも大きくまた
はさらに5でありより好ましくは10であるQI値を得る。Pに関しての「左手 」領域におけるこの発明により利用されるQI値に加え、MSに従って測定した 場合、I(200)は強度平均ノイズレベルの20倍よりも大きく、多くは20
倍よりもはるかに大きい。
がバイアス電圧および窒素分圧によって制御されQI≦1を得た図を示す。得ら れたQI値は0.03である。ここで、MSに従って測定した、I(111)値 は、強度平均ノイズレベルよりも大きい。
)が著しく減じられていることがわかるであろう。ノイズ平均レベルN*の20 倍の値に達する値I(200)およびI(111)は存在しない。
で、この発明の利用するQI値が制御される。
の制御プロセスパラメータの逆の調節方向においては、QIが増加されることは 明らかである。
の概括的な記述によるワークピースをコーティングするためのプロセスとに関す
る。
ティング(被覆)の前に行なわれる。さらに、ワークピースは掃除のステップの
前または後に所望の温度に加熱されることがある。このようなステップは主に、
堆積されるコーティングの十分な結合力を確実にするため必要である。これは特
に、ワークピースおよび特に工具に耐摩耗コーティングが施される応用において
重要である。ドリル、フライス、ブローチおよびフォーミングダイなどの工具で
は、このようなコーティングは非常に高い機械的およびアブレシブ(abrasive)
応力を受ける。このため、有効かつ経済的な使用のために基板との非常に良好な
結合が不可欠である。このような工具を前処理する確かな方法としては、電子衝
撃により加熱し、たとえばスパッタエッチングなどのイオンエッチングによりエ
ッチングすることが挙げられる。プラズマ放電からの電子衝撃による加熱はたと
えばDE33 30 144から公知である。
のに用いてもよく、この重い希ガスイオンはこのプラズマからワークピースまた
は基板に向けて加速され、ワークピースまたは基板上にスパッタエッチングを施
す。これはDE28 23 876に記載される。
ズマ放電を行ない、ワークピースを化学的にエッチングする。しかしながら、反
応性エッチングとスパッタエッチングを組合せるプロセス技術も実行可能である
。これらすべての前処理プロセスの目的は、後に堆積されるコーティングが基板
に良好に付着するような態様でワークピース表面を準備することである。
放電は装置の中心軸において配置されるが、ワークピースは円筒形表面に沿って
このアークのまわりにある距離をおいて配置される。コーティングはその後、熱
蒸着またはスパッタリングによって堆積される。プロセス管理に応じて、コーテ
ィングの間に対応の基板バイアスからさらなるイオン衝撃が発生されるが、この
技術はイオンプレーティングとして公知である。この構成の利点は低電圧アーク
から小さい粒子エネルギを有する大きなイオン流を引出すことができ、これによ
りワークピースに優しい処理が行なわれる。しかしながら、均一かつ再現性のあ
る結果を達成するためには、ワークピースを放電に対して径方向に規定されるゾ
ーンに配置しなければならず、大抵、ワークピースを中心軸およびワークピース
自体の軸について回転させなければならないという不利な点がある。
可能なワークピースの大きさが制限されるか、または多数の小さいワークピース
に関してバッチサイズが限られるため、公知の構成の原価効率が著しく制限され
ることである。これは、処理室の中央を貫通する低電圧アーク放電自体がある程
度の広さを必要とすることに起因する。良好な再現性のある結果を生じるために
は、ワークピースは放電から適当な距離を有していなければならず、これは中央
処理室の空間の大きな部分を利用できないことを意味する。
のようなダイオード放電は1000ボルトまでの、および1000ボルトより高
いこともある高電圧で動作する。ダイオードエッチング装置は要件の厳しい応用
には不適当であることがわかっている。一方、達成可能なエッチングレートが低
く、よって効率も低く、他方ではこうした高電圧は敏感な基板に欠陥を生じるこ
とがある。特に、工具などの3次元処理を必要とするワークピースはこのような
構成では容易に処理することができない。たとえば、工具はいくつかの微細な刃
先を備えるよう設計されており、このような放電はその微細な刃先に集中する傾
向があるため、結果としてこのような微細なエッジおよび先端において過熱およ
び機能エッジの破壊などの制御できない影響が生じ得る。
ーチが記載される。そのアプローチではいわゆるアーク蒸着プロセスによりコー
ティングが堆積されることを想定している。そのような蒸着装置によって良好に
結合するコーティングを生成するため、蒸着装置自体のアークを実際のコーティ
ングの前に用いて、特に金属イオンなど、アークにおいて生じるイオンを蒸発タ
ーゲットからワークピースに向けて、典型的には500ボルトより高いが、多く
の場合800ボルトから1000ボルトの範囲内である負の加速電圧により加速
させ、堆積される材料よりも量の多い材料がワークピースからスパッタリングに
より取り除かれるようにする。このエッチングプロセスの後、蒸着装置はコーテ
ィング源として動作する。この記述では、アークコーティング技術に基づく通常
のプロセスではアーク蒸着プロセスにより良好に付着するコーティングを生成す
るためにこのような高電圧が不可欠であると述べている。
ッチングの問題を防ぐため、その記述ではアークプラズマに加えて、蒸着アーク
に結合される補足のイオン化を生じる高電圧によって補助放電経路を動作させる
ことを提案している。さらなるDC源によりプラズマからイオンが抽出され、ワ
ークピースに向けて加速させられ、これによって所望のエッチング効果を得るよ
うにする。この効果を増すために、別個の電源から動作する別の放電経路を伴う
さらなるアノードについても考慮される。エッチングプロセスの間、アーク蒸着
装置をシャッタを閉じた状態で動作させるため、基板は蒸着装置の直接の影響か
ら遮蔽され、これにより基板上にいわゆる小さい粒が生じるのを防ぐ。
達成できず、異なるプラズマ経路の結合により動作環境の調整能力もまた制限さ
れることである。さらに、この構成は非常に複雑であり、よって製造し動作させ
るのに高い費用がかかるため、製造システムの経済性をひどく損なうことになる
。1000ボルトを超える電圧の利用にはさらに安全上の注意が必要となる。
ープットにさほど適してはいない。1000mmまでの、またそれ以上のコーテ
ィング幅に対応するシステムが製造できるとすれば、これは非常な困難を伴う。
または質量分布が不均一である個別の大きいワークピースに対して良好に付着す
るコーティングを堆積するのに適したプロセスを提案することによって、微細構
造を損なうことなく所望の均質性および必要とされる非常に経済的な処理速度を
実現しつつ、現在の技術の前述の不利な点をなくすことである。
請求項14の特徴部分に従って設計されるコーティングプロセスによって達成さ
れる。
放電構成として設計されるプラズマ源に、これを後者の放電経路の線状の広がり
に対して横方向に運搬することによってさらされる。ワークピースは負の電圧に
接続されているため、イオンがアーク放電から抽出され、ワークピースに対して
加速され、後者がスパッタエッチングされるようにする。この後、ワークピース
は低電圧アーク放電が有効であった側と同じ側からコーティングされる。
13に記載されており、プロセスの好ましい設計変形例は請求項14から17に
記載される。
は、このようなアーク放電を200ボルトより低い放電電圧で動作させることが
でき、すなわちこのプロセスが高電圧エッチングの不利な点に悩まされることは
ないため特に有利である。また低電圧アーク放電によるエッチングは特にワーク
ピースに対して害を及ぼさない。すなわち、より大きいワークピースの刃先など
の微細構造に熱過負荷による悪影響が生じることもなく、また高エネルギイオン
衝撃によってエッジが丸められることもない。
120ボルトの範囲内の比較的低い放電電圧にもかかわらず、数十から数百アン
ペア、好ましくは100アンペアから300アンペアの非常に高い放電電流が実
行可能である。このことは、このタイプの放電では低エネルギで非常に高いイオ
ン流を生成できることを意味する。高いイオン流が利用可能であることから、比
較的低い加速電圧で基板上の高いエッチングレートが達成でき、上にも述べたよ
うに、ワークピースに優しい処理が行なわれる。基板上の抽出電圧または加速電
圧は−50ボルトから−300ボルトの範囲内であり、好ましくは−100ボル
トから−200ボルトの範囲内である。ワークピースに導かれるイオン流の値は
5アンペアから20アンペアに達し、好ましい動作範囲は8アンペアから16ア
ンペアである。ワークピースの処理幅は最大1000mmであってもよい。さら
に幾分か精巧な装置設計では、より大きい処理幅も実行可能である。この達成可
能な値はアーク放電の動作値のみに依存するのではなく、ワークピースに対する
それらの幾何学的構成および選択される使用圧力にも依存する。典型的な使用圧
力は10-3mbarのオーダのものである。アーク放電を動作させるのに使用ガ
スとして希ガスが用いられ、好ましくはアルゴンなどの重い希ガスが用いられる
。
ク放電が中心に配置され、ワークピースを中心軸に位置付けられるこのアーク放
電のまわりで回転させていた。ここでは、中央に配置されるアーク放電を備えた
回転対称形構成によって、均一性およびエッチング動作の速度に関して可能であ
る最良の結果がもたらされるはずであると仮定されていた。しかしながら、驚い
たことに、この発明により提案される非対称の構成の方が全体的に前述の回転対
称構成よりはるかに有利であることがわかった。アーク放電が中心軸に設けられ
た回転対称形構成では、体積の大きいワークピースの配置はアーク放電自体によ
り中心方向に制限される。さらに、このようなワークピースは中心軸についてだ
けではなくそれらの自体の軸についても回転させなければならず、これによって
エッチングプロセスの後にエッチングされたワークピース表面が室の壁上に配置
されるコーティング源によりすぐにコーティングできるようにしなければならな
い。このようなやり方でしかエッチングプロセスおよびコーティング厚さの十分
な分布を確実にすることができない。
ることのない非対称の構成と比べて回転対称構成の方がアーク放電からのワーク
ピースの距離がより重要なものとなることがわかった。
なくアーク放電の前を通過させることが可能であり、これにより処理室の大きさ
を妥当な範囲内に抑えることができ、重いワークピースの取扱いが非常に簡単に
なる。このことは製造システムの経済性に重要な影響を及ぼす。この発明による
構成は体積の大きいワークピースに対してのみ有利なのではなく、対応する多数
のより小さいワークピースを収容し同時に処理することも可能である。
れた部分として構成する必要がないことであり、これはエッチング装置を処理室
の壁の領域内に配置するだけでよく、すなわち後者の外壁上に細長いより小さい
放電室として配置することができるためであり、これによって処理室の設計にお
いてはるかに大きな自由度がもたらされる。この構成ではアーク放電とワークピ
ース表面との間の距離がさほど重要ではなく、より大きいワークピースで典型的
に生じるより大きい間隔変動に対しても結果のより高い再現性が達成できること
がわかった。アーク放電から抽出できる全体のイオン流も依然として有利に高い
値に達しておりワークピースに十分に集中させることができるため、所望の高い
エッチングレートがもたらされる。処理室または処理ゾーンから低電圧アーク放
電またはプラズマ源が実際に分離されていることから、この源の設計により高い
自由度がもたらされ、したがって、放電が装置の中央軸に設けられる一体型回転
対称構成の場合と比べて、源設計をプロセス要件にかなり柔軟に適合させること
ができる。
室の壁上に同じ側から作用する1つ以上のさらなる蒸発源が配置される。特に適
しているのは、細長い低電圧放電のように、対応する細長い領域にわたって源の
前を運ばれるワークピースをコーティングするような態様で配置することができ
る源である。スパッタリング源またはアーク蒸発源などが適した源である。実施
によりいわゆるカソードスパーク蒸着装置またはアーク蒸着装置が特に適してい
ることがわかっているが、これは、これらおよび前述のエッチングプロセスによ
り良好に結合するコーティングを経済的に生成できるためである。この構成によ
り処理された試験工具では、前述の高電圧エッチングを伴う公知のアーク蒸着の
コーティングにより達成される有効寿命よりもかなり長くかつ再現性のある長い
有効寿命が達成された。たとえば、フライスなどの切削工具の有効寿命は少なく
とも1.5倍に向上し、特に好ましい場合では従来技術に対して倍にさえなった
。さらに、非常に均質なエッチング分布が達成され、これは従来と比べてワーク
ピースジオメトリにほとんど依存しておらず、また、バッチにおいて異なる基板
を混ぜることも可能となる。
を実現することが容易に可能であり、これは低電圧アーク放電がN2およびH2な
どのガスを非常に良好に活性化させるためである。絶縁表面に生じる望ましくな
い寄生放電は低電圧放電によって容易に制御できる。低電圧アーク放電は好まし
くは、熱カソードを収容しかつ小さな開口部を通してのみ放電室または処理室と
連通する別個のカソード室またはイオン化室によって動作される。ガスは好まし
くはこのカソード室を介して入れられる。この結果、処理室とコーティング源と
の間でガスがある程度分離されることとなり、このことによりターゲットの汚染
の問題が減少または除去される。この構成ではまた、実際のコーティング段階に
おいて異なった処理ガスによってワークピースに対し活性化を行なうことができ
る。所望の動作条件はワークピースに対し、対応する負のまたは正であってもよ
い電圧を選択することによって設定できる。
び均一かつ再現性のある処理を達成するために処理ステップにおいて源の前を数
回通過させなければならないため、ワークピースを中心軸について回転できるよ
うにし、かつ源がすべて外側から内側に向かって作用するような態様で源を室の
壁上に配置するように装置を設計することが有利である。この場合、非常に大き
いワークピースを処理するために、これがその中心軸について回転するような態
様で配置してもよい。しかしながら、同じ空間において、大きさが異なっていて
もよい多数の小さいワークピースをホルダ上に配置してこの中心軸について回転
させながら源を横切るように通過させ、均質な結果を得るようにしてもよい。こ
のような構成は特に小型であり容易に製造することができるが、これは経済的な
プロセスには不可欠である。
て横方向に配置される。好ましくは、低電圧アーク放電装置はたとえば、箱形の
付属物内に配置されてもよく、ここではこれは放電室の形であり、これは低電圧
アークがワークピースまたは処理すべきゾーンの正反対の側に配置されるような
態様で長い狭い開口部によって処理室と接続されている。低電圧アーク放電はあ
る距離をおいて配置される電気的加熱または熱電子放出カソードとアノードとに
より発生される。対応する放電電圧がこのアノードに印加されアーク電流を引出
させる。この放電では、使用ガスとともにアーク放電が供給されるガス入口ポー
トを特徴とする。この構成は好ましくはアルゴンなどの希ガスで動作するが、上
述のように反応性ガスを加えてもよい。放電経路の大きさは処理ゾーン幅の少な
くとも80%でなければならず、所望の処理分布または均質性が得られるような
態様で処理ゾーンに対して位置付ける必要がある。ワークピース上に対応するス
パッタエッチングを行なうには、後者またはワークピースホルダをアーク放電構
成に関して負の電圧で動作させる。コーティングの際の反応性プロセスなど、プ
ロセスによっては、そのような電圧を用いずにこの構成を動作させてもよく、ま
たは正の電圧すなわち電子衝撃を用いてこの構成を動作させることさえできる。
DC電圧以外に中間または高周波AC電圧を用いてもよく、また、DCのACに
対する重ね合せも実行可能である。DC電圧はまたパルス状に与えられてもよく
、その一部分のみをAC供給に重ね合せることも可能である。そのような供給を
用いることで、ある特定の反応性プロセスを制御することが可能となる。また、
特に、装置およびワークピースの表面に誘電ゾーンが存在するまたは形成されて
いる場合に寄生アークを防ぐこともできる。
ことができる。分布を制御する別のパラメータはアーク放電に沿ったプラズマ密
度分布である。この分布にはたとえば、放電室の領域内に配置されるさらなる磁
界を用いることによって影響を与えることができる。プロセスパラメータの設定
および修正のため、放電室に沿って永久磁石が置かれる。しかしながら、分布要
件に従って放電経路に沿って配置される別々の電源が供給されるさらなるアノー
ドによって放電経路を動作させるとより良好な結果が得られる。このような構成
では、分布曲線でさえもある程度は影響を与えることができる。このため、修正
磁石(correction magnets)を備えておらず放電経路に沿って2つ以上のアノー
ドを備えた構成が好ましい。しかしながら、この好ましい構成をさらなる修正磁
石と組合せることも可能である。さらなるアノードは単一のカソードと組合せて
容易に動作させることができる。しかしながら、放出カソードを各アノードの反
対側に設け、これらの回路の結合を最適な態様で外し、これによって制御性を向
上させることが有利である。
個の小さいカソード室内に配置される。このカソード室は好ましくは、希ガスの
ための入口ポートを備える。所望であれば、このガス入口を介して反応性ガスを
入れてもよい。好ましくは反応性ガスはカソード室には入れられることがないが
、たとえば放電室には入れられる。カソード室の開口部を介して電子がアノード
に引きつけられるため、少なくとも部分的にイオン化されたガスがこの開口部か
ら現われる。処理室は好ましくは、ワークピースが回転する中心軸が垂直方向に
配置されるような態様で設計される。カソードまたはカソード室は好ましくはア
ノードの上方に配置される。カソード室において、出口開口部は好ましくは下向
きに配置される。こうした構成によりシステムの全体の取扱いが簡略化され、微
粒子生成によって生じ得る問題を回避することができる。
る少なくとも1つのさらなる源を備える。これらの源は外側から中心軸または処
理ゾーンに向かう同じ方向において径方向に作用する。低電圧アーク放電が運搬
方向に関してコーティング源の前に配置されるのが有利である。アーク放電構成
と同様に、通常アーク蒸着装置は線状の広がりを有し、これは運搬方向に対し横
方向であるため、処理ゾーン全体が所望の均質性をもってコーティングできる。
提案されるコーティング構成では、好ましくはいくつかの丸いアーク蒸着装置が
用いられ、これらは所望の均質性が達成されるような態様で室の壁に沿って分配
される。その利点は、蒸着装置の高い消費電力を分割することができ、コーティ
ング厚さ分布をより良好に制御したりまたはこれを電源によってある程度まで調
整することさえできることである。このように、非常に高いコーティング速度を
達成することができ、この結果経済性が向上する。たとえば、特にフォーミング
ダイなどの工具のためのプロセスは以下のように構成される。
させるのではなく、ただワークピースホルダをその中心軸について回転させるこ
とによって源の前を通過させる。幅bが1000mmで直径dが700mmであ
るコーティングゾーンが形成され、この中にワークピースが配置される。処理室
は直径が1200mmであり高さが1300mmである。 エッチングパラメータ: 低電圧アーク電流 ILVA=200 A アーク放電電圧 ULVA=50 V アルゴン圧力 PAr=2.0×10-3mbar エッチング電流 Isub=12A エッチング時間 t=30分 エッチング深さ 200 nm コーティング: 各アーク蒸着装置に対する電流 IARC=200 A (8個の蒸着装置と直径150mmのチタンターゲット) アーク放電電圧 UARC=20 V 窒素圧力 PN2=1.0×10-2mbar バイアス圧力 UBias=-100 V コーティング時間 t=45分 コーティング厚さTiN 6μm 加熱および冷却を含む、1バッチに対するプロセスサイクル時間は150分で
ある。
ルトDCの電圧で動作するが、ワークピースを保護するために電圧は好ましくは
100ボルトから200ボルトの範囲内に抑えられ、この範囲であっても欠陥を
生じることなく良好なエッチングレートが実行できる。低電圧アーク構成はワー
クピースから少なくとも10cm離して動作させなければならないが、この距離
は好ましくは15cmより大きいか、または好ましくは15cmから25cmの
範囲内であるとよく、この際に分布の良好な高いレートが達成できる。
グダイなどの工具を処理するのに特に適している。ホルダおよび運搬装置はこの
タイプの工具に対して特定的に設計される。この発明のコーティング構成では一
般的に、コーティングすべきワークピースを装置を中心軸についてのみ回転させ
る場合でも良好な結果を達成できる。特に重大な場合またはシステム内に非常に
多数の小さい部品が装填される場合、この設計概念においては、中心軸のまわり
を回転するさらなる回転軸を加えることによって中心軸についての回転を容易に
補うことができる。
新技術)。
ーティングシステムの断面図である。
のアノードを備えた構成の一部分の断面図である。
別個のカソード−アノード放電経路をさらに示す図である。
を有するが、カソードが共通のカソード室内に配置されているのを示す図である
。
の実用寿命の比較曲線である。
放電18を収容するための処理室1の役割を果たし、低電圧アーク放電18は真
空室1の中央を後者の中心軸16に沿って走っており、マグネトロンスパッタリ
ング源14が処理室1の室の壁に外側から周縁においてフランジとして付けられ
る。処理室1の頂部には、熱電子熱カソード3を保持するカソード室2があり、
これにガス入口5を介して、典型的にはアルゴンのような希ガスである使用ガス
を供給できる。反応性プロセスでは活性ガスもまた添加できる。カソード室2は
シャッタ4の小さい孔を介して処理室1と連通する。カソード室は通常、絶縁体
6によって処理室から絶縁される。シャッタ4はさらに、絶縁体6を介してカソ
ード室からも絶縁されているため、シャッタ4を必要に応じてフローティング電
位または補助電位で動作させることができる。アノード7は中心軸16の方向の
カソード室2の反対側に配置される。アノード7はるつぼの形態であってもよく
、低電圧アーク放電によって蒸発すべき材料を保持する。エッチングプロセスの
間、この蒸発オプションは用いられず、ただイオンが低電圧アーク放電から抽出
されワークピースに向けて加速され、後者がスパッタエッチングされるようにす
る。低電圧アーク放電18を動作させるため、カソード3はヒータ供給ユニット
で加熱され、カソード3が電子を放出するようにする。カソード3とアノード7
との間にはアーク放電を動作させるためのさらなる電源8がある。これは通常低
電圧アーク18を維持するためにアノード7に正のDC電圧を生じる。アーク放
電18と処理室1の壁との間には、ワークピース11を保持するワークピースホ
ルダが配置され、十分な処理品質性を達成するためにこれらをその垂直中心軸1
7について回転させてもよい。ワークピースホルダ10は、回転ドライブを備え
たさらなるワークピースホルダ構成12上に支持され、この回転ドライブによっ
てワークピースホルダ10を中心軸16について回転させる。このタイプの装置
において、さらに、たとえばヘルツホルムコイルの形であるさらなるコイル13
を介して低電圧アーク放電18を集中させることが必要となる。ワークピース1
1を低電圧アーク放電18によって処理できることと、イオン衝撃が基板に負の
電圧を印加した際に生じることと、正の基板電圧を印加することによって電子衝
撃が可能になることとは明らかである。このようにワークピースは、加熱により
誘導される電子衝撃によってまたはスパッタエッチングを伴うイオン衝撃によっ
て、低電圧アーク放電の助けにより前処理することができる。その後、低電圧ア
ークによるるつぼ7からの材料の蒸発を介して、または電源15により供給され
るマグネトロンスパッタ源14によるスパッタリングを介してワークピース11
をコーティングできる。
トでは比較的複雑であるのが容易に理解されるであろう。他方では、中央に位置
付けられる低電圧アーク放電と室の外側の壁との間にしかワークピースを配置で
きないため自由度が著しく制限される。このタイプのシステムはワークピースが
大きい場合またはバッチの量が多い場合には動作が不経済である。
る。処理室1はワークピースホルダ11を含み、ワークピースホルダ11はワー
クピースが処理室の中心軸16について回転できるような態様で配置される。室
は通常処理ステップに必要となる使用圧力を維持する真空ポンプ19により減圧
される。提案される構成では、中心軸16を越えて延在する大きいワークピース
11を、たとえば処理室の壁上に配置される源によって処理できるような態様で
処理室1内に配置できる。ワークピースを装填するのに利用可能なゾーンは処理
室1をほぼ完全に埋めつくしている。このような構成では、単一の大きいワーク
ピース11または室の容積をほぼ埋める多数のより小さいワークピースのいずれ
かを位置付けることができる。
方向に対して横方向にコーティング幅bにわたって存在する。この発明によるシ
ステムでは、大きいコーティング幅bにわたって、または中心軸16からコーテ
ィング幅の周囲まで延びる大きい深さ範囲、すなわち直径D全体の範囲内にわた
って均一かつ再現性のあるコーティング結果を達成できることが特に有利である
。このような条件が重要であった従来技術による公知の同心構成によれば、この
発明による偏心構成がより良好な結果を生じることは期待されていなかった。熱
応力または望ましくないアークの発生に関する問題を起こすことなく、この大き
い領域において微細エッジおよび刃先を備えた多様なワークピースジオメトリに
対処することができる。
れも外側からワークピースに向かって作用する。重要な予備のスパッタエッチン
グプロセスのため、室の壁にはスロット形の開口部が設けられ、その長さは少な
くとも処理幅bに対応する。この開口部26の背後に箱形放電室21があり、こ
の中で低電圧アーク放電18が生成される。この低電圧アーク放電18は処理幅
bにほぼ平行に走っており、処理幅bの少なくとも80%となる有効長さを有す
る。好ましくは、放電の長さは処理幅bと同等であるか、またはこれを超えて延
びているとよい。
ョンから距離d離れている。この距離dは少なくとも10cmであり、好ましく
は15cmから25cmである。これにより、良好な処理均質性が得られ、高い
スパッタリング速度を維持できる。放電室21の下部において、カソード室2が
フランジで付けられ、これはオリフィス4を介して放電室21と連通する。カソ
ード室2は加熱力供給ユニット9を介して供給される熱カソード3を含む。この
供給はACまたはDCで動作させることができる。カソード室2は、通常アルゴ
ンなどの希ガスである使用ガス、または、ある特定の反応性プロセスに対しては
希ガス−活性ガス混合物である使用ガスを供給するためのガス入口ポート5を特
徴とする。補助のガス入口22によって処理室1を介して使用ガスを入れること
も可能である。活性ガスは好ましくはガス入口22を介して処理室1に直接入れ
られる。
はカソード3とアノード7との間に接続され、陽極がアノード7上にあり低電圧
アーク放電を引出すことができるようにする。低電圧アーク放電構成とワークピ
ース11との間の電圧発生器によりワークピースホルダまたはワークピース11
に負の電圧を印加することによって、アルゴンイオンがワークピースに向けて加
速され、表面がスパッタエッチングされる。これは、最大300ボルトDCの加
速電圧によって達成できるが、ワークピース11の優しい処理を確実にするため
好ましくは100ボルトから200ボルトの範囲内の電圧で行なわれる。プロセ
スの均質性はカソード室2を適当に配置することと、プロセス仕様に従って処理
すべきワークピースの処理幅bに関連してアノード7を配置することによって設
定することができる。別の要因はアノード7の形状である。後者はたとえば平坦
な形、皿状に窪んだ形または矩形のものであってもよく、または管状の冷却され
たアノードとして設計されてもよい。
じて処理ゾーンと連通する処理室1の外側の壁上の箱形の放電室21が再び示さ
れる。無論、必要に応じて、たとえば処理効果をさらに高めるためにシステムに
いくつかのこうした放電室を配置してもよい。また、室の壁にフランジとして付
けられる蒸発源23が示される。たとえば、マグネトロンスパッタ源を蒸発源2
3として用いてもよいが、低コストで高い処理速度を達成するにはいわゆるアー
ク蒸発源を用いるのが好ましい。この構成の利点は、複数の源の分配された構成
によって所望のコーティング均質性を設定でき、高いコーティング速度を維持で
きるような態様でアーク蒸発源23を外側から自由に配置できることである。単
一の矩形の蒸発源を用いるのではなく、プロセス要件に従ってシステムの周囲に
配置されるいくつかのより小さい丸形の源を用いることがより有利であることが
わかっている。
る構成の別の有利な変形例を示す。その利点は、このようなコーティングシステ
ムでは必ず生じる粒子による放電経路の動作への干渉が最も少ないことである。
また、いくつかのアノード−カソード回路を用い、放電1に沿った強さを調整可
能なものにすることによって放電経路をさらに分割する可能性が示される。主な
放電はメインアノード7とカソード室2との間の電源8によって発生させる。補
助アノード24および補助電源25によってさらなる補助の放電を発生させても
よい。このように、放電の電力密度を、局所的にアノード7とカソード2との間
の放電経路全体に沿って、かつワークピースの均質性要件に対する強さに関して
調整することが可能となる。
または別個のアノード7および24、別個のカソード3および3′ならびに別個
のカソード室2および2′を用いて結合を外すこともできる。図4cに示される
別のものでは2つの別個のアノード7および24と、2つの熱カソード3および
3′を備えた共通のカソード室2とが用いられている。
HSS仕上げのフライスのテスト結果を示す。いずれの場合にも、フライスには
3.5μm TiNコーティングが与えられた。従来技術(曲線a)によるフラ
イスでは、まず高電圧エッチングが従来の態様で行なわれたが、曲線bにより表
わされるフライスではこの発明によるプロセスが用いられた。テスト条件は以下
のとおりである。
見られる。1.5倍以上の向上が容易に達成できる。重要なのは、工具寿命の延
長だけではなく、工具寿命の終りに近づくにつれての工具の品質劣化を示すトル
ク曲線の進行がより平坦であることである。図5による例では、このことは15
mの全フライス削り深さにおいてはっきりと認識される。従来技術を表わす曲線
aは15mの全フライス削り深さにおいて工具品質の急な劣化を示している。こ
のことは、従来技術で達成できる切削の品質には工具寿命全体にわたって大きな
ばらつきがあり、すなわちさほど一定ではないことを意味する。
応するシステム1と比較してはるかに大きいスループットと上に述べた高品質を
もたらす。スループットは容易に倍増でき、または3倍から5倍に増加すること
ができるため、経済性が著しく向上する。
を堆積するために、この発明ではその工具を低電圧アーク放電によってスパッタ
エッチングし、その後にエッチングされた方向から工具をコーティングすること
を提案する。
ークピース(11)を処理するためのコーティング構成であって、コーティング
源(23)が前記室内に配置されており、前記室は、ワークピース(11)を源
の前に位置付けるまたは源の前を通過させるための処理ゾーン(b)を規定する
保持および/または運搬装置を備えており、前記源はワークピースに対してある
程度の距離のところに配置され同じ方向から作用し、前記コーティング構成は、
熱カソード低電圧放電構成として設計されるプラズマ源(18)を特徴としてお
り、ワークピース運搬方向に対して横方向における線状の広がり(1)は処理ゾ
ーンの幅(b)に実質的に対応し、前記コーティング構成はアーク放電(18)
とワークピース(11)との間に電界(20)を発生するための装置を含む、コ
ーティング構成。 2.ワークピース(11)のための保持および運搬装置は処理室(1)の中心軸
(16)について回転可能に配置され、源(18、23)はいずれも中心軸(1
6)の方向において外側から径方向に作用するような態様で室の壁上に配置され
る、請求項1に記載の構成。 3.放電室(21)のプラズマ源は室(1)の外側の壁上に配置され、放電室(
21)の内側またはその上に熱電子放出カソード(3)が設けられ、処理ゾーン
幅の少なくとも80%が処理ゾーン幅(b)から離れかつ沿っており、低電圧ア
ーク放電(18)を発生するためのアノード(7)が位置付けられ、前記構成に
おいて、電圧発生器(20)を備えた放電室(21)内の希ガスポート(5)は
、陰極がワークピース(11)上にある態様でアノード−カソード回路とワーク
ピース(11)の間に位置付けられ、プラズマ源構成(2、7、18、21)が
スパッタエッチング装置として機能するようにする、請求項1または2に記載の
構成。 4.前記プラズマ経路からある距離のところでプラズマ経路に沿って延在する少
なくとも1つのさらなるアノード(24)が、アーク放電(18)に沿ったプラ
ズマ密度分布を調整するために放出カソード(3)とアノード(7)との間に配
置される、請求項1から3のいずれかに記載の構成。 5.アノード(7)とさらなるアノード(24)とは別々の調整可能な電源(2
5)に接続され、好ましくは各アノード(7、25)に対して反対のカソード(
3)が設けられており、これは対応するアノード(7、25)および別個の電源
(8、25)とともにそれ自体の調整可能な電源回路を形成する、請求項1から
4のいずれかに記載の構成。 6.放出カソード(3)は放電室(21)とは別のカソード室2内に配置され、
前記カソード室(2)は、開口部(4)を介して放電室(21)と連通しており
、開口部(4)を通して電子が現われることができ、希ガス入口ポート(5)が
好ましくはこのカソード室(2)上に配置される、請求項1から5のいずれかに
記載の構成。 7.処理室(1)およびその中心軸(16)は垂直方向に配置され、カソード(
3)またはカソード室(2)がアノード(7、24)の上方に配置され、カソー
ド室(2)の開口部(4)が好ましくは下方を向いている、請求項2から6のい
ずれかに記載の構成。 8.好ましくは少なくとも1つのアーク蒸着装置(23)からなる少なくとも1
つのコーティング源(23)がプラズマ源(18)の隣の処理室壁上に配置され
、プラズマ源(18)は運搬方向においてさらに前方に位置付けられる、請求項
1から7のいずれかに記載の構成。 9.電圧発生器(20)は300V DCまでの電圧、好ましくは100Vから
200Vの電圧に対して設計される、請求項1から8のいずれかに記載の構成。 10.低電圧アーク放電構成(18)はワークピース(11)から少なくとも1
0cm、好ましくは15cmから25cm離れて位置付けられる、請求項1から
9のいずれかに記載の構成。 11.保持および運搬装置は、特にドリル、フライスおよびフォーミングダイの
ための工具ホルダとして設計される、請求項1から10のいずれかに記載の構成
。 12.少なくとも1つの磁界発生器がプラズマ密度分布を調整するため放電室(
21)の中または上に配置される、請求項1から11のいずれかに記載の構成。 13.放電室(21)は処理ゾーンの全幅(b)に沿った開口部を有し、開口部
は後者に面しており処理ゾーンがアーク放電にさらされるようにする、請求項1
から12のいずれかに記載の構成。 14.真空処理室(1)内でワークピース(11)を少なくとも部分的にコーテ
ィングするためのプロセスであって、処理室上に配置されるプラズマ源(18)
とコーティング源(23)とを備え、保持および/または運搬装置が室(1)内
に配置され、前記装置がワークピース(11)を源(18、23)の前に位置付
けるまたはその前を通過させるための処理ゾーン(b)を定めており、源は同じ
側から作用し、ワークピース(11)からある距離のところに配置されており、
前記プロセスにおいて、プラズマ源(18)は、実質的に少なくとも処理ゾーン
の幅(b)の80%にわたって、ワークピースの運搬方向に対して横方向におい
て熱カソード低電圧アーク(18)を発生し、前記プロセスにおいて、電圧がア
ーク放電とワークピースとの間に印加され、プラズマから電荷担体を抽出してこ
れらを基板に向けて加速させることができるようにする、プロセス。 15.ワークピースは好ましくは処理室の中心軸(16)について連続的に回転
し、源(18、23)の前を通過し、プラズマ処理が第1のステップにおいて電
荷担体衝撃を介して生じ、ワークピース(11)のコーティングが第2のステッ
プにおいて行なわれる、請求項14に記載のプロセス。 16.電荷担体は、負のワークピース電圧の助けにより直接アーク放電(18)
から抽出されワークピース(11)をスパッタエッチングするイオンからなる、
請求項14または15に記載のプロセス。 17.コーティングゾーン(b)にわたるエッチ分布の均質性は、アーク長さ、
アークとワークピースとの間の距離(d)およびワークピースに対するアークの
位置を選択し、かつアークに沿ったプラズマ密度分布を調整することによって予
め定められた値に設定することができる、請求項14から16のいずれかに記載
のプロセス。
発明) 全フライス削り深さ[m]
scaling)された図である。
on)がバイアス電圧および窒素分圧によって制御されQI≦1を得た図である。
Claims (20)
- 【請求項1】 工具本体および耐摩耗性層システムを備える工具であり、前
記層システムはMeXの少なくとも1つの層を含み、 Meはチタンおよびアルミニウムを含み、 Xは窒素および炭素の少なくとも1つであり、 前記層は、 QI≧1 のQI値を有し、 前記工具本体は、 高速度鋼(HSS)、 超硬合金 の材料の一方であり、 前記工具は、硬質炭化物エンドミルおよび硬質炭化物ボールノーズミルではな
く、 I(200)および強度平均ノイズ値をいずれもMSに従って測定した場合、
I(200)の値は強度平均ノイズ値の少なくとも20倍である、工具。 - 【請求項2】 超硬合金インサート、超硬合金ドリルおよび超硬合金歯切工
具の1つであり、好ましくは超硬合金インサートまたは超硬合金ドリルである、
請求項1に記載の工具。 - 【請求項3】 前記QIの有効範囲は、 QI≧2であり、 好ましくは、 QI≧5であり、 特に好ましくは、 QI≧10である、請求項1または2に記載の工具。
- 【請求項4】 前記MeX材料は、チタンアルミニウム窒化物、チタンアル
ミニウム炭窒化物、チタンアルミニウムボロン窒化物の1つであり、好ましくは
チタンアルミニウム窒化物およびチタンアルミニウム炭窒化物の1つである、請
求項1から3のいずれか1項に記載の工具。 - 【請求項5】 Meはさらに、ボロン、ジルコニウム、ハフニウム、イット
リウム、シリコン、タングステン、クロムからなるグループからの少なくとも1
つのさらなる元素を含み、好ましくは、イットリウムおよびシリコンおよびボロ
ンの少なくとも1つを含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の工具。 - 【請求項6】 Me内に含有される前記さらなる元素の含有量iは、Meを
100原子%とした場合、 0.05原子%≦i≦60原子% である、請求項5に記載の工具。 - 【請求項7】 前記少なくとも1つの層と前記工具本体との間に窒化チタン
のさらなる層をさらに含み、前記さらなる層は厚さdを有し、dの有効範囲は、 0.05μm≦d≦5.0μm である、請求項1から6のいずれか1項に記載の工具。 - 【請求項8】 前記層システムは前記少なくとも1つの層および前記さらな
る層により形成される、請求項7に記載の工具。 - 【請求項9】 前記少なくとも1つの層内の応力σは、 1GPa≦σ≦6GPaであり、好ましくは、 1GPa≦σ≦4GPaであり、さらに好ましくは、 1.5GPa≦σ≦2.5GPa である、請求項1から8のいずれか1項に記載の工具。
- 【請求項10】 Me内のチタンの含有量xは、 70原子%≧x≧40原子%であり、好ましくは、 65原子%≧x≧55原子% である、請求項1から9のいずれか1項に記載の工具。
- 【請求項11】 前記Me内のアルミニウムの含有量yは、 30原子%≦y≦60原子%であり、好ましくは、 35原子%≦y≦45原子% である、請求項1から10のいずれか1項に記載の工具。
- 【請求項12】 工具本体および耐摩耗性層システムを含む工具の製造方法
であって、耐摩耗性層システムは少なくとも1つの硬質材料層を含み、前記方法
は、 真空室内で前記少なくとも1つの層に反応性PVD蒸着(deposition)を行な
うステップと、 前記真空室内の反応性ガスの分圧および予め定められた基準電位に関しての工
具本体のバイアス電圧からなる2つのパラメータの少なくとも1つに加え、前記
PVD蒸着(deposition)のための予め定められたプロセスパラメータ値を選択
するステップと、 所望のQI値を備え、I(200)、I(111)および平均強度ノイズ値の 両方ともMSに従って測定した場合、I(200)およびI(111)の少なく
とも1つの値が平均強度ノイズ値の少なくとも20倍大きくなるよう前記層を実
現するため、前記分圧および前記バイアス電圧の少なくとも1つを調節するステ
ップとを含む、工具の製造方法。 - 【請求項13】 前記QI値を減じるため前記分圧を減少させるステップお よび増加させるステップをさらに含む、請求項12に記載の工具の製造方法。
- 【請求項14】 前記QI値を減じるため前記バイアス電圧を増加させるス テップおよび減少させるステップを含む、請求項12または請求項13のいずれ
か1項に記載の工具の製造方法。 - 【請求項15】 反応性陰極アーク蒸着(evaporation)により前記反応性 PVD蒸着(deposition)を行なうステップをさらに含む、請求項12から14
のいずれか1項に記載の工具の製造方法。 - 【請求項16】 前記アーク蒸着(evaporation)を磁気的に制御するステ ップをさらに含む、請求項15に記載の工具の製造方法。
- 【請求項17】 前記工具本体上にMeX層を蒸着(deposition)するステ
ップをさらに含み、Meはチタンおよびアルミニウムを含み、Xは窒素および炭
素の少なくとも1つであり反応性ガスによって前記PVD蒸着(deposition)に
導入される、請求項12から16のいずれか1項に記載の工具の製造方法。 - 【請求項18】 前記工具本体の材料は、 高速度鋼(HSS)、 超硬合金 の1つであり、 前記工具は硬質炭化物エンドミルおよび硬質炭化物ボールノーズミルではなく
、これによって、前記QI値は、 QI≧1 が、前記反応性PVD蒸着(deposition)の前記反応性圧力および前記バイアス
電圧の少なくとも1つを調節することで選択される、請求項12から17のいず
れか1項に記載の工具の製造方法。 - 【請求項19】 前記QI値は、 QI≧2、好ましくはQI≧5 が選択される、請求項18に記載の工具の製造方法。
- 【請求項20】 前記QI値は、 QI≧10 が選択される、請求項19に記載の工具の製造方法。
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