JP5117009B2 - 蓄光塗料 - Google Patents

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本願発明は、吹き付けや刷毛塗り等によって各種のものに塗布することができる非UV樹脂系の蓄光塗料(蓄光透明塗料に関するものである。
蓄光塗料には多くの種類があるが、いずれにしても、塗料原液と蓄光剤とを主原料としており、これに各種の添加剤が添加されている。蓄光塗料は様々の切り口で分類できるが、硬化の態様を基準にして分類すると、一般には、紫外線照射によって硬化するUV樹脂系のものと、乾燥(自然乾燥・加熱乾燥)又は焼き付け(加熱)によって硬化する非UV樹脂系とに大別される。
このうち非UV樹脂系のものは、吹き付けや刷毛塗りによって塗布できるため、立体物を始めとした各種の物に手軽に蓄光性表示を施せる利点がある。特に、自然乾燥によって硬化するタイプの蓄光塗料は、どこにでもどんな表示も施すことができるため、公共施設における安全用表示や店舗における広告類の表示、家庭での各種表示、個人の持ち物への表示などを手軽に施すことができ、このため広い用途が見込まれる。特に、道路や駅、病院、公共施設のような不特定多数の人が利用する場所に避難路の表示や緊急時の表示などを施すことができるため、輝度と残光時間とに優れた蓄光塗料の開発が待たれている。
しかし、非UV樹脂系の蓄光塗料は、乾燥にある程度の時間がかかることや粘度が低いことから、単に塗料原液と蓄光顔料とを混合したに過ぎない場合は、硬化するまでの間に蓄光顔料が沈殿する現象が生じ、このため、蓄光顔料の受光量が低くなって高い輝度及び長い残光時間を得ることができなかったり、発光にムラが生じたりする問題があった。蓄光顔料は粒径が大きいほど輝度(蓄光量)が高いが、蓄光顔料は粒径が大きくなるほど沈殿しやすくなるため、輝度を高めようとすればするほど沈殿の問題が顕著に現われていた。
そこで、沈降防止剤を添加することにより、蓄光顔料を塗料原液の内部に均一に分散させることが提案されている。例えば特許文献1には、無色透明なクリヤー塗料に硬化剤とシンナーとを混合して塗料原液をつくり、この塗料原液に分散剤、沈降防止剤、蓄光顔料を添加した蓄光塗料が記載されている。また、特許文献2には、疑似餌の表面に塗布するための蓄光塗料として、顔料合成樹脂液(カラーインキ)に硬化剤及び沈降防止剤を添加して塗料原液と成し、この塗料原液に蓄光顔料を混合することが記載されている。
特開2000−109730号公報 特開2002−360126号公報
蓄光塗料において、塗料原液は、蓄光顔料を保持するバインダーとしての役割や塗布面に貼り付く接着剤としての役割等を持っており、塗料原液が硬化して表示面に塗膜が形成される。塗料原液の硬化態様としては、一液型の場合は、乾燥により揮発成分が蒸発して固形成分が残るタイプと、酸素との反応や加熱による反応で硬化するタイプとに大別され、他方、二液型又は多液型のものは、異種材料の混合による化学反応(架橋構造化)によって硬化する。
他方、蓄光塗料の種類を同じと仮定すると、施された表示の輝度や残光時間は蓄光顔料の量に依存するが、塗料に要求される各種の性質(流動性、接着性、見た目の良さ等)を確保する必要があり、蓄光顔料の配合割合は多すぎても良くないし、少な過ぎても良くない。また、沈降防止剤の添加量についても、少な過ぎると蓄光顔料の沈殿防止効果を期待できず、多すぎると塗料原液の硬化が抑制されてしまって塗料の用を成さなくなる。
そして、輝度に優れると共に塗料としての高い性質を備えた蓄光塗料は、潜在的な需要が見込まれながら提供されていないのが現状である。このように蓄光塗料が商品化されていない理由は、既述のように沈降防止剤を添加しないと輝度の低下や発光のムラが生じ、さりとて沈降防止剤を添加すると乾燥時間が長くなって実用性が無くなっているためと推測される。特に、蓄光塗料は建物の壁や天井のような水平でない面に塗布したいとの要望が強いと言えるが、塗布面が水平でないと乾燥する前にダレてしまって用を成さなくなる。
本願発明はこのような現状に鑑み成されたものであり、実用性の高い蓄光塗料を提供することを課題とするものである。
既述のとおり、蓄光塗料には適度の流動性や接着性、乾燥の確実性等の塗料としての基本的性質が要求され、これに加えて、塗布した後における高い輝度や残光性が要請される。そして従来は、蓄光顔料の分散性を高めることに基因して乾燥性が悪化し、これが実用化のネックになっていたと言える。
本願発明者は、蓄光顔料の沈殿現象について考察し、果たして蓄光顔料の沈殿は絶対的に阻止すべきなのかという着想に至り、この着想と実験とによって本願発明を完成させるに至った。
すなわち本願発明の蓄光塗料は、乾燥又は焼き付けによって硬化する透明なクリヤー塗料原液と蓄光顔料とを主成分としてこれに沈降防止剤又は分散剤が添加されており、かつ、色素顔料は全く又は殆ど含んでいない構成であって、前記クリヤー塗料原液と蓄光顔料とは40:60〜60:40重量%の割合で配合されており、クリヤー塗料原液と蓄光顔料との混合物の重量を100とした場合の沈降防止剤の添加量が0.5〜4.0重量%になっている一方、前記蓄光顔料を、物の表面に塗布したとき前記クリヤー塗料原液が自然乾燥で硬化しきる前に沈降し切る40μm以上の粒径に篩にて粒度調整された大きい粒径の粒子と、前記クリヤー塗料原液が自然乾燥で硬化しきる前に沈降し切ることのない小径及び中間径の粒子とで構成することにより、自然乾燥後の塗膜が蓄光顔料を全く又は殆ど含んでいない表層と全部又は大部分の蓄光顔料を含んだ層とで構成されるようになっている。
沈降防止剤は顔料が沈降することを防止し、或いは、沈降しても再攪拌可能な状態に保つための添加剤であり、他方、分散剤は顔料粒子をビヒクル中に分散させて安定的な懸濁液を作るための界面活性剤をいい、互いに共通した機能を有しているため、同一種類のものを沈降防止剤と呼んだり分散剤と呼んだりしている場合もある。湿潤剤や平滑剤(レベリング剤)も顔料粒子の沈降防止機能や分散機能を備えていることが多い。本願発明にいう沈降防止剤又は分散剤は、顔料粒子が面方向に分散することを促進する(逆にいうと蓄光顔料粒子群がダンゴ状に凝集することを防止する)働きを有する化学剤を広く含んでいる。以下の説明では、これらは説明の簡略化のため「沈降防止剤類」と呼ぶこととする。
本願発明においては、塗料原液は溶剤(或いは希釈剤)で溶解又は希釈せずに使用すべきである。この点は特許文献1と相違する点である。また、塗料原液及び沈降防止剤類には多数の種類(組成)があり、従って、塗料原液と沈降防止剤類との組み合わせにも善し悪しがあるが、本願発明の特徴は、塗料原液及び沈降防止剤類の種類(組成)に関係なく好適な配合割合が略一定していることであり、この点は、本願発明者が実験によって見出したものである。
本願発明に係る蓄光塗料は、色素顔料を全く又は殆ど含んでいない透明塗料であり、「カラー塗料」ではない(この点で特許文献2と本質的に相違している。)。従って、本願発明の蓄光塗料で形成された表示は、明るい環境下では、基本的には蓄光顔料の色(黄白色や青白色が多い)として現われる。本願発明において色素顔料を全く又は殆ど含まないのは、色素顔料を混入すると色素の粒子が蓄光顔料の粒子の表面を覆って蓄光顔料の蓄光能力が著しく阻害されるため、及び、塗膜に色が付くことで塗膜の透光性が著しく低下してこれまた蓄光顔料の蓄光能力を著しく低下させるためである。
本願発明において、塗料原液に沈降防止剤類以外の添加剤(或いは助剤)を添加することは可能である。例えば、硬化促進剤、消泡剤などである。市販されているクリヤー塗料には塗膜主要素の他に添加剤が予め混合されていることがあるが、この場合は、「塗料原液」には添加剤も含まれている。クリヤー塗料原液は基本的には無色であり、できるだけ透明度が高いものが好ましい。
本願発明では、塗料原液と蓄光顔料との配合割合が40:60〜60:40重量%になっており、塗料原液の配合割合が60重量%よりも多すぎると表示体として施した場合に十分な輝度や残光時間を確保できない。他方、蓄光顔料の配合割合が60重量%よりも多すぎると、塗料として流動性や接着性(付着性)が許容限度以下に低下してしまう。より好適なのは45:55〜55:45重量%の範囲であり、更に好適なのは略50:50である。なお、塗料原液の比重は約1である一方、蓄光顔料は比重が約3.5前後あるので、塗膜の体積に対する蓄光顔料の割合はかなり少なくなる。
本願発明では、塗料原液に対する沈降防止剤類の配合割合は0.5〜4.0重量%であり、より好適な範囲は0.7〜2.0重量%であり、更に好適な範囲は1.0〜1.5重量%である。沈降防止剤類の添加量が0.5重量%よりも少ないと沈殿防止効果及び分散効果(拡散効果)が発揮されず、沈降防止剤類の添加量が4.0重量%を超えると乾燥速度が著しく遅くなって(或いは乾燥しなくなって)、実用性が無くなる。本願発明では、沈降防止剤類の添加量が常識に反して非常に少ないのが特徴である。
なお、本願発明に係る蓄光塗料の塗布方法に限定はなく、吹き付けや刷毛塗り、塗料槽への浸漬(ドブ漬け)、ローラ類を使用した転写など、用途によって適切な方法を選択したらよい。吹き付けについては、スプレーガンを使用してもよいし、缶内に充填した圧縮ガスによって塗料をノズルから吹き出すスプレー缶方式とすることも可能である。乾燥後の塗膜の性状は塗料原液の性質によって相違する。例えば弾性が全くない硬い状態の場合もあるし、押すと凹む弾性を備えているエラストマー状態の場合もある。
本願発明の蓄光塗料を塗布すると、乾燥し切るまでの過程において、大きい粒径の蓄光顔料粒子群は塗布面の側に沈殿する一方、粒径の小さい蓄光顔料粒子群は沈殿現象は起きるもののその速度は遅く、乾燥(硬化)した後の塗膜の断面をみると、図1に模式的に示すような状態になっている。
すなわち、塗膜は、塗布面(下地)1に近いものから順に、粒径の大きい蓄光顔料粒子2の群が含まれているベース層3、小径の蓄光顔料粒粒子4と中間径の蓄光顔料粒子5の群とが含まれている中間層6、蓄光顔料を殆ど含まない表層(上澄み層)7に分かれている。ベース層3にも小径や中間径の蓄光顔料粒子4,5が含まれているが、これは、塗布前の状態ではもともと大きさの異なる蓄光顔料粒子2,4,5がクリヤー塗料原液の中に万遍なく分散しているためである。そして重要なのは、蓄光顔料粒子2,4,5の沈殿現象が起きてはいるものの、沈降防止剤類の存在により、ベース層3及び中間層6において蓄光顔料2,4,5は面方向に略均等に分散していることである。
更に考察を加えると、塗布当初の塗膜にはそもそも各大きさの蓄光顔料2,4,5が均等に分散しており、塗布後はそれぞれの粒子2,4,5は全体として沈殿する傾向を呈し、このため表層7が現われるのであり、加えて、粒径の大きい蓄光顔料粒子2が早く沈殿するためベース層3が形成される。そして、沈降防止剤類の存在により、各大きさの蓄光顔料粒子2は略均等に分散した状態のままで沈殿し、硬化によってその状態が保持されていると推測される。
塗膜の全体の厚さは約100μm、ベース層3の厚さは40〜50μm程度、中間層6の厚さは約30〜40μm程度、表層7の厚さは20〜30μm程度であった。もとより、これら各層3,6,7の厚さは蓄光顔料2,4,5の平均粒径や配合割合によって異なってくる。
そして、蓄光顔料は比重が3.5前後あって体積比でみると塗料原液の方が多いため、蓄光顔料粒子2,4,5はいわば塗膜の中で散点状に散らばった状態で分布しており、このため、光は塗膜の内部に十分に透過するのであり、その結果、蓄光顔料粒子2,4,5はその表面に万遍なく光を受けて高い輝度(或いは残光時間)を得ることができる。更に述べると、粒径の大きい蓄光顔料2は沈殿はするものの高い受光量を確保できるため、可能な限り大きい粒径のものを使用できるのであり、これにより、高い輝度(或いは長い残光時間)を確保できるのである。
更に、沈降防止剤類の添加量は僅かであるため、塗料原液は沈降防止剤類を添加していない場合と同様の時間で乾燥・硬化しており、これによって高い実用性が確保されており、例えば建物の壁にも非蓄光性塗料と同様の状態で塗布できる。
本願発明は、蓄光顔料の沈殿それ自体を悪として防止するのではなく、沈殿は許容しつつその弊害を無くして実用性を確保したものであり、これは、沈降防止剤類の添加割合を常識に反して僅かの量にしたことで実現したものである。
本願発明における粒径の大きい蓄光顔料は、原料を40μm以上のものが残る篩にかけることで得ることができる。
なお、蓄光塗料を一度に厚く塗るとダレが生じやすいのであまり厚く塗らないのが良く、おおよそ100μm程度の厚さが目安となる。輝度を高めたい場合は重ね塗りしたら良い(何層でも重ね塗りすることができる。)。重ね塗りすると塗膜が重なり、各塗膜ごとに上記したベース層・中間層・表層の構造が見られる。そして、各塗膜において蓄光顔料が面方向に均等に分散していることにより、光は各塗膜の内部に十分に透過しており、このため、輝度や残光時間は塗膜の数に比例して高くなる。
なお、本願発明の蓄光塗料は容器に入れたままにしておくと時間の経過と共に蓄光顔料が底の方に沈殿していくが、これは、使用前に十分に攪拌することで解決できる。スプレー缶に入れて使用する場合は、例えば缶の内部に攪拌用の球を入れて、使用前に何回も振ればよい。
本願発明によると、蓄光顔料を均等に分散させて高い輝度を確保しつつ、硬化性(乾燥性)に優れて実用性の高い蓄光塗料を提供できる。これにより、様々の物品に蓄光性を簡易に付与することが可能になり、暗所での安全性の確保等などに大きく貢献できる。
次に、本願発明の内容を具体的に説明する。樹脂系塗料原液には様々の種類があるが、本願発明では、例えば、アクリル樹脂系、メラミン・アクリル樹脂系、ウレタン・アクリル樹脂系、アルキド樹脂系、アミノアルキド樹脂系、ウレタン樹脂系、エポキシ樹脂系、ビニル樹脂系、ポリエステル樹脂系等の様々のクリヤー塗料原液を使用できる(なお、塗料については相当数がJISにおいてKの5000番代を中心に分類されているので、選択の目安としたらよい。)。
樹脂には熱可塑性のものと熱硬化性のものとがあり、アクリル系の場合、アクリル樹脂ワニス・エナメルに代表されるように熱可塑性樹脂を使用した塗料は常温で乾燥し、他方、熱硬化性樹脂を使用した樹脂塗料は焼付け塗装に適している。いうまでもないが、本願発明は熱硬化性樹脂塗料(或いは熱反応性樹脂塗料)をクリヤー塗料原液として使用することにより、焼付け塗装可能な蓄光塗料も提供できる。焼付けされる塗料としては例えばアミノアルキド樹脂エナメルや、アミノ樹脂・フェノール樹脂と組み合わせたエポキシ樹脂系塗料などがあるが、本願発明はいずれにも適用できる。
また、溶剤を全く又は殆ど使用しない塗料の代表例として、合成樹脂エマルジョン(例えばアクリル樹脂エマルジョン)を用いた水性塗料(水系塗料)があるが、本願発明は水性塗料にも好適である。また、塗料はそれぞれ性質によって好適な用途があるが(換言すると、用途によって性質が異なるが)、本願発明は、クリヤー塗料である限りどのような用途にも適用できる。また、既述のとおりに塗料には一液タイプと二液タイプ(或いは多液タイプ)とがあるが、本願発明はいずれにも適用できる。
蓄光顔料の素材には限定はないが、現状では、ストロンチウムアルミネート系又はカルシウムアルミネート系のものが輝度や残光時間において優れている。沈降防止剤類としては、伝統的な素材としてセルロース系、ウレタン系、アクリル系シックナー、ベントナイト系など知られているが、本願発明では有機系ものが好ましい。例えば、ポリアミノアマイド系のポリカルボン酸塩を主体としたもの、カチオン性のアミノアマイドリン酸塩を主体としたもの、ポリアマイドのアミン塩を主成分としたもの、アルキロールアミン系のものなどが挙げられる。
(1).第1実施例
塗料原液としてインターナショナルペイント株式会社製の「IPグロスUVクリヤー」を使用し、蓄光顔料として根本特殊化学株式会社製の「N夜光・ルミノーバ(登録商標)BG−300シリーズ」を使用して、沈降防止剤類としてビックケミー・ジャパン株式会社が湿潤分散剤として販売している「Disperbyk(登録商標)−180」を使用した。配合割合は塗料原液と蓄光顔料とは重量比で50:50、塗料原液及び蓄光顔料の混合物に対する添加量は1.0重量%であった。他には添加剤は加えていない。
「IPグロスUVクリヤー」は水性の合成樹脂エマルジョンクリヤー塗料であり、「N夜光・ルミノーバ」はストロンチウムアルミネート系のものであり、「Disperbyk−180」は、酸基を含む共重合物のアルキロールアミン塩100%からなっている。
この蓄光塗料をスプレーガンでアクリル樹脂製の板に吹き付けて自然乾燥させたところ、全体として黄白色の外観を呈して蓄光顔料の存在は肉眼では全く確認できなかった(沈降防止剤類を添加しないと蓄光顔料がダンゴ状に集まった固まりがあちこちに現われて、まだら状の外観を呈する。)。また、その断面構造は図1のようになっていた。
塗膜の厚さは約100μmであり、1回の吹き付けによって形成したが、乾燥時間は塗料原液の単独品を塗布した場合と同じであり、蓄光塗料と成したたことに基因して乾燥時間が長くなることはなかった。
沈降防止剤類の添加量だけを変化させた変形例として、0.5重量%添加したもの、2重量%添加したもの、3重量%添加したものを作成して塗膜の状態を観察した。0.5重量%添加したものはまだら状の外観が僅かに見られたが、暗所での輝度のムラは殆どなく、許容範囲内にあると言える。沈降防止剤類の添加量が増えると沈殿抑制効果は高くなるものの、乾燥時間が長くなった。
比較例として、沈降防止剤類を混合物に0.3重量%添加したものと5.0重量%添加したものとを作成して塗膜の状態を観察した。すると、0.3重量%しか添加していないものは分散効果は殆ど見られず、他方、5.0重量%添加したものは、沈殿現象そのものが抑制されると共に面方向の分散性は高くなるものの乾燥時間が長くなって実用性に欠けていた。
(2).第2実施例
第1実施例の沈降防止剤類に代えて、ビックケミー・ジャパン株式会社製の湿潤分散剤「Disperbyk(登録商標)−190」を使用し、これを塗料原液と蓄光顔料との混合物に1.0重量%添加した。他の組成は第1実施例と同じであった。この沈降防止剤類は、官能基を含む高分子化合物の水溶液であり、水性塗料の添加剤として好適なものである。塗膜の状態は第1実施例と同じであり、接着性や乾燥性を保持しつつ高い分散効果が発揮されていた。
(3).第3実施例
塗料原液としてイサム塗料株式会社製の「ミラノ2KCOMO234−2793」を使用し、蓄光顔料には既述の「N夜光」を使用し、沈降防止剤類としてビックケミー・ジャパン株式会社製の「Anti−Terra(登録商標)−204」を使用した。配合割合は第1実施例と同じであった。
この実施例で使用した塗料原液は高反応性ポリエステルウレタン樹脂塗料であり、沈降防止剤類は、ポリアミノアマイドのポリカルボン酸塩、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ソルベントナフサから成っている。この実施例でも蓄光顔料の沈殿現象は全く見られなかった。
第3実施例の変形例として、沈降防止剤類をビックケミー・ジャパン株式会社製の「Disperbyk(登録商標)−101」に置き換えてみたが、これも接着性や乾燥性、分散性について第1実施例や第2実施例と遜色のない結果を得ることができた。なお、「Disperbyk−101」は、長鎖ポリアミノアマイド極性酸エステルの塩とミネラルスピリットを主成分としている。
(4).第4実施例
塗料原液として昭和高分子株式会社製の「リゴラック157BQTN」を使用し、蓄光顔料には既述の「N夜光」を使用し、沈降防止剤類として前記したビックケミー・ジャパン株式会社製の「Anti−Terra−204」を使用した。配合割合は第1実施例と同じであった。
「リゴラック157BQTN」は不飽和ポリエステル樹脂(不飽和ポリエテルスチレン)を成分としており、強化繊維プラスチック(FRP)の塗装に好適なものである。蓄光塗料化しても、FRPへの付着力の低下や塗りムラの発生等の障害は見られず、良好な結果を得ることができた。なお、この塗料は自然乾燥で硬化するものである。
(5).第5実施例
塗料原液として大日本塗料株式会社製の「アクローゼECOクリヤー」を使用し、蓄光顔料には既述の「N夜光」を使用し、沈降防止剤類として前記ビックケミー・ジャパン株式会社製の「Anti−Terra−204」を使用した。配合割合は第1実施例と同じであった。「アクローゼECOクリヤー」は焼付けによって硬化する塗料であるが、本実施例品は焼付けた後に剥がれ易くなったり亀裂が生じたりする現象は見られず、また、蓄光顔料は塗膜の中に完全に分散していて外観においてムラやマダラは全く見られなかった。
焼付け塗装は金属製物品(例えば板金製品)を初めとして多くの物に使用されているが、本願発明を適用して蓄光性の焼付け塗料と成すことにより、例えば夜間に危険物(例えば自動車)を視認しやすくできたり、救命ボートを夜間に発見でき易くしたりということが簡便かつ確実に行えることになり、よって、本願発明は社会に多大の貢献をできると言える。
本願発明に係る塗料で形成された塗膜の断面模式図である。
1 塗布面
2,4,5 蓄光顔料
3 ベース層
6 中間層

Claims (1)

  1. 乾燥又は焼き付けによって硬化する透明なクリヤー塗料原液と蓄光顔料とを主成分としてこれに沈降防止剤又は分散剤が添加されており、かつ、色素顔料は全く又は殆ど含んでいない構成であって、
    前記クリヤー塗料原液と蓄光顔料とは40:60〜60:40重量%の割合で配合されており、クリヤー塗料原液と蓄光顔料との混合物の重量を100とした場合の沈降防止剤の添加量が0.5〜4.0重量%になっている一方、
    前記蓄光顔料を、物の表面に塗布したとき前記クリヤー塗料原液が自然乾燥で硬化しきる前に沈降し切る40μm以上の粒径に篩にて粒度調整された大きい粒径の粒子と、前記クリヤー塗料原液が自然乾燥で硬化しきる前に沈降し切ることのない小径及び中間径の粒子とで構成することにより、自然乾燥後の塗膜が蓄光顔料を全く又は殆ど含んでいない表層と全部又は大部分の蓄光顔料を含んだ層とで構成されるようになっている、
    蓄光塗料。
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