JP5113105B2 - 燃料電池システム、および燃料電池システムの制御方法 - Google Patents
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Description
この燃料電池では、アノード電極とアノード側セパレータとの間に形成された燃料ガス流路に燃料ガスとしてアノードガス(水素ガス)を供給するとともに、カソード電極とカソード側セパレータとの間に形成された酸化ガス流路に酸化ガスとしてカソードガス(空気)を供給する。
水素が消費されたアノードオフガスは、パージ弁を開弁することにより外部に排出される。アノードオフガス中には、燃料電池で完全に消費できなかったアノードガス(水素)が残存するため、希釈ボックスでカソードガスによって希釈された後に排出される。
また、燃料電池の停止時に、燃料電池内に残留するアノードガスを消費するために燃料電池のディスチャージ(放電)処理を行う場合がある。
具体的には、燃料電池車両にかかる負荷が高負荷であれば燃料電池の発電量は多く、低負荷であれば燃料電池の発電量は少ない。また、燃料電池車両が全開走行している場合等では、燃料電池は高負荷で発電が行われるが、燃料電池車両が信号で停止した場合等、減速した場合には燃料電池の発電量が急激に低下する。
これに対し、燃料電池車両が低負荷状態になり、燃料電池の発電量が低下すると、これに伴ってアノードオフガスの圧力が低下し、パージ量が減少するので、アノードオフガスと共に生成水を排出しきれない。このため、ガス排出路等に生成水が滞留してアノードガスの供給を阻害する、フラッディング(湿潤過多)現象を引き起こし易くなる。フラッディング現象が起こると、アノードガス供給量に対応する燃料電池出力が得られなくなり、発電性能が低下してしまう。
このように構成することで、燃料電池の低負荷要求時において、アノードガスの圧力が低く、生成水の自然排出が困難な場合であっても、ディスチャージを行うことによりアノードガス中の水素を消費することができる。このため、排出手段の動作時間を長く設定することが可能になり、効率的に生成水を排出することができる。
このように構成することで、燃料電池内の生成水の滞留量に基づいてアノードオフガス中の水素濃度を調整することが可能になる。すなわち、例えば、燃料電池内の生成水の滞留量が多い場合にあっては、アノードオフガス中の水素濃度を低くし、この分排出動作の動作時間を長くすることができる。
このように構成することで、生成水の自然排出が可能なアノードガスの圧力が高い場合にあっては、アノードガス流路内のガスの排出を停止し、必要以上にアノードガスを外部に放出することを防止できる。
ここで、高負荷状態では、燃料電池に供給されるアノードガスが増量し、アノードガスの圧力が上昇するので、排出手段による排出動作を行うことなく燃料電池内の生成水を外部に排出することができる。すなわち、高負荷状態において、ディスチャージによるアノードガスの無駄な消費を防止することができる。
このように、ディスチャージ中にアノードガスを増量することで、燃料電池内の生成水を外部へ排出することを促進できる。
このように構成することで、負荷状態に係らず、効率的に生成水を排出することができ、所望の発電性能を確保することが可能な燃料電池システムを提供することができる。
次に、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、燃料電池システム1の概略構成図である。同図に示すように、燃料電池システム1の燃料電池2は、燃料電池車両(不図示)に搭載されたものであって、水素ガスなどのアノードガスと、空気などのカソードガスとの電気化学反応により発電を行う固体高分子膜型燃料電池である。燃料電池2に形成されたアノードガス供給用連通孔13(アノードガス流路21の入口側)にはアノードガス供給配管23が連結され、その上流端部には水素タンク30が接続されている。
ここで、燃料電池システム1は、これを統括的に制御するための制御部(ECU;Electric Control Unit)6を備えている。制御部6は、燃料電池車両のアクセル操作などに基づく電動モータ3への負荷要求値を検出する負荷要求取得手段7と、負荷要求取得手段7の検出結果に基づいてアノードガスの圧力値を決定するアノード圧設定手段8とを備えている。
さらに、制御部6は、パージ弁52の開閉制御として、燃料電池2内に所定以上の生成水が滞留したとき、パージ弁52を開弁してアノードオフガスをパージし、このアノードオフガスと共に燃料電池2内の生成水を外部へと吹き飛ばすように制御している(臨時パージ)。
この他に、燃料電池2の発電に伴う生成水は、主にカソードガス流路22に滞留するが、固体高分子膜を透過してアノードガス流路21側に滞留する生成水の量も発生した生成水のうちの何割になるかを予め設定しておく。
ここで、燃料電池2の低負荷時にアノードオフガスをパージすると、燃料電池2内でアノードガスが十分消費されないまま排出されてしまう。このため、制御部6は、低負荷時にアノードガスをパージした場合、例えば、ディスチャージ抵抗5に接続されているスイッチ43をオンにして燃料電池2とディスチャージ抵抗5とを接続する。そして、燃料電池2に負荷をかけることでアノードガス(水素)を消費させるようになっている。
より詳しく、図3に基づいて説明する。同図は、燃料電池システム1の動作を示すフローチャートである。
まず、燃料電池2の運転中において、制御部6の負荷要求取得手段7によって電動モータ3への負荷要求値を検出する(ST1、負荷要求取得工程)。
続いて、負荷要求取得手段7の検出結果に基づいて、アノード圧設定手段8によりアノードガスの圧力値を決定する(ST2)。このとき、制御部6により遮断弁25の開閉制御を行い、水素タンク30からアノードガスの供給/停止を行う。そして、アノードガス供給配管23内の圧力をアノード圧設定手段8により決定された圧力にする。
ST3における判断がNo、つまり、アノードガスの圧力値が所定値よりも高い(高負荷要求時である)場合、生成水の自然排出が可能であり、ディスチャージを実行したり、アノードオフガスをパージしたりする必要がないので、処理を終了してそのまま燃料電池2の運転を継続する。
次に、内部水分量が燃料電池2の発電性能を低下させる所定の量以上であるか否か、つまり、例えば、運転者が一旦アクセルを解除し、再びアクセルを踏み込んだ際に違和感なく所望の出力を得られる程度に内部水分量が収まっているか否かの判断を行う(ST5)。
ST5における判断がNo、つまり、内部水分量が所定値よりも少ない場合、処理を終了してそのまま燃料電池2の運転を継続する。
図4は、縦軸をディスチャージにより消費される燃料電池2の電力量とし、横軸を内部水分量としたときの燃料電池2の消費電力量の変化を示すグラフである。同図に示すように、内部水分量の所定値の点をP2としたとき、この点P2よりも内部水分量が増加すると、これに比例して消費電力量も増加する。
(1) ディスチャージ抵抗5に接続されているスイッチ43をオンにして燃料電池2とディスチャージ抵抗5とを接続し、燃料電池2の電力を消費する。
(2) 最初、ディスチャージ抵抗5と燃料電池2とを接続せずに、バッテリ4に燃料電池2の電力を蓄電したり、電動モータ3に不効率に電力を供給し、燃料電池2の電力を電動モータ3によって消費させたりする。
(2)による方法では、例えば、バッテリ4に蓄電した後、さらにディスチャージ抵抗5を用いて燃料電池2の電力を消費することもできる。
なお、ディスチャージを実行している際に水素タンク30からのアノードガスの供給量を増量してもよい。
パージの実行時間、つまり、パージ弁52の開弁時間は、開弁により排出されるアノードガス量が、希釈ボックスで希釈可能なアノードガス量を下回る時間に制限される。開弁により排出されるアノードガス量は、燃料電池2内のアノードガスの量とディスチャージにより消費されたアノードガス(水素)量とに基づいて決定される。燃料電池2内のアノードガス量は、アノードガス供給量、アノードガス消費量および過去のパージ排出量から推定される。
このとき、アノードオフガスは、ディスチャージを実行することにより水素濃度が低くなっているので、適正な水素濃度に希釈された状態で車外に排出される。これにより、処理を終了し、引き続き燃料電池2の運転を継続する。
したがって、上述の実施形態によれば、燃料電池2の低負荷要求時において、燃料電池2内のアノードガスの圧力が低く、生成水の自然排出が困難な場合であっても、ディスチャージを行うことによりアノードガス中の水素を消費することができる。このため、パージ時間を長く設定することが可能になり、効率的に生成水を排出することができる。よって、燃料電池2の負荷状態に係らず、確実に燃料電池の発電性能を確保することができる。
また、上述の実施形態では、内部水分量に応じてディスチャージにより消費される燃料電池2の電力量を設定し、これに基づいて燃料電池2とディスチャージ抵抗5との接続時間を設定したり、ディスチャージ抵抗5の抵抗値を設定したりする場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、内部水分量にかかわらずディスチャージに消費させる電力量を一定としてもよい。
さらに、上述の実施形態では、パージの実行時間をディスチャージにより消費されたアノードガス(水素)量に基づいて決定した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、希釈ボックス31の希釈能力を超えない範囲でパージを複数回、間欠的に行うようにしてもよい。この場合であっても、十分生成水を外部に吹き飛ばすことが可能である。
Claims (6)
- アノードガス、およびカソードガスを供給し、発電を行う燃料電池と、
前記燃料電池のアノードガス流路内のガスの排出を行う排出手段と、
前記燃料電池の負荷要求を検出する負荷要求取得手段と、
前記負荷要求取得手段の検出結果に基づいて、前記アノードガスの圧力を決定するアノード圧設定手段と、
前記燃料電池から前記排出手段を介して排出されたアノードオフガスを、前記燃料電池から排出されたカソードオフガスにより希釈して排出する希釈手段と、
前記燃料電池のディスチャージを行うディスチャージ手段と、
を有する燃料電池システムであって、
前記負荷要求取得手段の検出結果が、前記アノードオフガスと共に、前記燃料電池内の生成水を自然排出することが困難となる負荷要求値である場合には、前記ディスチャージ手段によりディスチャージを行った後、前記排出手段による排出を実行するディスチャージ・排出工程を実施することを特徴とする燃料電池システム。 - 前記燃料電池内の生成水の滞留量に基づいて、前記ディスチャージ手段のディスチャージ電力量を設定することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
- 前記燃料電池内の前記アノードガスの量に応じて前記排出手段による排出時間を設定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の燃料電池システム。
- 前記負荷要求取得手段の検出結果が、前記アノードオフガスと共に、前記燃料電池内の生成水を自然排出することが可能な負荷要求値であった際、前記ディスチャージ・排出工程を中止することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の燃料電池システム。
- 前記ディスチャージ手段によるディスチャージ中に前記アノードガスの供給量を増量することを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかに記載の燃料電池システム。
- アノードガス、およびカソードガスを供給し、発電を行う燃料電池と、
前記燃料電池のアノードガス流路内のガスの排出を行う排出手段と、
前記燃料電池の負荷要求を検出する負荷要求取得手段と、
前記燃料電池から前記排出手段を介して排出されたアノードオフガスを、前記燃料電池から排出されたカソードオフガスにより希釈して排出する希釈手段と、
前記燃料電池のディスチャージを行うディスチャージ手段と、を備えた燃料電池システムにおいて、前記燃料電池内の生成水を外部へと排出するための燃料電池システムの制御方法であって、
前記負荷要求取得手段により前記燃料電池の負荷要求を検出する負荷要求取得工程と、
前記負荷要求取得工程の検出結果が、前記アノードオフガスと共に、前記燃料電池内の生成水を自然排出することが困難となる負荷要求値である場合には、前記ディスチャージ工程によりディスチャージを行った後、前記排出手段による排出を実行するディスチャージ・排出工程と、
を有することを特徴とする燃料電池システムの制御方法。
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