JP5112794B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体装置の製造方法に関する。
半導体装置では、微細化や多層化の進展に伴い、電流密度の増加によるエレクトロマイクレーション(EM:Electro migration )が深刻化する。高いEM耐性を有する銅(Cu)の多層配線技術は、半導体装置を高集積化させる上で不可欠である。
Cu配線の製造工程には、配線形状に応じたトレンチを予め絶縁層に形成し、該トレンチにCuを充填して配線を形成する、いわゆるダマシン(Damascene )法が利用される。さらに、Cu配線の製造工程には、配線用のトレンチにビアホール(Via-Hole )を予め
形成し、トレンチとビアホールの双方にCuを充填して配線とビアコンタクトを同時に形成する、いわゆるデュアルダマシン(Dual-Damascene )法が利用される。
ダマシンプロセス後のCu配線には、Cu配線とCu配線上の絶縁層(例えば、低誘電率膜:Low-k 膜)との間にSiCやSiN等のキャップ層が積層される。キャップ層は、Cu配線表面の酸化防止膜、Cuの拡散防止膜、ビアホールのエッチストップ膜として機能する。一方、これらSiCやSiN等の絶縁膜からなるキャップ層は、Cu配線との間の密着性が弱いために、Cu配線の信頼性を低下させる。また、ビアホール形成時のエッチング工程を複雑にして、半導体装置の生産性を損なう。
そこで、Cu多層配線技術では、上記の問題を解消させるため、従来から、Cu配線上のキャップ層に金属材料を適用する提案がなされている。金属材料からなるキャップ層(以下単に、メタルキャップ層という。)は、Cu配線との間の密着性が高いこと、比抵抗値が低いこと、バリア性が高いこと(Low-k 膜からの水分やCu配線からのCu原子に対するバリア性が高いこと)、Cu配線上にのみ形成される選択性を有すること、が要求される。
特許文献1は、無電解メッキ法を利用し、Cu配線表面に選択的にコバルトタングステンリン(CoWP)を析出させ、さらに、CoWP層の表面をサリサイド化してメタルキャップ層を形成させる。これにより、メタルキャップ層としての密着性、導電性、バリア性、成膜選択性を満たすことができ、かつ、メタルキャップ層の耐酸化性を向上させることができる。
一方、特許文献2は、メタルキャップ層の材料として、窒化ジルコニウム(ZrN)や窒化ジルコニウム化合物等を用い、Cu配線を含む基板の表面全体に、メタルキャップ層を形成させる。そして、Cu配線上のメタルキャップ層の領域に、導電性が選択的に与えられて、反対に、絶縁層上のメタルキャップ層の領域に、絶縁性が与えられる。これによれば、上記の成膜選択性を要することなく、基板全体のメタルキャップ層が、メタルキャップ層に要求される上記の機能を発現する。
特開2002−43315号公報 特開2003−17496号公報
特許文献1の技術は、成膜選択性を得るために無電解メッキ法を利用する。無電解メッキ法においては、CoWP層の形状や膜厚が薬液の濃度や酸化還元雰囲気等の影響を大き
く受けるため、CoWP層の析出状況がCu配線の粗密、表面積、形状等に応じて大きく変動し、これによって、隣接するCoWP層の短絡やCu配線の被覆不良を招いてしまう。しかも、表面反応を利用する無電解メッキ法は、成膜選択性を実現させるために、Cu配線の表面やLow-k 膜の表面等、薬液に浸漬させる表面を極めて清浄な状態にさせる必要がある。そのため、基板表面の清浄化の分だけ生産工程の工程数が増大し、半導体装置の生産性が損なわれてしまう。
一方、特許文献2の技術は、メタルキャップ層の製造方法として、CVD法、スパッタ法、蒸着法等を挙げる一方、その詳細については、CVD法でテトラキスジエチルアミノジルコニウム(TDEMA)を用いる点だけを開示している。本願発明者らによる実験によれば、TDEMAを用いるCVD法では、成膜原料が化学的に不安定であるため、パウダー状のZrNや副生成物等が成膜室や排気ラインに多量に発生して、半導体装置のパーティクルレベルを著しく増大させてしまう。
上記の問題は、成膜材料としてZrNからなるターゲットを用い、該ターゲットをスパッタするスパッタ法によって解決可能と考えられる。しかし、ターゲットの材料としてZrNを用いると、Zr元素とN元素のスパッタ効率が異なるために、ターゲットの組成比を成膜ごとに変動させてしまう。ZrN膜の組成比は、ターゲットの組成比を転写するため、独立して調整させ難く、この結果、ターゲットの組成比と同じく、成膜ごとに変動してし、常にメタルキャップ層として機能するZrN膜を成膜するのが困難である。
また、Zrからなるターゲットを用い、Nガスで該ターゲットをスパッタして成膜する、いわゆる反応性スパッタ法も考えられるが、これによっても絶縁層上における絶縁性が損なわれ、メタルキャップ層として機能するZrN膜を成膜できない。
本願発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、パーティクルの発生や組成比の変動を抑制させるメタルキャップ層の製造工程を提供し、半導体装置の信頼性と生産性を向上させた半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、メタルバリアの材料を検討する中で、ホウ素(B)を含有するZrN膜(以下単に、ZrBN膜という。)が、ZrN膜と同じく、金属配線に対し良好な密着性と高いバリア性を有し、かつ、その導電性に対して高い下地依存性を有することを見出した。そして、本発明者らは、このZrBN膜を、多元ターゲットのスパッタ法、あるいは、反応性のスパッタ法によって成膜させることにより、安定した成膜系を構築できることを見出した。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の半導体装置の製造方法は、基板表面に形成された絶縁層の表面と、前記絶縁層の凹部に埋め込まれて前記絶縁層の表面と略同一面を形成する金属層の表面とに、メタルキャップ層を成膜する半導体装置の製造方法であって、チャンバ本体と、前記チャンバ本体の成膜室に設けられて基板を載置するステージと、窒化ジルコニウム(Zr)を主成分とするターゲットを有する第1カソードと、窒化ホウ素(BN)を主成分とするターゲットを有する第2カソードと、前記第1カソードと前記第2カソードに電力を印加する電源と、前記成膜室にスパッタガスを供給する供給手段と、前記電源と前記供給手段を駆動制御する制御部と、を備える成膜装置を用い、前記制御部による制御によって、前記第1カソードのターゲットと前記第2カソードのターゲットとを同時にスパッタさせて、前記絶縁層の表面と前記金属層の表面に、ZrBNを主成分とする前記メタルキャップ層を成膜させること、を要旨とする。
この構成によれば、メタルキャップ層の原料が、第1カソードのターゲットと、第2カソードのターゲット、すなわち、固体原料で構成されるため、原料の化学的安定化を図る
ことができ、ひいては、パーティクルの低減を図ることができる。また、メタルキャップ層の組成比が、各ターゲットのスパッタ量によって規定されるため、化学的な反応を利用してZrBNを成膜する場合に比べて、ZrBNの組成比の範囲を拡張させることができ、しかも、ZrBNの組成比に対して、より高い再現性を与えることができる。この結果、メタルキャップ層の製造工程におけるパーティクルの発生や組成比の変動を抑制させることができ、ひいては、半導体装置の信頼性と生産性を向上させることができる。
上記したように、本発明によれば、メタルキャップ層の製造工程におけるパーティクルの発生や組成比の変動を抑制させて、半導体装置の信頼性と生産性を向上させた半導体装置の製造方法を提供することができる。
(第一実施形態)
以下、本発明を具体化した第一実施形態を利用して製造した半導体装置について説明する。半導体装置は、例えば、各種RAMや各種ROMを含むメモリ、MPUや汎用ロジックを含むロジック等である。図1は、半導体装置を説明する要部断面図である。
(半導体装置10)
図1において、半導体装置10の基板Sは、薄膜トランジスタTrと、薄膜トランジスタTrを覆う第1絶縁層11とを有する。第1絶縁層11としては、例えば、例えば、リンを添加したシリコン酸化膜(PSG)やリン及びボロンを添加したシリコン酸化膜(BPSG)等を用いることができる。第1絶縁層11は、薄膜トランジスタTrの拡散層Saに対応するコンタクトホールHを有し、コンタクトホールHの内部には、拡散層Saに接続するコンタクトプラグPが充填されている。
第1絶縁層11は、コンタクトホールHから上方に拡開する凹部(以下単に、第1トレンチ11aという。)を有し、第1トレンチ11aの内部には、第1配線12が充填されている。第1配線12としては、例えば、窒化タンタルや窒化チタンからなる第1バリア層12aと、銅からなる第1内部配線12bとからなる積層構造を用いることができる。
第1絶縁層11と第1配線12の上面は、共通する第1メタルキャップ層(以下単に、第1キャップ層13という。)に覆われている。第1キャップ層13は、窒化ホウ化ジルコニウム(ZrB:x及びyは、それぞれ組成比であって、例えば、1≦x≦2.5、2≦x+y≦8である。)を主成分にして耐酸化性を有する層であり、下地の導電性に応じた導電性を有する。第1キャップ層13は、例えば、組成式がZrB2.12.5で表される膜であって、第1配線12と接触する領域(図1の濃いドットで示す領域)で5〜8[μΩ・cm]の比抵抗値を有し、第1絶縁層11と接触する領域(図1の薄い
ドットで示す領域)で∞の比抵抗値を有する。
ここで、第1配線12と接触する第1キャップ層13の領域を、第1導電領域13aという。また、第1絶縁層11と接触する第1キャップ層13の領域を、第1絶縁領域13bという。
第1キャップ層13は、水分に対して高いバリア性を有し、その第1導電領域13aと第1バリア層12aによって第1内部配線12bを囲い、第1内部配線12bの酸化を抑制する。第1キャップ層13は、その第1導電領域13aと第1配線12との間の高い密着性によって第1配線12のマイグレーションを抑制し、その第1導電領域13aの高いバリア性によって第1配線12の金属拡散を抑制する。また、第1キャップ層13は、その第1絶縁領域13bによって第1絶縁層11の上面を覆い、第1絶縁層11の吸湿を抑制する。
第1キャップ層13は、第1導電領域13aで高い導電性を有し、かつ、第1絶縁領域13bで高い絶縁性を有する。このため、第1キャップ層13は、第1配線12の粗密、表面積、形状等に関わらず、第1配線12と接続する第1導電領域13aでのみ導電性を発現し、かつ、第1絶縁層11と接続する第1絶縁領域13bで絶縁性を発現する。
これによって、第1キャップ層13は、互いに隣接する第1配線12の間の短絡を確実に回避させることができる。また、第1キャップ層13は、第1絶縁層11の上面と第1配線12の上面の全体に形成されるため、各第1配線12上の膜厚差を抑えることができ、第1配線12の被覆不良を確実に回避させることができる。
第1キャップ層13の上面は、第2絶縁層21によって覆われている。第2絶縁層21としては、例えば、有機シリカガラスや多孔質のシリカガラス等の低誘電率膜(以下単に、Low-k 膜という。)を用いることができる。第2絶縁層21は、第1導電領域13aに達する凹部(以下単に、ビアホール21aという。)と、そのビアホール21aから上方に向かって拡開する凹部(以下単に、第2トレンチ21bという。)を有する。ビアホール21aと第2トレンチ21bの内部には、ビアプラグを含む第2配線22が充填されている。
第2配線22としては、例えば、窒化タンタルや窒化チタンからなる第2バリア層22aと、銅からなる第2内部配線22bとからなる積層構造を用いることができる。第2配線22は、第1キャップ層13を挟んで第1配線12と接続し、第1キャップ層13の第1導電領域13aを介して第1配線12と電気的に接続する。
第2絶縁層21と第2配線22の上面は、共通する第2メタルキャップ層(以下単に、第2キャップ層23という。)に覆われている。第2キャップ層23は、第1キャップ層13と同じく、ZrBNを主成分にして耐酸化性を有する層であり、下地の導電性に応じた導電性を有する。第2キャップ層23は、例えば、組成式がZrB1.893.41で表される膜であって、第2配線22と接触する領域(図1の濃いドットで示す領域)で5〜8[μΩ・cm]の比抵抗値を有し、第2絶縁層21と接触する領域(図1の薄いドットで示す領域)で∞の比抵抗値を有する。
ここで、第2配線22と接触する第2キャップ層23の領域を、第2導電領域23aという。また、第2絶縁層21と接触する第2キャップ層23の領域を、第2絶縁領域23bという。
第2キャップ層23は、水分に対し高いバリア性を有し、その第2導電領域23aと、
第2バリア層22aによって第2内部配線22bを囲い、第2内部配線22bの酸化を抑制する。また、第2キャップ層23は、その第2絶縁領域23bによって第2絶縁層21の上面を覆い、第2絶縁層21の吸湿を抑制してlow-k 膜の誘電率を安定させる。第2キャップ層23は、第2配線22に対する高い密着性と高いバリア性とによって、第2配線22の金属拡散や第2配線22のマイグレーションを防止する。
第2キャップ層23は、第1キャップ層13と同じく、第2導電領域23aで高い導電性を有し、かつ、第2絶縁領域23bで高い絶縁性を有する。このため、第2キャップ層23は、第2配線22の粗密、表面積、形状等に関わらず、第2配線22と接続する第2導電領域23aでのみ導電性を発現し、かつ、第2絶縁層21と接続する第2絶縁領域23bで絶縁性を発現する。
これにより、第2キャップ層23は、互いに隣接する第2配線22間の短絡を確実に回避させることができる。また、第2キャップ層23は、第2絶縁層21の上面と第2配線22の上面の全体に形成されるため、各第2配線22上の膜厚差を抑えることができ、第2配線22の被覆不良を確実に回避させることができる。
(成膜装置30)
次に、上記半導体装置の製造装置としての成膜装置30について説明する。
図2において、成膜装置30は、ロードロックチャンバ(以下単に、LLチャンバ31という。)と、LLチャンバ31に連結される搬送チャンバ32と、搬送チャンバ32に連結される4つの成膜チャンバ33とを有している。LLチャンバ31、搬送チャンバ32、及び各成膜チャンバ33は、それぞれ解除可能に連通し、共通する真空系を形成可能にする。これら成膜装置30の各チャンバ31,32,33は、図示しない制御部に電気的に接続されて、各種の処理、例えば、基板Sの搬送処理や基板Sの成膜処理などを実行する。
LLチャンバ31は、対応する真空槽に複数の基板Sを収容し、基板Sの成膜処理を開始するとき、複数の基板Sをそれぞれ搬送チャンバ32に搬入する。また、LLチャンバ31は、基板Sの成膜処理を終了するとき、成膜処理後の基板Sを収容して大気開放し成膜装置30の外部に搬出する。
搬送チャンバ32は、対応する真空槽に搬送ロボット32aを搭載し、基板Sの成膜処理を開始するとき、成膜処理前の基板Sを、LLチャンバ31内から搬送チャンバ32内に搬入し、各成膜チャンバ33に搬出する。また、搬送チャンバ32は、基板Sの成膜処理を終了するとき、成膜処理後の基板Sを、各成膜チャンバ33内から搬送チャンバ32内に搬入し、LLチャンバ31に搬出する。
各成膜チャンバ33は、それぞれスパッタ法を用いてZrBN膜を成膜するチャンバである。各成膜チャンバ33は、それぞれ基板Sの成膜処理を実行するとき、基板Sを搬送チャンバ32内から成膜チャンバ33内に搬入し、基板Sの表面にZrBN膜、すなわち上記第1キャップ層13又は上記第2キャップ層23を成膜する。
(成膜チャンバ33)
図3において、成膜チャンバ33は、搬送チャンバ32に連結された真空槽(チャンバ本体35)を有し、搬送チャンバ32が搬出する基板Sをチャンバ本体35の内部に搬入する。チャンバ本体35は、ガスライン36を介して、供給手段としてのマスフローコントローラMFCに連結されて、所定の流量のアルゴン(Ar)と窒素(N)が供給される。チャンバ本体35は、排気ライン37を介して、ターボ分子ポンプやロータリポンプ等からなる排気システムPSに連結されて、チャンバ内の圧力を所定圧力に減圧する。
チャンバ本体35の内部には、基板ホルダ38が配設されて、搬送チャンバ32が搬出する基板Sを載置して位置決め固定する。基板ホルダ38は、チャンバ本体35の下側でホルダモータ39の駆動軸に連結されて、載置する基板Sの中心軸Aを回転中心にして基板Sをその周方向に回転する。基板Sの回転数は、例えば、10rpm〜240rpmである。
基板ホルダ38の斜め上方には、一対のカソード(以下単に、第1カソード40aと第2カソード40bという。)が配設されている。第1カソード40aは、対応する第1バッキングプレート41a、第1ターゲット42a、第1磁気回路43a、第1カソードモータ44aを有し、第2カソード40bは、対応する第2バッキングプレート41b、第2ターゲット42b、第2磁気回路43b、及び第2カソードモータ44bを有する。
各カソード40a,40bは、それぞれ対応するバッキングプレート41a,41bの下側に、対応するターゲット42a,42bを搭載する。各カソード40a,40bは、それぞれ対応するターゲット42a,42bの内表面の法線(図3における一点鎖線)を、基板Sの法線(中心軸A)に対して所定の角度だけ傾斜させる。
各カソード40a,40bは、各バッキングプレート41a,41bを介して、対応する外部電源に接続される。各外部電源は、それぞれ対応するターゲット42a,42bに対して、所定の高周波電力(例えば、2(W/cm2 )〜4(W/cm2 )の高周波電力)を供給する。
第1ターゲット42aは、窒化ジルコニウム(ZrN)を主成分とするターゲットであって、例えば、直径が6インチの円盤状に形成されている。また、第2ターゲット42bは、窒化ホウ素(BN)を主成分とするターゲットであって、第1ターゲット42aと同じく、例えば、直径が6インチの円盤状に形成されている。第2ターゲット42bの組成比は、第1ターゲット42aの組成比と、各キャップ層13,23の組成比に基づいて規定される値であって、例えば、各キャップ層13,23の組成比が、ZrB1.893.41となるように規定されている。
各カソード40a,40bは、それぞれ対応するバッキングプレート41a,41bの上側に、対応する磁気回路43a,43bを搭載している。各磁気回路43a,43bは、それぞれ対応するターゲット42a,42bの内表面に沿ってマグネトロン磁場を形成し、ターゲット42a,42bをスパッタするとき、ターゲット42a,42bの近傍に高密度のプラズマを生成する。各磁気回路43a,43bは、それぞれ対応するカソードモータ44a,44bの出力軸に駆動連結されて、カソードモータ44a,44bが駆動するとき、対応するターゲット42a,42bの面方向に沿って回転する。各磁気回路43a,43bの回転数は、例えば、10rpm〜240rpmであり、より好ましくは、60rpm〜120rpmである。また、各磁気回路43a,43bの回転数は、各磁気回路43a,43bの回転が基板Sと同期しない回転数が好ましい。
基板ホルダ38の周囲には、チャンバ本体35の内部の略全体にわたり、防着板45が配設されている。防着板45は、第1ターゲット42aと第2ターゲット42bに対向する領域に、それぞれ第1開口45aと第2開口45bを有する。
各カソード40a,40bは、それぞれ対応する外部電源が所定の電力を出力するとき、各開口45a,45bを介して、対応するターゲット42a,42bをスパッタさせて、各ターゲット42a,42bからのスパッタ粒子を、回転する基板Sの表面に対して斜
めに入射させる。また、各カソード40a,40bは、それぞれ対応する外部電源が所定の電力を出力するとき、スパッタ粒子のチャンバ内側壁への付着を防着板45によって抑制する。
各カソードモータ44a,44bは、それぞれ対応する磁気回路43a,43bが回転するとき、各ターゲット42a,42bのエロージョンを、その内表面の全体に形成させてスパッタリングの均一性を確保する。また、各カソードモータ44a,44bは、それぞれ対応する磁気回路43a,43bが基板Sに対して非同期回転するとき、各ターゲット42a,42bのエロージョンが基板Sに転写されることを抑制する。
この際、第1カソード40aは、Nを主成分とするスパッタ粒子を、供給電力に応じたスパッタ量で基板Sの上に堆積させる。また、第2カソード40bは、BNを主成分とするスパッタ粒子を、供給電力に応じたスパッタ量で基板Sの上に堆積させる。
これによって、成膜チャンバ33は、第1カソード40aへの供給電力と、第2カソード40bへの供給電力とに応じた組成比でZrBN膜を成膜させることができるため、化学的な反応を利用してZrBNを成膜する場合に比べて、ZrBNの組成比の範囲を拡張させることができる。また、成膜チャンバ33は、各供給電力の調整によって、ZrBN膜の組成比を調整させることができるため、ZrBNの組成比に対して、より高い再現性を与えることができる。しかも、成膜チャンバ33は、固体原料を用いてZrBN膜を形成させることができるため、原料の化学的安定化を図ることができ、パーティクルの低減を図ることができる。
(半導体装置10の製造方法)
次に、上記成膜装置30を用いた半導体装置10の製造方法について説明する。
まず、図1に示すように、基板Sの表面に、薄膜トランジスタTrを形成し、薄膜トランジスタTrを覆う第1絶縁層11と、第1絶縁層11のコンタクトホールHを充填するコンタクトプラグPを形成する。また、フォトリソグラフィ技術とエッチング技術を用いて、コンタクトホールHの上方に第1トレンチ11aを形成し、スパッタリング技術を用いて、第1トレンチ11aの内側面を含む基板Sの全体に第1バリア層12aを形成する。続いて、無電解メッキ技術あるいはCVD技術を用いて、第1バリア層12aの表面に銅のメッキシード層を形成し、電解メッキ技術を用いて、基板Sの全体に銅を析出させて第1内部配線12bを形成する。そして、CMP技術を用いて、第1バリア層12a及び第1内部配線12bを研磨して第1配線12を形成する。
第1配線12を形成すると、基板Sを成膜装置30のLLチャンバ31にセットして、メタルキャップ層の成膜処理を実行する。
すなわち、成膜装置30は、成膜チャンバ33の排気システムPSを駆動し、チャンバ本体35の内部空間を所定の圧力(例えば、0.1Pa)にまで減圧する。また、成膜装置30は、搬送ロボット32aを駆動し、LLチャンバ31の基板Sを成膜チャンバ33に搬送する。
続いて、成膜装置30は、マスフローコントローラMFCを駆動し、チャンバ本来35の内部空間に、所定の流量(例えば、20sccm)のArガスと、所定の流量(例えば、15sccm)のNガスを供給し、内部空間を所定の圧力(例えば、0.5Pa)に維持する。また、成膜装置30は、基板ホルダ38と各カソードモータ44a,44bを駆動し、基板S、第1ターゲット42a、及び第2ターゲット42bを回転させる。
そして、成膜装置30は、第1カソード40aと第2カソード40bの外部電源を駆動
し、第1ターゲット42aと第2ターゲット42bをスパッタして所定の組成比からなるZrBN膜を第1キャップ層13として成膜する。これによって、所望の組成比でZrBN膜を成膜させることができるため、第1キャップ層13の組成比に対して、より高い再現性を与えることができる。また、化学的に安定な原料によってZrBN膜を成膜させるため、第1キャップ層13の形成工程において、パーティクルの低減を図ることができる。
第1キャップ層13を形成すると、CVD技術又はスピンコート技術を用いて、第1キャップ層13の表面に第2絶縁層21を積層し、フォトリソグラフィ技術とエッチング技術を用いて、第2絶縁層21にビアホール21aと第2トレンチ21bを形成する。また、スパッタリング技術を用いて、ビアホール21aと第2トレンチ21bの内側面を含む基板Sの全体に第2バリア層22aを形成する。続いて、無電解メッキ技術あるいはCVD技術を用いて、第2バリア層22aの表面に銅のメッキシード層を形成し、電解メッキ技術を用いて、基板Sの全体に銅を析出させて第2内部配線22bを形成する。そして、CMP技術を用いて、第2バリア層22a及び第2内部配線22bを研磨して第2配線22を形成する。
第2配線22を形成すると、基板Sを成膜装置30に搬送し、基板Sを成膜装置30のLLチャンバ31にセットして、メタルキャップ層の成膜処理を実行する。すなわち、上記第1キャップ層13と同じく、基板Sの表面全体に、共通するZrBN膜を積層して第2キャップ層23を形成する。これによって、所望の組成比でZrBN膜を成膜させることができるため、第2キャップ層23の組成比に対して、より高い再現性を与えることができる。また、化学的に安定な原料によってZrBN膜を成膜させるため、第2キャップ層23の形成工程において、パーティクルの低減を図ることができる。ひいては、半導体装置10の信頼性と生産性を向上させることができる。
上記実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)上記実施形態において、成膜チャンバ33は、第1カソード40aと第2カソード40bを備え、各カソード40a,40bに、それぞれZrを含む第1ターゲット42aと、BNを主成分とする第2ターゲット42bを搭載する。そして、成膜チャンバ33は、各外部電源を駆動して第1ターゲット42aと第2ターゲット42bとを同時にスパッタし、第1絶縁層11の表面と第1配線12の表面、又は、第2絶縁層21の表面と第2配線22の表面に、ZrBNを主成分とするメタルキャップ層を成膜させる。
したがって、各キャップ層13,23の原料が固体で構成されるため、原料の化学的安定化を図ることができ、ひいては、パーティクルの低減を図ることができる。また、各キャップ層13,23の組成比が、各ターゲット42a,42bのスパッタ量によって規定されるため、化学的な反応を利用してZrBNを成膜する場合に比べて、ZrBNの組成比の範囲を拡張させることができ、しかも、ZrBNの組成比に対して、より高い再現性を与えることができる。
この結果、各キャップ層13,23の製造工程におけるパーティクルの発生や組成比の変動を抑制させることができ、ひいては、半導体装置10の信頼性と生産性を向上させることができる。
(2)上記実施形態において、第1ターゲット42aはZNを主成分とする。したが
って、第1ターゲット42aが、ZrBNの構成元素を主成分とするため、ZrBNに対して、より高い純度を与えることができる。
尚、上記実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・上記実施形態において、マスフローコントローラMFCは、ArとNを供給するが、これに限らず、例えば、Arのみを供給する構成であってもよい。
本発明の半導体装置を示す要部断面図。 半導体装置の製造装置を模式的に示す平面図。 成膜チャンバを示す概略断面図。
符号の説明
MFC…供給手段としてのマスフローコントローラ、S…基板、10…半導体装置、1
1…絶縁層を構成する第1絶縁層、12…金属層を構成する第1配線、13…メタルキャップ層を構成する第1メタルキャップ層、21…絶縁層を構成する第2絶縁層、22…金属層を構成する第2配線、23…メタルキャップ層を構成する第2メタルキャップ層、30…半導体装置の製造装置としての成膜装置、40a…第1カソード、40b…第2カソード、42a…第1ターゲット、42b…第2ターゲット。

Claims (1)

  1. 基板表面に形成された絶縁層の表面と、前記絶縁層の凹部に埋め込まれて前記絶縁層の表面と略同一面を形成する金属層の表面とに、メタルキャップ層を成膜する半導体装置の製造方法であって、
    チャンバ本体と、
    前記チャンバ本体の成膜室に設けられて基板を載置するステージと、
    窒化ジルコニウム(Zr)を主成分とするターゲットを有する第1カソードと、
    窒化ホウ素(BN)を主成分とするターゲットを有する第2カソードと、
    前記第1カソードと前記第2カソードに電力を印加する電源と、
    前記成膜室にスパッタガスを供給する供給手段と、
    前記電源と前記供給手段を駆動制御する制御部と、を備える成膜装置を用い、
    前記制御部による制御によって、前記第1カソードのターゲットと前記第2カソードのターゲットとを同時にスパッタさせて、前記絶縁層の表面と前記金属層の表面に、ZrBNを主成分とする前記メタルキャップ層を成膜させること、
    を特徴とする半導体装置の製造方法
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