JP5112563B2 - レジスト被覆膜形成用材料およびレジストパターン形成方法 - Google Patents
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Description
近年、半導体素子や液晶表示素子の製造においては、リソグラフィー技術の進歩により急速にパターンの微細化が進んでいる。微細化の手法としては、一般に、露光光源の短波長化が行われている。具体的には、従来は、g線、i線に代表される紫外線が用いられていたが、現在では、KrFエキシマレーザーや、ArFエキシマレーザーを用いた半導体素子の量産が開始されている。また、これらエキシマレーザーより短波長のF2エキシマレーザー、電子線、EUV(極紫外線)やX線などについても検討が行われている。
化学増幅型レジストの反応機構は、露光すると、酸発生剤から酸が発生し、その酸の作用によってベース樹脂のアルカリ溶解性が変化するというものである。たとえばポジ型の場合、ベース樹脂としては、一般的に、酸発生剤から発生した酸の作用により解離する酸解離性溶解抑制基を有する樹脂が用いられており、該樹脂に酸が作用すると、酸解離性溶解抑制基が解離し、当該樹脂のアルカリ溶解性が増大する。
現在、ArFエキシマレーザーリソグラフィー等において使用される化学増幅型レジストのベース樹脂としては、193nm付近における透明性に優れることから、(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を主鎖に有する樹脂(アクリル系樹脂)が主流である(たとえば特許文献1参照)。なお、「(メタ)アクリル酸」とは、α位に水素原子が結合したアクリル酸と、α位にメチル基が結合したメタクリル酸の一方あるいは両方を意味する。「(メタ)アクリル酸エステルとは、α位に水素原子が結合したアクリル酸エステルと、α位にメチル基が結合したメタクリル酸エステルの一方あるいは両方を意味する。「(メタ)アクリレート」とは、α位に水素原子が結合したアクリレートと、α位にメチル基が結合したメタクリレートの一方あるいは両方を意味する。
液浸露光によれば、同じ露光波長の光源を用いても、より短波長の光源を用いた場合や高NAレンズを用いた場合と同様の高解像性を達成でき、しかも焦点深度幅の低下もないといわれている。また、液浸露光は、既存の露光装置を用いて行うことができる。そのため、液浸露光は、低コストで、高解像性で、かつ焦点深度幅にも優れるレジストパターンの形成を実現できると予想され、多額な設備投資を必要とする半導体素子の製造において、コスト的にも、解像度等のリソグラフィー特性的にも、半導体産業に多大な効果を与えるものとして大変注目されている。
液浸露光は、あらゆるパターン形状の形成において有効であり、更に、現在検討されている位相シフト法、変形照明法などの超解像技術と組み合わせることも可能であるとされている。現在、液浸露光技術としては、主に、ArFエキシマレーザーを光源とする技術が活発に研究されている。また、現在、液浸媒体としては、主に水が検討されている。
レジスト被覆膜には、一般的に、レジスト膜とのミキシングを防止するために、レジスト膜に用いられている樹脂成分とは構造が全く異なる樹脂が用いられている。たとえばArFエキシマレーザーを光源とする場合は、レジスト膜には主にアクリル系の樹脂が用いられており(たとえば、特許文献1参照)、一方、レジスト被覆膜には主に主鎖環状型の樹脂が用いられている。たとえば特許文献2〜3には、ArFエキシマレーザーを光源とする液浸露光において用いられるレジスト被覆膜として、−Q−NH−SO2−R5(ただし、Qは炭素数1〜5の直鎖または分岐鎖状のアルキレン基であり、R5はフッ素化アルキル基である。)、−CO−O−R7(ただし、R7はフッ素化アルキル基である。)で表される基を含む主鎖環状型の樹脂を有機溶剤に溶解してなる組成物から形成された保護膜等が開示されている。ここで、「主鎖環状型の樹脂」とは、当該樹脂を構成する構成単位が、単環または多環式の環構造を有し、該環構造の環上の少なくとも1つ、好ましくは2つ以上の炭素原子が主鎖を構成する構成単位(以下、「主鎖環状型構成単位」という。)を有することを意味する。主鎖環状型構成単位としては、ポリシクロオレフィン(多環式のオレフィン)から誘導される構成単位、ジカルボン酸の無水物含有構成単位等が挙げられる。
また、レジスト被覆膜がアルカリ可溶性である場合、形成されるレジストパターンの形状等のリソグラフィー特性が悪化したり、該レジストパターンの表面に欠陥(ディフェクト)が発生しやすいという問題がある。ディフェクトとは、例えばKLAテンコール社の表面欠陥観察装置(商品名「KLA」)により、現像後のレジストパターンを真上から観察した際に検知される不具合全般のことである。この不具合とは、例えば現像後のスカム、泡、ゴミ、ブリッジ(レジストパターン間の橋掛け構造)、色むら、析出物等である。さらに、このようなアルカリ可溶性の被覆膜は、水等の液浸媒体を用いて行われる液浸露光における有用性が低い。
これらの問題の原因の一つとして、かかるレジスト被覆膜に用いられている樹脂が、レジスト膜に用いられている樹脂と異なる種類のものであるため、レジスト被覆膜とレジスト膜とのマッチングが悪いことが考えられる。そのため、上記問題を回避するために、レジスト膜に用いられている樹脂成分と同じ種類の樹脂(アクリル系樹脂)を用いることも考えられるが、単にアクリル系樹脂を用いただけでは、レジスト膜上に当該樹脂の有機溶剤溶液を塗布した際にレジスト膜が溶解してしまい、レジスト膜の膜減りが生じたり、レジスト膜が完全に溶解してしまうなどの問題が生じてしまい、レジスト膜上に被覆膜を形成することは困難である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、レジスト膜上に、リソグラフィー特性を損なうことなく被覆膜を形成できるレジスト被覆膜形成用材料、および該レジスト被覆膜形成用材料を用いたレジストパターン形成方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の第一の態様は、少なくとも、酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する樹脂成分(A)が有機溶剤(S)に溶解してなるレジスト被覆膜形成用材料であって、
前記樹脂成分(A)が、アクリル酸エステルから誘導される構成単位(a)を75〜100モル%の割合で有する樹脂成分(ただし下記一般式(1)で示される繰り返し単位を有するものを除く。)であり、
前記有機溶剤(S)が、水酸基を有さないエーテル系有機溶剤およびアルコール系溶剤からなる群から選択される少なくとも1種の有機溶剤(S1)を含有することを特徴とするレジスト被覆膜形成用材料である。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖、分岐鎖および環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖、分岐鎖および環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「低級アルキル基」は、炭素原子数1〜5のアルキル基である。
「露光」は放射線の照射全般を含む概念とする。
本発明のレジスト被覆膜形成用材料は、少なくとも、酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する樹脂成分(A)(以下、(A)成分という。)が有機溶剤(S)(以下、(S)成分という。)に溶解してなるものである。
本発明において、(A)成分は、アクリル酸エステルから誘導される構成単位(a)を有する。これにより、レジスト膜とのマッチングのよいレジスト被覆膜を形成できる。
ここで、本明細書および特許請求の範囲において、「アクリル酸エステルから誘導される構成単位」とは、アクリル酸エステルのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「アクリル酸エステル」は、特に断りがない限り、α位の炭素原子に水素原子が結合しているアクリル酸エステルのほか、α位の炭素原子に置換基(水素原子以外の原子または基)が結合しているものも含む概念とする。アクリル酸エステルから誘導される構成単位のα位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、カルボニル基が結合している炭素原子のことである。
α位の炭素原子に結合していてもよい置換基(α位の置換基)としては、低級アルキル基、ハロゲン化低級アルキル基等が挙げられる。
α位の置換基としての低級アルキル基として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの低級の直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられる。
α位の置換基としてのハロゲン化低級アルキル基としては、前記低級アルキル基における水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
本発明において、アクリル酸エステルのα位に結合しているのは、水素原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基であることが好ましく、水素原子、低級アルキル基またはフッ素化低級アルキル基であることがより好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基であることが最も好ましい。
(A)成分中、アクリル酸エステルから誘導される構成単位の割合は、(A)成分を構成する全構成単位の合計に対し、50〜100モル%が好ましく、75〜100モル%がより好ましく、100モル%が特に好ましい。
前記一般式(a0−1)中、Rは水素原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基である。
Rの低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基については、上記アクリル酸エステルのα位に結合していてよい低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基と同様である。中でも、Rとしては、水素原子またはメチル基が好ましい。
ここで、本特許請求の範囲及び明細書における「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。「脂肪族環式基」は、芳香族性を持たない単環式基または多環式基であることを示す。
構成単位(a0)における「脂肪族環式基」は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)、等が挙げられる。
「脂肪族環式基」の置換基を除いた基本の環(脂肪族環)の構造は、炭素および水素からなる環(炭化水素環)であることに限定はされないが、炭化水素環であることが好ましい。また、「炭化水素環」は飽和、不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。
脂肪族環式基は、多環式基、単環式基のいずれでもよい。脂肪族環式基の具体例としては、例えば、低級アルキル基、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
構成単位(a0)における脂肪族環式基は、多環式基であることが好ましく、中でも、アダマンタンから2個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
ここで、「有機基」とは、炭素原子とそれ以外の少なくとも1種の原子とを含有する基である。
有機基は、基本的に、炭素および水素を主たる構成元素として含有する基が好ましく、たとえば炭化水素基;炭化水素基の水素原子の一部または全部が置換基で置換された基;炭化水素基の炭素原子の一部が、炭素原子および水素原子以外の他の原子または基で置換された基等が挙げられる。
炭化水素基は、鎖状の炭化水素基であってもよく、環状の炭化水素基であってもよく、また、鎖状の炭化水素基と環状の炭化水素基とからなる基であってもよい。炭化水素基は、脂肪族炭化水素基が好ましく、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基がより好ましい。
置換基としては、炭素原子および水素原子以外の他の原子または基であれば特に限定されず、たとえばハロゲン原子、酸素原子(=O)、カルボキシ基、水酸基、シアノ基等が挙げられる。
炭化水素基の炭素原子の一部が置換されていてもよい他の原子または基としては、たとえば酸素原子(−O−)、硫黄原子(−S−)、カルボニル基、カルボニルオキシ基等が挙げられる。
Zの有機基としては、特に、その構造中にアルキル基を含む基(アルキル基含有基)が好ましい。
ここで、本明細書および特許請求の範囲において、「アルキル基」は、上述のように、1価の飽和炭化水素基を示し、鎖状(直鎖状、分岐鎖状)のアルキル基および環状構造を有するアルキル基を包含する。
アルキル基含有基におけるアルキル基としては、例えば炭素数1〜12の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基等が挙げられる。
ここで、本明細書および特許請求の範囲において、「第3級アルキル基」は、第3級炭素原子を有するアルキル基を示す。
「第3級アルキル基含有基」は、その構造中に第3級アルキル基を含む基を示す。第3級アルキル基含有基は、第3級アルキル基のみから構成されていてもよく、第3級アルキル基と、第3級アルキル基以外の他の原子または基とから構成されていてもよい。
第3級アルキル基とともに第3級アルキル基含有基を構成する前記「第3級アルキル基以外の他の原子または基」としては、カルボニルオキシ基、カルボニル基、アルキレン基、酸素原子等が挙げられる。
環状構造を有さない第3級アルキル基含有基は、第3級アルキル基として分岐鎖状の第3級アルキル基を含有し、かつその構造内に環状構造を有さない基である。
分岐鎖状の第3級アルキル基としては、たとえば下記一般式(I)で表される基が挙げられる。
また、一般式(I)で表される基の全炭素数は、4〜7であることが好ましく、4〜6であることがより好ましく、4〜5であることが最も好ましい。
一般式(I)で表される基の具体例としては、tert−ブチル基、tert−ペンチル基等が好ましく挙げられ、tert−ブチル基がより好ましい。
第3級アルキル基含有鎖状アルキル基におけるアルキレン基としては、炭素数1〜5のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜4のアルキレン基がより好ましく、炭素数1〜2のアルキレン基がさらに好ましい。
鎖状の第3級アルキルオキシカルボニル基としては、たとえば下記一般式(II)で表される基が挙げられる。式(II)中のR21〜R23は、前記式(I)中のR21〜R23と同様である。鎖状の第3級アルキルオキシカルボニル基としては、tert−ブチルオキシカルボニル基(t−boc)、tert−ペンチルオキシカルボニル基が好ましい。
鎖状の第3級アルキルオキシカルボニルアルキル基としては、たとえば下記一般式(III)で表される基が挙げられる。式(III)中のR21〜R23は、前記式(I)中のR21〜R23と同様である。fは1〜3の整数であり、1または2が好ましい。鎖状の第3級アルキルオキシカルボニルアルキル基としては、tert−ブチルオキシカルボニルメチル基、tert−ブチルオキシカルボニルエチル基が好ましい。
これらの中で、環状構造を有さない第3級アルキル基含有基としては、第3級アルキルオキシカルボニル基または第3級アルキルオキシカルボニルアルキル基が好ましく、第3級アルキルオキシカルボニル基がより好ましく、tert−ブチルオキシカルボニル基が最も好ましい。
環状構造を有する第3級アルキル基含有基において、環状構造は、環を構成する炭素数が4〜12であることが好ましく、5〜10であることがより好ましく、6〜10であることが最も好ましい。環状構造としては、例えばモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。好ましくは、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基等が挙げられる。
(1)環状のアルキル基(シクロアルキル基)の環を構成する炭素原子に、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が結合し、該炭素原子が第3級炭素原子となっている基。
(2)シクロアルキル基の環を構成する炭素原子に、第3級炭素原子を有するアルキレン基(分岐鎖状のアルキレン基)が結合している基。
(1)の基の具体例としては、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基、1−メチル−1−シクロアルキル基、1−エチル−1−シクロアルキル基等が挙げられる。
(2)の基の具体例としては、たとえば下記化学式(IV)で表される基が挙げられる。
R25、R26はそれぞれ独立して直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であり、該アルキル基としては、前記式(I)中のR21〜R23のアルキル基と同様のものが挙げられる。
式中、R41は直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基である。
R41が直鎖状、分岐鎖状の場合は、炭素数1〜5であることが好ましく、エチル基、メチル基がさらに好ましく、特にエチル基が最も好ましい。
R41が環状の場合は炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的にはフッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
R42は直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基である。該アルキレン基は、炭素数1〜5であることが好ましく、炭素数1〜3であることがより好ましく、炭素数1〜2であることがさらに好ましい。
Zのアルコキシアルキル基としては、特に、下記一般式(VI)で表される基が好ましい。
R43、R44において、アルキル基の炭素数は好ましくは1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよく、エチル基、メチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。特にR43、R44の一方が水素原子で、他方がメチル基であることが好ましい。
aは1であることが好ましい。
bは0であることが好ましい。
a+bは1であることが好ましい。
cは0〜3の整数であり、0または1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
dは0〜3の整数であり、0または1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
eは0〜3の整数であり、0または1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
(A)成分中の構成単位(a0)の割合は、(A)成分を構成する全構成単位の合計に対し、5〜90モル%であることが好ましく、10〜80モル%であることがより好ましく、20〜75モル%であることがさらに好ましく、30〜65モル%であることが最も好ましい。下限値以上であると、(S)成分への(A)成分の溶解性が向上し、上限値以下であると、他の構成単位とのバランスが良好である。
構成単位(a1)は、酸解離性溶解抑制基を有するアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
ここで、本明細書および特許請求の範囲において、酸解離性溶解抑制基における「酸解離性」とは、露光時に、化学増幅型レジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜中に含まれる酸発生剤成分から発生する酸の作用により(A)成分から解離可能であることを意味する。「溶解抑制基」は、解離前は(A)成分全体をアルカリ不溶とするアルカリ溶解抑制性を有するとともに、解離後は(A)成分全体をアルカリ可溶性へ変化させる基である。
構成単位(a1)における酸解離性溶解抑制基としては、これまで、化学増幅型レジスト用のベース樹脂の酸解離性溶解抑制基として提案されているものを使用することができる。一般的には、(メタ)アクリル酸等におけるカルボキシ基と環状または鎖状の第3級アルキルエステルを形成する基;アルコキシアルキル基等のアセタール型酸解離性溶解抑制基などが広く知られている。なお、「(メタ)アクリル酸エステル」とは、α位に水素原子が結合したアクリル酸エステルと、α位にメチル基が結合したメタクリル酸エステルの一方あるいは両方を意味する。
なお、前記鎖状または環状のアルキル基は置換基を有していてもよい。
以下、カルボキシ基と第3級アルキルエステルを構成することにより、酸解離性となっている基を、便宜上、「第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基」という。
第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基としては、脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基、脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基が挙げられる。
脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。また、「炭化水素基」は飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。
脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基としては、炭素数4〜8の第3級アルキル基が好ましく、具体的にはtert−ブチル基、tert−ペンチル基、tert−ヘプチル基等が挙げられる。
該脂肪族環式基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)、等が挙げられる。脂肪族環式基の、置換基を除いた基本の環の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。また、炭化水素基は、飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。脂肪族環式基は、多環式基であることが好ましい。
脂肪族環式基の具体例としては、例えば、低級アルキル基、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基としては、例えば環状のアルキル基の環骨格上に第3級炭素原子を有する基を挙げることができ、具体的には2−メチル−2−アダマンチル基や、2−エチル−2−アダマンチル基等が挙げられる。あるいは、下記一般式(a1”)で示す構成単位において、カルボニルオキシ基(−C(O)−O−)の酸素原子に結合した基の様に、アダマンチル基等の脂肪族環式基と、これに結合する、第3級炭素原子を有する分岐鎖状アルキレン基とを有する基が挙げられる。
アセタール型酸解離性溶解抑制基としては、たとえば、下記一般式(p1)で表される基が挙げられる。
R1’,R2’の低級アルキル基としては、上記Rの低級アルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
本発明においては、R1’,R2’のうち少なくとも1つが水素原子であることが好ましい。すなわち、酸解離性溶解抑制基(p1)が、下記一般式(p1−1)で表される基であることが好ましい。
Yの脂肪族環式基としては、従来ArFレジスト等において多数提案されている単環又は多環式の脂肪族環式基の中から適宜選択して用いることができ、たとえば上記「脂肪族環式基」と同様のものが例示できる。
R19は直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基であり、炭素数は好ましくは1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれでもよい。
R19が直鎖状、分岐鎖状の場合は炭素数1〜5であることが好ましく、エチル基、メチル基がさらに好ましく、特にエチル基が最も好ましい。
R19が環状の場合は炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的にはフッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
また、上記式においては、R17及びR19がそれぞれ独立に直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基(好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基)であってR19の末端とR17の末端とが結合していてもよい。
この場合、R17とR19と、R19が結合した酸素原子と、該酸素原子およびR17が結合した炭素原子とにより環式基が形成されている。該環式基としては、4〜7員環が好ましく、4〜6員環がより好ましい。該環式基の具体例としては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
X1は、酸解離性溶解抑制基であれば特に限定することはなく、例えば上述した第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基、アセタール型酸解離性溶解抑制基などを挙げることができる。
X2は、式(a1−0−1)中のX1と同様である。
Y2は好ましくは炭素数1〜4のアルキレン基又は2価の脂肪族環式基であり、該脂肪族環式基としては、水素原子が2個以上除かれた基が用いられる以外は前記「脂肪族環式基」の説明と同様のものを用いることができる。
Yの脂肪族環式基については、上述の「脂肪族環式基」の説明において例示したものと同様のものが挙げられる。
さらに、構成単位(a1)としては、特に式(a1−1−1)〜式(a1−1−4)の構成単位を包括する下記一般式(a1−1−01)で表されるものや、式(a1−1−35)〜(a1−1−41)の構成単位を包括する下記一般式(a1−1−02)も好ましい。
R11の低級アルキル基はRにおける低級アルキル基と同様である。(S)成分への溶解性を考慮すると、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
R12の低級アルキル基はRにおける低級アルキル基と同様であり、メチル基またはエチル基が好ましく、エチル基が最も好ましい。
hは1又は2が好ましく、2が最も好ましい。
(A)成分中、構成単位(a1)の割合は、(A)成分を構成する全構成単位に対し、5〜90モル%が好ましく、10〜80モル%がより好ましく、15〜75モル%がさらに好ましく、20〜65モル%であることが最も好ましい。下限値以上であると、レジストパターン形成時、露光を行った際に、当該レジスト被覆膜の露光部において、該被覆膜で被覆されたレジスト膜で発生し、当該レジスト被覆膜に拡散してきた酸の作用により、該露光部のアルカリ溶解性が充分に増大する。そのため、現像により、下層のレジスト膜にレジストパターンが形成されると同時に、該レジストパターンに対する追従性に優れたパターンが当該レジスト被覆膜に形成される。また、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスが良好となる。
(A)成分は、構成単位(a0)および構成単位(a1)に加えて、さらに、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)を有してもよい。(A)成分中の構成単位(a2)の割合を調節することにより、レジスト被覆膜表面の動的接触角、静的接触角を調節することができる。
ここで、ラクトン含有環式基とは、−O−C(O)−構造を含むひとつの環(ラクトン環)を含有する環式基を示す。ラクトン環をひとつの目の環として数え、ラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。
具体的には、ラクトン含有単環式基としては、γ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた基が挙げられる。また、ラクトン含有多環式基としては、ラクトン環を有するビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンから水素原子一つを除いた基が挙げられる。
構成単位(a2)の例として、より具体的には、下記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位が挙げられる。
R’の低級アルキル基としては、前記構成単位(a1)におけるRの低級アルキル基と同じである。
Aの炭素数1〜5のアルキレン基として、具体的には、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基等が挙げられる。
一般式(a2−1)〜(a2−5)中、R’は、工業上入手が容易であること等を考慮すると、水素原子が好ましい。
以下に、前記一般式(a2−1)〜(a2−5)の具体的な構成単位を例示する。
構成単位(a2)を(A)成分に含有させる際には、(A)成分中の構成単位(a2)の割合は、(A)成分を構成する全構成単位の合計に対して、1〜60モル%が好ましく、10〜50モル%がより好ましく、15〜40モル%がさらに好ましく、15〜30モル%であることが最も好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(a2)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
(A)成分は、構成単位(a0)および(a1)に加えて、または構成単位(a0)、(a1)および(a2)に加えて、さらに、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3)を有してもよい。構成単位(a3)は、(A)成分全体の親水性を高め、現像液との親和性を高め、露光部でのアルカリ溶解性を向上させる等により解像性の向上に寄与する。特に、(S1)成分としてアルコール系溶剤を用いる場合は、(A)成分の(S)成分への溶解性が向上することから、構成単位(a3)を含むことが好ましい。
極性基としては、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基等が挙げられ、特に水酸基が好ましい。
脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状または分岐状の炭化水素基(好ましくはアルキレン基)や、多環式の脂肪族炭化水素基(多環式基)が挙げられる。該多環式基としては、例えばArFエキシマレーザー用レジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。該多環式基の炭素数は、7〜30であることが好ましい。
その中でも、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、またはアルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基を含有する脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位がより好ましい。該多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。これらの多環式基の中でも、アダマンタンから2個以上の水素原子を除いた基、ノルボルナンから2個以上の水素原子を除いた基、テトラシクロドデカンから2個以上の水素原子を除いた基が工業上好ましい。
jは1であることが好ましく、特に水酸基がアダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
式(a3−2)中、kは1であることが好ましい。シアノ基はノルボルニル基の5位または6位に結合していることが好ましい。
式(a3−3)中、t’は1であることが好ましい。lは1であることが好ましい。sは1であることが好ましい。これらはアクリル酸のカルボキシ基の末端に2−ノルボルニル基または3−ノルボルニル基が結合していることが好ましい。フッ素化アルキルアルコールはノルボルニル基の5又は6位に結合していることが好ましい。
構成単位(a3)を(A)成分に含有させる際には、(A)成分中の構成単位(a3)の割合が、当該(A)成分を構成する全構成単位に対し、1〜50モル%であることが好ましく、5〜40モル%がより好ましく、10〜25モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(a3)を含有させることによる効果が充分に得られる。上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができ、また、得られるレジスト被覆膜の疎水性が高く、液浸露光用として好適なものとなる。
(A)成分は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記構成単位(a0)、(a1)、(a2)、(a3)以外の他の構成単位(a4)を含んでいてもよい。
構成単位(a4)としては、上述の構成単位(a0)、(a1)、(a2)、(a3)に分類されない他の構成単位であれば特に限定するものではなく、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト用樹脂に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
構成単位(a4)としては、例えば酸非解離性の脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位などが好ましい。該多環式基は、例えば、前記の構成単位(a1)の場合に例示したものと同様のものを例示することができ、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト組成物の樹脂成分に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
特にトリシクロデカニル基、アダマンチル基、テトラシクロドデカニル基、イソボルニル基、ノルボルニル基から選ばれる少なくとも1種以上であると、工業上入手し易いなどの点で好ましい。これらの多環式基は、炭素数1〜5の直鎖又は分岐状のアルキル基を置換基として有していてもよい。
構成単位(a4)として、具体的には、下記一般式(a4−1)〜(a4−5)の構造のものを例示することができる。
構成単位(a4)を(A)成分に含有させる際には、(A)成分中の構成単位(a4)の割合が、(A)成分を構成する全構成単位の合計に対して、1〜30モル%であることが好ましく、10〜20モル%であることがより好ましい。
前記3元共重合体の具体例としては、たとえば、下記一般式(A−31)で表される共重合体、下記一般式(A−32)で表される共重合体、下記一般式(A−33)で表される共重合体等が挙げられる。
前記4元共重合体の具体例としては、たとえば、下記一般式(A−41)で表される共重合体等が挙げられる。
上記式(A−22)および(A−33)中、R28の低級アルキル基としては、Rの低級アルキル基と同様のものが挙げられる。R28としては、メチル基またはエチル基が好ましく、エチル基が特に好ましい。
上記式(A−23)中、n29は、0または1であることが好ましく、0が特に好ましい。
これらの共重合体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用しても良い。
また分散度(Mw/数平均分子量(Mn))は、特に限定するものではないが、1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.2〜2.5が最も好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
本発明において好ましく用いられる(A)成分としては、上記条件において、0〜30分以内に透明な溶液が得られる溶解性を有するものが好ましい。
(A)成分の(S)成分への溶解性は、使用する(S1)成分の種類によっても異なるが、(A)成分を構成する構成単位の種類や割合、質量平均分子量等を調節することにより調節できる。たとえば、(A)成分中、後述する構成単位(a1)の割合が高いほど、(S)成分への溶解性が向上する。
本発明において、(S)成分は、水酸基を有さないエーテル系有機溶剤およびアルコール系溶剤からなる群から選択される少なくとも1種の有機溶剤(S1)(以下、(S1)成分という。)を含有する。該(S1)成分を含有することにより、レジスト膜上に本発明のレジスト被覆膜形成用材料を塗布した際に、レジスト膜を損なうことなくレジスト被覆膜を成膜することができる。
エーテル系有機溶剤の沸点(常圧下)は、30〜300℃であることが好ましく、100〜200℃であることがより好ましく、140〜180℃であることがさらに好ましい。該温度範囲の下限値以上であることにより、上記沸点の範囲とすることで、(S)成分が、ベークによって塗膜中から充分に除かれ、レジスト被覆膜の形成性が向上する。
R60−O−R61 …(s1−1)
[式中、R60、R61はそれぞれ独立して1価の炭化水素基である。または、R60およびR61それぞれ2価の炭化水素基であって、R60とR61とが結合して環を形成していてもよい。]
R60、R61の各アルキル基としては、特に制限はなく、たとえば炭素数1〜20の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。該アルキル基は、その水素原子の一部または全部がハロゲン原子等で置換されていてもよく、されていなくてもよい。
該アルキル基としては、レジスト被覆膜形成用材料の塗布性が良好なこと等から、炭素数1〜15であることが好ましく、炭素数1〜10であることがより好ましい。具体的には、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、n−ブチル基、イソペンチル基が特に好ましい。
前記アルキル基の水素原子が置換されていてもよいハロゲン原子としては、フッ素原子であることが好ましい。
該アリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ベンジル基、ナフチル基等が挙げられる。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることがより好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基がより好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいハロゲン原子としては、フッ素原子であることが好ましい。
前記2価の炭化水素基としては、前記アルキル基またはアリール基から水素原子1つを除いた基、すなわちアルキレン基またはアリーレン基が挙げられ、特にアルキレン基が好ましい。また、該アルキレン基またはアリーレン基においては、炭素原子の一部が酸素原子で置換されていてもよい。
R60およびR61は、それぞれ独立に直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基(好ましくは炭素数1〜10のアルキレン基)であって、R60の末端と、R61の末端とが結合して環を形成していることが好ましい。
アルコール系有機溶剤の沸点は、80〜160℃であることが好ましく、90〜150℃であることがさらに好ましく、100〜135℃であることが塗布性の観点から最も好ましい。ここで1価アルコールとは、アルコール分子に含まれる水酸基の数が1個の場合を意味するものであり、多価アルコール及びその誘導体(たとえば一部の水酸基の水素原子がアルキル基等の置換基で置換されたもの)は含まれない。
炭素数4〜6のアルコールとしては、1価アルコールがさらに好ましく、その中でも1級の1価アルコールが最も好ましい。
炭素数4〜6のアルコールの具体例としては、n−ペンタノール(沸点138.0℃)、s−ペンタノール(沸点119.3℃)、t−ペンタノール(101.8℃)、イソペンタノール(沸点130.8℃)、イソブタノール(沸点107.9℃)、2−エチルブタノール(沸点147℃)、ネオペンタノール(沸点114℃)、n−ブタノール(沸点117.7℃)、s−ブタノール(沸点99.5℃)、t−ブタノール(沸点82.5℃)、n−ヘキサノール(沸点157.1℃)、2−メチル−1−ブタノール(沸点128.0℃)、2−メチル−2−ブタノール(沸点112.0℃)、4−メチル−2−ペンタノール(沸点131.8℃)等が挙げられる。
本発明においては、特に、アルコール系有機溶剤が、イソブタノール(2−メチル−1−プロパノール)、4−メチル−2−ペンタノールおよびn−ブタノールからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、特にイソブタノールが好ましい。
本発明において、(S1)成分は、水酸基を有さない環状または鎖状のエーテル系有機溶剤およびアルコール系溶剤からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、特に、ジイソペンチルエーテル、1,8−シネオールおよびイソブタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
(S)成分中、(S1)成分の割合は、本発明の効果のためには、(S)成分の総質量の50〜100質量%が好ましく、75〜100質量%が好ましく、90〜100質量%がさらに好ましく、100質量%が最も好ましい。
(S2)成分は、例えば従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から、上記(S1)成分に該当しない任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。係る(S2)成分としては、後述するレジストパターン形成方法において説明する化学増幅型レジスト組成物において挙げる有機溶剤(S’)と同様のもの(ただし、上記(S1)成分を除く。)が挙げられる。
レジスト被覆膜形成用材料中の(A)成分の濃度は、0.1〜2質量%の範囲内であることが好ましく、0.2〜1質量%であることがより好ましい。
本発明のレジスト被覆膜形成用材料は、本発明の効果を損なわない範囲で、前記(A)成分および(S)成分以外の他の成分を含有してもよい。該他の成分としては、たとえば、一般的にレジスト組成物に配合されている成分を挙げることができ、具体例としては、後述する「化学増幅型レジスト組成物」において挙げる成分((A’)成分、(B’)成分、(D’)成分、(E’)成分等)が挙げられる。
本発明のレジスト被覆膜形成用材料を液浸露光用として用いる場合は、液浸媒体中への物質溶出の防止等のために、(B’)成分、(D’)成分、(E’)成分等の低分子量の化合物を含まないことが好ましい。
また、従来のレジスト被覆膜には、上述したように、レジスト膜に用いられている樹脂とは全く異なる樹脂が用いられているため、ディフェクトが生じやすいという問題があるが、本発明においては、レジスト膜とレジスト被覆膜とを同じアクリル系樹脂を用いて形成できる。そのため、ディフェクトを低減できる。
すなわち、本発明のレジスト被覆膜形成用材料を用いてレジスト膜上に形成されるレジスト被覆膜は、露光前はアルカリ不溶性である。そして、当該レジスト被覆膜を介してレジスト膜が選択的に露光されると、露光部のレジスト膜中において、「露光により酸を発生する酸発生剤成分」から酸が発生する。該酸は、レジスト膜(ポジ型)のアルカリ溶解性を増大させると同時に、その一部が当該レジスト膜上のレジスト被覆膜へと移動し、(A)成分に作用してそのアルカリ可溶性を増大させる。そのため、レジストパターンの形成において選択的露光を行うと、露光部のレジスト膜およびレジスト被覆膜がアルカリ可溶性へ転じる一方で、未露光部のレジスト膜およびレジスト被覆膜はアルカリ不溶性のまま変化しないため、アルカリ現像を行うことにより、露光部のレジスト被覆膜およびレジスト膜が除去され、レジストパターンが形成される。
また、未露光部のレジスト被覆膜が除去されずに残るため、レジストパターンのエッチング耐性も、該レジスト被覆膜を設けない場合に比べて向上する。
すなわち、液浸露光は、上述したように、露光時に、従来は空気や窒素等の不活性ガスで満たされているレンズとウェーハ上のレジスト膜との間の部分を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たした状態で露光(浸漬露光)を行う工程を有する方法である。
液浸露光においては、レジスト膜と液浸溶媒とが接触すると、レジスト膜中の物質(後述する(B’)成分、(D’)成分等)の液浸溶媒中への溶出(物質溶出)が生じる。物質溶出は、レジスト層の変質、液浸溶媒の屈折率の変化等の現象を生じさせ、リソグラフィー特性を悪化させる。この物質溶出の量は、レジスト膜表面の特性(たとえば親水性・疎水性等)の影響を受ける。そのため、たとえばレジスト膜表面の疎水性が高まることによって、物質溶出が低減されると推測される。
従来の化学増幅型レジスト組成物は、リソグラフィー特性に影響を与えるため疎水性を高めることが難しいが、本発明のレジスト被覆膜形成用材料は、疎水性を高めることが容易である。そのため、形成されるレジスト被覆膜表面の疎水性を高め、水に対する接触角、たとえば静的接触角(水平状態のレジスト膜上の水滴表面とレジスト膜表面とのなす角度)、動的接触角(レジスト膜を傾斜させていった際に水滴が転落しはじめたときの接触角。水滴の転落方向前方の端点における接触角(前進角)と、転落方向後方の端点における接触角(後退角)とがある。)、転落角(レジスト膜を傾斜させていった際に水滴が転落しはじめたときのレジスト膜の傾斜角度)を容易に変化させることができる。たとえば表面の疎水性が高まるほど、静的接触角および動的接触角は大きくなり、一方、転落角は小さくなる。
まず、シリコン基板上に、レジスト組成物溶液をスピンコートした後、所定の条件、例えば、110〜115℃の温度条件で90秒間加熱してレジスト膜を形成する。
次に、上記レジスト膜に対して、DROP MASTER−700(協和界面科学社製)、AUTO SLIDING ANGLE:SA−30DM(協和界面科学社製)、AUTO DISPENSER:AD−31(協和界面科学社製)等の市販の測定装置を用いて測定することができる。
また、同様の理由により、前記レジスト被覆膜表面における静的接触角の測定値が75°以上であることが好ましく、75〜100°であることがより好ましく、80〜95°であることが特に好ましい。
また、露光装置のレンズの汚染を低減でき、そのため、これらに対する保護対策を行わなくてもよく、プロセスや露光装置の簡便化に貢献できる。
さらに、上述したように、非特許文献1に記載されているようなスキャン式の液浸露光機を用いて浸漬露光を行う場合には、液浸媒体がレンズの移動に追随して移動する水追随性が求められるが、当該レジスト被覆膜形成用材料により形成されるレジスト被覆膜は疎水性が高く、水追随性が高い。
このように、本発明のレジスト被覆膜形成用材料によれば、リソグラフィー特性(感度、解像性、エッチング耐性等)を損なうことなく、液浸露光において求められる特性(疎水性、物質溶出抑制能、水追随性等)を向上させることができる。したがって、当該レジスト被覆膜形成用材料は、液浸露光用として好適である。
本発明のレジストパターン形成方法は、支持体上に、化学増幅型レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜上に前記本発明のレジスト被覆膜形成用材料を用いてレジスト被覆膜を形成し、レジスト積層体を得る工程、前記レジスト積層体に対して露光を行う工程、および前記レジスト積層体に現像処理を施してレジストパターンを形成する工程を含む。
まず支持体上に、化学増幅型レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する。
支持体としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、電子部品用の基板や、これに所定の配線パターンが形成されたもの等を例示することができる。より具体的には、シリコンウェーハ、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属製の基板や、ガラス基板等が挙げられる。配線パターンの材料としては、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、金等が使用可能である。
また、支持体としては、上述のような基板上に、無機系および/または有機系の膜が設けられたものであってもよい。無機系の膜としては、無機反射防止膜(無機BARC)が挙げられる。有機系の膜としては、有機反射防止膜(有機BARC)が挙げられる。
レジスト膜の厚さは、特に制限はない。解像性、エッチング耐性等を考慮すると、30〜400nmの範囲内であることが好ましく、50〜300nmがより好ましい。
レジスト被覆膜の形成は、上記レジスト膜の形成と同様の方法によって行うことができる。具体的には、たとえばレジスト被覆膜形成用材料をレジスト膜上にスピンナー等で塗布し、60〜120℃の温度で40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間のベーク処理を施すことによりレジスト被覆膜を形成できる。
レジスト被覆膜の厚さは、レジスト被覆膜を設けることによる効果、たとえば表面の疎水性の向上、液浸露光時の物質溶出の抑制、エッチング耐性の向上等を考慮すると、1nm以上が好ましく、5nm以上がより好ましい。
該厚さの上限としては、特に限定されないが、40nm以下が好ましく、30nm以下がより好ましく、25nm以下がさらに好ましい。40nm以下であると、上記効果が充分に得られるとともに、レジスト被覆膜を形成しやすいという利点を有する。また、たとえばレジスト被覆膜形成用材料が酸発生剤成分を含まない場合でも、レジストパターン形成時、露光により下層のレジスト膜で発生した酸が、レジスト被覆膜へと充分に拡散するため、露光部のレジスト被覆膜のアルカリ溶解性が該酸の作用によって充分に増大する。そのため、現像により、下層のレジスト膜にレジストパターンが形成されると同時に、該レジストパターンに対する追従性に優れたパターンが当該レジスト被覆膜に形成される。そのため、形状、解像性等のリソグラフィー特性に優れたレジストパターンが得られる。
レジスト被覆膜の厚さは、レジスト被覆膜形成用材料中の(A)成分の濃度、塗布条件等を調節することにより調節でき、たとえば(A)成分の濃度が低いほど、薄い膜厚の被覆膜が形成される。
露光に用いる波長は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、F2エキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線などの放射線を用いて行うことができる。本発明は、特に、ArFエキシマレーザーに対して有効である。
本発明のレジスト被覆膜形成用材料により形成されるレジスト被覆膜は、一般的な化学増幅型レジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜よりも疎水性が高く、また、レジスト膜からの物質溶出を抑制する効果に優れることから、特に、液浸露光用として好適である。
液浸露光は、上述したように、露光時に、従来は空気や窒素等の不活性ガスで満たされているレンズとレジスト積層体との間の部分を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たした状態で露光することによって実施できる。
より具体的には、液浸露光は、上記のようにして得られたレジスト積層体と露光装置の最下位置のレンズ間を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たし、その状態で、所望のマスクパターンを介して露光(浸漬露光)を行うことによって実施できる。
空気の屈折率よりも大きく、かつレジスト被覆膜およびレジスト膜の屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒としては、例えば、水、フッ素系不活性液体、シリコン系溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。
フッ素系不活性液体の具体例としては、C3HCl2F5、C4F9OCH3、C4F9OC2H5、C5H3F7等のフッ素系化合物を主成分とする液体等が挙げられ、沸点が70〜180℃のものが好ましく、80〜160℃のものがより好ましい。フッ素系不活性液体が上記範囲の沸点を有するものであると、露光終了後に、液浸に用いた媒体の除去を、簡便な方法で行えることから好ましい。
フッ素系不活性液体としては、特に、アルキル基の水素原子が全てフッ素原子で置換されたパーフロオロアルキル化合物が好ましい。パーフロオロアルキル化合物としては、具体的には、パーフルオロアルキルエーテル化合物やパーフルオロアルキルアミン化合物を挙げることができる。
さらに、具体的には、前記パーフルオロアルキルエーテル化合物としては、パーフルオロ(2−ブチル−テトラヒドロフラン)(沸点102℃)を挙げることができ、前記パーフルオロアルキルアミン化合物としては、パーフルオロトリブチルアミン(沸点174℃)を挙げることができる。
上記レジスト被覆膜形成用材料を用いて形成されるレジスト被覆膜は、特に水による悪影響を受けにくいことから、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒として、水が好ましく用いられる。また、水はコスト、安全性、環境問題および汎用性の観点からも好ましい。
本発明において用いられる化学増幅型レジスト組成物はポジ型の化学増幅型レジスト組成物である。かかるレジスト組成物としては、通常、酸解離性溶解抑制基を有し、酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する樹脂成分(A’)(以下、(A’)成分という。)と、放射線の照射(露光)により酸を発生する酸発生剤成分(B’)(以下、(B’)成分という。)とを含有するものが用いられる。
かかるレジスト組成物において、(A’)成分は、いわゆる酸解離性溶解抑制基を有するアルカリ不溶性のものであり、レジストパターン形成時に、露光により(B’)成分から酸が発生すると、当該酸が酸解離性溶解抑制基を解離させることにより、(A’)成分がアルカリ可溶性となる。そのため、レジストパターンの形成において、当該レジスト組成物を基板上に塗布して得られるレジスト膜に対して選択的に露光すると、露光部はアルカリ可溶性へ転じる一方で、未露光部はアルカリ不溶性のまま変化しないので、アルカリ現像することによりレジストパターンが形成される。
前記直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記環状のアルキル基としては、炭素数4〜12であることが好ましく、炭素数5〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
前記フッ素化アルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。また、該フッ素化アルキル基のフッ素化率(アルキル基中全水素原子の個数に対する置換したフッ素原子の個数の割合)は、好ましくは10〜100%、さらに好ましくは50〜100%であり、特に水素原子をすべてフッ素原子で置換したものが、酸の強度が強くなるので好ましい。
R51としては、直鎖状のアルキル基またはフッ素化アルキル基であることが最も好ましい。
R52において、ハロゲン原子としては、フッ素原子、臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子などが挙げられ、フッ素原子が好ましい。
R52において、アルキル基は、直鎖または分岐鎖状であり、その炭素数は好ましくは1〜5、特に1〜4、さらには1〜3であることが望ましい。
R52において、ハロゲン化アルキル基は、アルキル基中の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基である。ここでのアルキル基は、前記R52における「アルキル基」と同様のものが挙げられる。置換するハロゲン原子としては上記「ハロゲン原子」について説明したものと同様のものが挙げられる。ハロゲン化アルキル基において、水素原子の全個数の50〜100%がハロゲン原子で置換されていることが望ましく、全て置換されていることがより好ましい。
R52において、アルコキシ基としては、直鎖状または分岐鎖状であり、その炭素数は好ましくは1〜5、特に1〜4、さらには1〜3であることが望ましい。
R52としては、これらの中でも水素原子が好ましい。
置換基としては、水酸基、低級アルキル基(直鎖または分岐鎖状であり、その好ましい炭素数は5以下であり、特にメチル基が好ましい)などを挙げることができる。
R53のアリール基としては、置換基を有しないものがより好ましい。
u”は1〜3の整数であり、2または3であることが好ましく、特に3であることが望ましい。
R1”〜R3”のアリール基としては、特に制限はなく、例えば、炭素数6〜20のアリール基であって、該アリール基は、その水素原子の一部または全部がアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等で置換されていてもよく、されていなくてもよい。アリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
前記アリール基の水素原子が置換されていても良いアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていても良いアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていても良いハロゲン原子としては、フッ素原子であることが好ましい。
R1”〜R3”のアルキル基としては、特に制限はなく、例えば炭素数1〜10の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基等が挙げられる。解像性に優れる点から、炭素数1〜5であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デカニル基等が挙げられ、解像性に優れ、また安価に合成可能なことから好ましいものとして、メチル基を挙げることができる。
これらの中で、R1”〜R3”は、それぞれ、フェニル基またはナフチル基であることが最も好ましい。
前記直鎖または分岐のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記環状のアルキル基としては、前記R1”で示したような環式基であって、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
前記フッ素化アルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。また、該フッ素化アルキル基のフッ素化率(アルキル基中のフッ素原子の割合)は、好ましくは10〜100%、さらに好ましくは50〜100%であり、特に水素原子をすべてフッ素原子で置換したものが、酸の強度が強くなるので好ましい。
R4”としては、直鎖または環状のアルキル基、またはフッ素化アルキル基であることが最も好ましい。
R5”〜R6”のアリール基としては、R1”〜R3”のアリール基と同様のものが挙げられる。
R5”〜R6”のアルキル基としては、R1”〜R3”のアルキル基と同様のものが挙げられる。
これらの中で、R5”〜R6”はすべてフェニル基であることが最も好ましい。
式(b−2)中のR4”としては上記式(b−1)のR4”と同様のものが挙げられる。
Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐状のアルキル基であり、該アルキル基の炭素数は1〜10であり、好ましくは炭素数1〜7、より好ましくは炭素数1〜3である。
X”のアルキレン基の炭素数またはY”、Z”のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶媒への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。
また、X”のアルキレン基またはY”、Z”のアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。該アルキレン基またはアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基またはパーフルオロアルキル基である。
R31の有機基としては、直鎖、分岐または環状のアルキル基またはアリール基が好ましい。これらのアルキル基、アリール基は置換基を有していても良い。該置換基としては、特に制限はなく、たとえばフッ素原子、炭素数1〜6の直鎖、分岐または環状のアルキル基等が挙げられる。ここで、「置換基を有する」とは、アルキル基またはアリール基の水素原子の一部または全部が置換基で置換されていることを意味する。
アルキル基としては、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がより好ましく、炭素数1〜8がさらに好ましく、炭素数1〜6が特に好ましく、炭素数1〜4が最も好ましい。アルキル基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアルキル基(以下、ハロゲン化アルキル基ということがある)が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味し、完全にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。すなわち、ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
アリール基は、炭素数4〜20が好ましく、炭素数4〜10がより好ましく、炭素数6〜10が最も好ましい。アリール基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアリール基が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味し、完全にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味する。
R31としては、特に、置換基を有さない炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のフッ素化アルキル基が好ましい。
R32としては、特に、シアノ基、置換基を有さない炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜8のフッ素化アルキル基が好ましい。
R33としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
R33におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上フッ素化されていることが好ましい。
R34のアリール基は、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基等の置換基を有していても良い。該置換基におけるアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜8であることが好ましく、炭素数1〜4がさらに好ましい。また、該ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
R35としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましく、部分的にフッ素化されたアルキル基が最も好ましい。
R35におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上フッ素化されていることが、発生する酸の強度が高まるため好ましい。最も好ましくは、水素原子が100%フッ素置換された完全フッ素化アルキル基である。
R37の2または3価の芳香族炭化水素基としては、上記R34のアリール基からさらに1または2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
R38の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
p’’は好ましくは2である。
また、特開平9−208554号公報(段落[0012]〜[0014]の[化18]〜[化19])に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤、WO2004/074242A2(65〜85頁目のExample1〜40)に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、好適なものとして以下のものを例示することができる。
また、特開平11−035551号公報、特開平11−035552号公報、特開平11−035573号公報に開示されているジアゾメタン系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、特開平11−322707号公報に開示されている、1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカンなどを挙げることができる。
レジスト組成物における(B’)成分の含有量は、(A’)成分100質量部に対し、0.5〜30質量部、好ましくは1〜10質量部とされる。上記範囲とすることでパターン形成が充分に行われる。また、均一な溶液が得られ、保存安定性が良好となるため好ましい。
この(D’)成分は、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いれば良く、なかでも脂肪族アミン、特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンが好ましい。ここで、本特許請求の範囲及び明細書における「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。「脂肪族環式基」は、芳香性を持たない単環式基または多環式基であることを示す。脂肪族アミンとは、1つ以上の脂肪族基を有するアミンであり、該脂肪族基は炭素数が1〜12であることが好ましい。
脂肪族アミンとしては、アンモニアNH3の水素原子の少なくとも1つを、炭素数12以下のアルキル基またはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンまたはアルキルアルコールアミン)又は環式アミンが挙げられる。
アルキルアミンおよびアルキルアルコールアミンの具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デカニルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン等のアルキルアルコールアミンが挙げられる。これらの中でも、炭素数5〜10のトリアルキルアミンがさらに好ましい。
環式アミンとしては、たとえば、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環化合物が挙げられる。該複素環化合物としては、単環式のもの(脂肪族単環式アミン)であっても多環式のもの(脂肪族多環式アミン)であってもよい。
脂肪族単環式アミンとして、具体的には、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。
脂肪族多環式アミンとしては、炭素数が6〜10のものが好ましく、具体的には、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D’)成分は、(A’)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
有機カルボン酸としては、例えば、酢酸、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが挙げられ、これらの中でもサリチル酸が好ましい。
リンのオキソ酸およびその誘導体としては、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等が挙げられ、これらの中でも特にホスホン酸が好ましい。
リンのオキソ酸の誘導体としては、たとえば、上記オキソ酸の水素原子を炭化水素基で置換したエステル等が挙げられ、前記炭化水素基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基等が挙げられる。
リン酸の誘導体としては、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステル等のリン酸エステルなどが挙げられる。
ホスホン酸の誘導体としては、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステル等のホスホン酸エステルなどが挙げられる。
ホスフィン酸の誘導体としては、フェニルホスフィン酸等のホスフィン酸エステルなどが挙げられる。
(E’)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(E’)成分は、(A’)成分100質量部当り0.01〜5.0質量部の割合で用いられる。
(S’)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;
アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;
エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;
エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];
ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;
アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、ELが好ましい。
また、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶媒は好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。
また、(S’)成分として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
(S’)成分の使用量は特に限定しないが、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的にはレジスト組成物の固形分濃度が2〜20質量%、好ましくは5〜15質量%の範囲内となる様に用いられる。
下記試験例1および実施例1〜9で用いた(A−01)〜(A−07)および(A’)−1〜(A’)−2は、以下に示すモノマー(1)〜(6)を、公知の滴下重合法を用いて共重合することにより合成した。モノマー(1)の製法は下記合成例1に示した。
ナスフラスコにTHF(テトラヒドロフラン)150mLを入れ、上記モノマー(6)[メタクリル酸1−(3−ヒドロキシルアダマンタン)]20gとトリエチルアミン10gを加えた。その後、氷冷しながら、t−ブトキシカルボン酸無水物22gを加え、室温で3時間撹拌した。次に、その反応溶液を酢酸エチルで抽出した後、濃縮して上記モノマー(1)を得た。
下記の樹脂(A−01)〜(A−07)について、以下の手順で(S)成分への溶解性を評価した。各樹脂の分子量および分散度はGPC結果から算出し、組成(各構成単位の割合(モル%))は1H−NMRから算出した。
また、樹脂(A−01)〜(A−07)の熱分解温度(Td)およびガラス転移温度(Tg)は以下の方法でそれぞれ測定した。Td(℃)は、熱分析装置DSC6200(製品名、Seiko Instrument社製)にて10℃/minの昇温条件で測定を行った。Tg(℃)は、熱分析装置TG/DTA6200(製品名、Seiko Instrument社製)にて10℃/minの昇温条件で測定を行った。
(A−01):下記化学式(A−01)で表されるMw=8000、Mw/Mn=1.81、ガラス転移温度(Tg)=138.2℃、熱分解温度(Td)=222.3℃の共重合体。式(A−01)中、x1:y1=37.0:63.0(モル比)である。
(A−02):下記化学式(A−02)で表されるMw=6900、Mw/Mn=1.61、Tg=140.8℃、Td=219.8℃の共重合体。式(A−02)中、x2:y2:z2=27.6:28.2:43.2(モル比)である。
(A−03):下記化学式(A−03)で表されるMw=7100、Mw/Mn=1.79、Tg=146.5℃、Td=214.1℃の共重合体。式(A−03)中、x3:y3:z3=33.6:44.2:22.2である。
(A−04):下記化学式(A−04)で表されるMw=7500、Mw/Mn=1.65、Tg=120.9℃、Td=213.9℃の共重合体。式(A−04)中、x4:y4:z4=18.1:19.4:62.5である。
(A−05):下記化学式(A−05)で表されるMw=7400、Mw/Mn=2.02、Tg=134.1℃、Td=218.9℃の共重合体。式(A−05)中、x5:y5=54.9:45.1である。
(A−06):下記化学式(A−06)で表されるMw=7700、Mw/Mn=1.85、Tg=135.9℃、Td=213.5℃の共重合体。式(A−06)中、x6:y6=50.4:49.6である。
(A−07):下記化学式(A−07)で表されるMw=7500、Mw/Mn=1.76、Tg=100.8℃、Td=218.5℃の共重合体。式(A−07)中、x7:y7=59.2:40.8である。
なお、以下の略号はそれぞれ下記の意味を有する。
DIAE:ジイソペンチルエーテル。
CNL:1,8−シネオール。
IBA:イソブタノール。
まず、各樹脂に対し、表2に示す(S)成分(23℃)を、それぞれ、表2に示す樹脂濃度(質量%)となるように添加し、30分間の超音波処理を行った。処理後、樹脂が完全に溶解して液が透明になったものを○、透明にならなかったものを×として評価した。その結果を表2に示す。また、上記(A−01)の評価結果も表2に併記する。
(A−1)とDIAEとを混合し、溶解して樹脂濃度0.5質量%のレジスト被覆膜形成用材料を調製した。
「レジスト被覆膜の形成および接触角等の測定」
まず、表3に示す各成分を混合し、溶解してポジ型レジスト組成物1を調製した。
(A’)−1:下記化学式(A’)−1で表されるMw=7000、Mw/Mn=1.8の共重合体。
(A’)−2:下記化学式(A’)−2で表されるMw=10000、Mw/Mn=1.8の共重合体。
化学式(A’)−1および(A’)−2中、( )の右下の数値は各構成単位の割合(モル%)を示す。
(B’)−1:下記式(B’)−1で表される化合物。
(B’)−2:下記式(B’)−2で表される化合物。
(D’)−1:トリ−n−ペンチルアミン。
(E’)−1:サリチル酸。
(S’)−1:γ−ブチロラクトン。
(S’)−2:PGMEA/PGME=6/4(質量比)の混合溶剤。
次に、前記レジスト膜上に、上記で調製したレジスト被覆膜形成用材料を、スピンナーを用いて塗布し、90℃で60秒間加熱した。その結果、レジスト膜上に、表4に示す膜厚のレジスト被覆膜が形成された。
前記レジスト被覆膜側表面上に水50μLを滴下し、協和界面科学株式会社製DROP MASTER−700を用いて、静的接触角、転落角、前進角および後退角(本実施例においては、これらをまとめて接触角等ということがある。)を測定した。
また、参考例として、上記レジスト被覆膜を設けない状態のレジスト積層体表面、つまりレジスト膜表面の接触角等を、上記と同様にして測定した。
その結果を表4に示す。
また、参考例として、上記レジスト被覆膜を設けない状態のレジスト積層体表面、つまりレジスト膜表面の接触角等を、上記と同様にして測定した。
その結果を表4に示す。
実施例1のレジスト被覆膜形成用材料を用い、上記と同様にしてレジスト積層体を形成した。
次に、VRC310S(商品名、エス・イー・エス株式会社製)を用いて、純水1滴(50μl)を室温下で、ウェーハの中心から円を描くように等線速で液滴を移動させた(液滴が接触したレジスト積層体表面の総接触面積221.56cm2)。
その後、その液滴を採取して、分析装置Agilent−HP1100 LC−MSD(商品名、Agilent Technologies社製)により分析し、(B’)成分のカチオン部(PAG+)、(B’)成分のアニオン部(PAG−)および(D’)成分の溶出量(露光なし)を求めた。その結果を表5に示す。
表6中、「Dinaphtyl」は(B’)−1および(B’)−2のカチオン部(ジナフチルフェニルスルホニウム)を示す。また、「Imine」および「PFBS」はそれぞれ(B’)−1および(B’)−2のアニオン部を示す。
次に、露光後のレジスト積層体について上記と同様の分析を行った。その結果を表5に示す。
上記と同様にして形成したレジスト膜上に、前記レジスト被覆膜形成用材料を、スピンナーを用いて塗布し、90℃で60秒間加熱して表6に示す膜厚のレジスト被覆膜を形成することによりレジスト積層体を得た。
次に、上記レジスト積層体に、ArF露光装置NSR−S−302(ニコン社製;NA(開口数)=0.60,2/3輪帯照明)を用いて、ArFエキシマレーザー(193nm)を、マスクパターン(6%ハーフトーンレクチル)を介して選択的に照射した。
そして、110℃で60秒間のPEB処理を行い、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で30秒間現像し、その後30秒間水洗し、振り切り乾燥を行った。
また、参考例として、レジスト被覆膜を形成しない以外は上記と同様の操作を行った。
また、該L/Sパターンが形成される最適露光量(Eop)を求めた。その結果を表6に示す。
表7に示す(A)成分と(S)成分とを混合し、溶解して樹脂濃度0.5質量%のレジスト被覆膜形成用材料を調製した。
「レジスト被覆膜の形成および接触角等の測定」
実施例1と同様にしてレジスト被覆膜の形成および露光前の接触角等の測定を行った。その結果を表8に示す。
次に、実施例3〜4のレジスト被覆膜形成用材料を用い、マスクパターンとしてライン幅130nmのL/Sパターンをターゲットとするものを用いた以外は実施例1と同様にしてレジストパターンの形成を行った。
現像後のレジスト積層体表面を走査型電子顕微鏡により観察したところ、いずれの例においても、ライン幅130nm、ピッチ260nmのL/Sパターンが形成されていた。
また、該L/Sパターンが形成される最適露光量(Eop)を求めた。その結果を表9に示す。
表10に示す(A)成分と(S)成分とを混合し、溶解して樹脂濃度0.5質量%のレジスト被覆膜形成用材料を調製した。
「レジスト被覆膜の形成および接触角等の測定」
実施例1と同様にしてレジスト被覆膜の形成および接触角等の測定を行った。その結果を表11に示す。
その結果を表12に示す。
実施例8のレジスト被覆膜形成用材料を用い、マスクパターンとしてライン幅120nmのL/Sパターンをターゲットとするものを用いた以外は実施例1と同様にして「レジストパターンの形成」を行った。
その結果、レジスト被覆膜を形成した場合でも、参考例と同様、ライン幅120nm、ピッチ240nmのL/Sパターンが形成できた。また、形成されたL/Sパターンの断面形状はいずれも矩形性が高く、良好な形状であった。
また、該L/Sパターンが形成される最適露光量(Eop)を求めた。その結果を表13に示す。
このように、レジスト被覆膜を設けた場合でも、設けない場合と同等のリソグラフィー特性でレジストパターンが形成できることが確認できた。
実施例8のレジスト被覆膜形成用材料を用い、実施例1と同様にして液浸露光における溶出を評価した。その結果を表14に示す。
また、形成されるレジスト被覆膜は、表面の疎水性が高く、また、液浸露光時におけるレジスト膜からの物質溶出を抑制できる。そのため、本発明のレジスト被覆膜形成用材料は、液浸露光用途において有用である。
また、本発明のレジスト被覆膜形成用材料を用いて形成されるレジスト被覆膜は、レジストパターンを形成する際、露光部を、その下側のレジスト膜とともに現像によって除去することができる。そのため、別途、該レジスト被覆膜を除去する工程を設ける必要がなく、レジストパターン形成を容易に行うことができる。
Claims (4)
- 少なくとも、酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する樹脂成分(A)が有機溶剤(S)に溶解してなるレジスト被覆膜形成用材料であって、
前記樹脂成分(A)が、アクリル酸エステルから誘導される構成単位(a)を75〜100モル%の割合で有する樹脂成分(ただし下記一般式(1)で示される繰り返し単位を有するものを除く。)であり、
前記有機溶剤(S)が、水酸基を有さないエーテル系有機溶剤およびアルコール系溶剤からなる群から選択される少なくとも1種の有機溶剤(S1)を含有することを特徴とするレジスト被覆膜形成用材料。
- 前記有機溶剤(S1)が、水酸基を有さない環状または鎖状のエーテル系有機溶剤およびアルコール系溶剤からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1に記載のレジスト被覆膜形成用材料。
- 前記有機溶剤(S1)が、ジイソペンチルエーテル、1,8−シネオールおよびイソブタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項2に記載のレジスト被覆膜形成用材料。
- 支持体上に、化学増幅型レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜上に請求項1〜3のいずれか一項に記載のレジスト被覆膜形成用材料を用いてレジスト被覆膜を形成し、レジスト積層体を得る工程、前記レジスト積層体に対して露光を行う工程、および前記レジスト積層体に現像処理を施してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法。
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