JP5033550B2 - ポジ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法 - Google Patents
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Description
半導体素子の微細化に伴い、露光光源の短波長化と投影レンズの高開口数(高NA)化が進み、現在では193nmの波長を有するArFエキシマレーザーを光源とするNA=0.84の露光機が開発されている。露光光源の短波長化に伴い、レジスト材料には、露光光源に対する感度、微細な寸法のパターンを再現できる解像性等のリソグラフィー特性の向上が求められる。このような要求を満たすレジスト材料として、酸の作用によりアルカリ可溶性が変化するベース樹脂と、露光により酸を発生する酸発生剤とを含有する化学増幅型レジストが用いられている。
現在、ArFエキシマレーザーリソグラフィー等において使用される化学増幅型レジストのベース樹脂としては、193nm付近における透明性に優れることから、(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を主鎖に有する樹脂(アクリル系樹脂)などが一般的に用いられている。ここで、「(メタ)アクリル酸」とは、α位に水素原子が結合したアクリル酸と、α位にメチル基が結合したメタクリル酸の一方あるいは両方を意味する。「(メタ)アクリル酸エステル」とは、α位に水素原子が結合したアクリル酸エステルと、α位にメチル基が結合したメタクリル酸エステルの一方あるいは両方を意味する。
「(メタ)アクリレート」とは、α位に水素原子が結合したアクリレートと、α位にメチル基が結合したメタクリレートの一方あるいは両方を意味する。
液浸露光によれば、同じ露光波長の光源を用いても、より短波長の光源を用いた場合や高NAレンズを用いた場合と同様の高解像性を達成でき、しかも焦点深度幅の低下もないといわれている。また、液浸露光は、既存の露光装置を用いて行うことができる。そのため、液浸露光は、低コストで、高解像性で、かつ焦点深度幅にも優れるレジストパターンの形成を実現できると予想され、多額な設備投資を必要とする半導体素子の製造において、コスト的にも、解像度等のリソグラフィー特性的にも、半導体産業に多大な効果を与えるものとして大変注目されている。
液浸露光は、あらゆるパターン形状の形成において有効であり、更に、現在検討されている位相シフト法、変形照明法などの超解像技術と組み合わせることも可能であるとされている。現在、液浸露光技術としては、主に、ArFエキシマレーザーを光源とする技術が活発に研究されている。また、現在、液浸媒体としては、主に水が検討されている。
最近、エッチング耐性に優れた含フッ素高分子化合物として、環状炭化水素基を含有する酸不安定性基を有する含フッ素高分子化合物が報告されている(例えば、非特許文献2参照)。
プロシーディングスオブエスピーアイイ(Proceedings of SPIE)、第5754巻,第119−128頁(2005年). Proceedings of SPIE−The International Society for Optical Engineering(2002), 4690, 76−83.
このように、液浸露光においては、適度な疎水性を有する材料開発が重要課題になる。
しかしながら、現在、リソグラフィー特性と、液浸露光等に必要とされる特性とを両立した材料は、ほとんど知られていない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、ポジ型レジスト組成物および該ポジ型レジスト組成物を用いるレジストパターン形成方法を提供することを目的とする。
「低級アルキル基」は、炭素原子数1〜5のアルキル基である。
「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状および環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「構成単位」とは、高分子化合物(重合体、共重合体)を構成するモノマー単位(単量体単位)を意味する。
「露光」は放射線の照射全般を含む概念とする。
高分子化合物(A2)は、従来知られていない新規なものであり、下記一般式(I)で表される化合物(以下、化合物(I)という。)をモノマー単位として重合反応を行うことにより得られる。化合物(I)も従来知られていない新規なものである。
そこで、まず化合物(I)および高分子化合物(A2)について説明する。
化合物(I)は、上記一般式(I)で表される。
式(I)中、Rは水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基である。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
低級アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの低級の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
ハロゲン化低級アルキル基としては、前記低級アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
これらのなかでも、水素原子、フッ素原子、低級アルキル基またはフッ素化低級アルキル基であることが好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基であることが最も好ましい。
ここでアルキル基とは、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれでもよい。
直鎖状、分岐鎖状の場合は炭素数1〜5であることが好ましく、エチル基、メチル基がさらに好ましく、特にエチル基が最も好ましい。
環状の場合は炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的にはモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
このようなフッ素化アルキル基で好ましいものとしては、例えば4,4,4−トリフルオロ−n−ブチル基等が挙げられる。
化合物(I)においては、R1〜R3の少なくとも一つは、前記フッ素化アルキル基である。そして本発明においては、R1〜R3のいずれか一つが、前記フッ素化アルキル基であり、残りの2つはアルキル基であることが好ましい。
また、一般式(I−0−1)中、R、R1〜R3は、前記一般式(I)中のR、R1〜R3と同様である。
反応は、塩基の存在下で行うことが好ましく、この時の塩基としては特に限定されないが求核性の低いものが好ましく、例えば、トリエチルアミンなどが挙げられる。
また、反応がより円滑に進行することから、触媒存在下で反応を行うことが好ましい。触媒としては従来公知のものでよく、好ましいものとして例えば、4−ジメチルアミノピリジンなどが挙げられる。
反応を行う際は、化合物(I−0−2)と好ましくは塩基や触媒を溶媒に混合しておき、ここへ化合物(I−0−1)を滴下することが好ましい。化合物(I−0−1)はあらかじめ溶媒に溶解させて希釈しておいてもよい。滴下時の温度および時間は、用いる原料に応じて適宜選択すれば良いが、温度は−10〜100℃であることが好ましく、−5〜90℃であることがより好ましく、0〜80℃であることが特に好ましい。滴下時間は5〜90分であることが好ましく、10〜60分であることがより好ましく、20〜40分であることが特に好ましい。
化合物(I−0−1)添加後の反応温度および時間も適宜選択すれば良いが、反応温度は上記の化合物(I−0−1)添加時の温度が好ましい。反応時間も用いる原料に応じて適宜選択すれば良いが、0.5〜15時間であることが好ましく、1〜10時間であることがより好ましく、1.5〜8時間であることが特に好ましい。
<構成単位(a1)>
高分子化合物(A2)は、上記一般式(II)で表される構成単位(a1)からなる重合体である。
構成単位(a1)は、上記化合物(I)のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位である。
一般式(II)におけるR、R1、R2、R3は、それぞれ、前記一般式(I)におけるR、R1、R2、R3と同じである。
かかる構成単位(a1)においては、後述する本発明のポジ型レジスト組成物において本発明の高分子化合物とともに配合される酸発生剤成分(B)から露光により酸が発生すると、当該酸の作用により、式(II)中のカルボニル基に結合した酸素原子と、R1〜R3が結合した炭素原子との間の結合が切断され、R1〜R3を含む末端部分(−C(R1)(R2)(R3))が解離する。当該末端部分が解離することにより、高分子化合物全体のアルカリ溶解性が増大する。
また、高分子化合物(A2)の分散度(Mw/Mn)は1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましい。Mnは数平均分子量を示す。
高分子化合物(A2)は、酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する樹脂成分(A)(以下、(A)成分という。)および露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下、(B)成分という。)を含有するレジスト組成物の該(A)成分として好適である。
かかるポジ型レジスト組成物においては、放射線が照射(露光)されると、(B)成分から酸が発生し、該酸の作用により(A)成分のアルカリ溶解性が増大する。そのため、レジストパターンの形成において、当該ポジ型レジスト組成物を用いて得られるレジスト膜に対して選択的露光を行うと、露光部のアルカリ可溶性が増大する一方で、未露光部はアルカリ不溶性のまま変化しないため、アルカリ現像を行うことにより、レジストパターンを形成することができる。
高分子化合物(A2)は、(B)成分から酸が発生すると、該酸の作用により、構成単位(a1)中の−C(R1)(R2)(R3)が解離する。−C(R1)(R2)(R3)は、高分子化合物(A2)のアルカリ溶解性を抑制する溶解抑制基としての機能を有しており、該溶解抑制基が解離することにより、高分子化合物(A2)のアルカリ溶解性が増大する。
(A)成分において、高分子化合物(A2)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
高分子化合物(A2)は、従来の化学増幅型ポジ型レジスト組成物用のベース樹脂と併用することが好ましく、(A)成分中の高分子化合物(A2)の割合は、(A)成分の総質量に対し、0.1〜30.0質量%が好ましく、0.2〜20.0質量%がより好ましく、0.3〜15.0質量%がさらに好ましく、0.4〜10.0質量%が最も好ましい。
かかる樹脂としては、特に限定されず、化学増幅型ポジ型レジスト組成物用のベース樹脂として従来から知られている多数のもの、たとえばArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のベース樹脂から任意に選択して用いればよい。特に、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1’)を有する共重合体(A’)と併用することが好ましい。
上記「酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する樹脂」は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
以下、共重合体(A’)について説明する。
<構成単位(a1’)>
構成単位(a1’)は、酸解離性溶解抑制基を有するアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
ここで、本明細書および特許請求の範囲において、「アクリル酸エステルから誘導される構成単位」とは、アクリル酸エステルのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「アクリル酸エステル」は、α位の炭素原子に水素原子が結合しているアクリル酸エステルのほか、α位の炭素原子に置換基(水素原子以外の原子または基)が結合しているものも含む概念とする。置換基としては、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロゲン化低級アルキル基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
なお、アクリル酸エステルから誘導される構成単位のα位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、カルボニル基が結合している炭素原子のことである。
アクリル酸エステルにおいて、α位の置換基としての低級アルキル基として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの低級の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
本発明において、アクリル酸エステルのα位に結合しているのは、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基であることが好ましく、水素原子、フッ素原子、低級アルキル基またはフッ素化低級アルキル基であることがより好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基であることが最も好ましい。
一般的には、(メタ)アクリル酸等におけるカルボキシ基と環状または鎖状の第3級アルキルエステルを形成する基;アルコキシアルキル基等のアセタール型酸解離性溶解抑制基などが広く知られている。
なお、前記鎖状または環状のアルキル基は置換基を有していてもよい。
以下、カルボキシ基と第3級アルキルエステルを構成することにより、酸解離性となっている基を、便宜上、「第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基」という。
ここで、「脂肪族分岐鎖状」とは、芳香族性を持たない分岐鎖状の構造を有することを示す。
「脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基」の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。また、「炭化水素基」は飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。
脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基としては、炭素数4〜8の第3級アルキル基が好ましく、具体的にはtert−ブチル基、tert−ペンチル基、tert−ヘプチル基等が挙げられる。
ここで、本特許請求の範囲及び明細書における「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。「脂肪族環式基」は、芳香族性を持たない単環式基または多環式基であることを示す。
上記脂肪族環式基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。脂肪族環式基が「置換基を有する」とは、脂肪族環式基の環を構成する原子に、直接、置換基が結合していることを意味する。
脂肪族環式基は、飽和または不飽和のいずれでもよく、通常、飽和であることが好ましい。
脂肪族環式基は、単環式基であってもよく、多環式基であってもよい。エッチング耐性等を考慮すると、多環式基であることが好ましい。
脂肪族環式基が単環式基である場合の具体例としては、例えば、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が挙げられる。該モノシクロアルカンとしては、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。
脂肪族環式基が多環式基である場合の具体例としては、例えば、ポリシクロアルカン(ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等)から1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。ポリシクロアルカンとして、より具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
脂肪族環式基が有する置換基の数は、1〜3個が好ましく、1〜2個がより好ましく、1個が最も好ましい。置換基の結合位置は、特に制限はない。
アセタール型酸解離性溶解抑制基としては、たとえば、下記一般式(p1)で表される基が挙げられる。
R1’,R2’の低級アルキル基としては、上記Rの低級アルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
本発明においては、R1’、R2’のうち少なくとも1つが水素原子であることが好ましい。すなわち、酸解離性溶解抑制基(p1)が、下記一般式(p1−1)で表される基であることが好ましい。
Yの脂肪族環式基としては、従来ArFレジスト等において多数提案されている単環又は多環式の脂肪族環式基の中から適宜選択して用いることができ、たとえば上記「脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基」において脂肪族環式基として挙げたもの(ただし置換基として、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基を有するものでもよい。)が例示できる。
特にR17、R18の一方が水素原子で、他方がメチル基であることが好ましい。
R19は直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基であり、炭素数は好ましくは1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれでもよい。
R19が直鎖状、分岐鎖状の場合は炭素数1〜5であることが好ましく、エチル基、メチル基がさらに好ましく、特にエチル基が最も好ましい。
R19が環状の場合は炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的にはフッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
また、上記式においては、R17及びR19がそれぞれ独立に直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基(好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基)であってR19の末端とR17の末端とが結合していてもよい。
この場合、R17とR19と、R19が結合した酸素原子と、該酸素原子およびR17が結合した炭素原子とにより環式基が形成されている。該環式基としては、4〜7員環が好ましく、4〜6員環がより好ましい。該環式基の具体例としては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
X1は、酸解離性溶解抑制基であれば特に限定することはなく、例えば上述した第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基、アセタール型酸解離性溶解抑制基などを挙げることができ、第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基が好ましい。
X2は、式(a1−0−1)中のX1と同様である。
Y2は好ましくは炭素数1〜4のアルキレン基又は2価の脂肪族環式基であり、該脂肪族環式基としては、水素原子が2個以上除かれた基が用いられる以外は前記「脂肪族環式基」の説明と同様のものを用いることができる。
Yの脂肪族環式基については、上述の「脂肪族環式基」の説明において例示したものと同様のものが挙げられる。
共重合体(A’)が構成単位(a1’)を含有する場合、共重合体(A’)中の構成単位(a1’)の割合は、共重合体(A’)を構成する全構成単位の合計に対し、1〜50モル%が好ましく、5〜50モル%がより好ましく、10〜40モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることによって、ポジ型レジスト組成物とした際に容易にパターンを得ることができ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
共重合体(A’)は、構成単位(a1’)に加えて、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)を有することが好ましい。
「ラクトン含有環式基」とは、−O−C(O)−構造を含むひとつの環(ラクトン環)を含有する環式基を示す。ラクトン環をひとつ目の環として数え、ラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。
構成単位(a2)のラクトン環式基は、共重合体(A’)をレジスト膜の形成に用いた場合に、レジスト膜の基板への密着性を高めたり、現像液との親水性を高めたりするうえで有効なものである。
具体的には、ラクトン含有単環式基としては、γ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた基が挙げられる。また、ラクトン含有多環式基としては、ラクトン環を有するビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンから水素原子1つを除いた基が挙げられる。
構成単位(a2)の例として、より具体的には、下記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位が挙げられる。
R’の低級アルキル基としては、上記において、アクリル酸エステルのα位の炭素原子に結合していてもよい低級アルキル基(α位の低級アルキル基)として挙げたものと同じものが挙げられる。
Aの炭素数1〜5のアルキレン基として、具体的には、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基等が挙げられる。
一般式(a2−1)〜(a2−5)中、R’は、工業上入手が容易であること等を考慮すると、水素原子が好ましい。
以下に、前記一般式(a2−1)〜(a2−5)の具体的な構成単位を例示する。
これらの中でも、一般式(a2−1)で表される構成単位、(a2−2)で表される構成単位および(a2−3)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種以上を用いることが好ましい。具体的には、化学式(a2−1−1)、(a2−1−2)、(a2−2−1)、(a2−2−2)、(a2−3−1)、(a2−3−2)、(a2−3−9)及び(a2−3−10)から選択される少なくとも1種以上を用いることが好ましい。
共重合体(A’)中の構成単位(a2)の割合は、共重合体(A’)を構成する全構成単位の合計に対して、5〜80モル%が好ましく、10〜60モル%がより好ましく、20〜60モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(a2)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
共重合体(A’)は、構成単位(a1’)に加えて、または、構成単位(a1’)および構成単位(a2)に加えて、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3)を有してもよい。構成単位(a3)を有することにより、共重合体(A’)の親水性が高まり、現像液との親和性が高まって、露光部でのアルカリ溶解性が向上し、解像性の向上に寄与する。
極性基としては、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基等が挙げられ、特に水酸基が好ましい。
脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基(好ましくはアルキレン基)や、多環式の脂肪族炭化水素基(多環式基)が挙げられる。該多環式基としては、例えばArFエキシマレーザー用レジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。該多環式基の炭素数は7〜30であることが好ましい。
その中でも、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、またはアルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基を含有する脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位がより好ましい。該多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから2個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。これらの多環式基の中でも、アダマンタンから2個以上の水素原子を除いた基、ノルボルナンから2個以上の水素原子を除いた基、テトラシクロドデカンから2個以上の水素原子を除いた基が工業上好ましい。
共重合体(A’)が構成単位(a3)を含有する場合、構成単位(a3)の割合は、当該共重合体(A’)を構成する全構成単位に対して、5〜50モル%であることが好ましく、5〜40モル%がより好ましく、5〜25モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(a2)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
共重合体(A’)は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記構成単位(a1’)〜(a3)以外の他の構成単位を含んでいてもよい。該他の構成単位は、上述の構成単位(a1’)〜(a3)に分類されないものであれば特に限定するものではなく、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト用樹脂に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。該他の構成単位の具体例としては、たとえば下記に示す構成単位(a4)等が挙げられる。
構成単位(a4)は、酸非解離性の脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
該多環式基は、例えば、前記の構成単位(a1’)において挙げた脂肪族環式基のうち、多環式基であるものと同様のものを例示することができ、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト組成物の樹脂成分に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。特に、トリシクロデカニル基、アダマンチル基、テトラシクロドデカニル基、イソボルニル基、ノルボルニル基から選ばれる少なくとも1種以上であると、工業上入手し易いなどの点で好ましい。これらの多環式基は、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を置換基として有していてもよい。
構成単位(a4)として、具体的には、下記一般式(a4−1)〜(a4−5)の構造のものを例示することができる。
高分子化合物(A2)と併用する共重合体(A’)として好ましいものとしては、例えば、下記一般式(A’−1−1)〜(A’−1−6)で表されるものが挙げられる。
そして、共重合体(A’)を2種以上組み合わせて用いる場合には、好ましい共重合体(A’)の組み合わせとして、下記一般式(A’−1−1)で表されるものおよび(A’−1−6)で表されるものの組み合わせ、下記一般式(A’−1−4)で表されるものおよび(A’−1−6)で表されるものの組み合わせ、並びに下記一般式(A’−1−5)で表されるものおよび(A’−1−6)で表されるものの組み合わせが例示できる。
R10およびR20はそれぞれ独立に低級アルキル基であり、前記Rとしての低級アルキル基と同様であり、メチル基またはエチル基であることが好ましい。
また、(A1)成分には、上記重合の際に、たとえばHS−CH2−CH2−CH2−C(CF3)2−OHのような連鎖移動剤を併用して用いることにより、末端に−C(CF3)2−OH基を導入してもよい。このように、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基が導入された共重合体は、現像欠陥の低減やLER(ラインエッジラフネス:ライン側壁の不均一な凹凸)の低減に有効である。
また、分散度(Mw/Mn)は1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.2〜2.5が最も好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
(B)成分としては、特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されているものを使用することができる。このような酸発生剤としては、これまで、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られている。
前記直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記環状のアルキル基としては、炭素数4〜12であることが好ましく、炭素数5〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
前記フッ素化アルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。また、該フッ素化アルキル基のフッ素化率(アルキル基中全水素原子の個数に対する置換したフッ素原子の個数の割合)は、好ましくは10〜100%、さらに好ましくは50〜100%であり、特に水素原子をすべてフッ素原子で置換したものが、酸の強度が強くなるので好ましい。
R51としては、直鎖状のアルキル基またはフッ素化アルキル基であることが最も好ましい。
R52において、ハロゲン原子としては、フッ素原子、臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子などが挙げられ、フッ素原子が好ましい。
R52において、アルキル基は、直鎖状または分岐鎖状であり、その炭素数は好ましくは1〜5、特に1〜4、さらには1〜3であることが望ましい。
R52において、ハロゲン化アルキル基は、アルキル基中の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基である。ここでのアルキル基は、前記R52における「アルキル基」と同様のものが挙げられる。置換するハロゲン原子としては上記「ハロゲン原子」について説明したものと同様のものが挙げられる。ハロゲン化アルキル基において、水素原子の全個数の50〜100%がハロゲン原子で置換されていることが望ましく、全て置換されていることがより好ましい。
R52において、アルコキシ基としては、直鎖状または分岐鎖状であり、その炭素数は好ましくは1〜5、特に1〜4、さらには1〜3であることが望ましい。
R52としては、これらの中でも水素原子が好ましい。
置換基としては、水酸基、低級アルキル基(直鎖状または分岐鎖状であり、その好ましい炭素数は5以下であり、特にメチル基が好ましい)などを挙げることができる。
R53のアリール基としては、置換基を有しないものがより好ましい。
u”は1〜3の整数であり、2または3であることが好ましく、特に3であることが望ましい。
R1”〜R3”のアリール基としては、特に制限はなく、例えば、炭素数6〜20のアリール基であって、該アリール基は、その水素原子の一部または全部がアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等で置換されていてもよく、されていなくてもよい。アリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
前記アリール基の水素原子が置換されていても良いアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていても良いアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていても良いハロゲン原子としては、フッ素原子であることが好ましい。
R1”〜R3”のアルキル基としては、特に制限はなく、例えば炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。解像性に優れる点から、炭素数1〜5であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デカニル基等が挙げられ、解像性に優れ、また安価に合成可能なことから好ましいものとして、メチル基を挙げることができる。
これらの中で、R1”〜R3”は、それぞれ、フェニル基またはナフチル基であることが好ましい。
前記直鎖状または分岐のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記環状のアルキル基としては、前記R1”で示したような環式基であって、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
前記フッ素化アルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。また、該フッ素化アルキル基のフッ素化率(アルキル基中のフッ素原子の割合)は、好ましくは10〜100%、さらに好ましくは50〜100%であり、特に水素原子をすべてフッ素原子で置換したものが、酸の強度が強くなるので好ましい。
R4”としては、直鎖状または環状のアルキル基、またはフッ素化アルキル基であることが最も好ましい。
R5”〜R6”のアリール基としては、R1”〜R3”のアリール基と同様のものが挙げられる。
R5”〜R6”のアルキル基としては、R1”〜R3”のアルキル基と同様のものが挙げられる。
これらの中で、R5”〜R6”はすべてフェニル基であることが最も好ましい。
式(b−2)中のR4”としては上記式(b−1)のR4”と同様のものが挙げられる。
Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であり、該アルキル基の炭素数は1〜10であり、好ましくは炭素数1〜7、より好ましくは炭素数1〜3である。
X”のアルキレン基の炭素数またはY”、Z”のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶媒への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。
また、X”のアルキレン基またはY”、Z”のアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。該アルキレン基またはアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基またはパーフルオロアルキル基である。
これらの中でも、−CF2CF2−、−CF2CF2CF2−、又はCH2CF2CF2−が好ましく、−CF2CF2−又は−CF2CF2CF2−がより好ましく、−CF2CF2−が特に好ましい。
アルコキシ基は、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、なかでも直鎖状または分岐鎖状のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が特に好ましい。
ヒドロキシアルキル基は、上記アルキル基中の一個又は複数個の水素原子がヒドロキシ基に置換した基が好ましく、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。
R41〜R46に付された符号n1〜n6が2以上の整数である場合、複数のR41〜R46はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
n1は、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1であり、さらに好ましくは0である。
n2およびn3は、好ましくはそれぞれ独立して0又は1であり、より好ましくは0である。
n4は、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1である。
n5は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。
n6は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは1である。
R31の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基またはアリール基が好ましい。これらのアルキル基、アリール基は置換基を有していても良い。該置換基としては、特に制限はなく、たとえばフッ素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。ここで、「置換基を有する」とは、アルキル基またはアリール基の水素原子の一部または全部が置換基で置換されていることを意味する。
アルキル基としては、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がより好ましく、炭素数1〜8がさらに好ましく、炭素数1〜6が特に好ましく、炭素数1〜4が最も好ましい。アルキル基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアルキル基(以下、ハロゲン化アルキル基ということがある)が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味し、完全にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。すなわち、ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
アリール基は、炭素数4〜20が好ましく、炭素数4〜10がより好ましく、炭素数6〜10が最も好ましい。アリール基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアリール基が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味し、完全にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味する。
R31としては、特に、置換基を有さない炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のフッ素化アルキル基が好ましい。
R32としては、特に、シアノ基、置換基を有さない炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜8のフッ素化アルキル基が好ましい。
R33としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
R33におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上フッ素化されていることが好ましい。
R34のアリール基は、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基等の置換基を有していても良い。該置換基におけるアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜8であることが好ましく、炭素数1〜4がさらに好ましい。また、該ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
R35としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましく、部分的にフッ素化されたアルキル基が最も好ましい。
R35におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上フッ素化されていることが、発生する酸の強度が高まるため好ましい。最も好ましくは、水素原子が100%フッ素置換された完全フッ素化アルキル基である。
R37の2または3価の芳香族炭化水素基としては、上記R34のアリール基からさらに1または2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
R38の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
p”は好ましくは2である。
また、特開平9−208554号公報(段落[0012]〜[0014]の[化18]〜[化19])に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤、WO2004/074242A2(65〜85頁目のExample1〜40)に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、好適なものとして以下のものを例示することができる。
また、特開平11−035551号公報、特開平11−035552号公報、特開平11−035573号公報に開示されているジアゾメタン系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、特開平11−322707号公報に開示されている、1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカンなどを挙げることができる。
本発明においては、上記の中でも、(B)成分として、フッ素化アルキルスルホン酸イオン、上記一般式(b−3)で表されるアニオン、または上記一般式「R2−O−Y1−SO3 −」で表されるアニオンをアニオン部とするオニウム塩系酸発生剤を用いることが好ましい。
本発明のポジ型レジスト組成物における(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.5〜30質量部が好ましく、1〜20質量部がより好ましい。上記範囲とすることでパターン形成が充分に行われる。また、均一な溶液が得られ、保存安定性が良好となるため好ましい。
本発明のポジ型レジスト組成物は、レジストパターン形状、引き置き経時安定性などを向上させるために、さらに任意の成分として、含窒素有機化合物(D)(以下、(D)成分という)を含有することが好ましい。
この(D)成分は、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いれば良いが、環式アミン、脂肪族アミン、特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンが好ましい。ここで、脂肪族アミンとは、1つ以上の脂肪族基を有するアミンであり、該脂肪族基は炭素数が1〜12であることが好ましい。
脂肪族アミンとしては、アンモニアNH3の水素原子の少なくとも1つを、炭素数12以下のアルキル基またはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンまたはアルキルアルコールアミン)又は環式アミンが挙げられる。
アルキルアミンおよびアルキルアルコールアミンの具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デカニルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン等のアルキルアルコールアミンが挙げられる。これらの中でも、アルキルアルコールアミンおよびトリアルキルアミンが好ましい。アルキルアルコールアミンの中ではトリエタノールアミンが最も好ましく、トリアルキルアミンの中ではトリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−オクチルアミンが最も好ましい。
環式アミンとしては、たとえば、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環化合物が挙げられる。該複素環化合物としては、単環式のもの(脂肪族単環式アミン)であっても多環式のもの(脂肪族多環式アミン)であってもよい。
脂肪族単環式アミンとして、具体的には、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。
脂肪族多環式アミンとしては、炭素数が6〜10のものが好ましく、具体的には、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
有機カルボン酸としては、例えば、酢酸、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸等が挙げられ、これらの中でも特にサリチル酸が好ましい。
リンのオキソ酸およびその誘導体としては、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等が挙げられ、これらの中でも特にホスホン酸が好ましい。
リンのオキソ酸の誘導体としては、たとえば、上記オキソ酸の水素原子を炭化水素基で置換したエステル等が挙げられ、前記炭化水素基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基等が挙げられる。
リン酸の誘導体としては、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステル等のリン酸エステルなどが挙げられる。
ホスホン酸の誘導体としては、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステル等のホスホン酸エステルなどが挙げられる。
ホスフィン酸の誘導体としては、フェニルホスフィン酸等のホスフィン酸エステルなどが挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(E)成分は、(A)成分100質量部当り0.01〜5.0質量部の割合で用いられる。
本発明のポジ型レジスト組成物は、材料を有機溶剤(以下、(S)成分ということがある)に溶解させて製造することができる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、乳酸エチル(EL)、γ−ブチロラクトンが好ましい。
また、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶媒は好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。
また、(S)成分として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
さらに、(S)成分としては、上述のPGMEAとPGMEとの混合溶剤と、γ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が99.9:0.1〜80:20であることが好ましく、99.9:0.1〜90:10であることがさらに好ましく、99.9:0.1〜95:5であることが最も好ましい。
(S)成分の使用量は特に限定しないが、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的にはレジスト組成物の固形分濃度が2〜20質量%、好ましくは3〜15質量%の範囲内となる様に用いられる。
また、本発明のポジ型レジスト組成物は、構成単位(a1’)がフッ素原子を含有することから、フッ素原子を含まない場合に比べて、当該ポジ型レジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜の疎水性が高い。そのため、後述する液浸露光用として好適である。
また、本発明のポジ型レジスト組成物は、感度、解像性、エッチング耐性等のリソグラフィー特性も良好である。たとえば、本発明のポジ型レジスト組成物を用いることにより、ラインアンドスペース(L/S)パターンのライン幅が120nm以下の微細なレジストパターンを形成できる。また、本発明のポジ型レジスト組成物は、特に脂肪族環式基を有する場合などは、エッチング耐性に優れており、該エッチング耐性は、当該脂肪族環式基が多環式基である場合に特に良好である。
液浸露光は、上述したように、露光時に、従来は空気や窒素等の不活性ガスで満たされているレンズとウェーハ上のレジスト膜との間の部分を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たした状態で露光(浸漬露光)を行う工程を有する方法である。
液浸露光においては、レジスト膜と液浸溶媒とが接触すると、レジスト膜中の物質((B)成分、(D)成分等)の液浸溶媒中への溶出(物質溶出)が生じる。物質溶出は、レジスト層の変質、液浸溶媒の屈折率の変化等の現象を生じさせ、リソグラフィー特性を悪化させる。この物質溶出の量は、レジスト膜表面の特性(たとえば親水性・疎水性等)の影響を受ける。そのため、たとえばレジスト膜表面の疎水性が高まることによって、物質溶出が低減されると推測される。
本発明のポジ型レジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜は、構成単位(a1’)がフッ素原子を含有することにより、従来のポジ型レジスト組成物を用いた場合と比較して、レジスト膜の疎水性が高まり、水に対する接触角、たとえば静的接触角(水平状態のレジスト膜上の水滴表面とレジスト膜表面とのなす角度)、動的接触角(レジスト膜を傾斜させていった際に水滴が転落しはじめたときの接触角。水滴の転落方向前方の端点における接触角(前進角)と、転落方向後方の端点における接触角(後退角)とがある。)、転落角(レジスト膜を傾斜させていった際に水滴が転落しはじめたときのレジスト膜の傾斜角度)が変化する。たとえばレジスト膜の疎水性が高いほど、静的接触角および動的接触角は大きくなり、一方、転落角は小さくなる。
したがって、本発明のポジ型レジスト組成物によれば、浸漬露光時の物質溶出を抑制できる。
まず、シリコン基板上に、レジスト組成物溶液をスピンコートした後、所定の条件、例えば、110〜115℃の温度条件で90秒間加熱してレジスト膜を形成する。
次に、上記レジスト膜に対して、DROP MASTER−700(協和界面科学社製)、AUTO SLIDING ANGLE:SA−30DM(協和界面科学社製)、AUTO DISPENSER:AD−31(協和界面科学社製)等の市販の測定装置を用いて測定することができる。
また、露光装置のレンズの汚染を低減でき、そのため、これらに対する保護対策を行わなくてもよく、プロセスや露光装置の簡便化に貢献できる。
さらに、上述したように、非特許文献1に記載されているようなスキャン式の液浸露光機を用いて浸漬露光を行う場合には、液浸媒体がレンズの移動に追随して移動する水追随性が求められるが、本発明においては、レジスト膜の疎水性が高く、水追随性が高い。しかも、本発明のポジ型レジスト組成物は、リソグラフィー特性も良好で、液浸露光においてレジストとして使用した際に、実用上問題なくレジストパターンを形成できる。
このように、本発明のポジ型レジスト組成物は、通常求められるリソグラフィー特性(感度、解像性、エッチング耐性等)が良好であることに加え、液浸露光においてレジスト材料に求められる特性(疎水性、物質溶出抑制能、水追随性等)にも優れている。したがって、本発明のポジ型レジスト組成物は、液浸露光用として好適である。
次に、本発明のレジストパターンの形成方法について説明する。
本態様のレジストパターン形成方法は、上記本発明のポジ型レジスト組成物を用いて支持体上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、および前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含む。
支持体としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、電子部品用の基板や、これに所定の配線パターンが形成されたもの等を例示することができる。より具体的には、シリコンウェーハ、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属製の基板や、ガラス基板等が挙げられる。配線パターンの材料としては、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、金等が使用可能である。
また、支持体としては、上述のような基板上に、無機系および/または有機系の膜が設けられたものであってもよい。無機系の膜としては、無機反射防止膜(無機BARC)が挙げられる。有機系の膜としては、有機反射防止膜(有機BARC)が挙げられる。
本発明のレジストパターン形成方法は、例えば以下の様にして行うことができる。
すなわち、まずシリコンウェーハのような基板上に、上記本発明のレジスト組成物をスピンナーなどで塗布し、80〜150℃の温度条件下、プレベーク(ポストアプライベーク(PAB))を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施し、レジスト膜を形成する。該レジスト膜に対し、所定の露光光源を用いて、所望のマスクパターンを介してまたは介さずに選択的に露光する。すなわちマスクパターンを介して露光する、またはマスクパターンを介さずに電子線を直接照射して描画する。
選択的露光後、80〜150℃の温度条件下、加熱処理(ポストエクスポージャーベーク(PEB))を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施す。次いで、これをアルカリ現像液、例えば0.1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液を用いて現像処理し、好ましくは純水を用いて水リンスを行う。水リンスは、例えば、基板を回転させながら基板表面に水を滴下または噴霧して、基板上の現像液および該現像液によって溶解した液浸露光用レジスト組成物を洗い流すことにより実施できる。そして、乾燥を行うことにより、レジストパターンを形成できる。
基板とレジスト組成物の塗布層との間には、有機系または無機系の反射防止膜を設けることもできる。
露光に用いる波長は、特に限定されず、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、F2エキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線などの放射線を用いて行うことができる。これらの中でも、本発明のレジスト組成物は、ArFエキシマレーザーに対して特に有効である。
本発明のポジ型レジスト組成物は、上述したように、液浸露光用として好適に使用することができる。
液浸露光において、レジストパターンは、上記レジストパターン形成方法におけるレジスト膜を露光する工程において、露光を、浸漬露光により行う、つまりレジスト膜を浸漬露光する工程を行うことによって形成できる。
レジスト膜を浸漬露光する工程は、例えば以下の様にして行うことができる。
まず、上記のようにして得られたレジスト膜と露光装置の最下位置のレンズ間を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たし、その状態で、所望のマスクパターンを介して、または介さずに、露光(浸漬露光)を行う。
露光に用いる波長は、特に限定されず、上記で挙げたものと同様のものを用いることができる。
空気の屈折率よりも大きく、かつレジスト膜の屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒としては、例えば、水、フッ素系不活性液体、シリコン系溶剤等が挙げられる。
フッ素系不活性液体の具体例としては、C3HCl2F5、C4F9OCH3、C4F9OC2H5、C5H3F7等のフッ素系化合物を主成分とする液体等が挙げられ、沸点が70〜180℃のものが好ましく、80〜160℃のものがより好ましい。フッ素系不活性液体が上記範囲の沸点を有するものであると、露光終了後に、液浸に用いた媒体の除去を、簡便な方法で行えることから好ましい。
フッ素系不活性液体としては、特に、アルキル基の水素原子が全てフッ素原子で置換されたパーフロオロアルキル化合物が好ましい。パーフロオロアルキル化合物としては、具体的には、パーフルオロアルキルエーテル化合物やパーフルオロアルキルアミン化合物を挙げることができる。
さらに、具体的には、前記パーフルオロアルキルエーテル化合物としては、パーフルオロ(2−ブチル−テトラヒドロフラン)(沸点102℃)を挙げることができ、前記パーフルオロアルキルアミン化合物としては、パーフルオロトリブチルアミン(沸点174℃)を挙げることができる。
<モノマーの合成>
(7,7,7−トリフルオロ−3−エチル−3−ヘプタノールの合成)
窒素吹き込み管、還流器、滴下ロート、温度計を取り付けた4口フラスコに、マグネシウム1.3g、1−ブロム−4,4,4−トリフルオロブタン10.0g、テトラヒドロフラン20gを入れ、常法によりグリニヤール試薬を調製した。得られたグリニヤール試薬に3−ペンタノン5.0gとテトラヒドロフラン4gの混合液を、25〜35℃で30分間かけて滴下し、さらに同温度で1時間攪拌した。反応混合物を常法により処理し、得られた有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、7,7,7−トリフルオロ−3−エチル−3−ヘプタノールを淡黄色油状物として7.9g得た。
撹拌機、温度計、滴下ロートを取り付けた4つ口フラスコに、上記で得られた7,7,7−トリフルオロ−3−エチル−3−ヘプタノール7.9g、4−ジメチルアミノピリジン0.2g、トリエチルアミン7.1g、アセトリトニル10gを入れ、攪拌溶解した。その溶解液にメタクリル酸クロリド6.7gを約75℃で30分間かけて滴下し、さらに同温度で2時間攪拌した。反応液を室温まで冷却したのち、炭酸カリウム8.8gと水100mlの混合液で1回、10%食塩水で1回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、7,7,7−トリフルオロ−3−エチル−3−ヘプチルメタクリレート5.7gを得た。
得られた7,7,7−トリフルオロ−3−エチル−3−ヘプチルメタクリレートの1H−NMRデータは以下の通りである。
1H−NMR(CDCl3)δ: 0.82〜0.87(tr,6H,−CH3)、1.46〜1.58(m,2H,−CH2−)、1.78〜1.97(m,9H,=C−CH3,−C−CH2−)、1.98〜2.16(m,2H,CF3CH2−)、5.49(s,1H,C=CH2)、6.01(s,1H,C=CH2)
上記の結果より、下記式(I−1)で示される構造であることが認められた。
窒素吹き込み管、還流器、滴下ロート、温度計を取り付けた4口フラスコに、テトラヒドロフラン27g、実施例1で得られた7,7,7−トリフルオロ−3−エチル−3−ヘプチルメタクリレート11.98gを入れ、窒素置換した後、67℃に昇温した。その温度を維持しつつ、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.30gをテトラヒドロフラン3gに溶解させた溶解液を10分間かけて滴下した。滴下終了後、その温度を維持しつつ6時間撹拌を続けた後、室温まで冷却した。得られた重合反応液を大量のメタノール/水の混合溶液中に滴下し、沈殿した樹脂を濾別、洗浄、乾燥して、目的物である白色固体の下記化学式(1)に示す樹脂4.0gを得た。得られた樹脂の質量平均分子量(Mw)は6500、分散度(Mw/Mn)は1.4であった。
(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロピルメタクリレートの合成)
撹拌機、温度計、滴下ロートを取り付けた4つ口フラスコに、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール7.3g、4−ジメチルアミノピリジン0.2g、トリエチルアミン4.9g、アセトン20gを入れ、攪拌溶解した。その溶解液にメタクリル酸クロリド4.6gを約5℃で30分間かけて滴下し、さらに同温度で3時間攪拌した。反応液を水で洗浄して、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロピルメタクリレート7.5gを得た。得られた1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロピルメタクリレートの1H−NMRデータは以下の通りである。
1H−NMR(CDCl3)δ:1.95(s,3H,=C−CH3)、2.01(s,3H,C−CH3)、5.71(s,1H,C=CH2)、6.18(s,1H,C=CH2)
上記の結果より、以下の構造であることが認められた。
窒素吹き込み管、還流器、滴下ロート、温度計を取り付けた4口フラスコに、テトラヒドロフラン30g、上記で得られた1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロピルメタクリレート5.00g、γ−ブチロラクトンメタクリレート3.40gと3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート2.36gを入れ、窒素置換した後、67℃に昇温した。その温度を維持しつつ、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.37gをテトラヒドロフラン3gに溶解させた溶解液を10分間かけて滴下した。滴下終了後、その温度を維持しつつ6時間撹拌を続けた後、室温まで冷却した。得られた重合反応液を大量のメタノール/水の混合溶液中に滴下し、沈殿した樹脂を濾別、洗浄、乾燥して、目的物である白色固体の樹脂7.0gを得た。得られた樹脂の質量平均分子量(Mw)は10600、分散度(Mw/Mn)は1.6であった。また、得られた樹脂の組成比について、13C−NMR分析の結果、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロピルメタクリレートとγ−ブチロラクトンメタクリレートと3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートの共重合モル比が39:39:22であり、樹脂は下記化学式(4)に示されるものであることが確認された。
(1,1,1−トリフルオロ−2−メチル−2−ヘプタノールの合成)
窒素吹き込み管、還流器、滴下ロート、温度計を取り付けた4口フラスコにトリメチル(トリフルオロメチル)シラン24.9g、2−ヘプタノン16.0g、テトラヒドロフラン38g、テトラブチルアンモニウムフルオリド三水和物350mgを入れ、常法により反応させた。得られた反応液に、塩酸17.5gを25〜48℃で30分間かけて滴下し、さらに約48℃で2時間攪拌した。反応混合物を常法により処理し、得られた有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、1,1,1−トリフルオロ−2−メチル−2−ヘプタノールを淡褐色油状物として26.4g得た。
撹拌機、温度計、滴下ロートを取り付けた4つ口フラスコに、上記で得られた1,1,1−トリフルオロ−2−メチル−2−ヘプタノール21.4g、4−ジメチルアミノピリジン0.6g、トリエチルアミン23.3g、アセトリトニル35gを入れ、攪拌溶解した。その溶解液にメタクリル酸クロリド20.9gを約75℃で30分間かけて滴下し、さらに同温度で7時間攪拌した。反応液を室温まで冷却したのち、炭酸カリウム27.6gと水300mlの混合液で1回、10%食塩水で1回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、1,1,1−トリフルオロ−2−メチル−2−ヘプチルメタクリレート14.0gを得た。得られた1,1,1−トリフルオロ−2−メチル−2−ヘプチルメタクリレートの1H−NMRデータは以下の通りである。
1H−NMR(CDCl3)δ: 0.85〜0.90(tr,3H,−CH3)、1.20〜1.49(m,6H,−CH2−CH2−CH2−)、1.70(s,3H,C−CH3)、1.93(s,3H,=C−CH3)、1.96〜2.26(m,2H,C−CH2−)、5.59(s,1H,C=CH2)、6.10(s,1H,C=CH2)
上記の結果より、以下の構造であることが認められた。
窒素吹き込み管、還流器、滴下ロート、温度計を取り付けた4口フラスコに、テトラヒドロフラン30g、上記で得られた1,1,1−トリフルオロ−2−メチル−2−ヘプチルメタクリレート5.05g、γ−ブチロラクトンメタクリレート3.40gと3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレート2.36gを入れ、窒素置換した後、67℃に昇温した。その温度を維持しつつ、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.37gをテトラヒドロフラン3gに溶解させた溶解液を10分間かけて滴下した。滴下終了後、その温度を維持しつつ6時間撹拌を続けた後、室温まで冷却した。得られた重合反応液を大量のメタノール/水の混合溶液中に滴下し、沈殿した樹脂を濾別、洗浄、乾燥して白色固体の目的物8.1gを得た。得られた樹脂の質量平均分子量(Mw)は12800、分散度(Mw/Mn)は2.0であった。また、得られた樹脂の組成比について、13C−NMR分析の結果、1,1,1−トリフルオロ−2−メチル−2−ヘプチルメタクリレートとγ−ブチロラクトンメタクリレートと3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートの共重合モル比が37:41:22であり、樹脂は下記化学式(5)に示されるものであることが確認された。
表1に示す各成分を混合、溶解してポジ型レジスト組成物を調製した。
・(A)−6:下記化学式(6)で表される樹脂。
・(A)−1:前記化学式(1)で表される樹脂。
・(B)−1:トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート。
・(D)−1:トリエタノールアミン。
・(S)−1:PGMEA/PGME=6/4(質量比)の混合溶剤。
<疎水性評価>
以下の手順で、露光前および露光後のレジスト膜表面の静的接触角、動的接触角(前進角および後退角)および転落角(以下、接触角等という。)を測定することにより、レジスト膜の疎水性を評価した。
8インチシリコンウェーハ上に、実施例1〜5、比較例1のレジスト組成物を、それぞれ、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で115℃、60秒間プレベーク(PAB)して、乾燥させることにより、膜厚150nmのレジスト膜を形成した。
該レジスト膜(露光前のレジスト膜)の表面に、水50μLを滴下し、協和界面科学株式会社製DROP MASTER−700を用いて接触角等の測定を行った。
これらの結果に示すように、(A)−1を添加した実施例1〜5のレジスト組成物を用いて得られるレジスト膜は、疎水性の高い膜であることが確認できた。
「解像性・感度」
実施例1〜5、比較例1のレジスト組成物について、それぞれ、以下の手順でレジストパターンを形成した。
有機系反射防止膜組成物「ARC−29A」(商品名、ブリュワーサイエンス社製)を、スピンナーを用いて8インチシリコンウェーハ上に塗布し、ホットプレート上で205℃、60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚77nmの有機系反射防止膜を形成した。該反射防止膜上に、実施例1〜5および比較例1のレジスト組成物を、それぞれ、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で115℃、60秒間プレベーク(PAB)して、乾燥させることにより、膜厚150nmのレジスト膜を形成した。
該レジスト膜に対し、ArF露光装置NSR−S302A(ニコン社製;NA(開口数)=0.60,2/3輪帯照明)により、ArFエキシマレーザー(193nm)を、マスクパターンを介して選択的に照射した。そして、115℃で60秒間のPEB処理を行い、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で30秒間の現像処理を行い、その後30秒間、純水を用いて水リンスし、振り切り乾燥を行うことにより、ラインアンドスペース(1:1)のレジストパターン(以下、L/Sパターンという。)を形成した。
また、このときライン幅120nm、ピッチ240nmのL/Sパターンが形成される最適露光量(Eop)(単位:mJ/cm2(単位面積当たりのエネルギー量))、すなわち感度を求めた。その結果、実施例1が17.8、実施例2が17.8、実施例3が16.2、実施例4が16.2、実施例5が14.6、比較例1が17であり、実施例1〜5は比較例1と同等またはそれ以上の感度であった。
前記Eopで形成されたそれぞれのL/Sパターンにおいて、測長SEM(走査型電子顕微鏡、加速電圧800V、商品名:S−9220、日立製作所社製)により、ライン幅を、ラインの長手方向に5箇所測定し、その結果から標準偏差(s)の3倍値(3s)を、LWRを示す尺度として算出した。その結果、いずれのレジスト組成物を用いた例でも、3sの値は同等であった。なお、この3sの値が小さいほど線幅のラフネスが小さく、より均一幅のL/Sパターンが得られたことを意味する。そして、実施例1〜5および比較例1のレジスト組成物のLWRの数値は12〜13nmの間であり、ほぼ同等であった。
上記Eopにおいて、ライン幅120nm、ピッチ260nmのL/Sパターンをターゲットとするマスクパターンと、ライン幅130nm、ピッチ260nmのL/Sパターンをターゲットとするマスクパターンとを用いてL/Sパターンを形成し、以下の式からMEFの値を求めた。
MEF=|CD130−CD120|/|MD130−MD120|
上記式中、CD130、CD120は、それぞれ、ライン幅120nm、ライン幅130nmをターゲットとするマスクパターンを用いて形成されたL/Sパターンの実際のライン幅(nm)である。MD130、MD120は、それぞれ、当該マスクパターンがターゲットとするライン幅(nm)であり、MD130=130、MD120=120である。なお、MEFとは、ピッチを固定した際に、線幅や口径の異なるマスクパターンを、同じ露光量で、どれだけ忠実に再現できるか(マスク再現性)を示すパラメーターであり、MEFが1に近いほど、マスク再現性が良好であることを示す。
その結果、実施例1〜5のレジスト組成物を用いた例では、比較例1のレジスト組成物を用いた例よりも、MEFの値はより1に近かった。
表2に示す各成分を混合、溶解してポジ型レジスト組成物を調製した。
・(A)−1:前記化学式(1)で表される樹脂。
・(A)−7:下記化学式(7)で表される樹脂。
・(B)−3:(4−メチルフェニル)ジフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート。
・(D)−2:トリ−n−ペンチルアミン。
・(E)−1:サリチル酸。
・(O)−1:界面活性剤XR104(大日本インキ化学工業社製)。
・(S)−1:PGMEA/PGME=6/4(質量比)の混合溶剤。
・(S)−3:γ−ブチロラクトン。
実施例6〜7、比較例2のレジスト組成物を用いて、実施例1〜5および比較例1のレジスト組成物を用いた場合と同様にレジスト膜を形成した。
次に、VRC310S(商品名、エス・イー・エス株式会社製)を用いて、純水1滴(50μl)を室温下で、ウェーハの中心から円を描くように等線速で液滴を移動させた(液滴が接触したレジスト膜の総接触面積221.56cm2)。
その後、その液滴を採取して、分析装置Agilent−HP1100 LC−MSD(商品名、Agilent Technologies社製)により分析して、露光前の(B)成分のカチオン部(PAG+)とアニオン部(PAG−)、(D)成分および(E)成分の合計の溶出量(×10−12mol/cm2)を求めた。これらの結果を表3に示す。
次に、露光されたレジスト膜を上記と同様に分析して、露光後の(B)成分のカチオン部(PAG+)とアニオン部(PAG−)、(D)成分および(E)成分の合計の溶出量(×10−12mol/cm2)を求めた。これらの結果を表3に示す。
表4に示す各成分を混合、溶解してポジ型レジスト組成物を調製した。
・(A)−8:下記化学式(8)で表される樹脂(質量平均分子量6500、分散度2.0)。
・(A)−9:下記化学式(9)で表される樹脂(質量平均分子量7000、分散度1.7)。
・(A)−10:下記化学式(10)で表される樹脂(質量平均分子量10000、分散度1.8)。
・(A)−11:下記化学式(11)で表される樹脂(質量平均分子量7000、分散度1.7)。
・(A)−12:下記化学式(12)で表される樹脂(質量平均分子量10000、分散度1.7)。
・(B)−4:下記化学式(B4)で表される酸発生剤。
・(B)−5:下記化学式(B5)で表される酸発生剤。
・(B)−6:下記化学式(B6)で表される酸発生剤。
・(D)−3:トリ−n−オクチルアミン。
<疎水性評価>
以下の手順で、露光前および露光後のレジスト膜表面の静的接触角、動的接触角(転落角および後退角)を測定することにより、レジスト膜の疎水性を評価した。
8インチシリコンウェーハ上に、実施例8〜14、比較例3〜7のレジスト組成物を、それぞれ、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で115℃、60秒間プレベーク(PAB)して、乾燥させることにより、膜厚150nmのレジスト膜を形成した。
該レジスト膜(露光前のレジスト膜)の表面に、水50μLを滴下し、協和界面科学株式会社製DROP MASTER−700を用いて接触角等の測定を行った。
「解像性・感度」
実施例8〜14、比較例3〜7のレジスト組成物について、表6に示す条件に変更したこと以外は、実施例1〜5および比較例1のレジスト組成物を用いた場合と同様にして評価を行った。その結果、ライン幅120nm、ピッチ240nmのL/Sパターンが形成できることが確認された。また、この時の感度を表6にあわせて示す。
実施例8〜14、比較例3〜7のレジスト組成物をそれぞれ用いて、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で110℃、60秒間プレベーク(PAB)して、乾燥させることにより、膜厚120nmのレジスト膜を形成した。
次に、VRC310S(商品名、エス・イー・エス株式会社製)を用いて、純水1滴(150μl)を室温下で、ウェーハの中心から円を描くように等線速で液滴を移動させた(液滴が接触したレジスト膜の総接触面積221.56cm2)。
その後、その液滴を採取して、分析装置Agilent−HP1100 LC−MSD(商品名、Agilent Technologies社製)により分析して、露光前の(B)成分のカチオン部(PAG+)とアニオン部(PAG−)、および(D)成分の合計の溶出量(×10−12mol/cm2・s)を求めた。これらの結果を表7に示す。
次に、露光されたレジスト膜を上記と同様に分析して、露光後の(B)成分のカチオン部(PAG+)とアニオン部(PAG−)、および(D)成分の合計の溶出量(×10−12mol/cm2・s)を求めた。これらの結果を表7に示す。
表8に示す各成分を混合、溶解してポジ型レジスト組成物を調製した。
・(A)−13:下記化学式(13)で表される樹脂(質量平均分子量7000、分散度1.7)。
・(B)−7:下記化学式(B7)で表される酸発生剤。
8インチのシリコンウェーハ上に、有機系反射防止膜組成物「ARC29A」(商品名、ブリュワーサイエンス社製)を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で205℃、60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚89nmの有機系反射防止膜を形成した。そして、該反射防止膜上に、上記で得られたポジ型レジスト組成物を、スピンナーを用いてそれぞれ塗布し、ホットプレート上で100℃、60秒間の条件でプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚120nmのレジスト膜を形成した。
次に、前記レジスト膜上に、保護膜形成用塗布液「TSRC−002」(商品名、東京応化工業株式会社製)を、スピンナーを用いて塗布し、90℃で60秒間加熱することにより、膜厚28nmのトップコートを形成した。
次いで、液浸用ArF露光装置NSR−S609B(ニコン社製;NA(開口数)=1.07,2/3輪帯照明,縮小倍率1/4倍、液浸媒体:水)により、ホールパターンのマスクを介して、トップコートが形成された前記レジスト膜に対して、ArFエキシマレーザー(193nm)を選択的に照射した。
保護膜除去液「TS−Rememover−S」(商品名、東京応化工業株式会社製)を用いてトップコートを取り除き、その後、95℃で60秒間のPEB処理を行い、さらに23℃にて2.38質量%のTMAH水溶液 NMD−W(東京応化工業株式会社製)で60秒間現像し、その後30秒間、純水を用いて水リンスし、振り切り乾燥を行った。
その結果、いずれの例においても、前記レジスト膜に、ホール直径(CD)90nmのホールが等間隔(ピッチ200nm)に配置されたホールパターンのレジストパターンが形成された。
得られたレジストパターンを、KLAテンコール社製の表面欠陥観察装置KLA2371(製品名)を用いて観察し、ディフェクト数を求めた。その結果、実施例15については137個であり、比較例8については576個であった。
Claims (6)
- 酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する樹脂成分(A)および露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)を含有し、
前記樹脂成分(A)が、下記一般式(II)で表される構成単位(a1)からなる重合体(A2)を含有することを特徴とするポジ型レジスト組成物。
- 前記樹脂成分(A)が、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1’)を有する共重合体(A’)を含有する請求項1記載のポジ型レジスト組成物。
- 前記共重合体(A’)が、さらにラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)を有する請求項2記載のポジ型レジスト組成物。
- 前記共重合体(A’)が、さらに極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3)を有する請求項2または3記載のポジ型レジスト組成物。
- さらに含窒素有機化合物(D)を含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物を用いて支持体上にレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程、および前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法。
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