JP5111799B2 - 太陽電池および太陽電池モジュール - Google Patents

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Description

本発明は、太陽電池および太陽電池モジュールに関し、特に、例えば太陽の移動等に伴って複数の異なる方向から照射される光を有効に利用することができる、太陽電池および太陽電池モジュールに関する。
色素増感型の太陽電池は、スイスのグレッツェルらにより開発されたものであり、光電変換効率が高く、製造コストが安い等の利点を持ち、新しいタイプの太陽電池として注目を集めている(非特許文献1を参照)。
図9は、従来の色素増感型の太陽電池の一例を示す断面図である。
この色素増感型の太陽電池100は、増感色素を担持させた多孔質半導体層103が一方の面に形成された第一基材101と、透明導電層104が形成された第二基材105と、これらの間に封入された電解質からなる電解質層106を主な構成要素としている。
第一基材101としては、光透過性の板材が用いられ、第一基材101の色素増感半導体層103と接する面には導電性を持たせるために透明導電層102が配置されており、第一基材101、透明導電層102および多孔質半導体層103により作用極108をなす。
第二基材105としては、電解質層106と接する側の面には導電性を持たせるために例えば炭素や白金などからなる導電層104が設けられ、第二基材および導電層104により対極109を構成している。
多孔質半導体層103と導電層104が対向するように、第一基材101と第二基材105を所定の間隔をおいて配置し、両基板間の周辺部に例えば熱可塑性樹脂からなる封止剤107を設ける。そして、この封止剤107を介して2つの基板101、105を貼り合わせてセルを積み上げ、電解液の注入口110を介して、両極108、109間にヨウ素・ヨウ化物イオンなどの酸化・還元対を含む電解液を充填し、電荷移送用の電解質層106を形成したものが挙げられる。
このような太陽電池では、窓極として機能する作用極側から入射した太陽光などの入射光によって、多孔質半導体層103が増感されて、作用極と対極との間に起電力を生じさせることにより、光エネルギーが電力に変換される。
色素増感型の太陽電池では、可視光や近赤外光に対して高い透過性をもつ導電性ガラス基板を用いている。しかしながら導電性ガラス基板の伝導度と透明性とは相反する関係にあり、光透過性を保ちつつ伝導度を向上するには限界がある。そのために大型モジュール化の際には、バスバー(Busbar)と呼ばれるグリッド状の金属配線を施して、面方向の伝導度の不足を補う。
しかしながら、この配線は光を遮ってしまうため、開口率、すなわち実効的な太陽電池の面積は小さくなってしまう(Shadow loss)。例えば色素増感型の太陽電池の場合、理論的な計算によると開口率が95〜85%程度のときに最も高い出力が得られるとの報告もある。
また、色素増感型の太陽電池では、その他の太陽電池(例えば、シリコン系太陽電池)に比べて、光電変換効率の、受光部への光の入射角度による依存性が小さい。
このような問題に対し、多孔質半導体層を厚くすれば、色素吸着量が高まり、光吸収量も大きくなるが、多孔質膜厚の増加は、多孔質膜の電気抵抗が増加する。また、必要な電解質溶液が増え、電解液中を拡散しなければならないイオン種の拡散距離が長くなることによる直列抵抗の増加を招いてしまう。
この特徴に鑑み、特許文献1では、多孔質膜の厚みを増すことなく有効な光電変換面積を増すためとして、素子端面から光を入射することを提案している。この文献では、素子端面から多孔質半導体電極にのみ直接光を入射するため、電極が透明である必要はなく、従来用いられている導電性ガラス電極を使用する代わりに、より安価な金属電極などを用いることができることが特徴であると述べられている。
しかしながら、この方法では、単位セルの変換効率では向上が可能であっても、大面積モジュール化して実用を考える上では、これらの不透明電極は前述の通り開口率低下を招くため、本質的に太陽電池の特性向上をもたらさない。
特開2005−93406号公報 O'' Regan B., Graetzel M., A low cost, high-efficiency solar cell based on dye-sensitized colloidal TiO2 films, Nature 1991;353:737-739
本発明は、このような従来の実情に鑑みて考案されたものであり、例えば太陽の移動等に伴って複数の異なる方向から光が照射される環境下において、その光を有効に利用することができる太陽電池を提供することを第一の目的とする。
また、本発明は、例えば太陽の移動等に伴って複数の異なる方向から照射される光を有効に利用して、安定した発電が可能な太陽電池モジュールを提供することを第二の目的とする。
本発明の請求項1に記載の太陽電池は、第一基材を少なくとも備えた第一電極基板と、透明な第二基材を少なくとも備えた第二電極基板と、前記第一基材と前記第二基材との間の少なくとも一部に配された多孔質酸化物半導体層と、電解質層と、から構成され、前記第一基材と対向する前記第二基材の一方の主面および該第二基材の他方の主面を除いた、該第二基材の端面をなす側面部が受光部として機能するように配設されることを特徴とする。
本発明の請求項2に記載の太陽電池は、請求項1において、前記第一電極基板は、導電性の前記第一基材からなり、前記第二電極基板は、絶縁性の透明な前記第二基材と、該第二基材の主面上に透明導電膜を介して配された多孔質酸化物半導体層とを備え、該多孔質酸化物半導体層が前記第一基材の一面と対向して配されることを特徴とする。
本発明の請求項3に記載の太陽電池は、請求項1において、前記第一電極基板は、導電性の前記第一基材と、該第一基材の主面上に配された多孔質酸化物半導体層とを備え、前記第二電極基板は、透明な前記第二基材と、該第二基材の主面上に透明導電膜を介して配された金属被膜とからなり、該金属被膜が前記多孔質酸化物半導体層と対向して配されることを特徴とする。
本発明の請求項4に記載の太陽電池モジュールは、第一基材を少なくとも備えた第一電極基板と、透明な第二基材を少なくとも備えた第二電極基板と、前記第一基材と前記第二基材との間の少なくとも一部に配された多孔質酸化物半導体層と、電解質層と、から構成され、前記第一基材と対向する前記第二基材の一方の主面および該第二基材の他方の主面を除いた、該第二基材の端面をなす側面部が受光部として機能するように配設される太陽電池を複数備えることを特徴とする。
本発明の請求項5に記載の太陽電池モジュールは、請求項4において、隣接して配された位置関係にある一方の太陽電池と他方の太陽電池とが、1つの第二基材をそれぞれの第二電極基板を構成する第二基材として利用していることを特徴とする。
本発明では、第二基材の側面部が受光部として機能するように配設されているため、例えば太陽の移動等に伴って複数の異なる方向から光が照射される環境において、その光を有効に利用できる太陽電池を提供することができる。
また、本発明では、例えば太陽の移動等に伴って複数の異なる方向から照射される光を有効に利用して、安定した発電が可能な太陽電池モジュールを提供することができる。
以下、本発明に係る太陽電池および太陽電池モジュールの一実施形態を図面に基づいて説明する。
<第一実施形態>
図1は、本発明に係る太陽電池の一実施形態を示す概略断面図である。
本発明の太陽電池は、第一基材を少なくとも備えた第一電極基板と、透明な第二基材を少なくとも備えた第二電極基板と、前記第一基材と前記第二基材との間の少なくとも一部に配された多孔質酸化物半導体層と、電解質層と、から構成される。
例えば図1に示す太陽電池10は、導電性の第一基材11と、該第一基材11の主面上に形成された導電膜12とからなる対極基板(第一電極基板)13と、絶縁性の透明な第二基材14と、該第一基材11と対向する該第二基材14の一方の主面上に透明導電膜15を介して配され、少なくとも一部に色素を担持した多孔質酸化物半導体層16とを備え、該多孔質酸化物半導体層16が前記第一基材11の一面と対向して配される作用極基板(第二電極基板)17と、前記対極基板13と前記作用極基板17との間の少なくとも一部に配された電解質層18と、から構成される。また、第一基材11と第二基材14との間にあって外周部をなす領域には封止部材19が設けられる。
そして本発明の太陽電池10は、前記第二基材14の一方の主面および他方の主面を除いた、該第二基材14の端面をなす側面部αが受光部として機能するように配設されることを特徴とする。
透明な第二基材14の上端面(側面部αに相当する。)から入射した光は、この上端面が完全に光の入射角度の垂直な場合に限っては第二基材14の下端面へ透過してしまうが、わずかでも入射角度が垂直から傾けば屈折し、多孔質酸化物半導体層16で吸収されることになる。これにより、第二基材14の厚さが第一基材11と封止部材19の厚さの合計より充分に厚ければ、図7に示す通常の太陽電池100において、作用極108の透明導電層102に対向する側から光が入射する場合に比べて、受光部の開口率を向上することができ、その結果、太陽電池の光吸収効率を向上することができる。
特に、色素増感型の太陽電池では、光電変換効率の、受光部への光の入射角度による依存性が小さい。
受光部である第二基材14の上端面にレンズの機能を持たせてもよい。これにより、入射した光をより効率よく多孔質酸化物半導体層16へと導くことができ、より高い光吸収効率を実現することができる。
また、本発明の太陽電池10では、高い光吸収効率を有するので、光電変換率向上のため多孔質酸化物半導体層16の厚みを増す必要がなくなる。すなわち、多孔質酸化物半導体層16を薄膜化することで、直列抵抗を低下させることができ、これにより光電変換効率を大幅に向上することができる。
このように、本発明の太陽電池10は、第二基材14の側面部αが受光部として機能するように配設されることで、太陽の移動等に伴い異なる方向から光が照射される環境において、その光を有効に利用することができる。その結果、太陽電池10は高い光電変換効率を有するものとなる。
さらに、本発明では、上記第二基材14の側面部αから光を入射させることで、従来、太陽電池の作製には不可欠だったグリッド状のBusbarの敷設が不要となり、下端面のみから配線することになる。これにより、製造工程を簡略化することができるとともに、配線による光の遮蔽を回避して光入射面の有効効率(以下、「光の利用効率」とも呼ぶ。)がさらに向上し、より高い光電変換効率を有するものとなる。
太陽電池10は、対極基板(第一電極基板)13と、該対極基板13の主面上に電解質層18を介して配された作用極基板(第二電極基板)17と、これらの間に封入された電解質からなる電解質層18と、から概略構成されている。
太陽電池10において、電解質層18を作用極基板17と対極基板13で挟んでなる積層体は、その外周部が封止部材19によって接着、一体化されることにより太陽電池として機能する。
作用極基板17は、透明な第二基材14、および、その主面上に形成された透明導電膜15と、増感色素を担持させた多孔質酸化物半導体層16とから概略構成されている。また、作用極基板17の一方の端部には、外部と電気的に接続するための電極端子17’が取り付けられている。
第二基材14としては、光透過性の素材からなる基板が用いられ、ガラス、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホンなど、通常、太陽電池の透明基材として用いられるものであればいかなるものでも用いることができる。第二基材14は、これらの中から電解液への耐性などを考慮して適宜選択される。また、第二基材14としては、用途上、できる限り光透過性に優れる基板が好ましく、透過率が90%以上の基板がより好ましい。
透明導電膜15は、第二基材14に導電性を付与するために、その一方の面に形成された薄膜である。透明導電性基板の透明性を著しく損なわない構造とするために、透明導電膜15は、導電性金属酸化物からなる薄膜であることが好ましい。
透明導電膜15を形成する導電性金属酸化物としては、例えば、スズ添加酸化インジウム(ITO)、フッ素添加酸化スズ(FTO)、酸化スズ(SnO)などが用いられる。これらの中でも、成膜が容易かつ製造コストが安価であるという観点から、FTO、ITOが好ましい。また、透明導電膜15は、FTOのみからなる単層の膜、または、ITOからなる膜にFTOからなる膜が積層されてなる積層膜であることが好ましい。
透明導電膜15を、FTOのみからなる単層の膜、または、ITOからなる膜にFTOからなる膜が積層されてなる積層膜とすることにより、可視域および近赤外域における光の吸収量が少なく、導電率が高い透明導電性基板を構成することができる。
多孔質酸化物半導体層16は、透明導電膜15の上に設けられており、その表面には増感色素が担持されている。多孔質酸化物半導体層16を形成する半導体としては特に限定されず、通常、太陽電池用の多孔質酸化物半導体を形成するのに用いられるものであれば、いかなるものでも用いることができる。このような半導体としては、例えば、酸化チタン(TiO)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ニオブ(Nb)、酸化タングステン(WO)などを用いることができる。
多孔質酸化物半導体層16を形成する方法としては、例えば、市販の酸化物半導体微粒子を所望の分散媒に分散させた分散液、あるいは、ゾル−ゲル法により調製できるコロイド溶液を、必要に応じて所望の添加剤を添加した後、スクリーンプリント法、インクジェットプリント法、ロールコート法、ドクターブレード法、スプレー塗布法など公知の塗布方法により塗布した後、この添加剤を加熱処理や化学処理により除去して空隙を形成させ多孔質化する方法などを適用することができる。
増感色素としては、ビピリジン構造、ターピリジン構造などを配位子に含むルテニウム錯体、ポリフィリン、フタロシアニンなどの含金属錯体、エオシン、ローダミン、メロシアニンなどの有機色素などを適用することができ、これらの中から、用途、使用半導体に適した挙動を示すものを特に限定なく選ぶことができる。
電解質層18は、多孔質酸化物半導体層16内に電解液を含浸させてなるものか、または、多孔質酸化物半導体層16内に電解液を含浸させた後に、この電解液を適当なゲル化剤を用いてゲル化(擬固体化)して、多孔質酸化物半導体層16と一体に形成されてなるもの、あるいは、イオン液体、酸化物半導体粒子あるいは導電性粒子を含むゲル状の電解質が用いられる。
上記電解液としては、ヨウ素、ヨウ化物イオン、ターシャリ−ブチルピリジンなどの電解質成分が、エチレンカーボネートやメトキシアセトニトリルなどの有機溶媒に溶解されてなるものが用いられる。
この電解液をゲル化する際に用いられるゲル化剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド誘導体、アミノ酸誘導体などが挙げられる。
上記イオン液体としては、特に限定されるものではないが、室温で液体であり、四級化された窒素原子を有する化合物をカチオンとした常温溶融塩が挙げられる。
常温溶融塩のカチオンとしては、四級化イミダゾリウム誘導体、四級化ピリジニウム誘導体、四級化アンモニウム誘導体などが挙げられる。
常温溶融塩のアニオンとしては、BF 、PF 、F(HF) 、ビストリフルオロメチルスルホニルイミド[N(CFSO ]、ヨウ化物イオンなどが挙げられる。
イオン性液体の具体例としては、四級化イミダゾリウム系カチオンとヨウ化物イオンまたはビストリフルオロメチルスルホニルイミドイオンなどからなる塩類を挙げることができる。
上記酸化物半導体粒子としては、物質の種類や粒子サイズなどが特に限定されないが、イオン液体を主体とする電解液との混和性に優れ、この電解液をゲル化させるようなものが用いられる。また、酸化物半導体粒子は、電解質の半導電性を低下させることがなく、電解質に含まれる他の共存成分に対する化学的安定性に優れることが必要である。特に、電解質がヨウ素/ヨウ化物イオンや、臭素/臭化物イオンなどの酸化還元対を含む場合であっても、酸化物半導体粒子は、酸化反応による劣化を生じないものが好ましい。
このような酸化物半導体粒子としては、TiO、SnO、SiO、ZnO、Nb、In、ZrO、WO、Ta、La、SrTiO、Y、Ho、Bi、CeO、Alからなる群から選択される1種または2種以上の混合物が好ましく、二酸化チタン微粒子(ナノ粒子)が特に好ましい。この二酸化チタンの平均粒径は2nm〜1000nm程度が好ましい。
上記導電性微粒子としては、導電体や半導体など、導電性を有する粒子が用いられる。この導電性粒子の比抵抗の範囲は、好ましくは1.0×10−2Ω・cm以下であり、より好ましくは、1.0×10−3Ω・cm以下である。また、導電性粒子の種類や粒子サイズなどは特に限定されないが、イオン液体を主体とする電解液との混和性に優れ、この電解液をゲル化するようなものが用いられる。さらに、電解質に含まれる他の共存成分に対する化学的安定性に優れることが必要である。特に、電解質がヨウ素/ヨウ化物イオンや、臭素/臭化物イオンなどの酸化還元対を含む場合でも、酸化反応による劣化を生じないものが好ましい。
このような導電性微粒子としては、カーボンを主体とする物質からなるものが挙げられ、具体例としては、カーボンナノチューブ、カーボンファイバ、カーボンブラックなどの粒子を例示できる。これらの物質の製造方法はいずれも公知であり、また、市販品を用いることもできる。
対極基板(第一電極基板)13は、導電性の第一基材11と、この一方の導電性のある面上に形成された導電性の被膜12とから構成されている。
第一基材11としては、第二基材14と同様のガラス、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホンなど光透過性の素材からなる基板に、金属、金属酸化物、炭素、導電性高分子などからなる薄膜を塗布して導電性を付与したものや、特に光透過性をもつ必要がないことから金属板、あるいは非透明性の合成樹脂板に上記と同様に導電性を付与したものなどが用いられる。
導電性の被膜12は、第一基材11に電解質溶液との電荷のやり取りを触媒する機能を付与するために、その一方の面に形成された金属、炭素などからなる薄膜である。導電性の被膜12としては、例えば炭素や白金などの層を、蒸着、スパッタ、塩化白金酸塗布後に熱処理を行ったもの、あるいは導電性高分子を塗布したものが好適に用いられるが、電極として機能するものであれば特に限定されるものではない。
なお、炭素、白金、導電性高分子等の導電性材料から構成される基材を対極基板13として用いてもよい。この場合、導電性の被膜12は不要となる。
また、対極基板13を構成する導電性の第一基材11の一方の端部11’には、導電性の被膜12が形成されておらず、この一方の端部11’が、外部と電気的に接続するための電極端子として用いられる。具体的には、一方の端部11’は図1や図2に示すように、第一基材11の表面が露出した状態で封止部材19を突き抜けて外部に露出した形態をなす。
封止部材19としては、対極基板13をなす第一基材11に対する接着性に優れるものであれば特に限定されないが、例えば、分子鎖中にポリオレフィン部やカルボン酸基を有する熱可塑性樹脂からなる接着剤などが望ましく、具体的には、ハイミラン(三井デュポンリケミカル社製)、バイネル(三井デュポンリケミカル社製)、アロンアルファ(東亞合成社製)などが挙げられる。
なお、図2に示す太陽電池10B(10)のように、対極基板13において、第一基材11の表裏両面に導電膜12を形成し、対極基板13の両側に、多孔質酸化物半導体層16を対向させて作用極基板17を配した構造としてもよい。図2において、α1とα2はそれぞれ2つの作用極基板14の側面部であり、受光部として機能する。
この場合、対極基板13は、その厚み方向に延びる連通孔(図示せず)を有することが好ましい。対極基板が連通孔を有することにより、その内部まで電解質を充填することが可能となり、両面の対極を電気化学的に連結することが可能となる。これにより太陽電池が単一のセルとして機能する。ゆえに、対極の両面に個別に配線を設ける必要がない。
図3は、上述したような太陽電池10を複数備えた太陽電池モジュールである。
このような太陽電池モジュール20は、隣接する位置にある太陽電池10Ba、10Bbがそれぞれの作用極基板(第二電極基板)17a、17bを構成する第二基材14を兼用するように配置することにより得られる。つまり、この太陽電池モジュール20は、個々の第二基材14の側面部α3、α4、α5が受光部として機能するように配設される太陽電池を複数備えることになる。図3は2つの太陽電池10Ba、10Bを配置した部分を特に例示している。その他の構成は、図2と同様にすればよい。
本発明の太陽電池モジュール20は、上述したような、第二基材14の側面部が受光部として機能するように配設された太陽電池10を複数備えているので、太陽の移動等に伴い異なる方向から光が照射される環境において、受光部の開口率を向上することができ、その光を有効に利用することができる。その結果、太陽電池モジュール20は安定した発電が可能となるとともに、高い光電変換効率を有するものとなる。
また、第二基材14の側面部から光を入射させることで、従来、太陽電池の作製には不可欠だったグリッド状のBusbarの敷設が不要となり、下端面のみから配線することになる。これにより、製造工程を簡略化することができるとともに、配線による光の遮蔽を回避して光の利用効率がさらに向上し、より高い光電変換効率を有するものとなる。
また、本発明の太陽電池モジュール20は、隣接して配された位置関係にある一方の太陽電池10Baと他方の太陽電池10Bbとが、1つの第二基材14をそれぞれの作用極基板17a、17bを構成する第二基材として利用していることが好ましい。
具体的には、図3に示すように、第二基材14の両面に、それぞれ作用極基板13を配した構造を挙げることができる。これにより、一対の対極17を両面の作用極15にて共有することができるので、シンプルかつスリムな素子構造とすることが可能となる。
<第二実施形態>
つぎに、本発明の第二実施形態について説明する。なお、以下の説明においては、上述した第一実施形態と異なる部分について主に説明し、同様の部分については、その説明を省略する。
図4は、本発明に係る太陽電池の他の一実施形態を示す概略断面図である。
この太陽電池30は、導電性の第一基材31と、該第一基材の主面上に配され、少なくとも一部に色素を担持した多孔質酸化物半導体層32とからなる作用極基板(第一電極基板)33と、絶縁性の透明な第二基材34と、該第二基材34の主面上に順に配された透明導電膜35と導電性の被膜36とを備え、該被膜36が前記多孔質酸化物半導体層32と対向して配される対極基板(第二電極基板)37と、前記第一電極基板33と前記第二電極基板37との間の少なくとも一部に配された電解質層38と、から構成される。また、第一基材31と第二基材34との間にあって外周部をなす領域には封止部材39が設けられる。
そしてこの太陽電池30は、第二基材34の側面部βが受光部として機能するように配設されることを特徴とする。
透明な第二基材34の上端面(側面部βに相当する。)から入射した光は、この上端面が完全に光の入射角度の垂直な場合に限っては第二基材34の下端面へ透過してしまうが、わずかでも入射角度が垂直から傾けば屈折し、多孔質酸化物半導体層32で吸収されることになる。ここで、第二基材34の厚さが第一基材31と封止部材39の厚さの合計より充分に厚ければ、図7に示す通常の太陽電池100において、作用極108の透明導電層102に対向する側から光が入射する場合に比べて、受光部の開口率を向上することができ、その結果、太陽電池の光吸収効率を向上することができる。
また、本発明のように第二基材34の側面部βから光を入射させることで、太陽の移動等に伴う入射角度の変化があっても、入射した光をより効率よく多孔質酸化物半導体層32へと導くことができるので、発電量の変化の幅を小さく抑えることができ、安定して発電することができる。
また、受光部である第二基材34の上端面にレンズの機能を持たせてもよい。これにより、入射した光をより効率よく多孔質酸化物半導体層32へと導くことができ、より高い光吸収効率を実現することができる。
また、本発明の太陽電池30では、高い光吸収効率を有するので、光電変換率向上のため多孔質酸化物半導体層32の厚みを増す必要がなくなる。すなわち、多孔質酸化物半導体層を薄膜化することで、直列抵抗を低下させることができ、これにより光電変換効率を大幅に向上することができる。
このように、本発明の太陽電池30は、第二基材34の側面部βが受光部として機能するように配設されることで、太陽の移動等に伴い異なる方向から光が照射される環境において、その光を有効に利用することができる。その結果、太陽電池30は高い光電変換効率を有するものとなる。
さらに、本発明では、上記第二基材34の側面部βから光を入射させることで、従来、太陽電池の作製には不可欠だったグリッド状のBusbarの敷設が不要となり、下端面のみから配線することになる。これにより、製造工程を簡略化することができるとともに、配線による光の遮蔽を回避して光入射面の有効効率(以下、「光の利用効率」とも呼ぶ。)がさらに向上し、より高い光電変換効率を有するものとなる。
作用極基板33の他方の端部には、多孔質酸化物半導体層32が形成されておらず、作用極基板33の他方の端部33aは、外部と電気的に接続するために、第一基材31の表面が露出した状態で封止部材39を介して外部に露出している。
第一基材31としては、導電性を有する材質からなるものを用いることが望ましく、具体的には、例えば、チタンなどの金属基板を用いることができる。電極基板としてチタンからなるものを用いることで、チタンを主成分とする材料からなる作用極となり、良好な導電性を有し、電解液への耐性に優れた作用極となる。また、第一基材31が導電性を有する材料によって形成されていることにより、例えば第一基材31に代えて絶縁基板の表裏両面に導電膜を設けたものを用いる場合と比較して、作用極基板17の厚みを薄くすることができる。さらに、図4に示すように、封止部材39を貫通して外部に露出している第一基材31を端子として用いて、作用極基板37を外部と電気的に接続できる。
対極基板(第二電極基板)37は、透明な第二基材34と、該第二基材34の作用極と対向させる側の面に、透明導電膜35と被膜36とからなる電極層を形成したものである。また、対極基板37の一方の端部には、外部と電気的に接続するための電極端子37aが取り付けられている。
被膜36としては、白金膜や炭素膜の他に導電性高分子膜などを用いることができる。例えば、金属電極層が白金膜である場合、被膜36の膜厚は、1nm〜500nmの範囲とされる。白金膜の膜厚が上記範囲を越えると、十分な光透過性が得られず、太陽電池の特性低下につながる可能性がある。また、白金膜の膜厚が上記範囲未満であると、十分な導電性が得られず、太陽電池の特性低下につながる可能性がある。被膜36の形成方法としては、例えば白金膜である場合、塩化白金酸を塗布して熱処理する等の方法が例示でき、蒸着法やスパッタ法により形成してもよい。
なお、図5に示す太陽電池30B(30)のように、作用極基板33において、第一基材31の表裏両面に多孔質酸化物半導体層32を形成し、作用極基板13の両側に、被膜36を対向させて対極基板37を配した構造としてもよい。図5において、β1とβ2は対極基板34の側面部であり、受光部として機能する。
この場合、また、第一基材31が導電性を有する材料によって形成されていることにより、作用極基板33の両面が電気的に接続され、太陽電池が単一のセルとして機能する。したがって、両面に個別に配線を設ける必要がない。
また、作用極基板(第一電極基板)33は、導電性を有する第一基材31と、増感色素を担持させた多孔質酸化物半導体層32とから構成されている。また、第一基材31の受光側の端部が多孔質酸化物半導体層32で完全に覆われていてもよい。
図6は、上記のような太陽電池30を複数備えた太陽電池モジュールである。
このような太陽電池モジュール40は、隣接する位置にある太陽電池30Ba、30Bbがそれぞれの対極基板(第二電極基板)37a、37bを構成する第二基材34を兼用するように配置することにより得られる。つまり、この太陽電池モジュール40は、個々の第二基材34の側面部β3、β4、β5が受光部として機能するように配設される太陽電池を複数備えることになる。図6は2つの太陽電池30Ba、30Bbを配置した部分を特に例示している。その他の構成は、図5と同様にすればよい。
本発明の太陽電池モジュール40は、上述したような、第二基材34の側面部が受光部として機能するように配設された太陽電池30を複数備えているので、太陽の移動等に伴い異なる方向から光が照射される環境において、受光部の開口率を向上することができ、その光を有効に利用することができる。その結果、太陽電池モジュール40は安定した発電が可能となるとともに、高い光電変換効率を有するものとなる。
また、第二基材34の側面部から光を入射させることで、従来、太陽電池の作製には不可欠だったグリッド状のBusbarの敷設が不要となり、下端面のみから配線することになる。これにより、製造工程を簡略化することができるとともに、配線による光の遮蔽を回避して光の利用効率がさらに向上し、より高い光電変換効率を有するものとなる。
また、本発明の太陽電池モジュール40は、隣接して配された位置関係にある一方の太陽電池30aと他方の太陽電池30bとが、1つの第二基材34をそれぞれの対極基板37a、37bを構成する第二基材として利用していることが好ましい。
具体的には、図6に示すように、作用極基板33の両面に、それぞれ対極基板37を配した構造を挙げることができる。これにより、一対の作用極を両面の対極にて共有することができるので、シンプルかつスリムな素子構造とすることが可能となる。
また、作用極基板(第一電極基板)33は、導電性を有する第一基材31と、増感色素を担持させた多孔質酸化物半導体層32とから構成されている。また、第一基材31の受光側の端部が多孔質酸化物半導体層32で完全に覆われていてもよい。
以上、本発明の太陽電池および太陽電池モジュールについて説明してきたが、本発明は上記の例に限定されるものではなく、必要に応じて適宜変更が可能である。
(実施例1)
本例では、図2に示すような構成、すなわち1つの対極を2つの作用極で挟んでなる構成(両面作用極型)を採用した太陽電池(以下、「セル」とも呼ぶ。)を作製した。市販の導電性ガラス基板を作用極基板の基材として用い、この基材の側面部α1、α2から光を入射させる構成について以下の通り検討した。
市販のフッ素ドープした酸化スズ(FTO)を一方の面に設けた導電性ガラス基板(日本板硝子製、厚さ4mm)を用い、これを100mm×20mmの大きさに切断、洗浄した。次に、該導電性ガラス基板のFTO面上に、メンディングテープ(住友3M製,スコッチテープ)をスペーサーにして酸化チタンペースト(Solaronix製、Ti-Nanoxide T)を塗布し、500℃、30分間焼成して、厚さ約2.5μm、投影面積90mm×5mmの多孔質酸化チタン層を構築した。そして該多孔質酸化チタン層にN719色素(bis(tetrabuthylammonium) cis-bis(isothiocyanato)bis(2,2'-bipyridyl-4,4'-dicarboxylatee)ruthenium(II)、Solaronix製、Ruthenium535-bisTBA) を坦持させることで作用極を得た。
金属チタン箔(厚さ40μm)を90mm×25mmの大きさに切断、洗浄した。該チタン箔の両面の、一方の長辺側端に沿って、上記多孔質酸化チタン層の投影面積と同じ90mm×5mmの範囲に白金を、スパッタリング法により成膜することで対極を得た。
上記作用極2枚を、多孔質酸化チタン層を構築した面を対向させ、それらの間に上記対極の両面の白金坦持部分が、該作用極の多孔質酸化チタン層部分とそれぞれ対面するようにして挟むように配置して、熱可塑性フィルム接着剤(三井デュポンポリケミカル製、ハイミラン)により外周を封止した。このとき、該作用極に接し、かつ該対極には接しないように、銅箔(厚さ10μm)をそれぞれ挟み、マイナス極の端子とした。
次いで、あらかじめ上記作用極に開けておいた細孔から、メトキシアセトニトリルを溶媒とした揮発性電解質溶液(0.1Mヨウ化リチウム、0.6Mヨウ化1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウム、0.05Mヨウ素、0.5M4−tert−ブチルピリジン)を注入し、その後該細孔を、上記熱可塑性フィルム接着剤とガラス薄板で封止して太陽電池(セル)を作製した。
以上のようにして得られた太陽電池(セル)を、上記導電性ガラス基板の長辺側の側面方向のみから光が入射するように、上記多孔質酸化チタン層が塗布している部分に対応する大きさに合わせて、該多孔質酸化チタン層の長辺方向の幅と、ガラス基板2枚分の厚さを考慮して、90mm×8mmの穴を穿った、無反射塗料を塗布したマスクを通して光を照射した。このとき、受光面積はマスクの開口部面積の7.2cmであった。
上述した太陽電池(セル)の2つのマイナス極の端子を、並列接続になるよう外部配線して、光電変換特性を測定した。
(比較例1)
本例では、一方の導電性ガラス基板の主面のみから光が入射するようにした以外は、実施例1と同様として太陽電池(セル)を作製した。
その際、一方の導電性ガラス基板の主面のみから光が入射するように、実施例1の多孔質酸化チタン層の投影面積と同じ90mm×5mmの穴を穿った、無反射塗料を塗布したマスクを通して光を照射した。このとき、受光面積はマスクの開口部面積の4.5cmであった。
上述した太陽電池(セル)の2つのマイナス極のうち、光が照射される側の作用極に取り付けた端子のみに配線して、光電変換特性を測定した。
(実施例2)
本例では、図5に示すような構成、すなわち1つの作用極を2つの対極で挟んでなる構成(両面対極型)を採用した太陽電池(セル)を作製した。市販の導電性ガラス基板を対極基板の基材として用い、この基材の側面部β1、β2から光を入射させる構成について以下の通り検討した。
金属チタン箔(厚さ40μm)を90mm×25mmの大きさに切断、洗浄した。該チタン箔の長辺側を酸化チタンペーストに浸漬した後引き上げることで、該酸化チタンペーストを該チタン箔の両面に塗布し、500℃、30分間焼成して、厚さ約2.5μm、投影面積90mm×5mmの多孔質酸化チタン層を構築した。そして該多孔質酸化チタン層にN719色素を坦持させることで作用極を得た。
市販のFTOをコートした導電性ガラス基板を100mm×20mmの大きさに切断、洗浄した。該導電性ガラス基板のFTO面上の一部に、一方の長辺側に偏って、上記多孔質酸化チタン層の投影面積と同じ90mm×5mmの範囲に白金をスパッタリング法により成膜することで対極を得た。白金は、ヨウ素レドックスの反応を妨げない範囲で光の入射を妨げないよう、できるだけ薄くすることが望ましく、全光線透過率で90%以上になるように成膜した。このとき白金は海島状に成膜されており、平均の膜厚は数10nmである。
上記対極2枚を、白金を成膜した面を対向させ、それらの間に上記作用極の多孔質酸化チタン層部分が、該対極の白金部分とそれぞれ対面するようにして挟むように配置して,熱可塑性フィルム接着剤により外周を封止した。このとき、該対極に接し、かつ該作用極には接しないように、銅箔(厚さ10μm)をそれぞれ挟み、プラス極の端子とした。
次いで、あらかじめ上記対極に開けておいた細孔から、メトキシアセトニトリルを溶媒とした揮発性電解質溶液を注入し、該細孔を熱可塑性フィルム接着剤とガラス薄板で封止して太陽電池(セル)を作製した。
以上のようにして得られた太陽電池(セル)を、上記導電性ガラス基板の長辺側の側面方向のみから光が入射するように、上記白金が成膜している部分に対応する大きさに合わせて、該白金の長辺方向の幅と、ガラス基板2枚分の厚さを考慮して、90mm×8mmの穴を穿った、無反射塗料を塗布したマスクを通して光を照射した。このとき、受光面積はマスクの開口部面積の7.2cmである。
上述した太陽電池(セル)の2つのプラス極の端子を、並列接続になるよう外部配線して、光電変換特性を測定した。
(比較例2)
本例では、一方の導電性ガラス基板の主面のみから光が入射するようにした以外は、実施例2と同様として太陽電池(セル)を作製した。
その際、一方の導電性ガラス基板の主面のみから光が入射するように、実施例2の白金と同じ90mm×5mmの穴を穿った、無反射塗料を塗布したマスクを通して光を照射した。また、受光面積はマスクの開口部面積の該白金と同じ4.5cmとした。
上述した太陽電池(セル)の2つのプラス極のうち、光が照射される側の対極に取り付けた端子のみに配線して、光電変換特性を測定した。
(比較例3)
本例では、市販の多結晶シリコン太陽電池を用い、その受光部側にガラス基材を設け、このガラス基材の側面部から光を入射させる構成とした太陽電池(セル)について以下の通り検討した。
市販の多結晶シリコン太陽電池(タミヤ製、ITEM76002)の外部配線用の端子を残し、受光部が100mm×5mmの大きさになるよう切断した。厚さ3.8mmのホウケイ酸ガラス板(Schott製、TEMPAX8330)を、100mm×5mmの大きさになるよう切断、洗浄した。該シリコン太陽電池のグリッド配線を施してある表面と、該ガラス基板の主面との間に、厚さ0.1mmのエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA:poly(ethylene-co-vinylacetate))シートを挟み圧縮加熱により張り合わせ、積層体セルとした。
上記積層体セルを、上記ガラス板の長辺側の側面方向のみから光が入射するように、上記シリコン太陽電池の長辺方向の長さと、上記ガラス板の厚みを考慮して、100mm×3.8mmの穴を穿った、無反射塗料を塗布したマスクを通して光を照射した。その際、受光面積はマスクの開口部面積の3.8cmとした。このように配置した太陽電池(セル)に対して、光電変換特性を測定した。
(比較例4)
本例では、ガラス基材の主面のみから光が入射するようにした以外は、比較例3と同様として太陽電池(セル)を作製した。
その際、ガラス基材の主面のみから光が入射するように、比較例3のシリコン太陽電池の受光面の形状と同じ100mm×5mmの穴を穿った、無反射塗料を塗布したマスクを通して光を照射した。また、受光面積はマスクの開口部面積と同じ5.0cmとした。このように配置した太陽電池(セル)に対して、光電変換特性を測定した。
(実施例3)
本例では、実施例1と同様に、図2に示すような構成(両面作用極型)を採用した太陽電池(セル)を基本単位として、図3に示すような構成の太陽電池モジュールを作製した。その際、厚さ3.8mmのホウケイ酸ガラス板の両面に、スプレー熱分解(SPD)法によりFTOを形成し、該FTO膜付ガラス基板の両面に、それぞれ多孔質酸化チタン層を構築した点が実施例1と特に異なる。
上記両面型作用極8枚、実施例1と同様に作製した作用極2枚、および実施例1と同様に作製した対極9枚を用い、両端に該作用極を配置し、その間に該両面作用極と該対極を交互に配置して、実施例1と同様に積層し、熱可塑性フィルム接着剤で各電極間の外周を封止した。ついで、メトキシアセトニトリルを溶媒とした揮発性電解質溶液を注入したのち封止し、太陽電池モジュールとした。
実施例1と同様に、上記多孔質酸化チタン層の長辺方向の幅90mmと、厚さ4mmのガラス基板2枚分、厚さ3.8mmのガラス基板8枚分、および厚さ0.1mm接着剤層9枚分の厚みの合計から考えて、90mm×39mmの穴を穿った、無反射塗料を塗布したマスクを通して光を照射した。その際、受光面積はマスクの開口部面積の34.5cmである。このように配置した太陽電池モジュールに対して、光電変換特性を測定した。
(実施例4)
本例では、実施例2と同様に、図5に示すような構成(両面対極型)を採用した太陽電池(セル)を基本単位として、図6に示すような構成の太陽電池モジュールを作製した。その際、厚さ3.8mmのホウケイ酸ガラス板の両面に、スプレー熱分解(SPD)法によりFTOを形成し、該FTO膜付ガラス基板の両面に、それぞれ白金を成膜したものを用いた点が実施例2と特に異なる。
上記両面型対極8枚、実施例2と同様に作製した対極2枚、および実施例2と同様に作製した作用極9枚を用い、両端に該対極を配置し、その間に該両面対極と該作用極を交互に配置して、実施例2と同様に積層し、熱可塑性フィルム接着剤で各電極間の外周を封止した。ついで、実施例3と同様に揮発性電解質溶液を注入したのち封止し、太陽電池モジュールとした。
実施例3と同様に、上記多孔質酸化チタン層の長辺方向の幅90mmと、厚さ4mmのガラス基板2枚分、厚さ3.8mmのガラス基板8枚分、および厚さ0.1mm接着剤層9枚分の厚みの合計から考えて、90mm×39mmの穴を穿った、無反射塗料を塗布したマスクを通して光を照射した。その際、受光面積はマスクの開口部面積の34.5cmである。このように配置した太陽電池モジュールに対して、光電変換特性を測定した。
<光電変換特性の評価>
実施例1、2、比較例1〜4の各太陽電池(セル)、および実施例3、4の太陽電池モジュールについて、光電変換特性の評価を行った。評価試験はソーラーシミュレーター(山下電装製、YSS−150A)を光源にしてAM1.5G、100mW/cmの光を、それぞれのセルおよびモジュールの受光面に鉛直な方向から光照射を行ったときの照射角度を0°とし、その傾きを変化させながら光照射したときの光電変換特性を測定した。
表1〜4は光電変換特性の測定結果であり、特に短絡光電流密度については図7にグラフ化して図示した。
Figure 0005111799
Figure 0005111799
Figure 0005111799
Figure 0005111799
表1〜4および図7〜8から、以下の点が明らかとなった。
(1)色素増感型の太陽電池からなる太陽電池(セル)においては、主面部から光を入射させた(以下、「主面光入射型」とも呼ぶ。)比較例1、2では、鉛直方向から光入射するときに変換効率が高いが、入射角度が大きくなるにしたがって短絡光電流密度(Jsc)が低下し、結果として光電変換効率(η)が低下した。また、比較例1、2の結果が同じ傾向であったことから、主面部から光入射する限り、この入射角度の依存性は光が入射する電極の種類(作用極、対極)に依存しないことも分かった。
これに対し、側面部から光を入射させた(以下、「側面光入射型」とも呼ぶ。)実施例1、2では、鉛直方向から光入射するときにはほとんどの入射光がガラス基板を透過してしまうため、ほとんど発電しないが、僅かでも光の入射角度が大きくなると短絡光電流密度が急激に増加する。光の入射角度が20〜45[°]の範囲では、それぞれ対応する比較例の場合に比べて短絡電流密度が高くなり、特に30[°]付近では、変換効率においても主面部への鉛直光入射での値を超えた。しかも、上記の範囲で入射角度依存性が小さく、屋外に設置したときの時間積算発電量が、比較例1、2の場合に比べて大きくなることが期待される。また、実施例1、2の結果が同じ傾向であったことから、側面部から光を入射させる限り、この入射角度の依存性は光が入射する電極の種類(作用極、対極)に依存しないことも分かった。
(2)比較例3、4は多結晶シリコン太陽電池からなる太陽電池(セル)であって、比較例3が側面光入射型の場合を、比較例4が主面光入射型の場合を、それぞれ表している。主面光入射型の比較例4では、色素増感型の太陽電池(セル)に比べて変換効率は高いが、光の入射角度依存性が大きく、入射角度が大きくなるにつれて急激に変換効率が低下し、その度合いは色素増感型の太陽電池の場合よりも大きい。側面光入射型の比較例3では、光の入射角度が小さいときには顕著に性能低下した。また、側面光入射型の比較例3では、色素増感型の太陽電池のように主面光入射型の比較例4の性能を超えることはなかった。これは、多結晶シリコン太陽電池が、色素増感太陽電池に比べて変換効率は高いが、光入射角度依存性が大きく、入射角度が大きくなるにつれて急激に変換効率が低下し、その度合いは色素増感太陽電池の場合よりも大きいためだと思われる。多結晶シリコン太陽電池に比べて、光入射角度依存性がより小さなアモルファスシリコン太陽電池を用いれば、側面光入射型で性能向上の可能性があるが、さらに光入射角度依存性の小さな、色素増感太陽電池で認められたほどの顕著な効果は期待できない。
(3)実施例3、4は側面光入射型の色素増感型の太陽電池からなる太陽電池モジュールであって、上述した太陽電池(セル)の場合(実施例1、2)と同様に、鉛直方向からの光入射では十分な性能を発揮できないが、僅かでも入射角度が大きくなると、主面光入射型の比較例1、2の性能をそれぞれはるかに凌ぐ性能が得られた。これは、セルの場合(実施例1、2)にはガラス基板の裏面から外部へと透過してしまう光を、モジュールでは隣接するセルの内部に導くことができるため、見かけ上の光路長が長くなった効果によると考えられる。しかも、実施例3、4のモジュールでは、実施例1、2のセルの場合に比べて、さらに入射角度依存性が小さく、このようなモジュール構造によれば大幅な発電量の向上が期待される。
(4)また、実施例3、4の構造によれば、多孔質酸化チタン層を薄くして、増感色素の使用量を大幅に減少させても、効率良く光を収集できるため、色素増感型の太陽電池をより安価に作製できる可能性がある。さらには、電解質溶液の使用量も減少するため、素子の直列抵抗性分が小さくなるため、比較例1の構造で膜厚を大きくして短絡光電流密度を増加させる場合に比べて、光電変換特性における開放電圧(Voc)、および形状因子(FF)が向上するため、変換効率が改善されるという効果もある。
上述した評価結果(1)〜(4)より、本発明で開示するところの、基材であるガラス基板の側面部から光を入射させるセル構造、およびセルを複数積層してなるモジュール構造は、変換効率の光入射角度に対する依存性の小さな、色素増感型の太陽電池において特に有効であることが分かった。
本発明は、色素増感型の太陽電池および該太陽電池を複数備えた太陽電池モジュールに関して適用可能である。
本発明に係る太陽電池の一例を示す概略断面図である。 本発明に係る太陽電池の他の一例を示す概略断面図である。 本発明に係る太陽電池モジュールの一例を示す概略断面図である。 本発明に係る太陽電池の他の一例を示す概略断面図である。 本発明に係る太陽電池の他の一例を示す概略断面図である。 本発明に係る太陽電池モジュールの他の一例を示す概略断面図である。 光照射角度と短絡光電流密度との関係を示すグラフの一例である。 光照射角度と短絡光電流密度との関係を示すグラフの他の一例である。 従来の太陽電池の一例を示す概略断面図である。
符号の説明
10 太陽電池 、11 第一基材、12 導電膜、13 対極基板(第一電極基板)、14 第二基材、15 透明導電膜、16 多孔質酸化物半導体層、17 作用極基板(第二電極基板)、18 電解質層、19 封止部材、20 太陽電池モジュール。

Claims (5)

  1. 第一基材を少なくとも備えた第一電極基板と、
    透明な第二基材を少なくとも備えた第二電極基板と、
    前記第一基材と前記第二基材との間の少なくとも一部に配された多孔質酸化物半導体層と、電解質層と、から構成され、
    前記第一基材と対向する前記第二基材の一方の主面および該第二基材の他方の主面を除いた、該第二基材の端面をなす側面部が受光部として機能するように配設されることを特徴とする太陽電池。
  2. 前記第一電極基板は、導電性の前記第一基材からなり、
    前記第二電極基板は、絶縁性の透明な前記第二基材と、該第二基材の主面上に透明導電膜を介して配された多孔質酸化物半導体層とを備え、該多孔質酸化物半導体層が前記第一基材の一面と対向して配されることを特徴とする請求項1記載の太陽電池。
  3. 前記第一電極基板は、導電性の前記第一基材と、該第一基材の主面上に配された多孔質酸化物半導体層とを備え、
    前記第二電極基板は、透明な前記第二基材と、該第二基材の主面上に透明導電膜を介して配された金属被膜とからなり、該金属被膜が前記多孔質酸化物半導体層と対向して配されることを特徴とする請求項1記載の太陽電池。
  4. 第一基材を少なくとも備えた第一電極基板と、
    透明な第二基材を少なくとも備えた第二電極基板と、
    前記第一基材と前記第二基材との間の少なくとも一部に配された多孔質酸化物半導体層と、電解質層と、から構成され、
    前記第一基材と対向する前記第二基材の一方の主面および該第二基材の他方の主面を除いた、該第二基材の端面をなす側面部が受光部として機能するように配設される太陽電池を複数備えることを特徴とする太陽電池モジュール。
  5. 隣接して配された位置関係にある一方の太陽電池と他方の太陽電池とが、1つの第二基材をそれぞれの第二電極基板を構成する第二基材として利用していることを特徴とする請求項4に記載の太陽電池モジュール。
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