以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態の水温測定システムに係る取水口温度計及び放水口温度計の配置を示す説明図である。
3つの発電設備として1号機、2号機及び3号機が、海岸沿いの敷地に建てられている。また、海岸には、第1取水口10、第2取水口12及び第3取水口14が設けられている。また、第1取水口10、第2取水口12及び第3取水口14から比較的離れた位置に、第1放水口20、第2放水口22及び第3放水口24が設けられている。
さらに、敷地には、第1取水口10から取水された海水を1号機に供給し、1号機を通過した海水を第1放水口20に導く第1水路30が設けられている。同様に、敷地には、第2取水口12から取水された海水を2号機に供給し、2号機を通過した海水を第2放水口22に導く第2水路32、第3取水口14から取水された海水を3号機に供給し、3号機を通過した海水を第3放水口24に導く第3水路34が設けられている。
また、海岸には、第1取水口10、第2取水口12及び第3取水口14を囲むようにカーテンウォール40が設けられている。カーテンウォール40には開口部42が形成されており、この開口部42は、カーテンウォール40において最低潮位の海面よりも下方、すなわち海中に位置する領域の一部に形成されている。これにより、開口部42からは、海中において比較的に深いところの冷たい海水が通って、第1取水口10、第2取水口12及び第3取水口14に向かうようになる。
カーテンウォール40に囲まれた領域の海水は、第1取水口10、第2取水口12及び第3取水口14を通って1号機、2号機及び3号機に供給される。供給された海水は、図示しない復水器の冷却に使用され、熱せられた状態で1号機、2号機及び3号機から放出される。放出された海水は、第1放水口20、第2放水口22及び第3放水口24から海に放水される。
カーテンウォール40には、一対の取水口温度計50が並設されている。一対の取水口温度計50は、第1取水口温度測定手段に相当する常用取水口温度計51と、第2取水口温度測定手段に相当する予備取水口温度計52とからなる。常用取水口温度計51及び予備取水口温度計52は、それぞれ海面付近の水温を計測するものである。なお、常用取水口温度計51と予備取水口温度計52とは、同一構造である。
第1放水口20、第2放水口22及び第3放水口24には、それぞれ一対の放水口温度計70が並設されている。一対の放水口温度計70は、第1放水口温度測定手段に相当する常用放水口温度計71と、第2放水口温度測定手段に相当する予備放水口温度計72とからなる。常用放水口温度計71及び予備放水口温度計72は、それぞれ発電設備から送られた海水の温度を計測するものである。また、常用放水口温度計71と予備放水口温度計72とは、同一構造である。
図2は、常用取水口温度計の構成を示す側面図である。常用取水口温度計51は、フロート54と、温度計56と、ワイヤ58と、巻き取り手段に相当する巻き取り装置60と、カバー62と、筒体に相当するガイドパイプ64とを備えている。
カバー62は、略直方体型の筺体であり、カバー62の内部には、巻き取り装置60が収納される。また、ガイドパイプ64は、円筒状の部材であり、ガイドパイプ64の一端部が、カバー62の底部に固定される。ガイドパイプ64の内部には、フロート54が、ガイドパイプ64の長手方向に沿って移動可能に収納される。
フロート54は、浮揚性を有する部材から構成されており、フロート54の底部には温度計56が取り付けられている。また、フロート54の中心に対して温度計56の反対側の部位に、ワイヤ58の一端が固定されている。また、ワイヤ58の他端は、巻き取り装置60に固定されている。
常用取水口温度計51は、図2に示すように、カバー62がカーテンウォール40よりも上方に配置され、ガイドパイプ64の中心軸が海水面に対して垂直方向に向けられ、最低潮位の時にガイドパイプ64の他端部が海面に浸るように、カーテンウォール40に固定される。常用取水口温度計51がカーテンウォール40に固定された状態において、ガイドパイプ64内に海水が入り込んでいる。この海水面にフロート54が浮遊し、温度計56が下方を向いて海水に浸る。また、フロート54は、上部に配置された巻き取り装置60からワイヤ58によって吊り下げられた状態となる。ここで、巻き取り装置60は、ワイヤ58の巻き取りを行うものであり、この巻き取り装置60によってワイヤ58が弛まないようになる。
潮の干満によって潮位が変化すると、それに応じてガイドパイプ64内の水位が変化する。この変化に応じてフロート54がガイドパイプ64内において上下移動するとともに、フロート54の上下移動分だけワイヤ58の長さが調節される。また、図示していないが、ワイヤ58には、温度計56に対して駆動電源を供給するための電源ケーブルと、温度計56が計測した温度を出力するための信号ケーブルとが備えられている。
図3は、常用放水口温度計の構成を示す側面図である。常用放水口温度計71は、シャフト76の先端部に温度計74を取り付けたものである。シャフト76の内部には、温度計74に対して駆動電源を供給するための電源ケーブルと、温度計74が計測した温度を出力するための信号ケーブルとが備えられている。
常用放水口温度計71は、シャフト76の中心軸を海面に対して垂直方向に向け、温度計74が、発電設備から送られた海水に浸るように、所定位置に固定される。
図4は、本実施形態の電気回路系の構成を示すブロック図である。発電所の敷地には、発電設備の他にも、中央制御室が設けられている。中央制御室は、1号機と2号機の運転制御を行う1,2号中央制御室と、3号機の運転制御を行う3号中央制御室の2つあり、1,2号中央制御室には、記録計100、総量計102が備えられている。また、総量計102には、外気温計測用温度計90が接続されている。3号中央制御室には、記録計100が備えられている。
また、1,2号中央制御室には、計算機室が備えられており、この計算機室には、取水口温度計50に接続される変換器80、及び第1放水口20の放水口温度計70に接続される変換器80、及び第2放水口22の放水口温度計70に接続される変換器80が備えられている。また、第3放水口24の放水口温度計70に接続される変換器80は、3号中央制御室に設けられている。
取水口温度計50、第1放水口20の放水口温度計70、第2放水口22の放水口温度計70、第3放水口24の放水口温度計70には、それぞれ変換器80が接続されている。これら変換器80は、1,2号中央制御室の記録計100及び総量計102、並びに3号中央制御室の記録計100に接続されている。
変換器80は、取水口温度計50あるいは放水口温度計70から送信される海水温度の測定結果としての信号を、記録計100及び総量計102が解析可能な形式の信号に変換して、中央制御室に出力するものである。
1,2号中央制御室の記録計100は、取水口温度計50が測定した海面温度、及び第1放水口20の放水口温度計70及び第2放水口22の放水口温度計70が測定した第1放水口20及び第2放水口22の海水温度を、例えばRAM(random−access memory)にデータ記録、あるいは記録紙に印字記録するものである。
総量計102は、取水口温度計50が測定した海面温度、及び第1放水口20の放水口温度計70、第2放水口22の放水口温度計70及び第3放水口24の放水口温度計70が測定した第1放水口20、第2放水口22及び第3放水口24の海水温度に基づいて、第1水路30(図1参照)、第2水路32(図1参照)及び第3水路34(図1参照)それぞれにおける温度差平均値、温度差瞬時値及び取水口海水温度変化率を求めるものである。
さらに、総量計102は、取水口温度計50が測定した海面温度、及び第1放水口20、第2放水口22、第3放水口24の放水口温度計70が測定した第1放水口20、第2放水口22及び第3放水口24の海水温度、温度差平均値、温度差瞬時値及び取水口海水温度変化率の値を監視し、温度差平均値、温度差瞬時値及び取水口海水温度変化率の値が正常であるか否かの判定、及び取水口温度計50や放水口温度計70が不調であるか否かの判定を行う。
図5は、取水口温度計50、放水口温度計70及び変換器80の電気的接続を示すブロック図であり、図5(a)は、取水口温度計50と変換器80との接続を示し、図5(b)は、放水口温度計70と変換器80との接続を示すものである。
取水口温度計50と変換器80は、図5(a)に示すように、スイッチSW11とスイッチSW21とを介して接続されている。スイッチSW11は、1つの出力端子に対して、常用取水口温度計51の入力端子又は予備取水口温度計52の入力端子のいずれか一方を選択的に接続するものである。スイッチSW11は、取水口温度計50の近くに設置された取水口海水温度計盤(図示せず)に備えられている。このように、スイッチSW11は、第1切換手段に相当する。
放水口温度計70と変換器80は、図5(b)に示すように、スイッチSW12とスイッチSW22とを介して接続されている。スイッチSW12は、1つの出力端子に対して、常用放水口温度計71の入力端子又は予備放水口温度計72の入力端子のいずれか一方を選択的に接続するものである。スイッチSW12は、放水口温度計70の近くに設置された放水口海水温度計盤(図示せず)に備えられている。このように、スイッチSW12は、第2切換手段に相当する。
取水口温度計50に接続される変換器80は、図5(a)、図5(b)に示すように、常用変換器81、予備変換器82、及びスイッチSW21とスイッチSW31とを備えている。スイッチSW21は、スイッチSW11の出力端子に接続された1つの入力端子に対して、常用変換器81の入力端子又は予備変換器82の入力端子のいずれか一方を選択的に接続するものである。スイッチSW31は、1,2号中央制御室に信号を送信するための1つの出力端子に対して、常用放水口温度計71の出力端子又は予備放水口温度計72の出力端子のいずれか一方を選択的に接続するものである。
放水口温度計70に接続される変換器80は、取水口温度計50に接続される変換器80と同一構成であるため、詳細な説明は省略するが、取水口温度計50に接続される変換器80におけるスイッチSW21、SW31については、放水口温度計70に接続される変換器80においてはスイッチSW22、SW32と称することにする。
通常状態(異常が発生していない状態)においては、スイッチSW11は、常用取水口温度計51に接続され、スイッチSW21は、常用放水口温度計71に接続され、スイッチSW21、SW22、SW31、SW32は、常用変換器81に接続されている。
このため、通常状態においては、常用取水口温度計51の測定結果、第1放水口20、第2放水口22、第3放水口24の常用放水口温度計71の測定結果が、各々に対応する常用変換器81を介して記録計100及び総量計102に送信されることになる。
図6は、総量計102の制御系を示すブロック図である。総量計102は、CPU150、RAM152、ROM154、操作パネル156、表示装置158、警報盤160及びI/O162が備えられている。
CPU150は、総量計102全体を制御するものであり、CPU150には、CPU150、RAM152、ROM154、操作パネル156、表示装置158、警報盤160及びI/O162が接続されている。
RAM152は、CPU150が各種の処理を行うための作業フィールドとなるとともに、各種のデータを記憶するものである。
ROM154は、総量計102全体を制御するプログラムや、各種のデータ処理をCPU150に実行させるためのプログラムが記憶されている。具体的には、取水口温度計50及び放水口温度計70からの測定結果に基づいて、温度差平均値、温度差瞬時値及び取水口海水温度変化率を求めるプログラム、温度差平均値、温度差瞬時値及び取水口海水温度変化率の値が正常であるか否かを判定するプログラム、取水口温度計50や放水口温度計70が不調であるか否かを判定するプログラム等が記憶されている。
操作パネル156には、取水口計器点検スイッチ170、1号機用の第1放水口計器点検スイッチ172、2号機用の第2放水口計器点検スイッチ174、3号機用の第3放水口計器点検スイッチ176等が設けられている。
取水口計器点検スイッチ170は、オン状態においては変換器80を介して送られる取水口温度計50からの信号をホールドし、オフ状態においてはホールド状態を解除して、変換器80を介して送られる取水口温度計50からの信号を総量計102に送るものである。
第1放水口計器点検スイッチ172は、オン状態においては変換器80を介して送られる第1放水口20の取水口温度計50からの信号をホールドし、オフ状態においてはホールド状態を解除して、変換器80を介して送られる第1放水口20の取水口温度計50からの信号を総量計102に送るものである。
第2放水口計器点検スイッチ174は、オン状態においては変換器80を介して送られる第2放水口22の取水口温度計50からの信号をホールドし、オフ状態においてはホールド状態を解除して、変換器80を介して送られる第2放水口22の取水口温度計50からの信号を総量計102に送るものである。
第3放水口計器点検スイッチ176は、オン状態においては変換器80を介して送られる第3放水口24の取水口温度計50からの信号をホールドし、オフ状態においてはホールド状態を解除して、変換器80を介して送られる第3放水口24の取水口温度計50からの信号を総量計102に送るものである。
作業員が操作パネル156を操作することによって、各種の命令やデータが入力される。取水口計器点検スイッチ170が押下されると、変換器80から送られる取水口温度計50からの信号がホールドされる。このため、その後、取水口温度計50の計測結果に変化があったとしても、総量計102には、ホールドした信号が入力されるため、一定値が入力されるようになる。これにより、総量計102は、警報を発生しない状態となる。
例えば、取水口温度計50を点検するために、スイッチSW11を切り換えると、記録計100及び総量計102に送られる信号が一時的に大きく変化する。この時、総量計102は、温度差瞬時値が異常である、あるいは取水口温度計50が不調であると判定して、警報を発生させることがあり得る。そこで、取水口温度計50を点検する前に、取水口計器点検スイッチを押下(オン)することにより、点検時の警報の発生を防止することができる。第1放水口計器点検スイッチ172、第2放水口計器点検スイッチ174及び第3放水口計器点検スイッチ176を押下(オン)した場合も同様に、変換器80から送られる放水口温度計70からの信号がホールドされる。
表示装置158は、各種の情報を画像表示するものである。具体的には、現時点の、温度差平均値、温度差瞬時値及び取水口海水温度変化率が表示される。
警報盤160には、発光や音声等による警報器が備えられている。具体的に、警報盤160には、温度差平均値異常を警告する警報ランプ、温度差瞬時値異常を警告する警報ランプ等、温度差異常を警告するための警報ランプからなる警報ランプ群162、取水口海水温度変化率異常を警告する警報ランプ163、取水口温度計50の不調を報知する警報ランプ164、及び第1放水口20、第2放水口22、第3放水口24の放水口温度計70の不調を報知する警報ランプ166、167、168が備えられている。このように、警報盤160は、警報手段に相当する。
I/O162は、総量計102に接続されている機器からの信号入力、あるいは信号出力を行うものである。I/O162には、取水口温度計50に対応する変換器80(図5参照)の出力端子、第1放水口20(図1参照)、第2放水口22(図1参照)、第3放水口24(図1参照)の放水口温度計70(図1参照)に対応する変換器80の(図4参照)出力端子、及び外気温計測用温度計90(図4参照)の出力端子が、ケーブルを介して接続されている。
次に、中央制御室における海水温度の監視処理について、図1、図5、図6を参照しながら説明する。総量計102のCPU150は、変換器80を介して送信される取水口温度計50及び放水口温度計70からの信号に基づいて、取水口の海面温度及び第1放水口20、第2放水口22、第3放水口24の海水温度を監視し、また、CPU150は、温度差平均値、温度差瞬時値及び取水口海水温度変化率を演算によって求め、その値を監視する。さらに、外気温計測用温度計90の測定結果に基づいて外気温を監視する。
また、CPU150は、演算によって求めた温度差平均値、温度差瞬時値及び取水口海水温度変化率と、予め定められた規定値とを比較する。そして、演算によって求めた温度差平均値、温度差瞬時値及び取水口海水温度変化率が規定値を越えたと判断した場合に、警報信号を警報盤160に出力する。CPU150が、温度差平均値が規定値を越えた場合、あるいは温度差瞬時値が規定値を越えた場合には、警報盤160において、警報ランプ群162においてそれぞれ対応する警報ランプが点灯する。CPU150が、取水口海水温度変化率が規定値を越えたと判断した場合には警報ランプ163が点灯する。このように、総量計102のCPU150は、温度差異常判断手段に相当する。
具体的には、CPU150は、温度差平均値が6.97度を越えたと判断した場合に、温度差平均値異常を示す警報信号を警報盤160に出力する。同様に、CPU150は、温度差瞬時値が8.0度を越えたと判断した場合に、温度差瞬時値異常を示す警報信号を警報盤160に出力する。さらに、CPU150は、取水口海水温度変化率が±0.16度/分を越えた場合に、温度差瞬時値異常を示す警報信号を警報盤160に出力する。
また、CPU150は、第1放水口20、第2放水口22、第3放水口24の放水口温度計70が測定する海水温度の測定値が、異常に高すぎたり、異常に変動したり、長時間一定値を取り続けるといった、通常ではあり得ない温度変化を検出した場合に、警報信号を警報盤160に出力する。CPU150が、第1放水口20の放水口温度計70に通常ではあり得ない温度変化を検出した場合には、警報ランプ166を点灯させ、第2放水口22の放水口温度計70に通常ではあり得ない温度変化を検出した場合には、警報ランプ167を点灯させ、第3放水口23の放水口温度計70に通常ではあり得ない温度変化を検出した場合には、警報ランプ168を点灯させる。このように、総量計102のCPU150は、放水口温度計異常判断手段に相当する。
また、CPU150は、外気温計測用温度計90が測定している外気温と、常用取水口温度計51が測定している海面温度とをリアルタイムで比較し、その差が微小なものであるか否かを判定する。そして、微小なものであると判定した場合に、外気温計測用温度計90が測定している外気温と、取水口温度計50が測定している海面温度が略一致しているとして、取水口温度計50が不調であることを示す警報信号を警報盤160に出力する。警報盤160は、取水口温度計50が不調であることを示す警報信号に基づいて警報ランプ164を点灯させる。このように、総量計102のCPU150は、取水口温度計異常判断手段に相当する。また、外気温計測用温度計90は、気温測定手段に相当する。
ここで、通常は、常用取水口温度計51及び常用放水口温度計71からの測定結果が総量計102に入力されるため、取水口温度計50の不調を報知する警報ランプ164、放水口温度計70の不調を報知する警報ランプ166、167、168が点灯した場合には、常用取水口温度計51及び常用放水口温度計71の不調を示すことになる。
警報盤160において、警報ランプ群162の温度差平均値異常を警告する警報ランプ、温度差瞬時値異常を警告する警報ランプ、及び取水口海水温度変化率異常を警告する警報ランプ163が点灯した場合に、作業員は、警報内容を確認する。ここで、取水口の海面温度の測定に用いる温度計を、常用取水口温度計51から予備取水口温度計52に切り換える必要が生ずる可能性があると判断した場合には、操作パネル156の取水口計器点検スイッチ170を押下(オン)して、常用取水口温度計51からの信号をホールドする。なお、警報盤160において、取水口温度計50の不調を報知する警報ランプ164が点灯している場合には、常用取水口温度計51のフロート54が、ガイドパイプ64の内部において何らかの原因で引っかかり、温度計56が大気中に晒された状態にある可能性があることを、作業員が予め把握しておくことが可能になる。
次に、作業員は、常用取水口温度計51が設置されている現場に赴き、ワイヤ58が引っかかってフロート54の動きが規制されているか否かを確認する。ワイヤ58が引っかかっている場合には、ワイヤ58を操作して、フロート54の復旧を行う。フロート54の復旧によって警報盤160の警報ランプが消灯した場合には、中央制御室において記録計100の記録を参照して、常用取水口温度計51が作動していることを確認する。常用取水口温度計51が正常に作動していることが確認できた場合には、取水口計器点検スイッチをオフにする。これにより、ホールド状態が解除され、取水口温度計50の測定結果が総量計102に入力される。そして、記録計100、総量計102の状態を確認し、異常が見られなければそのまま、監視状態を継続させる。
フロート54を復旧させても警報盤160の警報ランプが消灯しない場合には、作業員は、常用取水口温度計51とともに設置されている取水口海水温度計盤のスイッチSW11を操作して、常用取水口温度計51から予備取水口温度計52に切り換え、さらに、補修担当の部署に連絡する。
また、警報発生の原因が、常用取水口温度計51や常用変換器81の不調である場合、又は巻き取り装置60の不良である場合には、作業員は、スイッチSW11を操作して、海面温度の計測に用いる温度計を、常用取水口温度計51から予備取水口温度計52に切り換えるとともに、補修担当の部署に連絡する。
なお、警報発生の原因が、ケーブル断線である場合には、作業員は、補修担当の部署に連絡する。
取水口海水温度計盤のスイッチSW11を切り換えた後に、作業者は、計算機室に設置されている変換器80のスイッチSW21、スイッチSW31を、常用変換器81から予備変換器82に切り換える。ここで、スイッチSW21とスイッチSW31とは連動しており、スイッチSW21を、常用変換器81から予備変換器82に切り換えることによって、自動的にスイッチSW31も常用変換器81から予備変換器82に切り換わる。
そして、作業員は、1,2号中央制御室の記録計100の記録を参照して、予備取水口温度計52が作動していることを確認する。ここで、総量計102への入力はホールドされているが、記録計100への入力はホールドされていないため、復旧作業時における取水口温度計50の測定結果が、RAMあるいは記録紙に記録されている。このため、記録計100の記録を参照することにより、常用取水口温度計51又は予備取水口温度計52が安定して作動しているか否かを確認することができる。
記録計100の記録によって、予備取水口温度計52が安定して作動していることを確認した場合には、取水口計器点検スイッチ170をオフにする。これにより、ホールド状態が解除され、予備取水口温度計52の測定結果が総量計102に入力される。最後に、記録計100及び総量計102の状態を確認し、異常が見られなければそのまま、監視状態を継続させる。
また、作業員は、第1放水口20、第2放水口22の放水口温度計70の不調を報知する警報ランプ166、167が点灯した場合には、警報内容を確認する。ここで、第1放水口20、第2放水口22の海水温度測定に用いる温度計を、常用放水口温度計71から予備放水口温度計72に切り換える必要が生ずる可能性があると判断した場合には、操作パネル156における第1放水口計器点検スイッチ172あるいは第2放水口計器点検スイッチ174を押下(オン)して、常用放水口温度計71からの信号をホールドする。
次に、作業員は、常用放水口温度計71が設置されている第1放水口20あるいは第2放水口22に赴き、常用放水口温度計71とともに設置されている放水口海水温度計盤のスイッチSW12を操作して、常用放水口温度計71から予備放水口温度計72に切り換える。さらに、作業員は、補修担当の部署に連絡する。
放水口海水温度計盤のスイッチSW12を切り換えた後に、作業者は、計算機室に設置されている変換器80のスイッチSW22、スイッチSW32を、常用変換器81から予備変換器82に切り換える。ここで、スイッチSW22とスイッチSW32とは連動しており、スイッチSW22を、常用変換器81から予備変換器82に切り換えることによって、自動的にスイッチSW32も常用変換器81から予備変換器82に切り換わる。
そして、1,2号中央制御室の作業員は、2号中央制御室の記録計100の記録を参照して、予備放水口温度計72が作動していることを確認する。予備放水口温度計72が作動していることを確認できた場合には、第1放水口計器点検スイッチ172あるいは第2放水口計器点検スイッチ174をオフにする。総量計102の状態を確認し、異常が見られなければそのまま、監視状態を継続させる。
また、作業員は、第3放水口24の放水口温度計70の不調を報知する警報ランプ168が点灯した場合に、警報内容を確認する。ここで、第3放水口24の海水温度測定に用いる温度計を、常用放水口温度計71から予備放水口温度計72に切り換える必要が生ずる可能性があると判断した場合には、操作パネル156における第3放水口計器点検スイッチ176を押下(オン)して、常用放水口温度計71からの信号をホールドする。
次に、作業員は、常用放水口温度計71が設置されている第3放水口24に赴き、常用放水口温度計71とともに設置されている放水口海水温度計盤のスイッチSW12を操作して、常用放水口温度計71から予備放水口温度計72に切り換える。さらに、補修担当の部署に連絡する。
放水口海水温度計盤のスイッチSW12を切り換えた後に、作業者は、3号中央制御室の作業員に、3号中央制御室に設置されている変換器80のスイッチSW22、スイッチSW32を、常用変換器81から予備変換器82に切り換える作業を行うように依頼する連絡を行う。ここで、スイッチSW22とスイッチSW32とは連動しており、スイッチSW21を、常用変換器81から予備変換器82に切り換えることによって、自動的にスイッチSW31も常用変換器81から予備変換器82に切り換わる。
そして、3号中央制御室の作業員は、変換器80のスイッチSW22、スイッチSW32を常用変換器81から予備変換器82に切り換え、さらに、3号中央制御室の記録計100の記録を参照して、予備放水口温度計72が作動していることを確認する。予備放水口温度計72が作動していることを確認できた場合には、1,2号中央制御室の作業員に、作業の終了を連絡する。この連絡を受けた1,2号中央制御室の作業員は、第3放水口計器点検スイッチ176をオフにして、総量計102の状態を確認し、異常が見られなければそのまま、監視状態を継続させる。
なお、常用取水口温度計51から予備取水口温度計52に、あるいは常用放水口温度計71から予備放水口温度計72に切り換えている間に、警報発生の原因を究明し、復旧作業を行う。復旧作業が終了した後は、予備取水口温度計52から常用取水口温度計51に、予備放水口温度計72から常用放水口温度計71に切り換えておくことが望ましい。予備取水口温度計52から常用取水口温度計51あるいは予備放水口温度計72から常用放水口温度計71に切り換える場合も、取水口計器点検スイッチ170あるいは第1放水口計器点検スイッチ172、第2放水口計器点検スイッチ174、第3放水口計器点検スイッチ176のいずれかをオンにし、各種のスイッチSW11、SW21、SW31、SW12、SW22、SW32を切り換えた後に取水口計器点検スイッチ170あるいは第1放水口計器点検スイッチ172、第2放水口計器点検スイッチ174、第3放水口計器点検スイッチ176をオフにする手順で切り換え作業を行うことが望ましい。
ところで、1,2号機の中央制御室において、常用取水口温度計51から予備取水口温度計52への切り換えを行う場合には、3号機の中央制御室の作業員に、常用取水口温度計51から予備取水口温度計52への切り換えを行う旨を連絡することが望ましい。本実施形態においては、取水口温度計50の計測結果が、3号機の中央制御室の記録計100にも送信されており、3号機の中央制御室において取水口側と第3放水口24との温度差を監視している。このため、取水口温度計50において、常用取水口温度計51と予備取水口温度計52との切り換えを行った場合、3号機の中央制御室における取水口側の海面温度の値が変動することになる。そこで、3号機の中央制御室において混乱が生じないように、取水口計器点検スイッチ170を押下する前に、予め連絡するとよい。
なお、3号機の中央制御室に対して確実に連絡させるように、取水口計器点検スイッチ170を押下したときに、「3号機の中央制御室への連絡はお済みですか?」といった内容の音声を出力したり、総量計102に備えた表示装置158に表示させてもよい。
さらには、取水口計器点検スイッチ170を押下した旨を示す文字データ、例えば、「取水口計器点検スイッチが押下されました。1,2号中央制御室」といった文字データを予め作成しておき、取水口計器点検スイッチ170を押下したときに、取水口計器点検スイッチ170を押下した旨を示す文字データを、3号中央制御室に自動送信する。3号中央制御室においては、1,2号中央制御室から文字データを受信すると、図示しない表示装置に文字データが自動表示される。3号中央制御室の作業員は、1,2号中央制御室からの文字データを見ることにより、常用取水口温度計51から予備取水口温度計52への切り換えが行われる可能性があることを知ることができる。そして、常用取水口温度計51から予備取水口温度計52への切り換えが行われたか否かは、記録計100の記録を見ることによって判別することが可能である。このようなシステムを備えることにより、1,2号中央制御室において取水口計器点検スイッチ170を押下した旨が、3号中央制御室の作業員に確実に伝達できるようになる。
以上、説明したように第1実施形態によれば、取水口温度を測定する測定手段として、常用取水口温度計51と予備取水口温度計52の2つを設け、これらをスイッチSW11によって切り換えることにより、例えば、常用取水口温度計51が不調の場合に、取水口温度の測定に用いる測定手段を予備取水口温度計52に切り換える。これにより、常用取水口温度計51の復旧に多少時間がかかったとしても、取水口の温度測定の連続性を保つことが可能となり、信頼性が高い取水口の温度測定を行うことが可能になる。また、総量計102のCPU150は、常用取水口温度計51からの水温を監視して、例えば、測定温度が高すぎる、測定温度が長時間同じ値を示している、測定温度と気温とが略等しいといった事象が検出された場合には、常用取水口温度計51に異常が発生している可能性があると判定して、警報ランプ164を点灯する。これにより、警報ランプ群162、警報ランプ163とともに警報ランプ164が点灯している場合には、警報の原因が、常用取水口温度計51の異常にある可能性が高いことを予め把握しておくことが可能になる。また、警報ランプ群162、警報ランプ163が点灯せず、警報ランプ164のみが点灯している場合には、作業員が常用取水口温度計51の状態を確認することにより、警報発生を未然に防ぐことが可能になる。
また、第1実施形態によれば、放水口温度を測定する測定手段として、常用放水口温度計71と予備放水口温度計72の2つ設け、これらをスイッチSW12によって切り換えることにより、例えば、常用放水口温度計71が不調の場合に、放水口温度の測定に用いる測定手段を予備放水口温度計72に切り換える。これにより、常用放水口温度計71の復旧に多少時間がかかったとしても、放水口の温度測定の連続性を保つことが可能となり、信頼性が高い放水口の温度測定を行うことが可能になる。また、総量計102のCPU150は、常用放水口温度計71が測定した水温を監視して、例えば、測定温度が高すぎる、測定温度が長時間同じ値を示している、温度変化が大きすぎる、といった事象が検出された場合には、常用放水口温度計71に異常が発生している可能性があると判定して、警報ランプ166、167、168を点灯する。警報ランプ群162、警報ランプ163とともに警報ランプ166、167、168が点灯している場合には、警報の原因が、常用放水口温度計71の異常にある可能性が高いことを予め把握しておくことが可能になる。また、警報ランプ群162、警報ランプ163が点灯せず、警報ランプ166、167、168が出点灯している場合には、作業員が常用放水口温度計71の状態を確認することにより、警報発生を未然に防ぐことが可能になる。
また、第1実施形態によれば、常用取水口温度計51が測定した水温と外気温計測用温度計90が測定した気温とが略等しい場合には、常用取水口温度計51の温度計56が、外気に晒されている状態にあり、ワイヤ58あるいはフロート54に引っかかりが生じている可能性があると推測することが可能になる。このように、常用取水口温度計51の異常の原因を推測することが可能になる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図7は、本発明の第2実施形態に係る総量計の制御系を示すブロック図である。なお、図6に示す第1実施形態の総量計102と同一の構成については、同一の符号を付して、詳細な説明は、省略する。
図5に示す第1実施形態におけるスイッチSW11、SW21、SW31、SW21、SW22、SW32が手動スイッチであることに対し、第2実施形態におけるスイッチSW11、SW21、SW31、SW21、SW22、SW32は、制御信号に基づいて接続先が切り換えられる自動スイッチからなるものである。
第2実施形態におけるスイッチSW11、SW21、SW31、SW12、SW22、SW32は、ケーブルを介してI/O162に接続されており、CPU150からの制御信号に基づいて、スイッチSW11、SW21、SW31、SW12、SW22、SW32が切り換えられる。
また、総量計102に備えた操作パネル156には、取水口温度計切換スイッチ180、第1放水口温度計切換スイッチ182、第2放水口温度計切換スイッチ184、第3放水口温度計切換スイッチ186が備えられている。
取水口温度計切換スイッチ180、第1放水口温度計切換スイッチ182、第2放水口温度計切換スイッチ184、及び第3放水口温度計切換スイッチ186は、スイッチSW11、SW21、SW31、SW12、SW22、SW32を切り換える制御信号を出力させるための指示入力を行うものである。
CPU150は、取水口温度計切換スイッチ180が押下(オン)されたことを検知すると、スイッチSW11、SW21、SW31に制御信号を送信する。スイッチSW11、SW21、SW31は、制御信号を受信すると、接続端子を移動させて、接続先を切り換える。具体的に、スイッチSW11が常用取水口温度計51に接続されている場合には予備取水口温度計52に接続先が切り換えられ、スイッチSW11が予備取水口温度計52に接続されている場合には常用取水口温度計51に接続先が切り換えられる。スイッチSW21、SW31が常用変換器81に接続されている場合には予備変換器82に接続先が切り換えられ、スイッチSW21、SW31が予備変換器82に接続されている場合には常用変換器81に接続先が切り換えられる。
なお、詳細については後述するが、スイッチSW11、SW21、SW31、SW21、SW22、SW32は、CPU150の判断に基づいて、自動切り替えが行われる。このため、CPU150は、取水口温度計切換スイッチ180、第1放水口温度計切換スイッチ182、第2放水口温度計切換スイッチ184、及び第3放水口温度計切換スイッチ186の機能を実行させることが可能である。ここで、例えば、取水口温度計50や放水口温度計70の定期点検を行う場合等、手動切換が必要な場合に用いられる。
次に、スイッチSW11、SW21、SW31、SW12、SW22、SW32の切換制御について、図8、図9を用いて説明する。なお、以下の説明において、常用取水口温度計51の信号が常用変換器81を介して中央制御室に送信できるようにスイッチSW11、SW21、SW31を切り換えた回路系統を取水口常用系統と称することにする。また、常用放水口温度計71の信号が常用変換器81を介して中央制御室に送信できるようにスイッチSW12、SW22、SW32を切り換えた回路系統を放水口常用系統と称することにする。また、予備取水口温度計52の信号が予備変換器82を介して中央制御室に送信できるようにスイッチSW11、SW21、SW31を切り換えた回路系統を取水口予備系統と称することにする。また、及び予備放水口温度計72の信号が予備変換器82を介して中央制御室に送信できるようにスイッチSW12、SW22、SW32を切り換えた回路系統を取水口予備系統と称することにする。なお、取水口常用系統と放水口常用系統を合わせて単に常用系統と称し、取水口予備系統と放水口予備系統を合わせて単に予備系統と称する場合もある。また、第2実施形態においては、通常状態において中央制御室には、全て常用系統による温度測定結果が送信されているものとして、以下の説明を行うことにする。
図8は、第2実施形態において実行される処理を示すフローチャートである。図8に示す処理は、所定時間毎に繰り返し実行される。
まず、図8に示すように、ステップS10において、CPU150は、温度差異常判断処理を行う。この処理において、CPU150は、常用取水口温度計51及び各常用放水口温度計71からの信号に基づいて、演算によって求めた温度差平均値、温度差瞬時値及び取水口海水温度変化率と、予め定められた規定値とを比較する。そして、演算によって求めた温度差平均値、温度差瞬時値及び取水口海水温度変化率が規定値を越えたか否かを判断し、判断結果をRAM152に記憶する処理を行う。この処理が終了した場合には、ステップS12に処理を移す。
ステップS12において、CPU150は、温度計異常判断処理を行う。この処理において、CPU150は、常用取水口温度計51及び各常用放水口温度計71からの信号に基づいて、常用取水口温度計51及び各常用放水口温度計71が異常であるか否かを判断し、判断結果をRAM152に記憶する処理を行う。この処理が終了した場合には、ステップS14に処理を移す。
ステップS14において、CPU150は、警報ランプ点灯処理を行う。この処理において、CPU150は、RAM152に記憶した、温度差異常及び温度計異常に基づいて、異常の種類に応じた制御信号を警報盤160に送信する処理を行う。警報盤160は、受信した制御信号に基づいて警告ランプを点灯させる。この処理が終了した場合には、ステップS16に処理を移す。
ステップS16において、CPU150は、取水口温度計切換処理を行う。この処理の詳細は後述するが、CPU150は、取水口常用系統から取水口予備系統への自動切り替えを行う処理を行う。この処理が終了した場合には、ステップS18に処理を移す。
ステップS18において、CPU150は、放水口温度計切換処理を行う。この処理において、CPU150は、ステップS12の処理において異常と判断された放水口の放水口常用系統を、放水口予備系統に切り換える処理を行う。この処理が終了した場合には、ステップS20に処理を移す。例えば、CPU150は、第1放水口20に設けられた常用放水口温度計71に異常があると判断された場合には、まず、常用放水口温度計71からの信号をホールドする。次に、CPU150は、スイッチSW12、SW22、SW32に制御信号を送信する。スイッチSW12、SW22、SW32は、CPU150からの制御信号に基づいて接続先を変更して、放水口常用系統から放水口予備系統に切り換える。さらに、CPU150は、記録計100に記録されるデータを監視して、放水口予備系統で正常に動作しているか否かを判断し、正常と判断した場合には、ホールド状態を解除する。これにより、放水口予備系統による測定温度の信号が総量計102に送信される。このように、CPU150は、第2切換制御手段に相当する。
ステップS20において、CPU150は、スイッチ切換指示入力の有無を判断する処理を行う。警報が発生した後、復旧作業が行われ、復旧が完了した場合には、復旧作業員から復旧作業終了の旨が1,2号中央制御室に連絡される。復旧が完了した旨を受けた1,2号中央制御室の作業員は、操作パネル156を操作して、スイッチ切換指示入力をCPU150に送信する。CPU150は、スイッチ切換指示入力を受信していると判断した場合には、ステップS22に処理を移す。スイッチ切換指示入力を受信していると判断しない場合には、本ルーチンの処理を終了する。
ステップS22において、CPU150は、温度計切換処理を行う。この処理において、CPU150は、予備系統で運用している回路系統を、スイッチ切換指示入力に基づいて、常用系統に切り換える処理を行う。例えば、常用取水口温度計51が異常と判断され、予備系統に切り換えて海面温度計測を行っている間に、常用取水口温度計51の復旧作業を行う。そして、常用取水口温度計51の復旧作業が完了した後に、1,2号中央制御室の作業員が、操作パネル156を操作して、スイッチ切換指示入力をCPU150に送信することにより、取水口予備系統から取水口常用系統に切り換えられる。この処理が終了した場合には、本ルーチンの処理を終了する。
図9は、図8のステップS16において実行される処理を示すフローチャートである。
図9に示すように、まず、ステップS30において、CPU150は、温度差異常であるか否かを判断する処理を行う。この処理において、CPU150は、ステップS10(図8参照)の処理において、温度差異常と判断している場合には、ステップS32に処理を移す。温度差異常と判断していない場合には、本サブルーチンを終了する。
ステップS32において、CPU150は、取水口温度計異常であるか否かを判断する処理を行う。この処理において、CPU150は、ステップS12(図8参照)の処理における判断結果が取水口温度計異常であるか否かを判断し、取水口温度計異常であると判断した場合には、ステップS34に処理を移す。取水口温度計異常であると判断しない場合には、本サブルーチンを終了する。
ステップS34において、CPU150は、気温と水温を比較する処理を行う。この処理において、CPU150は、外気温計測用温度計90が測定する気温と、常用取水口温度計51が測定する水温との差を取り、RAM152に記憶する処理を行う。この処理が終了した場合には、ステップS36に処理を移す。
ステップS36において、CPU150は、気温と水温が略一致しているか否かを判断する処理を行う。この処理において、CPU150は、RAM152に記憶されている気温と水温との差に基づいて、気温と水温が略一致しているか否かを判断する処理を行う。略一致していると判断した場合には、ステップS38に処理を移す。略一致していると判断した場合には、ステップS42に処理を移す。なお、CPU150は、気温と水温が略一致していると判断した場合には、常用取水口温度計で、ワイヤ58に引っかかっていると判断し、例えば、表示装置158に、「取水口温度計で、ワイヤが引っかかってます。確認にしてください」という画像を表示させてもよい。
ステップS38において、CPU150は、タイマ計数を行う。この処理において、CPU150は、RAM152の所定領域に時間データを記憶し、この時間データを一定値ずつ減算していくことにより、減算タイマとして機能させる。この時間データとしては、作業員が常用取水口温度計51において、ワイヤ38の復旧作業が完了できる程度の時間が設定される。この処理が終了した場合には、ステップS40に処理を移す。
ステップS36において、CPU150は、タイマが0になったか否かを判断する処理を行う。この処理において、CPU150は、タイマが0になったと判断した場合にステップS42に処理を移す。
ステップS40において、CPU150は、ホールド処理を行う。この処理において、CPU150は、常用取水口温度計51からの信号をホールドする処理を行う。この処理が終了した場合には、ステップS44に処理を移す。
ステップS44において、CPU150は、制御信号出力処理を行う。この処理において、CPU150は、スイッチSW11、SW21、SW31に制御信号を送信する処理を行う。スイッチSW11、SW21、SW31は、CPU150からの制御信号に基づいて接続先を変更して、取水口常用系統から取水口予備系統に切り換える。この処理が終了した場合には、ステップS46に処理を移す。このように、CPU150は、第1切換制御手段に相当する。
ステップS46において、CPU150は、ホールド解除処理を行う。この処理において、CPU150は、記録計100に記録されるデータを監視して、取水口予備系統で正常に動作しているか否かを判断し、正常と判断した場合には、ホールド状態を解除する。これにより、予備取水口温度計52による測定温度の信号が総量計102に送信される。この処理が終了した場合には、本サブルーチンを終了する。
以上、説明したように第2実施形態によれば、総量計102のCPU150からの制御信号に基づいてスイッチSW11及びスイッチSW12を自動的に切り換えることができるため、スイッチSW11及びスイッチSW12の切換にかかる作業負担を省くことが可能になる。
また、第2実施形態によれば、温度差異常が発生した場合、あるいは温度計異常が発生した場合には、基本的に、常用系統から予備系統に自動的に切り換えられる。ただし、常用取水口温度計51が異常と判断された場合において、ワイヤ58の引っかかりに起因する異常であれば、復旧作業は比較的容易であるため、一定時間だけ、常用系統から予備系統への自動切換が保留される。そして、一定時間内に復旧作業が完了した場合には、温度差異常の警報が解除されるため、ステップS16の取水口温度計切換処理は実行されないようになる(図8のステップS30のNO)。また、一定時間内に復旧作業が完了しない場合には、常用系統から予備系統への自動切換が実行されるため、信頼性が低い常用取水口温度計51からの測定結果を中央制御室に送信し続けることが防止できる。
以上、本実施形態について説明したが、本発明の実施形態は、上述したものに限るものではない。例えば、本実施形態においては、気温と水温が一致しているか否かを判断することによって、ワイヤ38が引っかかっているか否かを判断している。さらに、それに加えて、図10に示すように、フロート54から巻き取り装置60までのワイヤ38の長さを測定する、ワイヤ長測定手段に相当するワイヤ長測定装置92を設け、このワイヤ長測定装置92の測定結果を総量計102に送信するようにしてもよい。これにより、通常は、水位の変化によってフロート54の位置が変化するため、フロート54から巻き取り装置60までのワイヤ38の長さも徐々にではあるが変化する。このため、長時間(例えば、5時間)ワイヤ長が変化しない場合には、ワイヤ38が引っかかっていると見なすことが可能になる。
ワイヤ長測定装置92としては、巻き取り装置60が有するワイヤ38を巻き取るリールの回転量を求めることによって、ワイヤ長を監視する装置が適用可能である。具体的には、CPU150は、満潮時におけるリールの位置を基準として、干潮時におけるリールの回転量を求める。この時の回転量が、規定の回転量より小さい場合に、ワイヤ38が引っかかっていると判断する。ここで、規定の回転量は、例えば、一年において最も小さい干満の差に基づいて算出したリールの回転量が適用可能である。
このように、外気温計測用温度計90とワイヤ長測定装置92との測定結果を併用することにより、ワイヤ38が引っかかっているとの判断に対する信頼性を向上させることが可能になる。