JP2012127878A - 液面変位検知システムおよび液面変位検知方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】容器2内に配設される光ファイバーケーブル4と、容器2内の液体3に浮遊し,光ファイバーケーブル4に接続されて,液面3aの上昇又は下降に伴って光ファイバーケーブル4を押し上げて又は引き下げて屈曲させるフロート5とを備え、光ファイバーケーブル4内に伝送される検査用光8の反射光9の減衰量43を演算処理部37によって求めて、その反射光9の減衰量43が規定の値を超えた場合に発信部38によって警報又は信号を発することを特徴とする液面変位検知システム1a,1bによる。
【選択図】図1
Description
この作業は煩雑であるため、蓄電池の電解液の液位を外部から監視することのできる液面変位検知システムや液面変位検知方法が必要であった。
このような事情に鑑み、電解液の液位を外部から監視するための先行技術がいくつか開示されている。
特許文献1に開示される発明である密閉鉛蓄電池は、電解液と平衡する水蒸気圧を湿度として検出し、この湿度から電池の充放電状態を検出する密閉鉛蓄電池であって、湿度センサとして、光ファイバーの一部の表面を微多孔質のシリカとして感湿部を構成し、感湿部の水分吸着量と光ファイバーの透過光量減衰率との相関関係を利用した湿度センサを用いることを特徴とするものである。
上記特許文献1に開示される発明によれば、電池の容量を検出するための湿度センサとして光ファイバー界面における相対湿度と透過光量減衰率の関係という光の変化を使った物理現象を利用しているため劣化がなく、電池の寿命終了までセンサの取り替えを必要としないという効果が期待できる。
上記特許文献2に開示される発明は、文献中の符号をそのまま用いて説明すると、ケース31内の空間32には、光ファイバ34a,34bに結合された直角プリズム33a,33bが対向配置され、これらによる光学系の下部に形成された空間35には、液面変動に伴って上下動すると共に永久磁石37を装着したフロート36が配設されている。空間35内には上下を仕切る隔壁38が設けられ、空間32と空間35の間を隔離している。隔壁38上には上下動可能に且つ永久磁石37に同一極性で対向するようにして永久磁石39が配設され、この永久磁石39に遮光板40が立設されていることを特徴とするものである。
上記構成の特許文献2に開示される発明によれば、液面変動に応じてフロート36と永久磁石37が上昇すると、遮光板40によって直角プリズム33a,33bによる光路が遮光され、光ファイバ34bに光が出射されないことから液面上昇を検出することができるという効果を有する。
特許文献3に開示される考案は、蓄電池の電池カバーに一端を固定して電解液にその一部を浸漬させた円筒状のケースと、このケース内に収容され前記電解液の液面レベルに追従して誘導するフロートと、このフロート面に固定された反射板と、前記蓄電池の外部から前記フロート面上に光信号を入力する光ファイバと、この光ファイバに前記光信号を入力する光源と、前記反射板を反射した光信号を受光して前記光信号の信号強度に応じた電気信号を発する変換器を備えたことを特徴とするものである。
上記特許文献3に開示される考案によれば、電解液の液面にフロートを浮かべさせているので、液面レベルを連続的に検出することができる。また、光信号の入射部・反射部は、電解液に対して耐蝕性があるため、各部の腐食によって信号が検出できないという事態は生じない。さらに、電気信号による液面レベルを検出するものではないため、短絡等により蓄電池を破壊するおそれもない。
上記構成の発明において、光ファイバーケーブルは検査用光を伝送するとともに、液面の上昇又は下降に伴って上下動するフロートにより強制的に屈曲されて,その屈曲部においてレイリー散乱現象を起こして検査用光の反射光を減衰させるという作用を有する。
また、フロートは、液体の液面近傍を浮遊し、液面の上昇又は下降が生じた際に、光ファイバーケーブルとの接続部分を押し上げて又は引き下げて、強制的に光ファイバーケーブルを屈曲させるという作用を有する。
さらに、フロートと光ファイバーケーブルの接続部を挟んだ両側に設けられるケーブル支持部は、フロートが液位の上昇又は下降に伴って上下動し、光ファイバーケーブルに押し上げる力又は引き下げる力が作用するときに、光ファイバーケーブルが鉛直上下方向にスライド移動するのを妨げて、光ファイバーケーブルに屈曲を生じやすくするという作用を有する。
そして、計測部は、光ファイバーケーブルの端部から検査用光を伝送するとともに、同じく光ファイバーケーブルの端部において光ファイバーケーブルから返送される検査用光の反射光を受光するという作用を有する。
加えて、演算処理部は、予め計測された,光ファイバーケーブルが屈曲していない状態の反射光の受光入力と,計測部において計測された反射光の受光入力とから,反射光の減衰量を演算処理により求めるという作用を有する。
さらに、発信部は、反射光の減衰量が規定の値を超えた場合に警報又は信号を発するという作用を有する。
光ファイバーケーブルは、屈曲部においてレイリー散乱現象が起きて入射される光信号の反射光が減衰することが知られている。本願請求項1記載の発明では、このような光ファイバーケーブルの特性を利用して、液体の液位の上昇又は下降現象をフロートの上下動に変換し、さらに、このフロートの上下動を光ファイバーケーブルの屈曲部の形成とその解除という状態に変換することで、検査用光の反射光の減衰量を求めることにより間接的に液体の液位の変位を検知するという作用を有する。
上記構成の発明は、請求項1記載の発明と同じ作用に加えて、光ファイバーケーブルを、液体を収容した複数の容器を直列につなぐように配設し、各容器内にそれぞれフロートを設けることで、複数の容器に収容される液体の液面の液位の変化を同時に監視可能にするという作用を有する。
また、計測部において、反射光を時間領域で計測することで、検査用光の反射光の減衰が生じている個所の位置情報データの取得を可能にするという作用を有する。
つまり、時間軸上において反射光が急激に減衰する個所の位置情報データとは、光ファイバーケーブルにおいて屈曲が生じている個所の位置情報データであり、さらに、光ファイバーケーブルに屈曲が生じている個所の位置情報データとは、液体の液位の過度な上昇又は低下が生じている個所(容器)の位置情報データである。
よって、請求項2記載の発明は、液体を収容する複数の容器の中から液体の液位の過度な上昇又は低下が生じている個所を、単数でも複数でもその位置も含めて検出するという作用を有する。
上記構成の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明において、監視対象である液体を電池の電解液に限定したものであり、それ以外の構成は、請求項1又は請求項2記載の発明と同じである。
よって、請求項3に記載の発明によれば、蓄電池のような電池の容器(電槽)が少なくとも1つ以上ある場合に、電解液の液位が過度に上昇している又は低下している状態を検知して警報又は信号を発するという作用を有する。また、複数の容器を直列につないで光ファイバーケーブルを配設し、容器内に1つずつフロートが設けられるような場合には、電解液の液位の上昇又は低下が生じている容器の位置情報データも含めて警報又は信号を発するように作用する。
上記構成の発明において、光ファイバーケーブルおよびフロートは請求項1記載の発明における光ファイバーケーブルおよびフロートと同じ作用を有する。また、光ファイバーケーブルとフロートの接続部を挟んだ両側における光ファイバーケーブルを固定しておくことで、液位の上昇・下降に伴ってフロートが上下動した際に、それに伴って光ファイバーケーブルが局所的に屈曲することなく鉛直上下方向にスライドするのを妨げるという作用を有する。別の言い方をすると、フロートが上下動した際に、光ファイバーケーブルを屈曲させやすくするという作用を有する。
さらに、光ファイバーケーブルの屈曲に伴って生じるレイリー散乱現象による検査用光の反射光減衰量を求めることで間接的に液面の変位を検出するという作用を有する。よって、被測定対象である液体に電流等を流すことなく外部から、その液位の変位を常時監視するという作用を有する。
上記構成の発明は、請求項4記載の発明と同じ作用に加えて、光ファイバーケーブルを、液体を収容した複数の容器を直列につなぐように配設し,かつ,個々の容器内に1つずつフロートを設けることで、1本の光ファイバーケーブルを用いて複数の容器内に収容される液体の液位を同時に監視可能にするという作用を有する。
また、光ファイバーケーブルの端部において、反射光の計測を時間領域で行うことで、光ファイバーケーブルの屈曲位置に関する位置情報データを取得するという作用を有する。
つまり、光ファイバーケーブルの屈曲位置に関する位置情報データを取得することは、光ファイバーケーブルの屈曲位置において液体の液位が過度に上昇又は下降している状態が生じていることを意味しているので、検視対象である液体を収容した容器が複数ある場合でも、どの容器において液位が過度に上昇又は下降しているかを推定可能にするという作用を有する。
上記構成の発明は、請求項4又は請求項5記載の発明における監視対象である液体を電池の電解液に限定したものである。よって、請求項4又は請求項5記載の発明によれば、電槽内の電解液の液位が過度に上昇又は下降した状態を検知するという作用を有する。
また、請求項5記載の発明を引用する場合には、電解液を収容する電槽が複数ある場合でも、電解液の液位が過度に上昇又は低下した電槽を単数でも複数でも、その位置も含めて検出するという作用を有する。
また、容器内の液位を監視する際に、液体に電流を流したり、電気信号を送信したりする必要が一切ないので、請求項1記載の発明は、例えば蓄電池の電槽内の電解液の監視に特に適している。
また、請求項1記載の発明における液面変位検知システムは、1つの容器内の液体の液位を監視する場合にも、複数の容器内にそれぞれ収容される液体の液位を同時に監視する場合にも、使用する光ファイバーケーブルは1本のみであるため液体の液面を監視するための設備をシンプルかつコンパクトにすることができる。
つまり、請求項1記載の発明によれば、被監視対象である液体が単数でも複数でも計測部,演算処理部および発信部はそれぞれ1つずつで対応できるので、汎用性の高い液面変位検知システムを提供することができる。
また、請求項2記載の発明では特に計測部において検査用光の反射光の減衰量に加えて、検査用光の発光出力と反射光の受光入力との時間差を測定することにより、光ファイバーケーブルに屈曲が生じている個所の位置情報データ(座標データ)を取得することができる。
これにより、警報又は信号が発信される程度の変化がどの容器の液面の液位に生じたのかを知ることができる。よって、複数の容器内の液体の液位を監視している際に警報又は信号が発信された場合に、作業者は、メンテナンスが必要な容器があるという情報に加えて、どの容器の液体のメンテナンスが必要なのかについても知ることができる。この場合、作業者は警報又は信号を認識した後で、メンテナンスが必要な容器を探す必要がないので、作業効率を向上することができる。
請求項1記載の発明は、液体の液位の監視を、液体に電流を流したり、電気信号等を発信したりすることなく実施することができるので、外部からの液位の観察が難しく、かつ、恒常的な液位の観察が必要であり、しかも、被観察対象である液体に対して電気的又は化学的なアクションを行わないことが望ましい電槽の電解液の監視に特に適している。
従って、請求項3記載の発明によれば、被監視対象である電槽が単数でも複数の場合でも、電槽が設置されている現場に作業員が直接足を運ぶことなく、外部から常時、電槽内の液位の変化を観察することができる。また、任意の電槽の電解液の液位に異常が認められた場合、作業員は目的とする電槽に対してのみメンテナンスを行えばよいので、無駄な作業を省くことができる。
よって、原子力発電所又は火力発電所等における作業員の業務効率を改善することができる。
図1の(a)〜(c)はいずれも本発明の実施例1に係る液面変位検知システムの概念図である。
実施例1に係る液面変位検知システム1aは、容器2内に収容される液体3の液位を外部から、液体3に電気信号や電流等を発することなく監視するためのものであり、容器2内に収容される液体3の液面3a上に、液体3に接触しないように光ファイバーケーブル4が配設され、この光ファイバーケーブル4に液体3の液面3a近傍を浮遊するフロート5が接続されて、液体3の液位の上昇又は下降に伴って鉛直上下方向に上下動するフロート5によって光ファイバーケーブル4が押し上げられ又は押し下げられることで、光ファイバーケーブル4が局所的に屈曲するよう構成されている。
また、フロート5が上下動する際に、光ファイバーケーブル4が屈曲することなく鉛直上下方向にスライド移動してしまうことがないよう、フロート5と光ファイバーケーブル4の接続部7を挟んだ両側は、ケーブル支持部6(ケーブル支持部6a,6b)により支持されている。なお、ケーブル支持部6は光ファイバーケーブル4を強固に固定するものではなく、フロート5が上下動して光ファイバーケーブル4を押し上げ又は引き下げた際に、容易に光ファイバーケーブル4を撓ませることができる程度に光ファイバーケーブル4を支持するものである。
さらに、光ファイバーケーブル4の一の端部4a側には、検査用光(入射光8;パルス光)を光ファイバーケーブル4に入射するとともに、光ファイバーケーブル4から返送される反射光を受光する計測部36が設けられ、さらに、光ファイバーケーブル4が屈曲していない状態で予め計測された反射光9の受光入力(以下、「受光入力A」とよぶ)と、計測部36において計測された反射光9の受光入力とから、反射光9の減衰量を演算処理により求める演算処理部37を備え、さらに、演算処理部37において求められた反射光9の減衰量が規定の値を超えた場合に、例えば、電気通信回線等40を通じて受信部39(表示部)に警報又は信号を発信する発信部38を備えている。
よって、光ファイバーケーブル4を屈曲させない状態で入射光8(検査用光)を伝送した際の反射光9の受光入力(受光入力A)を予め計測しておき、光ファイバーケーブル4に別途入射光8(検査用光)を入射した際に計測される反射光9の受光入力の,受光入力Aに対する減衰量を演算処理により求めることで、光ファイバーケーブル4の屈曲の程度を推定することができる。
図1(b)では、適正な液位Xよりも液面3aが低下して液位Yの位置にあり、この現象によりフロート5が下降して光ファイバーケーブル4が引き下げられ、接続部7における光ファイバーケーブル4が鉛直下向きに屈曲した状態になっている。
また、図1(c)では、適正な液位Xよりも液面3aが上昇して液位Zの位置にあり、この現象によりフロート5が上昇して光ファイバーケーブル4が引き上げられ、接続部7における光ファイバーケーブル4が鉛直上側に屈曲した状態になっている。
よって、実施例1に係る液面変位検知システム1aでは、フロート5を利用して液体3の液面3aの上下動を、光ファイバーケーブル4との接続部7における屈曲状態に変換し、この光ファイバーケーブル4の屈曲状態を光ファイバーケーブル4に伝送する検査用光(入射光8)の反射光の減衰量として求めることで、間接的に液体3の液面3aの上下動を監視することができる。
この場合、フロート本体5aの表面積を大きくすることで、液体3からフロート5を離間しにくくすることができる。なお、フロート5の材質を、より具体的にはフロート本体5aの材質を、液体3の比重と同じか、やや小さいものを用いることで、液体3の液面3a近傍に好適にフロート5を浮遊させることができる。
図2は本発明の実施例1に係る液面変位検知システムにおいて液位の変位が検知されるまでの工程を示すフロー図である。なお、図1に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
実施例1に係る液面変位検知システム1aにより、容器2内の液体3の液位の過度な上昇又は下降を検知するには、まず、図1(a)に示す光計測部36から光ファイバーケーブル4に対して検査用光(入射光8;パルス光)を入射し(ステップS11)、次いで、光ファイバーケーブル4から返送される反射光9を計測部36において計測する(ステップS12)。
この後、演算処理部37において、ステップS12で取得された反射光9の受光入力の、受光入力Aに対する減衰量を演算処理により求め(ステップS13)、次に、発信部38において、反射光9の受光入力の減衰量が規定値を上回っているか否かが判定され(ステップS14)、受光入力の減衰量が規定値を上回っている場合には、例えば、図1(a)に示すような電気通信回線等40を介して、例えば、受信部39(表示部)に警報又は信号が発信され(ステップS15)、受光入力の減衰量が規定値を下回っていた場合には、再び、ステップS11に戻ってステップS11〜S14までの工程が繰り返される。
この結果、作業員の巡視の手間を省くことができるので、業務効率を改善することができる。
また、実施例1に係る液面変位検知システム1aでは、液体3の液位の異常が液面3aの上昇であるのか,あるいは,下降であるのかまでは判別することはできないが、液体3の液面3aの上昇による異常、又は、下降による異常の両方を同時に監視することができる。この結果、汎用性の高い液面変位検知システム1aを提供することができる。
なお、実施例1に係る液面変位検知システム1aによる監視対象が、液面3aの低下だけの場合には、図1に示すケーブル支持部6(ケーブル支持部6a,6b)のうち、光ファイバーケーブル4の鉛直上方へのスライド移動を防止するためのケーブル支持部6aは必ずしも設けなくともよい。
また、ケーブル支持部6は、図1に示される形態に限定される必要はなく、光ファイバーケーブル4の鉛直方向の移動を妨げるよう構成されるものであればその形態は特に問題としない。
このような実施例1に係る液面変位検知方法によれば、被監視対象である液体3に対して電気的又は化学的なアクションを何ら行うことなく液位の変化を外部から恒常的に監視することができる。
よって、上述の実施例1に係る液面変位検知システム1aと同じ効果を有する。
実施例2に係る液面変位検知システムは、上述の実施例1に係る液面変位検知システム1aの原理を利用して、複数の容器2に独立して収容される液体3の液面3aの変位を1本の光ファイバーケーブル4を用いて監視可能に構成したものである。
図3(a)は本発明の実施例2に係る液面変位検知システムの概念図であり、(b)は反射光を時間領域で測定した際の測定結果の一例を示すグラフである。また、図4は本発明の実施例2に係る液面変位検知システムにおいて液位の変位が検知されるまでの工程を示すフロー図である。なお、図1及び図2に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
まず、実施例2に係る液面変位検知システム1bの構成について図3を参照しながら詳細に説明する。
実施例2に係る液面変位検知システム1bは、図3に示すように、先の図1(b)又は(c)に示すような、液体3を収容した容器2内に,フロート5が接続された光ファイバーケーブル4を配設したものを複数個直列に連結したものである。そして、その光ファイバーケーブル4の一の端部4a側に計測部36、演算処理部37及び発信部38を備え、この発信部38からを発信された警報又は信号を、電気通信回線等40を通じて受信部39に発信できるよう構成されている。
先にも述べたように、実施例1に係る液面変位検知システム1aにおいて、光ファイバーケーブル4から返送される反射光9が減衰するのは、光ファイバーケーブル4に破損等の不具合がない限り、屈曲部が生じていることによると推定することができる。
従って、実施例2に係る液面変位検知システム1bでは、計測部36において反射光9を特に時間領域で測定することで、光ファイバーケーブル4における屈曲部の有無のみならず、それが生じている位置(地点)までも推定することができるので、複数の容器2に収容される液体3の液面3aの変位を同時に監視することができるのである。
実施例2に係る液面変位検知システム1bにより複数の液体3の液面3aを同時に監視するには、まず、図3(a)に示すように、液体3を収容した複数の容器2を直列につなぐように光ファイバーケーブル4を配設し、個々の容器2内の液面3a近傍にフロート5を浮遊させ、それぞれのフロート5を,接続部7を介して光ファイバーケーブル4に接続する。
そして、この状態で図4に示すように、光ファイバーケーブル4の一の端部4aに設けられる計測部36から、検査用光(入射光8;パルス光)を入射し(ステップS21)、光ファイバーケーブル4から返送される反射光9を計測部36において時間領域において測定する(ステップS22)。次に、演算処理部37において、受光入力Aに基づいた反射光9の受光入力の減衰量、ならびに、光ファイバーケーブル4の一の端部4aから受光入力の減衰が生じている個所までの距離を演算処理により求める(ステップS23)。
そして、発信部38において、反射光9の減衰が生じていると推定される光ファイバーケーブル4のそれぞれの地点において、反射光9の減衰量が規定値以内か否かが判定され(ステップS24)、反射光9の減衰量が規定値を上回っている場合は、反射光9の減衰が生じていると推定される光ファイバーケーブル4の位置データとともに警報又は信号が発信される(ステップS25)。他方、反射光9の減衰が生じたと推定される光ファイバーケーブル4のそれぞれの地点における反射光9の減衰量が規定値以内の場合には、再びステップS21に戻り、ステップS21〜S24の工程が繰り返される。
また、光ファイバーケーブル4上において屈曲していると推定される個所が複数認識された場合で、かつ、反射光9の減衰量が規定値を上回っている個所が1つの場合でも,複数の場合でも、発信部38から信号又は警報が発信されるが、光ファイバーケーブル4の屈曲位置に関する位置データも併せて発信されるため、作業者は光ファイバーケーブル4の屈曲が生じていると推定される個所(容器2の位置)を容易に特定することができる。
X軸に経過時間を、計測部36において計測される受光入力値をY軸にプロットしたものが図3(b)である。
図3(b)において、パルス光41aとパルス光41bの間に示されるラインが、計測された反射光9の受光入力値であり、X軸上の原点Oに近い位置にあるほど光ファイバーケーブル4の一の端部4aから近い位置からの反射光9であることを示している。なお、図3(b)において、図3(a)中に示すP地点、Q地点、R地点、S地点に相当する位置にそれぞれ波線を記入した。
図3(b)に示すように、光ファイバーケーブル4から返送される反射光9は、一の端部4aからの距離が遠ざかるにつれて一定の割合で減衰する。そして、図3(a)に示すように、Q地点及びR地点の間、又は、R地点S地点の間のように光ファイバーケーブル4が局所的に屈曲している個所においては、光ファイバーケーブル4内においてレイリー散乱現象が起こるので、図3(b)に示すように、その地点における反射光9の受光入力値が急激に低下する。
そして、反射光9の急激な減衰が生じたそれぞれの個所について、反射光9の減衰量43が規定の値を上回った場合に、発信部38から警報又は信号が、例えば、電気通信回線等40を通じて受信部39などに発信されるのである。
ただし、図3(a),(b)に示すように、実施例2に係る液面変位検知システム1bでは、容器2内の液体3の液面3aが適正液位42よりも上昇している場合でも下降している場合でも区別なく、その異常は反射光9の急激な減衰として認識されるため、液体3の上昇、下降のどちらの異常が生じているかを知るためには作業員が現地で直接確認する必要がある。
また、実施例2に係る液面変位検知システム1bは、上述の実施例1に係る液面変位検知システム1aの構成を、光ファイバーケーブル4上に単純に繰り返すだけで上記効果が発揮されるので、実施例2に係る液面変位検知システム1bの設備をコンパクトかつシンプルにすることができる。従って、実施例2に係る液面変位検知システム1bを実施するための設備投資を最小限度にすることができる。
このような実施例2に係る液面変位検知方法によれば、光ファイバーケーブル4上における屈曲個所の有無だけでなく、光ファイバーケーブル4のどの位置において屈曲が生じているかについても知ることができるので、上記実施例2に係る液面変位検知システム1bと同じ効果を有する。
なお、実施例2に係る液面変位検知システム1bの計測部36として、OTDR(Optical Time Domain Reflectometer)を用いてもよい。この場合も同様の効果を発揮させることができる。
また、本発明に係る液面変位検知システム又は液面変位検知方法は、監視対象である液体に対して電気的又は化学的アクションを何ら行う必要がないので、例えば、化学組成や電気的作用が重要な電解液等の恒常的な監視に特に適している。
図5,6はいずれも、本発明の実施例1に係る液面変位検知システム1aを蓄電池の電解液の監視に利用した場合を示す概念図である。
上述の実施例1に係る液面変位検知システム1aを蓄電池10の電解液31の監視に利用するには、図5に示すように、電極板等16及び電解液15が収容された電槽11内を満たす電解液15に触れないように光ファイバーケーブル4を配設し、この光ファイバーケーブル4に電解液15の液面15a近傍を浮遊するフロート5を,接続部7を介して接続し、さらに、この接続部7を挟んだ光ファイバーケーブル4の両側にケーブル支持部6を設けて、フロート5が下降した際に光ファイバーケーブル4が鉛直下方にスライド移動しないように係止すればよい。また、電槽11の開口部には蓋14が覆設され、この蓋14には電極や栓が設けられている。
また、特に図示しないが、光ファイバーケーブル4の一の端部4a(紙面左側)には、計測部36、演算処理部37、発信部38が設けられている。
通常、蓄電池10の電解液15は、常温で放置した場合に次第に減少することはあっても増加することはないので、実施例3に係る液面変位検知システム1aでは、最高液面線12を適正液位とし、電解液15の液面15aが最低液面線13に近づいた際に生じる光ファイバーケーブル4の屈曲が検知されるように設定している。
なお、図6では、電槽11に挿通孔17を設けて光ファイバーケーブル4を挿通させている場合を例に挙げて説明しているが、挿通孔17からの水分の出入りを防ぐために、光ファイバーケーブル4と挿通孔17の間の隙間を埋める気密材を取り付けておくことが望ましい。
このような実施例3に係る液面変位検知システム1aによれば、作業員は、巡視をしなくとも、電解液15の液位の異常を知ることができ、警報又は信号が発信された電解液15を追加する等の適切な処置を迅速に施すことができる。
この場合、電槽11を透孔材により構成し、かつ、フロート5を電槽11の外からも認識できるような目立つ色にしておき、さらに、フロート5の材質を電解液15の比重と同じか近似させておくことで、より望ましくはフロート5の比重を電解液15の比重よりもやや小さくすることで、電槽11に電解液15を補充した際に液面15aが適切な位置にあるか否かを電槽11の外から容易に判断することができる。
図7に示すように、上述の実施例2に係る液面変位検知システム1bを用いて複数の蓄電池10の電解液15の液面15aを監視するには、複数の蓄電池10を並べて設置し、この蓄電池10の電槽11を直列につなぐように光ファイバーケーブル4を配設し、さらに、個々の電槽11内の電解液15にそれぞれフロート5を浮遊させ、光ファイバーケーブル4とフロート5の接続部7の両側をケーブル支持部6により支持し、電解液15の液面15aが下降した際に光ファイバーケーブル4に強制的に屈曲部18が形成されるようにすればよい。
そして、光ファイバーケーブル4の一の端部4aから検査用光(入射光8;パルス光)を入射し、光ファイバーケーブル4から返送された反射光9を時間領域で計測することにより、電槽11内の電解液15の液位が過度に低下した場合に、その位置情報とともに警報又は信号が、例えば、電気通信回線等40を介して受信部39に発信され、作業員はこの信号又は警報により電解液15の液面15aの異常を認識して、異常が生じた全ての蓄電池10の電槽11に電解液15を補充する等の処置を迅速に施すことができる。
よって、多数の蓄電池10を有する場合でも、人手によらず外部から常時その電解液15の液位を監視することができ、液位に異常が生じた時だけ作業員が対処すればよいので、業務効率を大幅に改善することができる。
Claims (6)
- 容器内に収容される液体の液面の変位を検知するための液面変位検知システムであって、
前記容器内に収容される前記液体の液面上に前記液体と接触しないように配設される光ファイバーケーブルと、
前記液体の液面近傍に浮遊するとともに,前記光ファイバーケーブルに直接又は間接的に接続されて,前記液面の上昇又は下降に伴って,前記光ファイバーケーブルを押し上げて又は引き下げて局所的に屈曲させるフロートと、
前記フロートと前記光ファイバーケーブルの接続部を挟んだ両側において,前記光ファイバーケーブルの鉛直方向への移動を妨げるケーブル支持部と、
前記光ファイバーケーブルの一の端部側に配設され,前記光ファイバーケーブルの端部から検査用光を伝送するとともに,前記光ファイバーケーブルから返送される反射光を受光する計測部と、
前記光ファイバーケーブルが屈曲していない状態における前記反射光の受光入力と,前記計測部において計測された前記反射光の受光入力とから,前記反射光の減衰量を演算処理により求める演算処理部と、
前記反射光の前記減衰量の大小を前記光ファイバーケーブルの屈曲量の大小と見なし,前記光ファイバーケーブルの前記屈曲量の大小を前記液面の変位の大小と見なして,前記反射光の前記減衰量が規定の値を超えた場合に警報又は信号を発する発信部とを有することを特徴とする液面変位検知システム。 - 前記液体を収容した少なくとも2つ以上の前記容器を直列につなぐように前記光ファイバーケーブルを配設し、
前記容器内に1つずつ前記フロートが設けられ、
前記計測部において前記反射光を時間領域で計測することで,前記光ファイバーケーブルの屈曲位置に関する位置情報データを取得可能であることを特徴とする請求項1記載の液面変位検知システム。 - 前記液体は、電池の電解液であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液面変位検知システム。
- 液体に接触することがないよう液面上に配設された光ファイバーケーブルに、前記液体の前記液面近傍に浮遊し,前記液面の上昇又は下降に伴って鉛直上下方向に上下動するフロートを取り付け、前記光ファイバーケーブルと前記フロートの接続部を挟んだ両側における光ファイバーケーブルが鉛直上下方向に移動しないよう固定しておき、前記液面の変位に伴う前記フロートの上下動によって前記光ファイバーケーブルを強制的に屈曲させ、前記光ファイバーケーブルの屈曲に伴って生じるレイリー散乱現象による検査用光の反射光減衰量を求めることにより間接的に前記液面の変位を検出することを特徴とする液面変位検知方法。
- 前記液体は、複数の容器内に独立した状態で収容され、
前記光ファイバーケーブルは、複数の前記容器を直列につなぐように配設され、
前記フロートは、前記容器内に1つずつ配設され、
前記反射光の計測を時間領域において行うことで,前記光ファイバーケーブルの屈曲位置に関する位置情報データを取得可能であることを特徴とする請求項4記載の液面変位検知方法。 - 前記液体は、電池の電解液であることを特徴とする請求項4又は請求項5記載の液面変位検知方法。
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