JP5109600B2 - 車両用差動装置 - Google Patents
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Description
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る車両用差動装置を説明するために示す斜視図である。図2は、本発明の第1の実施の形態に係る車両用差動装置を説明するために示す断面図である。図3は、本発明の第1の実施の形態に係る車両用差動装置のピニオンギヤを説明するために示す斜視図である。図3(a)はピニオンギヤを斜め上方から見た状態を、また図3(b)はピニオンギヤを斜め下方から見た状態をそれぞれ示す。図4は、本発明の第1の実施の形態に係る車両用差動装置のピニオンギヤを説明するために示す断面図である。
図1及び図2において、符号1で示す車両用差動装置は、エンジントルクを受けて回転するデフケース2と、このデフケース2の回転軸線Oと直交する軸線上に位置するピニオンギヤシャフト50と、このピニオンギヤシャフト50上で互いに並列する1対のピニオンギヤ3,4と、これら1対のピニオンギヤ3,4にギヤ軸を直交させて噛合する1対のサイドギヤ5L,5Rと、これら1対のサイドギヤ5L,5Rの背面側に位置する1対のスラストワッシャ6L,6Rとから大略構成されている。
デフケース2は、図1及び図2に示すように、ピニオンギヤ3,4及びサイドギヤ5L,5R・スラストワッシャ6L,6Rを収容するための空間部2Aを内部に有し、全体が1ピースの部材によって形成されている。
ピニオンギヤシャフト50は、図2に示すように、ピニオンギヤ3,4のシャフト挿通孔3D,4D(後述)の内面による摺動によってピニオンギヤ3,4を回転自在に支持する第2ピニオンギヤ支持面50A,50Bを有し、ピニオンギヤ3,4(シャフト挿通孔3D,4D)を挿通してデフケース2(ギヤ・シャフト支持部10,11)のピニオンギヤシャフト支持面10B,11Bに支持されている。ピニオンギヤシャフト50とピニオンギヤシャフト支持面10B,11Bとの間には実質的には隙間がなく、ピニオンギヤシャフト50は、デフケース2に対して相対移動不能に固定されている。第2ピニオンギヤ支持面50A,50Bは、それぞれが第1ピニオンギヤ支持面10A,11Aとピニオンギヤシャフト50の軸線方向に沿って並列し、かつギヤ・シャフト支持部10,11から所定の間隔をもって離間する位置に配置されている。第2ピニオンギヤ支持面50A,51Bの少なくとも一部は、ピニオンギヤシャフト50の軸線方向においてピニオンギヤ3,4とサイドギヤ5L,5Rとの噛み合い中心点よりもデフケース2の回転軸線Oに近い位置に配置されている。
ピニオンギヤ3,4は、略同一の構成であるため、例えばピニオンギヤ3のみについて説明する。なお、ピニオンギヤ4については、各部位の符号をピニオンギヤ3の各部位の符号に対応して付し(例えば、ピニオンギヤ4のギヤ胴部にはピニオンギヤ3のギヤ胴部3Aに対応して4Aを、またピニオンギヤ4のギヤ鍔部にはピニオンギヤ3のギヤ鍔部3Bに対応して4Bをそれぞれ付す。)、その説明は省略する。
本考察は、ピニオンギヤ3,4としてギヤ鍔部3B,4Bの各外径(フランジ径)Dが互いに異なる10種の歯車をそれぞれ用いた車両用差動装置を所定の時間にわたって駆動した後、各種歯車のサイドギヤ5L,5Rに対する接触面の応力から歯面強度の測定を実施することにより試みた。
本実施の形態では、ピニオンギヤ3,4の歯数を従来よりも少ない7枚に設定しているが、歯数を減らすことができたのは、ピニオンギヤ3,4がその第1摺動面30B,40Bでも支持されるので、ピニオンギヤシャフト50を従来の車両用差動装置のピニオンギヤシャフトよりも細くすることができたためである。本考察では、ピニオンギヤ3,4として各歯数N(N=5〜10)が互いに異なる6種の歯車をそれぞれ用いた車両用差動装置を所定の時間にわたって駆動した後、各種歯車のサイドギヤ5L,5Rに対する接触面の応力から歯面強度の測定を実施することにより試みた。
サイドギヤ5L,5Rは、図1及び図2に示すように、各外径が互いに異なるボス部5La,5Ra及びギヤ部5Lb,5Rbを有する略環状の歯車(ピニオンギヤ3,4の外径より大きい外径を有し、単一の歯先円錐角をもつ傘歯車)からなり、デフケース2内(空間部2A)に回転自在に支持され、ピニオンギヤ3,4に噛合するように構成されている。サイドギヤ5L,5Rの歯数は、ピニオンギヤ3,4の歯数の2.1倍以上の歯数(例えばピニオンギヤ3,4の歯数7に対しサイドギヤ5L,5Rの歯数15)に設定されている。
スラストワッシャ6L,6Rは、図2に示すように、サイドギヤ5L,5Rとピニオンギヤ3,4との噛み合いを調整する環状のワッシャからなり、サイドギヤ5L,5Rの背面とスラストワッシャ受部9La,9Raとの間に介装されている。そして、左右の車軸をそれぞれ挿通させてサイドギヤ5L,5Rのスラスト力を受けるように構成されている。スラストワッシャ6L,6Rには、ワッシャ内周部からワッシャ外周部に潤滑油を導入する潤滑油導入路(図示せず)が設けられている。
車両のエンジン側からのトルクがドライブピニオン及びリングギヤを介してデフケース2に入力されると、デフケース2が回転軸線Oの回りに回転する。デフケース2が回転すると、この回転力がピニオンギヤシャフト50を介してピニオンギヤ3,4に伝達され、さらにピニオンギヤ3,4からサイドギヤ5L,5Rに伝達される。この場合、左右のサイドギヤ5L,5Rにはそれぞれ車軸(図示せず)がスプライン嵌合されているため、エンジン側からのトルクがドライブピニオン及びリングギヤ・デフケース2・ピニオンギヤシャフト50・ピニオンギヤ3,4・サイドギヤ5L,5Rを介して左右の車軸に伝達される。
以上説明した第1の実施の形態によれば、次に示す効果が得られる。
図9は、本発明の第2の実施の形態に係る車両用差動装置を説明するために示す断面図である。図9において、図2と同一又は同等の部材については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
以上説明した第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態の効果(1)〜(4)に加え、次に示す効果が得られる。
2…デフケース、2A…空間部、2b…ピン取付孔
3,4…ピニオンギヤ、3A,4A…ギヤ胴部、30a,40a…第1ギヤ胴部、31a,41a…第2ギヤ胴部、30A,40A…第2摺動面、31A,41A…非摺動面、32A,42A…非摺動面、3B,4B…ギヤ鍔部、30B,40B…第1摺動面、31B,41B…第3摺動面、3C,4C…ギヤ部、3D,4D…シャフト挿通孔
5L,5R…サイドギヤ、5La,5Ra…ボス部、5Lb,5Rb…ギヤ部、5Lc,5Rc…摺動部
6L,6R…スラストワッシャ
9L,9R…車軸挿通孔、9La,9Ra…スラストワッシャ受部
50…ピニオンギヤシャフト、50A,50B…第2ピニオンギヤ支持面、50D…ピン挿通孔
10,11…ギヤ・シャフト支持部、10A,11A…第1ピニオンギヤ支持面、10B,11B…ピニオンギヤシャフト支持面、10C,11C…ピニオンギヤ受部
12L,12R…サイドギヤ通過孔
13…リングギヤ取付用フランジ
91…車両用差動装置
300,400…ピニオンギヤ、300A,400A…非摺動面、301a,401a…テーパ面、302a,402a…曲面
A…屈曲部
C…ギヤ軸線
O…回転軸線
D…ギヤ鍔部の外径(フランジ径)
D1…歯先円直径
D2…歯元円直径
t1…屈曲部の厚さ
t2…ギヤ鍔部の最大厚さ
L…荷重
F1,F2…反力
H…軸線
R1,R2,h,a1,a2…距離
P…噛み合い中心点
Claims (4)
- デフケースと、
前記デフケース内に回転自在に収容された1対のサイドギヤと、
前記1対のサイドギヤにギヤ軸を直交させて噛合し、軸心部にシャフト挿通孔が設けられたギヤ胴部、前記ギヤ胴部の外周側に設けられたギヤ部、及び前記ギヤ部のギヤ背面側に全周にわたって設けられ、かつ前記ギヤ胴部及び前記ギヤ部と一体に前記ギヤ胴部の外側に突出して形成されたギヤ鍔部を有する少なくとも1対のピニオンギヤと、
前記シャフト挿通孔を挿通して前記デフケースに支持されたピニオンギヤシャフトとを備え、
前記少なくとも1対のピニオンギヤは、前記1対のサイドギヤとの噛み合い部が前記ギヤ胴部及び前記ギヤ鍔部のサイドギヤ側に設けられ、前記1対のサイドギヤとの噛み合い部の歯数Nが6≦N≦8を満たす歯数に設定され、
前記デフケースは、前記ギヤ鍔部の外周面による摺動によって前記少なくとも1対のピニオンギヤを回転自在に支持する第1ピニオンギヤ支持部を有し、
前記ピニオンギヤシャフトは、前記シャフト挿通孔の内面による摺動によって前記少なくとも1対のピニオンギヤを回転自在に支持する第2ピニオンギヤ支持部を有し、
前記第2ピニオンギヤ支持部が前記第1ピニオンギヤ支持部よりも前記デフケースの回転軸線側に配置されている
ことを特徴とする車両用差動装置。 - 前記少なくとも1対のピニオンギヤは、前記ギヤ鍔部の厚さが前記ギヤ胴部のギヤ背面側端部の厚さと同一の寸法に設定されている請求項1に記載の車両用差動装置。
- 前記少なくとも1対のピニオンギヤは、前記シャフト挿通孔のギヤ背面側開口部がギヤ中間部からギヤ背面側に向かって漸次広がる開口部によって形成されている請求項1に記載の車両用差動装置。
- 前記少なくとも1対のピニオンギヤは、前記シャフト挿通孔のギヤ背面側開口内面が曲面で形成されている請求項3に記載の車両用差動装置。
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