JP5108974B2 - 摩擦型遊星動力伝達装置 - Google Patents

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本発明は、中心要素と、中心要素の周囲に配置された周囲要素と、中心要素の外周面と周囲要素の内周面に接触し、回転して接触点の摩擦によりトルクの伝達を行う遊星要素と、遊星要素を支持する支持要素を有し、中心要素、周囲要素および支持要素の間で動力の送受を行う、摩擦型遊星動力伝達装置に関する。
周知の遊星歯車式の動力伝達装置の遊星ギア(遊星要素)をローラ等の転動体とし、サンギア(中心要素)およびリングギア(周囲要素)を平滑な面を有する円筒として、接触点の摩擦によりトルクの伝達を行う摩擦型遊星動力伝達装置が知られている。下記特許文献1には、前記のような摩擦型遊星動力伝達装置が示されている。特に、この文献の装置においては、中心要素と周囲要素を偏心させ、偏心によって生じた、これらの要素間の間隔の狭い部分に、遊星要素の一つを食い込ませるようにして、要素どうしを押し付ける力を高めている。
特開平10−281248号公報
前記特許文献1に記載の装置においては、中心要素と周囲要素が偏心した構造となり、装置レイアウト上の制約となる。また、中心要素と周囲要素の間隔の狭い部分に遊星要素が食い込む方向にトルクが作用するときは、要素どうしの押付け力を高めることができるが、逆方向のトルクが掛かるときは、遊星要素が隙間から排除される方向にトルクが作用して押付け力が低下してしまう。
さらに、遊星要素は、中心要素と周囲要素の間隔の狭い部分に位置する必要があり、公転運動を行うことはできない。したがって、中心要素からの入力トルクを、周囲要素と、遊星要素を支持する支持要素とに分配する等の運用を行うことができない。
以上の問題は、遊星要素を、中心要素と周囲要素の間隔の狭い部分に食い込ませる、いわゆる「くさび効果」を利用して要素どうしの押付け力を高めていることに起因する。本発明は、くさび効果とは異なる原理に基づき要素間の押付け力の制御を行う摩擦型遊星動力伝達装置を提供する。
本発明の第1の態様に係る摩擦型遊星動力伝達装置は、同心に配置された中心要素外周面と周囲要素内周面に接し、回転してトルク伝達を行う複数の遊星要素を有し、これらの相互の配置を変えることで、要素間の押付け力を制御する。周囲要素は、遊星要素への押付け力の反力を受けて、変形しており、この変形の量が大きいほど、要素同士を押付ける力が大きいことになる。遊星要素の配置を変更することで、周囲要素の変形量を変えることができ、これにより押付け力を変更することができる。
例えば、遊星要素が3個以上の場合、遊星要素と周囲要素の接触点を結んだ多角形の周囲の長さが異なる遊星要素の配置を実現できるようにすることで、押付け力を変更することができる。この多角形の周囲の長さが長い方が周囲要素の変形が大きくなり、押付け力が高まる。押付け力が大きくなる配置、すなわち遊星要素が3個以上のときは、前記の多角形の周囲の長さが長くなる配置、遊星要素が2個の時は直径方向に位置する配置を第1の配置と呼ぶ。また、逆に押付け力が小さくなる配置を第2の配置と呼ぶ。
伝達すべきトルクが大きいときは第1の配置とし、トルクが小さいときは第2の配置とするようにできる。
支持要素は、遊星要素の一部を、残りの遊星要素に対して周方向に移動可能に支持し、遊星要素の周方向の移動は、伝達トルクにより生じるようにし、伝達トルクが増加すると、第2の配置から第1の配置へ移行するようにできる。
遊星要素が3個以上設けられている場合、遊星要素は、少なくとも1個の遊星要素を含む第1群と、第1群以外の少なくとも1個の遊星要素を含む第2群とを有するようにでき、第1の方向に伝達トルクが作用するときに、この伝達トルクにより、第1群の遊星要素を他の遊星要素に対して周方向に移動可能とし、これにより遊星要素が第2の配置から第1の配置へ移行するようにできる。また、第1の方向とは逆の第2の方向に伝達トルクが作用するときに、この伝達トルクにより、第2群の遊星要素を他の遊星要素に対して周方向に移動可能とし、これにより遊星要素が第2の配置から第1の配置へ移行するようにできる。
遊星要素の数は4個とすることができる。対角線上にある遊星要素同士で、前記第1群、第2群を形成することができる。第1の方向のトルクが作用したとき第1群が、このトルクの向きに移動し、第1の方向と逆向きの第2の方向のトルクが作用したとき第2群がこの逆向きのトルクの方向に移動するようにできる。
移動する遊星要素には、ばね要素により第2の配置となる方向に付勢することができる。ばね要素は、遊星要素を支持要素に回転自在に支持させる支軸に対し、遊星要素が第2の配置となるように付勢力を付与するものとすることができる。また、ばね要素は、周方向に隣り合って配置された支軸間に圧縮状態で配置された圧縮ばねとすることができる。さらに、ばね要素は、周方向に移動する遊星要素に追従して周方向に移動する可動要素における遊星要素の支軸よりも径方向の外側に位置する部分に、付勢力を付与するものとすることができる。またさらに、ばね要素は、中心要素の軸線方向に弾性変形する構成であり、荷重変換要素によって、遊星要素が第2の配置となるように、ばね要素の付勢力が遊星要素に対し周方向に作用するようにすることができる。
遊星要素が3個以上である場合の遊星要素の第1の配置は、前記多角形が正多角形であるようにできる。
本発明の第2の態様に係る摩擦型遊星動力伝達装置は、同心に配置された中心要素外周面と周囲要素内周面に接し、回転してトルク伝達を行う複数の遊星要素を有し、これらの相互の配置を変えることで、要素間の押付け力を制御する。周囲要素は、遊星要素への押付け力の反力を受けて、変形しており、この変形の量が大きいほど、要素同士を押付ける力が大きいことになる。遊星要素の配置を変更することで、周囲要素の変形量を変えることができ、これにより押付け力を変更することができる。
3個以上の遊星要素の一部を可動要素を介して支持要素本体に支持させ、この可動要素を支持要素本体に対し相対回転させることで、遊星要素と周囲要素の接触点を結んだ多角形の周囲の長さが異なる遊星要素の配置を実現でき、上記の通り押付け力を変更することができる。この多角形の周囲の長さが長い方が周囲要素の変形が大きくなり、押付け力が高まる。
支持要素は、180°離れて配置された一対の遊星要素をそれぞれ支持する第1の可動要素と、180°離れて配置された一対の遊星要素をそれぞれ支持する第2の可動要素と、第1の可動要素と第2の可動要素との間又は第1及び第2の可動要素と支持要素本体との間に配置されたばね要素とを有し、負荷トルクに応じて、遊星要素に作用する中心要素の周方向に作用する力とばね要素の付勢力とがバランスする位置まで、支持要素本体に対し第1の可動部材及び第2の可動要素の少なくとも一方が相対回転されるように構成することができる。
また、支持要素は、一部の遊星要素を支持する第1の可動要素と、他の一部の遊星要素を支持する第2の可動要素と、第1の可動要素と第2の可動要素との相対回転に伴い中心要素の軸線方向の相対変位を生じる変位変換要素と、前記軸線方向に変形することで変位変換要素が軸線方向の変位に抗する付勢力を生じるばね要素とを有し、負荷トルクに応じて、遊星要素に作用する中心要素の周方向に作用する力とばね要素の付勢力とがバランスする位置まで、支持要素本体に対し第1の可動部材及び第2の可動要素の少なくとも一方が相対回転されるように構成することができる。
本発明の第3の態様に係る摩擦型遊星動力伝達装置は、同心に配置された中心要素外周面と周囲要素内周面に接し、回転してトルク伝達を行う複数の遊星要素を有し、これらの相互の配置を変えることで、要素間の押付け力を制御する。周囲要素は、遊星要素への押付け力の反力を受けて、変形しており、この変形の量が大きいほど、要素同士を押付ける力が大きいことになる。遊星要素の配置を変更することで、周囲要素の変形量を変えることができ、これにより押付け力を変更することができる。
3個以上の遊星要素の少なくとも2つの遊星要素の支軸が支持要素本体に対し周方向に相対変位し得るように支持されており、支軸間でのばね要素の圧縮量を変化させながら該支軸を支持要素本体に対し相対回転させることで、負荷トルクに応じて、遊星要素に作用する中心要素の周方向に作用する力とばね要素の付勢力とがバランスする位置まで、支持要素本体に対し支軸すなわち遊星要素が相対回転されるようになる。
本発明とは異なる態様に係る摩擦型遊星動力伝達装置は、遊星要素が2個とされる。この場合には、2個が、中心要素の直径方向に配置されたときが、最も押付け力が大きくなり、これからずれるに従い押付け力は小さくなる。遊星要素を支持する支持要素は、上記のような配置の変更が可能なように遊星要素を支持する。
さらに、本発明とは異なる態様に係る摩擦型遊星動力伝達装置として、以下の態様1〜16が考えられる。
(態様1)
断面円形状の外周面を有する中心要素と、
中心要素の外周面と同心で、これに対向する断面円形状の内周面を有する周囲要素と、
中心要素の外周面と周囲要素の内周面とに接触し、回転して接触点の摩擦によりトルクの伝達を行う少なくとも3個の遊星要素と、
各遊星要素を、中心要素の外周面と同心の円周上に、所定の相対関係をもって支持する支持要素と、
を含む、摩擦型遊星動力伝達装置であって、
支持要素は、遊星要素を、各遊星要素と周囲要素の接点を結んだ多角形の周囲の長さが異なる少なくとも二つの配置で支持可能である、
摩擦型遊星動力伝達装置。
(態様2)
態様1に記載の摩擦型遊星動力伝達装置であって、
支持要素は、各遊星要素を、当該伝達装置の伝達トルクが大きいときは、前記多角形の周囲の長さが長くなる第1の配置で支持し、伝達トルクが小さいときは、前記多角形の周囲の長さが短くなる第2の配置で支持する、
摩擦型遊星動力伝達装置。
(態様3)
態様1に記載の摩擦型遊星動力伝達装置であって、
支持要素は、遊星要素の一部を、残りの遊星要素に対して周方向に移動可能に支持し、 伝達トルクにより遊星要素が周方向に移動し、伝達トルクが増加すると、前記第2の配置から第1の配置へと移行する、
摩擦型遊星動力伝達装置。
(態様4)
態様2に記載の摩擦型遊星動力伝達装置であって、
遊星要素は、少なくとも1個の遊星要素を含む第1群と、第1群以外の少なくとも1個の遊星要素を含む第2群と、を有し、
支持要素は、第1の方向に伝達トルクが作用するときに、この伝達トルクにより、第1群の遊星要素を他の遊星要素に対して周方向に移動可能に支持し、この周方向の移動により遊星要素が第2の配置から第1の配置へ移行し、
支持要素はまた、第1の方向とは逆の第2の方向に伝達トルクが作用するときに、この伝達トルクにより、第2群の遊星要素を他の遊星要素に対して周方向に移動可能に支持し、この周方向の移動により遊星要素が第2の配置から第1の配置へ移行する、
摩擦型遊星動力伝達装置。
(態様5)
態様4に記載の摩擦型遊星動力伝達装置であって、
遊星要素は4個であり、前記多角形である四角形の共通の対角線上に配置された遊星要素同士で前記第1群および前記第2群が形成される、
摩擦型遊星動力伝達装置。
(態様6)
態様3から5のいずれか1項に記載の摩擦型遊星動力伝達装置であって、
前記周方向に移動可能に支持された遊星要素に、遊星要素が第2の配置となる方向に付勢するばね要素を有する、
摩擦型遊星動力伝達装置。
(態様7)
態様2から6のいずれか1項に記載の摩擦型遊星動力伝達装置であって、前記多角形は、遊星要素が第1の配置にあるとき正多角形である、摩擦型遊星動力伝達装置。
(態様8)
断面円形状の外周面を有する中心要素と、
中心要素の外周面と同心で、これに対向する断面円形状の内周面を有する周囲要素と、
中心要素の外周面と周囲要素の内周面とに接触し、回転して接触点の摩擦によりトルクの伝達を行う2個の遊星要素と、
各遊星要素を、中心要素の外周面と同心の円周上に、所定の相対関係をもって支持する支持要素と、
を含む、摩擦型遊星動力伝達装置であって、
支持要素は、2個の遊星要素を、中心要素の外周面の、ひとつの直径上に配置した第1の配置と、第1の配置からずれた第2の配置とで、支持可能である、
摩擦型遊星動力伝達装置。
(態様9)
態様6に記載の摩擦型遊星動力伝達装置であって、
ばね要素は、遊星要素を支持要素に回転自在に支持させる支軸に対し、遊星要素が第2の配置となるように付勢力を付与する、
摩擦型遊星動力伝達装置。
(態様10)
態様9に記載の摩擦型遊星動力伝達装置であって、
ばね要素は、周方向に隣り合って配置された支軸間に圧縮状態で配置された圧縮ばねである、
摩擦型遊星動力伝達装置。
(態様11)
態様6に記載の摩擦型遊星動力伝達装置であって、
前記周方向に移動可能に支持された遊星要素に追従して支持要素に対し周方向に移動する可動要素を有し、
ばね要素は、可動要素における遊星要素を支持要素に対し回転自在に支持させる支軸よりも径方向の外側に位置する部分に対し、遊星要素が第2の配置となるように付勢力を付与する、
摩擦型遊星動力伝達装置。
(態様12)
態様6又は態様11に記載の摩擦型遊星動力伝達装置であって、
ばね要素は、中心要素の軸線方向に弾性変形する構成であり、
ばね要素の変形に伴う付勢力を、前記周方向に移動可能に支持された遊星要素に対し、遊星要素が第2の配置となる方向に作用させる荷重変換要素を有する、
摩擦型遊星動力伝達装置。
(態様13)
断面円形状の外周面を有する中心要素と、
中心要素の外周面と同心で、これに対向する断面円形状の内周面を有する周囲要素と、
中心要素の外周面と周囲要素の内周面とに接触し、回転して接触点の摩擦によりトルクの伝達を行う少なくとも3個の遊星要素と、
各遊星要素を、中心要素の外周面と同心の円周上に、所定の相対関係をもって支持する支持要素と、
を含む、摩擦型遊星動力伝達装置であって、
支持要素は、支持要素本体と、該支持要素本体に対し中心要素の軸心廻りに相対回転可能に設けられると共に前記遊星要素の一部を支持する可動要素とを有し、可動支持要素が支持要素本体に対し相対回転することで、前記少なくとも3個の遊星要素を、各遊星要素と周囲要素の接点を結んだ多角形の周囲の長さが異なる少なくとも二つの配置で支持可能である、
摩擦型遊星動力伝達装置。
(態様14)
態様13に記載の摩擦型遊星動力伝達装置であって、
支持要素は、180°離れて配置された一対の遊星要素をそれぞれ支持する第1の可動要素と、180°離れて配置された一対の遊星要素をそれぞれ支持する第2の可動要素と、第1の可動要素と第2の可動要素との間又は第1及び第2の可動要素と支持要素本体との間に配置されたばね要素とを有し、
負荷トルクに応じて、遊星要素に作用する中心要素の周方向に作用する力とばね要素の付勢力とがバランスする位置まで、支持要素本体に対し第1の可動部材及び第2の可動要素の少なくとも一方が相対回転されるようにした、 摩擦型遊星動力伝達装置。
(態様15)
態様13又は態様14に記載の摩擦型遊星動力伝達装置であって、
支持要素は、一部の遊星要素を支持する第1の可動要素と、他の一部の遊星要素を支持する第2の可動要素と、第1の可動要素と第2の可動要素との相対回転に伴い中心要素の軸線方向の相対変位を生じる変位変換要素と、前記軸線方向に変形することで変位変換要素が軸線方向の変位に抗する付勢力を生じるばね要素とを有し、
負荷トルクに応じて、遊星要素に作用する中心要素の周方向に作用する力とばね要素の付勢力とがバランスする位置まで、支持要素本体に対し第1の可動部材及び第2の可動要素の少なくとも一方が相対回転されるようにした、 摩擦型遊星動力伝達装置。
(態様16)
断面円形状の外周面を有する中心要素と、
中心要素の外周面と同心で、これに対向する断面円形状の内周面を有する周囲要素と、
中心要素の外周面と周囲要素の内周面とに接触し、回転して接触点の摩擦によりトルクの伝達を行う少なくとも3個の遊星要素と、
各遊星要素を、中心要素の外周面と同心の円周上に、所定の相対関係をもって支持する支持要素と、
を含む、摩擦型遊星動力伝達装置であって、
支持要素は、少なくとも3個の遊星要素の少なくとも2つを回転可能に支持する支軸を支持要素本体に対し周方向に相対変位可能に支持させると共に、周方向に隣り合う支軸間にばね要素を圧縮状態で配置し、負荷トルクに応じて、遊星要素に作用する中心要素の周方向に作用する力と、ばね要素の付勢力とがバランスする位置まで、遊星要素が支持要素本体に対し該支持要素本体の周方向に相対角変位回転されるようにした、
摩擦型遊星動力伝達装置。
本発明によれば、複数の遊星要素の配置を換えることで要素間の押付け力を制御できる。
本発明の第1の実施形態の摩擦型遊星動力伝達装置の断面図である。 図1のA−A線による断面図である。 押付け力の変化する原理の説明図である。 FEM解析モデルを示す図である。 回転力Naの発生原理の説明図である。 入力トルクと押付け力の関係の一例を示す図である。 本発明の第2の実施形態の摩擦型遊星動力伝達装置の斜視図である。 本発明の第2の実施形態の摩擦型遊星動力伝達装置を構成するキャリアの要部を示す分解斜視図である。 本発明の第2の実施形態の摩擦型遊星動力伝達装置を構成するキャリアを示す図であって、(A)は正方形配置の模式図、(B)は長方形配置の模式図である。 本発明の第2の実施形態の摩擦型遊星動力伝達装置を構成するキャリアの第1変形例を示す図であって、(A)は分解斜視図、(B)は要部の断面図である。 本発明の第2の実施形態の摩擦型遊星動力伝達装置を構成するキャリアの第1変形例を示す模式図である。 本発明の第2の実施形態の摩擦型遊星動力伝達装置を構成するキャリアの第2変形例を示す図であって、(A)は長方形配置の模式図、(B)は正方形配置の模式図である。 本発明の第2の実施形態の摩擦型遊星動力伝達装置を構成するキャリアの第3変形例を示す模式図である。 本発明の第3の実施形態の摩擦型遊星動力伝達装置の斜視図である。 本発明の第3の実施形態の摩擦型遊星動力伝達装置を構成するキャリアを示す模式図である。 本発明の第4の実施形態の摩擦型遊星動力伝達装置を模式的に示す正面図である。 本発明の第4の実施形態の摩擦型遊星動力伝達装置を構成する楕円リング型ばねを二重にした例を模式的に示す正面図である。 本発明の第4の実施形態の摩擦型遊星動力伝達装置の特性を示す図であって、(A)は公転角と回転力との関係を示す線図、(B)は公転角とばね応力との関係を示す線図である。 本発明の第4の実施形態の摩擦型遊星動力伝達装置の第1変形例を模式的に示す図であって、(A)は正方形配置の正面図、(B)は長方形配置の正面図である。 本発明の第4の実施形態の摩擦型遊星動力伝達装置の第2変形例を模式的に示す正面図である。 本発明の第4の実施形態の摩擦型遊星動力伝達装置の第2変形例の特性を示す図であって、(A)は公転角と回転力との関係を示す線図、(B)は公転角とばね応力との関係を示す線図である。 本発明の第5の実施形態の摩擦型遊星動力伝達装置の斜視図である。 本発明の第5の実施形態の摩擦型遊星動力伝達装置を構成するキャリアの要部を示す分解断面図である。 本発明の第5の実施形態の摩擦型遊星動力伝達装置を構成するカムプレートの展開図である。 本発明の第6の実施形態の摩擦型遊星動力伝達装置の斜視図である。 本発明の第6の実施形態の摩擦型遊星動力伝達装置を構成するキャリアの要部を示す断面図である。
以下、本発明の第1の実施形態を、図面に従って説明する。図1は、本実施形態の摩擦型遊星動力伝達装置10の断面図、図2は図1に示すA−A線断面図である。ケース12には、軸受13を介してサンローラシャフト14が回転可能に支持されており、サンローラシャフト14の図中左端にはサンローラ16が一体に設けられている。サンローラ16は、円柱形状である。ケース12にはキャリア18が固定されており、キャリア18は、支軸としての遊星ローラシャフト20を介して円柱形状の遊星ローラ22を支持している。遊星ローラ22は、図2に示すようにサンローラ16の周囲に、これに接触するように4個設けられている。4個の遊星ローラを区別する必要があるときは、以降22A,22B,22C,22Dの符号を用いて説明する。遊星ローラ22は、遊星ローラシャフト20にニードルローラ軸受を介して回転可能に支持されている。遊星ローラシャフト20は、キャリア18に設けられた円弧状の案内溝24に沿って周方向に移動可能となっている。遊星ローラシャフト20は、ばね26により、案内溝24の一方の端に向けて付勢されている。ばね26による付勢の方向は、遊星ローラ22ごとに異なっている。遊星ローラ22A,22Bについては図2中右回りの向きに付勢され、遊星ローラ22C,22Dは、逆に左回りの向きに付勢されている。遊星ローラ22のキャリアに対する動きは、後に詳述する。
遊星ローラ22の更に外側には、内周面が各遊星ローラ22に接触するリング28が配置されている。リング28は、キャップ30に固定され、更にキャップ30には、一体にリング側シャフト32が設けられている。リング側シャフト32は、軸受34を介して、キャリア18に回転可能に支持されている。サンローラ16、リング側シャフト32およびリング28は、同心に配置され、この軸心と共通の中心を有する円周上に遊星ローラ22の軸心が配置される。また、遊星ローラ22は、この円周上を案内溝24に沿って移動可能となっている。
遊星ローラ22は、サンローラ16の円筒外周面と、リング28の円筒内周面とに接触し、これらの接触点において、摩擦によりトルクの伝達を行う。摩擦型遊星動力伝達装置10の動力伝達動作は、一般の遊星歯車機構と基本的に同様であり、遊星歯車機構においては、歯車の噛み合いによりトルク伝達が行われるのに対し、本装置ではトルク伝達が摩擦により行われる点が相違している。
ケース12を固定(回転しない状態)、すなわちキャリア18を固定して、サンローラ16を回転させると、遊星ローラ22が自転し、リング28は、サンローラ16に対し逆転する。このとき、遊星ローラシャフト20は固定されており、遊星ローラ22は、サンローラ16回りの公転運動は行わない。また、リング28の回転速度は、サンローラ16の回転速度に対し、サンローラ外周面の半径とリング内周面の半径比で減速される。また、リング28を固定すると、サンローラ16の回転により遊星ローラ22が自転するが、遊星ローラ22のリング28との接触点はリング28に拘束されているので公転運動が生じる。これによりキャリア18、そしてケース12が回転する。また、キャリア18とリング28の双方を固定しない状態とすれば、サンローラ16からの入力を、キャリア18とリング28に分配することができる。以上は、サンローラ16を入力とした場合であるが、キャリア18を入力とすることも、リング28を入力とすることもできる。
前述のように、本実施形態の装置においては、4個の遊星ローラ22の相対的な配置を変更することができる。この配置の変更によって、遊星ローラ22と、リング28およびサンローラ16の押付け力を変更することができる。以下、遊星ローラ22の配置と、押付け力の関係について説明する。
図3は、押付け力が変化する原理の説明図である。摩擦型遊星動力伝達装置10は、要素間の摩擦により動力伝達を行っており、このため、リング28を締まりばめにして、要素間に押付け力を発生させている。リング28が完全な剛体であれば、図3(a)のように完全な円筒形状を維持できる。しかし、現実には、締まりばめによる締め付けの反力を受けて変形し、図3(b)のように、遊星ローラ22との接触点が外側にふくらみ、角が丸まった四角形に変形する。
図3(b)は、4個の遊星ローラ22が周方向に等間隔で配置された状態であり、各遊星ローラ22A〜22Dとリング28との接触点36A〜36Dが正方形38(図3(d)参照)の頂点となる。この等間隔の配置をずらして、接触点が長方形となるようにした配置が図3(c)に示されている。図3(b)の正方形の配置から、1本の対角線上にある2個の遊星ローラ22C,22Dを左回りに回転させることによって、図3(c)の配置となる。このときの各遊星ローラ22の接触点40A〜40Dが長方形42(図3(d)参照)の頂点となる。
正方形38と、長方形42は、対角線の長さは同じであるが外周の長さ、つまり4辺の合計の長さは、正方形が長く、長方形が短い。これは、リング28の周長の延び量に対応する。すなわち、接触点が正方形の配置となる場合の方が、長方形となる場合よりも、リング28の弾性変形量が大きくなる。この結果、各要素間に発生する押付け力が長方形の配置のときより大きくなる。対角線の長さが共通の方形においては、その周長は正方形のとき最も長く、長方形が扁平となるほど短くなる。要素間の押付け力もこれに応じて変化する。つまり、四角形の周長を長くすると押付け力を大きくすることができ、短くすると押付け力を小さくすることができる。これを利用して、押付け力の制御が可能となる。
以上においては、2個の遊星ローラ22を移動させて四角形の周長を変更したが、1個を移動させても、周長の変更は可能である。また、遊星ローラを3個または5個以上とすることもできる。この場合、各遊星ローラとリングの接触点が正多角形の配置が最も周長が長くなる。さらに、参考例として遊星ローラを2個とすることも可能である。この場合、2個の遊星ローラをサンローラの1本の直径上に配置したときが、リングの変形量が最も大きくなる。
図4は、遊星ローラ22A,22Cの配置による押付け力の変化を解析するためのモデルを示している。簡単化のためサンローラ16、遊星ローラ22A,22Cは、剛体として取り扱っている。2個の遊星ローラ22A,22Cの間隔が角度aである。角度aが90°であるとき、4個の遊星ローラ22が図3(b)のように正方形に配置された状態を示す。
図5は、図3(c)の遊星ローラ22Cおよびその周囲を拡大した図である。遊星ローラ22Cは、図3(b)の正方形の配置から角度θだけ移動した状態にある。このとき、遊星ローラ22Cとリング28の接触点40Cは、サンローラ16の中心Oと、遊星ローラ22Cの中心の点Pを通る直線m上からずれた位置となる。この接触点40Cに作用する押付け力Faは点Pに向く。つまり、中心O回りのモーメントを生じさせ、これが回転力Naを発生させる。
サンローラ16に図中右回りのトルクTinを入力すると、このトルクTinが遊星ローラ22Cを右回りに移動させようと作用する。この作用が、回転力Naを上回ると、遊星ローラ22Cが角度θを減じる方向に移動を始める。すなわち、サンローラ16から入力されるトルクTinが増加すると、4個の遊星ローラ22は長方形の配置から正方形の配置へと移行し、押付け力が増加する。すなわち、伝達トルクが大きく、接触点にすべりが生じないようにするために押付け力を増加させる必要があるとき、自立的に押付け力が増加する。これにより、伝達トルクが小さいときには、押付け力を小さくし、要素間の接触点における接触面圧を低下させることができ、耐久性の向上に有利に作用する。また、押付け力が小さいということは、リング28の変形量も小さく、リング28の変形に消費されるエネルギを減少させることができ、伝達効率の向上に有利となる。また、外乱トルクが入力したとき、このトルクにより遊星ローラの移動が生じ、押付け力が増大されるので、急な外乱トルクの入力があっても、これに自立的に対応することができる。したがって、外乱トルクによるすべりの発生が抑制され、耐久性の向上に有利となる。
図1および図2に戻って、再び実施形態の摩擦型遊星動力伝達装置10の動作について説明する。前述のように、4個の遊星ローラ22はキャリア18に対し周方向に移動可能となっている。図2の遊星ローラ22の配置は、伝達トルクが低い状態のときの配置であり、図3(c)の状態に対応する。遊星ローラ22A,22Bは、案内溝24の、サンローラ16の中心から見て右の端に位置し、遊星ローラ22C,22Dは案内溝24左の端に位置する。
入力要素としてのサンローラ16が矢印R1で示すように右回りに回転するとき、伝達トルクが所定値以上になると、遊星ローラ22C,22Dが右回りに移動する。これにより、4個の遊星ローラ22の配置が図3(b)に示す正方形の配置へと移行する。逆に、サンローラ16が矢印R2で示す左回りに回転するときには、遊星ローラ22A,22Bが左回りに移動して、4個の遊星ローラ22が正方形の配置へ移行する。このように、遊星ローラ22A,22Bと遊星ローラ22C,22Dで移動の向きが逆になるようにしておくことで、正逆どちらの向きのトルク入力にも対応して、トルクが増加したときに押付け力を高めるようにできる。
また、ばね26の特性を適切に設定することで、伝達トルクが所定値以上では、伝達トルクの増加と共に押付け力が増加するようにできる。図6は、入力トルクと押付け力の関係の一例を示す図である。入力トルクがTbまでは、遊星ローラ22の配置は、初期の配置、すなわち長方形の配置が維持される。入力トルクTbは、前述の回転力Naと、ばね26の初期付勢力に抗して、遊星ローラ22C,22Dが移動し始める値である。また、この入力トルクTbは、ばね26の初期付勢力を調整することで、変更することができる。入力トルクがTbを超えると、遊星ローラ22C,22Dの位置は、入力トルクによる力とばね力とが釣り合う位置となる。想定される最大入力トルクTmaxの時に、遊星ローラ22C,22Dが案内溝24の右端に達するように、ばね26のばね特性を設定すれば、トルクTbから最大入力トルクTmaxの間で、入力トルクの増加に伴い、押付け力を増加させるように設定することができる。逆向きのトルクも同様である。この結果、入力トルクが小さい範囲Kでは、押付け力を一定とし、入力トルクが所定の値Tbを超えると、最大入力トルクまでの範囲Lで、入力トルクの増加に伴って押付け力が増加する特性を与えることができる。
次に、本発明の他の実施形態を説明する。なお、上記した第1の実施形態又は前出の構成と基本的に同一の部品、部分については、上記した第1の実施形態又は前出の構成と同一の符号を付して説明を省略し、図示を所略する場合がある。
(第2の実施形態)
図7には、本発明の第2の実施形態に係る摩擦型遊星動力伝達装置50が、ケース12、キャップ30等を取り除くと共に、リング28の一部を切り欠いた斜視図にて示されている。この図に示される如く、摩擦型遊星動力伝達装置50では、遊星ローラシャフト20がばね26にて付勢されたキャリア18に代えて、遊星ローラシャフト20を支持する可動要素としての支持プレート52、54がばね56にて付勢されるキャリア58を備える点で、第1の実施形態に係る摩擦型遊星動力伝達装置10とは異なる。以下、具体的に説明する。
キャリア58は、遊星ローラ22に対する軸線方向の両側部分が該軸線方向との直交面に対し対称に構成されている。このため、以下の説明では、主に遊星ローラ22に対する一方側の構成について説明することとする。図8に分解斜視図として示される如く、キャリア58は、キャリア本体60を備えている。キャリア本体60は、略円環板状に形成されており、周方向に複数(遊星ローラ22の数と同数であり、この実施形態では4つ)のストッパ部62が板厚方向に突出して形成されている。
より具体的には、各ストッパ部62はキャリア本体60の外周縁に沿って円弧状に形成されており、該キャリア本体60の周方向に等間隔で配置されている。図7に示される如く、遊星ローラ22に対する軸線方向両側のキャリア本体60は、各ストッパ部62において連結ロッド64を介して互いに連結されて、自軸廻りに一体に回転するようになっている。また、図8に示される如く、キャリア本体60におけるストッパ部62間には、遊星ローラシャフト20がキャリア本体60の周方向に角変位することを許容する長孔60Aが形成されている。
そして、図8に示される如く、キャリア58は、遊星ローラ22A及び遊星ローラ22Bの遊星ローラシャフト20を支持する可動要素としての支持プレート52、及び遊星ローラ22C及び遊星ローラ22Dの遊星ローラシャフト20を支持する可動要素としての支持プレート54を備えている。支持プレート52は、軸心部に設けられたリング部52Aと、リング部52Aから径方向外側に突設された一対の凸片52Bとを有して構成されている。同様に、支持プレート54は、軸心部に設けられたリング部54Aと、リング部52Aから径方向外側に突設された一対の凸片54Bとを有して構成されている。各一対の凸片52B、54Bは、それぞれリング部52Aの軸線廻りの略円弧状に形成されている。
支持プレート52は、リング部52Aにおいてサンローラシャフト14又はキャリア側シャフト65(後述)に直接的又は間接的に回転自在に支持された状態(図示省略)で、一対の凸片52Bはキャリア本体60のストッパ部62間に周方向にスライド(キャリア本体60と摺動)可能に配置されている。一方、支持プレート54は、リング部54Aにおいてサンローラシャフト14又はキャリア側シャフト65(後述)に直接的又は間接的に回転自在に支持された状態(図示省略)で、一対の凸片54Bはキャリア本体60のストッパ部62間に周方向にスライド(キャリア本体60と摺動)可能に配置されている。
各一対の凸片52B、54Bは、それぞれ異なるストッパ部62間に入り込まされている。すなわち、凸片52B、54Bは、キャリア58の周方向に交互に配置されている。4つのストッパ部62のうち、を180°離れて位置する一対をストッパ部62Aとし、他の一対をストッパ部62Bとすると、支持プレート52は、一対の凸片52Bがそれぞれ異なるストッパ部62Aに当接する状態と、ストッパ部62Bに当接する状態とを、自軸廻りの回動によってとり得る構成とされている。同様に、支持プレート54は、一対の凸片54Bがそれぞれ異なるストッパ部62Aに当接する状態と、ストッパ部62Bに当接する状態とを、自軸廻りの回動によってとり得る構成とされている。
また、図8に示される如く、各一対の凸片52B、54Bには、遊星ローラシャフト20を支持するための支持孔52C、54Cがそれぞれ形成されている。キャリア58では、遊星ローラ22に対し軸線方向の両側の各一対の凸片52B、54Bが対応する遊星ローラシャフト20にて架け渡されている。各遊星ローラシャフト20は、それぞれ遊星ローラシャフト20を回転自在に支持している。
以上により、キャリア58は、支持プレート52、54の相対角変位によって、図9(B)に示される如く4個の遊星ローラ22が長方形の配置をとる状態と、図9(A)に示される如く4個の遊星ローラ22が正方形の配置をとる状態に変化させ得る構成とされている。そして、この実施形態では、キャリア58は、ばね56の付勢力によって、4個の遊星ローラ22が長方形の配置をとる状態に偏倚されている。
具体的には、支持プレート52、54の各一対の凸片52B、54Bにおける支持孔52C、54Cに対する径方向の外側には、ばね取付孔52D、54Dがそれぞれ形成されている。各ばね取付孔52D、54Dには、それぞればね受け部材66、68が取り付けられている。図7に示される如く、周方向に隣り合う凸片52Bのばね受け部材66と取付孔54Dのばね受け部材68との間に、圧縮コイルスプリングであるばね56が圧縮状態で配置されている。すなわち、この実施形態では、キャリア18に対し各遊星ローラシャフト20を独立して付勢する摩擦型遊星動力伝達装置10とは異なり、周方向に隣り合う遊星ローラシャフト20(遊星ローラ22)が共通のばね56にて付勢される構成とされている。
以上により、キャリア58では、通常はばね56の付勢力によって、図9(B)に示される如く、4個の遊星ローラ22が長方形の配置で支持されるようになっている。一方、例えばサンローラ16に図中右回りのトルクTin(≧Tb)を入力した場合には、図9(A)に示される如く支持プレート54が右回りに回動することで、4個の遊星ローラ22が正方形の配置に移行されるようになっている。図示は省略するが、例えばサンローラ16に図中左回りのトルクTin(≧Tb)を入力した場合には、支持プレート52が右回りに回動することで、4個の遊星ローラ22が正方形の配置に移行されるようになっている。正方形配置をとる場合には、支持プレート54の各凸片54B、又は支持プレート52の各凸片52Bはストッパ部62Bに当接するようになっている。
また、この実施形態では、サンローラ16がトルク入力要素とされると共に、キャリア58が出力要素とされている。したがって、摩擦型遊星動力伝達装置50は、リング側シャフト32に代えて、図7に示される如くキャリア側シャフト(出力回転軸)65を備えており、キャリア側シャフト65は、キャリア本体60に同軸的に固定されている(図示省略)。摩擦型遊星動力伝達装置50の他の構成は、摩擦型遊星動力伝達装置10の対応する構成と同じである。
したがって、第2の実施形態に係る摩擦型遊星動力伝達装置50によっても、基本的に第1の実施形態に係る摩擦型遊星動力伝達装置10と同様の作用によって同様の効果を得ることができる。すなわち、摩擦型遊星動力伝達装置50では、入力トルクが小さい場合には、4個の遊星ローラ22が長方形の配置をとることでリング28側から遊星ローラ22側への押付け力を小さく抑えて耐久性の向上に寄与する。一方、入力トルクが大きくなる(所定の値Tbの絶対値を上回る)と、該トルクによって遊星ローラ22が正方形の配置に移行し、伝達トルクが増大する。
また、摩擦型遊星動力伝達装置50では、遊星ローラシャフト20に対する径方向の外側にばね56の付勢力を作用させているので、比較的小型のばね56で大きな入力トルクに抗し得る構成とすることが可能になる。特に、摩擦型遊星動力伝達装置50では、ばね56が支持プレート52、54間に付勢力を生じさせる構成であるため、換言すれば、4つの遊星ローラ22が長方形の配置から正方形の配置に移行する際に全てのばね56の付勢力に抗する必要があるので、一部(2つ)のばね26の付勢力に抗すれば足りる摩擦型遊星動力伝達装置10と比較して、大きな入力トルクに抗し得る構成とすることが可能になる。
これらにより、摩擦型遊星動力伝達装置50では、例えば、最大で数[kN]の荷重を受けながら30%程度のたわみ率が要求されるばね56を、外径が十数[mm]の圧縮コイルスプリングで実現することが可能になる。
このように遊星ローラシャフト20に対する径方向の外側にばね56の付勢力を作用させる構成、それぞれキャリア本体60に対し可動である支持プレート52、54間をばね56にて付勢する構成は、それぞれ摩擦型遊星動力伝達装置50の小型化に寄与する。また、伝達トルクに応じた押付け力の設定(押付け力に応じたばね56の付勢力)を最適化することができ、トルク伝達率と摩擦型遊星動力伝達装置50の寿命の向上に寄与する。
(第2の実施形態の第1変形例)
図10(A)には、本発明の第2の実施形態に係る摩擦型遊星動力伝達装置50を構成する第1変形例に係るキャリア70の要部が分解斜視図にて示されている。この図に示される如く、キャリア70は、遊星ローラ22に対する軸線方向の一方側で、4つのばね56を備える点で、2つのばね56を備えて構成されたキャリア58とは異なる。
具体的には、キャリア70は、支持プレート52、54に代えて、それぞれ略円環板状に(リング部52A、54Aの外径が拡大された如く)形成された支持プレート72、74を有する。支持プレート72、74は、板厚方向に重ね合わされると共に、サンローラシャフト14又はリング側シャフト32によって直接的又は間接的に独立して同軸的な回転可能に支持されている。
また、支持プレート72には、遊星ローラ22A、22Bの遊星ローラシャフト20を支持するための支持孔72Aが形成されており、支持プレート74には、遊星ローラ22C、22Dの遊星ローラシャフト20を支持するための支持孔74Aが形成されている。また、支持プレート72には、支持プレート74との相対角変位に伴う該支持プレート74に支持された遊星ローラシャフト20との緩衝を回避するための円弧状の長孔72Bが形成されている。
一方、支持プレート74における支持孔74Aよりも径方向外側には、4つのばね孔74Bが形成されている。この第1変形例では、ばね孔74Bは、円弧状に形成されている。さらに、支持プレート72からは、各ばね孔74Bに周方向の相対変位可能に入り込まされたばね受け片72Cが突設されている。キャリア70では、各ばね孔74B内にばね56が配置されており、各ばね56は、図10(B)に示される如く、ばね受け片72Cとばね孔74Bの周方向一方側の孔壁74Cとの間に圧縮状態で配置されている。なお、支持プレート72にもばね孔74Bに対応するばね孔を設けると共に、このばね孔に周方向に相対変位可能に入り込むばね受け片を支持プレート74から突設させ、支持プレート72のばね受け片72Cと支持プレート74のばね受け片との間にばね56を配置するようにしても良い。
以上により、キャリア70では、4つのばね56の付勢力によって、低負荷時に遊星ローラ22が長方形の配置をとる構成とされている。図11には、この状態が模式的に示されている。なお、キャリア70を構成するキャリア本体60は、支持プレート72、74から延設された被ストッパ片72D、74Dを、周方向に隣り合うストッパ部62間に位置させるようになっている。被ストッパ片72D、74Dとストッパ部62との周方向の寸法、配置の関係は、一対の凸片52B、54Cとストッパ部62との周方向の寸法、配置の関係と同様である。
以上説明した第1変形例に係るキャリア70では、4つのばね56で遊星ローラ22を付勢することができるので、キャリア58に対し一層小型のばね56で所要のトルクに抗する構成を実現することができる。
(第2の実施形態の第2変形例)
図12(A)及び図12(B)には、本発明の第2の実施形態に係る摩擦型遊星動力伝達装置50を構成する第2変形例に係るキャリア75の要部が模式図にて示されている。この図に示される如く、キャリア75は、支持プレート72、74に代えて、それぞれ矩形状のばね孔76A、78Aが形成された支持プレート76、78を有する点で、キャリア70とは異なる。
支持プレート76、78は、板厚方向に重ね合わされると共に、サンローラシャフト14又はリング側シャフト32によって直接的又は間接的に独立して同軸的な回転可能に支持されている。各ばね56は、ばね孔76Aの周方向一方側の孔壁76Bと、ばね孔78Aの周方向他方側の孔壁78Bとの間に圧縮状態で配置されている。この第2変形例では、図12(A)に示される如く、ばね孔76A、78Aの周方向位置が一致する状態で、4個の遊星ローラ22が長方形の配置をとる構成とされている。一方、所定の値Tb以上のトルクが入力された場合には、図12(B)に示される如く、4個の遊星ローラ22が正方形の配置に移行する構成とされている。キャリア75の他の構成は、図示しない部分を含めキャリア70の対応する構成と同じである。
以上説明したキャリア75では、直線状に形成された圧縮コイルスプリングをばね56として用いる簡単な構造で、4つのばね56の付勢力にて低負荷時に遊星ローラ22が長方形の配置をとる構成を実現することができる。
(第2の実施形態の第3変形例)
図13には、本発明の第2の実施形態に係る摩擦型遊星動力伝達装置50を構成する第3変形例に係るキャリア80の要部が模式図にて示されている。この図に示される如く、キャリア80は、圧縮コイルスプリングであるばね56に代えて、ウレタンスプリング82を備える点で、キャリア70とは異なる。
ウレタンスプリング82は、例えば耐荷重用の軟質ウレタンフォーム等にて円弧状に湾曲された円柱状に形成されており、ばね孔74B内における支持プレート72のばね受け片72Cと支持プレート74の孔壁74Cとの間に配置されている。キャリア80の他の構成は、図示しない部分を含めキャリア70の対応する構成と同じである。
以上説明したキャリア80では、曲げに対しては柔軟でありながら圧縮に対し大きなばね定数を有するウレタンスプリング82を用いたため、キャリア58、70に対し一層小型のばね56で所要のトルクに抗する構成を実現することができる。
(第3の実施形態)
図14には、本発明の第3の実施形態に係る摩擦型遊星動力伝達装置90が、ケース12、キャップ30、及びリング28を取り除いてみた斜視図にて示されている。また、図15には、摩擦型遊星動力伝達装置90を構成するキャリア92が模式的な正面図にて示されている。これらの図に示される如く、摩擦型遊星動力伝達装置90は、周方向に隣り合う遊星ローラシャフト20間にばね要素としてのウレタンスプリング82を設けている点で、各遊星ローラシャフト20が独立してキャリア18に対しばね26にて付勢されて構成された摩擦型遊星動力伝達装置10とは異なる。以下、具体的に説明する。
キャリア92は、遊星ローラ22の軸線方向の両側にそれぞれ配置されたキャリアプレート94を有する。キャリアプレート94には、円弧状に形成されたスリット94Aが形成されている。この実施形態では、遊星ローラ22A、22Dの遊星ローラシャフト20を入り込ませるスリット94Aと、遊星ローラ22B、22Cの22Dの遊星ローラシャフト20を入り込ませるスリット94Aとが、各キャリアプレート94にそれぞれ形成されている。
そして、各スリット94A内にはそれぞれウレタンスプリング82が圧縮状態で配置されており、ウレタンスプリング82は、同じスリット94A内の遊星ローラシャフト20を互いに遠ざける方向に付勢している。図15に示される如く、各遊星ローラシャフト20がスリット94Aの長手方向端部に位置する状態で、4個の遊星ローラ22が長方形の配置をとる構成とされている。摩擦型遊星動力伝達装置90では、4個の遊星ローラ22が正方形の配置に移行する際に、上記の各実施形態、変形例と同様に、トルク入力方向に応じてウレタンスプリング82を圧縮させるようになっている。
この圧縮に際してウレタンスプリング82に曲げが生じないように、図14に示される如く、キャリアプレート94にはスプリング押え板96が固定されている。スプリング押え板96は、各スリット94Aの少なくとも長手方向略中間部を閉止する構成とされている。
また、この実施形態では、サンローラ16がトルク入力要素とされると共に、キャリア92が出力要素とされている。したがって、摩擦型遊星動力伝達装置50は、リング側シャフト32に代えて、図14に示される如くキャリア側シャフト65を備えており、キャリア側シャフト65は、キャリアプレート94に同軸的に固定されている(図示省略)。摩擦型遊星動力伝達装置90の他の構成は、摩擦型遊星動力伝達装置10の対応する構成と同じである。
したがって、第3の実施形態に係る摩擦型遊星動力伝達装置90によっても、基本的に第1の実施形態に係る摩擦型遊星動力伝達装置10と同様の作用によって同様の効果を得ることができる。すなわち、摩擦型遊星動力伝達装置90では、入力トルクが小さい場合には、4個の遊星ローラ22が長方形の配置をとることでリング28側から遊星ローラ22側への押付け力を小さく抑えて耐久性の向上に寄与する。一方、入力トルクが大きくなる(所定の値Tbの絶対値を上回る)と、該トルクによって遊星ローラ22が正方形の配置に移行し、伝達トルクが増大する。
また、ウレタンスプリング82が支持プレート52、54間に付勢力を生じさせる構成であるため、換言すれば、4つの遊星ローラ22が長方形の配置から正方形の配置に移行する際に全てのばね56の付勢力に抗する必要があるので、一部(2つ)のばね26の付勢力に抗すれば足りる摩擦型遊星動力伝達装置10と比較して、大きな入力トルクに抗し得る構成とすることが可能になる。特に、摩擦型遊星動力伝達装置90では、曲げに対しては柔軟でありながら圧縮に対し大きなばね定数を有するウレタンスプリング82を用いたため、キャリア10と比較して一層小型のウレタンスプリング82で所要のトルクに抗することができる。
これらにより、摩擦型遊星動力伝達装置90では、例えば、最大で数[kN]の荷重を受けながら30%程度のたわみ率が要求されるウレタンスプリング82を、外径が十数[mm]の軟質ウレタンで実現することが可能になる。
このように遊星ローラシャフト20間にウレタンスプリング82の付勢力を作用させる構成は、摩擦型遊星動力伝達装置90の小型化に寄与する。また、伝達トルクに応じた押付け力の設定(押付け力に応じたウレタンスプリング82の付勢力)を最適化することができ、トルク伝達率と摩擦型遊星動力伝達装置90の寿命の向上に寄与する。
(第4の実施形態)
図16には、本発明の第4の実施形態に係る摩擦型遊星動力伝達装置100が模式的な正面図にて示されている。この図に示される如く、摩擦型遊星動力伝達装置100は、キャリア18に支持されたばね26に代えて、4つの遊星ローラシャフト20のそれぞれに当接するように該4つの遊星ローラシャフト20間に配置された楕円リング型ばね102を備える点で、第1の実施形態に係る摩擦型遊星動力伝達装置10とは異なる。
楕円リング型ばね102は、自由状態に対し短軸方向の寸法が減じられる方向に圧縮された状態で、上記の通り4個の遊星ローラシャフト20間に配置されることで、低負荷時に遊星ローラ22を長方形の配置に偏倚させるようになっている。4個の遊星ローラ22が正方形の配置に移行される際に楕円リング型ばね102は、さらに短軸方向に圧縮されるようになっている。摩擦型遊星動力伝達装置100の他の構成は、摩擦型遊星動力伝達装置10の対応する構成と同じである。
したがって、第4の実施形態に係る摩擦型遊星動力伝達装置100によっても、基本的に第1の実施形態に係る摩擦型遊星動力伝達装置10と同様の作用によって同様の効果を得ることができる。すなわち、摩擦型遊星動力伝達装置100では、入力トルクが小さい場合には、4個の遊星ローラ22が長方形の配置をとることでリング28側から遊星ローラ22側への押付け力を小さく抑えて耐久性の向上に寄与する。一方、入力トルクが大きくなる(所定の値Tbの絶対値を上回る)と、該トルクによって遊星ローラ22が正方形の配置に移行し、伝達トルクが増大する。
また、摩擦型遊星動力伝達装置100では、単に4つの遊星ローラシャフト20間に楕円リング型ばね102を配置する簡単な構造で、4個の遊星ローラ22を長方形の配置にすることができる構成が実現された。また、楕円リング型ばね102は、材質や厚みを変更したり、図17に例示する如く多重(この例では2重)にしたりすることで、コンパクトであることを維持しつつ、ばね定数(付勢力)を変えることができる。
この点につき、図18(A)及び図18(B)に示す線図を参照しつつ補足する。図18(A)には、遊星ローラ22のキャリア18に対する公転角θと上記した回転力Naとの関係が示されており、図18(B)には、公転角θと楕円リング型ばね102に作用する応力との関係が示されている。図18(A)に示される如く、楕円リング型ばね102を用いた場合、公転角θの大きさが大きくなるほど(正方形配置に近づくほど)、上記した回転力Na(図4、図5参照)が大きくなることがわかる。そして、図18(A)及び図18(B)に示される如く、例えば厚さ2.0mmの楕円リング型ばね102を単独で用いる構成と比較して、厚さ1.5mmの楕円リング型ばね102を3重で用いた構成では、楕円リング型ばね102に作用する応力を同等に維持しつつ回転力Naを大きくすることができることがわかる。すなわち、楕円リング型ばね102の多重化によって、低応力を確保したまま大きな回転力Naを得ることが可能になる。また、3重の楕円リング型ばね102を用いた構成で、楕円リング型ばね102の外形が大きくなってしまうことがなく、コンパクトな構成が維持される。
(第4の実施形態の第1変形例)
図19(A)及び図19(B)には、本発明の第4の実施形態に係る摩擦型遊星動力伝達装置100を構成する第1変形例に係るキャリア110の要部がそれぞれ模式的な正面図にて示されている。これらの図に示される如く、キャリア110は、キャリア本体60、支持プレート52、54を備えて構成されている。このキャリア110では、楕円リング型ばね102は、4つの遊星ローラシャフト20とは非接触とされ、支持プレート52、54の各取付孔52D、54Dにそれぞれ取り付けられた4つのばね受け部材112のそれぞれに当接されている。
このキャリア110では、遊星ローラシャフト20よりも径方向の外側に楕円リング型ばね102の付勢力を作用させるので、摩擦型遊星動力伝達装置100と比較して大きな付勢力を付与することが可能になる。
(第4の実施形態の第2変形例)
図20には、本発明の第4の実施形態に係る摩擦型遊星動力伝達装置100の第2変形例が模式的な正面図にて示されている。この図に示される如く、本変形例では、4つの遊星ローラシャフト20の内側に設けられた楕円リング型ばね102に代えて、4つの遊星ローラシャフト20の外側に設けられた楕円リング型ばね104を備える点で、第4の実施形態とは異なる。
すなわち、楕円リング型ばね104は、自由状態に対し短軸方向の寸法が伸びた状態で上記の通り4個の遊星ローラシャフト20のそれぞれに接触している。4個の遊星ローラ22が正方形の配置に移行される際に楕円リング型ばね104は、さらに短軸方向に伸張されるようになっている。換言すれば、楕円リング型ばね104は、圧縮タイプの楕円リング型ばね102に対し、引張りタイプの楕円リング型ばねとされている。
この楕円リング型ばね104を用いた摩擦型遊星動力伝達装置100では、図21(A)及び図21(B)を図18(A)及び図18(B)と比較して判るように、遊星ローラ22のキャリア18に対する公転角θが10°〜20°の範囲(正方形の配置に至る25°の半分程度)で回転力Naが飽和してしまう。楕円リング型ばね104を多重化した場合も同様である。このため、摩擦型遊星動力伝達装置100は、楕円リング型ばね102を備えて構成されることが好ましい。
(第5の実施形態)
図22には、本発明の第5の実施形態に係る摩擦型遊星動力伝達装置120が、ケース12、キャップ30等を取り除くと共に、リング28の一部を切り欠いた斜視図にて示されている。この図に示される如く、摩擦型遊星動力伝達装置120では、周方向に付勢力を生じるばね26、56、ウレタンスプリング82等に代えて、軸線方向に付勢力を生じる皿ばね122、皿ばね122の付勢力を遊星ローラ22に周方向に作用させるための荷重変換要素、変位変換機構としてのカム機構124を備える点で、第1の実施形態に係る摩擦型遊星動力伝達装置10とは異なる。以下、具体的に説明する。
摩擦型遊星動力伝達装置120は、4個の遊星ローラ22を支持するためのキャリア126を備えている。キャリア126における遊星ローラ22に対し軸線方向一方側(サンローラシャフト14側)は、キャリア58と同様に構成されている。一方、キャリア126における遊星ローラ22に対し他方側すなわちキャリア側シャフト65側には、カム機構124が組み込まれている。
図23に分解断面図として示される如く、カム機構124は、支持プレート54のリング部54Aから軸線方向に沿って同軸的に延設された円筒状の軸部128と、軸部128に回転自在に支持されると共に支持プレート52と一体に回転するカムプレート130と、支持プレート54と一体に回転するカムローラユニット132と、皿ばね122と、皿ばね押え板134と、押え板134を128に対し保持させるための抜け止め部材136とを主要構成要素として構成されている。
図22に示される如く、カムプレート130は、周縁部から張り出された係合片130A間に一対の凸片52Bの径方向外端部を入り込ませることで、支持プレート52と同軸的かつ一体に回転するようになっている。また、カムプレート130は、キャリア本体60のストッパ部62に突き当てられて、該キャリア本体60に対し軸線方向に置けるキャリア本体60への近接側に変位しない構成とされている。図23に示される如く、カムプレート130におけるキャリア本体60とは反対向きの面には、軸線方向への突出量が周方向に沿って連続的に変化されて形成されたカム面130Bが形成されている。この実施形態では、カム面130Bは、図24に展開して示される如く、周方向等間隔で4つ設けられている。
図23に示される如く、カムローラユニット132は、略円筒状を成すユニットボディ138と、ユニットボディ138に径方向に沿って装着された軸部材140と、軸部材140に回転自在に軸支されたカムローラ142とを有する。軸部材140及びカムローラ142は、カム面130Bに対応して4つ設けられている。また、各軸部材140は、軸部128に形成された軸線方向に長手の長孔128Aに嵌合されている。これにより、カムローラユニット132は、軸部128すなわち支持プレート54に対し同軸的かつ一体に回転すると共に、軸線方向の相対変位が許容されている。
カムローラユニット132は、カムローラ142においてのみカムプレート130(のカム面130B又はカム面130B間)に接触している。これにより、カム機構124では、カムプレート130に対するカムローラユニット132の軸線方向の相対変位に伴って、該カムプレート130に対するカムローラユニット132の相対角変位が生じるようになっている。
皿ばね122は、カムローラユニット132のユニットボディ138から径方向に延設されたフランジ138Aと皿ばね押え板134との間に挟み込まれている。抜け止め部材136を円筒状の軸部128の先端に固定(例えば、螺合)した状態で、皿ばね122は、所定量だけ圧縮されるようになっている。
摩擦型遊星動力伝達装置120では、この皿ばね122の軸線方向に作用する付勢力が、カムプレート130及びカムローラユニット132(カム機構124の上記した変位変換メカニズム)により支持プレート52と支持プレート54との周方向の付勢力に変換されることで、低負荷時に4個の遊星ローラ22が長方形の配置をとる構成とされている。キャリア126では、この長方形の配置をとる状態で、カムローラユニット132のカムローラ142が、カムプレート130のカム面130Bにおける一般面130C(図24参照)からの突出量が少ない部分に当接されるように、一対の凸片52B、54Bとストッパ部62との寸法、配置等が決められている。
以上により、キャリア126では、通常は皿ばね122の付勢力によって、4個の遊星ローラ22が長方形の配置で支持されるようになっている。一方、サンローラ16に所定の値Tb以上のトルクTinを入力した場合には、トルクの入力方向に応じて支持プレート52及び支持プレート54の何れか一方が他方に対し相対角変位を生じることで、皿ばね122を軸線方向に圧縮しつつ4個の遊星ローラ22が正方形の配置に移行されるようになっている。
摩擦型遊星動力伝達装置120の他の構成は、摩擦型遊星動力伝達装置50(リング側シャフト32に代えてキャリア側シャフト65を有する点を除き、摩擦型遊星動力伝達装置10)の対応する構成と同じである。
したがって、第5の実施形態に係る摩擦型遊星動力伝達装置120によっても、基本的に第1の実施形態に係る摩擦型遊星動力伝達装置10と同様の作用によって同様の効果を得ることができる。すなわち、摩擦型遊星動力伝達装置120では、入力トルクが小さい場合には、4個の遊星ローラ22が長方形の配置をとることでリング28側から遊星ローラ22側への押付け力を小さく抑えて耐久性の向上に寄与する。一方、入力トルクが大きくなる(所定の値Tbの絶対値を上回る)と、該トルクによって遊星ローラ22が正方形の配置に移行し、伝達トルクが増大する。
また、摩擦型遊星動力伝達装置120では、軸線方向に変形する皿ばね122と、皿ばね122の付勢力を支持プレート52、54間の周方向の付勢力に変換するカム機構124とを備えるため、皿ばね122による付勢力の設定の自由度が高い。すなわち、伝達トルクに応じた所要のばね定数を簡単な構造で得ることができる。しかも、この皿ばね122は、ばね26、56、ウレタンスプリング82、楕円リング型ばね102、104等と比較して、キャリア126(リング28)の径方向の寸法による寸法の制約が少なく、大きなばね定数を設定し易い。
このように皿ばね122、カム機構124を備えた摩擦型遊星動力伝達装置120は、装置全体の小型化を図ることが可能である。また、伝達トルクに応じた押付け力の設定(押付け力に応じた皿ばね122の付勢力)を最適化することができ、トルク伝達率と摩擦型遊星動力伝達装置120の寿命の向上に寄与する。
(第6の実施形態)
図25には、本発明の第6の実施形態に係る摩擦型遊星動力伝達装置150が斜視図にて示されており、図26には、摩擦型遊星動力伝達装置150を構成するキャリア156の要部が断面図にて示されている。これらの図に示される如く、摩擦型遊星動力伝達装置150は、皿ばね122及びカム機構124に代えて、複数の圧縮コイルスプリングであるばね152及びカム機構154を備える点で、摩擦型遊星動力伝達装置120とは異なる。以下、具体的に説明する。
摩擦型遊星動力伝達装置150を構成するキャリア156のカム機構154は、支持プレート52のリング部52Aから軸方向に延設された円筒状の軸部158を備えている。軸部158には、支持プレート54と同軸的かつ一体に回転するように設けられた円筒状の筒状体160が、相対回転可能に支持されている。また、円筒状の筒状体160における支持プレート54側の端部からは、フランジ160Aが径方向外側に延設されている。
さらに、カム機構154は、軸部158に相対回転可能に支持された円環状のばね受け部材162を備えており、図25に示される如く、ばね受け部材162フランジ160Aとの間に複数(この実施形態では12個)のばね152が周方向に等間隔で配置されている(図25は、一部のばね152を取り除いて示している)。軸部158の端部には、抜け止め部材164が装着されており、ばね受け部材162がばね152の付勢力によって抜け止め部材164に押付けられるようになっている。
このため、ばね受け部材162は、軸部158すなわち支持プレート52に対し軸線方向に変位しないようになっている。一方、筒状体160は、軸部158すなわち支持プレート52に対し軸線方向に変位可能とされており、この変位によってばね152の圧縮量が変化されるようになっている。さらに、ばね受け部材162に設けられたガイド孔162Aには、一端がフランジ160Aに固定されたガイドロッド166が軸線方向に相対変可能に挿通されている。これにより、筒状体160は、ばね受け部材162に対し周方向においては同軸的かつ一体に回転し、軸線方向においては相対変位し得る構成とされている。
そして、カム機構154は、筒状体160に周方向及び軸線方向に交差する方向に長手となるように形成されたカム溝168と、軸部158の外周面から突設されると共にカム溝168に摺動可能に入り込まされたカム突起170とを主要部として、確動カムとして構成されている。これにより、カム機構154では、軸部158に対する筒状体160の軸線方向の相対変位に伴って、該軸部158に対する筒状体160の相対角変位が生じるようになっている。
摩擦型遊星動力伝達装置150では、複数のばね152による軸線方向に作用する付勢力が、軸部158のカム突起170及び筒状体160及びカム溝168(カム機構154の上記した変位変換メカニズム)により支持プレート52と支持プレート54との周方向の付勢力に変換されることで、低負荷時に4個の遊星ローラ22が長方形の配置をとる構成とされている。キャリア156では、この長方形の配置をとる状態で、筒状体160の先端とばね受け部材162との隙間が最大となると共に、カム突起170がカム溝168のカム溝168側の端部近傍(例えば、長方形の配置から正方形の配置まで略25°の相対角変位するこの実施形態では、図24に示す接触点S)に位置するように各部の寸法、配置等が決められている。
以上により、キャリア156では、通常は複数のばね152の付勢力によって、4個の遊星ローラ22が長方形の配置で支持されるようになっている。一方、サンローラ16に所定の値Tb以上のトルクTinを入力した場合には、トルクの入力方向に応じて支持プレート52及び支持プレート54の何れか一方が他方に対し相対角変位を生じることで、複数のばね152を軸線方向に圧縮しつつ4個の遊星ローラ22が正方形の配置に移行されるようになっている。
摩擦型遊星動力伝達装置150の他の構成は、摩擦型遊星動力伝達装置50、120(リング側シャフト32に代えてキャリア側シャフト65を有する点を除き、摩擦型遊星動力伝達装置10)の対応する構成と同じである。
したがって、第5の実施形態に係る摩擦型遊星動力伝達装置150によっても、基本的に第1の実施形態に係る摩擦型遊星動力伝達装置10と同様の作用によって同様の効果を得ることができる。すなわち、摩擦型遊星動力伝達装置150では、入力トルクが小さい場合には、4個の遊星ローラ22が長方形の配置をとることでリング28側から遊星ローラ22側への押付け力を小さく抑えて耐久性の向上に寄与する。一方、入力トルクが大きくなる(所定の値Tbの絶対値を上回る)と、該トルクによって遊星ローラ22が正方形の配置に移行し、伝達トルクが増大する。
また、摩擦型遊星動力伝達装置150では、軸線方向に変形する複数のばね152と、複数のばね152の付勢力を支持プレート52、54間の周方向の付勢力に変換するカム機構154とを備えるため、複数のばね152による付勢力の設定の自由度が高い。すなわち、伝達トルクに応じてばね152の数や単体のばね定数を設定することで、所要のばね定数(並列ばねのばね定数)を簡単な構造で得ることができる。
このように複数のばね152、カム機構154を備えた摩擦型遊星動力伝達装置150は、装置全体の小型化を図ることが可能である。また、伝達トルクに応じた押付け力の設定(押付け力に応じた複数のばね152の付勢力)を最適化することができ、トルク伝達率と摩擦型遊星動力伝達装置150の寿命の向上に寄与する。
なお、上記した各実施形態及び変形例においては、4個の遊星ローラ22を二つの群に分け、一方の群が第1の向きの伝達トルクに対応して周方向に移動するようにし、他方の群が逆向きの第2の向きの伝達トルクに対応して移動するようにした。しかし、4個のうち、1個を第1の向きの伝達トルクに対応して移動するようにし、もう1個を第2の向きのトルクに対応するようにしてもよい。このとき、残りの2個は、正逆どちらの向きのトルクに対しても周方向の移動を行わない。また、前述のように、遊星ローラの数は4個に限定されない。また、一方向にのみトルクを伝達する用途においては、キャリア18、キャリア本体60、キャリアプレート94に対し周方向位置が一定である(正逆どちらの向きのトルクに対しても周方向の移動を行わない)遊星ローラ22と、該遊星ローラ22に対し第1の向きの伝達トルクに対応するように周方向に接離し得る少なくとも1つの遊星ローラ22とを備えた構成としても良い。
また、上記した各実施形態及び変形例においては、遊星要素がローラ、すなわち円柱形状の転動体を用いた装置構成を示したが、遊星要素はボールでもよい。また、回転力Na、Nb、ばね26、56、ウレタンスプリング82、楕円リング型ばね102、104、皿ばね122、152のばね力、および伝達トルクの関係から、遊星ローラ22の配置の変更が自立的に行われるように構成したが、流体圧アクチュエータ等を設け、外部から遊星ローラ22の配置を強制的に変更するようにもできる。
さらに、上記した第2、第5及び第6の実施形態及び各変形例においては、支持プレート52と支持プレート54との間にばね56、皿ばね122、複数のばね156の付勢力が作用する例を示したが、例えば、キャリア本体60と支持プレート52との間、キャリア本体60と支持プレート54との間に付勢力を作用させるように構成しても良い。
10 摩擦型遊星動力伝達装置、16 サンローラ(中心要素)、18 キャリア(支持要素)、22 遊星ローラ(遊星要素)、24 案内溝、26 ばね(ばね要素、圧縮ばね)、28 リング(周囲要素)、36,40 接触点、50・90・100・120・150 摩擦型遊星動力伝達装置、52・72・76 支持プレート(可動要素、第1の可動要素)、54・74・78 支持プレート(可動要素、第1の可動要素)、58・70・75・80・92・110・126・156 キャリア(支持要素)、56 ばね(ばね要素、圧縮ばね)、82 ウレタンスプリング(ばね要素、圧縮ばね)、102 楕円型リングばね(ばね要素、圧縮ばね)・104 楕円型リングばね(ばね要素)、122 皿ばね(ばね要素)、124・154 カム機構(荷重変換機構、変位変換機構)

Claims (15)

  1. 断面円形状の外周面を有する中心要素と、
    中心要素の外周面と同心で、これに対向する断面円形状の内周面を有する周囲要素と、
    中心要素の外周面と周囲要素の内周面とに接触し、回転して接触点の摩擦によりトルクの伝達を行う少なくとも3個の遊星要素と、
    各遊星要素を、中心要素の外周面と同心の円周上に所定の相対関係をもって支持すると共に、各遊星要素と周囲要素の接点を結んだ多角形の周囲の長さが異なりかつ中心要素の中心と各遊星要素の中心との距離が一定である少なくとも二つの配置で各遊星要素を支持可能である支持要素と、
    を含む摩擦型遊星動力伝達装置。
  2. 請求項1に記載の摩擦型遊星動力伝達装置であって、
    支持要素は、各遊星要素を、当該伝達装置の伝達トルクが大きいときは、前記多角形の周囲の長さが長くなる第1の配置で支持し、伝達トルクが小さいときは、前記多角形の周囲の長さが短くなる第2の配置で支持する、
    摩擦型遊星動力伝達装置。
  3. 請求項2に記載の摩擦型遊星動力伝達装置であって、
    支持要素は、遊星要素の一部を、残りの遊星要素に対して周方向に移動可能に支持し、 伝達トルクにより遊星要素が周方向に移動し、伝達トルクが増加すると、前記第2の配置から第1の配置へと移行する、
    摩擦型遊星動力伝達装置。
  4. 請求項2に記載の摩擦型遊星動力伝達装置であって、
    遊星要素は、少なくとも1個の遊星要素を含む第1群と、第1群以外の少なくとも1個の遊星要素を含む第2群と、を有し、
    支持要素は、第1の方向に伝達トルクが作用するときに、この伝達トルクにより、第1群の遊星要素を他の遊星要素に対して周方向に移動可能に支持し、この周方向の移動により遊星要素が第2の配置から第1の配置へ移行し、
    支持要素はまた、第1の方向とは逆の第2の方向に伝達トルクが作用するときに、この伝達トルクにより、第2群の遊星要素を他の遊星要素に対して周方向に移動可能に支持し、この周方向の移動により遊星要素が第2の配置から第1の配置へ移行する、
    摩擦型遊星動力伝達装置。
  5. 請求項4に記載の摩擦型遊星動力伝達装置であって、
    遊星要素は4個であり、前記多角形である四角形の共通の対角線上に配置された遊星要素同士で前記第1群および前記第2群が形成される、
    摩擦型遊星動力伝達装置。
  6. 請求項3から5のいずれか1項に記載の摩擦型遊星動力伝達装置であって、
    前記周方向に移動可能に支持された遊星要素に、遊星要素が第2の配置となる方向に付勢するばね要素を有する、
    摩擦型遊星動力伝達装置。
  7. 請求項2から6のいずれか1項に記載の摩擦型遊星動力伝達装置であって、前記多角形は、遊星要素が第1の配置にあるとき正多角形である、摩擦型遊星動力伝達装置。
  8. 請求項6に記載の摩擦型遊星動力伝達装置であって、
    ばね要素は、遊星要素を支持要素に回転自在に支持させる支軸に対し、遊星要素が第2の配置となるように付勢力を付与する、
    摩擦型遊星動力伝達装置。
  9. 請求項8に記載の摩擦型遊星動力伝達装置であって、
    ばね要素は、周方向に隣り合って配置された支軸間に圧縮状態で配置された圧縮ばねである、
    摩擦型遊星動力伝達装置。
  10. 請求項6に記載の摩擦型遊星動力伝達装置であって、
    前記周方向に移動可能に支持された遊星要素に追従して支持要素に対し周方向に移動する可動要素を有し、
    ばね要素は、可動要素における遊星要素を支持要素に対し回転自在に支持させる支軸よりも径方向の外側に位置する部分に対し、遊星要素が第2の配置となるように付勢力を付与する、
    摩擦型遊星動力伝達装置。
  11. 請求項6又は請求項10に記載の摩擦型遊星動力伝達装置であって、
    ばね要素は、中心要素の軸線方向に弾性変形する構成であり、
    ばね要素の変形に伴う付勢力を、前記周方向に移動可能に支持された遊星要素に対し、遊星要素が第2の配置となる方向に作用させる荷重変換要素を有する、
    摩擦型遊星動力伝達装置。
  12. 請求項1に記載の摩擦型遊星動力伝達装置であって、
    前記支持要素は、支持要素本体と、該支持要素本体に対し中心要素の軸心廻りに相対回転可能に設けられると共に前記遊星要素の一部を支持する可動要素とを有し、可動支持要素が支持要素本体に対し相対回転することで、前記少なくとも3個の遊星要素を、前記少なくとも二つの配置で支持可能である、
    摩擦型遊星動力伝達装置。
  13. 請求項12に記載の摩擦型遊星動力伝達装置であって、
    支持要素は、180°離れて配置された一対の遊星要素をそれぞれ支持する第1の可動要素と、180°離れて配置された一対の遊星要素をそれぞれ支持する第2の可動要素と、第1の可動要素と第2の可動要素との間又は第1及び第2の可動要素と支持要素本体との間に配置されたばね要素とを有し、
    負荷トルクに応じて、遊星要素に作用する中心要素の周方向に作用する力とばね要素の付勢力とがバランスする位置まで、支持要素本体に対し第1の可動部材及び第2の可動要素の少なくとも一方が相対回転されるようにした、 摩擦型遊星動力伝達装置。
  14. 請求項12又は請求項13に記載の摩擦型遊星動力伝達装置であって、
    支持要素は、一部の遊星要素を支持する第1の可動要素と、他の一部の遊星要素を支持する第2の可動要素と、第1の可動要素と第2の可動要素との相対回転に伴い中心要素の軸線方向の相対変位を生じる変位変換要素と、前記軸線方向に変形することで変位変換要素が軸線方向の変位に抗する付勢力を生じるばね要素とを有し、
    負荷トルクに応じて、遊星要素に作用する中心要素の周方向に作用する力とばね要素の付勢力とがバランスする位置まで、支持要素本体に対し第1の可動部材及び第2の可動要素の少なくとも一方が相対回転されるようにした、 摩擦型遊星動力伝達装置。
  15. 請求項1に記載の摩擦型遊星動力伝達装置であって、
    支持要素は、
    少なくとも3個の遊星要素の少なくとも2つを回転可能に支持する支軸を支持要素本体に対し周方向に相対変位可能に支持させると共に、周方向に隣り合う支軸間にばね要素を圧縮状態で配置し、負荷トルクに応じて、遊星要素に作用する中心要素の周方向に作用する力と、ばね要素の付勢力とがバランスする位置まで、遊星要素が支持要素本体に対し該支持要素本体の周方向に相対角変位回転されるようにし、
    該相対回転によって前記少なくとも3個の遊星要素を、前記少なくとも二つの配置で支持可能である、
    摩擦型遊星動力伝達装置。
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